現在上映作品

3/15(金)~

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

青春ジャック

©若松プロダクション

2023年/⽇本/119分/配給:若松プロダクション スコーレ株式会社
脚本・監督:井上淳⼀
プロデューサー:⽚嶋⼀貴、⽊全純治
製作:若松プロダクション、シネマスコーレ
製作プロダクション:ドッグシュガー
⾳楽:宮⽥岳
出演:井浦 新、東出昌⼤、芋⽣ 悠、杉⽥雷麟、コムアイ、⽥中俊介、向⾥祐⾹、成⽥ 浬、吉岡睦雄、⼤⻄信満、タモト清嵐、⼭崎⻯太郎、⽥中偉登、髙橋雄祐、碧⽊愛莉、笹岡ひなり、有森也実、⽥中要次、⽥⼝トモロヲ、⾨脇 ⻨、⽥中麗奈、⽵中直⼈

公式ホームページ

イベント情報
3/15(金)17:30回上映後、井浦新さん、東出昌大さん、芋生悠さん、杉田雷麟さん、有森也実さん、田中俊介さん、向里祐香さん、成田浬さん、田中偉登さん、碧木愛莉さん、笹岡ひなりさん、中野ミホさん(主題歌)、井上淳一さん(脚本・監督)の舞台挨拶がございます。

1980 年代。若松孝⼆が名古屋に作ったミニシアター。
映画と映画館に吸い寄せられた若者たちの⻘春群像。応援歌。

映画を武器に激動の時代を⾛り抜ける若者たちを描いた『⽌められるか、俺たちを』から10年後。1980年代。時代も⼈も変わった。シラケ世代と⾔われ、熱くなることがカッコ悪いと思われていた時代。ビデオが普及し始め、映画館から⼈々の⾜が遠のき始めた時代。それに逆⾏するように、若松孝⼆は名古屋にミニシアターを作る。その名はシネマスコーレ。ラテン語で「映画の学校」。⽀配⼈に抜擢されたのは、結婚を機に東京の⽂芸坐を辞め、「これからはビデオの時代」と地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをやっていた⽊全純治だった。⽊全は若松に振り回されながらも、持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。
そこに吸い寄せられる若者たち。まだ⼥性監督のほとんどいなかった時代。⾦本法⼦は「⾃分には撮りたいものなんか何もない」と⾔いながら、映画から離れられない。⽥舎の映画⻘年だった井上淳⼀もまた映画監督になりたい⼀⼼で若松プロの⾨を叩く。⼰れの才能のなさを嫌でも⾃覚させられる⽇々。それでも、映画を諦め切れない。救いは、⽊全が度々⼝にする「これから、これから」という⾔葉。
今がダメでも次がある。涙だけじゃない。そこには笑いがある。絶望だけじゃない。希望がある。この映画は僕の、私の物語であると同時に、あなたの物語でもある。これはあなたの⻘春の物語だ。

豪華キャストが集結。笑えて泣ける⻘春映画の傑作、ここに誕⽣!

若松孝⼆を演じるのは、前作に引き続き井浦新。若松の役年齢と井浦の実年齢が重なり、ヤンチャさに温かな包容⼒が加わり、さらにパワーアップ。⽊全純治は、このところ新境地を開拓し続ける東出昌⼤。掴みどころのない茫洋とした⼈物を⾒事に演じている。⾦本法⼦には芋⽣悠、井上淳⼀には杉⽥雷麟。ともに⾃意識と⾃信のなさで揺れ動く⻘春期の感情を繊細に演じ、魅⼒全開。
他にも、コムアイ、有森也実、⽥中要次、⽥⼝トモロヲ、⾨脇⻨、⽥中麗奈、⽵中直⼈など豪華キャストが集結。あの時代の空気を⾒事に体現している。監督は前作では脚本の井上淳⼀。『REVOLUTION+1』『福⽥村事件』などの脚本作品とは打って変わり、思いっきり笑えて泣ける⻘春映画を作り上げた。⾃由なようでいて不⾃由な今、この映画は時代を超えた応援歌だ。


青春ジャック 青春ジャック 青春ジャック

上映日時

3/15(金) 3/16(土)~3/22(金) 3/24(日)~3/29(金) 3/30(土)~4/5(金) 4/6(土)~4/10(水) 4/11(木) 4/12(金)
17:30-19:30 11:50-13:50 14:40-16:40
※3/23(土)は休映
17:20-19:20 16:10-18:15 18:25-20:30 18:30-20:30

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1200 ¥800
会員 ¥1500 ¥1200 ¥800

3/15(金)~

映画監督 若松孝二

『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』公開記念

俺が死んでも映画は残る 映画に時効はない
圧倒的な存在感と行動力で日本映画を切り開いた

映画監督 若松孝二

3/15(金)-4/12(金)

42作品一挙上映!

KOJI WAKAMATSU RETROSPECTIVE
日本映画を撃ちぬいた猛烈な毒と才能

協力 若松プロダクション スコーレ株式会社

『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』公開記念

俺が死んでも映画は残る 映画に時効はない
圧倒的な存在感と行動力で日本映画を切り開いた

映画監督 若松孝二

3/15(金)-4/12(金)

42作品一挙上映!

KOJI WAKAMATSU RETROSPECTIVE
日本映画を撃ちぬいた猛烈な毒と才能

協力 若松プロダクション スコーレ株式会社

若松孝二プロフィール

1936年4月1日、宮城県生まれ。高校2年の時に上京、様々な職を転々としながら、テレビ映画の制作助手、助監督などを経て、『甘い罠』(63)でピンク映画デビューを果たす。次々と意欲作を作り続け、ピンク映画界で押しも押されぬ存在となる。

1965年、若松プロダクションを設立。第一作『壁の中の秘事』(65)がベルリン国際映画祭に出品され、既存の映画界はこれを国辱だと糾弾し、大スキャンダルが巻き起こる。
その後、ピンク映画を更なる自由な創造の場へと変革するために、大和屋竺、足立正生、沖島勲、小水一男ら新しい才能を積極的に登用し、性と暴力を徹底的に描き上げた数々の傑作を生み出していく。

1971年、カンヌ国際映画祭監督週間に大島渚と共に招待され、その帰途に足立正生とパレスチナに向い、アラブゲリラの日常を写したニュースフィルム『赤軍-PFLP・世界戦争宣言』を撮る。赤バス上映隊を結成、新宿を皮切りに全国上映運動を展開する。続いて、初のATG映画となる『天使の恍惚』(72)を完成させるが、相次ぐ爆弾闘争、連合赤軍による浅間山荘事件が起きていく状況のなかで、上映反対キャンペーンが展開され、日本映画史に残る問題作となる。

1974年、足立がパレスチナに越境してから以降もピンク映画を量産し、その一方で、大島渚『愛のコリーダ』(76)のプロデュースを手掛け、2作目となるATG映画『聖母観音大菩薩』(77)などを挟んで、内田裕也を起用した『餌食』(79)、『水のないプール』(82)から一般商業映画に活躍の場を移す。 その後、俗に昭和三部作とも呼ばれる『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』(08)、『キャタピラー』(10)、『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』(11)を完成させた。『キャタピラー』では、寺島しのぶがベルリン国際映画祭の女優賞を獲得し、世界的に注目され、再評価された。

2012年、遺作となった『千年の愉楽』を監督し、さらなる映画製作に意欲をみせていたが、2012年10月17日新宿の路上にて交通事故により永眠、享年76歳。死の直前まで映画製作の打ち合わせをしていた。

入場料

『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』:一般1,800円/会員1,500円/大専・シニア1,200円/高校生以下800円
その他の旧作:一般1,500円/会員・大専・シニア1,200円

舞台挨拶
  • 3/15(金)『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』17:30回上映後、ゲスト:井浦新さん、芋生悠さん、杉田雷麟さん、有森也実さん、成田浬さん、田中俊介さん、碧木愛莉さん、向里祐香さん、笹岡ひなりさん、井上淳一さん(監督・脚本)
トークイベント
  • 3/17(日)『キャタピラー』14:00回上映後、ゲスト:大西信満さん(俳優)
  • <若松孝二監督誕生日> 4/1(月) 『how to love浮気の誘惑』『犯された白衣』19:30回上映後、足立正生さん(映画監督、脚本家)

上映スケジュール

            3/15(金)
            17:30ー19:30
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
舞台挨拶
ゲスト:井上淳一監督、出演者の皆さん

予定表 横にスクロールできます

3/16(土) 3/17(日) 3/18(月) 3/19(火) 3/20(水) 3/21(木) 3/22(金)
KAMIKAZETAXI11:50ー13:50
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
KAMIKAZETAXI11:50ー13:50
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
KAMIKAZETAXI11:50ー13:50
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
KAMIKAZETAXI11:50ー13:50
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
KAMIKAZETAXI11:50ー13:50
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
KAMIKAZETAXI11:50ー13:50
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
KAMIKAZETAXI11:50ー13:50
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
42 千年の愉楽14:00ー16:00
42 千年の愉楽
39 キャタピラー14:00ー15:25
39 キャタピラー
トークイベント
ゲスト:大西信満さん(俳優)
36 衝撃 パフォーマンス14:00ー15:35
36 衝撃 パフォーマンス
37 キスより簡単14:00ー15:35
37 キスより簡単
38 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程14:00ー17:15
38 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
31 赤軍-PFLP 世界戦争宣言14:00-15:11
31 赤軍-PFLP 世界戦争宣言





休映
41 海燕ホテル・ブルー16:10-17:40
41 海燕ホテル・ブルー
40 11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち16:10-18:10
40 11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち
35 水のないプール15:45-17:30
35 水のないプール
32 性家族15:45-16:58
32 性家族
  33 天使の恍惚15:20-16:50
33 天使の恍惚
 
      34 聖少女拷問17:05-18:10
34 聖少女拷問
  30 秘花17:00-18:10
30 秘花
 

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3/23(土) 3/24(日) 3/25(月) 3/26(火) 3/27(水) 3/28(木) 3/29(金)





休映
青春ジャック 止められるか、俺たちを214:40ー16:40
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを214:40ー16:40
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを214:40ー16:40
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを214:40ー16:40
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを214:40ー16:40
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを214:40ー16:40
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
  29〈セグラマグラ〉死にたい女16:50-18:05
29〈セグラマグラ〉死にたい女
26 カーマ・スートラより 性教育書 愛のテクニック16:50-18:05
26 カーマ・スートラより 性教育書 愛のテクニック
22 裸の銃弾16:50-18:05
22 裸の銃弾
20 ゆけゆけ二度目の処女16:50-18:00
20 ゆけゆけ二度目の処女
12 日本暴行暗黒史 異常者の血16:50-18:05
12 日本暴行暗黒史 異常者の血
14 性犯罪16:50-18:05
14 性犯罪
  27 性賊/セックスジャック18:15-19:30
27 性賊/セックスジャック
25 新宿マッド18:15-19:25
25 新宿マッド
23 処女ゲバゲバ18:15-19:25
23 処女ゲバゲバ
18 現代性犯罪暗黒編 ある通り魔の告白18:15-19:25
18 現代性犯罪暗黒編 ある通り魔の告白
15 続日本暴行暗黒史 暴虐魔18:15-19:30
15 続日本暴行暗黒史 暴虐魔
16 腹貸し女18:15-19:30
16 腹貸し女
  28 日本暴行暗黒史 怨獣19:40-20:55
28 日本暴行暗黒史 怨獣
24 現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行19:40-21:00
24 現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行
21 テロルの季節19:40-21:00
21 テロルの季節
19 狂走情死考19:40-21:00
19 狂走情死考
17 新日本暴行暗黒史 復讐鬼19:40-21:00
17 新日本暴行暗黒史 復讐鬼
13 性の放浪19:40-21:00
13 性の放浪

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3/30(土) 3/31(日) 4/1(月) 4/2(火) 4/3(水) 4/4(木) 4/5(金)
青春ジャック 止められるか、俺たちを217:20ー19:20
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを217:20ー19:20
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを217:20ー19:20
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを217:20ー19:20
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを217:20ー19:20
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを217:20ー19:20
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを217:20ー19:20
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
38 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程19:30-22:45
38 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
39 キャタピラー19:30-21:00
39 キャタピラー
9 how to love浮気の誘惑/11犯された白衣19:30-20:52
9 how to love浮気の誘惑/11犯された白衣
トークイベント
足立正生さん(映画監督、脚本家)
7 欲望の血がしたたる19:30-20:45
7 欲望の血がしたたる
6 壁の中の秘事19:30-20:45
6 壁の中の秘事
4 逆情19:30-20:45
4 逆情
1 甘い罠19:30-20:35
1 甘い罠
  31 赤軍-PFLP 世界戦争宣言21:10-22:25
31 赤軍-PFLP 世界戦争宣言
10 胎児が密猟する時21:35-22:50
10 胎児が密猟する時
8 血は太陽より赤い20:55-22:20
8 血は太陽より赤い
5 歪んだ関係20:55-22:20
5 歪んだ関係
3 鉛の墓標20:55-22:25
3 鉛の墓標
2 恐るべき遺産 裸の影20:55-22:25
2 恐るべき遺産 裸の影

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4/6(土) 4/7(日) 4/8(月) 4/9(火) 4/10(水) 4/11(木) 4/12(金)
青春ジャック 止められるか、俺たちを216:10-18:15
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを216:10-18:15
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを216:10-18:15
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを216:10-18:15
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを216:10-18:15
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
43 止められるか、俺たちを16:10-18:15
43 止められるか、俺たちを
 
40 11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち18:25-20:30
40 11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち
35 水のないプール18:25-20:15
35 水のないプール
43 止められるか、俺たちを18:25-20:30
43 止められるか、俺たちを
42 千年の愉楽18:25-20:30
42 千年の愉楽
41 海燕ホテル・ブルー18:25-19:55
41 海燕ホテル・ブルー
青春ジャック 止められるか、俺たちを218:25-20:30
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
青春ジャック 止められるか、俺たちを218:30-20:30
青春ジャック 止められるか、俺たちを2
10 胎児が密猟する時20:40-22:00
10 胎児が密猟する時
20 ゆけゆけ二度目の処女20:30-21:40
20 ゆけゆけ二度目の処女
23 処女ゲバゲバ20:40-21:50
23 処女ゲバゲバ
26 カーマ・スートラより 性教育書 愛のテクニック20:40-22:00
26 カーマ・スートラより 性教育書 愛のテクニック
33 天使の恍惚20:10-21:45
33 天使の恍惚
27 性賊/セックスジャック20:40-21:55
27 性賊/セックスジャック
29〈セグラマグラ〉死にたい女20:40-22:00
29〈セグラマグラ〉死にたい女

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上映作品紹介

1 甘い罠

1963年/82分※現存するものは60分のみ/モノクロ/BD/製作:東京企画
監督:若松孝二/脚本:峰三千雄、若松孝二/撮影:門口友也/照明:磯貝一/音楽:柳沢剛
出演:香取環、睦五郎、五所怜子

若松孝二の1963年の監督デビュー作。長い監督人生で脚本を書いたのはこの1本だけ。記録では82分となっているが発見されたフィルムは60分のみ、映画上映館で独自の編集がされたものとみられる。廃棄所に送られたはずがフィルム好事家の元にあり、奇跡的に発見された。

2 恐るべき遺産 裸の影

1964年/84分※フィルムの経年劣化により見づらい箇所あり/モノクロ/BD/製作:クレンズヒル映画
監督:若松孝二/脚本:吉岡道夫/撮影:伊藤英男
出演:美田芳江、細川直也、明日香実、劇団ひまわり

若松孝二が原爆と戦争への怒りをテーマにして1964年に製作した初めての社会派ドラマ。原爆により胎内被爆してしまった女子高生が、原爆症に悩まされる姿を描く。社会派映画を目指して作成したが公開当時には女子高生たちの入浴シーンにPTAからのバッシングを受けた。

3 鉛の墓標

1964年/86分/モノクロ/BD/製作:ダイヤプロ/制作:朝倉大介
監督:若松孝二/脚本:吉岡道夫/撮影:伊藤英男/照明:森康
出演:野上正義、田代かほる、築地容子

眼を覆う暴行、狂気の青春を官能と残酷で勝負する殺し屋。チンピラがギャングの世界でのし上がるために暴力と裏切りの泥沼へとはまっていく。全編ハードボイルドな世界観で、若松孝二の幅広い演出力がうかがえる作品。

4 逆情

1964年/71分/モノクロ/BD
監督:若松孝二/脚本:大石純一郎
出演:寺島幹夫、扇町京子、公敦子、手島昭彦

家族でピクニック中、夫と子供が崖下に転落してしまう。2人を救うために妻は下着姿で奮闘するが、助けを求めた村には凶悪な脱走犯が潜伏していた。若松孝二の初監督から2年目の作品。無傷のネガが収集家の倉庫より奇跡的に発見され、ニュープリントからデジタル化された。

5 歪んだ関係

1965年/80分/モノクロ/BD
監督:若松孝二/脚本:大谷義明
出演:新高恵子、城山路子、林孝一、吉沢京夫、寺島幹夫、藤田功

産婦人科医が朝帰りすると妻が殺されていた。はたして犯人は誰なのか。若松孝二監督が描く推理サスペンス。巧妙に仕掛けられたトリックに隠された人間の性とは!? 成人映画として製作されながらも推理に重きを置いた異色作。

6 壁の中の秘事

1965年/75分/モノクロ/DVD
監督:若松孝二/脚本:大谷義明(曽根中生、吉沢京夫)/撮影:伊東英男
出演:藤野博子、吉沢京夫、寺島幹夫、可能かづ子

団地という“壁”に囲まれた閉鎖的な空間で平凡に暮らす主婦が、男と密会しては情事にふける。その様子を望遠鏡で覗き見する浪人生が狂気を爆発させ、“壁”は歪み始める。既存の左翼政党の挫折と頽廃を暴き、ポスト安保闘争の混迷した時代状況を見事提示。ベルリン国際映画祭へ正式出品され、日本映画界からは国辱映画として非難された。

7 欲望の血がしたたる

1965年/71分/モノクロ/BD
監督:若松孝二/脚本:大谷義明
出演:上野山功一、叶美智子、生方健、香取環

かつて全学連の闘士だった男は、大手証券会社の専務の愛人を利用し、専務の娘と結婚。いまはエリートサラリーマンの地位を欲しいままにしていた。だが彼が踏み台にしてきた学生時代の友人たちが彼を放っておくはずはなく―。初期作品の中で長らく行方不明となっていたが東京国立近代美術館フィルムセンターの倉庫より発見。

8 血は太陽よりも赤い

1966年/80分/モノクロ/BD
監督:若松孝二/脚本:大谷義明
出演:大塚和彦、若原珠美、笠間雪男、一の瀬弓子、山吹ゆかり

受験を控えた男子高校生が様々な社会的不正に憤り、全ての大人への復讐を決意する、若松孝二の自伝的青春劇。渋谷の街の中で、ゲリラ、隠し撮りの手法がアングラ的と、寺山修司が絶賛したことでも知られる。足立正生が初めて若松プロに参加した作品でもある。

9 HOW TO LOVE 浮気の心得

製作年度不明/25分/カラー/DCP
監督:若松孝二

若松プロのフィルム倉庫より新たに発掘された16mm作品。“監督 若松孝二”とクレジットされていること以外まったく謎に包まれている本作。25分という短編であることから、あるいは『止められるか、俺たちを』の劇中で話されていた、ホテルで見るための映画の一編なのか?

10 胎児が密猟する時

1966年/72分/モノクロ/DCP/製作:若松プロダクション
監督:若松孝二
出演:山谷初男、志摩みはる、他

百貨店の専務・丸木戸定男は店員のユカを連れて自分のマンションへ入る。部屋で二人は体を重ねるが、その後丸木戸は豹変する。ユカを監禁し拷問を加え自分だけの女、自分だけの飼い犬になるよう調教を始める。ユカはかつて丸木戸のもとを去った妻に瓜二つだったのだ。ミニマムなピンク映画の構成を逆手に取った問題作

11 犯された白衣

1967年/57分/モノクロ(パートカラー)/DVD
監督:若松孝二/撮影:伊東英男
出演:唐十郎、小柳冷子、林美樹

海辺で海に向かいピストルを撃っている少年。その近くの看護婦寮の看護婦たちはいたずら心から少年を寮に引き入れるが、少年は突然銃を突きつけ…。1966年に起きたシカゴ看護婦連続殺人事件に着想を得た。アンダーグラウンド演劇の旗手であった状況劇場・唐十郎の即興的な演技をいかすために長廻しを多用、映画と演劇が越境する可能性を示した。

12 日本暴行暗黒史 異常者の血

1967年/75分※フィルムの経年劣化により見づらい箇所あり/モノクロ(パートカラー)/BD
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)
出演:野上正義

東京、強姦事件を捜査する刑事は、犯人の男が自分と同郷であり、殺人、強姦、近親相姦…といった呪われた同じ血を引き継ぐ人間だと知る。明治、大正、昭和そして現代と時代を越えて描かれる陰惨な「黒い血」の連鎖、“日本最大のタブー”を描いた大問題作。足立正生の緻密なシナリオが光る大ヒット作、日本暴行暗黒史シリーズの第1作。

13 性の放浪

1967年/78分/モノクロ(パートカラー)/BD/製作:若松プロダクション/企画・制作:若松孝二
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生、沖島勲)/撮影:伊東英男/照明:磯貝一/スチール:小水一男
出演:山谷初男、新久美子、水城リカ、山崎敏子、沖島勲

妻に尻に敷かれるサラリーマンが溜まりに溜まったストレスで、ふとしたことから放浪の旅に出る。今村昌平監督による『人間蒸発』にインスピレーションを受けて製作された。主演のサラリーマン役に山谷初男、脚本の沖島勲は、妻とともに夫の行方を追うドキュメンタリー監督役として出演もしている。

14 性犯罪

1967年/74分/モノクロ(パートカラー)/BD
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生・沖島勲)
出演:吉沢健、高月美夜、瓜生良介、山谷初男、佐藤重臣、福間健二

誤って友人を殺した男とその彼女の逃避行。禁じられた人間本能の断面を描く野心作。ゴダールに衝撃を受けてヌーヴェルヴァーグのような映画を撮ったと若松監督は語っていた。男女の逃避行やダイナマイトなど、同年日本公開の『気狂いピエロ』と類似点が多い。

15 続日本暴行暗黒史 暴虐魔

1967年/73分/モノクロ(パートカラー)/BD
監督:若松孝二/脚本:山下治
出演:山下治、林美樹

青年、丸木戸義雄は気弱な青年であり、目立たぬような地味な生活を送っている。しかし、丸木戸は深く大きな闇を秘めていた。女性を強姦し、殺しては死体を洞窟にコレクションしていた。戦後まもなく起きた連続強姦殺人事件「小平義男事件」を題材にした作品。映画監督でもある山下治が脚本・主演し、主役の丸木戸義雄を熱演している。

16 腹貸し女

1968年/69分/モノクロ(パートカラー)/BD
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)
出演:門麻実、吉沢健、伊地知幸子、津崎公平、ジャックス

ある大物代議士の嫁として古い因習に捉われる女は夫が不能なため跡継ぎに恵まれず苦悩する。それとは対象的に大学生の妹は恋人とセックスを謳歌する毎日。そんな折、夫は人工妊娠を思いつき、夫婦ともども妹に「腹貸し」を要求するが…。時代に先駆け人工授精を題材にした作品。ジャックスがフーテン役を嬉々として演じる。

17 日本暴行暗黒史 復讐鬼

1968年/72分/モノクロ(パートカラー)/DCP
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)

ある山村。肺病家系と言われ村八分にされ暮らしている兄と妹。そして悲劇は起きた。縛り上げられた兄の目の前で妹が村の男たちに凌辱されてしまう。そのショックで妹は発狂、遂に兄は村中を惨劇の場へと落とす復讐の鬼と化す。若松孝二が描く「津山三十人殺し」。のどかな山村の風景とそこで繰り広げられる惨劇の対比が圧巻。

18 現代性犯罪暗黒編 ある通り魔の告白

1969年/69分/モノクロ(パートカラー)/BD
監督:若松孝二/脚本:出口出(福間健二)
出演:福間健二、芦川絵里

悶々と日々を過ごしていた大学生・山崎は、ある日ナイフを手に入れたことで自らの欲望を解放していき…。撮影当時、都立大生だった映画監督・福間健二の脚本・主演による「現代性犯罪」シリーズの第1弾。後に撮られる連続暴行映画の原型にもなっている。詩的で若さ溢れる福間の脚本とそれに応えるかのように若松監督の演出がさえわたった傑作。

19 狂走情死考

1969年/72分/カラー/DVD
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)/撮影:伊東英男
出演:武藤洋子、吉沢健、美湖ひろみ

全共闘活動家の男と、夫を撃ち殺してしまった義姉。2人は雪が舞う中、愛を確かめ合いながら北への逃避行を続けていく。大島渚『少年』と併行して撮影された双子的映画で、大島映画常連俳優・戸浦六宏が若松映画に初出演。若松プロピンク映画の初フルカラー作品でもある。サニーデイサービスの名曲「青春狂走曲」の元ネタ。

20 ゆけゆけ二度目の処女

1969年/65分/モノクロ(パートカラー)/DCP
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)
出演:小桜ミミ、秋山未痴汚(道男)

東京にあるマンションの屋上。フーテングループに輪姦される少女、そしてその様子を傍観する少年。少女は「私を殺して」と少年に懇願する。二人は性や死について語り合い、マンションの階下へと旅に出る。若松孝二が当時住んでいた原宿セントラルアパートの屋上を“密室”にするという発想から作られた特異なラブストーリー。

21 現代好色伝/テロルの季節

1969年/78分/モノクロ(パートカラー)/DVD/製作:若松プロダクション
監督:若松孝二
出演:江藤裕子、佐原知美、須磨ひとみ他

日本中で激しい政治運動が繰り広げられる中、元全学連活動家の男が、二人の恋人と団地での奇妙な同棲生活送っている。監視を続ける公安警察を欺くために、男は寝て起きて、食べ、セックスするだけの怠惰な毎日を過ごすばかりだ。当時の運動のなかで、脱力した主人公を戯画化し、ポスト68年的な地平の実践にいち早く成功した傑作。

22 裸の銃弾(やわ肌無宿 男殺し女殺し)

1969年/72分/モノクロ(パートカラー)/DVD/製作:若松プロダクション/企画・制作:若松孝二
監督:若松孝二/脚本:出口出(大和屋竺)/撮影:伊東英男/照明:磯貝一/助監督:小水一男
出演:吉沢健、林美樹、芦川絵里

組織を抜け愛人と駆け落ちしたチンピラ勝一。しかし、組織に連れ戻されてしまい激しい拷問のすえに指を詰められる。5年後、復讐に燃える勝一は名を変え、凄腕の殺し屋となっていた―。全編が激しい打ち合いのアクションシーンによって描かれる異色の若松映画であるとともに、「殺し屋映画」の鬼才、大和屋竺の幻の一作。

23 処女ゲバゲバ

1969年/66分/モノクロ(パートカラー)/DCP
監督:若松孝二/脚本:出口出(大和屋竺)/撮影:伊東英男
出演:谷川俊之、芦川絵里、林美樹、大和屋竺、木俣堯喬

駆け落ちに失敗した星と花子は組織によって連行され、花子は荒野の真中で十字架に掛けられ、星はグループの三人の女たちと順番に寝るよう命じられるが…。何もない御殿場の自衛隊演習場を荒野の密室とする若松のアイデアを大和屋竺が脚本化。同時代の突出した才能が集結して生まれるべくして生まれた大傑作。タイトルは大島渚が命名。

24 現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行

1969年/72分/モノクロ(パートカラー)/DCP
監督:若松孝二/脚本:出口出(坂部俊高)
出演:村岡博、坂口俊正、城一也

貧乏でモテない19歳の男三人組が、狭いアパートの一室で自らを蔑み、金持ちや社会、学生運動までを激しく呪いながら、強姦、覗き、盗み、ナンパを繰り返していく。そして、ある日突然彼らの運命が急変する。都市の下層でくすぶる男達の鬱屈とした日々と性が爆発した青春映画。新宿と若者たちの青春を鋭く描いた傑作。

25 新宿マッド

1970年/66分/モノクロ(パートカラー)/DVD
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)/撮影:伊東英男
出演:谷川俊之

アングラ劇団の十郎が突然何者かに襲われ殺された。十郎の父親は息子の死の真相を追うために九州から上京してくる。警察はまったくあてにならないため、父親は独自に犯人捜しを行う中で「新宿マッド」が息子を殺したという情報を得るが…。若松孝二が愛した街・新宿と若者たちの青春を鋭く描いた傑作。当時の生きた新宿の風景を知る貴重な映画。

26 カーマ・スートラより 性教育書 愛のテクニック

1970年/75分/カラー/DCP/製作:若松プロダクション/企画・制作:若松孝二
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)/撮影:伊東英男/照明:磯貝一/助監督:小水一男
出演:芦川絵里、市村譲二、江藤裕子

インドの性の聖典カーマ・スートラを若松孝二流に解釈したハウツーSEXドキュメンタリー。1970年の公開当時大ヒットし若松プロの借金を返済、パレスチナ行きの資金を作ったという逸話を持つ作品。『止められるか俺たちを』で吉積めぐみが若松孝二より初めてワンシーンの監督を任されるシーンで撮影されているのが本作。

27 性賊/セックスジャック

1970年/70分/モノクロ(パートカラー)/DCP
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)/撮影:伊東英男
出演:秋山未知汚(道男)、笹原茂朱、須藤黙布、山川密

舞台は「よど号」事件の7年後、1977年。1960年代後半をピークに激しく燃え上がり、急激に衰退していく全共闘運動を背景に、第2のハイジャックに向けて潜伏する活動家と、憎悪を抱えながら生きるアナーキーな下層労働者のテロリズムが対比的に描かれる。アングラ劇団員を総動員し、若松の中にたぎり続けたアナーキズムの精神を深く刻み込んだ傑作。

28 日本暴行暗黒史 怨獣

1970年/70分/カラー/BD 監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)
出演:辰巳典子、野上正義、津崎公平、藤ひろ子

薬売りの扮装をした吉三と若い男が江戸からある村へやってくる。吉三はかつて名うての蔵破りであったが、幼馴染の庄太に裏切られ大金を持ち逃げされる。庄太は奪った金を元手に醤油問屋として成功した生活を送っていた。吉三の復讐が始まる。シリーズ4作目。若松監督作には珍しい時代劇、若松流『羅生門』。低予算ながらそれを感じさせない。

29 性輪廻〈セグラマグラ〉死にたい女

1971年/72分/モノクロ(パートカラー)/DCP/製作:若松プロダクション/企画・制作:若松孝二
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)/撮影:伊東英男/照明:磯貝一
出演:島絵梨子、矢島宏、島たけし

若松孝二が三島由紀夫を題材にしたのは『11.25自決の日三島由紀夫と若者たち』だけではなかった。「死にそこねた」と述懐する20歳の学生、過去に心中を失敗したカップルなど、前のめりな男女が騒ぎを起こす。三島事件を受けて足立正生が急遽脚本を書き直し、一気に撮影された。事件のひと月後には完成していたという。

30 秘花

1971年/70分/モノクロ(パートカラー)/BD
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生、荒井晴彦)
出演:横山リエ、吉沢健

はてしない口論をくり返しながら海辺の町に着いた2人の目に、喪服を着て破船の前に立ちつくす女の姿がうつる。男に棄てられ、死にきれずに生きている女――。革命闘争から逃げ出した男女の顛末が『狂走情死考』の後日談的に描かれる。『天使の恍惚』の横山リエと吉沢健が出演。『止められるか、俺たちを』にも撮影シーンが登場。

31 赤軍-PFLP 世界戦争宣言

1971年/71分/カラー/DVD/製作:若松プロダクション/共同編集:赤軍(共産主義者同盟赤軍派)、PFLP(パレスチナ解放人民戦線)

若松孝二と足立正生がカンヌ映画祭の帰り道、レバノンのベイルートに向い、現地の赤軍派、PFLPと共同、パレスチナ解放のために闘うアラブゲリラの「日常」に迫る伝説的ドキュメンタリー。世界革命のためのニュースフィルムであることを目指すため、既存の劇場公開を拒否し、全国各地の大学や工場などで独自の上映運動が行われた。

32 性家族

1971年/68分/モノクロ(パートカラー)/BD
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)/撮影:伊東英男
出演:香取環

妻の子を、また妻にする。家長として君臨する封建的な父とそれに従うしかない息子たち。しかし母の死をきっかけに息子たちの反乱が始まり家族が崩壊してゆく。歪んだSEXピラミッド家族の最期は――。父の権威に反攻した若松らしい作風。「ピンク女優・第一号」と呼ばれた香取環が出演。

33 天使の恍惚

1972年/89分/モノクロ(パートカラー)/DCP/若松プロダクションとATGが提携製作
監督:若松孝二/脚本:出口出(足立正生)
出演:吉沢健、横山リエ

東京総攻撃を計画する革命軍・四季協会の十月組は、武器奪取のために米軍基地を襲撃するが、作戦に失敗し組織の再編を迫られる。孤立したメンバーは、爆弾を手にそれぞれが個的な闘いを展開していく。「無差別テロ」を助長する映画だとして、上映反対キャンペーンが巻き起こり、日本映画史上に残る最も過激な問題作となった。

34 聖少女拷問

1980年/64分/カラー/BD
監督:若松孝二/脚本:出口出(掛川正幸)
出演:島明美、水紀ゆき子、下元史朗、宮田論

戦時下の昭和9年。史上最悪な冷害を東北地方が受けて、6万8千の婦女が人買いに売られた史実を背景にした物語。売られてきた一人の少女が、同じ百姓出身の兵隊に虐められてしまう。3年にわたる冬、春、秋の話だが、わずか5日間で撮ったという。戦争の裏で抑圧される銃後の被害者を描いた『キャタピラー』の先駆的作品。

35 水のないプール

1982年/103分/カラー/DCP
監督:若松孝二/脚本:内田栄一
出演:内田裕也、MIE、中村れい子、原田芳雄、沢田研二、タモリ、赤塚不二夫

男は地下鉄の駅員。家に帰れば口うるさい女房、酒場でケンカ、退屈な毎日、なにもかもうまくいかない。ある日、家族とピクニックに行った男は衝撃的な光景を目撃する。そして男の中で何かがはじける。男は真夜中の眠れる女達を、限りない優しさで犯し始めた。実際に起きたクロロホルム性犯罪事件をもとにした若松孝二キャリア初の一般映画。

36 衝撃 パフォーマンス

1986年/91分/カラー/35㎜/製作:若松プロダクション
監督:若松孝二/脚本:小水一男、白鳥洋一/撮影:高田明/助監督:東山通、福島聡司、井上淳一

高校教師と男子生徒の駆け落ち騒動という実際に起こった前代未聞の事件の映画化。何といっても一番の話題と観どころは、主演の女教師をTV、舞台、DJなどで活躍中の松居一代が、大胆な濡れ場を熱演しているところである。相手役の少年には、新進俳優の岡竜也、佐藤慶、山谷初男、安岡力也ら個性派が脇を固める。

37 キスより簡単

1989年/94分/カラー/DVD
原作:石坂啓/監督:若松孝二/脚本:小水一男/音楽:ジョー山中
出演:原田芳雄、早瀬優香子

まあこは、父親が違う四人姉妹の三女。生まれた時に母親が三人の男と同時に付き合っていたため、本当の父親が誰かわからない。母親の奔放な恋愛に憧れ、あらゆる男と関係を結んでいく。そんな中、お気に入りの男が三人の父親候補の一人シンちゃんの息子だと判明。一方、別の父親候補クロさんにも父親以上の愛情を抱くようになり―。

38 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程

2008年/190分/カラー/35㎜
監督:若松孝二
出演:坂井真紀、並木愛枝、地曵豪、ARATA、大西信満

活動家の逮捕が相次ぐ中、先鋭化した若者たちによって連合赤軍は結成され、1972年2月のあさま山荘へと至る。その後、彼らの同志殺しが次々と明らかになり、学生運動は完全に失速。あの時代に何が起きていたのか、激動の時代をどうしても残したいと、若松孝二自ら費用を捻出し製作に踏み切った。若い俳優陣と格闘し、時代を鮮烈に描き出した魂の傑作。

39 キャタピラー

2010年/84分/カラー/R15+/35㎜
監督:若松孝二/脚本:黒沢久子、出口出
出演:寺島しのぶ、大西信満

傷痍軍人が帰還した、勲章をぶら下げ軍神となって。頭と胴体だけの姿になって。口もきけず、耳も聞こえない体となっても男の性欲は変らなかった。口に粥を流し込み、糞尿の世話をし、男の下半身にまたがる妻の日々は過ぎ、敗戦の日が訪れる。銃後の妻を通して戦争の愚かさを描く。寺島しのぶは本作でベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞。

40 11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち

2012年/120分/カラー/DCP
監督:若松孝二/脚本:掛川正幸、若松孝二
出演:井浦新、満島真之介

1970年11月25日、三島由紀夫は防衛庁内で衝撃的な自決を遂げる。45歳という短い人生を自ら幕引きした彼は、何を表現したかったのか。ともに割腹自殺した青年・森田必勝(盾の会学生長)と三島のその心の奥底には、何が潜んでいたのか。強烈な人間の衝動を映像に封じ込めて続けてきた若松孝二が三島と若者たちの魂の軌跡を追う。

41 海燕ホテル・ブルー

2012年/84分/カラー/DCP/製作:若松プロダクションスコーレ株式会社
監督:若松孝二
出演:片山瞳、地曵豪、井浦新、大西信満他

人間の情念、狂気、男たちの共同幻想が、一人の女によって崩れていく。色濃く漂う、まさに60年代の若松プロが描き続けていた荒野の中の閉塞感。目の前に広がる黒い砂漠、海、溶岩だらけの山頂。これは果たして現実か幻想か。ハードボイルド小説の第一人者・船戸与一氏の異色作が、若松の映像によって全く新しい世界に生まれ変わる。

42 千年の愉楽

2012年/118分/カラー/DCP
原作:中上健二/監督:若松孝二/脚本:井出真理
出演:寺島しのぶ、佐野史郎、高良健吾、高岡蒼甫、染谷将太、井浦新

昭和の薫りが色濃く漂う集落、紀州の路地に生を受け、女たちに圧倒的な愉楽を与えながら、命の炎を燃やし尽くして死んでいく美しい中本の男たちの物語が、地の産婆の胸に蘇る。若松孝二が描き上げたのは、匂い立つような命、不条理ゆえに美しい命の讃歌である。不慮の事故により突然他界した若松孝二監督の最後の作品。

43 止められるか、俺たちを

©若松プロダクション

2018年/119分/カラー/DCP/配給:若松プロダクション、スコーレ
監督:白石和彌/脚本:井上淳一
出演:門脇麦、井浦新

1969年、当時33歳の若松孝二が作り出すピンク映画は若者たちを熱狂させ、時代の先端を駆け抜けていた。21歳で新宿のフーテン仲間に誘われ“若松プロダクション”の門を叩いた吉積めぐみ。彼女の目を通して、なにもかもが危うくきらめいていた一瞬の時を描く青春群像劇。若松プロダクション出身で、日本映画界を代表する監督・白石和彌が自ら企画。

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

©若松プロダクション

2023年/119分/カラー/DCP/製作・配給:若松プロダクション スコーレ株式会社/製作プロダクション:ドッグシュガー
脚本・監督:井上淳一/プロデューサー:片嶋一貴、木全純治/音楽:宮田岳
出演:井浦新、東出昌大、芋生悠

80年代。ビデオが普及し映画館から人々の足が遠のき始めた時代。それに逆行するように若松孝二は名古屋にミニシアターを作る。シネマスコーレだ。支配人となった木全純治。女性監督のほとんどいない時代だが、映画から離れられない金本法子。映画監督を目指す田舎の映画青年、井上淳一。映画に吸い寄せられた若者たちの青春群像。

3/9(土)~

オスカー・ピーターソン

オスカー・ピーターソン

©2020 Exclusively licensed to TAMT Co., Ltd. in Japan

2020年/カナダ/81分/配給・宣伝:ディスクユニオン
原題:Oscar Peterson: Black + White
監督:バリー・アヴリッチ
字幕:山口三平
出演:ビリー・ジョエル、クインシー・ジョーンズ、ラムゼイ・ルイス、ハービー・ハンコック、ブランフォード・マルサリス、ジョン・バティステ、ケリー・ピーターソン(妻) ほか

公式ホームページ

来たる2025年に生誕100周年を迎える鍵盤の皇帝
その音楽と人生を綴った伝記映画がスクリーンに登場!

ジャズ史上最も偉大で人気のピアニストのひとり、オスカー・ピーターソン。陽気なキャラクター、聴く者をハッピーにするリズムとハーモニー、そして誰もが憧れる明快で魅力的な音質と超絶技巧――かのルイ・アームストロングは彼のことを「4本の手を持つ男」と呼んだという。日本でも『プリーズ・リクエスト』をはじめとする名盤の数々で知られ、来日公演も果たし、ジャズファンもアーティストも誰もがその影響と愛を口にする。

しかし、その順風満帆に映る音楽人生と、明るく魅力的なピアノスタイルの裏には、黒人であるゆえの長きにわたる差別との戦いがあった。1962年にオスカーが作曲した「自由への賛歌」は1960年代公民権運動の賛歌になり、その音楽的、社会的影響は分断の続くアメリカで今もなお響き渡っている。
1993年68歳には脳梗塞を発症。ピアニストとしては終わりかと思われたが、懸命のリハビリで奇跡の復活を遂げ、2004年には来日を果たすほどに回復した。

本作では、差別との闘い、病気と復活までの困難な道のり、家族愛について、多数の本人インタビューを収録。そして、そんなオスカー・ピーターソンが多くの人々にリスペクトされ続けるその理由を、実際にジャンルと世代を超えて彼の音楽に影響を受けてきたスター・ミュージシャンたち――ビリー・ジョエル、クインシー・ジョーンズ、ラムゼイ・ルイス、ハービー・ハンコック、ブランフォード・マルサリス、ジョン・バティステらが語り尽す。さらに妻・娘ら家族による、その旅立ちまで晩年の貴重な証言も収録され、彼の知られざる強さ、魅力に迫ります。


オスカー・ピーターソン オスカー・ピーターソン オスカー・ピーターソン

上映日時

3/9(土)~3/15(金) 3/16(土)~3/22(金) 3/23(土)~3/29(金)
15:55-17:20
※3/10(日)のみ16:00-17:21
20:40-22:05
レイト割画像
21:10-22:35
レイト割画像

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1200 ¥800
会員 ¥1500 ¥1200 ¥800

3/9(土)~

ノスタルジア 4K修復版

ノスタルジア

©1983 RAI-Radiotelevisione Italiana.LICENSED BY RAI COM S.p.A.-Roma-Italy, All Right Reserved.

1983年/イタリア=ソ連/126分/配給:ザジフィルムズ
原題:NOSTALGHIA
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:トニ一ノ・グエッラ
撮影監督:ジュゼッペ・ランチ
出演:オレーグ・ヤンコフスキー、エルランド・ヨセフソン、ドミツィアナ・ジョルダーノ
※当館での上映は2K版

公式ホームページ

空間、時間、そして人間の葛藤を巡る詩的宇宙の極致
高精細レストアで蘇る、映画の奇跡

イタリア中部トスカーナ地方、朝露にけむる田園風景に男と女が到着する。モスクワから来た詩人アンドレイ・ゴルチャコフと通訳のエウジュニア。ふたりは、ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を辿っていた。18世紀にイタリアを放浪し、農奴制が敷かれた故国に戻り自死したサスノフスキーを追う旅。その旅も終りに近づく中、アンドレイは病に冒されていた。古の温泉地バーニョ・ヴィニョーニで、世界の終末が訪れたと信じるドメニコという男と出会う。やがてアンドレイは、世界の救済を求めていく…。

旧ソ連映画界の巨匠にして現代映画に多大な影響を与え続ける不世出の映画作家、アンドレイ・タルコフスキー。
1962年に長篇1 作目となる『僕の村は戦場だった』を監督、ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。1967 年にはロシアの伝説的な画家を描いた『アンドレイ・ルブリョフ』を完成させるが、歴史解釈をめぐってソ連当局の激しい批判を受け5年間の上映禁止を宣告される。だが一方で同作品は1969年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。その後も『惑星ソラリス』(1972) 、『鏡』(1975) 、『ストーカー』(1979)と映画史に傑出する作品を世に送り出し、世界的な評価を確立。しかしソ連国内の厳しい検閲は依然としてあり、はじめてソ連国外で製作された長篇第6作が『ノスタルジア』(1983)だ。イタリアで撮影された本作は、タルコフスキーが「祖国を離れたロシア人特有の精神状態=ノスタルジアを描きたかった」と述懐した作品である。

中世からルネサンス期のフレスコ絵画と近代美術が一体化したような美しい映像に、監督の父アルセーニイ・タルコフスキーの詩が読まれ、ヴェルディの「レクイエム」やベートーヴェンの「第九交響曲」、そしてロシアの民族音楽が印象的に使用される。
水、火、光、闇――。陰影に富んだ映像と繊細な音響。空間、時間、そして人間の葛藤を巡る、タルコフスキーによる詩的宇宙の極致である。 今回公開となる『ノスタルジア 4K 修復版』は、2022年に撮影監督ジュゼッペ・ランチ監修のもと、ローマのチネテカ・ナチオナーレの協力で4K修復され、ボローニャ復元映画祭2022でワールドプレミアされたもの。今、蘇る、映画の奇跡。


ノスタルジア ノスタルジア ノスタルジア

上映日時

3/9(土)~3/15(金) 3/16(土)~3/22(金)
13:35-15:45
※3/10(日)のみ13:45-15:50
18:20-20:30
※3/22(金)のみ18:25-20:30

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1200 ¥800
会員 ¥1500 ¥1200 ¥800

3/9(土)~

フジヤマコットントン

フジヤマコットントン

©nondelaico/mizuguchiya film

2023年/日本/95分/配給:ノンデライコ/宣伝:リガード
監督・撮影:青柳拓
撮影:山野目光政、野村麻衣菜
編集:辻井潔
音楽:みどり(森ゆに、青木隼人、田辺玄)
整音:渡辺丈彦
構成・プロデューサー:大澤一生
製作:水口屋フィルム、ノンデライコ
文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会

公式ホームページ

イベント情報 3/10(日)上映後、青柳拓監督の舞台挨拶がございます。

イベント情報
3/10(日)11:45回上映の前後、染織 橋川初美さんによる「コットンの種取り無料体験会」を開催します。ご希望の方には、コットンの種と育て方の説明書を差し上げます。

<フジヤマコットントン>それは、何度も唱えたくなる幸福のおまじない

山梨県は甲府盆地のど真ん中にある障害福祉サービス事業所「みらいファーム」。ラジオ体操をして、仕事をして、お昼休憩を挟み、また仕事をする.…。繰り返される日々に目を凝らし、仕事に取り組むさまを見つめていると、花を世話する、絵を描く、布を織る、その手つきに確かに「その人らしさ」が現れてきます。季節が移ろうように、少しずつ変化していく「みらいファーム」の人たち。友情、恋心、喪失とそこからの回復。他者との関わりの中で醸成されていく感情と言葉をカメラは丁寧に記録し、時に人生に思い悩みながら生きる等身大の姿を魅力的に描き出します。
「みらいファーム」を見守る富士山と、ふわふわとすべてを柔らかく包む綿という二つのモチーフから生まれた、カメラに映る全てを優しく力強く肯定するドキュメンタリー。

「みらいファーム」とは
甲府盆地のド真ん中、山梨県中巨摩郡にある福祉施設障害福祉サービス事業所。ここでは、温かい雰囲気の中で、様々な障害を持つ人々が思い思いの時間を過ごしている。みらいファームでは農作物や花を育ててスーパーに卸したり、綿花を栽培して糸にして織物にしたり、絵を描いて個展を開いたり、具体的なカタチにしてゆく活動を拡げつつ、そこにいて、自分のやりたいことをして過ごすということも推奨している。


フジヤマコットントン フジヤマコットントン フジヤマコットントン

上映日時

3/9(土)~3/15(金) 3/16(土)~3/22(金)
11:45-13:25 10:00-11:40

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1200 ¥800
会員 ¥1500 ¥1200 ¥800