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2017年/イギリス=スペイン=ドイツ/112分/DCP/配給:ココロヲ・動かす・映画社○
原題:The BookShop
監督・脚本:イザベル・コイシェ
出演:エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソン
ナレーション:ジュリー・クリスティ

公式ホームページ

【前売券】全国共通特別鑑賞券1,500円を当館受付にて発売中!特典:オリジナルしおりをプレゼント!

私と本との一期一会
本と過ごす時間、そしてちょっとの勇気があれば人生は豊かになる

1959年のイギリス、海辺の小さな町。戦争で夫を亡くしたフローレンスは、それまで一軒も書店がなかった町に夫との夢だった書店を開こうとする。保守的な町でそれを快く思わない町の有力者ガマート夫人の嫌がらせに遭いながらも何とか開店にこぎつける。レイ・ブラッドベリの「華氏451度」など、先進的な作品を精力的に紹介し、書店は物珍しさで多くの住民がつめかける。だがガマート夫人の画策により、次第に経営が立ち行かなくなっていく。フローレンスの味方は40年も邸宅に引きこもっている読書好きの老紳士ブランディッシュ氏だけ――。
日本でも大ヒットした『死ぬまでにしたい10のこと』(03)で一躍、脚光を浴びたイザベル・コイシェ監督。以後も、新たなジャンルに女性の感性を吹き込んで来た彼女が、次に選んだ題材は、保守的なイギリスの町に小さな変革を起こそうとした女性のささやかな奮闘記。英ブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの原作小説を映画化した本作は2018年のスペイン・ゴヤ賞では見事、作品賞・監督賞・脚色賞と主要部門を受賞した。

1950年代後半のイギリスの町の素朴で懐かしい景観を捉えた美しい映像

近年、『ブレス しあわせの呼吸』(17)、『追想』(18)など、それぞれ50~60年のイギリス、60年初頭のイギリスと、保守的で閉鎖的な時代を舞台にした映画が複数あるが、胸を圧迫するような閉鎖的な空気とは相反し、イギリスらしい景色や街並み、風景の美しさが観る者を魅了する。本作もまた、マクドナルドもスターバックスも見当たらない、古き良きイギリスの町の――それゆえ閉鎖的、且つ町の人々も古い価値観に縛られて抑圧的でもあるのだが――素朴な魅力や、力強い自然の美しさに満ちている。一方、当時のイギリス上流社会を映したガマート夫妻の屋敷に集う人々のファッション、対照的にコットンの肌触りを感じさせるようなフローレンスやお手伝いの少女クリスティーンが身に纏う素朴な風合いの日常着、ゴブラン織りのケープ、手編みのポットカバー、本を包む紙や紙紐といった日用品など、雑貨好きの女性にはたまらないアイテムも満載。映画を彩る哀愁漂うロンドンの歌姫、アラ・ニのジャジーな歌声も、作品の世界観を深めて余韻を残す。

心に残る演技に定評ある名優達が集結!

ヒロインのフローレンスを演じるのは、最新作『メリー・ポピンズ リターンズ』(19)のエミリー・モーティマー。ウディ・アレンの『マッチポイント』(05)などで強い印象を残してきた彼女が、意志の強さと柔らかな雰囲気、はにかんだ笑顔をバランスよく配合し、誰もが共感し応援せずにいられないヒロイン像を魅力的に演じた。変わり者の老紳士で心強い協力者、ブランディッシュ氏を演じるのは、『ラブ・アクチュアリー』(03)や、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のデイヴィ・ジョーンズ役で世界中にファンを持つイギリス紳士の代名詞ビル・ナイ。ガマート夫人を演じるのは、コイシェ監督の『しあわせへのまわり道』(14)に主演したパトリシア・クラークソン。また、本作のナレーションを務めた名女優ジュリー・クリスティはフランソワ・トリュフォー監督の『華氏451』(67)の主演女優であり、コイシェは、この声のキャスティングはトリュフォー作品へのオマージュと語っている。

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上映日時

5/11(土)~5/17(金) 5/18(土)~5/24(金)
11:25~13:20 15:30~17:22

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1100 ¥800
会員 ¥1500 ¥1100 ¥800

ROMA/ローマ

ROMA

2018年/メキシコ・アメリカ合作/135分/2K/ 5.1ch/R15+/配給:Netflix
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:ヤリッツァ・アパリシオ、 マリーナ・デ・タビラ

公式ホームページ

半自伝的な物語を壮大なスケールで描いた傑作

政治的混乱に揺れる1970年代のメキシコでひとりの家政婦と雇い主一家の関係を、アカデミー賞受賞監督アルフォンソ・キュアロンが鮮やかに、かつ感情豊かに描いた作品。本年度アカデミー賞で作品賞を含む同年度最多タイの10部門でノミネートされ、外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞した。

上映日時

5/25(土)~5/31(金) 6/1(土)~6/7(金)
14:25~16:40 未定

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1100 ¥800
会員 ¥1500 ¥1100 ¥800

クリス・マルケル特集2019 永遠の記憶

クリス・マルケルは世界のあらゆる場所にいるのに
どこにも見つからず、この世を去ってなお不死を約束されている―

 岡田秀則(映画研究者)

記憶と記録、歴史と個人史、戦争、虚構と現実。永遠に消えることのないテーマで、数多くの作品を発表したクリス・マルケル。フィルム、写真、本、ビデオ、ゲームなど、多様なメディアを自在に使って完成させる作品は優雅で詩的であり、2012年の没後も世界中のクリエイターに大きな影響を与え続けている。 本特集では、日本では初めて劇場公開される『イヴ・モンタン~ある長距離歌手の孤独』を含む8作品を上映。見るたびに新しい発見のある稀有な作家、クリス・マルケルの魅力を〈再発見〉する格好の機会となるであろう。

クリス・マルケル Chris Marker  1921~2012年


パリ生まれの映画作家。第二次世界大戦時に対ナチスのレジスタンス組織に参加。他に例のない映像詩のような独自の作風で数多くの作品を発表。数回来日し日本についての作品もつくっている。

[おもなフィルモグラフィ]

北京の日曜日(1956) シベリアからの手紙(1958) 宇宙飛行士(1959) ある闘いの記述(1960) 美しき五月(1962) 不思議なクミコ(1965) ベトナムから遠く離れて(1967) イヴ・モンタン~ある長距離歌手の孤独(1974) 空気の底は赤い(1977) サン・ソレイユ(1982) A.K. ドキュメント黒澤明(1985) 音楽を聴く猫(1990) アレクサンドルの墓:最後のボルシェヴィキ(1993) レベル5(1996) アンドレイ・アルセニエヴィッチの1日(1999) 未来の記憶(2001) 笑う猫事件(2004)

公式ホームページ http://www.pan-dora.co.jp/ChrisMarker/

入場料

当日:一般1,600円/会員1,300円/大専・シニア1,100円/高校生以下800円

リピーター割:本特集の半券提示で2回目からは一般1,300円、会員1,000円でご鑑賞いただけます。

トークイベント

5.19(日)11:20の回『北京の日曜日』『イヴ・モンタン』上映後、岡田秀則さん(映画研究者/フィルムアーキビスト)

 上映スケジュール 全8作品
5/18(土) 5/19(日) 5/20(月) 5/21(火) 5/22(水) 5/23(木) 5/24(金)
不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明11:35-13:40
不思議なクミコ
A.K.ドキュメント黒沢明
北京の日曜日イヴ・モンタン※北京の日曜日イヴ・モンタン※11:20-12:50
北京の日曜日
イヴ・モンタン

トークイベント

シベリヤからの手紙ある闘いの記述シベリヤからの手紙ある闘いの記述11:20-13:20
シベリヤからの手紙
ある闘いの記述
レベル511:20-13:10
レベル5
サン・ソレイユ11:20-13:10
サン・ソレイユ
北京の日曜日イヴ・モンタン※北京の日曜日イヴ・モンタン※11:20-12:50
北京の日曜日
イヴ・モンタン
レベル511:20-13:10
レベル5
北京の日曜日イヴ・モンタン※北京の日曜日イヴ・モンタン※13:50-15:20
北京の日曜日
イヴ・モンタン
サン・ソレイユ13:30-15:20
サン・ソレイユ
レベル513:30-15:20
レベル5
不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明13:15-15:20
不思議なクミコ
A.K.ドキュメント黒沢明
北京の日曜日イヴ・モンタン※北京の日曜日イヴ・モンタン※13:30-15:00
北京の日曜日
イヴ・モンタン
不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明13:15-15:20
不思議なクミコ
A.K.ドキュメント黒沢明
シベリヤからの手紙ある闘いの記述シベリヤからの手紙ある闘いの記述13:20-15:20
シベリヤからの手紙
ある闘いの記述

予定表 横にスクロールできます

5/25(土) 5/26(日) 5/27(月) 5/28(火) 5/29(水) 5/30(木) 5/31(金)
Life/サン・ソレイユ16:50-18:50
Life/サン・ソレイユ
北京の日曜日イヴ・モンタン※北京の日曜日イヴ・モンタン※16:50-18:30
Life/北京の日曜日
イヴ・モンタン
不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明16:50-19:10
Life/不思議なクミコ
A.K.ドキュメント黒沢明
北京の日曜日イヴ・モンタン※北京の日曜日イヴ・モンタン※16:50-18:30
Life/北京の日曜日
イヴ・モンタン
※Life休映/レベル516:50-18:40
※Life休映/レベル5
シベリヤからの手紙ある闘いの記述シベリヤからの手紙ある闘いの記述16:50-19:03
Life/シベリヤからの手紙
ある闘いの記述
不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明16:50-19:09
Life/不思議なクミコ
A.K.ドキュメント黒沢明
レベル519:00-20:55
レベル5
シベリヤからの手紙ある闘いの記述シベリヤからの手紙ある闘いの記述18:50-20:55
シベリヤからの手紙
ある闘いの記述
北京の日曜日イヴ・モンタン北京の日曜日イヴ・モンタン19:20-20:50
北京の日曜日
イヴ・モンタン
サン・ソレイユ18:50-20:35
サン・ソレイユ
不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明不思議なクミコA.K.ドキュメント黒沢明18:50-20:55
不思議なクミコ
A.K.ドキュメント黒沢明
サン・ソレイユ19:10-20:55
サン・ソレイユ
北京の日曜日イヴ・モンタン※北京の日曜日イヴ・モンタン※19:20-20:50
北京の日曜日
イヴ・モンタン

予定表 横にスクロールできます

 作品紹介
北京の日曜日

© 1956 Argos Films

1956年/フランス/20分/DCP/配給:パンドラ
原題:Dimanche à Pékin
監督・撮影:クリス・マルケル
ナレーション:ジル・ケアン
日本語版字幕:松岡葉子

北京の日曜日

マルケルは夢だった中国行きを、1955年、中国友好使節団旅行への参加で実現。その際に撮影した映像をもとに、ある日曜日のスケッチとして革命後の北京の人々や風景を鮮やかに描いた初期短編。本作ではマルケルは撮影も自分で担っている。

シベリアからの手紙

©1957 Argos Films

1958年/フランス/61分/DCP/配給:パンドラ
原題:Lettre de Sibérie
監督:クリス・マルケル
撮影:サッシャ・ヴィエルニ/クリス・マルケル
ナレーション:ジョルジュ・ルーキエ
日本語版字幕:松岡葉子

シベリアからの手紙

開発途上のシベリアの街と風景や人々の様子を、アニメーションやアーカイブ映像を挿入しつつ書簡形式のナレーションで描く。“シネ・エッセイ”の作家として注目された1作。

ある闘いの記述

© 1961 Van Leer Productions et S.O.F.A.C © 2014 Argos Films – Cinémathèque de Jérusalem

1960年/イスラエル=フランス/57分/DCP/配給:パンドラ
原題:Description d’un combat
監督:クリス・マルケル
撮影:ギスラン・クロケ
ナレーション:ジャン・ヴィラール
日本語版字幕:松岡葉子
1961年ベルリン国際映画祭短編部門金熊賞

ある闘いの記述

1948年の建国以来12年目を迎えたイスラエルの複雑な現実を描く。1967年の第三次中東戦争以降、マルケル自身が本作の上映を禁じた時期があった。

不思議なクミコ

© La Sofra

1965年/フランス/54分/35㎜/提供:シネマトリックス
原題:Le mystère Koumiko
監督・撮影・編集・ナレーション:クリス・マルケル
音楽:武満徹『弦楽のためのレクイエム』他
出演:村岡久美子
日本語版字幕:寺尾次郎

不思議なクミコ

1964年、東京オリンピックに湧く高度成長真っ只中の日本を、フランス語を学ぶ満州生まれのひとりの日本人女性を通して描いた映画エッセイ。

イヴ・モンタン~ある長距離歌手の孤独

© 1974 Le Seuil audiovisuel / 1984 Yves Montand

1974年/フランス/63分/DCP/配給:パンドラ
原題:La solitude du chanteur de fond
監督・編集:クリス・マルケル
出演:イヴ・モンタン
日本語版字幕:松岡葉子

イヴ・モンタン~ある長距離歌手の孤独

チリ難民支援コンサートのためにリハーサル中のイヴ・モンタン。世界的な歌手にして俳優でもある彼へのインタビューや、出演映画の断片映像などにより、その意外なポートレイトが…。

*日本劇場初公開

サン・ソレイユ

© 1983 Argos Films

1982年/フランス/104分/DCP/配給:パンドラ
原題:Sans soleil
監督・撮影・編集:クリス・マルケル
日本語版字幕:松岡葉子
1983年ベルリン国際映画祭OCIC特別賞他

サン・ソレイユ

世界を旅するカメラマンから届いた手紙を朗読する女性。日本とアフリカ、記憶や旅をテーマに、フィクションやドキュメンタリー、哲学的考察が混在したマルケルの代表作の1本。

A.K. ドキュメント黒澤明

© 2003パリ・グリニッチ・フィルム社/アスミック・エース(株)

1985年/フランス=日本/70分/35㎜/提供:アスミック・エース株式会社
原題:A.K.
監督・編集:クリス・マルケル
音楽:武満徹
ナレーション:蓮實重彦

A.K. ドキュメント黒澤明

黒澤明監督による日仏合作映画『乱』の撮影過程を記録したドキュメンタリー。数多くのスタッフやエキストラが行き交う大掛かりな撮影現場。彼らに混じって武満徹の姿も。臨場感のある画面はクリス・マルケルの別の貌である。

 レベル5

© 1996 Argos Films

原題:Level Five
監督・撮影・編集:クリス・マルケル
撮影:ジェラール・ド・バティスタ/イブ・アンゲロ
出演:カトリーヌ・ベルコジャ
日本語版字幕/翻訳:福崎裕子
字幕:渡辺真也

レベル5

ローラは亡くなった恋人の仕事を引き継ぎ沖縄戦についてのコンピュータ・ゲームを完成させようとする。仮想空間の中に現実と虚構が交錯するマルケル晩年の問題作。

慶州(キョンジュ) ヒョンとユニ

慶州ヒョンとユニ

©2014, LU FILM & INVENT STONE

2014年/韓国/145分/配給:A PEOPLE CINEMA
原題:경주
英題:Gyeongju
脚本・監督:チャン・リュル
制作:ナ・ギョンチャン、キム・ドンヒョン、チャン・リュル
プロデューサー:チェ・ジヨン、ユ・ビョンオク
撮影:チョ・ヨンジク
美術:キム・チョヘ
音楽:カン・ミングク
出演:パク・ヘイル、シン・ミナ、ユン・ジンソ、キム・テフン、シン・ソユル、リュ・スンワン、イ・ジュンドン

公式ホームページ

映画作家チャン・リュルの、 美しい傑作。詩情緒の世界。

韓国、古墳の街、慶州〈キョンジュ〉。この地を訪れた男・ヒョンと、そこに住む女・ユニ。韓国映画界を代表する名優、パク・ヘイルと、演技派に成長したスター、シン・ミナが演じる男と女が出逢ったとき、時を越えて消えたものがふたりを強く結びつける。そして、いつか見た、生と死の間に、その哀しみが熔けていくーー。監督は、今年のベルリン映画祭で最新作「福岡」が上映されたチャン・リュル。初期作品「キムチを売る女」がカンヌ映画祭で受賞して以来、発表した作品「春の夢」「群山」など常に世界の映画祭で注目を集めてきた。日本では知られざる、世界の名匠だ。本作「慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ」は、チャン・リュルがこれまでと違う次元に入ったターニングポイントとなる一作。ここからチャン・リュルの新しい世界がはじまる。映像で、人の心を書く、映画作家の美しい傑作である。

古墳の街、慶州〈キョンジュ〉。男、パク・ヘイルと女、シン・ミナ。
いつか見た、生と死の間に、哀しみが溶けていく。

親しい先輩の訃報の知らせから、久しぶりに大邱(テグ)を訪れた北京大学教授のチェ・ヒョン(パク・ヘイル)。亡くなった先輩との7年前の旅を思い出したヒョンは、衝動的に、そこからほど近い慶州(キョンジュ)へと向かう。以前と変わらず、美しい緑に包まれた古墳が並ぶ街を懐かしむヒョン。彼にはどうしても確認したいものがあった。それは、茶屋にあった一枚の春画。その茶屋を訪れたヒョンは、美しい主人・ユニに出逢う。そこに春画は、もうなかった。ユニによれば、7年前からそれは存在しないという。ヒョンはその後、かつて一夜を共にしたことのある後輩の女性をソウルから呼び出すものの、衝撃的な秘密を打ち明けられる。そして、ユニにも哀しい過去があった……春画を探すヒョンがやがて辿り着く意外な結末とは――。エンディング曲の題名は「サラン(愛)」。詩情緒に満たされるラスト……。

慶州ヒョンとユニ 慶州ヒョンとユニ 慶州ヒョンとユニ

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1100 ¥800
会員 ¥1500 ¥1100 ¥800

漂うがごとく

漂うがごとく

© Vietnam Feature Film Studio1,Acrobates Film

2009年/ベトナム/106分/配給:ムービー・アクト・プロジェクト
原題:Choi voi
英題:Adrift
監督:ブイ・タク・チュエン
脚本:ファン・ダン・ジー
撮影:リー・タイ・ズン
音楽:ホアン・ゴク・ダイ
出演:ドー・ハイ・イエン、リン・ダン・ファム、ジョニー・グエン、グエン・ズイ・コア

公式ホームページ

【前売券】『漂うがごとく』『ベトナムを懐う』2作品共通鑑賞券1,300円(1枚につき1作品のみ有効)を当館受付にて発売中!
特典:特製ポストカード2枚セットをプレゼント!

蓋をしていた本能が溢れた時、彼女は新たな自分に触れる

ハノイで旅行ガイド兼通訳として働くズエンと、タクシー運転手のハイは、出会って三ヶ月で結婚を決めた。式のあと酔いつぶれ、夫婦の寝室へ担ぎ込まれる新郎ハイ。後日、式に来られなかった友達のカムを訪ねた帰り、彼女の代わりに手紙を届けに行ったズエンは、受取人のトーに襲われる。ハイとは正反対の、どこか危険な匂いのするトーに何故か魅了されていくズエン。だが女としての彼女の目覚めは、やがてある悲劇を招く……。

雨のハノイを舞台にベトナム映画の俊英が描く、艶めかしい愛の痛み

監督は第6回NHKアジア・フィルム・フェスティバルで上映された『癒やされた地』などのブイ・タク・チュエン。脚本をベトナムの鬼才ファン・ダン・ジーが担当。主人公・ズエン役に『モン族の少女 パオの物語』やトラン・アン・ユン監督の「夏至」のドー・ハイ・イエン。ズエンの親友カム役リン・ダン・ファムはカトリーヌ・ドヌーヴ主演の『インドシナ』(1992)の王女役でデビューし、『真夜中のピアニスト』(05)『ミスター・ノーバディ』(09)などに出演するベトナム系フランス人。
ハノイを舞台に、満たされることのない人間の孤独や欲望を表現し、登場人物がそれぞれ抱える心の乾きが湿度の高いベトナムの風景や水の流れなど美しい映像と共に描かれた、第66回ヴェネツィア国際映画祭国際批評家連盟賞受賞作。

漂うがごとく 漂うがごとく 漂うがごとく

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1100 ¥800
会員 ¥1500 ¥1100 ¥800

ベトナムを懐う

ベトナムを懐う

©HKFilm

2017年/ベトナム/88分/配給:ムービー・アクト・プロジェクト
原題:Dạ cổ hoài lang
英題:Hello Vietnam
監督:グエン・クアン・ズン
脚本:タイン・ホアン、タイ・ハー、グエン・クアン・ズン
撮影:グエン・チン・ホアン、ジェップ・テー・ヴィン
音楽:ドゥック・チー
出演:ホアイ・リン、チー・タイ、ゴック・ヒエップ、ディン・ヒウ、ジョニー・バン・トラン、トリッシュ・レ、タイン・ミー、チョン・カン、オアイン・キウ

公式ホームページ

【前売券】『漂うがごとく』『ベトナムを懐う』2作品共通鑑賞券1,300円(1枚につき1作品のみ有効)を当館受付にて発売中!
特典:特製ポストカード2枚セットをプレゼント!

故郷へのおもいを持ち続ける祖父と故郷を知らない孫。
二人の衝突はやがて一家の歴史の扉を開く

1995年冬のニューヨーク。雪の中を老人ホームから抜け出してきたトゥーは、息子グエンと孫娘タムのアパートに転がり込むが、ボーイフレンドの誕生日を祝おうとしていたタムは祖父の乱入に困惑を隠せない。ベトナムの思い出を語るトゥーとアメリカ育ちのタムの溝は深まるばかりで、ついにタムの怒りが爆発、トゥーは家を飛び出す。そこへ帰ってきたグエンは故郷への哀しい思いを語り始めた。なぜグエンは祖国を捨てたのか。タムはベトナム移民である自分の知られざるルーツと家族の歴史を知ることになる。

異国でおもう故郷は なぜこんなにも遠い――

祖国を離れニューヨークで暮らす3世代のベトナム人たちを描いた、人気舞台の映画化作品。
監督のグエン· クアン·ズンは、日本でも岩波ホールでかつて上映された『無人の野』(1979)のシナリオを書いた作家グエン・ クアン·サンの息子で、ベトナムではアクション映画『超人X.』や『輝ける日々に(「サニー」ベトナム版)』などヒットメーカーとして知られる逸材。 主演のホアイ·リンは、コメディアンであり俳優であり、MCなどもこなす超人気有名人。チー·タイもホアイ·リンと同じくベトナムのお笑い界に欠かせないコメディアンで、2人がコンビで共演している作品も多数公開されている。
こちらの元となったのは、1990年代からベトナム国内で演じ続けられてきた戯曲で、原題の「Da Co Hoai Lang」は戦地に赴いた夫を待つ妻の切なさを歌う曲名。劇中でも主人公のトゥーと幼馴染のナムが、祖国を想い歌う場面も登場する。
祖国を離れざるを得なかったトゥーの息子グエン、その娘タム、それぞれの切なさ。長く戦争が続いたベトナムの哀しい歴史を背負いながら、異国で故郷を懐うそれぞれの想いを丁寧に描き出すヒューマンドラマ。

ベトナムを懐う ベトナムを懐う ベトナムを懐う

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1100 ¥800
会員 ¥1500 ¥1100 ¥800

蹴る

蹴る

©「蹴る」製作委員会

2018年/日本/118分/BD/配給:「蹴る」製作委員会+ヨコハマ・フットボール映画祭
監督:中村和彦
プロデューサー:中村和彦、森内康博
撮影:堺斗志文
出演:永岡真理、東武範、北沢洋平、吉沢祐輔、竹田敦史、三上勇輝、有田正行、飯島洸洋、内橋翠、内海恭平、塩入新也、北澤豪
文部科学省特別選定 (少年向き/青年向き/成人向き)

※土・月・水・金は通常版の上映
※日・火・木は日本語字幕付き上映

公式ホームページ

【前売券】全国共通特別鑑賞券1,300円を当館受付にて発売中!

舞台挨拶
初日5/25(土)12:00回上映後、中村和彦監督による舞台挨拶がございます。

誰にも負けない、誰にも止められない。

永岡真理は生まれながらにして難病「SMA(脊髄性筋萎縮症)」を患い、生涯で一度も歩いたことがないが、ひとたび試合が始まれば、華麗かつ激しいプレーで観客を魅了する。東武範は筋ジストロフィーにより、呼吸器が手放せず、食事を摂ることも辛いが、国内でも屈指の実力を誇る。真剣なトレーニング、家族のサポート、自らの障害との折り合い、恋愛模様、そして夢のワールドカップ。
映画『蹴る』は、永岡、東を中心に、電動車椅子サッカーワールドカップを目指す選手達を6年間に渡り追い続けたドキュメンタリー映画である。

電動車椅子サッカーは「生きることそのもの」

2011年7月、電動車椅子サッカー日本代表の強化試合。私の目は唯一の女子選手、永岡真理に釘づけになった。彼女と初めて相対した私は思わず口走った。「あなたは今後日本代表に選ばれると思う。4年後のワールドカップにチャレンジする姿を是非撮らせてほしい」。
そこから資金のあてもないまま独りで撮影を開始した。選手たちの障害を知るため、資格を取り介護の仕事も始めた。ワールドカップが2年延期になったことで、撮影期間は6年以上に。その分選手たちとの信頼関係が深まり、本音をさらけ出してもらえるようになった。選手たちの障害、プレースタイルや性格は様々だが、共通するのは競技に対する想いの強さ。そんな選手たちの想いを映像に刻み込みたい、その一心で撮影に打ち込んだ。
この映画を通して、電動車椅子サッカーの魅力を多くの人に知ってほしい。選手たちの想いを感じてほしい。生きる姿に目を向けてほしい。きっと“障害者”に対する見方も変わるはずだ。
映画『蹴る』監督 中村和彦

電動車椅子サッカーとは?

電動車椅子に乗った4名の選手が、ドリブル、パス、回転シュートを駆使しての対戦チームとのゴール数を競うスポーツ。選手の多くはSMA(脊髄性筋萎縮症)や筋ジストロフィー、脳性麻痺、脊髄損傷等により自立歩行できないなどの重い障害を持つ。国内では、年一度、日本一を競う選手権大会のほか、全国各地において競技イベントや健常者が参加できる大会などが行われている。日本電動車椅子サッカー協会(JPFA)には561名、40チームが登録、過去3回の全てのワールドカップに代表チームが参加している。

蹴る 蹴る 蹴る

上映日時

5/25(土)~5/31(金) 6/1(土)~6/7(金)
12:00~14:05 未定

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1700 ¥1100 ¥800
会員 ¥1400 ¥1100 ¥800

ナイトクルージング

ナイトクルージング

©一般社団法人being there インビジブル実行委員会

2018年/日本/144分/DCP/配給:一般社団法人being there、インビジブル実行委員会/配給協力・宣伝協力:アップリンク
監督:佐々木誠
プロデューサー:田中みゆき
出演:加藤秀幸、山寺宏一、能登麻美子、神奈延年、金氏徹平、ロバート・ハリス、小木戸利光、三宅陽一郎、イトケン、しりあがり寿、石丸博也

公式ホームページ

見えない監督の映画に、あなたは何を“観る”か?
生まれながらの全盲者の映画制作を追うドキュメンタリー

視覚がなく、光すら感じたことのない全盲の加藤秀幸は、ある日映画を作ることを決める。加藤は、映画制作におけるさまざまな過程を通して、顔や色の実体、2Dで表現することなど、視覚から見た世界を知っていく。また、加藤と共に制作する見えるスタッフも、加藤を通して視覚のない世界を垣間見る。
見えない加藤と見えるスタッフ、それぞれが互いの頭の中にある“イメージ”を想像しながら映画はつくられていく。 加藤の監督する短編映画は、近未来の宇宙の小惑星を舞台に、生まれながらに全盲の男と見える相棒が“ゴースト”と呼ばれる存在を追うSFアクション。それはまるで、映画制作の現場で浮かび上がる「見える/見えない世界」の間に漂う何かとも重なる。
ドキュメントとフィクション、二つの世界に漂う“ゴースト”を、捕らえることはできるのか。

映画監督・佐々木誠と、全盲のミュージシャン・加藤秀幸。
なぜ全盲の彼と映画の楽しさを共有できるのだろう?

監督は、本作品の前作である『インナーヴィジョン』、『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』など、マジョリティとマイノリティの境界線に焦点を当てた作品を多く手がけてきた佐々木誠。プロデューサーに、障害を“世界を捉え直す視点”として展覧会やパフォーマンスなどのプロジェクトを企画してきた田中みゆき。また、加藤が監督する映画『ゴーストヴィジョン』には、『シン・ゴジラ』『バイオハザード』シリーズのプリビズやCGの制作チーム、『ファイナルファンタジーXV』の開発チーム、国内外で活躍する現代美術家の金氏徹平など、幅広い分野のクリエイターたちが協力している他、山寺宏一、石丸博也など豪華声優陣、作家のロバート・ハリスもキャストとして参加。
前代未聞の映画制作をめぐる冒険ドキュメンタリー

ナイトクルージング

©撮影:大森克己

ナイトクルージング ナイトクルージング

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1100 ¥800
会員 ¥1500 ¥1100 ¥800

国家主義の誘惑

国家主義の誘惑

©Crescendo Media Films – Kami Productions – ARTE France – 2017

2017 年/フランス/54 分/BD/配給:きろくびと
監督:渡辺謙一
プロデューサー:セルジュ・ゲズ、クリスティーヌ・渡辺
撮影:エマヌエル・ヴァレット
編集:マチュー・オーギュスタン
録音:渡辺 顕、岸本崇史
歴史監修:クリスチャン・ソテール
音楽:ジェローム・クレ
語り:ブリジット・ベルジュ
協賛:フランス議会TV
制作:アルテ・フランス、クレッシェンド・メディア・フィルム、カミ・プロダクション
出演:ピエール=フランソワ・スイリ、バラク・クシュナー、ミカエル・リュッケン、白井聡、山本太郎、山田宏、金平茂紀、宋文洲、喜納昌吉、喜納千代(喜納昌吉の母)

公式ホームページ

トークイベント
5/4(土)上映後 小森陽一さん(日本文学研究者、全国九条の会事務局長)のトークイベントがございます!

平成から令和へ――節目のスペシャルアンコール上映 第2弾!

国益・国家の名の下に秘密裏に決裁、反対意見には耳を貸さず、新造語を連発し、嘘を通す─
日本社会の“いま”を浮き彫りにした、フランス発ドキュメンタリー

明治維新から今日までに見られる日本人の天皇・憲法・戦争観は歴史的にどのように“熟成” されてきたのか? 世界にナショナリズムの風が吹き荒れる中、2015年の公開作『天皇と軍隊』(2009年)で話題を呼んだフランス在住の渡辺謙一が、国際関係史・地政学の観点から国内外の論客によるインタビューも交え、日本社会を誘う政治の正体、日本人にとってのナショナリズムを問いかける。果たして、取り戻さなければならないものは何なのか。本当に知らなければいけないことは何か。日本社会を俯瞰することで見えてくるものとは――

*2018年 フランスFIGRA映画祭 歴史部門コンペティション参加作品

監督のことば 『国家主義の誘惑』日本上映に寄せて
<作品の動機>
どうして?どうして!と、つぶやいてる間に日本の政治は常軌を逸して行きます。政治不信という形容を凌駕して、政治への破壊願望がどこかにあると思えてきます。私の経験に照らしここまで地に落ちた日本の政治を見たことがありません。個人的経験を超え歴史という鏡を覗いてみましょう。例えば1930年代半ば。天皇機関説が議会で攻撃の的となり、呼応して国体明徴運動が起き、軍の皇道派が天皇親政を求めて決起し、政党政治が弱体化する。立憲主義が終わりを告げ、天皇の統帥権を盾に軍人が主導する政治に変容し、文部省は「国体の本義」を編み出し教育目標に据える。日中戦争前夜の日本と今、どこか似ていないでしょうか。“政治”というよりむしろ“人々の政治に対する意識が醸し出す空気”です。これを国家主義の誘惑と呼んでみました。
<制作の背景>
ちょうど10年前、私は「天皇と軍隊」の撮影の真っ只中でした。戦後の歩みを、憲法9条を切り口として天皇制の護持と関連付け、戦後史を紐解く仕事でした。このテーマは戦後史だけで語り切れるのか、近代史の枠で語るべきではと自問しましたが、放送局の注文は日本戦後史で決まりました。その後、2011年の東日本大震災を機に再び日本の近代を映像にしたい欲望が湧き、ヨーロッパ人の関心を引くため“欧州との対立を軸とする日本近代史”を企画書に仕立て持ち歩きましたが、キー局はなかなか通してくれません。情報メディアが肥大した今日もなお、ヨーロッパから日本へのまなざしは、依然として“遠い国”です。しかし、近年中国の存在感が増すにつれ相対的に日本への言及機会も増え、ジェオポリティクス(geopolitics)のアプローチができれば放送枠があるという提案がきました。正直なところ私にとっては、地政学とはなんぞや、でした。中東紛争、ウクライナ、パレスチナなど領土紛争を読み解くのが地政学です。日本の今を読むために、近代化の歩みを戦争の歴史として紡ぎ、今日に響くように引用すること。これがヨーロッパで流行る地政学的アプローチの私流の解釈でした。
<天皇メッセージの衝撃>
撮影は2016年7月と9月。7月は参議院選挙が目当てでした。この2度の撮影の間にその時はさほどの衝撃はなく、しかし後々考えれば考えるほど衝撃的な事件と受け止めたのが天皇のビデオメッセージです。結果的にこの天皇メッセージは、現政権の改憲プログラムを少なくとも1年遅らせました。9月の撮影時この天皇メッセージの意味を解析すべく、ある法学者に長時間のインタビューを行いました。しかし彼は「メッセージの意味を私が解説してはいけない。国民一人ひとりが受け止めて考えなきゃならない。」と頑として譲りません。設問と応答を繰り返すうちに私はなぜ彼が天皇のメッセージを解説できないと主張するのかわかった気がして、その主張そのものを編集に残していたのですが、フランス人スタッフには通用せず割愛しました。私は天皇メッセージひいては平成天皇は、戦後憲法の“権化”とみなしています。地に落ちた政治、虚偽が堂々まかり通るのを見逃し、数合わせに走る政治家たちが天皇ビデオの日本語の美しさに気づく日が来れば政治は再び軌道に乗ると思います。天皇の真意を理解しない、理解しようとしない人たちが来る退位、即位、大嘗祭などの儀式を最大限利用しようと図るでしょう。“国家主義の誘惑”に対する唯一権威ある防壁が“天皇”であるというパラドクス。この観点から日本の政治をさらに掘り下げる仕事を続けていければと考えています。        2018年5月 渡辺謙一
監督プロフィール
渡辺謙一(わたなべ・けんいち)
1975年、岩波映画入社。1997年、パリに移住、フランスや欧州のテレビ向けドキュメンタリーを制作。『桜前線』で2006 年グルノーブル国際環境映画祭芸術作品賞受賞。近年は『天皇と軍隊』(2009)のほか、『ヒロシマの黒い太陽』(2011)、『フクシマ後の世界』(2012)、『核の大地・プルトニウムの話』(2015)など、欧州において遠い存在であるヒロシマやフクシマの共通理解を深める作品制作に取り組んでいる。

国家主義の誘惑 国家主義の誘惑 国家主義の誘惑

上映日時

4/28(日)・5/1(水) 5/4(土)・5/7(火)
20:30~21:30 9:50~11:00

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1500 ¥1100 ¥800
会員 ¥1200 ¥1100 ¥800

天皇と軍隊

天皇と軍隊

広島市民と昭和天皇 © 英王立戦争博物館

2009年/フランス/90分/BD/配給: きろくびと
原題:Le Japon, l’Empereur et l’Armée
監督: 渡辺 謙一
プロデューサー: オリヴィエ・ミル、渡辺クリスティーヌ
撮影: エマニュエル・ヴァレット
編集: ファブリス・タブリエ
音楽: ジェローム・クレ

公式ホームページ

平成から令和へ――節目のスペシャルアンコール上映

9条はなぜ必要だったのか?なぜ天皇制は存続したのか?

天皇制、戦争放棄、靖国、東京裁判、自衛隊、日米安保…、 日本の戦後史で議論され続ける問題に、貴重なアーカイブ映像とインタビューでストレートに切り込んだ異色作
冷戦期アメリカの庇護のもとで、日本は第二次世界大戦の荒廃から経済的復興を遂げた。ソ連の崩壊、中国の市場開放、欧州統合とグローバリゼーションの波は、日本の政治に舵を切らせた。世界の中の日本のプレゼンスを高めるための“国際貢献”である。 日本は矛盾と曖昧さの国であるとよく言う。憲法一つをとってもその矛盾は見てとれる。自衛隊の存在と、戦争および軍の保持を禁じた9条。主権在民と天皇の地位の曖昧さ。本作はこれら3本の軸と言える、9条、天皇そして軍隊について、天皇の貴重な映像をはじめ世界中から集めたアーカイブと、いまや鬼籍に入った政治家の田英夫氏や中川昭一氏など国内外の論客による秘蔵インタビューを交え、日本の戦後史を問い掛ける。

*2010年 FIGRA映画祭歴史部門コンペティション参加作品

【主な登場人物】
田 英夫(でん・ひでお)
ジョン・ダワー John W. Dower
樋口 陽一(ひぐち・よういち)
小森 陽一(こもり・よういち)
五百旗頭 真(いおきべ・まこと)
高橋 哲哉(たかはし・てつや)
ベアテ・シロタ・ゴードン Beate Shirota Gordon
鈴木 邦男(すずき・くにお)
葦津 泰國(あしず・やすくに)

【監督のことば】
わたしたちは今どこにいるのか、歴史認識としてのFILM(映画)
冷戦の二極対立時代は、国際政治のうえでも国内においてもいわば、わかり易い政治の時代だったといえます。半世紀続いた冷戦のたがが緩んだとき、民族主義や国家主義が台頭したのは世界的流れです。そこにさらに宗教というやっかいな問題が絡み世界は混沌とした様相を示しています。その流れを抑制する思想を含みながら欧州は政治統合をめざしています。これは冷戦戦後処理のひとつの方法といえます。もう一方の極、旧ソ連、中国、東欧も苦悩しつつ冷戦戦後処理の渦中にいます。冷戦ひとり勝ちのアメリカは、力の論理と経済が破綻し、外交力による安全保障へ転換しようとしています。このときアメリカの庇護のもと、復興と驚異的経済成長を達成した日本は、どこへ向かおうとしているのか。これがヨーロッパから日本への視角です。
敗戦に終わり冷戦で始まった「戦後」の分水嶺に「天皇」と「広島」がある
この仕事を準備する過程で小熊英二著「<民主>と<愛国>」を手にしたとき表紙の写真に打たれなんとしても使いたいと思いました。1947年12月7日天皇が広島に巡幸しドームと市民の前に立つ瞬間です。写真の所在はわかりましたが、映像もあるはずです。ワシントンを中心に手を尽くしましたが、結局アメリカではなくロンドンで見つかりました。 原爆ドームと2万人の市民を前に手を振る天皇。この構図の意味をつき詰めていく過程がこのドキュメントを構成する過程でもありました。 天皇を抜きに戦後政治は語れません。動機こそ違え日米の政治的エネルギーが「天皇免責」のために大いに費やされました。冷戦が天皇を救った、と言えばこれはアメリカ側の動機です。国体護持は当然日本側のものですが、そのためになにがどう動いたのか、これを見つめるのが歴史認識の根本です。国体護持(一条)のためには「九条」も止むなしとした日本側の論理をアメリカ側の視点から描きました。その結果、視点を日本側に移せば意味が逆転する「意味の二重性」を歴史に織り込みたいと考えました。
昭和天皇とマッカーサーが敷いた講和・安保路線と戦後ナショナリズムの矛盾
1945年9月27日の天皇・マッカーサー会見にあらためて光を与えます。通算11回におよぶ二人のトップ会談は、新憲法下であってもマッカーサーがいる限りにおいて天皇が政治的影響力を行使した軌跡を示しています。朝鮮戦争の最中、皇軍なき天皇の悲願は制度的保障でした。沖縄を売り渡しても、準占領状態がつづこうとも、皇祖皇宗を共産主義の脅威から守護する保障が講和条約と日米安保でした。今日の日本を規定するこの2つの条約こそ戦後の新・国体と呼ぶべきではないでしょうか。しかるに、一部ナショナリストは「東京裁判」、「九条」が国体護持の重要なファクトだったことには目をつぶり、一気に「侵略戦争」を否定してしまうという無知と矛盾を堂々とさらします。彼らえせナショナリストこそ「三島事件」と「昭和天皇の戦後」を相対化すべきです。
没後20年-昭和天皇を歴史の遠近法に置く
三島由紀夫の昭和天皇に対する「恨み」をナショナリズムへの試金石とするなら、昭和天皇の戦争感を歴史の文脈に収めることが「戦後」に終止符打つため必要ではないか、そのように考えてラストシーンを創りました。わたしにとっては、昭和天皇の死こそ「戦後」の終わりであり「冷戦の終わり」です。冷戦の、どちらかといえば恩恵を受けた日本は、冷戦終結の意味、湾岸戦争後の世界の相対化に鈍感であるように見えます。昭和天皇の死から20年、冷戦終結から20年。この機に、異なる3種の戦争と戦争の世紀を生き抜いた特異な「昭和天皇」が、多方面から語られることを期待しつつ。
EMBRACING JAPAN
MIT(マサチューセッツ工科大学)教授ジョン・ダワーのEMBRACING DEFEAT(敗北を抱きしめて)をなぞってEMBRACING JAPANという心意気です。左右の政治的立場にこだわることなく、その言質に判断を下すのではなく、影響力の観点から、言説と言説をぶつけることで論点を際立たせる方法をとりました。発言者がそれぞれの立場で活性していることが客観性につながり、ひいては「開かれたFILM」になって欲しいと意図しています。

天皇と軍隊 天皇と軍隊

上映日時

4/27(土)・4/29(月)・4/30(火)・5/2(木)・5/3(金) 5/5(日)・5/6(月)・5/8(水)・5/9(木)・5/10(金)
20:30~22:05 9:50~11:35

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1500 ¥1100 ¥800
会員 ¥1200 ¥1100 ¥800