アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2022

5/28(土)-6/10(金)

アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2022

タイの天才映画監督、アピチャッポン・ウィーラセタクン。最新作『MEMORIAメモリア』の日本での公開を記念して、彼のタイ時代の代表作3作品と「アピチャッポン本人が選ぶ短編集」の4本を特集。

5/28(土)-6/10(金)

アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2022

タイの天才映画監督、アピチャッポン・ウィーラセタクン。最新作『MEMORIAメモリア』の日本での公開を記念して、彼のタイ時代の代表作3作品と「アピチャッポン本人が選ぶ短編集」の4本を特集。

美しく斬新なイマジネーションで世界に驚きを与え、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した不朽の名作『ブンミおじさんの森』(2010)、アピチャッポン監督の現在につながる創造性が存分に発揮されているデビュー作『真昼の不思議な物体』(2000)、「記憶」というテーマが最新作にも重なる傑作『光りの墓』(2015)、そして「アピチャッポン本人が選ぶ短編集」。故郷タイ東北部の森に覚醒された音と映像が映画を拡張させていく、アピチャッポン監督の才能をあらためてご体験下さい。

入場料
  • 【5/28~5/31】一般1500円/会員1200円/シニア1100円/学生応援プライス(大学生以下)500円
  • 【6/1~】一般1500円/会員1200円/大専・シニア1100円/高校生以下800円

上映スケジュール

5/28(土) 5/29(日) 5/30(月) 5/31(火) 6/1(水) 6/2(木) 6/3(金)


ブンミおじさんの森10:00ー11:55
ブンミおじさんの森
真昼の不思議な物体10:00ー11:30
真昼の不思議な物体
光りの墓10:00ー12:05
光りの墓
MEMORIA メモリア10:00ー12:20
MEMORIA メモリア
ブンミおじさんの森10:00ー11:55
ブンミおじさんの森
ブンミおじさんの森11:50ー13:50
ブンミおじさんの森

光りの墓12:05ー14:10
光りの墓
MEMORIA メモリア11:40ー14:00
MEMORIA メモリア
ブンミおじさんの森12:15ー14:10
ブンミおじさんの森
真昼の不思議な物体12:30ー14:00
真昼の不思議な物体
光りの墓12:05ー14:10
光りの墓

予定表 横にスクロールできます

6/4(土) 6/5(日) 6/6(月) 6/7(火) 6/8(水) 6/9(木) 6/10(金)
アピチャッポン本人が選ぶ短編集 特別上映
アピチャッポン本人が選ぶ短編集
12:00ー14:00
ブンミおじさんの森12:00ー14:00
ブンミおじさんの森
真昼の不思議な物体12:00ー13:30
真昼の不思議な物体
光りの墓12:00ー14:05
光りの墓
MEMORIA メモリア12:00ー14:25
MEMORIA メモリア
ブンミおじさんの森12:00ー13:55
ブンミおじさんの森
光りの墓12:00ー14:05
光りの墓


MEMORIA メモリア13:40ー16:05
MEMORIA メモリア
ブンミおじさんの森14:15ー16:10
ブンミおじさんの森
真昼の不思議な物体14:35ー16:05
真昼の不思議な物体
光りの墓14:05ー16:10
光りの墓
ブンミおじさんの森14:15ー16:10
ブンミおじさんの森

予定表 横にスクロールできます

上映作品 紹介

真昼の不思議な物体

©Kick the Machine Films

2000年/タイ/83分/35mm
原題:Mysterious Object at Noon

長編映画初監督作。タイ北部の田舎の村で行商人の女性がある物語を語り始める。その続きが象使いの少年、伝統演劇の劇団員などに引き継がれ、リレー形式で語られていくうちに物語は思わぬ方向へと進んでいく。現在につながる類まれなる創造性が全編を通して発揮されている重要作。

ブンミおじさんの森

©Kick the Machine Films

2010年/イギリス・タイ・ドイツ・フランス・スペイン合作/114分/DCP
原題:Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives

腎臓の病に冒され、死を間近にしたブンミは、妻の妹ジェンをタイ東北部の自分の農園に呼び寄せる。すると、19年前にこの世を去ったブンミの妻の霊が現れ、さらには行方不明の息子も姿を変えて現われる…。美しく斬新なイマジネーションで世界に驚きを与えたアピチャッポン不朽の名作。

*第63回カンヌ国際映画祭パルムドール

光りの墓

© Kick The Machine Films / Illuminations Films (Past Lives) / Anna Sanders Films / Geißendörfer Film-und Fernsehproduktion /Match Factory Productions / Astro Shaw (2015)

2015年/タイ・イギリス・フランス・ドイツ・マレーシア合作/122分/DCP
原題:Rak ti Khon Kaen

タイで撮影された最後の長編映画。タイ東北部の町イーサン、かつて学校だった病院には、原因不明の“眠り病”にかかった兵士たちが収容され、色と光による療法が施されていた。最新作『MEMORIA メモリア』にも共通する「記憶」というテーマで、カンヌ国際映画祭ではアピチャッポンの新たなステージと絶賛された。

アピチャッポン本人が選ぶ短編集  特別上映

全10作品/合計:118分/タイ語(一部台詞なし)/英語・日本語字幕付/DCP
素材提供:Kick the Machine 協力:トモ・スズキ・ジャパン、White Light Post

『国歌(The Anthem)』2006年/5’00”
タイの映画館では本編の上映前、国王への賛歌が場内に流れる。その間、観客は起立。スクリーンにはタイ国内の名所が映し出されるという。そんなタイ独自の慣習をアピチャッポン監督なりに再定義した短編映画。特定の国を賛美するのではなく、すべてのシネマに捧げる賛歌として、上映会の冒頭に流すことにした。ロンドンのアートフェア「フリーズ」からの委嘱で制作し、英国のシネコンで商業映画の前に何の前触れもなく上映されている。日本では福岡市が総合図書館に収蔵。本来は35mmプリントだが、今回は日本語字幕付のDCPで上映。

『La Punta』2013年/1’ 33”
ベネチア国際映画祭の記念企画「ベネチア70 ― フューチャー・リローデッド」のために制作した93秒の短編。タイ国内を走行する車内から撮影した素材にペルー・リマで採取した音をミックスしている。

『M Hotel』2011年/11’ 50”
スーパー8(映画用8mmフィルム)のカメラで撮影。香港・九龍の青空市場で知られる油麻池に建つMホテル。1702号室には、ふたりの男がいる。彼らは映画の撮影クルーだ。午後の空き時間、部屋で記念写真を撮っている。ふたりとも香港は初めてだった。外では別のスタッフが上着にマイクを仕込んでいる。その服を着て歩きだすと…。

『エメラルド(Morakot)』2007年/11’00”
東京都現代美術館の収蔵作品。もともと映像インスタレーションとして発表したが、短編映画のようにスクリーンでも見せる。1980年代、タイの経済成長にともない隆盛を極めたバンコクのエメラルド・ホテル。やがて寂れて閉館してしまう。廃墟となった同ホテルの記録に、個人の記憶が交錯。ぼんやりと浮かびあがる3人が時代と世代を超えた恋の話をつづける。出演者は皆、アピチャッポン監督作の常連たち。

『Mobile Men』2008年/3’ 15”
走行するピックアップ・トラック。その荷台に乗る若い男たち。それぞれ別の地域出身だ。あたかも自分の出身地をアピールするかのように、出演者それぞれが自分を映すように指示する。しかし、カメラは周りの風景にも向いてしまう。終始、マイクには風を切る音が入り、出演者の発言を邪魔している。「世界人権宣言」60周年記念プロジェクト参加作品。本作を含め、全部で22本の短編映画が制作された国連のプロジェクト。

『Cactus River』2009年/10’ 09”
白黒のビデオダイアリー。ある日、アピチャッポン監督作品の常連女優、ジェンジラー・ポンパット・ワイドナー(ジェン)が名前を変えた。新しい名は、タイ語で「水」という意味らしい。改名後、彼女は退役米兵と結婚。その夫婦を訪ねた監督はメコン川に想いを巡らせた。ジェンが言うには、やがてメコンの水は枯れる。水という名の彼女は、どうなるのだろう?

『Footprints』2014年/5’ 50”
メキシコの映画監督、ダニエル・グルーネルによるプロジェクト参加作品。サッカーと日常生活を描くオムニバス企画で、2014FIFAワールドカップ期間中に放映された。当時、アピチャッポン監督は『光りの墓』を撮影中。その現場でタイの自然、役者の姿、眠りと夢を扱う短編を撮ったのが本作。

『Worldly Desires』2005年/42’ 32”
韓国・全州映画祭のオムニバス企画「デジタル三人三色」のために制作した作品。本編の中で、ピンパカ・トゥイラ監督が『Deep Red Bloody Night』という映画を撮影している。森をさまよう男女の話だ。実はその映画は架空の企画で、何も知らずに撮影するスタッフを別のカメラでとらえたのが本作。トゥイラ監督が撮影した映画は、映画内映画の劇中劇として使用された。

『燃えている(Ablaze)』 2016年/4’46”
ナショナル・ギャラリー・シンガポールからの委嘱作品。同館にインドネシアの画家、ラデン・サレ(1811-1880)の作品が展示してあった。火山がふたつ並ぶ絵だ。それに着想を得たアピチャッポン監督が、黒い背景に白で描いた絵画のような映画に仕上げた。男女が暗い森に立っている。何かを見ようとしているが、男が女の視線を遮断している。そこに謎の炎が赤々と燃えあがるが、それが女には見えない。音楽家、清水宏一が本作の音を他の2楽曲と組み合わせ、アピチャッポン作品のコンピレーション・アルバム「Metaphors(メタファーズ)」に収録している。

『ブンミおじさんへの手紙(A Letter to Uncle Boonmee)』2009年/17’ 4”
ドイツ・オーバハウゼン国際短編映画祭グランプリ受賞作品。後にカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞するアピチャッポン監督『ブンミおじさんの森』のスケッチとして制作された。両作とも同じスタッフが、同じロケ地に滞在。タイ東北地方のナブア村で、ロケハンをするかのごとく村や人の様子をカメラにおさめたのが本作。モノローグ形式でブンミおじさんとの対話を試みている。