近日上映作品

8/3(土)~

風が吹くとき(日本語吹替版)

風が吹くとき

©︎ MCMLXXXVI

1986年/イギリス/85分/提供:コンテンツ・ポテンシャル/配給:チャイルド・フィルム/配給協力・宣伝:プレイタイム
原題:When the Wind Blows
原作・脚本:レイモンド・ブリッグズ
監督:ジミー・T・ムラカミ
音楽:ロジャー・ウォーターズ
主題歌:デヴィッド・ボウイ「When The Wind Blows」
製作:ジョン・コーツ
日本語(吹替)版監督:大島渚
声の出演:森繁久彌(ジム)、加藤治子(ヒルダ)
後援:ブリティッシュ・カウンシル

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37年の時を経て
あのときの風はまだ吹いている

アニメーション映画『風が吹くとき』は、1986年に英国で制作され、翌1987年に日本でも劇場公開された。「スノーマン」や「さむがりやのサンタ」で知られる作家・イラストレーターのレイモンド・ブリッグズが、マンガのようなコマ割りスタイルで描いた同名の原作「風が吹くとき」(あすなろ書房刊)を、自らも長崎に住む親戚を原爆で亡くした日系アメリカ人のジミー・T・ムラカミ(『スノーマン』)が監督。音楽を元ピンクフロイドのロジャー・ウォーターズが手掛け、主題歌「When the Wind Blows」をデヴィッド・ボウイが歌っている。さらに『戦場のメリー・クリスマス』(1983)で生まれたボウイとの友情から、日本語(吹替)版を大島渚監督が担当。また、主人公の夫婦ジムとヒルダの声を森繁久彌と加藤治子が吹き替えたことでも大きな話題を呼んだ一作だ。

本作はしかし、ブリッグズの愛らしいキャラクターと温かみのあるタッチからは想像がつかないほど、核戦争の恐怖を強く訴える物語でもある。日本での初公開から37年を経た現在でも、SNSでは「当時鑑賞してトラウマになった」というファンも少なくない。ブリッグズはなぜ核の恐怖を描いたのか?原作が描かれた1982年当時は、米国とソ連(現ロシア)が数万発もの核兵器を蓄積し、軍拡競争を繰り広げた冷戦時代の真っ只中。本作で観客を唖然とさせるシーンの一つに、「3日以内に核戦争が起こる」というニュースを聞いたジムとヒルダ夫妻が、政府が発行する「PROTECT AND SURVIVE」(守り抜く)というガイドブックを参考に、自宅でドアとクッションを使った核シェルターを作る場面がある。今見ると、あまりにもナンセンスな内容だが、実は、この冊子は現実に存在し、1974年から80年まで英国政府がテレビCMやリーフレットなどの形で配布していたものである。こうした政府の姿勢に強い憤りを抱いたことも、ブリッグズが『風が吹くとき』を描いた理由の一つとなっている。

国際情勢が大きく揺らぎ、再びリアリティを増す核戦争の脅威について警鐘を鳴らすべく、唯一の被爆国であるこの日本でも『風が吹くとき』が蘇る。

STORY

イギリスの片田舎で暮らすジムとヒルダの平凡な夫婦。二度の世界大戦をくぐり抜け、子供を育てあげ今は老境に差し掛かった二人。ある日ラジオから、新たな世界戦争が起こり核爆弾が落ちてくる、という知らせを聞く。ジムは政府のパンフレットに従ってシェルターを作り始める。先の戦争体験が去来し、二人は他愛のない愚痴を交わしながら備える…、そして、その時はやってきた。爆弾が炸裂し、凄まじい熱と風が吹きすさぶ。すべてが瓦礫と化した中で、生き延びた二人は再び政府の教えにしたがってシェルターでの生活を始めるのだが…。


風が吹くとき 風が吹くとき 風が吹くとき

8/3(土)~

オッペンハイマー

オッペンハイマー

© Universal Pictures. All Rights Reserved.

2023年/アメリカ/配給:ビターズ・エンド 、ユニバーサル映画/R15
原題:Oppenheimer
監督、脚本、製作:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェン
出演:キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー
原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン

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第96回アカデミー賞®作品賞含む最多7部門受賞、クリストファー・ノーラン監督最新作。第二次世界大戦下、世界の運命を握った天才科学者の実話にもとづく物語。

第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。これに参加したJ・ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。冷戦、赤狩り―激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだった―。


オッペンハイマー オッペンハイマー

8/3(土)~

ガザ・サーフ・クラブ

ガザ・サーフ・クラブ

© Niclas Reed, Middleton Little Bridge Pictures

2016年/ドイツ/87分/アラビア語・英語・ハワイ語/配給:ユナイテッドピープル
監督:フィリップ・グナート、ミッキー・ヤミネ
製作総指揮:ミッキー・ヤミネ
プロデューサー:ベニー・タイゼン、ステファニー・ヤミネ、アンドレアス・シャープ
撮影:ニクラス・リード・ミドルトン
編集:マレーネ・アスマン、ヘルマール・ユングマン
⾳楽:サリー・ハニー
出演:サバーフ・アブ・ガネム、モハメド・アブー・ジャヤブ、イブラヒーム・アラファト
字幕:額賀 深雪 字幕監修:岡真理

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僕らはこの海で、自由をつかむ。

42歳のアブー・ジャイヤブは、最年長のサーファーで、若者たちにサーフィンを教えている。⼦どもたちがサーフィンを習いにやってくるが、以前はクローゼットの扉やテーブルの天板など、どんな木片の上でもサーフィンをしていた。23歳のイブラヒームは、いつかガザでサーフショップを開くのが夢だ。アメリカからガザにやってきたマシューにその夢を話すと、マシューは支援を約束してくれた。女性のサーファーもいる。15歳のサバーフは、子どもの頃にサーフィンを習っていた。しかし彼女はもう、若い頃のように自由にサーフィンしたり泳いだりすることはできない。彼⼥はスカーフを腰に巻いて泳ぎ、⾃分なりに抵抗することもある。彼女の夢は「世界を旅して、ガザで有名になること」。そんな中、イブラヒームに転機が訪れる。仲良くなったマシューがハワイに来ないかと誘ってくれたのだ。ガザからハワイへ。イブラヒームの夢は膨らむが──。

世界最大の「天井のない監獄」に閉じ込められたガザの若者たちは、自由と解放を求めてサーフィンに興じる。その熱意は海の先へと向かうが…

イスラエルとエジプトに挟まれたガザ地区は、約200万⼈の⼈々が狭い土地に閉じ込められている。経済封鎖が続くガザでは船舶の自由な出⼊りはなく、⼊る物資も出ていく物もほとんどない。若い世代は仕事もなく、未来への展望のないまま日々を送っている。2014年のハマスとイスラエル間の紛争は、イスラエル軍の地上侵攻に発展し、多くの人命が奪われ、多くの建物が破壊された。しかし、このような状況下でも、若い世代は自由を求めて海に繰り出し、サーフィンに興じている。厳しい制裁にもかかわらず、多⼤な努⼒の末、約40本のサーフボードがガザに持ち込まれ、ガザ市のサーフ・コミュニティはにわかに盛り上がっているのだ。海で感じられる刹那の幸せや⾃由を求めて集う若者たち。彼らの視線の先には⾃由な世界が広がっているが、果たしてその扉は開くのだろうか?


ガザ・サーフ・クラブ ガザ・サーフ・クラブ ガザ・サーフ・クラブ

8/3(土)~

医学生 ガザへ行く

医学生ガザへ行く

©2021 Arpa Films

2021年/スペイン/ドキュメンタリー/88分/配給:ユナイテッドピープル
原題:Erasmus in Gaza
監督:チアラ・アヴェザニ、マッテオ・デルボ
脚本:チアラ・アヴェザニ
プロデューサー:エヴァ・フォンタナルス
撮影監督:マッテオ・デルボ
編集:アントニオ・ラッブロ・フランチャ
⾳楽:ミケーレ・ストッコ、ミルコ・カルチェン、 アレッサンドロ・グロッソ
出演:リッカルド・コッラディ−ニ、サアディ・イェヒア・ナクハラ
制作:アルパ・フィルムズ・プロダクション

公式ホームページ

救急外科医になる夢を叶えるためにガザ地区に留学したイタリア人医学生の葛藤や成⻑を描くドキュメンタリー

イタリア人医学生のリッカルドは、奨学金を得て留学することを決意した。行き先は紛争地域であるガザ地区。友人たちは彼の安全を心配し、動揺を隠せない。しかし将来は救急外科医になりたいと考え、爆発性弾丸による外傷についての論文を書いている彼にとってのガザ行きは、医師となるための実践経験になる。周囲をフェンスで封鎖された「天井のない監獄」と呼ばれるガザに入るのは容易ではない。イスラエル、パレスチナ自治政府、そしてハマスの3つの異なる当局からの許可を得なければならないからだ。極めて複雑なプロセスを経て、欧州から初の留学生としてガザ・イスラム大学に到着すると、学長に歓迎され、ガザ内外のメディアから次々とインタビューを受けることになる。

多くの期待と注目集める彼はプレッシャーを感じ始める。救急医療の現場に入り、本当に外科医に向いているのかと自らに問うなど、不安やストレスに潰されそうになる。悩むリッカルドを救ったのは、同じく医師を目指す医大生サアディなどのパレスチナ人の若者たちだった。やがて片言のアラビア語を話す彼は現地で人気者となり、徐々に自分の居場所を見つけていく。しかし、イスラエルとの紛争が再燃すると、リッカルドは難しい選択を迫られる。安全のためガザを一時的に離れた彼は、ガザを出られない友人達に心配を募らせる。しばらくしてガザに戻り、無事だった仲間との再会を喜び、絆を深めていく。そしてすぐに、緊迫する救急医療の現場へと飛び込み、傷ついた人々の治療に当たっていく。至近距離で爆撃を受ける体験をしながらも、彼は救急外科医になる決意を固めていく。


医学生ガザへ行く 医学生ガザへ行く 医学生ガザへ行く

8/3(土)~

マミー

マミー

©2024digTV

2024年/日本/119分/DCP/配給:東風
監督:二村真弘
プロデューサー:石川朋子、植山英美(ARTicle Films)
撮影:髙野大樹 佐藤洋祐
オンライン編集:池田聡
整音:富永憲一
音響効果:増子彰
音楽:関島種彦、工藤遥
製作:digTV

公式ホームページ

【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!特典:映画鑑賞ガイドをプレゼント!(数量限定)

イベント情報 8/7(水)14:15回上映後、二村真弘監督の舞台挨拶がございます。

母は、無実だと思う。
和歌山毒物カレー事件から26年目の挑戦

和歌山毒物カレー事件――1998年7月、夏祭りで提供されたカレーに猛毒のヒ素が混入。67人がヒ素中毒を発症し、小学生を含む4人が死亡した。犯人と目されたのは近くに住む林眞須美。凄惨な事件にメディア・スクラムは過熱を極めた。自宅に押し寄せるマスコミに眞須美がホースで水を撒く映像はあまりにも鮮烈だった。彼女は容疑を否認したが、2009年に最高裁で死刑が確定。今も獄中から無実を訴え続けている。

事件発生から四半世紀、本作は最高裁判決に異議を唱える。「目撃証言」「科学鑑定」の反証を試み、「保険金詐欺事件との関係」を読み解いていく。さらに眞須美の夫・林健治が自ら働いた保険金詐欺の実態をあけすけに語り、確定死刑囚の息子として生きてきた林浩次(仮名)が、なぜ母の無実を信じるようになったのか、その胸のうちを明かす。林眞須美が犯人でないのなら、誰が彼女を殺すのか? 二村真弘監督は、捜査や裁判、報道に関わった者たちを訪ね歩き、なんとか突破口を探ろうとするのだが、焦りと慢心から取材中に一線を越え…。

映画は、この社会のでたらめさを暴露しながら、合わせ鏡のようにして、私たち自身の業や欲望を映し出す。


マミー マミー マミー

8/3(土)~1週間限定

アディクトを待ちながら

アディクトを待ちながら

2024年/日本/82分/配給:マグネタイズ/配給協力:ミカタ・エンタテインメント
監督・脚本:ナカムラサヤカ
プロデューサー:田中紀子
音楽:金谷康佑
撮影:岡本和大
録音:松島匡
編集:細野優理子
制作協力:スパイスクッキー 
製作:ギャンブル依存症問題を考える会
出演:高知東生、橋爪遼、宍戸開、升毅、青木さやか、中村優一、中山夢歩、下田大気、塚本堅一、武藤令子

公式ホームページ

【前売券】全国特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!

誰もが陥る可能性のある依存症。 やめ続ける事の難しさ、依存症に回復はあるのかー

数々のヒット曲を持つ大物ミュージシャン、大和遼が覚醒剤と大麻の所持で逮捕された。人々は驚き、落胆し、大きなニュースとなった。あれから2年。依存症患者らで結成されたゴスペルグループ「リカバリー」が音楽ホールでコンサートを開こうとしていた。そのメンバーには大和の名前があった。あの事件以来、沈黙を守ってきた大和がついにカムバックする。出演の知らせを聞いたコアなファンが続々と会場前に集まった。薬物、ギャンブル、アルコール、買い物、ゲームといった依存症者で構成される依存症ゴスペルグループ「リカバリー」。メンバーたちは互いに支え合い、スリップ(依存性物質に再び手を出すこと)することなくコンサートにこぎつける。しかし、大和は開始時間を過ぎても現れない。逃げたのか?それともスリップ?果たしてコンサートは開催できるのか———。

ギャンブル依存症、アルコール依存症、ゲーム依存症、薬物依存症、買い物依存症、ゲーム依存症… 実際の依存症者(アディクト)多数出演!依存症からの回復を題材とした衝撃の問題作!

依存症は一生治らない——日本人の大多数はそう思っているだろう。政府やメディアが作り上げたイメージによって、多くの人が依存症を克服している事実を知らない。主演の高知東生を始めとし、この映画には実際の回復を続けている依存症者、またはその家族を多数起用。リカバリー・カルチャーの重要な要素の一つである、チーム一丸となり病に立ち向かう姿は、さながら撮影隊が映画に臨む姿勢とオーバーラップする。スリリングなラストの即興芝居は、依存症の苦難を本当に経験したキャスト陣による映画への挑戦である。やめ続ける人。そして待ち続ける人々の生き様を丁寧に描いた、ナカムラサヤカ監督の最新作。


アディクトを待ちながら アディクトを待ちながら アディクトを待ちながら

8/3(土)~1週間限定

MONTEREY POP モンタレー・ポップ

モンタレー・ポップ

©2002 THE MONTEREY INTERNATIONAL POP FESTIVAL FOUNDATION, INC., AND PENNEBAKER HEGEDUS FILMS, INC. ©2017 JANUS FILMS

1968年/アメリカ/78分/配給:オンリー・ハーツ
原題:Monterey Pop
監督:D.A.ペネベイカー
字幕:George Cockle ザ・サーファーズ・ジャーナル・ジャパン
出演:ママス&パパス、キャンド・ヒート、サイモン&ガーファンクル、ヒュー・マセケラ、ジェファーソン・エアプレイン、ジャニス・ジョプリン、ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニー、エリック・バードン&ジ・アニマルズ、ザ・フー、カントリー・ジョー&ザ・フィッシュ、オーティス・レディング、ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス、ラヴィ・シャンカール

公式ホームページ

音楽、愛そして花
…それは見果てぬ夢だったのだろうか?

1967年6月、音楽界では歴史の分岐点になるふたつの事件が起きた。ひとつはビートルズの歴史的な傑作アルバム「サージェント・ペッパー・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のリリース。もうひとつは、本作が記録した世界初の大規模なロックイベント、モンタレー国際ポップフェスティバルだ。後者はチャリティイベントとして3日間に渡って行われ、20万人以上の観客を動員。69年のウッドストックに先立つ画期的な出来事として長く語り継がれることになった。

登場するのは、新しい時代の到来を告げ音楽界のレジェンドとなったミュージシャンばかり。今も史上最高のロック・ギタリストと崇められるジミ・ヘンドリックスはギターに火をつける衝撃的なプレイを見せ、女性ロックシンガーの原点ジャニス・ジョプリンは全身から声を絞り出すような圧巻のヴォーカルを披露。当時24歳だった二人は3年後にドラッグの過剰摂取のため他界。25歳だった伝説のソウルシンガー、オーティス・レディングも魂を揺さぶる歌声を聴かせるが半年後に飛行機事故でこの世を去る。フォークロック界の雄サイモン&ガーファンクル、60年代カウンターカルチャーの象徴ジェファーソン・エアプレイン、ブリティッシュロック界の大物ザ・フーやエリック・バードン&ジ・アニマルズ、インド音楽の名手でビートルズのジョージ・ハリスンも師事したラヴィ・シャンカール等々。

主催者のジョン・フィリップスもママス&パパスとして舞台に登場。彼が作ったフェスのテーマ曲「花のサンフランシスコ」(歌・スコット・マッケンジー)の「サンフランシスコへ行くならば、忘れないで花の首飾り」という歌詞は、まさに当時、ヒッピーの若者たちが起こした<フラワー・パワー>を象徴している。彼らは<Music, Love&Flowers>を旗印にして、激化していたヴェトナム戦争に対する反戦運動を盛り上げた。

監督のペネベイカーは、ボブ・ディランの65年の英国ツアーを記録した傑作『ドント・ルック・バック』(67)、デヴィッド・ボウイの73年の記念碑的なステージ『ジギー・スターダスト』(79)も映画化。2012年にはアカデミー賞名誉賞を受賞している。
音楽映画史に残る傑作でありながら日本で正式に劇場公開されたことのない本作が、今回レストアされた4K・5.1CH版という最良の状態で上映されることになった。本作は2018年、アメリカ国立フィルム保存委員会により「文化的、歴史的、また芸術的に重要」ということで半永久的保存推奨作品に登録されている。


モンタレー・ポップ モンタレー・ポップ モンタレー・ポップ

8/10(土)~

Chime

chime

©Roadstead

2024年/日本/45分/配給:Stranger
監督・脚本:黒沢清
音楽:渡邊琢磨
キャスト:吉岡睦雄、小日向星一、天野はな、安井順平、関幸治、ぎぃ子、川添野愛、石毛宏樹、田畑智子、渡辺いっけい
製作: Roadstead
企画:Sunborn
制作プロダクション:C&I エンタテインメント

公式ホームページ

すべてはチャイムの音から始まった――。日常の異変から、世界が崩壊していく物語。

料理教室の講師として働いている松岡卓司。ある日、レッスン中に生徒の1人、田代一郎が「チャイムのような音で、誰かがメッセージを送ってきている」と、不思議なことを言い出す。事務員の間でも、田代は少し変わっていると言われているが、松岡は気にすることなく接していた。 しかし別の日の教室で、田代が今度は「僕の脳の半分は入れ替えられて、機械なんです」と言い出し、それを証明するために驚くべき行動に出る。田代の一件後のある日、松岡は若い女性の生徒・菱田明美を教えていた。淡々とレッスンを続ける松岡だったが、丸鶏が気持ち悪いと文句を言う明美に、彼は――。 松岡の身にいったい何が起きたのか。料理教室で、松岡の自宅で、ありふれた日常に異様な恐怖がうごめき始めたのだった…。

「一度でいいから、思いつくままに恐ろしいシーンが続けざまに並んでいる映画を作りたかった」 —黒沢清

今年、『蛇の道』『Cloud クラウド』と黒沢清監督作品が相次ぐ年であるが、実はもう1作品の新作が存在する。それがこの「Chime」だ。
本作はメディア配信プラットフォーム・Roadstead オリジナル作品第一弾として「自由に作品を制作してほしい」というオーダーから作られた、ホラーでもサスペンスでもない極めて純度の高い“黒沢清”の描く恐怖が詰まった作品。Roadsteadで限定販売された本作が劇場での上映を開始する。
「映画の中の三大怖いものを詰め込んだ」という本作は、今年の第 74 回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門に出品され場内ではスタンディングオベーションを浴び話題を呼んだ。
世界的に注目を集めることになった『CURE/キュア』をはじめ、黒沢監督の初期作品である『カリスマ』『蛇の道』『蜘蛛の瞳』などを彷彿とさせる、現代の‟いびつ“が全編にわたって突き刺さる恐怖が描かれる。


chime chime chime

8/10(土)、8/12(月)~16(金)

ひろしま-1945年8月6日、原子雲の下の真実-

ひろしま

©奇跡への情熱[核廃絶プロジェクト]

1953年/日本/104分/35ミリ→DCP/モノクロ/提供:独立プロ名画保存会/配給:奇跡への情熱[核廃絶プロジェクト]
監督:関川秀雄
製作:菊池武雄、伊藤武郎
撮影:中尾駿一郎、浦島進
音楽:伊福部昭
編集:河野秋和
出演:岡田英次、月丘夢路、加藤嘉、山田五十鈴

奇跡への情熱[核廃絶プロジェクト]
長きを経て、多くの方々の想いを込めて、幻の映画が、奇跡のリマスター

1945年8月6日午前8時15分、みち子の姉・町子は警報が解除され疎開作業の最中に、米原先生を始めクラスの女生徒達と一緒に被爆した。みち子は爆風で吹き飛ばされ、弟の明男も黒焦げになった。遠藤幸男の父・秀雄は、妻・よし子が梁の下敷きで焼死ぬのをどうすることも出来なかった。陸軍病院に収容された負傷者は、手の施しようもなく、狂人は続出し、死体は黒山のごとく転がり、さながら生き地獄だった。しかし軍部は、ひたすら聖戦完遂を煽るのだった。
自らも広島で被爆した教育学者・長田新が編集した「原爆の子~広島の少年少女のうったえ」を日教組が映画化、広島市民ら約8万8千人が出演し、原爆が投下された直後の惨状を再現した。

*1955年ベルリン国際映画祭 長編映画賞 受賞


ひろしま ひろしま

8/11(日)1日限定

野火

野火

 ©SHINYA TSUKAMOTO / KAIJYU THEATER

2014年/日本/87分/PG12/配給:海獣シアター
監督・製作・脚本・撮影:塚本晋也
原作:大岡昇平
出演:塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也、森優作、中村優子

公式ホームページ

イベント情報
8/11(日)12:45回上映後、塚本晋也監督の舞台挨拶がございます。

アンコール上映!
今年の夏も『野火』はスクリーンに帰ってくる!

大岡昇平さんが小説にした、第二次世界大戦フィリピン戦線における日本軍の苦しい彷徨いを映画にしました。50年前に市川崑さんがやはりすばらしい映画にしていますが、私の『野火』はそのリメイクではなく、あくまで原作から感じたものを映画にしたものです。初めて読んだのは高校生のときですが、本当の戦場にいるような恐ろしさがあり頭から離れませんでした。

30歳をすぎ本格的に映画にしようと動き始めましたが、規模も大きく中々現実的にはなりませんでした。さらに歳月が流れ、今から10年前に、戦場に行った方々が80歳を越えたときに強い焦りの気持ちが起こりました、その方々のお話だけでも聞いておかなければとインタビューを始めました。しかしそれでも映画化は簡単には進みませんでした。そして、今、実際に戦争の痛みを知る人がいよいよ少なくなるにつれ、また戦争をしようとする動きが起こっているような気がしてなりません。今作らなければもうこの先作るチャンスはないかもしれない。また作るのは今しかないと思い、お金はありませんでしたが、多くの力強い協力を得て完成に至りました。

映画は一定の思想を押し付けるものではありません。感じ方は自由です。しかし、戦争体験者の肉声を体にしみ込ませ反映させたこの映画を、今の若い人をはじめ少しでも多くの方に見てもらい、いろいろなことを感じてもらいたいと思いました。そして議論の場に使っていただけたら幸いです。(塚本晋也)

なぜ大地を血で汚すのか

第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島。
日本軍の敗戦が色濃くなった中、田村一等兵(塚本晋也)は結核を患い、部隊を追い出されて野戦病院行きを余儀なくされる。

しかし負傷兵だらけで食料も困窮している最中、少ない食料しか持ち合わせていない田村は早々に追い出され、ふたたび戻った部隊からも入隊を拒否される。そしてはてしない原野を彷徨うことになるのだった。

空腹と孤独、そして容赦なく照りつける太陽の熱さと戦いながら、田村が見たものは…

*日本映画プロフェッショナル大賞 監督賞
*第30回高崎映画祭 最優秀作品賞、最優秀新人男優賞(森優作)
*第10回KINOTAYO(キノタヨ)現代日本映画祭 批評家賞、最優秀撮影賞
*第7回TAMA映画賞 特別賞
*第70回毎日映画コンクール 監督賞、男優主演賞(塚本晋也)


野火 野火 野火

8/10(土)~

プリンス ビューティフル・ストレンジ

プリンス ビューティフル・ストレンジ

©PRINCE TRIBUTE PRODUCTIONS INC.

2021年/カナダ/68分/配給:アルバトロス・フィルム
原題:Mr. Nelson On The North Side
監督:ダニエル・ドール
出演:プリンス、チャカ・カーン、チャックⅮ、ビリー・ギボンズ他

公式ホームページ

世界中が悲しみの雨に濡れた、突然の悲劇から8年…。
孤高の天才“プリンス”の真実に迫る傑作ドキュメンタリー

2016年4月21日、57歳の若さで急死した天才ミュージシャン・プリンス。80年代、自伝的映画『パープル・レイン』、同映画サントラのメガヒットで、一躍世界的スーパースターに。公式発売されたアルバムのトータルセールスは1億5千万枚。12枚のプラチナアルバムと30曲のトップ40シングルを生み出し、7度のグラミー賞を受賞。2004年にはロックの殿堂入りを果たすなど、生涯ロック・ポップス界の頂点に君臨し続けた。ポール・マッカートニーが“クリエイティブの巨人”と称し、エリック・クラプトンが“世界で最高のギタリストの一人”と賞賛するなど、マニアを公言するビッグネームは数知れない。ロック~ポップス~ファンク…あらゆるジャンルの垣根を飛び越え、実験性と大衆性を同時に奏でる真の天才だった。

アメリカ・ミネアポリスで誕生したプリンス(本名:プリンス・ロジャーズ・ネルソン)は、住民の99%が白人という環境下で、多感な青春時代を過ごした。公民権運動の渦中、ジェームス・ブラウン等の黒人ミュージシャンも時折訪れた、地元のブラックコミュニティ“ザ・ウェイ”での音楽的な原体験、恩師や家族が語る幼少期のエピソードは、興味深いものばかりだ。チャカ・カーン、チャックⅮ、ビリー・ギボンズなど、プリンスを敬愛するミュージシャンの貴重なエピソードも多数収録。孤高の天才が、如何にして誕生したのか、そして突然の悲劇まで、プリンスを愛する全てのファンに贈る傑作ドキュメンタリー。


プリンス ビューティフル・ストレンジ プリンス ビューティフル・ストレンジ プリンス ビューティフル・ストレンジ

8/17(土)~

シド・バレット 独りぼっちの狂気

シド・バレット

©︎2023 A CAT CALLED ROVER.ALL RIGHTS RESERVED.

2023年/イギリス/94分/配給:カルチャヴィル
原題:Have You Got It Yet?The Story of Syd Barrett and Pink Floyd
監督:ロディ・ボガワ、ストーム・トーガソン
出演:ロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモア、ニック・メイスン、ピート・タウンゼント、グレアム・コクソン、ミック・ロック、ダギー・フィールズ、ノエル・フィールディング、トム・ストッパード、アンドリュー・ヴァンウィンガーデン

公式ホームページ

デヴィッド・ボウイ、マーク・ボラン、グレアム・コクソン——
名だたるアーティストを夢中にした”ピンク・フロイドを創った男”
その神秘を解き明かすドキュメンタリー映画が誕生

ピンク・フロイドを創った男として初期には活動の中心でありながらも、5年あまりで表舞台から姿を消し、巨大化したピンク・フロイドのインスピレーションの源としてロック史の一隅を閉める「伝説」となった男―。本作は、ときにゴシップ誌の見出しを飾るほど私たちを魅了してやまないシド・バレットの「狂気」と「天才」の真相に、多数の証言と記録映像、幻想的な映像パートで迫る。ロジャー・ウォーターズ、デヴィッド・ギルモア、ニック・メイスンら、ピンク・フロイドのメンバーはもちろん、実妹ローズマリー、幼少期の友だちや美術学校時代の教師や学友、ピート・タウンゼント(ザ・フー)やグレアム・コクソン(ブラー)らミュージシャン、ミック・ロックやダギー・フィールズら写真家、美術家、歴代のガールフレンドまで数十名が勢揃い。ロンドンのアンダーグラウンド・カルチャーの巣窟、UFOクラブでのライトショーや、デビュー間もないころの初々しいスチルにMVなど、上昇気流に乗るバンドの姿をとらえた場面から、ストレスとドラッグに苛まれ精神の均衡が崩れ、バンドを去ったのちの秘話まで、これまでまことしやかに語られてきたシドにまつわる逸話を答え合わせすることもできる。監督と聞き手をつとめたのはシドの旧友にして、レッド・ツェッペリンやブラック・サバス、そしてピンク・フロイドのアートワークでも名を馳せたアート集団「ヒプノシス」のストーム・トーガソン。トーガソンの死後、映像作家のロディ・ボガワが意志を引き継ぎ、シド・バレットという神秘をときあかす決定版を完成させた。


シド・バレット シド・バレット シド・バレット

8/17(土)~

アイアム・ア・コメディアン

アイアム・ア・コメディアン

© 2022 DOCUMENTARY JAPAN INC.

2022年/日本・韓国/108 分/配給:SPACE SHOWER FILMS
監督:日向史有
撮影:金沢裕司
編集:斉藤淳
プロデューサー:石川朋子、植山英美、秦岳志、ゲーリー・ビョンソク・カム
製作:株式会社ドキュメンタリージャパン
出演:村本大輔(ウーマンラッシュアワー)、中川パラダイス (ウーマンラッシュアワー)他

公式ホームページ

【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!特典:村本語録入りステッカーをプレゼント!

嫌われ芸人、炎上芸人……
政治的な発言をきっかけにネットで炎上し、ついにはテレビから消えた
お笑いコンビ“ウーマンラッシュアワー”村本大輔。

テレビに居場所を失った村本大輔は劇場、ライブに活路を見出し、自分の笑い《スタンダップコメディ》を追求する。本場アメリカへの武者修行、韓国での出会い、パンデミックの苦悩、知られざる家族との関係。世間から忘れ去られた芸人の真実に『東京クルド』の新鋭ドキュメンタリスト日向史有が迫った3年間の記録。

世間は彼の事を、嫌われ芸人、炎上芸人と揶揄する。彼のことが大嫌いなアンチ村本も多数存在する。テレビで政治的なネタを繰り返したことで、テレビ局が使いにくいから干されたのだと言うと、いや単に面白くないからでしょ、と返される。 本当にそうだろうか?彼が独演会を開催するとLINE CUBE SHIBUYA(旧渋谷公会堂)が札止めとなる。そう言えば最近テレビで見ないな…。本当にそこにメディアの忖度は働いていなかったのだろうか。
しかし、もはやそんな事はどうでも良いようだ。テレビに居場所を失った彼は日本ではなく世界に目を向けたのだ。世界は広い。そう言うと今度は、日本で通用しなかったから逃げたんでしょ?とまたもや返されるかもしれない。アンチの皆さん、それももうどうでも良いのです。間違いないことは村本が世界に出てお笑いを追求している。自身がメディアとなって日本ではタブーとされていることを表現するためにもがいている。
そしてもう一つ間違いないことは、彼は日本のテレビから、消えた=言葉を消された。この国ではミュージシャンやタレントが政治的な発言をするとメディアから消えることがある。 お茶の間に問題提起の声は届かなくなる。
彼を毛嫌いしている皆さん、是非スタンダップして、この映画で彼のコメディ=言葉に触れてみませんか。


アイアム・ア・コメディアン アイアム・ア・コメディアン アイアム・ア・コメディアン

8/17(土)~

生きて、生きて、生きろ。

生きて、生きて、生きろ。

© Nihon Denpa News Co.,LTD.

2024年/日本/113分/配給:日本電波ニュース社
監督・撮影・プロデューサー:島田陽磨
撮影:熊谷裕達、前川光生、西田 豊
編集:前嶌健治
音楽:渡邊 崇
出演:蟻塚亮二、米倉一磨

公式ホームページ

イベント情報
8/17(土)10:00回上映後、蟻塚亮二さん(本作出演、精神科医)、島田陽磨監督のトークイベントがございます。8/18(日)10:00回上映後には、米倉一磨さん(本作出演、精神科認定看護師)、島田陽磨監督のトークイベントがございます。

震災と原発事故から13年、福島で、こころの病が多発していた
喪失と絶望の中で生きる人々とともに生きる医療従事者たちの記録

震災と原発事故から13年。福島では、時間を経てから発症する遅発性PTSDなど、こころの病が多発していた。若者の自殺率や児童虐待も増加。メンタルクリニックの院長、蟻塚亮二医師は連日多くの患者たちと向き合い、その声に耳を傾ける。連携するNPOこころのケアセンターの米倉一磨さんも、こころの不調を訴える利用者たちの自宅訪問を重ねるなど日々、奔走していた。
津波で夫が行方不明のままの女性、原発事故による避難生活中に息子を自死で失い自殺未遂を繰り返す男性、避難生活が長引く中、妻が認知症になった夫婦など、患者や利用者たちのおかれた状況には震災と原発事故の影響が色濃くにじむ。蟻塚医師は、かつて沖縄で、沖縄戦の遅発性PTSDを診ていた経験から、福島でも今後、長期にわたり、PTSDが発症すると考えていた。

「人間もっと泣かなきゃだめだと思う」

ある日、枕元に行方不明の夫が現れたと話す女性。「生きていていいんだ、という希望を持った時に人は泣ける」と話す蟻塚さん。米倉さんは、息子を失った男性にあることを提案。やがてそれぞれの人々に小さな変化が訪れていく。
喪失感や絶望に打ちのめされながらも日々を生きようとする人々と、それを支える医療従事者たちのドキュメンタリー。


生きて、生きて、生きろ。 生きて、生きて、生きろ。 生きて、生きて、生きろ。

8/17(土)~

ちゃわんやのはなし-四百年の旅人-

ちゃわんやのはなし

©2023 sumomo inc. All Rights Reserved.

2023年/日本/117分 /配給:マンシーズエンターテインメント
監督:松倉大夏
企画・プロデュース:李鳳宇
撮影:辻智彦、加藤孝
アニメーション:小川泉
出演:十五代 沈壽官、十五代 坂倉新兵衛、十二代 渡仁ほか
語り:小林薫

公式ホームページ

【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,300円(税込)を当館受付にて発売中!

イベント情報
8/18(日)12:35回上映後、松倉大夏監督の舞台挨拶がございます。

わたしたちは、故郷を想い<未来>を見つめる—

遡ること420年前、豊臣秀吉の二度目の朝鮮出兵の帰国の際に、主に西日本の大名たちは朝鮮人陶工を日本に連れ帰った。薩摩焼、萩焼、上野焼などは朝鮮をルーツに持ち、今もなお伝統を受け継いでいる。

薩摩の地では、島津家が彼らを厚く庇護をして苗代川という地に住まわせた。その中に沈壽官家の初代となる沈当吉がいた。以来、沈壽官家は研磨を重ね多彩な陶技を尽くした名品の数々を世に送り出し、世界中に “SATSUMA”の名が広がった。

幼少期に経験した言われなき偏見や差別の中で、日本人の定義とは何かと自身のアイデンティティに悩んだ十五代沈壽官を救った司馬遼太郎の至宝の言葉。その十五代沈壽官が修行時代を過ごした韓国・利川にある、あるキムチ甕工房の家族は、十五代から学んだ伝統を守る意義を語る。沈壽官家の薩摩焼四百年祭への願い。そして、十二代渡仁が父から受け継いだ果たすべき使命。十五代坂倉新兵衛が語る父との記憶と次の世代への想いとは。

朝鮮をルーツに持つ陶工たち、その周囲の人々の話が交差し、いま見つめ直すべき日本と韓国の陶芸文化の交わりの歴史、そして伝統の継承とは何かが浮かび上がる。


ちゃわんやのはなし ちゃわんやのはなし ちゃわんやのはなし

8/31(土)~

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間

夜の外側

©2022 The Apartment – Kavac Film – Arte France. All Rights Reserved.

2022年/イタリア/340分(前編・後編 各170分)/配給:ザジフィルムズ
原題:Esterno notte
英題:Exterior, Night
監督・原案・脚本:マルコ・ベロッキオ
原案:ジョヴァンニ・ビアンコーニ、ニコラ・ルズアルディ
原案・脚本:ステファノ・ビセス
脚本:ルドヴィカ・ランポルディ、ダヴィデ・セリーノ
撮影監督:フランチェスコ・ディ・ジャコモ
編集:フランチェスカ・カルヴェッリ
音楽:ファビオ・マッシモ・カポグロッソ
出演:ファブリツィオ・ジフーニ、マルゲリータ・ブイ、トニ・セルヴィッロ、ファウスト・ルッソ・アレジ、ダニエーラ・マッラ

公式ホームページ

【前売券】全国共通特別鑑賞券(2回券) 2,800円(税込)を当館受付にて発売中!特典:ポストカード6枚セットをプレゼント!

人間、家族、そして国家。
歴史的事件<アルド・モーロ元首相誘拐>の闇を描く、
巨匠ベロッキオの金字塔的傑作

相次ぐテロリズムにより、イタリアが社会的、政治的混乱にあった「鉛の時代」。1978年3月のある朝、キリスト教民主党党首で、元首相のアルド・モーロが、極左グループ「赤い旅団」に誘拐される、という、イタリアのみならず、全世界をゆるがす事件が起こる。
内務大臣コッシーガや教皇パウロ6世、そしてモーロの妻エレオノーラらが、モーロを解放させようと画策するのだが……。

『夜よ、こんにちは』(03)で同事件を「赤い旅団」側から描いたイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ監督が、「すでに語られた物語には戻らない」という自身のルールを破り、外側〈政府、法王、神父、警察、教授、妻、子供たち…、様々な立場で事件に関与した人々〉の視点を交えて、6エピソードからなる一大巨編として作り上げたのが本作である。
2022年カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門で上映された後、イタリアでは前編、後編に分けて劇場公開、その後国営放送RAIで放送されて高視聴率を記録。2023年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞17部門にノミネートされ、ファブリツィオ・ジフーニ(『人間の値打ち』)は最優秀主演男優賞を受賞、その妻エレオノーラ役のマルゲリータ・ブイ(『3つの鍵』)と、教皇パウロ6世役のトニ・セルヴィッロ(『グレート・ビューティ/追憶のローマ』)はそれぞれ助演男女優賞にノミネートされ、その年のイタリア映画界を席巻する形となった。
史実とフィクションを交えた、その力強くも絢爛たる筆致で描かれるドラマは、340分という長さを全く感じさせず、観る者に大きなカタルシスを与えるに違いない。


夜の外側 夜の外側 夜の外側

8/31(土)~

ロイヤルホテル

ロイヤルホテル

© 2022 Hanna and Liv Holdings Pty. Ltd., Screen Australia, and Create NSW

2023年/オーストラリア/91分/配給:アンプラグド
原題:The Royal Hotel
監督・脚本:キティ・グリーン
脚本:オスカー・レディング
プロデューサー:リズ・ワッツ、エミール・シャーマン、イアン・カニング
撮影:マイケル・レイサム
作曲:ジェド・パーマー
出演:ジュリア・ガーナー、ジェシカ・ヘンウィック、ヒューゴ・ウィーヴィング、トビー・ウォレス、ハーバート・ノードラム
字幕:田沼令子

公式ホームページ

女性の悪夢を描く、新感覚フェミニスト・スリラー
ロイヤルホテルという名のパブ。そこでのアルバイトは恐怖の連続だった

ハンナとリブの親友2人。旅行で訪れたオーストラリアでお金に困り、荒れ果てた田舎にある古いパブ「ロイヤルホテル」に滞在し、バーテンダーとしてワーキング・ホリデーをすることに。単なる接客バイトかと思いきや、彼女たちを待ち受けていたのは、飲んだくれの店長や荒々しい客たちが起こすパワハラやセクハラ、女性差別の連続だった。楽観的なリブは次第に店に溶け込んでいくが、真面目なハンナは孤立し精神的に追い込まれ、2人の友情は徐々に崩壊していく……。

いま最も期待されている監督と女優のコンビ再び。
キティ・グリーン×ジュリア・ガーナー最新作

2016年に『Hotel Coolgardie(原題)』としてドキュメンタリー映画化された、オーストラリアに実在するパブがモデルとなっている。このドキュメンタリーは、ノルウェーの女性バックパッカー2人が住み込みで働く中でハラスメントを受ける様子を詳細に記録。本作を手掛けた監督のキティ・グリーンは審査員を務めたある映画祭でこのドキュメンタリー映画を目にし、そこからインスピレーションを受け『アシスタント』(19)の主演ジュリア・ガーナーやスタッフを再集結して作り上げた。
キティ・グリーン監督は、本作の舞台にもなったオーストラリア・メルボルン出身で、『Ukraine Is Not a Ukraine Is Not a Brothel』(13)でドキュメンタリー監督としてデビュー。Netflixオリジナル『ジョンベネ殺害事件の謎』(17)を手掛け、2017年に巻き起こった#Me Too運動に自身初の劇映画の題材を見出し、職場におけるハラスメント問題を題材にした『アシスタント』(19)で初の劇映画作品を作り上げた。同作は、日本でも2023年に公開されヒットを記録。今回も再び、職場でのパワハラ、性的虐待を題材にした作品を作り上げた。


ロイヤルホテル ロイヤルホテル ロイヤルホテル

8/31(土)~

めくらやなぎと眠る女

めくらやなぎと眠る女

© 2022 Cinéma Defacto – Miyu Productions – Doghouse Films – 9402-9238 Québec inc. (micro_scope – Productions l’unité centrale) – An Original Pictures – Studio Ma – Arte France Cinéma – Auvergne-Rhône-Alpes Cinéma

2022年/フランス、ルクセンブルク、カナダ、オランダ合作/109分/配給:ユーロスペース、インターフィルム、ニューディアー、レプロエンタテインメント
原題:「Saules Aveugles, Femme Endormie」
英語題:「Blind Willow, Sleeping Woman」
監督・脚本:ピエール・フォルデス
原作:村上春樹
声の出演:ライアン・ボンマリート、ショシャーナ・ビルダー、マルセロ・アロヨ、スコット・ハンフリー、アーサー・ホールデン、ピエール・フォルデス
日本語版キャスト:磯村勇斗、玄理、塚本晋也、古舘寛治、木竜麻生、川島鈴遥、梅谷祐成、岩瀬亮、内田慈、戸井勝海、平田満、柄本明
日本語版演出:深田晃司
翻訳協力:柴田元幸
音響監督:臼井勝

公式ホームページ

村上春樹原作、初のアニメ映画化!

2011年、東日本大震災直後の東京。刻々と被害を伝えるテレビのニュースを見続けたキョウコは、置き手紙をのこして小村の元から姿を消した。妻の突然の失踪に呆然とする小村は、図らずも中身の知れない小箱を同僚の妹に届けるために北海道へと向かうことになる。同じ頃のある晩、小村の同僚の片桐が家に帰ると、そこには2メートルもの巨大な“かえるくん”が彼を待ち受けていた。かえるくんは迫りくる次の地震から東京を救うため、こともあろうに控えめで臆病な片桐に助けを求めるのだった――。めくらやなぎ、巨大なミミズ、謎の小箱、どこまでも続く暗い廊下――大地震の余波は遠い記憶や夢へと姿を変えて、小村とキョウコ、そして片桐の心に忍び込む。人生に行き詰まった彼らは本当の自分を取り戻すことができるのだろうか…。

村上春樹作品のミステリアスな世界を見事に映像化
過去に囚われた3人の、解放の物語

世界最大のアヌシー国際アニメーション映画祭で審査員特別賞を受賞、新潟国際アニメーション映画祭で第一回目のグランプリに輝いた『めくらやなぎと眠る女』。本作は音楽家でアニメーション作家のピエール・フォルデス監督が、村上春樹の6つの短編「かえるくん、東京を救う」、「バースデイ・ガール」、「かいつぶり」、「ねじまき鳥と火曜日の女たち」、「UFOが釧路に降りる」、「めくらやなぎと、眠る女」を再構築した、村上春樹原作初のアニメ映画。実写撮影をベースにした独自の技法と緻密な音響設計によって、村上作品のミステリアスかつ生々しいリアリティを見事に映像化した作品だ。
2011年、東日本大震災直後の東京。置き手紙をのこして突如家を出たキョウコ、妻キョウコの突然の失踪に呆然としながら北海道へ向かうことになる小村、そして巨大な“かえるくん”とともに迫りくる大地震から東京を救おうとする片桐。めくらやなぎや巨大なミミズ、どこまでも続く暗い廊下といった村上春樹ならではのモチーフが、アニメだからこそ表現なしえたマジックリアリズム的な世界観で再現され、人生に行き詰まった3人が遠い記憶や夢をさまよいながら自身と向き合い、ゆるやかに解放されてゆく物語が描かれる。
2022年の新潟国際アニメーション映画祭の審査員長を務めた押井守は「現代文学を表現する最適のスタイルなんじゃないかということで、3人の審査員の意見が一致した、唯一の作品」とコメント。また監督自らが手掛けた音楽もレザルク・ヨーロッパ映画祭で作曲賞を受賞するなど、世界各国で高い評価を得ている。


めくらやなぎと眠る女 めくらやなぎと眠る女 めくらやなぎと眠る女

9/7(土)~

94歳のゲイ

94歳のゲイメイン画像

©MBS/TBS

2024年/日本/90分/PG12/ステレオ/16:9/配給:MouPro.
語り:小松由佳
監督:吉川元基
プロデューサー:奥田雅治
撮影:南埜耕司
編集:八木万葉実
録音:西川友貴
音響効果:佐藤公彦
タイトル:平 大介
製作:MBS/TBS
製作幹事:TBS

公式ホームページ

孤独の中で生きてきた同性愛者の真実
「治療可能な精神疾患」と公然と語られた
この国の同性愛史を紐解く

自分は、普通じゃない― それでも生きていればきっと
かつて同性愛は“異常性欲”“変態性欲”だと公然と語られ、治療が可能な精神疾患とされてきた。1929年生まれの長谷忠さんは、誰かと交際したことも性交渉の経験もない。ゲイであることを誰にも打ち明けることなく、好きな男性ができても告白することもできない時を過ごしてきた。詩作を心の拠り所にしながら孤独の中で生きてきた長谷さんに訪れた大きな変化、90歳を超えて初めて経験する“出会い”と“別れ”。多くの悲しみを見つめてきたその心に去来する思いは

【STORY】
「僕にとってまるで奇跡やな。奇跡の出来事や―」

長い間ゲイであることを誰にも打ち明けることなく、孤独の中で生きてきた長谷さん。唯一の拠り所は文学、詩作だった。1963年に現代詩の新人賞として最も権威ある現代詩手帖賞を受賞、そのどこか飄々とした佇まいは選者である谷川俊太郎にも高く評価され、著作も複数刊行。94歳となった今も日々、短歌を詠む。長谷さんが生まれた当時”同性愛は病気である”と公然と語られていた。その後時は流れ、同性愛者を取り巻く環境は大きく変化してきている。そんな中自身もカミングアウトを果たし、理解あるケアマネージャーの存在にも支えられ、日々をたくましく生きる長谷さんだったが――。


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9/14(土)~

助産師たちの夜が明ける

助産師たちの夜が明ける

2023年/フランス/100分/配給:パンドラ
原題:Sages-femmes
英題:MIDWIVES
監督:レア・フェネール
出演:エロイーズ・ジャンジョー、ミリエム・アケディウ
日本版字幕:松岡葉子
医学用語字幕翻訳協力:田辺けい子
後援:公益社団法人日本助産師会

公式ホームページ

新たな命が生まれるこの場所で、「人生」が交差する
あるフランスの産科病棟――
戦場のような日々のなか、助産師たちは悩み、喜び、
生まれくる命を見つめ続ける

あるフランスの産科病棟。念願の助産師の仕事に就いたソフィアとルイーズが初出勤すると、そこには想像を超える壮絶な仕事場が待っていた。常に何人もの担当を抱え走り回る助産師たち。ケアされるための十分な時間がないなか運ばれてくる緊急の産婦たち。患者の前で感傷的になるな、とルイーズがベテラン助産師ベネに厳しく叱責される一方、ソフィアは無事に出産を介助し周囲の信頼を勝ち得ていく。そんなある日、心拍数モニターの故障から、ソフィアが担当した産婦が緊急帝王切開となり、赤ん坊は命の危険にさらされる─。さらには産後行くあてのない移民母、未成年の出産、死産したカップル…生と死が隣り合わせの現場で、二人は一人前になれるのだろうか…。

5年間の研修を終えたルイーズとソフィアは、念願の助産師として働き始める。しかし、その期待に反するように緊張感が大きくのしかかる。貧困、移民、死産…様々な事情を抱えて産科病棟を訪れる人々。オーバーワークとストレスに押しつぶされそうになりながらも、新しい命に出会う日々の喜びが助産師たちの結束を強めていくのだった。 本作は、若い助産師たちが出産に立ち合い、突きつけられる現実に驚きながらも成長してゆく様を、ドキュメンタリーのようなリアルなタッチで描いた感動作だ。実際の出産シーンを織り交ぜながら、観客がその場に立ち会っているかのような臨場感で描き出す。監督は『愛について、ある土曜日の面会室』(2009年)がヴェネチア国際映画祭正式出品を始め、ルイ・デリュック賞等受賞のレア・フェネール。自身の体験を基に、フランスのみならず、どこの国でも誰もが直面する普遍的なストーリーに、熱い共感の声が寄せられている。


助産師たちの夜が明ける 助産師たちの夜が明ける 助産師たちの夜が明ける

9/14(土)~

DitO

DitO

©DitO製作委員会 Phto by Jumpei Tainaka

2024年/日本・フィリピン/118分/配給:マジックアワー
監督:結城貴史
脚本:倉田健次
撮影:池田圭
録音:茂木祐介
編集:高木聡
音楽:towada(JiLL-Decoy association)& 中村恵介
出演:結城貴史、田辺桃子、尾野真千子、モン・コンフィアード、ブボイ・ビラール、ルー・ヴェローソ レスリー・リナ、マニー・パッキャオ(特別出演)

公式ホームページ

『DitO』とはフィリピンのタガログ語で、ここ=hereの意。
不器用ながらも絆を紡ぐ父娘の再生の物語

日本に妻子を残し、異国の地・フィリピンで再起をはかるプロボクサー神山英次。ある日、神山の前に一人娘の桃子が現れる。再会した父と娘は衝突しながらも徐々に親子の絆を深めていく。そんな中、40歳を迎えた神山に、ラストチャンスとなる試合の話が舞い込んでくる──。

日本×フィリピン合作映画『DitO』(ディト)。主演・監督を務めるのは、2001年NHK連続テレビ小説「ちゅらさん」で俳優デビューし、2011年に映像制作会社KURUWA.LLC(曲輪合同会社)を設立、数多くの映画やMVを制作し近年では国内外でプロデュース作品を手掛けている結城貴史。俳優としてもディズニープラスで独占配信中の田中泯主演オリジナルドラマ「フクロウと呼ばれた男」(4/24配信開始)の主要キャストに名を連ねるなど多岐にわたって活躍。監督デビューとなる本作では、落ちぶれても前を向き奮闘する壮年ボクサーを全身全霊で体現する。娘の桃子には、話題のドラマ「お迎え渋谷くん」主演・京本大我(SixTONES)のヒロイン役で注目されるなどめざましい活躍をみせる田辺桃子。神山の妻ナツに確かな演技力であらゆる女優賞を総なめにし、NHK連続テレビ小説「虎に翼」の語り役も好評を博している尾野真千子。また現地のフィリピンキャストには、国際俳優モン・コンフィアード、パッキャオの半生を描いた伝記映画『キッド・クラフ 少年パッキャオ』に主演し一躍脚光を浴び、現在ソーシャルメディア総登録数約950万人ものフォロワーを持つブボイ・ビラール、そして、ボクシング史上初の6階級制覇達成したフィリピンの英雄、マニー・パッキャオも海外映画作品初出演として自らの生き様を投影した役柄で登場する!


DitO DitO DitO

9/14(土)~

うんこと死体の復権

うんこと死体の復権メイン画像

⒞2024「うんこと死体の復権」製作委員会

2024年/日本/106分/配給:きろくびと
監督:関野吉晴
プロデューサー:前田亜紀、大島新
撮影:松井孝行、船木光、前田亜紀
編集:斉藤淳一
音響効果:金田智子
整音:高木創
監督補:船木光
宣伝美術:安倍大智
関西宣伝:松井寛子(風まかせ)
配給・宣伝:きろくびと
製作:ネツゲン/クリエイト21

公式ホームページ

【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,400円(税込)を当館受付にて発売中!

うんこと死体が地球を救う?
価値観を覆す、鼻つまみ者たちを巡る
いのちの循環の旅へ

「グレートジャーニー」で知られる探検家で医師でもある関野吉晴はアマゾン奥地の狩猟採集民との暮らしを通して、自然とヒトとの関係について考え続けてきた。そして、2015 年から『地球永住計画』というプロジェクトを始める。この地球で私たちが生き続けていくためにはどうしたらいいかを考える場だ。関野はそこで3人の賢人に出会う。野糞をすることに頑なにこだわり、半世紀に渡る野糞人生を送っている伊沢正名。うんこから生き物と自然のリンクを考察する生態学者の高槻成紀。そして、死体喰いの生き物たちを執拗に観察する絵本作家の舘野鴻。3人の活動を通して、現代生活において不潔なものとされるうんこ、無きモノにされがちな死体を見つめると、そこには無数の生き物たちが織りなす、世の中の常識を覆す「持続可能な未来」のヒントが隠されていた…。

関野吉晴初監督作品
プロデューサーは『なぜ君…』『国葬の日』の前田亜紀&大島新

初監督を務めた75歳の探検家・関野吉晴をプロデューサーとして支えるのは、『なぜ君は総理大臣になれないのか』や『国葬の日』などで近年注目のドキュメンタリー映画を制作するネツゲンの前田亜紀と大島新。これまで関野が出演するテレビ番組や映画を手がけた縁からタッグを組んだ。二人が敬愛する関野が 4 年をかけてあらたに挑んだ、いのちの循環をたどる”旅”は果たしてどんな結末になるのか—


うんこと死体の復権画像1 うんこと死体の復権画像2 うんこと死体の復権画像3

9/14(土)~1週間限定

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版

ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版

©PICNIC PRODUCTIONS PTY.LTD.1975

1975年/オーストラリア/107分/配給:グッチーズ・フリースクール
監督:ピーター・ウィアー
原作:ジョーン・リンジー
脚本:クリフ・グリーン
撮影:ラッセル・ボイド
音楽:ブルース・スミートン
出演 :レイチェル・ロバーツ、アン=ルイーズ・ランバート、ドミニク・ガード、ヘレン・モース、ヴィヴィアン・グレイ、カースティ・チャイルド

公式ホームページ

ある晴れたバレンタインの日に、彼女たちは姿を消した――

1900年、2月14日。セイント・バレンタイン・デイ、寄宿制女子学校アップルヤード・ カレッジの生徒が、二人の教師とともに岩山ハンギング・ロックに出かけた。規律正しい生活を送ることを余儀なくされる生徒たちにとってこのピクニックは束の間の息抜きとなり、生徒皆が待ち望んでいたものだった。岩山では、磁力の影響からか教師たちの時計が12時ちょうどで止まってしまう不思議な現象が起こる。マリオン、ミランダ、アーマ、イディスの4人は、岩の数値を調べると言い岩山へ登り始めるが、イディスは途中で怖くなり悪鳴を上げて逃げ帰る。その後、岩に登った3人と教師マクロウが、忽然と姿を消してしまう・・・

夢か現か、悪夢か吉夢か、フィクションかノンフィクションか?

寄宿制女子学校の生徒たちが岩山ハンギング・ロックへ訪れた際に起こった3人の生徒と1人の女教師の失踪事件。1967年に発表された同名小説を基に映画化された本作は、当時批評家や観客に「これは実話なのか?」と波紋を呼び、大きな混乱をもたらした衝撃作であり、今もなお、その謎は解けていない。また同時に、ソフィア・コッポラの「ヴァージン・スーサイズ」に直接的な影響を与え、ファッション界ではラフ・シモンズやアレキサンダー・マックイーンもインスピレーション源として本作に言及するなど、今日まで広く語り継がれる「神話的傑作」でもある。本作でその名を世界に知らしめたビーター・ウィアーは、メル・ギブソン、ジョージ・ミラーと並び、「オーストラリア・ニューウェイヴ」を代表する監督となった。未だ解けぬ美しき謎が日本公開から約40年の時を経て、いま4Kで鮮やかによみがえる。


ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版 ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版 ピクニック at ハンギング・ロック 4Kレストア版

9/21(土)~

沖縄久高島のイラブー

沖縄久高島のイラブー

2024年/日本/102分/企画・製作・著作:文化財映像研究会/東京シネマ新社 岡田一男、石村智、三島まき
学術指導:乾尚彦、三島まき
ナレーター:草野仁
監督:岡田一男、鈴木由紀
撮影:谷口常也、草間道則
ドローン撮影:西口晋一
音声:上江洲佑弥、古謝竜市、宮里健太郎、棚原克次
方言字幕:三島まき
制作デスク・字幕:岡田仁奈

神様からの贈り物イラブー
復活と継承の物語

沖縄・久高島は大祭「イザイホー」で知られる。イラブー、エラブウミヘビの燻製づくりは、そのイザイホーを支える大切な一つであった。イラブーはユイムン、神々が人々に与える贈物と考えられ、製品は琉球王府への献上品だった。近年、イザイホーは重要な王権儀礼であったと見なされ、イラブーもその観点から注目されるようになった。80年代末に祭祀を支えた最高神女たちが相次いで他界し、イザイホーもイラブーづくりも途絶を余儀なくされた。
本作は、78年暮れのイザイホーと共に記録されたイラブーづくりの未公開映像を高画質デジタル化し、2023年秋に存命関係者の証言、10年の断絶を克服したイラブー復活当時の証言、イラブーづくりの現況と祭祀復活への努力を4K映像に記録して、伝統の技、食、信仰と三つの側面から、親から子へ、先輩から後輩へと伝える伝統継承の大切さを訴える、イザイホーを理解するには必見のドキュメンタリー映画とした。


沖縄久高島のイラブー 沖縄久高島のイラブー 沖縄久高島のイラブー

9/24(火)、27(金)、30(月)、10/3(木)上映

沖縄久高島のイザイホー

2022年/日本/110分/制作:文化財映像研究会/東京シネマ新社
学術指導:仲松弥秀・谷川健一・本田安次
協力:西銘シズ、比嘉康雄、宮里千里
ナレーター:草野仁
監督:岡田一男
演出補・録音:後藤雅毅
撮影:谷口常也、草間道則、堀田泰寛、高山永一
録音:羽田野泰志
ネガ編集:川岸喜美枝
プロデューサー:岡田桑三

沖縄久高島のイザイホー

伝承が途絶えて40数年
いま鮮烈に甦るイザイホーの記憶

「イザイホー」は沖縄の久高島で12年に一度、午年におこなわれる祭礼で、600年以上前から続いてきた重要な神事のひとつである。久高島は、首里の東に位置し、神聖な島と信じられ、ノロと呼ばれる巫女を中心とした神女組織で継承されてきた。久高島で生まれ育った女性は祭祀を執り行う役割を与えられ、その就任儀礼がイザイホーである。
沖縄の社会では、女性が中心となって祭祀を行い、男性が政治的な役割を持つという伝統があった。これらは、日本古来の祭祀の原型を留めているのではないかとされ、多くの研究者の注目を集めてきた。しかし社会の変化にともない、1978年を最後に祭礼は途絶え、その存続と継承が危ぶまれている。
この映画では、祭礼が始まるひと月前の御嶽廻り、御願立(ウガンダティ)から、祭場の準備、香炉の継承、4日間の本祭、祭場の撤去、終了祝い、一年を締めくくる「フバワク」の祭りまで、儀礼家庭が詳細に記録されている。収録された祭祀歌謡に、原音カタカナ表記、現代語訳をつけ、「イザイホー」の祭祀歌謡の世界をより深く理解できるよう字幕をつけた。

9/28(土)~

倭文(しづり) 旅するカジの木

倭文(しづり) 旅するカジの木

©️Visual Folklore Inc.

2024年/⽇本/119分/配給:ヴィジュアルフォークロア
監督:北村 皆雄
語り:冨永 愛
神話出演:麿赤兒+大駱駝艦、コムアイ
倭文制作:山口 源兵衛、石川 文江、西川 はるえ、妹尾 直子
デザイン:杉浦康平、新保韻香
制作:三浦庸子
撮影:明石 太郎、戸谷 健吾、北村 皆雄、門馬 一平、Andi Arfan Sabran、小谷野 貴樹、藤田 岳夫

公式ホームページ

なぜ人は衣服をまとうのか・・・
化学繊維が人間の体を覆い尽くす現代に
〈衣〉の神秘的な始源へとダイブするドキュメンタリー

日本神話に現れる幻の織物〈倭文(しづり)〉。その白さは光の象徴とされ、邪悪なものを祓い、身体を護る神聖な力を持っていた。〈倭文〉の力の源はどこにあったのか。謎を解く鍵は、衣服の始源を担った「カジの木」が握る。中国南部を原産とするその木のルーツを遡り、台湾、インドネシアのスラウェシ島、南太平洋パプアニューギニアへ。さらに日本各地に倭文の痕跡を求めると、古代国家の重要な謎が明らかになっていく。

現代の織物作家たちは〈倭文〉の創造的復元に挑む。古代の日本人が衣服に込めた力を探る知的好奇心に溢れたドキュメンタリー。

映像民俗学を標榜する北村皆雄監督が5年の歳月をかけて完成。大駱駝艦を主宰する麿赤兒とアーティストのコムアイが謎めいた日本神話を再現する重要なシーンに登場。モデルの冨永愛が〈語り〉を務めた。作中の文字デザインとポスターヴィジュアルをグラフィックデザインの巨匠・杉浦康平と新保韻香が手がける。


倭文(しづり) 旅するカジの木 倭文(しづり) 旅するカジの木 倭文(しづり) 旅するカジの木

9/28(土)~1週間限定

幸せのイタリアーノ

幸せのイタリアーノ

©2020 WILDSIDE-VISION DISTRIBUTION

2022年/イタリア/113分/配給:オンリー・ハーツ
原題:Corro da te
監督:リッカルド・ミラー二
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ミリアム・レオーネ、ピエトロ・セルモンティ、ヴァネッサ・スカレーラ、ピラール・フォリアティ、アンドレア・ペンナッキ、カルロ・デ・ルッジエーリ、ジュリオ・バーゼ、ピエラ・デッリ・エスポスティ、ミケーレ・プラチド
字幕:関口英子
特別協力:イタリア大使館/イタリア文化会館

公式ホームページ

よこしまな“恋”は“嘘”のはじまり…

ジャンニは、ハンサムで独身、スポーツマンで女たらしの49歳。一流のアスリートをフィーチャーする有名シューズブランドのトップでもある。女性を口説くためなら何でもする彼は、新たなターゲットを誘惑するために車いすに乗って憐れみを請う。というのも彼が障がい者に対して抱く唯一の感情が憐れみだからだ。そんなジャンニが、ヴァイオリニストで車いすテニスにも情熱を注ぐキアラと出会い、人生で経験したことのない感情に激しく揺さぶられてしまう…。

人間が真に輝く瞬間を描くイタリアンコメディの巨匠監督
笑うことで浮かび上がる物事の本質

イタリア映画祭2023では笑いと涙の大反響。ヒロインを演じたミリアム・レオーネはイタリア映画記者組合よりコメディ女優賞を受賞。主人公には今のイタリア映画を牽引する第一人者ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。パラリンピック・イヤーにふさわしい心が熱くなる傑作ラブコメディ!
世界の歪みに焦点を当て、巧みに笑いで本質を描きだすのを得意とするリッカルド・ミラーニ監督。世界を舞台に活躍してきたイタリア人女性建築家が、故郷に戻り男性中心のイタリア社会で悪戦苦闘しながらポジティブに奮闘する姿を描き、多くの女性の共感を得て日本でもスマッシュヒットなった『これが私の人生設計』(14)などで知られるイタリア映画屈指のヒットメーカーだ。笑いには人をオープンにする効用があると考えるミラーニが、コメディにするには難しいテーマを探していた時に出会ったのが本作(日本でも19年に公開されたフランス映画『パリ 嘘つきな恋』(18)のリメイク)だ。
「健康と外見の美しさが重視され、それにあてはまらない人たちは取り残されがちな今の時代にふさわしい物語だと思った。私は、どんなに思いやりのない人でも適切な条件が整えば、人間が本来持つ輝きを感じることができると信じたい。それこそが、この物語の主人公が困難に妨げられながらも歩む、さまざまなニュアンスと感情が入り混じった真実の道なのだ」(ミラー二監督)


幸せのイタリアーノ 幸せのイタリアーノ 幸せのイタリアーノ

10/4(金)~

エストニアの聖なるカンフーマスター

エストニアの聖なるカンフーマスター

© Homeless Bob Production / White Picture / Neda Film / Helsinki Filmi

2023年/エストニア・フィンランド・ラトビア・ギリシャ・日本ほか/115分/配給:フラッグ・鈴正
原題:NAHTAMATU VOITLUS
英題:THE INVISIBLE FIGHT
監督・脚本:ライナル・サルネット
製作:キッサ・カトリン
撮影:マート・タニエル
振付:サーシャ・ペペリャノフ
音楽:日野浩志郎
出演:ウルセル・ティルク、エステル・クントゥ、カレル・ポガ、インドレク・サムル

公式ホームページ

この道(カンフー)で生きていく。

国境警備の任に就く青年ラファエルの前に、3人のカンフーの達人が現れる。皮ジャンに身を包み、ラジカセでメタルを鳴らしながら宙を舞う彼らの前に警備隊は壊滅状態に。奇跡的生還を果たしたラファエルは、その日以降禁じられたカルチャーであるブラック・サバスの音楽やカンフーに熱狂するようになる。しかし見様見真似のカンフーでは気になった女性一人も射止めることができない。空回りの冴えない日々を送るラファエルは、ある時偶然通りかかった山奥の修道院で衝撃の出逢いを果たす。それは、見たことのないカンフーを扱う僧侶たち・・・即座に弟子入りを志願するラファエルなのだった!

“エストニアのギレルモ・デル・トロ”
奇才ライナル・サルネットが放つ
カンフー×ブラック・サバス=奇想天外な青春フュージョンコメディ!

ITとサウナの国エストニアから誰も観たことのない奇想天外すぎる青春コメディが誕生!
若くして「映画の神童」と呼ばれ、ダークファンタジー『ノベンバー』が日本でもスマッシュヒットを記録した奇才、ライナル・サルネットの最新作は、メタルとカンフーに魅入られた男の成長を比類なき映像で描く奇想天外な青春コメディだ。
ポップカルチャーが禁じられたソ連占領下のエストニアで、自らの道を信じ突き進む主人公と、それに巻き込まれていく人たち。自分らしく生きるとは?悩みを抱え日々を生きる現代人を揺さぶる普遍的テーマを描いた本作は、世界の映画祭で絶賛と笑いとショックを巻き起こす。エストニアのアカデミー賞といわれるEFTAでは11部門にノミネート、作品賞をはじめとする最多9部門を受賞した!その他世界の映画祭を席巻し、ついに日本上陸!


エストニアの聖なるカンフーマスター エストニアの聖なるカンフーマスター エストニアの聖なるカンフーマスター

公開日未定

クローズ・アップ

© 1990 Farabi Cinema

1990年/イラン/98分/配給:ノーム、東風
原題:CLOSE-UP
監督・脚本・編集:アッバス・キアロスタミ
撮影:アリ=レザ・ザリンダスト
出演:ホセイン・サブジアン、ハッサン・ファラーズマンド、アボルファズル・アーハンハー、メフルダード・アーハンハー、モフセン・マフマルバフ

公式ホームページ

J・L・ゴダールに、「映画はグリフィスに始まりキアロスタミで終わる」と言わしめたアッバス・キアロスタミ監督、魔法的大傑作!

『友だちのうちはどこ?』やカンヌでパルムドールを受賞した『桜桃の味』などで知られる巨匠アッバス・キアロスタミ。その美しく独創的なフィルモグラフィにおいてもひときわ異彩を放ち、いまなお数多くのシネアストを魔法のように魅了し続けている本作『クローズ・アップ』。 ある男が映画監督のモフセン・マフマルバフになりすまし、裕福な一家を騙したという詐欺事件を知ったキアロスタミ監督は、すぐに裁判所を訪れ、その公判の模様をカメラに収めることに成功する。さらに、事件に至る過程を当事者たち自身に演じさせて再現することで、事の次第を明らかにしていく。ドキュメンタリーと再現、虚構と現実を精巧に織り上げていった果てに、ついに映画は詐欺容疑で逮捕された青年の心の奥に秘められた真実を探り当てる。めくるめくサスペンスと不意打ちをくらわされたような衝撃的な感動。時代を超えても色褪せない稀代の大傑作が、HDリマスター版でスクリーンに甦る!

嘘からはじまる、本当のはなし

バスで隣に座った婦人から声をかけられた映画青年サブジアン。持っていた映画の本について尋ねられ、思わず自分は本の著者である映画監督のモフセン・マフマルバフだと名乗ってしまう。すんなりとその嘘を信じた婦人は、家族全員が映画好きだと言って彼を家へ招き入れる。嘘に嘘を重ね、一家を架空の映画製作に巻き込んだサブジアンは、ついには詐欺罪で逮捕されてしまう。そして迎えた判決の時、サブジアンが明かす真実とは…。


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