7/12(土)~
黒川の女たち

©テレビ朝日
2025年/日本/99分/配給:太秦/製作:テレビ朝日
監督:松原文枝
語り:大竹しのぶ
撮影:神谷潤、金森之雅
編集:東樹大介
プロデューサー:江口英明
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画制作支援事業)
支援:独立行政法人日本芸術文化振興会
イベント情報
7/13(日)上映後、松原文枝監督の舞台挨拶がございます。
なかったことにはできない
1945年 関東軍敗走の満州で待ちうけた、黒川開拓団の壮絶な運命―
戦争と性暴力の事実、いま知るべきことがここに在る。
80年前の戦時下、国策のもと実施された満蒙開拓により、中国はるか満洲の地に渡った開拓団。日本の敗戦が色濃くなる中、突如としてソ連軍が満洲に侵攻した。守ってくれるはずの関東軍の姿もなく満蒙開拓団は過酷な状況に追い込まれ、集団自決を選択した開拓団もあれば、逃げ続けた末に息絶えた人も多かった。そんな中、岐阜県から渡った黒川開拓団の人々は生きて日本に帰るために、敵であるソ連軍に助けを求めた。しかしその見返りは、数えで18歳以上の女性たちによる接待だった。接待の意味すらわからないまま、女性たちは性の相手として差し出されたのだ。帰国後、女性たちを待っていたのは労いではなく、差別と偏見の目。節操のない誹謗中傷。同情から口を塞ぐ村の人々。込み上げる怒りと恐怖を抑え、身をひそめる女性たち。青春の時を過ごすはずだった行先は、多くの犠牲を出し今はどこにも存在しない国。身も心も傷を負った女性たちの声はかき消され、この事実は長年伏せられてきた。だが、黒川の女性たちは手を携えた。
したこと、されたこと、みてきたこと。幾重にも重なる加害の事実と、犠牲の史実を封印させないために――。
『ハマのドン』松原文枝監督最新作。



上映日時
7/12(土)~7/18(金) | 7/19(土)~7/25(金) | 7/26(土)~ |
14:30-16:10 | 10:00-11:40 | 未定 |
料金
一般 | 大学・専門・シニア | 高校以下 | |
通常 | ¥1900 | ¥1300 | ¥800 |
会員 | ¥1300 | ¥1300 | ¥800 |
7/12(土)~
スライ・ストーン

© Dwars Productions
2015年/75分/オランダ/オランダ語・英語/カラー/ドキュメンタリー/配給・宣伝:株式会社キュリオスコープ
監督:ウィレム・アルケマ
出演:スライ・ストーン、ウィレム・アルケマ
ジェリー・マルティーニ、グレッグ・エリコ、リッチ・ロマネロ、パット・リッツォ、シンシア・ロビンソン(from Sly & The Family Stone)、フランク・ワディ(Funkadelic/James Brown/Bootsy Collins)、ジョージ・クリントン(Funkadelic/Parliament)、シルヴェット・ファン・ロビンソン、ヴェット・ストーン、ノヴィ・ストーン、ナイル・ロジャース(プロデューサー/ギタリスト)
ファンク・ロック・バンド“スライ&ザ・ファミリー・ストーン”率いるミュージシャン、スライ・ストーン。
ベールに包まれていた波乱の半生が今、ここに明かされる。
「伝説のファンク・スター」スライ・ストーン。
1960年代後期から1970年代中期までのほんの短い期間に壮絶なファンク作品を生み出して、姿を消した男。彼の影響を受けたアーティストは数知れず。プリンス、マイケル・ジャクソン、マイルス・デイヴィス、ナイル・ロジャーズ、ジョン・レジェンド、最近ではディアンジェロ。そのファンクの伝染力は、すさまじくアメリカのみならず世界に広がった。そんなファンク伝染病にかかった一人がオランダに住む映像作家、ウィレム・アルケマだった。
アルケマは1993年、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの1974年のアルバム『スモール・トーク』に収録されている「アイ・キャント・ストレイン・マイ・ブレイン」を聴いて衝撃を受け、このファンク・スターの行方を探す決意を固める。
すでにその時点で伝説化していたスライ・ストーンは、音楽活動をしているのか、どこで何をしているのかさえつかめなかった。そこで彼はリサーチを始め、多くの人間に出会い、遅々としながらもスライへ迫る。同じくオランダに住むスライ・ストーンの双子のマニア、コニング兄弟は、スライの本を書こうと考え、すでにリサーチを進めており、その協力は大きな原動力となった。
様々な古いアーカイヴ映像を掘り起し、スライ・ストーンの足跡を追い、とあるルートからスライ・ストーンが税金を滞納していたことから住所を突き止める――。
【スライ・ストーン(1943年3月15日 – 】
幼少時から教会でゴスペルを歌い、9歳でシングルレコードをリリース。66年に結成したファンク・ロックバンド“スライ&ザ・ファミリー・ストーン”は「ダンス・トゥ・ザ・ミュージック」「エブリデイ・ピープル」など大ヒット曲をとばし、一躍全米音楽界のスターダムとなるも、75年に解散。ソロ活動を始めるが、麻薬所持等で幾度も逮捕され、そのうち長期間消息不明状態が続く。家を失くしキャンピングカーで生活しているとも伝えられた。
2010年、元マネージャーを詐欺横領で告訴。2015年1月に勝訴判決が出された。



上映日時
7/12(土) | 7/13(日) | 7/14(月)~7/16(水) | 7/17(木) | 7/18(金) |
20:15-21:35 | 20:30-21:50 | 19:50-21:10 | 20:15-21:35 | 19:50-21:10 |
料金
一般 | 大学・専門・シニア | 高校以下 | |
通常 | ¥1900 | ¥1300 | ¥800 |
会員 | ¥1300 | ¥1300 | ¥800 |
7/12(土)~7/18(金)
アメリカ黒人映画傑作選

アメリカ黒人映画傑作選
今まで見過ごされてきた
黒人監督による黒人映画の秀作たち
7/12(土)―7/18(金)
アメリカ黒人映画傑作選
今まで見過ごされてきた
黒人監督による黒人映画の秀作たち
7/12(土)―7/18(金)
長きにわたって日の目を見ることがなかったアフリカ系アメリカ人による映画。今回上映される3本は、いずれもアメリカ議会図書館の国立映画登記簿の保存に選ばれ、近年再評価が高まる傑作ばかり。あからさまな政治的、差別描写はなくとも、女性たちの眼差しやささやかな日常を通して浮き彫りになるのは、彼女たちのおかれた切実な状況社会のひずみ、そしてそれらを乗り越える限りない生命力。
ここにはイメージやステレオタイプを打ち破る“映画的瞬間”が満ち溢れている。
公式ホームページhttps://blackamericancinema.jp/
提供マーメイドフィルム
配給コピアポア・フィルム
入場料 当日一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
上映スケジュール
7/12(土) | 7/13(日) | 7/14(月) | 7/15(火) | 7/16(水) | 7/17(木) | 7/18(金) |
![]() 海から来た娘たち |
![]() 小さな心に祝福を |
![]() ここではないどこかで |
![]() 小さな心に祝福を |
![]() ここではないどこかで |
![]() 海から来た娘たち |
![]() ここではないどこかで |
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作品紹介
ここではないどこかで Losing Ground

©1982 Kathleen Collins, Courtesy of Milestone Films and the Kathleen Collins Estate
1982年/アメリカ/86分/カラー
監督・脚本:キャスリーン・コリンズ
出演:セレット・スコット、ビル・ガン
大学で哲学を教えるサラは、画家の夫ヴィクターとニューヨークに住んでいる。夏の間、リゾート地で創作活動に専念したいと言い出すヴィクターに対し、論文執筆のため街に残りたいサラだったが渋々付き合うことに。しかしヴィクターは現地の女性にちょっかいを出し、サラは腹いせに教え子から頼まれていた自主映画への出演を決めてしまう。アフリカ系女性監督による最初期の長編映画。正式公開には至らず、製作から6年後に監督のキャスリーン・コリンズは逝去。2015年に修復され上映を果たし、映画評論家のリチャード・ブロディが「ニューヨーカー」誌で「この映画が当時広く公開されていたら、映画史に名を刻んでいただろう」と評するなど絶賛された。エリック・ロメールを思わせるような軽妙かつ洗練された語り口で、男女の機微を活き活きと描く。
小さな心に祝福を Bless Their Little Hearts

©1983 Billy Woodberry, Courtesy of Milestone Films and Billy Woodberry
1984年/アメリカ/85分/モノクロ
監督:ビリー・ウッドベリー
出演:ネイト・ハードマン、ケイシー・ムーア
ロサンゼルスのワッツ地区で暮らす失業者チャーリーは3人の幼い子を養うため、職探しの毎日。日雇いの仕事にありつければまだマシな方、なかなか金を稼ぐ手立てが見つからない。妻のアンダイスは夫の不甲斐なさに半ば諦め顔、家計のやりくりに苦心しながら家事に忙殺されストレスがたまる一方。そんな中、チャーリーの浮気が発覚、ついにアンダイスの怒りが爆発する。貧困地帯を舞台に、黒人家族の過酷な日常を抑制の効いたモノクロ映像で丹念に追う。監督は〈L.A.リベリオン※〉の中心人物の一人、ビリー・ウッドベリー。脚本と撮影を“最も偉大な黒人監督”と評されるチャールズ・バーネットが手掛けている。Rotten Tomatoesで100%の支持率を獲得。10分近く長回しで捉えたキッチンでの夫婦喧嘩は壮絶の一言。
※L.A.リベリオン:1960年代後半から1980年代後半にかけてUCLAで学び、ハリウッドの伝統にとらわれない自由な映画づくりを目指したアフリカ系の映画人たちを指す。代表的な人物としてチャールズ・バーネット(『Killer of Sheep』)、ラリー・クラーク(『Passing Through』)、ジュリー・ダッシュ、ビリー・ウッドベリーらがいる。
海から来た娘たち Daughters of the Dust

Images Courtesy of Park Circus/The Cohen Film Collection
1991年/アメリカ/112分/カラー
監督・脚本:ジュリー・ダッシュ
出演:コーラ・リー・デイ、バーバラ・O・ジョーンズ
1902年、アメリカ大西洋沖シー諸島のある島。長年住んだ故郷を離れ、北への移住を決めたぺザント一族だったが、長老のナナは亡き夫が眠るこの地に残ると言い張る。それぞれの思惑が交錯する中、いよいよ島を出る時が来た。これから生まれてくる子供のモノローグで綴られる、ガラ族の女系家族の物語。虐げられても失わなかった高貴な魂と誇りを、詩的な映像美で高らかに謳いあげる。黒人女性監督による初めて公開された長編映画で、2016年にリリースされたビヨンセのアルバム『レモネード』が本作に多大な影響を受けていることから注目が集まり、2022年にはサイト&サウンド誌「史上最高の映画ベスト100」の60位に選出されるなど、今も語り継がれる名作。1991年のサンダンス映画祭で撮影賞を受賞。
7/5(土)~
それでも私は Though I’m His Daughter

©Yo-Pro
2025年/日本/119分/制作・配給:Yo-Pro/配給協力:きろくびと
監督:長塚 洋
撮影:長塚 洋、木村浩之
編集:竹内由貴
整音:西島拓哉
アニメーション:竹原 結
音楽:上畑正和
特別協力:「それでも私は」上映委員会
舞台挨拶・トークイベント情報
7/5(土) 松本麗華さん(本作出演)× 長塚洋監督
7/6(日) 小川原優之さん(麻原彰晃元弁護士)× 長塚洋監督
7/7(月) 永岡英子さん(オウム真理教家族の会)*リモート × 長塚洋監督*リアル
7/8(火) オウム取材30年・大手テレビ局報道記者 × 長塚洋監督
7/9(水) 長塚洋監督
7/10(木) 椎野礼仁さん(編集者・本作出演)
娘なことは、罪ですか?
「父の名は、松本智津夫。」
“麻原彰晃の娘”として生きることを強いられた彼女の41年
1995年3月、日本を震撼させた地下鉄サリン事件。その首謀者の娘として生まれた松本麗華(まつもと・りか)は父親が逮捕された 当時12歳。以来、どこに行っても父の名、事件の記憶、そして「お前はどう償うのか?」という問いがつきまとってきた。
「虫も殺すな」と説いたはずの教団の信徒たちが起こした数々の凶行に衝撃を受け、父親が裁判途中で言動に異常を来したために、彼がそれら犯罪を命じたこともまだ受け入れ切れない。死刑の前に治療して事実を話させて欲しいとの彼女の願いに識者らも賛同し、真相を求め続けるが、間もなく突然の死刑執行。麗華は社会が父親の死を望んだと感じ、極度の悲しみと絶望のうちに生きることになる。それでも人並みの生活を営もうとするが、定職に就くことや銀行口座を作ることさえ拒まれる。国は麗華に対して教団の「幹部認定」をいまだに取り消さず、裁判所に不当を訴えても棄却されてしまう――。
社会からの絶え間ない差別や排除の中、 自らの生き方を模索し続ける6年の記録
加害者の家族が背負う罪とは何か。オウム事件を含む犯罪報道に長く身を置いてきた長塚洋監督(『望むのは死刑ですか オウム“大執行“と私』)が考え続けた当事者たちの事件後の人生。松本麗華と出会い、その答えを求めて6年間に渡り記録し続けた。
社会が被害者の代弁者となり加害者の家族を責める。バッシングに負けずひたむきに自身の人生を築こうともがく麗華の姿は、この世界で苦しみながら生きている人に向けた希望のメッセージとなりうるか。



上映日時
7/5(土)~7/11(金) | 7/12(土) | 7/13(日)~7/18(金) | 7/19(土) | 7/20(日) | 7/21(月) | 7/22(火) | 7/23(水) | 7/24(木)、7/25(金) |
13:50-15:50 | 12:15-14:20 | 12:00-14:00 | 19:40-21:45 | 19:45-21:50 | 20:10-22:15 | 19:45-21:50 | 20:00-22:05 | 19:45-21:50 |
料金
一般 | 大学・専門・シニア | 高校以下 | |
通常 | ¥1900 | ¥1300 | ¥800 |
会員 | ¥1300 | ¥1300 | ¥800 |
7/5(土)~
無名の人生

©鈴木竜也
2024年/日本/93分/配給:ロックンロール・マウンテン/配給協力:インターフィルム
監督・原案・作画監督・美術監督・撮影監督・色彩設計・キャラクターデザイン・音楽・編集:鈴木竜也
プロデューサー:岩井澤健治(『音楽』『ひゃくえむ。』)
声の出演:ACE COOL、田中偉登、宇野祥平、猫背椿、鄭玲美、鎌滝恵利、西野諒太郎(シンクロニシティ)、中島歩、毎熊克哉、大橋未歩、津田寛治
イベント情報
7/13(日)18:25回上映後、鈴木竜也監督の舞台挨拶がございます。
数々の映画祭を席巻した鈴木竜也、満を持しての劇場長編デビュー
『音楽』『JUNK HEAD』に続く、 個人制作の長編アニメーションの新たな傑作誕生
2021 年、コロナ禍を機に独学で作り始めた短編アニメーション『MAHOROBA』が、ぴあフィルムフェスティバル、下北沢映画祭ほか国内の自主映画祭で数多くの賞を受賞した鈴木竜也監督が、たった1人で、1年半を費やし描き上げた長編デビュー作『無名の人生』。
『MAHOROBA』ではブラック企業に勤める男が逃亡を図る物語、続く『無法の愛』でははみ出し者の男女の関係を軸に、現実社会で起きた無差別刺傷事件にも焦点を当てるなど、一貫して“不条理な世の中に生きる者たちの生き様”をシニカルな描写で描いてきた鈴木監督。『無名の人生』は、仙台に暮らすいじめられっ子の孤独な少年が、父親の背中を追ってアイドルを目指すところから始まる物語。生まれてから死ぬまでに蔑称や源氏名などいくつもの呼称で呼ばれた主人公の波乱に満ちた100年の生涯を、高齢ドライバーや芸能界の闇、若年層の不詳の死、戦争など今まさに我々が直面する数々のセンセーショナルな社会問題を背景に全10章で描き切ります。そして、章ごとにタッチも色彩も変化し、観る者を飽きさせない変幻自在なアニメーションの果てに待つ、前代未聞の衝撃的なラストとは…。
制作期間7年半、総作画枚数4万枚超で国内外を席巻した岩井澤健治監督作『音楽』(19)、世界の映画賞で称賛されたストップモーションアニメ『JUNK HEAD』(21)のヒットが記憶に新しい、日本の個人制作の長編アニメーション市場。今回、岩井澤監督が『無名の人生』のプロデュースを手掛け、アニメ業界にさらなる多様性をもたらします。
鈴木監督たっての希望で主人公の声を務めたのは、ラッパーのACE COOL。その卓越したスキルで抒情的・哲学的なラップを放ち、聴く者を魅了。今回、映画初出演かつ声優初挑戦となりましたが、少ない台詞ながらも主人公の心の揺らぎと悲哀を繊細に表現しました。そして、実力派俳優から、フリーアナウンサー、お笑い芸人など、世代もフィールドも異なるキャスト陣が、そのほとんどが声優未経験ながら、監督の孤高の作品作りと唯一無二の作風に共鳴。個人制作の長編アニメーションの新たな傑作がここに誕生しました。



上映日時
7/5(土) | 7/6(日)、7/7(月) | 7/8(火) | 7/9(水)~7/11(金) | 7/12(土)、7/13(日) | 7/14(月)~7/16(水) | 7/17(木) | 7/18(金) |
18:40-20:15 | 18:20-20:00 | 19:05-20:40 | 18:20-20:00 | 18:25-20:05 | 18:00-19:40 | 18:25-20:05 | 18:00-19:40 |
料金
一般 | 大学・専門・シニア | 高校以下 | |
通常 | ¥1900 | ¥1300 | ¥800 |
会員 | ¥1300 | ¥1300 | ¥800 |
6/28(土)~
ウカマウ集団 60年の全軌跡

ボリビア独立200周年/日本との協働50周年記念
ウカマウ集団 60年の全軌跡
未公開作品の新作2本を含む全14作の特集上映
6/28(土)-7/18(金)
ボリビア独立200周年/日本との協働50周年記念
ウカマウ集団 60年の全軌跡
未公開作品の新作2本を含む全14作の特集上映
6/28(土)-7/18(金)
アンデス地域の先住民の視点に立った映画づくりで、世界に衝撃を与えた
ボリビアの映画集団ウカマウの軌跡を全作上映で展観する。
南米ボリビアの映画集団ウカマウ─
世界をひっくり返した新しい映画運動と時を同じく
60年代から先住民の視点に立った映画づくりを続ける
その60年の軌跡の全てを一挙上映!

第一:アンデス世界に固有の円環的な時間概念に基づいた語りの仕組みとしての「長回し」を活用すること
第二:社会的な調和を重んじるアンデス的な概念に照応させて、個人的な主人公ではなく集団的な主人公を重視すること
第三:「クローズアップ」の使用をできる限り避けること
第四:西洋映画に典型的な方法である、観客を脅しつけ驚愕させることで画面に一体化させてしまう「スペクタクル」を排し、内省的なふり返りを促す方法を生み出すこと
第五:他ならぬ歴史的な現実を生き抜いた人びと自身が演技者となるような場で協働すること
南米ボリビアの映画製作集団ウカマウ。世界に新しい映画の波をもたらしたヌーヴェルヴァーグと時を同じく、白人層に力が集中していたボリビアで、住民の半数以上を占める先住民(アイマラ人やケチュア人ら)に無関係な映画を作ることはできないと考えたホルヘ・サンヒネスらを中心に、1962年に活動を開始。今もなお世界に訴えかける映画製作を続けている。その影響力は、中南米、欧米にとどまらずアジアの映画作家に及んでいる。今回の特集では、初上映となる新作2本を含む全14作品を一挙上映。
公式サイト https://www.jca.apc.org/gendai/ukamau
配給 シネマテーク・インディアス
配給協力 スタンス・カンパニー/ムヴィオラ
宣伝 スリーピン
©Fundación Grupo Ukamau
入場料 一般1,600円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
【前売券】全国共通3回券 3,300円(税込)を当館受付にて発売中!公開後も販売します。
イベント情報
6/29(日)13:35 Bプログラム『30年後 -ふたりのボリビア兵-』上映後、太田昌国さん(おおたまさくに/シネマテーク・インディアス)のトークイベントがございます。
上映スケジュール
6/28(土) | 6/29(日) | 6/30(月) | 7/1(火) | 7/2(水) | 7/3(木) | 7/4(金) |
![]() ![]() C革命+Eウカマウ |
![]() ![]() D落盤+Fコンドルの血 |
![]() B30年後 |
![]() M最後の庭の息子たち |
![]() Iここから出ていけ! |
![]() K地下の民 |
![]() L鳥の歌 |
![]() A女性ゲリラ |
![]() B30年後 トークイベント |
![]() A女性ゲリラ |
![]() G人民の勇気 |
![]() H第一の敵 |
![]() N叛乱者たち |
![]() Jただひとつの拳のごとく |
予定表 横にスクロールできます
7/5(土) | 7/6(日) | 7/7(月) | 7/8(火) | 7/9(水) | 7/10(木) | 7/11(金) |
![]() N叛乱者たち |
![]() Jただひとつの拳のごとく |
![]() M最後の庭の息子たち |
||||
![]() G人民の勇気 |
![]() H第一の敵 |
![]() A女性ゲリラ |
![]() B30年後 |
![]() L鳥の歌 |
![]() Iここから出ていけ! |
![]() A女性ゲリラ |
予定表 横にスクロールできます
7/12(土) | 7/13(日) | 7/14(月) | 7/15(火) | 7/16(水) | 7/17(木) | 7/18(金) |
![]() K地下の民 |
![]() L鳥の歌 |
![]() H第一の敵 |
![]() G人民の勇気 |
![]() A女性ゲリラ |
![]() ![]() C革命+Eウカマウ |
![]() ![]() D落盤+Fコンドルの血 |
予定表 横にスクロールできます
作品紹介
A 女性ゲリラ、フアナの闘い -ボリビア独立秘史- ★日本初上映
Guerrillera de la Patria Grande, Juana Azurduy

2016年│カラー│103分
製作:ウカマウ集団│監督:ホルヘ・サンヒネス│音楽:セルヒオ・プルデンシオ
メルセデス・ピティ・カンポス、クリスティアン・メルカード、フェルナンド・アルセ
スペイン植民地支配からの解放闘争を担った実在の女性、フアナ・アスルドゥイ(1780~1862)。映画は、ボリビアが独立を宣言した1825年、チュキサカ(現スクレ)にあるフアナの質素な住まいを、後に、ボリビアの国名の由来となるシモン・ボリーバルと、ボリビアの初代大統領となるアントニオ・ホセ・デ・スクレが訪ねるところから始まる。サンヒネス監督は「私の中で常に何かをかき立ててくれた人物。19世紀という時代の植民地主義者や宗教者の偏見と闘い、女性の、人間の、母親の権利獲得のためにゲリラ兵士となった。多くの女性たちに、とりわけ観てほしい」と語っている。
B 30年後 -ふたりのボリビア兵- ★日本初上映
Los Viejos Soldados

2022年│カラー│105分
製作:ウカマウ集団│監督:ホルヘ・サンヒネス│音楽:セルヒオ・プルデンシオ
クリスティアン・メルカード、ロベルト・チョケワンカ
ボリビア現代史の重要な事件・チャコ戦争(隣国パラグアイとの間で1932年から35年にかけて戦われた)で、同じボリビア軍に属していた白人で裕福な家庭出身のギレェルモとアイマラ人で貧農のセバスティアン。ギレェルモが、負傷したセバスティアンを救ったことから、ふたりの間には友情が育まれる。上官の人種差別的振る舞いに反抗し、軍事裁判で死刑判決を受けるギレェルモ。兵営から脱走を図り、セバスティアンも彼に同行するが、やがて二人は真逆の方向の道を辿ってゆく……。白人と先住民のステレオタイプなイメージを打ち壊し、融和の道を探す最新作。
C 革命
Revolución

*‘64年ライプチッヒ映画祭ヨリス・イヴェンス賞 ほか
1962年│白黒│10分
ありのままの画像・音楽・音を用いて、ボリビア民衆の貧窮の実態を示す第1作短編。
D 落盤
Derrumbamiento
¡Aysa!(ケチュア語原題)

1965年│白黒│20分
掘り尽くしたと見做して鉱山企業が見捨てた危険な場所で採石する鉱夫たちを描く。
E ウカマウ
Así es
Ukamau(アイマラ語原題)

*‘66年カンヌ映画祭青年監督賞
1966年│白黒│75分
ティティカカ湖上の太陽の島に住むインディオ農民の妻が、メスティーソの仲買人に暴行され、殺された。長い時間をかけての復讐を誓った青年の前途は? この初の長編映画が大きな評判を得て、タイトルが集団名として採用された。
F コンドルの血
Sangre de Cóndor
Yawar Mallku(ケチュア語原題)

*‘70年仏ジョルジュ・サドゥール賞 ほか
1969年│75分│白黒
アンデスの一寒村に医療チームを名乗ってやってきた北米人たちは、診療所で何をしていたのか? 現実の出来事を題材に、先住民女性に対する強制的な不妊化手術の実態を描く。北米「平和部隊」の国外追放を実現した話題作。
G 人民の勇気
El Coraje del Pueblo

*‘71年ベルリン映画祭 OCIC(国際カトリック教会)賞
*’71ペサロ映画祭最優秀映画賞
1971年│白黒│93分
1967年6月24日、チェ・ゲバラ指揮下のゲリラの連帯を計画していた鉱山労働者の住宅区を政府軍が攻撃、多数が殺された。現場に居合わせた人びとの証言を通して再構成される歴史的事実。「史上もっとも力強い映画」と評価された。
H 第一の敵
El Enemigo Principal
Jatun Auk’a(ケチュア語原題)

*‘75年カルロヴィヴァリ映画祭グランプリ ほか
1974年│白黒│98分
都市からやってきたゲリラと貧農の出会いから、反地主・反帝国主義の共同闘争の過程を描く。1980年日本で最初に紹介されたウカマウ集団の作品で、この映画が高い評価を得て、その後45年続く自主上映・共同製作の基盤をつくった。
I ここから出ていけ!
Fuera de Aquí!
Lloksy Kaymanta(ケチュア語原題)

*‘77年カンヌ映画祭監督週間正式出品 ほか
1977年│白黒│102分
アンデスの先住民村に現れた北米人宣教師の、真の意図は? 村人の間に生じた精神的な亀裂につけ込んで、鉱物資源開発を目指して入り込む多国籍企業。先住民居住区にある資源は誰のものかを問う、先駆的な問題提起の映画。
J ただひとつの拳のごとく
Las Banderas del Amanecer

*‘83年ハバナ新ラテンアメリカ映画祭ドキュメンタリー部門グランプリ
1983年│カラー│92分
1970年代の10年間を支配した軍事政権は、80年代初頭のどんな民衆運動によって打倒されたのか。今まさに胎動している民衆運動を内部から描いた、ウカマウ集団はじめてのドキュメンタリー作品は、群集シーンの力強さが印象的だ。
K 地下の民
La Nación Clandestina

*‘89年サンセバスチャン映画祭グランプリ
*‘89年ハバナ新ラテンアメリカ映画祭 外国紙グラウベル・ローシャ賞
1989年│カラー│125分
街に暮らしてきた先住民セバスチャンは、かつて追放された村に帰る決意を固めた。現実と虚構、過去と現在を交錯させた大胆な手法で、過去への償いの旅を続ける男を通して、民族的アイデンティティの喪失と再生を描いた力作。
L 鳥の歌
Para Recibir el Canto de los Pájaros

*‘95年ロカルノ映画祭「質と刷新」賞
*‘95年ボリビア映画祭 銀撫子賞
1995年│カラー│100分
16世紀、アンデスを「征服」したスペイン人遠征隊の事業を批判的に捉える映画を作ろうとした映画スタッフが、ロケ地の先住民村で直面した現実とは?「ここから出ていけ」とまで迫られた映画人たちがたどる内省の過程を描く。ジェラルディン・チャプリン主演。
M 最後の庭の息子たち
Los Hijos del Ultimo Jardín

2003年│カラー│97分
民衆が経済危機の中で苦難の生活をおくるなか、政府高官は汚職を繰り返している。それに怒りを燃やし、何かの行動を考える青年。他方、現代風な享楽的な日々をおくる青年たち。確たる展望も持たぬままにもがく青春群像を描く。
N 叛乱者たち
Insurgentes

*‘13国際政治映画祭第一位(ブエノスアイレス) ほか
2012年│カラー│83分
18世紀末、スペインの支配からの解放を目指す先住民族の戦いに始まり、2005年、ついに先住民出身のエボ・モラレス政権が誕生するまでのボリビア史を物語る。さらにグローバリゼーションという大波に抵抗する21世紀の革命の映画を模索した。