5/14(土)~
勝手にしやがれ

© STUDIO CANAL
1960年(2020年4Kレストア版)/フランス/90分/配給:オンリー・ハーツ
原題:A BOUT DE SOUFFLE
英語題:BREATHLESS
監督・脚本・台詞:ジャン=リュック・ゴダール
原案:フランソワ・トリュフォー
監修:クロード・シャブロル
撮影:ラウール・クタール
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ、ダニエル・ブーランジェ、ジャン=ピエール・メルヴィル
2021年9月6日、88歳で亡くなったジャン=ポール・ベルモンド追悼
ヌーヴェル・ヴァーグ不滅の金字塔
60周年4Kレストア決定版
※当館での上映は2K版
28歳のゴダール、26歳のベルモンド、20歳のセバーグが、映画に革命を起こした。クエンティン・タランティーノ、トニー・スコット、リチャード・リンクレイター、ラース・フォン・トリアー、テレンス・マリック、ウディ・アレン、ウォン・カーウァイ…全世代の映画人に圧倒的な影響を及ぼし続けるヌーヴェル・ヴァーグ不滅の金字塔。
今回の上映では、可能な限りの素材と技術を結集して制作された4Kレストア決定版が日本初公開。使用された2種類のフィルムの特性を考慮し、オリジナルネガから徹底的なレストアが行われた。色味は撮影の故ラウル・クタールが監修した2009年のレストア版を模範とし、サウンドもオリジナルネガから起こし最終的な決定版を作り上げた。
金を調達し二人でイタリアへ逃れようとする男と
夢をかなえようとする女の行く末は…。
自動車泥棒の常習犯ミシェルは、マルセイユで盗んだ車を走らせパリに向かう道中、白バイに追いかけられ、咄嗟に車中にあった拳銃で警官を射殺してしまう。パリに着いた彼は約束の金を受け取るために旅行会社を訪ねるが、渡されたのは小切手で、ベリュッティという男が現金化してくれるという。刑事の尾行を撒いたミシェルは、シャンゼリゼ通りでヘラルド・トリビューン紙を売るパトリシアに会いに行く。彼女はアメリカ人の留学生で、2人は南仏の海岸で出会いベッドを共にした仲。けれど、記者志望の彼女はミシェルの誘いを蹴り、新聞社の男に会いに行ってしまう。仕方なく彼女の部屋に無断で入り込み、一夜を明かすミシェル。翌朝、彼と他愛無いひと時を過ごしたパトリシアは、有名作家パルヴュレスコの記者会見に参加するためにオルリー空港へ。一方、新聞に「警官殺し逃走犯」として大きく顔写真が載り、パトリシアのところまで刑事が事情徴収にやって来て、次第に追い詰められていくミシェル。彼は現金が手に入るまで、パトリシアを連れて、カンパーニュ・プルミエ通りのアパルトマンに身を隠すが…。



上映日時
5/14(土)~5/20(金) | 5/21(土)~5/27(金) |
16:40-18:10 | 12:05-13:40 |
料金
一般 | シニア | 学生応援プライス(大学生以下) | |
通常 | ¥1500 | ¥1100 | ¥500 |
会員 | ¥1200 | ¥1100 | ¥500 |
5/14(土)~
気狂いピエロ

© STUDIO CANAL
1965年(2015年2Kレストア版)/フランス/110分/配給:オンリー・ハーツ
原題:PIERROT LE FOU
英語題:CRAZY PETE
監督・脚本・台詞:ジャン=リュック・ゴダール
原作:ライオネル・ホワイト
製作:ジョルジュ・ドゥ・ボールガール、ディノ・デ・ラウレンティス
撮影:ラウール・クタール
美術:ピエール・ギュフロワ
音楽:アントワーヌ・デュアメル
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、アンナ・カリーナ、サミュエル・フラー、ジャン=ピエール・レオー
2021年9月6日、88歳で亡くなったジャン=ポール・ベルモンド追悼
35歳のゴダールが、長編10作目で到達した
ヌーヴェル・ヴァーグ波高の頂点!
ゴダールのミューズでありながらゴダールと離婚したばかりのカリーナ、『勝手にしやがれ』で大スターになりこの映画でゴダールと決別することになるベルモンド。各自がキャリアの臨界点で燃焼しつくした奇跡的傑作!
公開当時のマスターポジは消失、インターネガも劣化のため1990年に廃棄されていた。今回、撮影ネガをデジタル化して新たなマスターネガを作成。サウンドの磁気素材も紛失していたので、当時のプリントから新たな音ネガを復元、鮮やかな色と音を可能な限り蘇らせたレストア版。
自由!挑発!疾走!目くるめく引用と色彩の氾濫
饒舌なポエジーと息苦しいほどのロマンチスム
フェルディナンは、金持ちの妻との生活に退屈し、逃げ出したい衝動に駆られていた。そんなある夜、夫婦がパーティに出かけるため、幼い娘のベビーシッターがやって来る。彼女はなんと、かつての恋人マリアンヌだった。パーティを抜け出し、1人で帰宅したフェルディナンは、彼女を車で送り、そのまま一夜を共にする。翌朝目覚めると、彼女の部屋に、首に鋏を突き立てられた男の死体が。驚く彼とは裏腹に、平然と朝食を作り歌うマリアンヌ。フェルディナンは、訳は後で話すという彼女と一緒に、着の身着のままでパリを後にし、マリアンヌの兄がいる南仏へ向かう。お金のない2人は、ガソリン代を踏み倒したり、物語を語ってチップを貰ったり、車を盗んだり。はては海岸の一軒家で、ロビンソン・クルーソーよろしく自給自足生活。フェルディナンは大満足だったが、マリアンヌは欲求不満を募らせ街に飛び出す。そこで出会った小男がまたも鋏で殺され、マリアンヌは姿を消す。フェルディナンはギャング2人組に捕まって、彼女の居場所を教えろと拷問されるが、何も知らないと分かり解放される。マリアンヌを探し歩いたフェルディナンは、ようやく彼女を見つけるが…。



上映日時
5/14(土)~5/20(金) | 5/21(土)~5/27(金) |
14:40-16:30 | 10:00-11:50 |
料金
一般 | シニア | 学生応援プライス(大学生以下) | |
通常 | ¥1500 | ¥1100 | ¥500 |
会員 | ¥1200 | ¥1100 | ¥500 |
5/7(土)-27(金)
ジョージア映画祭2022 コーカサスからの風

ジョージア映画祭2022
ქართული კინოს ფესტივალი 2022
2022年5月7日(土)-5月27日(金)
ジョージア映画祭2022
ქართული კინოს ფესტივალი 2022
2022年5月7日(土)-5月27日(金)
コーカサスからの風――
映画の王国ジョージア(グルジア)、失われていたソヴィエト連邦時代(1921~91)の名作が修復され、あるいはロシアから戻り、今、蘇ろうとしている。政治体制の抑圧にもかかわらず、人間味にあふれ、独創的であり、映画への愛がこめられた黄金期のジョージア映画――その魅惑にみちた歴史的作品の数々を一堂に集めて一挙上映!
ジョージア映画は奇妙な現象だ。特別であり、哲学的に軽妙で、洗練されていて、同時に子供のように純粋で無垢である。ここにはわたしを泣かせるすべてがあり、わたしを泣かせることが容易ではないと言っておきたい。
(フェデリコ・フェリーニ監督)
ジョージア(グルジア)Georgia=Sakartvelo
ジョージアはコーカサス山脈の南に位置し、ロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、トルコと国境を接している。面積は北海道の約80%、人口は約370万人。ジョージア人を中心に多様な民族が暮らし、主な宗教はジョージア正教である。ジョージア語では国名をサカルトヴェロという。3000年の歴史があるといわれ、東西交易の要所であるために周辺の国々から度重なる侵略を受けてきたが、今日まで独自の言語、文化を守り通してきた。ロシア帝国の支配から1918年に独立。1921年から70年間、ソ連邦に組み込まれていたが、1991年に独立を回復する。

しかし内戦に加え、アブハジア、南オセチアにおける分離独立の紛争が激化し国内は混乱した。このために映画も傷つき、1000以上の作品が上映不能になった。現在、状況は改善され、ワイン発祥の地といわれるこの国には世界から多くの観光客が訪れ、映画などの文化芸術も復活を遂げ、世界の人々に新鮮な驚きを与えている。
日本・ジョージア国交樹立30周年記念
[主催] ジョージア映画祭2022実行委員会企画・制作:はらだたけひで/企画協力・日本語字幕:児島康宏/上映素材制作:大谷和之
[共催] 一般社団法人コミュニティシネマセンター
[協力] ジョージア国立フィルムセンター、ジョージア国立アーカイブ、ジョージア・フィルム、ジョージア映画発展基金、ジョージア映画アカデミー
[後援] 在日ジョージア大使館 入場料
一般¥1,500/会員¥1,200/シニア¥1,100/学生応援プライス¥500(横浜シネマリンSNSフォロー&要学生証提示)
トークイベント
5/7(土)15:45 Dプログラム『結婚式/傘/音楽家たち/井戸』上映後
ゲスト:はらだたけひでさん(「ジョージア映画祭2022」主宰/画家)
上映スケジュール
5/7(土) | 5/8(日) | 5/9(月) | 5/10(火) | 5/11(水) | 5/12(木) | 5/13(金) |
![]() A ドキュメンタリー/アラベスク |
![]() Bエリソ/アラヴェルディ |
![]() Cハバルダ |
![]() F喜びの家/「ケトとコテ」を求めて |
![]() G幸福/ブバ |
![]() E祈り |
![]() Aピロスマニ |
![]() Aピロスマニ |
![]() B白いキャラバン |
![]() C失楽園 |
![]() Fケトとコテ |
![]() Gウジュムリ |
![]() E希望の樹 |
![]() F喜びの家/「ケトとコテ」を求めて |
![]() D結婚式/傘/音楽家たち/井戸 上映後 トークイベント はらだたけひでさん |
![]() B青い山 |
![]() Cマグダナのロバ |
![]() Aピロスマニ |
![]() Gインタビュアー |
![]() E懺悔 |
![]() Fケトとコテ |
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![]() Cナイロンのクリスマスツリー |
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![]() Aドキュメンタリー/アラベスク |
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予定表 横にスクロールできます
5/14(土) | 5/15(日) | 5/16(月) | 5/17(火) | 5/18(水) | 5/19(木) | 5/20(金) |
![]() Aアラベスク/ドキュメンタリー |
![]() E祈り |
![]() G幸福/ブバ |
![]() D結婚式/傘/音楽家たち/井戸 |
![]() Bエリソ/アラヴェルディ |
![]() B青い山 |
![]() Cマグダナのロバ |
![]() D結婚式/傘/音楽家たち/井戸 |
![]() E懺悔 |
![]() Gウジュムリ |
![]() Aドキュメンタリー/アラベスク |
![]() B白いキャラバン |
![]() Cナイロンのクリスマスツリー |
![]() C失楽園 |
![]() E希望の樹 |
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![]() Gインタビュアー |
![]() Aピロスマニ |
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![]() Cハバルダ |
![]() D結婚式/傘/音楽家たち/井戸 |
予定表 横にスクロールできます
5/21(土) | 5/22(日) | 5/23(月) | 5/24(火) | 5/25(水) | 5/26(木) | 5/27(金) |
![]() Bエリソ/アラヴェルディ |
![]() B白いキャラバン |
![]() Cナイロンのクリスマスツリー |
![]() Aアラベスク/ドキュメンタリー |
![]() E希望の樹 |
![]() E祈り |
![]() Fケトとコテ |
![]() B青い山 |
![]() Cハバルダ |
![]() C失楽園 |
![]() Aピロスマニ |
![]() Gインタビュアー |
![]() E懺悔 |
![]() F喜びの家/「ケトとコテ」を求めて |
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![]() Cマグダナのロバ |
![]() Gウジュムリ |
![]() G幸福/ブバル |
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予定表 横にスクロールできます
上映プログラム
ジョージア語版・日本語字幕。R印のみジョージア語版ではありません。
A プログラム
■放浪の画家ニコ・ピロスマニ特集
国民的画家ピロスマニ(1862?~1918)。彼の生涯と芸術を天賦の才に恵まれた二人の監督が見事に描く。清澄な世界と目眩く映像美。対照的な2作品を最新のデジタルリマスター版で上映する。ギオルギ・シェンゲラヤ監督追悼上映。
ピロスマニ ფიროსმანი

ギオルギ・シェンゲラヤ監督/1969/カラー/スタンダード/+英語字幕付/86分/DCP
ピロスマニは生涯の大半を日々の糧とひきかえに絵を描き続けた。ギオルギ・S監督は、画家の人生と魂を清冽に描き、その姿にジョージアの人と文化、歴史、風土への思いを重ねた。イコンに例えられるピロスマニの絵に映像は倣い、映画は崇高な輝きを帯びる。
ピロスマニのアラベスク არაბესკები ფიროსმანის თემ

セルゲイ・パラジャーノフ監督/1985/カラー/スタンダード/22分/DCP/ R
パラジャーノフ監督はトビリシ生まれのアルメニア人。その傑出した才能のために投獄され、長く沈黙を強いられたが、ジョージアの映画人によって復活を果たす。親友ギオルギ・S監督に応えるように、ピロスマニへの思いを自らの汎コーカサス的ともいえる美学で描く。
ピロスマニ・ドキュメンタリー ფიროსმანი

ギオルギ・シェンゲラヤ監督・ナレーション/1990/カラー/スタンダード/49分/DCP/ R
ピロスマニ(ニコ・ピロスマナシュヴィリ)の人生と作品を、証言と当時の写真を交えて描く。ピロスマニ入門として最適のドキュメンタリー。今回発掘された幻の作。
B プログラム
■シェンゲラヤ家の栄光
「ジョージア映画の父」ニコロズ・シェンゲラヤ監督と大女優ナト・ヴァチナゼとの間に生まれたエルダルとギオルギの兄弟。一家はジョージア映画を草創期から今日まで牽引し、守り発展させてきた。彼らの作品にスポットをあてる。
エリソ ელისო

ニコロズ・シェンゲラヤ監督/1928/白黒/スタンダード/+英語字幕付/80分/DCP/サイレント・サウンド版
ジョージア無声映画の傑作。1864年のロシア帝政下、コーカサスの険しい山々を舞台に、抑圧された民族の心情が劇的に描かれる。リズミカルな展開、緻密なモンタージュなど当時の映画美学の全てが注ぎこまれた。国民的文豪アレクサンドレ・カズベギの原作。
アラヴェルディの祭 ალავერდობა

ギオルギ・シェンゲラヤ監督/1962/白黒/スタンダード/+英語字幕付/42分/DCP
ギオルギ・S監督の第一作。タルコフスキー監督が「この作品によって映画の新しい時代が始まった」と評したという。カヘティ地方の大聖堂で行われる由緒ある祭で一人の男が起こした行動をとおして、民族的伝統の意味を問う鮮烈な映像詩。(原作・未知谷刊)
白いキャラバン თეთრი ქარავანი

エルダル・シェンゲラヤ+タマズ・メリアヴァ共同監督/1963/白黒/スタンダード/+英語字幕付/93分/DCP
エルダル・S監督のジョージア帰郷後の第1作。コーカサスの山岳地帯からカスピ海沿岸へ羊の群れを追う牧夫たちの厳しい生活。孤独、歓び、憧れ、切なさ。人々の気高い魂を、大自然を背景に描く。2019年カンヌ国際映画祭カンヌクラシック部門で上映。
青い山――本当らしくない本当の話 ცისფერი მთები ანუ დაუჯერებელი ამბავი

エルダル・シェンゲラヤ監督/1983/カラー/スタンダード/+英語字幕付き/95分/DCP
カンヌ国際映画祭で歴史的名作ベスト20に選ばれた。若い作家が自作の小説を出版するために出版所を訪れる。そこで見た職員たちの常軌を逸した姿をとおし、役人社会の実態をエルダル得意のユーモアと風刺で描く。後のソヴィエト連邦崩壊を予見した作品。
C プログラム
■よみがえった歴史的名作
1920年代にロシア・アヴァンギャルドの影響を受けた後、社会主義リアリズムが提唱され、スターリン時代の粛清の恐怖、世界大戦を経て雪解けの時代を迎える。そして80年代のペレストロイカ。その時々の知られざる名作を紹介する。
ハバルダ ხაბარდა

ミヘイル・チアウレリ監督/1931/白黒/スタンダード/63分/サイレント/DCP/ R
1930年代に入りスターリン政権によって形式主義批判が行われ、社会主義リアリズムが唱えられるなかでチアウレリ監督は数々の名作を遺した。トビリシで地域を再開発しようとする者と古い教会を守る者、新旧勢力の激しい軋轢、時代の潮目を描いた問題作。
失楽園 დაკარგული სამოთხე

ダヴィト・ロンデリ監督/1937/白黒/スタンダード/82分/DCP
1937年はスターリンによる大粛清で多くの人が処刑、流刑された恐怖の年。しかしこの年に作られた本作は捧腹絶倒のコメディー。西ジョージアの農村を舞台に、没落貴族が一攫千金を夢見て、裕福な農家の花嫁を迎えようと策を練り、村を揺るがす大騒ぎに。
マグダナのロバ მაგდანას ლურჯა

レゾ・チヘイゼ+テンギズ・アブラゼ共同監督/1955/白黒/スタンダード/+英語字幕付/71分/DCP
旧邦題「青い目のロバ」。1956年カンヌ国際映画祭短編グランプリを獲得、ジョージア映画を世界に知らしめた。後の巨匠、アブラゼ監督とチヘイゼ監督の第1作。病気のロバを救った貧しい母子の姿を描き、硬直化した映画界に新風を吹き込んだ社会派作品。
ナイロンのクリスマスツリー ნეილონის ნაძვის ხე

レゾ・エサゼ監督/1985/白黒/スタンダード/75分/DCP
ソ連社会の激動を予見した作品といわれる。ペレストロイカ(建て直し)直前の作品。大晦日、新年を故郷で迎えるためにトビリシからバスで帰省する人々をとらえ、時代を生き彫りにする。様々な立場の老若男女を描いた群像劇の傑作。レゾ・エサゼ監督追悼上映。
D プログラム
■ミヘイル・コバヒゼ監督特集
コバヒゼ監督のユーモアとエスプリ、洒脱した感性は世界的に評価され、作風はJ・タチに例えられる。しかし「音楽家たち」を当局に批判され、抗議をこめて彼は製作現場を離れた。2019年に亡くなり、多くの映画人に惜しまれた。追悼上映。
結婚式 ქორწილი

ミヘイル・コバヒゼ監督/1964/白黒/スタンダード/+英語字幕付/20分/DCP/ R
コバヒゼ監督作品には台詞はない。映像と音楽で表現された「純粋映画」とも評される。しかし難解ではなく、人間の行いをユーモアやペーソスを交えて作るシネポエムのような味わい。本作は青年がバスで出会った娘に一目惚れした後の顛末を軽やかに描く。
傘 ქოლგა

ミヘイル・コバヒゼ監督/1967/白黒/スタンダード/+英語字幕付/19分/DCP/ R
「ジョージアにおける短篇映画のルネサンスの創始者」「世界の映画芸術を代表する監督の一人」と称賛されたコバヒゼ監督。列車の運行を監視する鉄道員の青年と娘の恋に、空を自由に浮かぶ傘が参入して二人との駆け引きが始まる。そこへ新たな男が現れて‥。
音楽家たち მუსიკოსები

ミヘイル・コバヒゼ監督/1969/白黒/スタンダード/+英語字幕付/13分/DCP/ R
白い背景に二人の音楽家の対立や交流がパントマイムで演じられる。音楽に造詣が深いコバヒゼ監督の才能が発揮された作品で、本人も出演。しかし当局から反体制的と批判され上映禁止、さらに映画製作も禁止される。彼は抗議をこめて製作現場から離れてゆく。
井戸 ჭა

エルダル・シェンゲラヤ監督/2020/白黒・パートカラー/ヴィスタ/21分/DCP
巨匠エルダル・シェンゲラヤ監督が盟友コバヒゼ監督の思い出に捧げた作品。トビリシの街角で突然井戸を掘る工事が始まり、周辺住人を巻き込む大騒ぎに発展してゆく。現代ジョージア社会を諷刺しながらもユーモアと温かさにみちた作品。
E プログラム
■テンギズ・アブラゼ監督「祈り 三部作」
巨匠テンギズ・アブラゼ監督が20年の歳月をかけて完成させた金字塔。「人の美しい本性が滅びることはない」という信念のもと、人間の迷妄や欲望がもたらす社会的暴力を、詩的、寓話的に描き、人間性を虐げるものを鋭く告発する。
祈り ვედრება

テンギズ・アブラゼ監督/1967/白黒/シネスコ/78分/DCP/ザジフィルムズ配給
北東部、コーカサスの厳しい山岳地帯で暮らすキリスト教徒とイスラム教徒、村同志の因縁の対立をとおして、人間の愚かさと過ち、それらを超える精神を白黒の荘厳な映像で描く。国民的作家V.プシャヴェラの叙事詩が原作(原作・冨山房インターナショナル刊)。
希望の樹 ნატვრის ხე

テンギズ・アブラゼ監督/1976/カラー/スタンダード/107分/DCP/ザジフィルムズ配給
20世紀初頭の東ジョージア、カヘティ地方の農村が舞台。時代の大きな変化を予感して村人たちは動揺を隠せないでいる。そのなかで美しい娘と青年の純愛が古くからの因習のために打ち砕かれてゆく‥。ギオルギ・レオニゼの短編集が原作(未知谷刊)。
懺悔 მონანიება

テンギズ・アブラゼ監督/1984/カラー/スタンダード/153分/DCP/ザジフィルムズ配給
架空の地方都市で元市長の墓が何者かに暴かれ、犯人の女性が捕らえられる。彼女の証言で元市長の独裁によって多くの市民が粛清されたことが明らかにされる。タブーとされていたスターリンによる暗黒の時代を初めて描き、ソ連邦のペレストロイカの象徴となる。
F プログラム
■国民的映画「ケトとコテ」を究める
スターリンの指示で作られた娯楽大作「ケトとコテ」。完成後、上映禁止となるが、後にジョージアを代表する映画となる。そして現代の同作をめぐる2本のドキュメンタリーをとおして映画の歓びを語り、歴史の闇に光を当てる。
ケトとコテ ქეთო და კოტე

ヴァフタング・タブリアシュヴィリ+シャルヴァ・ゲデヴァニシュヴィリ共同監督/1948/白黒/スタンダード/+英語字幕付/90分/DCP
戦後の沈滞した社会に活気を生むために製作された絢爛豪華なミュージカル映画。19世紀半ばのトビリシを再現し、商人の娘ケトと公爵の甥コテが、仲人ハヌマの助けを得て困難を乗り越え、無事結ばれるまでを描く。今も人々に愛される国民的映画の名作。
喜びの家 სახლი სიხარულისა

メラブ・ココチャシュヴィリ監督/2008/カラー/ヴィスタ/+英語字幕付/61分/DCP
「喜びの家」とは首都トビリシを指す。本作は「ケトとコテ」の祝祭的世界を舞台化する様子を描きながら、知られざる歴史の真実に光を当てる。また古き良きトビリシへの讃歌でもある。名優チヒクヴァゼが映画と街の魅力を、資料映像等を交えて語る。
「ケトとコテ」を求めて „ქეთო და კოტეს“ ძიებაში

ダヴィト・グジャビゼ監督/2009/カラー/ヴィスタ/66分/DCP
「喜びの島」の製作過程を追ったドキュメンタリー。映画「ケトとコテ」のオリジナルは19世紀の戯曲「ハヌマ」まで遡る。国民的ミュージカルの歴史を辿りながら、スターリン時代の歴史的真実を、製作関係者の貴重な証言によって明らかにする。
G プログラム
■ゴゴベリゼ家・女性監督の系譜 ◎ラナ・ゴゴベリゼ監督最新作「金の糸」公開記念
ヌツァ・ゴゴベリゼはジョージア最初の女性監督。1937年の大粛清で夫は処刑され、彼女は長く流刑された。その娘ラナは戦後ジョージア映画を代表する監督。ラナの娘サロメを加え、一家は三世代にわたり女性と社会を捉え続ける。
ブバ ბუბა

ヌツァ・ゴゴベリゼ監督/1930/白黒/スタンダード/+英語字幕付/37分/DCP/サイレント・サウンド版/ R
国家建設という名目はあるが、コーカサスのラチャ地方の大自然のなかで、ジョージアの人々の厳しい労働と四季折々の暮らしが描かれる。村人たちのドラマティックなダンスや幼子の描写に斬新なモンタージュを用いるなど、彼女の傑出した才能を感じさせる。
ウジュムリ უჟმური

ヌツァ・ゴゴベリゼ監督/1934/白黒/スタンダード/58分/DCP/サイレント・サウンド版
ソ連邦初の女性監督による長編劇映画。西ジョージアの湿地帯で政府の啓蒙政策、水路建設の人々と土着の住民の軋轢を描く。完成後にヌツァは粛清され、作品もすべて押収されて2018年まで存在すら確認できなかった。ギヤ・カンチェリの音楽がついた新版。
インタビュアー რამდენიმე ინტერვიუ პირად საკითხებზე

ラナ・ゴゴベリゼ監督/1978/カラー/スタンダード/95分/DCP
ラナの作品はいずれも高い知性と繊細な感性を感じさせ、テーマは多様だが時代と社会を鋭くとらえる。本作はジョージア初のフェミニズム映画といわれ、女性新聞記者の家庭における葛藤、そして彼女の女性たちへの取材の日々をとおして現代を浮き彫りにする。
幸福 ბედნიერება

サロメ・アレクシ監督/2009/カラー/ヴィスタ/32分/DCP
ラナの娘も現代ジョージア人が抱える問題を女性の立場で描く。独立後の厳しい社会状況下、イタリアへ不法入国で渡って出稼ぎする妻が、突然亡くなった夫の葬儀に帰れず、参列者が訪れるなかで携帯電話を使って遺体に思いを語る‥。悲しくも可笑しい傑作。
5/7(土)~
チェルノブイリ1986

© «Non-stop Production» LLC,
© «Central Partnership» LLC,
© «GPM KIT» LLC, 2020. All Rights Reserved.
2020年/ロシア/136分/配給:ツイン
原題:ЧЕРНОБЫЛЬ
製作・監督・主演:ダニーラ・コズロフスキー
製作:アレクサンドル・ロドニャンスキー
出演:オクサナ・アキンシナ、フィリップ・アヴデエフ
字幕翻訳:平井かおり
字幕監修:市谷恵子
1986年4月26日 チェルノブイリ原子力発電所4号炉爆発
全世界を未曾有の危機から救うため、命を懸けた一人の消防士がいた
事故の当事国だったロシアの映画界が
実話に基づいて映像化した知られざる真実
1986年4月26日、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国プリピャチのチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故。この未曾有の大惨事は、のちに超大国のソ連が崩壊した一因になったとも言われ、数多くのドキュメンタリーが作られた。2019年に米HBOドラマ「チェルノブイリ」がエミー賞10部門を独占したことも記憶に新しい。
この度、ロシア映画界が政府や国営原子力企業の協力を得て、他とは全く違った視点で描いた本作『チェルノブイリ1986』を完成させた。人々の日常生活や生命をどれほど脅かし、彼らの人生に壊滅的な影響を与えたのか。事故発生当時、現地で撮影した経験を持つプロデューサーが、爆発直後に現場に急行した消防士たちの苦闘や避難民たちの混乱ぶりなど、一般市民の視点からリアルに映し出した、映画だからこそ描けた衝撃の真実。
その日、世界は変わった――
人生が激変した消防士の壮絶な運命を描く、ヒューマン・スペクタクル大作
若き消防士アレクセイは、元恋人オリガと10年ぶりに再会を果たし、彼女とともに新たな人生を歩みたいと願っていた。ところが地元のチェルノブイリ原発で爆発事故が起こり、それまでの穏やかな日常が一変。事故対策本部の会議に出席したアレクセイは、深刻な水蒸気爆発の危機が迫っていることを知らされる。もしも溶け出した核燃料が真下の貯水タンクに達すれば、ヨーロッパ全土が汚染されるほどの大量の放射性物質がまきちらされてしまう。
愛する人のためタンクの排水弁を手動で開ける決死隊に志願したアレクセイだったが、行く手には想像を絶する苦難が待ち受けていた…。



上映日時
5/7(土)~5/13(金) | 5/14(土)~5/20(金) | 5/21(土)~5/27(金) |
10:00-12:20 20:20-22:40 ※20:20回は ![]() |
18:20-20:40 | 20:40-23:00![]() |
料金
一般 | シニア | 学生応援プライス(大学生以下) | |
通常 | ¥1800 | ¥1100 | ¥500 |
会員 | ¥1500 | ¥1100 | ¥500 |
4/30(土)-5/6(金),5/14(土)-20(金)
濱口竜介監督特集上映《言葉と乗り物》

4/30(土)-5/6(金)
―言葉は 想像力を運ぶ電車です―
映画『親密さ』より
4/30(土)-5/6(金)
―言葉は 想像力を運ぶ電車です―
映画『親密さ』より
濱口竜介監督最新作『偶然と想像』までの濱口監督の歩みをたどる監督作をセレクトし特集上映します。
ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した『偶然と想像』、そしてカンヌ国際映画祭では『ドライブ・マイ・カー』が4冠、その後各国での受賞・ノミネートの嵐が止まらない、いま世界でもっとも注目される映画作家となった濱口竜介監督。
大学映画研究会で撮られた8mm作品ながらすでに濱口映画の特徴の詰まった『何食わぬ顔』、世界に発見されるきっかけとなった初期代表作『PASSION』、軽妙でかつスリリング極まりないコメディ『永遠に君を愛す』、日韓共同制作の体制に応答するかのように様々なボーダーを横断する『THE DEPTHS』、俳優ワークショップから出発し舞台劇制作そのものを組み込んだ4時間超の青春映画『親密さ』、100年残る記録映画を目指して「語り」を捉えた東北記録映画三部作(『なみのおと』『なみのこえ 気仙沼/新地町』『うたうひと』)、来るべき長編へのパイロット版として構想された『不気味なものの肌に触れる』、演技未経験の出演陣とこれまでの演出方法を磨き上げ現代映画のひとつの到達点となった『ハッピーアワー』、そして『偶然と想像』にも繋がる軽やかさを纏った『天国はまだ遠い』。
濱口映画に欠かせない「言葉」、そしてさまざまな「乗り物」… 濱口竜介のフィルモグラフィーを見つめると、一貫した、複数の主題があり、作品ごとでの挑戦があり、それがさらに次の作品へと繋がっていることが浮かび上がってきます。
いま改めて、そして初めて、濱口竜介作品をスクリーンで発見してください。

濱口竜介 はまぐちりゅうすけ
1978年神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され話題を呼ぶ。その後は日韓共同制作『THE DEPTHS』(10)、東日本大震災の被害を受けた人々の「語り」をとらえた『なみのおと』、『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(11~13/共同監督:酒井耕)、4時間を超える虚構と現実が交差する意欲作『親密さ』(12)などを監督。15年、映像ワークショップに参加した演技経験のない4人の女性を主演に起用した5時間17分の長編『ハッピーアワー』が、ロカルノ、ナント、シンガポールほか国際映画祭で主要賞を受賞。商業映画デビュー作『寝ても覚めても』(18)がカンヌ国際映画祭コンペテション部門に選出され、共同脚本を手掛けた黒沢清監督作『スパイの妻〈劇場版〉』(20)ではヴェネチア国際映画祭銀獅子賞に輝く。『偶然と想像』は第71回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(審査員グランプリ)受賞、『ドライブ・マイ・カー』(21)では、第74回カンヌ国際映画祭にて脚本賞に加え、国際批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞も同時受賞。その後も世界各地での受賞が相次ぎ、いま、世界から最も注目される映画作家の一人として躍進を続けている。
公式ホームページ上映作品
- 何食わぬ顔(long version)
- PASSION
- 永遠に君を愛す
- THE DEPTHS
- 親密さ
- なみのおと
- なみのこえ 気仙沼
- なみのこえ 新地町
- うたうひと
- 不気味なものの肌に触れる
- ハッピーアワー
- 天国はまだ遠い
- 偶然と想像
- 1プログラム料金:一般1,500円/会員1,200円/シニア1,100円/学生応援プライス500円
- 特別料金プログラム1『親密さ』:一律2,000円
- 特別料金プログラム2『ハッピーアワー』:三部通し券のみ一律3,000円
- 特別上映『偶然と想像』:一般1,800円/会員1,500円/シニア1,100円/学生応援プライス(大学生以下)500円
上映スケジュール
4/30(土) | 5/1(日) | 5/2(月) | 5/3(火祝) | 5/4(水祝) | 5/5(木祝) | 5/6(金) |
![]() 何食わぬ顔 |
![]() 偶然と想像 |
![]() なみのおと |
![]() PASSION |
![]() ![]() 12:00ー13:40 不気味なものの肌に触れる/天国はまだ遠い |
![]() 永遠に君を愛す |
![]() THE DEPTHS |
![]() PASSION |
![]() 永遠に君を愛す |
![]() なみのこえ気仙沼 |
![]() ハッピーアワー |
![]() THE DEPTHS |
![]() 親密さ |
![]() 何食わぬ顔 |
![]() ![]() 16:15-17:55 不気味なものの肌に触れる/天国はまだ遠い |
![]() 親密さ |
![]() なみのこえ新地町 |
![]() 何食わぬ顔 |
![]() 親密さ |
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![]() THE DEPTHS |
![]() うたうひと |
![]() PASSION |
![]() 偶然と想像 |
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![]() ハッピーアワー オールナイト上映 |
5/14(土) | 5/15(日) | 5/16(月) | 5/17(火) | 5/18(水) | 5/19(木) | 5/20(金) |
![]() 偶然と想像 |
![]() PASSION |
![]() THE DEPTHS |
![]() 偶然と想像 |
![]() PASSION |
![]() THE DEPTHS |
![]() 偶然と想像 |
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作品紹介
何食わぬ顔(long version)

©2002 fictive
2002年/98分
監督・脚本・編集:濱口竜介/撮影:渡辺淳、濱口竜介、東辻賢治郎/録音:井上和士/音楽:David Nude、ROMAN
出演:松井智、濱口竜介、岡本英之、遠藤郁子、石井理絵 ほか
友人に言われるままに亡兄の遺作となる8ミリ映画を撮影する野村。彼の煮え切らない態度が周囲を戸惑わせる。東京大学映画研究会にて全編8mmフィルムで撮影された本作は、濱口が敬愛するジョン・カサヴェテス『ハズバンズ』(’70)の影響が色濃い。映画内映画の緻密な構成など、濱口映画のエッセンスがすでに本作には詰まっている。
PASSION

©︎東京藝術大学大学院映像研究科
2008年/115分
監督・脚本:濱口竜介/撮影:湯澤祐一/照明:佐々木靖之/録音:草刈悠子/編集:山本良子
出演:河井青葉、岡本竜汰、占部房子、岡部尚、渋川清彦 ほか
結婚間近の果歩と智也を祝う席上、智也の過去の浮気が発覚し…。男女5人が揺れ動く一夜を描いた群像劇。渋川清彦、河井青葉、占部房子と、『偶然と想像』や濱口作品の常連になる俳優たちが結集している。第56回サン・セバスチャン国際映画祭、第9回東京フィルメックスへ出品され映画作家・濱口竜介が世界に発見されるきっかけとなった初期代表作。
永遠に君を愛す

©2009 fictive
2008年/115分
監督:濱口竜介/脚本:渡辺裕子/撮影:青木穣/照明:後閑健太/録音:金地宏晃、上條慎太郎/編集:山崎梓/音楽:岡本英之
出演:河井青葉、杉山彦々、岡部尚、菅野莉央、天光眞弓、小田豊 ほか
結婚式当日を迎えた永子と誠一の1日を描く。永子には婚約者・誠一に言い出せない秘密があった。『PASSION』に出演した河井青葉と岡部尚が出演し、同作とは反転したような役柄を演じている。秘密と本音が明らかになっていくスリリングさを基調としつつ、突拍子もない展開に笑ってしまうような要素にも満ちた中編作品。
THE DEPTHS

© Tokyo University of the Arts Graduate School of Film and New Media & Korean Academy of Film Arts 2010
2010年/121分
監督:濱口竜介/脚本:大浦光太、濱口竜介/撮影監督:ヤン・グニョン/照明:後閑健太/録音:金地宏晃/編集:山崎梓/音楽:長嶌寛幸
出演:キム・ミンジュン、石田法嗣、パク・ソヒ、米村亮太朗、村上淳 ほか
韓国人カメラマン・ペファンは日本滞在中に男娼のリュウをモデルとして見出すも、過酷な運命が二人を待つ。濱口作品初参加となった石田法嗣が、さまざまな境界を取り払っていくリュウを演じる。東京藝術大学と韓国国立映画アカデミーによる共同製作作品で、キャストだけでなくスタッフも日韓混成チームで行われた。
親密さ

© ENBUゼミナール
2012年/255分
監督・脚本:濱口竜介/舞台演出:平野鈴/撮影:北川喜雄/編集:鈴木宏/整音:黄永昌/劇中歌:岡本英之
出演:平野鈴、佐藤亮、田山幹雄、伊藤綾子、手塚加奈子、新井徹、菅井義久、香取あき ほか
ENBUゼミナールの映像俳優コースの修了作品としてスタートした企画。「親密さ」という演劇を作り上げていく過程をフィクションとして演じる前半と、実際の上演を記録し映画として構成した後半の二部構成で描かれる傑作青春群像劇。現実と虚構が複雑に交錯し続け、虚実の彼岸にあるリアリティーの核心が胸を揺さぶる。
なみのおと

©silent voice
2011年/142分
監督:濱口竜介、酒井耕/撮影:北川喜雄/整音:黄永昌
津波被害を受けた三陸沿岸部に暮らす人々の対話を撮り続けたドキュメンタリー。親しいもの同士が震災について見つめ合い、語り合う口承記録の形が取られている。未曾有の事態に対してカメラは何を記録し、この被災を伝え続けることができるのか。被災地の悲惨な映像ではなく、映画が「良き伝承者」となるよう、対話と、そこから生成される人々の感情を記録しようとする。
なみのこえ 気仙沼

©silent voice
2013年/109分
監督:濱口竜介、酒井耕/実景撮影:北川喜雄/整音:黄永昌
2012年1月から2013年3月に行われた宮城県気仙沼市に暮らす7組11名への対話形式インタビューの記録。『なみのおと』から一年が経ち、「被災者」の声ではなく、現実にそこに生きる「一人ひとり」の声として対話が記録された。発言は、当事者による一次情報としてただ提示されるのではなく、カメラは声の抑揚や発言者や聞き手の表情など言葉に還元できない要素を捉える。
なみのこえ 新地町

©silent voice
2013年/103分
監督:濱口竜介、酒井耕/実景撮影:北川喜雄/整音:鈴木昭彦
2012年1月から2012年6月に、福島第一原子力発電所から約50キロ離れた場所に位置する福島県新地町に暮らす6組10名への対話形式インタビュー。三部作に共通して、両監督が聞き手として、カメラを正面から向けられる被写体としても登場することから、制作者の倫理的な態度が窺える。「聞く」ことで得られる「いい声」(書籍『カメラの前で演じること』)という経験は、その後制作した『ハッピーアワー』にも大きく示唆を与えた。
うたうひと

©silent voice
2013年/120分
監督:濱口竜介、酒井耕/撮影:飯岡幸子、北川喜雄、佐々木靖之/整音:黄永昌
100年先への被災体験の伝承という課題に対して、東北地方伝承の民話語りから示唆を得て、みやぎ民話の会の小野和子を聞き手に迎え、伝承の民話語りが記録された。語り手と聞き手の間に生まれる民話独特の「語り/聞き」の場は、創造的なカメラワークによって記録され、スクリーンに再現される。映画と民話の枠を超えた新たな伝承映画。
不気味なものの肌に触れる

©2013 Sunborn, fictive
2013年/54分
監督:濱口竜介/脚本:高橋知由/撮影:佐々木靖之/音響:黄永昌/音楽:長嶌寛幸/振付:砂連尾理
出演:染谷将太、渋川清彦、石田法嗣、瀬戸夏実、村上淳、河井青葉、水越朝弓 ほか
千尋は父を亡くして、腹違いの兄・斗吾が彼を引き取る。斗吾と彼の恋人・里美は千尋を暖かく迎えるが、千尋の孤独は消せない。千尋が夢中になるのは、同い年の直也とのダンスだ。しかし、無心に踊る彼らの街ではやがて不穏なできごとが起こりはじめる…。来るべき長編映画『FLOODS』のパイロット版でもある異色作。
ハッピーアワー

©2015 KWCP
2015年/317分
監督:濱口竜介/脚本:はたのこうぼう(高橋知由、野原位、濱口竜介)/撮影:北川喜雄/照明:秋山恵二郎/録音:松野泉/音楽:阿部海太郎
出演:田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りら ほか
30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。純の秘密を知るまでは……。市民参加による「即興演技ワークショップ in Kobe」から誕生した。ほとんどの登場人物を演技未経験者がつとめ、これまでにない試みでつくりあげた三部構成の本作は、ロカルノ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した。
天国はまだ遠い

©2016 KWCP
2016年/38分
監督・脚本:濱口竜介/撮影:北川喜雄/録音:西垣太郎/整音:松野泉/音楽:和田春/出演:岡部尚、小川あん、玄理
AVのモザイク付けを生業とする雄三は、女子高生の三月(みつき)と奇妙な共同生活を送っている。ある日、三月の妹から雄三に一本の電話が入る。見える/見えない/見せないこと、カメラを向ける/向けられるなど、過去作とも共通した主題が現れつつ、不思議な爽快感も残す。当初クラウドファンディングのリターンとして企画された短編作品。
特別上映
偶然と想像

©︎ 2021 NEOPA / Fictive
2021年/121分/日本/カラー/1.85:1/DCP/PG12映倫/配給:Incline/配給協力:コピアポア・フィルム
監督・脚本:濱口竜介
撮影:飯岡幸子
プロデューサー:高田聡
製作:NEOPA、fictive
出演:(第一話)古川琴音、中島歩、玄理/(第二話)渋川清彦、森郁月、甲斐翔真/(第三話)占部房子、河井青葉
驚きと戸惑いの映画体験が、いま始まる—
2021年のカンヌ映画祭では『ドライブ・マイ・カー』が脚本賞など4冠に輝き、2020年のベネチア国際映画祭では共同脚本を手がけた『スパイの妻』が銀獅子賞(監督賞)、そして本作が、ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞するなど世界が最も注目する監督のひとりとなり、また日本映画の新しい時代をリードする存在となった濱口⻯介。待望の新作は、「偶然」をテーマに3つの物語が織りなされる初の、そして自身が「このスタイルをライフワークとしたい」と語る「短編集」となった。
偶然―それは、人生を大きく静かに揺り動かす
親友同士の他愛ない恋バナ、
大学教授に教えを乞う生徒、
20年ぶりに再会した女友達・・・
軽快な物語の始まり、日常の対話から一転、鳥肌が立つような緊張感とともに引き出される人間の本性、切り取られる人生の一瞬…日本映画の新時代を感じさせる映画体験が、観るものの心を捉えるだろう。
出演に、『街の上で』『花束みたいな恋をした』など話題作に出演し圧倒的な存在感を放つ古川琴音を始め、中島歩、森郁月、甲斐翔真らフレッシュな顔ぶれが揃った。そして濱口組出演経験のある玄理、渋川清彦、占部房子、河井青葉ら個性豊かな俳優陣が好演。小さな撮影体制でリハーサル・撮影時間を充分に確保し、彼らの繊細な表現を丁寧に映した。まるで劇中に流れるシューマンのピアノ曲集『子供の情景』のように軽やかかつ精緻で、遊び心に溢れた俳優の演技は必見だ。
今、こうしている瞬間にも
偶然の引力で引き合わされている-
第一話 魔法 (よりもっと不確か)

撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子(古川琴音)は、仲の良いヘアメイクのつぐみ(玄理)から、彼女が最近会った気になる男性(中島歩)との惚気話を聞かされる。つぐみが先に下車したあと、ひとり車内に残った芽衣子が運転手に告げた行き先は──。
第二話 扉は開けたままで

作家で教授の瀬川(渋川清彦)は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、同級生の奈緒(森郁月)に色仕掛けの共謀をもちかけ、瀬川にスキャンダルを起こさせようとする。
第三話 もう一度

高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)は、仙台駅のエスカレーターであや(河井青葉)とすれ違う。お互いを見返し、あわてて駆け寄る夏子とあや。20年ぶりの再会に興奮を隠しきれず話し込むふたりの関係性に、やがて想像し得なかった変化が訪れる。
- 一般1,800円/会員1,500円/シニア1,100円/学生応援プライス(大学生以下)500円
ピンバック: 最新作『偶然と想像』までの濱口監督の歩みをたどる監督作をセレクトします。 – マグカル
マグカルドットネット ご担当者様
横浜シネマリンの八幡です。
承認が遅くなりまして、申し訳ございません。
「濱口竜介監督特集上映《言葉と乗り物》」は、大反響につき、5/14(土)~20(金)のレイト枠でも上映が決定しております。
追記していただけますでしょうか。よろしくお願い致します。
八幡