4/26(土)~
ドマーニ! 愛のことづて

©2023 WILDSIDE S.r.l – VISION DISTRIBUTION S.p.A
2023年/118分/イタリア/配給:スモモ
原題:C’è ancora domani
監督:パオラ・コルテッレージ
脚本:フリオ・アンドレオッティ、ジュリア・カレンダ、パオラ・コルテッレージ
出演:パオラ・コルテッレージ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ジョルジョ・コランジェリ、ヴィニーチオ・マルキオーニ
日本語字幕:岡本太郎
後援:イタリア大使館
特別協力:イタリア文化会館
あなたの人生は明日からはじまる――
一通の謎めいた手紙がもたらす新たな決意の物語――
1946年5月、戦後まもないローマ。デリアは家族と一緒に半地下の家で暮らしている。夫イヴァーノはことあるごとにデリアに手を上げ、意地悪な義父オットリーノは寝たきりで介護しなければならない。夫の暴力に悩みながらも家事をこなし、いくつもの仕事を掛け持ちして家計を助けている。多忙で過酷な生活ではあるが、市場で青果店を営む友人のマリーザや、デリアに好意を寄せる自動車工のニーノと過ごす時間が唯一の心休まるとき。母の生き方に不満を感じている長女マルチェッラは裕福な家の息子ジュリオからプロポーズされ、彼の家族を貧しい我が家に招いて昼食会を開くことになる。そんなデリアのもとに1通の謎めいた手紙が届き、彼女は「まだ明日がある」と新たな旅立ちを決意する―。
本国イタリアで600万人動員の大ヒット!
イタリアの国民的コメディエンヌ“パオラ・コルテッレージ”の
映画監督デビュー作にして歴史に刻まれる傑作の誕生!
本国イタリアで600万人を動員し、世界的に大ヒットを果たしたハリウッド映画『バービー』『オッペンハイマー』を押しのけて、2023年のイタリア国内興行収入ランキングNo.1の大ヒットを記録。イタリア歴代興行収入ランキングでも、あの『ライフ・イズ・ビューティフル』を抜いて第5位となった。さらに、イタリア版アカデミー賞と言われる第69回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では最多19部門にノミネートされ、主演女優賞、助演女優賞、新人監督賞、脚本賞の主要4部門で最優秀賞に輝いた。
メガホンを取ったのは、『ジョルダーニ家の人々』(10)や『これが私の人生設計』(14)などシリアスドラマから大衆的なコメディまで幅広いジャンルの映画に出演するなどイタリアの国民的コメディエンヌ兼女優として活躍するパオラ・コルテッレージ。本作で遂に映画監督デビューを果たした。
パオラ・コルテッレージ監督が描いたのは、戦後で荒廃したローマで逞しく生きる市民たちと権利を渇望する女性たちの姿。愛する娘の将来と夫の暴力に悩む主婦・デリアをパオラ・コルテッレージが自ら演じ、自らの権利と次世代への想いを“とある手紙”に託す。パオラ・コルテッレージ監督は現代にも通じるテーマを巧みなストーリー展開とユーモラスな演出で見事に描き切った。



4/26(土)~
アラン・ギロディ監督特集

アラン・ギロディ監督特集
現代フランスを代表する映画作家にして、日本劇場未公開の異才
アラン・ギロディ監督一挙3作品、ついに公開!!
4/26(土)―
アラン・ギロディ監督特集
現代フランスを代表する映画作家にして、日本劇場未公開の異才
アラン・ギロディ監督一挙3作品、ついに公開!!
4/26(土)―5/9(金)
1990年に短編でデビューし、2001年の第54回カンヌ国際映画祭「監督週間」に選出された中編第2作目が、ゴダールにその年の“カンヌの最高作”と評され、話題となったアラン・ギロディ監督。これまでに長編7作品を監督。セクシュアリティやマイノリティに対する偏見や先入観をいなし、人間の愛と欲望という普遍的なテーマを、意表を突くストーリーで描くのが特徴的だ。
今回、公開される3作品は、2024年の第77回カンヌ国際映画祭プレミア部門に選出され、カイエ・デュ・シネマのベストテン第1位に選ばれた最新作の『ミゼリコルディア』と、2022年の第72回ベルリン国際映画祭パノラマ部門のオープニング作品を飾った前作『ノーバディーズ・ヒーロー』、そして、2013年の第66回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞とクィア・パルム賞を受賞し、ギロディの名を世界的に大ブレークさせた『湖の見知らぬ男』となる。日本でもギロディの名を知るファンは多くいるが、今回が初めての劇場一般公開となる。
公式ホームページhttps://www.sunny-film.com/alain-guiraudie
配給サニーフィルム
入場料当日一般1,800円/会員1,500円/大専・シニア1,200円/高校生以下800円
前売券特別鑑賞3回券4,500円(税込)を当館受付にて発売中!特典:オリジナルステッカーをプレゼント!
上映スケジュール
4/26(土) | 4/27(日) | 4/28(月) | 4/29(火祝) | 4/30(水) | 5/1(木) | 5/2(金) |
![]() ミゼリコルディア |
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予定表 横にスクロールできます
5/3(土) | 5/4(日) | 5/5(月祝) | 5/6(火祝) | 5/7(水) | 5/8(木) | 5/9(金) |
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作品紹介
ミゼリコルディア
2024年カンヌ国際映画祭プレミア部門 正式出品 / 2024年ルイ・デリュック賞 / 2025年セザール賞8部門ノミネート

© 2024 CG Cinéma / Scala Films / Arte France Cinéma / Andergraun Films / Rosa Filmes
2024年/フランス/103分
監督・脚本:アラン・ギロディ
出演:フェリックス・キシル、カトリーヌ・フロ、デュラ、ジャック・ドゥヴレ、ジャン=バティスト・デュラ、デヴィッド・アヤラ
秘密を抱える主人公と奇妙な住人ばかりの村
セザール賞8部門にノミネート。フランスでスマッシュヒットの最新作
秋、紅葉が美しく、石造りの家が建ち並ぶ村。ジェレミーは、かつて働いていたパン屋の店主の葬儀に参列するため帰郷する。男の未亡人マルティーヌの勧めで家に一泊だけすることになるが、思いのほか長引く滞在。そんな中、起きた謎の失踪事件。未亡人の息子ヴァンサン、音信不通となっていたかつての親友ワルター、奇妙な神父フィリップ、そして、村の秘密を知っている警官。村に立ち込めるそれぞれの思惑と欲望。
ノーバディーズ・ヒーロー
2022年ベルリン国際映画祭パノラマ部門 オープニング作品

© 2021 CG CINÉMA / ARTE FRANCE CINÉMA / AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA / UMÉDIA
2022年/フランス/100分
監督・脚本:アラン・ギロディ
出演:ジャン=シャルル・クリシェ、ノエミ・ルヴォウスキー、イリエス・カドリ、ミシェル・マジエロ、ドリア・ティリエ
娼婦への愛に悶絶する男と地元で起きた自爆テロ
賛否沸騰のギロディ流社会派コメディー
冬、クリスマス前、師走の街。独身男性のメデリックは、ランニング中に見ず知らずの売春婦イザドラに一目惚れし口説くが、嫉妬深い夫の乱入で邪魔をされる。同時に市街では大規模なテロが発生。突然メデリックのアパートに現れたアラブ系の青年セリム、仕事とプライベートの区別がないフロランス、混乱する近隣住人たちとホテルフロントの老人と少女。愛に突き進むメデリックの周りで発生する予期せぬトラブルが周辺を巻き込んでゆく。
湖の見知らぬ男
2013年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 監督賞&クィア・パルム賞受賞

© 2013 Les Films du WorsoArte / France Cinéma / M141 Productions / Films de Force Majeure
2013年/フランス/97分
監督・脚本:アラン・ギロディ
出演:ピエール・ドゥラドンシャン、クリストフ・パウ、パトリック・ダスマサオ、ジェローム・シャパット、マチュー・ヴェルヴィッシュ
男性同士が出会う湖で、死体が発見される
ギロディの名を知らしめた伝説の傑作スリラー
夏、美しくブルーに輝く湖。ここは男性同士が出会うためのクルージングスポットになっている。ヴァカンス中に訪れた若い青年フランクは魅力的なミシェルと出会い恋に落ちる。ある夕方、フランクは湖で喧嘩する2人を目撃する。その数日後、ミシェルの恋人だった男性が溺死体で発見された。捜査の手が入った男たちの楽園は一転して不穏な空気が立ち込める。情熱が恐怖を上回る瞬間、自らの欲望に身を任せてゆく。
5/10(土)~
オリヴェイラ2025

オリヴェイラ2025
没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集
5/10(土)-5/23(金)
オリヴェイラ2025
没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集
5/10(土)-5/23(金)
ポルトガルが世界に誇る巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ。没後10年となる2025年、その多彩な作品群から珠玉の5作品を一挙上映。唯一無二の生涯を送った伝説的で魔術的な才能を発見/再発見する。
100歳を超えてもなお映画を作り続け、現役最高齢の監督として世界中で話題と尊敬を集めた、マノエル・ド・オリヴェイラ。「私はシネマトグラフの映画監督だ」「映画とは何か?それは幻影だ。」と語り、「シネマトグラフ」を発明したリュミエール兄弟や「映画の魔術師」ジョルジュ・メリエスなど最初期の映画との連なりを強く意識するオリヴェイラは、まさに映画史を体現する唯一無二の存在である。古典映画のような佇まいの中に、映画の未来を感じさせる瞬間の連続——。普遍性と先進性に溢れた5つの作品が、今、スクリーンに映し出される。
マノエル・ド・オリヴェイラ(1908-2015)
1908年12月11日、ポルトガル北部の都市ポルト生まれ。1931年、サイレントの短編ドキュメンタリー映画『ドウロ河』を監督。その後、短編作品を制作。1942年には初の長編映画『アニキ・ボボ』を手がける。アントニオ・サラザール政権による独裁体制下で企画が成り立たず、家業に従事しながら短編を作る。1963年に長編第二作『春の劇』を監督するも、発言が問題視され投獄された。1974年に独裁政権が終わると、80年代以降は旺盛に作品を発表。ヨーロッパで注目を集める。1985年、超大作『繻子の靴』を出品したヴェネチア国際映画祭で特別金獅子生涯功労賞、1991年には『神曲』が同映画祭の審査員特別賞を受賞。『クレーヴの奥方』(99)でカンヌ国際映画祭審査員賞、同映画祭の名誉パルム・ドールを2008年に受賞している。2015年4月2日、106歳で死去。
公式サイト https://oliveira2025.jp/index.html
提供 キングレコード
配給 プンクテ
協力 ポルトガル大使館 カモンイス言語国際協力機構
入場料
『アブラハム渓谷 完全版』一律2,300円 ※サービスデー、その他各種割引は適用外
「他4作品」一般1,800円/会員1,500円/大専・シニア1,200円/高校生以下800円
イベント情報
5/10(土)『夜顔』上映後、坂本安美さん(アンスティチュ・フランセ 映画プログラム主任)
作品紹介
訪問、あるいは記憶、そして告白国内劇場初公開

© Cineastas Associados, Instituto Portuges de Cinema
1982年/ポルトガル/ポルトガル語/スタンダード/68分/原題:Visita ou Memórias e Confissões
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
撮影監督:エルソ・ロケ
声:テレーザ・マドルーガ、ディオゴ・ドリア
台詞:アグスティーナ・ベッサ=ルイス
出演:マノエル・ド・オリヴェイラ、マリア・イザベル・ド・オリヴェイラ、ウルバノ・タヴァレス・ロドリゲス
1942年に建てられて以来、およそ40年間オリヴェイラが暮らしたポルトの家を舞台に、家族、そして自らの人生を辿るドキュメンタリー作品。『アブラハム渓谷』の原作者でもあるポルトガル文学の巨匠アグスティーナ・ベッサ=ルイスがテキストを手がけている。自身の死後に発表するように言付けられ、2015年にポルト、リスボン、カンヌ国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された。
カニバイシュ

© Filmargem, La Sept, Gemini Films
1988年/フランス、西ドイツ、イタリア、スイス/ポルトガル語/スタンダード/99分/原題:Os Canibais
監督・脚色・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ
原作:アルヴァロ・カルバリャル
撮影:マリオ・バローゾ
音楽・オペラ台本:ジョアン・パエス
製作:パウロ・ブランコ
出演:ルイス・ミゲル・シントラ、レオノール・シルヴェイラ、ディオゴ・ドリア
マルガリーダとアヴェレダ子爵の婚礼の夜。子爵は自らが人間でないことを告白する。それを聞いたマルガリーダは錯乱。厳粛な雰囲気に満ちた貴族たちの晩餐会は、驚愕の事態へと展開する。人間、動物、機械などあらゆる境界を超越し、奇想天外なユーモアが炸裂するオペラ・ブッファ(喜劇的なオペラ)映画の怪作。
絶望の日国内劇場初公開

© Madragoa Films, Gemini Films
1992年/ポルトガル、フランス/ポルトガル語/ヨーロッパ・ビスタ/77分/原題:O Dia do Desespero
監督・脚本・台詞:マノエル・ド・オリヴェイラ
撮影:マリオ・バローゾ
製作:パウロ・ブランコ
出演:テレーザ・マドルーガ、マリオ・バローゾ、ルイス・ミゲル・シントラ
19世紀ポルトガル文学を代表する小説家カミーロ・カステロ・ブランコ。葛藤と苦悩の末、拳銃自殺を遂げるに至ったその最期の日々を、手紙や新聞記事、調書などに取材し、その生家を舞台に描く。音楽にワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」と「パルジファル」を使用。オリヴェイラ作品の中で最も厳格とも評される作品。
アブラハム渓谷 完全版国内劇場初公開

© Madragoa Filmes, Gemini Films, Light Night
1993年/フランス、ポルトガル、スイス/ポルトガル語/ヨーロッパ・ビスタ/203分/原題:Vale Abraão
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
原作:アグスティーナ・ベッサ=ルイス
撮影:マリオ・バローゾ
製作:パウロ・ブランコ
出演:レオノール・シルヴェイラ、セシル・サンス・ド・アルバ、ルイス・ミゲル・シントラ
フローベール「ボヴァリー夫人」をアグスティーナ・ベッサ=ルイスが翻案し、原作を執筆。言葉、映像、そして音楽それぞれが自律しながら精妙かつ鮮烈に調和する「文芸映画」の最高峰。男性的な世界/権力に詩的な想像力で抵抗する、主人公エマの苦悩。ディレクターズ・カット版とも言える、本来の姿でスクリーンに蘇るオリヴェイラ映画の記念碑的作品。
夜顔

© Filbox Produções, Les Films d’ici
2006年/ポルトガル、フランス/フランス語/ヨーロッパ・ビスタ/69分/原題:Belle Toujours
監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
撮影:サビーヌ・ランスラン
製作:ミゲル・カディリェ
出演:ビュル・オジエ、ミシェル・ピコリ、リカルド・トレパ、レオノール・バルダック
ルイス・ブニュエル監督作『昼顔』(1967)の登場人物たちの38年後を描く。パリで偶然再会したアンリとセヴリーヌ。アンリは真実を打ち明けるという口実でセヴリーヌを食事に誘う…。過去をめぐり立ち上がる、欲望に満ちた謎。ミシェル・ピコリが再び「アンリ」役で登場。カトリーヌ・ドヌーヴが演じた「セヴリーヌ」にはビュル・オジエが扮する。
5/10(土)~
104歳、哲代さんのひとり暮らし

© 『104歳、哲代さんのひとり暮らし』製作委員会
2024/⽇本/94分/ドキュメンタリー/配給:リガード
ナレーション:リリー・フランキー
監督・編集:⼭本和宏
撮影:的場泰平、筒井俊⾏
⾳響効果:⾦⽥智⼦
整⾳:富永憲⼀
プロデューサー:中村知喜、古⽥直⼦、出雲志帆、髙⼭英幸
統括プロデューサー:岡本幸
制作:RCC
協⼒:RCCフロンティア 公益財団法⼈ ⺠間放送教育協会 中国新聞社
後援:広島県 尾道市 府中市
イベント情報
5/23(金)上映後、⼭本和宏監督の舞台挨拶がございます。
入場者プレゼント
公開初日の5月10日(土)からご来場のお客様に広島の銘菓「桐葉菓(とうようか)」 をプレゼントいたします。(先着順/なくなり次第終了)
⽼いてなお、ごきげん!
哲代さんの⼼も体もさびない⽣き⽅
広島県尾道市。⾃然豊かな⼭あいの町で100歳を超え てひとり暮らしを続けている⽯井哲代さん。⼩学校の 教員として働き、退職後は⺠⽣委員として地域のため に尽くしてきました。⼦どもはおらず、83歳で夫を⾒ 送ってからは、姪や近所の⼈たちと助けあい、笑いあいながら過ごしています。 いりこの味噌汁を作り、家の周りの草をとり、お茶を囲んで語り合う。時には体調を崩して病院に お世話になることもありますが、年齢を重ねてできないことが増えても、哲代さんは⾃分を上⼿に 励まし、⾃由な⼼で暮らしをしなやかに変えていきます。 なんでも美味しく、誰とでも楽しく、いつだってご機嫌に。 そんな哲代さんの101歳から104歳までの⽇々をみつめたドキュメンタリーです。
⽼後の不安が希望に変わる!⼈⽣100年時代のお⼿本
2024 年に厚⽣労働省が発表した⽇本⼈の平均寿命は 男性が81.09年、⼥性が87.14年。また、国際的な調 査では2007年に⽣まれた⽇本の⼦どもの寿命は107 歳になるとも推測されています。(※) 世界でもトップレベルの⻑寿国でありながら、「100 歳まで⽣きたい」と考える⼈はわずか2割にとど まり、幸福度も他国に⽐べて低い⽇本で、年齢を重ねること、⽼いていくことの効⽤を哲代さんの 暮らしの中に⾒出したのは、広島でテレビドキュメンタリーを制作してきた⼭本和宏監督。テレビ の企画として2022年から哲代さんのひとり暮らしを⾒守ってきました。ナレーションはリリー・ フランキーが務め、⽇常の⼀瞬⼀瞬の中にある、⽣きているからこその喜びを伝えます。 100 歳まで⽣きることが現実的になりつつある現代において、哲代さんは⼈⽣100年時代のモデル として地元の新聞やテレビで紹介されてきました。⼈⽣の酸いも⽢いも上⼿に味わう哲代さんの前 向きな姿勢とユーモアあふれる⾔葉を紹介した書籍は累計21万部(2024年10⽉時点)を超える ベストセラーとなり、「⽼後の不安が希望に変わる」と⼤きな反響を呼んでいます。
(※)参考資料:厚⽣労働省、100年⽣活者研究所



5/10(土)~
IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー

©Jean-Baptiste-Lhomeau
2024年/42分/フランス/配給:ユーロスペース
原題:『C’est Pas Moi』/英語題:『It’s Not Me』
監督:レオス・カラックス
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
出演:ドニ・ラヴァン、カテリーナ・ウスピナ、ナースチャ・ゴルベワ・カラックス
100%カラックス映画、心揺さぶる自画像
レオス・カラックス最新作『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』。それは「これは私ではない」と題されたセルフポートレート。カラックスが初めて自ら編集しためまいのようなコラージュ。「鏡を使わず、後ろ姿で描かれた」自画像。子供の始めての嘘(フィクション)のような「僕じゃない」という言い訳――。
2024年のカンヌ国際映画祭プレミア部門で初公開され、大きな注目と関心を集めた本作は、ルモンド紙が「五つ星・傑作」としたのを始め、「ゴダールの精神的後継者による心揺さぶるエッセイ」「カラックスのとてつもない宇宙」と高く評価された。アメリカでも秋のニューヨーク映画祭で「多彩なヴィジュアルスタイルのシネエッセイ」「2024年の最も颯爽とした映画」と高評が続き、同映画祭に参加していたイザベル・ユペールも「100%レオス・カラックス映画。この映画にとても心を動かされた」と語っている。
イメージと音の奔流、間断なく入る文字・声・音楽。
次々と引用される映画・写真・動画。
カラックスの記憶と思考の中に呑み込まれる、魔法のような42分。
パリの現代美術館ポンピドゥーセンターはカラックスに白紙委任する形で展覧会を構想していたが、「予算が膨らみすぎ実現不能」になり、ついに開催されることはなかった。その展覧会の代わりとして作られたのが『IT‘S NOT ME イッツ・ノット・ミー』である。
ポンピドゥーセンターからの問いかけは、カラックスの今いる位置を聞いたものだったが、カラックスはそれをもっと根源的に捉え直し、自分がどこから来てどこへ行くのかという答えのない謎に地の底から響くような低い声で口籠もりながら語ってゆく。家族について、映画について、20世紀と独裁者と子供たちについて、死者たちについて、そして「エラン・ヴィタル(生の飛躍、生命の躍動)」(ベルクソンの言葉)について。
ゴダール(1930-2022)の後期のエッセイ・スタイルへのオマージュではあるものの、ゴダールが思索的・分析的なのに対し、カラックスはずっと夢想的・連想的にみえる。ホームビデオから映画、音楽、写真とさまざまなジャンル、フォーマットの映像を夢の断片のようにコラージュしながら自身のポートレイトをプライベートにダイレクトに描く。そこにはストーリーも結論もないが、至る所に見る者の心を揺さぶる声や瞬間がある。難民の子供の遺体に重なるジョナス・メカスの声。留守電に残されたゴダールの伝言。娘のナスチャがピアノで奏でるミシェル・ルグランの「コンチェルト」のテーマ。主観ショットで捉えられた『汚れた血』のジュリエット・ビノシュ。『ポーラX』のギョーム・ドパルデュー(1971-2008)とカテリナ・ゴルベワ(1966-2011)。盟友だった撮影監督ジャン=イヴ・エスコフィエ(1950-2003)への献辞。その後で、不意に訪れる驚嘆すべき素晴らしい終幕――。すべてが親密で私的で詩的なカラックスからのメッセージだ。



© 2024 CG CINÉMA • THÉO FILMS • ARTE FRANCE CINÉMA
5/10(土)~
ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン―ジャズが生まれる瞬間―

Ⓒ2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA
2022年/デンマーク/92分/配給・宣伝:株式会社ディスクユニオン
原題:Music for Black Pigeons
字幕:バルーチャ・ハシム
監督:ヨルゲン・レス、アンドレアス・コーフォード
出演:ヤコブ・ブロ、リー・コニッツ、ポール・モチアン、ビル・フリゼール、高田みどり、マーク・ターナー、ジョー・ロヴァーノ、ジョーイ・バロン、トーマス・モーガン、マンフレート・アイヒャー、他
現代ジャズのトップで活躍する世界的に有名なジャズ・プレーヤーたちは、何を考え、何を感じているのか。
彼らの貴重なレコーディング風景や日常を、実に14年もの歳月をかけて追い続け、ジャズの生まれる瞬間をとらえた音楽ドキュメンタリー。
北米、ヨーロッパ、日本を通して、撮影クルーはデンマークの作曲家ヤコブ・ブロを過去14年間追い続け、世代や国境を超えた彼らの音楽的交流を目撃してきた。
“ただひたすらテープを回す”という伝統的なジャズの手法で撮影された今作では、現代ジャズを代表する音楽家たちの親密で即興的な瞬間を捉えており、彼らの個性的で豊かなスタイルはもちろん、セッションの中で生まれる独特のエネルギーや仲間意識にも焦点を当てている。
予測不可能なライブ・ジャムの合間には、参加者たち自身が演奏することの感覚や音楽の意味について語ったポートレートが挟まれ、ジャズ・ミュージシャンとして生きる彼らの人生とそのプロセスに迫っている。
リー・コニッツやポール・モチアンなど、撮影中に惜しくもこの世を去ったミュージシャンたちの最後の演奏を記録しており、先駆的なミュージシャンであった彼らへの心からの敬意を表した作品となった。彼らの多彩で親密なプロセスは、後世へと受け継がれるレガシーとなっていく。
*ゴールデン・ミューズ・シネマ & アーツ賞受賞



5/17(土)~
太陽(ティダ)の運命

©2025 映画「太陽の運命」製作委員会
2025年/129分/日本/配給:インターフィルム
監督:佐古忠彦
撮影:福田安美
音声:町田英史
編集:庄子尚慶
語り:山根基世
音楽:兼松衆、阿部玲子、澤田佳歩、佐久間奏、栗原真葉、三木 深
テーマ曲:「艦砲ぬ喰ぇー残さー」 作詞・作曲:比嘉恒敏
制作:琉球放送、TBSテレビ
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!
大田昌秀と翁長雄志・・・二人の知事が相剋の果てにたどり着いた境地、そしてこの国の現在地とは―
政治的立場は正反対であり、互いに反目しながらも国と激しく対峙した二人の沖縄県知事がいた。1972年の本土復帰後、第4代知事の大田昌秀(任期1990~98年)と第7代知事の翁長雄志(任期2014~18年)である。ともに県民から幅広い支持を得、保革にとらわれず県政を運営した。大田は、軍用地強制使用の代理署名拒否(1995)、一方の翁長は、辺野古埋め立て承認の取り消し(2015)によって国と法廷で争い、民主主義や地方自治のあり方、この国の矛盾を浮き彫りにした。大田と翁長、二人の「ティダ」(太陽の意。遥か昔の沖縄で首長=リーダーを表した言葉)は、知事として何を目指し、何と闘い、何に挫折し、そして何を成したのか。そこから見えるこの国の現在地とは―。
佐古忠彦監督が沖縄現代史に切り込んだ、新たなる野心作
沖縄戦後史を描いた『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー』2部作(2017/19)、戦中史を描いた『生きろ 島田叡―戦中最後の沖縄県知事』(2021)に続く佐古忠彦監督最新作は、それぞれの信念に生きた二人の知事の不屈の闘いをたどり、その人間的な魅力にも光を当て、彼らの人生に関わった多くの人々の貴重な証言を交えて沖縄現代史に切り込んだ、全国民必見のドキュメンタリーだ。



5/17(土)~
マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド

© Geko Films – Tempesta – 2023
2023年/フランス・イタリア/イタリア語・フランス語/99分/字幕:杉本あり
原題:Maria Montessori (La ouvelle Femme)
配給:オンリー・ハーツ 劇場営業:トリプルアップ
協力:国際モンテッソーリ協会(AMI)
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
イタリア大使館/イタリア文化会館
監督・脚本:レア・トドロフ
脚本:カトリーヌ・バイエ
出演:ジャスミン・トリンカ 、レイラ・ベクティ、ラファエル・ソンヌヴィル=キャビー、ラファエレ・エスポジト、ピエトロ・ラグーザ、アガト・ボニゼール、セバスティアン・プドゥル、ラウラ・ボレッリ、ナンシー・ヒューストン
モンテッソーリ教育の生みの親、マリア・モンテッソーリの劇的な人生。
ブルジョア社会の運命さえも変えた、強く知的なひとりの女性の物語。
Amazon創業者ジェフ・ベゾス、Google創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、シンガーソングライターのテイラー・スウィフト、将棋の藤井聡太などが受けたことでも注目されるモンテッソーリ教育。本作は、その生みの親であるマリア・モンテッソーリがメソッドを獲得し、1907年に「子どもの家」を開設するまでの苦悩に満ちた7年間を描いた感動作。
20世紀初頭のイタリア・ローマ。マリア・モンテッソーリ(ジャスミン・トリンカ)は、ある「成功者」と出会う。フランスの有名なクルチザンヌ(高級娼婦)リリ・ダレンジ(レイラ・ベクティ)だ。リリは娘の学習障がいが明るみに出そうになったとき、自分の名声を守るためにパリから逃亡してきたのだった。マリアはこの時期すでに画期的な新しい教育法の基礎を築いていた。リリはマリアを通して、娘はただの障がいのある女の子ではなく、強い意志と才能を持った人として、ありのままの娘を知るようになる。マリアに共鳴したリリは、男性中心社会の中でもがくマリアの野望の実現に手を貸すのだが・・・。
監督は、パリ、ウィーン、ベルリンで政治学を学び、その後ドキュメンタリー映画を主に活動してきたレア・トドロフ。2012年初のドキュメンタリー「Saving Humanity during Office Hours」を監督し、14年には「Russian Utopia」を共同監督。15年にジャンナ・グルジンスカ監督のオルタナティブ教育をテーマにしたドキュメンタリー「School Revolution: 1918-1939」の脚本を執筆。そして、遺伝性疾患を持って生まれた娘の誕生が本作制作への決定的な契機となった。本作が長編劇映画、初監督となる。
マリア・モンテッソーリを演じるのは、『息子の部屋』で俳優デビューを飾り、『輝ける青春』『フォルトゥナータ』『泣いたり笑ったり』など数多くの作品で映画賞を受賞しているジャスミン・トリンカ。俳優のみならず監督としても活躍しており、第75回カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門の審査員を務めた。リリ役には、『虚空の鎮魂歌(レクイエム)』『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』『パーフェクト・ナニー』のレイラ・ベクティ。リリの娘・ティナを演じるのはラファエル・ソンヌヴィル=キャビー。本作のマリア・モンテッソーリのもとで学ぶ障がいを抱えた子どもたちの役は、同じ立場の子どもたちが演じているが、キャスティングのワークショップに参加したラファエルと監督は出会い、ティナ役にぴったりだと初日に感じ抜擢した。本作が彼女のデビュー作となる。



5/24(土)~
デコチン DECO-CHIN

(C)2025 中島らも/集英社・TOブックス
2025年/91分/日本/配給:フリック
監督・脚本:島田角栄
プロデューサー:林哲次
出演:松永天馬(アーバンギャルド)、永岡佑、中田彩葉、古市コータロー(THE COLLECTORS)、小林雅之(JUN SKY WALKER(S))、仲野茂(アナーキー)、マツモトクラブ、プリティ太田、ゆってぃNYチーズケーキTOKYO FRIDAY NIGHT、鳥居みゆき
原作:中島らも「DECO-CHIN」(集英社文庫刊「君はフィクション」所収)
主題歌:「ナルシスト」松永天馬
製作:TOブックス
撮影:笠真吾
美術:山本宗
VFX:奇志戒聖
録音:内田達也
照明:松田章吾
特殊造形:ゾンビストック
音楽監督:RYU智秀
宣材写真&デザイン:松蔭浩之
中島らも没後21年
最期の傑作短編小説、まさかの完全映画化!
2004年急逝した小説家中島らも。その破天荒な人生と、彼独自の世界観が反映された作品群は、今読んでも色褪せることなく、彼の死後も世代を超えて愛読され続けている。そんな彼が亡くなる直前に書き上げた最期の短編小説が『DECO-CHIN』だ。ミュージシャンの道に挫折し、カウンターカルチャー誌の副編集長となった主人公が、あるバンドとの出会いによって自らの肉体改造をもって覚醒する愛の物語だ。そのあまりに衝撃的な内容に、映像化不可能と言われた原作が遂にスクリーンに登場する!
監督・脚本は、ロック魂をテーマに数々の映画作品を世に送り出してきた島田角栄。自ら聖書(バイブル)と語る原作の映像化に際して、監督曰く“町のごちゃごちゃしたところをフォーカスして切り取りたかった” と高円寺、中野、早稲田を舞台に選んだ。主人公の松本には初の野外ワンマンとなる17周年記念公演『アーバンギャルドの昭和百年・野音戦争』を成功させたアーバンギャルドのリードヴォーカル松永天馬、他、永岡佑、古市コータロー(THE COLLECTORS)、小林雅之(JUN SKY WALKER(S))、仲野茂(アナーキー)、お笑い芸人のゆってぃNYチーズケーキTOKYO FRIDAY NIGHT、鳥居みゆき、マツモトクラブ等ジャンルを超えた出演陣が顔を揃えた。
ミュージシャンの道に挫折した松本が
あるフリークスバンドとの出会いによって覚醒する!!
ミュージシャンの道をあきらめインプラント、スピリットタン等カウンターカルチャーを扱う音楽誌「OPSY」の編集者として毎日を送る松本は、ある日、社長命令でプロダクションからの売り込みバンド「The PEACH BOYS」のワンマンライブに足を運ぶ。しかし、そのあまりの酷さに編集者としての人生を「なんという徒労だ」と愚痴り絶望する。そんなライブ終演後、店長の五百鬼頭が一つのバンドを紹介する。告知もせず突然登場した世界でも稀有なバンド「THE COLLECTED FREAKS」との衝撃の出会いだった。
そして松本は”自分を愛するために“ある決断をする・・・・・・



5/31(土)~
青春 -3部作-

青春 -苦- 青春 -帰-
出稼ぎの若者たちを通して一つの世代の運命を浮かび上がらせる3部作。
ワン・ビンという巨大な作家とともに在る僥倖。
5/31(土)―6/13(金)
『鉄西区』『死霊魂』などで世界で最も賞賛されるドキュメンタリー作家の一人であるワン・ビン(王兵)の最新作。第1部は2023年カンヌ国際映画祭で初上映され、翌年に日本公開。第2部『青春-苦-』は2024年8月のロカルノ映画祭、第3部『青春-帰-』は2024年9月のヴェネチア国際映画祭で世界初上映。『鉄西区』以来の3部作がついにそのベールを脱ぐ!
公式ホームページhttps://moviola.jp/seishun/
入場料【当日券】1作品当たり 一般2,100円/会員・大専・シニア1,500円/高校生以下1,000円
前売券全国共通特別鑑賞3回券4,200円(税込)、1回券1,700円(税込)を当館受付にて発売中!

© 2023 Gladys Glover – House on Fire – CS Production – ARTE France Cinéma – Les Films Fauves – Volya Films – WANG bing
2024年/フランス=ルクセンブルク=オランダ/226分(3時間46分)途中休憩あり/配給:ムヴィオラ
監督:ワン・ビン
中国語題:青春 苦
英語題:YOUTH (HARD TIMES)
字幕:磯尚太郎
青春 -苦-(第2部)
中国の縫製工場で働く若者たちを描く『青春』第2部。
金がない。金を持ち逃げされる。泣けてくる。
もうすぐ春節がやってくる。
第2部は「苦」。中国。子供服の街・織里(しょくり)。その縫製工場で繰り広げられる若者たちの物語は、さらにドラマティックになって行く。ユンはミスばかりして仲間に呆れられ、もう働きたくない。ワンシャンは帳簿をなくしてしまい、社長に賃金は払えないと言われる。社長が取引先を殴っているのを見た。別の工場では、社長が全財産を持ち逃げした。苦々しい交渉の日々。若者たちは春節を祝うため、故郷へと帰る。

© 2023 Gladys Glover – House on Fire – CS Production – ARTE France Cinéma – Les Films Fauves – Volya Films – WANG bing
2024年/フランス=ルクセンブルク=オランダ/152分(2時間32分)/配給:ムヴィオラ
監督:ワン・ビン
中国語題:青春 帰
英語題:YOUTH (HOMECOMING)
字幕:磯尚太郎
青春 -帰-(第3部)
中国の縫製工場で働く若者たちを描く『青春』の掉尾を飾る第3部。
故郷に帰る。結婚式を挙げる。生きていく。
生きることの途方もなさ。
第3部は「帰」。春節の休暇が近づき、織里(しょくり)の縫製工場は閑散としている。わずかに残った労働者たちも帰省する。誰もが故郷で春節を祝うために。休暇中に結婚式を挙げるものがいる。でも、故郷には仕事がない。ミンイェンの故郷の雲南は寒い。家にいても息は白く、手がかじかむ。休暇が終わり、労働者たちはまた工場に戻る。働き場所がなくなったものもいる。少年少女のまだ幼い声が響く。新しく若い世代の出稼ぎが、また工場にやってきたのだ。

© 2023 Gladys Glover – House on Fire – CS Production – ARTE France Cinéma – Les Films Fauves – Volya Films – WANG bing
2023年/フランス=ルクセンブルク=オランダ/215分(3時間35分)/配給:ムヴィオラ
監督:ワン・ビン
中国語題:青春 春
英語題:YOUTH(SPRING)
撮影:前田佳孝、シャン・シャオホイ、ソン・ヤン、リウ・シェンホイ、ディン・ビーハン、ワン・ビン
編集:ドミニク・オーヴレイ、シュー・ビンユエン、リヨ・ゴン
字幕:磯尚太郎
【アンコール上映】
青春 -春-(第1部)
これは、アクション映画で、恋愛映画で、経済の映画で、そして何より青春映画
上海を中心に大河・長江の下流一帯に広がる、長江デルタ地域。ここだけで日本のGDPをはるかに上回る大経済地域だ。しかし、映画が描くのは、長江デルタの大企業でも大工場でもない。織里という町の小さな衣料品工場で働く10代後半から20代の若い世代の労働と日常だ。世界は彼らに注目しない。しかし、そこには驚くほどにみずみずしい青春がある。
猛烈なスピードでミシンをかける姿はアクション映画で、振り付けられたダンスのよう。恋愛をめぐる駆け引きはボーイ・ミーツ・ガール。あちこちで起こる言い争いは、暴力への沸点をはらむ。5元をめぐる経営者とのささやかな攻防。彼らがここで生きていることを徹底的に肯定し、それぞれの人物を注意深く見つめ、共感を寄せること。ワン・ビンの視線は、やがて中国という巨大な国に生きる一つの世代全体の運命を浮かび上がらせる。様々な題材に取り組んできたワン・ビンが、初めて若者にフォーカスした必見のドキュメンタリー体験。
6/7(土)~
雪子 a.k.a.

©2024 「雪子a.k.a.」製作委員会
2024年/98分/日本/配給:パル企画
監督・編集:草場尚也
製作:鈴木ワタル、桑原佳子
プロデューサー:岩村修、関和紀
原作:鈴木史子、草場尚也
脚本:鈴木史子
撮影:寺本慎太朗
美術:松本千広
音楽:GuruConnect
ラップ監修:ダースレイダー
主題歌:「Be Myself」(Prod. GuruConnect)ポチョムキン(餓鬼レンジャー)、泰斗a.k.a.裂固 & 瑛人
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
出演:山下リオ、樋口日奈、占部房子、渡辺大知、石田たくみ(カミナリ)、剛力彩芽、石橋凌
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!特典:レコード型ステッカーをプレゼント!
教員×ラップ
新鋭 草場尚也監督が描く、現代のニューヒロイン!
不安に生きる全ての人に贈る優しい物語が誕生。
PFFアワード2019日活賞とホリプロ賞の2冠受賞作「スーパーミキンコリニスタ」で注目を浴びた草場尚也監督の待望の劇場用映画初監督作品。
“29歳問題”の渦中で人生に迷った主人公・雪子が、ラップを通して自分と向き合い答えを探す姿を描くと同時に、教職に就く人たちの声を拾い集めて作られた脚本によって、雪子の教師という仕事の明暗も浮き上がらせる。
主演は、映画や舞台など作品規模にとらわれず意欲的に活躍する山下リオ。同僚教師に樋口日奈、占部房子。恋人や友人に渡辺大知、剛力彩芽。そして雪子の父を石橋凌が演じ、個性豊かな実力派の俳優たちが脇を固める。さらに雪子が披露するリリックは、ラッパーのダースレイダーが本作の為に書き下ろした。ラスト、雪子がコトバに乗せて気持ちを解放していくさまは爽快で、生きづらさを感じる私たちの心を躍らせてくれる。
私にできること、それは私自身でいること。
記号のように過ぎていく29歳の毎日に、漠然とした不安を感じている小学校教師の雪子。
不登校児とのコミュニケーションも、彼氏からのプロポーズにも本音を口にすることを避け、ちゃんと答えが出せずにいる。
ラップをしている時だけは本音が言えていると思っていたが、思いがけず参加したラップバトルでそれを否定され、立ち尽くしてしまった。
いい先生、いいラッパー、いい彼女に…なりたい?と自問自答しながら誕生日を迎えた。でも現実は、30歳になったところで何も変わらない自分でしかない。
それでも自分と向き合うために一歩前へ進んだ彼女が掴んだものとは―――。



6/7(土)~
黒い瞳 4K修復ロングバージョン

© 1987 Excelsior Film-TV. © 2010 Cristina D’Osualdo. All rights reserved.
1987年/143分/イタリア/イタリア語、ロシア語/配給:ザジフィルムズ
原題:OCI CIORNIE
監督:ニキータ・ミハルコフ
脚本:アレクサンドル・アダバシャン、ニキータ・ミハルコフ、スーゾ・チェッキ・ダミーコ
原作:アントン・チェーホフ「犬を連れた奥さん」他
音楽:フランシス・レイ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、シルヴァーナ・マンガーノ、マルト・ケラー、エレナ・サフォーノヴァ
幸せの涙と、悲しみをたたえた微笑みに彩られたほろ苦くも甘い、文芸ラブ・ストーリー
アテネを経てイタリアに向かう客船。ひと気のない食堂の、窓際のテーブルに座る初老の男は、食堂に入ってきたロシア人の紳士に、自らの人生を語り始める…。男の名はロマーノ。イタリアの田舎町で生まれた彼は、大銀行家の一人娘エリザと結婚し富を得たが、夫婦の仲は冷え切っていた。銀行が倒産の危機に瀕する中、ロマーノは一人家を出て湯治場に身を寄せ、そこで美しいロシア人の女性アンナと出会い、激しい恋に落ちる。一通の手紙を残し消えたアンナを追い、ロマーノはロシアに向かうが…。
マルチェロ・マストロヤンニ生誕100年
アントン・チェーホフ没後120年
本作は、ロシアの文豪アントン・チェーホフの「犬を連れた奥さん」を含む4つの短編から着想を得た物語で、『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』(1977)などの名匠ニキータ・ミハルコフが監督と脚本を務めた。共同脚本に、『山猫』(63)、『家族の肖像』(74)などヴィスコンティ作品に欠かせなかった名脚本家スーゾ・チェッキ・ダミーコが名を連ね、全編に奏でられる流麗な音楽はフランシス・レイが手掛けている。ロマーノの妻エリザをシルヴァーナ・マンガーノが、娘クラウディアをイザベラ・ロッセリーニが演じている。
名手たちの奇跡のコラボレーションによって生み出された本作は、日本でもロングランヒットを記録しキネマ旬報ベストテンの第6位に選出。そこはかとない可笑しみと、円熟期を迎えた男の悲哀が滲み出るマストロヤンニの名演に、世界中の大人の観客が魅了された。カンヌ国際映画祭男優賞のほか、イタリアのアカデミー賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞では13部門にノミネート、主演男優賞と主演女優賞のW受賞を果たした。
このたび公開されるのは、4K修復が施され、約25分のシーンが追加されたロングバージョン。マストロヤンニの没後20年に制作され、第73回ヴェネチア国際映画祭ヴェネチア・クラシック部門に出品された。マストロヤンニの生誕100年とチェーホフの没後120年を機に、ついに日本でも公開を迎える。



6/13(金)~
おばあちゃんと僕の約束

©2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
2024年/126分/タイ/配給:アンプラグド
原題:Lahn Mah
監督・脚本:パット・ブーンニティパット
脚本:トッサポン・ティップティンナコーン
製作:ワンルディー・ポンシティサック、ジラ・マリクン
音楽:ジャイテープ・ラーロンジャイ
撮影:ブンヤヌット・グライトーン
編集:タマラット・スメートスパチョーク
出演:プッティポン・アッサラッタナクン(ビルキン)、ウサー・セームカム、サンヤー・クナーコン、サリンラット・トーマス、ポンサトーン・ジョンウィラート、トンタワン・タンティウェーチャクン
【前売券】ムビチケカード 1,600円(税込)を当館受付にて発売中!特典:ポストカードをプレゼント!
2024年タイで記録的な大ヒット!
自分よりも家族を思う愛情の深さに、涙があふれて止まらない。
大学を中退してゲーム実況者を目指す青年エム。従妹のムイが祖父から豪邸を相続したと聞き、自分も楽をして暮らしたいと画策。エムにはお粥を売って生計を立てている一人暮らしの祖母メンジュがおり、ステージ4のガンに侵されていることが判明。不謹慎にもエムはメンジュに近づき、彼女から信頼され相続を得ようとするのだが、その慎ましく懸命に生きる姿や考えに触れていき……。
2024年4月にタイで公開され、年間最大のオープニング成績を記録した超話題作『おばあちゃんと僕の約束』。涙なしには観られないことから、鑑賞後に号泣する観客の様子を、TikTokをはじめとするソーシャルメディアに上げるブームが勃発。若者を中心に大流行し、社会現象となり、世界中で驚異の約120億円超の記録的な大ヒットに繋がった。
製作は、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(17)、『女神の継承』(21)でヒット連発、“アジアのA24”と称される新進気鋭の映画スタジオGDH。本作で、タイ史上初となるアカデミー賞®国際長編映画部門ショートリスト入りを果たした。主人公エムを演じるのは、ドラマ「I Told Sunset About You 〜僕の愛を君の心で訳して〜」(20)の出演を機に、タイをはじめアジア全域で大人気スターとして注目を集める俳優・ミュージシャンのビルキンこと、プッティポン・アッサラッタナクン。おばあちゃん役のウサー・セームカムは、78歳にして俳優デビュー。『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で校長役を務めたサリンラット・トーマスがエムの母親を演じる。祖母、子、孫の三世代が織りなす普遍的な家族の物語でありながら、笑いを交えた新鮮な切り口で描き、バンコクの古く美しい風景の中で繰り広げられるヒューマンドラマ。心の琴線に触れるあたたかく優しい音楽と共に、誰もが家族や故郷を思わずにはいられない名作が誕生した。



©2024 GDH 559 CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED
6/21(土)6/22(日)
柳下美恵の ピアノdeフィルム vol.15『君と別れて』

柳下美恵のピアノdeフィルムvol.15
『君と別れて』Apart From You
サイレント映画の35ミリフィルム上映 × ピアノの即興生伴奏
2025.6.21[土]&22[日] 各日12:30
映画が誕生してまもなく130年。最初の約40年間の作品は今ではサイレント映画と呼ばれています。映写機のフィルムがスクリーンに映し出され、語りや音楽伴奏と共に上映していました。トーキーは映写速度が24コマ/秒ですが、サイレントは作品によって違っています。トーキーのスクリーンサイズは作品によって違っていますが、サイレントは1.33×1でした。デジタル上映が主流になる今、映画が誕生した頃の形にこだわった上映を試みます。


フィルム提供:国立映画アーカイブ

1933年/日本/72分[24fps]予定/ 35mm/サイレント/松竹キネマ
監督・原作・脚本: 成瀬巳喜男/撮影: 猪飼助太郎/フィルム提供:国立映画アーカイブ
出演:水久保澄子(芸者 照菊)、吉川満子(芸者 菊江) 、磯野秋雄(菊江の息子 義雄)、河村黎吉(照菊の父)、突貫小僧(照菊の弟)
メロドラマに定評のある成瀬監督の残存する数少ないサイレント映画の名作。主演の水久保澄子は、前年に同監督の『蝕める春』でデビュー、瞬く間に人気になり『チョコレート・ガール』では主人公を演じた。磯野秋雄は『女學生と與太者』(ピアノdeフィルムvol.14で上映)でも水久保澄子、吉川満子と共演、『限りなき舗道』(ピアノdeフィルムvol.11)では主人公、忍節子の弟を演じた。1933年度第10回キネマ旬報日本映画ベストテン第四位。本年は成瀬巳喜男生誕120年の巳年、成瀬監督に精通した研究者のトークと併せてお楽しみください。
照菊は家が貧しく若くして芸者になった。先輩芸者の菊江は息子義雄を育てながらやるせない思いで働いている。義雄は、母親の職業を受け入れられず、不良仲間と非行に走る。しかし義雄は照菊に好意を持ち境遇を知って仲間と手を切ろうとした。
6.21[土]・22[日] 大久保清朗さん
映画評論家/山形大学人文社会科学部 准教授/著書:成瀬巳喜男の世界へ(共著)筑摩書房
入場料一般・シニア2,000円/会員1,700円/ユース(25歳以下)1,000円
6.18[水]より、横浜シネマリンオンラインチケット予約サイト、9:30より劇場受付にて、座席指定券を販売いたします。詳細は劇場Webサイトにてご確認ください。

サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学ピアノ専攻卒業。1995年、山形国際ドキュメンタリー映画祭のオープニング上映、映画生誕百年祭『光の生誕リュミエール!』でデビュー。 以来、国立映画アーカイブや神戸映画資料館などのアーカイブ、映画の復元と保存に関するワークショップ、全国コミュニティシネマ会議、東京国際映画祭、京都国際映画祭、アップリンク、シネマ・ジャック&ベティなどの映画館、海外は韓国映像資料院、SEAPAVAA(東南アジア太平洋地 域視聴覚アーカイブ)マレーシア会議、タイ無声映画祭、 ポルデノーネ無声映画祭、ボローニャ復元映画祭(イタリア)、ボン無声映画祭(ドイツ) などで伴奏。日本、イギリス、アメリカ、デンマークで出版された 『裁かるゝジャンヌ』のDVDやブルーレイの音楽を担当した。音楽で見せる欧米スタイルの無声映画伴奏者は日本人初。映画を楽譜として映画に寄り添い続ける。映画館にピアノを常設する“映画館にピアノを!”、サイレント映画×ピアノの生伴奏“ピアノdeシネマ”、 サイレント映画週間“ピアノ&シネマ”などサイレント映画を映画館で上映する環境作りに注力中。2025年デビュー30周年を迎える。や神戸映画資料館などのフィルム・アーカイブ、映画の復元と保存に関するワークショップ、全国コミュニティシネマ会議、東京国際映画祭、京都国際映画祭、アップリンク、シネマ・ジャック&ベティなどの映画館、海外は韓国映像資料院、SEAPAVAA(東南アジア太平洋地 域視聴覚アーカイブ)マレーシア会議、タイ無声映画祭、 ポルデノーネ無声映画祭、ボローニャ復元映画祭(イタリア)、ボン無声映画祭(ドイツ) などで伴奏。日本、イギリス、アメリカ、デンマークで出版された 『裁かるゝジャンヌ』のDVDやブルーレイの音楽を担当した。音楽で見せる欧米スタイルの無声映画伴奏者は日本人初。映画を楽譜として映画に寄り添い続ける。映画館にピアノを常設する“映画館に ピアノを!”、サイレント映画×ピアノの生伴奏“ピアノdeシネマ”、 サイレント映画週間“ピアノ&シネマ”などサイレント映画を映画館で上映する環境作りに注力中。
6/21(土)~
メイデン

© 2022 FF Films and Medium Density Fibreboard Films.
2022年/117分/カナダ/英語/提供:クレプスキュール フィルム シネマ サクセション/配給:クレプスキュール フィルム
原題:The MAIDEN
監督・脚本:グラハム・フォイ
撮影:ケリー・ジェフリー
編集:ブレンダン・ミルズ
美術:エリカ・ロブコ
録音:イアン・レイノルズ
プロデューサー:ダイヴァ・ザルニエリウナ、ダン・モントゴメール
出演:ジャクソン・スルイター、マルセル・T・ヒメネス、ヘイリー・ネス、カレブ・ブラウ、シエナ・ イー
日本語字幕:上條葉月
カナダ・カルガリー郊外を舞台に、思春期の少年少女の友情と孤独、
喪失の悲しみを紡ぎ上げた、メランコリックで魔法めいた映像世界
カイルとコルトンは、カルガリーの郊外に住む高校生。親友同士のふたりは住宅地をスケートボードで駆け抜けたり、渓谷で水遊びに興じたりと、気の向くままに日々を過ごしている。夏休みが終わりに近づいたある夜、立入禁止区域の鉄道の線路に侵入したカイルに惨たらしい出来事が降りかかる。その頃、同じ高校に通う少女ホイットニーが行方不明になり、奇しくもコルトンが渓谷の岩場で拾ったホイットニーの日記帳には、学校での人間関係に悩む彼女の切実な心情が綴られていた。果たしてホイットニーの身に何が起こり、彼女はどこへ消えたのか。孤立したコルトンは、どうすれば心の空洞を埋めることができるのか。そして、まだ現世をさまよっているかもしれないカイルの魂の行く末とは……。
ある日突然、取り返しのつかない悲劇に見舞われた高校生の若者たち。やるせない喪失感と孤独に苛まれる少年少女3人の物語を、粒子の粗い16ミリフィルムの質感を生かしたみずみずしい映像美で紡ぎ上げ、観る者に超自然的とも言える魔法めいた映画体験をもたらす。グラハム・フォイ監督の長編デビュー作『メイデン』は、彼自身が育ったカナダ西部のアルバータ州カルガリーで撮影を行ったメランコリックな青春映画。いずれもオーディションで見出され、これが映画デビュー作となったジャクソン・スルイター、マルセル・T・ヒメネス、ヘイリー・ネスの演技と存在感も特筆もの。なかでも若き日のリヴァー・フェニックスを想起させるスルイターの鮮烈なカリスマ性には、多くの観客が目を奪われることだろう。本作は、第79回ヴェネツィア国際映画祭のヴェニス・デイズ部門で”未来の映画賞”を受賞、第75回カンヌ国際映画祭の批評家週間「Next Step」のプログラムにも招待され、フォイ監督は期待の新鋭として世界に認められた。



6/28(土)~
デリカド
命懸けで森を守る。これはもはや戦争だ。
気候変動の最前線でフィリピン“最後の秘境”を決死で守る環境活動家たちを追うドキュメンタリー
フィリピンの「世界で最も美しい島」パラワン島は“最後の秘境”、“最後の生態系フロンティア”として名高く、手つかずの自然やコバルトブルーに輝く海を求めて世界中から観光客やダイバーが訪れるアジア屈指のリゾートだ。しかし、一見のどかな熱帯の島に見えるパラワン島では、違法伐採や違法漁業が横行している。この雄大な生態系を守るため、地元の環境保護団体を束ねるパラワンNGOネットワーク(PNNI)が立ち上がった。環境警備隊である彼らの闘いは戦争に近い。違法伐採者はライフルで武装しており、命を落とすメンバーが後を絶たないのだ。人類は「6度目の大絶滅」や気候変動の危機に直面しているが、この島は開発によって急速に生物多様性が失われている最前線になっている。
リゾートを訪れる私たちに決して無関係ではない問題
PNNIの代表ボビーは環境弁護士としてタタ、ニエヴェスらのメンバーと共に、パラワン島の生態系を“経済発展”のために破壊しようとする腐敗した政治家や実業家を相手に命がけの闘いを挑む。チェーンソーの音を頼りに森を進み、違法伐採者から押収したチェーンソーは700台に上り、それらは事務所前にクリスマスツリーのように積み上げられている。また、事務所の敷地内は違法に木材を積んでいた船やトラックを展示した博物館でもある。ボビーは、パラワン島を守るためエコツーリズムの推進を掲げる候補者の町長再選に協力するが、2人は時のドゥテルテ大統領に殺害予告を受ける。果たして彼らは“最後の秘境”を守ることができるのだろうか──。

©Karl Malakunas

©Karl Malakunas

©Delikado LLC
7/5(土)~
無名の人生

©鈴木竜也
2024年/93分/日本/配給:ロックンロール・マウンテン/配給協力:インターフィルム
監督・原案・作画監督・美術監督・撮影監督・色彩設計・キャラクターデザイン・音楽・編集:鈴木竜也
プロデューサー:岩井澤健治(『音楽』『ひゃくえむ。』)
声の出演:ACE COOL、田中偉登、宇野祥平、猫背椿、鄭玲美、鎌滝恵利、西野諒太郎(シンクロニシティ)、中島歩、毎熊克哉、大橋未歩、津田寛治
数々の映画祭を席巻した鈴木竜也、満を持しての劇場長編デビュー
『音楽』『JUNK HEAD』に続く、 個人制作の長編アニメーションの新たな傑作誕生
2021 年、コロナ禍を機に独学で作り始めた短編アニメーション『MAHOROBA』が、ぴあフィルムフェスティバル、下北沢映画祭ほか国内の自主映画祭で数多くの賞を受賞した鈴木竜也監督が、たった1人で、1年半を費やし描き上げた長編デビュー作『無名の人生』。
『MAHOROBA』ではブラック企業に勤める男が逃亡を図る物語、続く『無法の愛』でははみ出し者の男女の関係を軸に、現実社会で起きた無差別刺傷事件にも焦点を当てるなど、一貫して“不条理な世の中に生きる者たちの生き様”をシニカルな描写で描いてきた鈴木監督。『無名の人生』は、仙台に暮らすいじめられっ子の孤独な少年が、父親の背中を追ってアイドルを目指すところから始まる物語。生まれてから死ぬまでに蔑称や源氏名などいくつもの呼称で呼ばれた主人公の波乱に満ちた100年の生涯を、高齢ドライバーや芸能界の闇、若年層の不詳の死、戦争など今まさに我々が直面する数々のセンセーショナルな社会問題を背景に全10章で描き切ります。そして、章ごとにタッチも色彩も変化し、観る者を飽きさせない変幻自在なアニメーションの果てに待つ、前代未聞の衝撃的なラストとは…。
制作期間7年半、総作画枚数4万枚超で国内外を席巻した岩井澤健治監督作『音楽』(19)、世界の映画賞で称賛されたストップモーションアニメ『JUNK HEAD』(21)のヒットが記憶に新しい、日本の個人制作の長編アニメーション市場。今回、岩井澤監督が『無名の人生』のプロデュースを手掛け、アニメ業界にさらなる多様性をもたらします。
鈴木監督たっての希望で主人公の声を務めたのは、ラッパーのACE COOL。その卓越したスキルで抒情的・哲学的なラップを放ち、聴く者を魅了。今回、映画初出演かつ声優初挑戦となりましたが、少ない台詞ながらも主人公の心の揺らぎと悲哀を繊細に表現しました。そして、実力派俳優から、フリーアナウンサー、お笑い芸人など、世代もフィールドも異なるキャスト陣が、そのほとんどが声優未経験ながら、監督の孤高の作品作りと唯一無二の作風に共鳴。個人制作の長編アニメーションの新たな傑作がここに誕生しました。



7/19(土)~
突然、君がいなくなって

© Compass Films , Halibut , Revolver Amsterdam , MP Filmska Produkcija , Eaux Vives Productions , Jour2Fête , The Party Film Sales
2024年/80分/アイスランド=オランダ=クロアチア=フランス/アイスランド語/配給:ビターズ・エンド/PG12
原題:Ljósbrot
英題:When the Light Breaks
監督・脚本:ルーナ・ルーナソン
撮影:ソフィア・オルソン(『サーミの血』「ザ・クラウン」)
音楽:ヨハン・ヨハンソン(『メッセージ』『博士と彼女のセオリー』)
出演:エリーン・ハットル、ミカエル・コーバー、カトラ・ニャルスドッティル、バルドゥル・エイナルソン、アゥグスト・ウィグム、グンナル・フラプン・クリスチャンソン
後援:アイスランド大使館
わたしを”秘密”にしたまま、恋人が死んだ。
レイキャビクの長い夏の1日。孤独を抱えた彼女が行きつく先は—。
暮れない夜に喪失がつなぐ“絆” についての物語。
アイスランド・レイキャビクの美大に通うウナには、大切な恋人ディッディがいる。しかし、二人の関係は秘密だ。彼には遠距離恋愛をしている長年の恋人、クララがいる。ある日ディッディはクララに別れを告げに行くと家を出た後、事故に巻き込まれ帰らぬ人となってしまう。誰にも真実を語ることができないまま、ひとり愛する人を失った悲しみを抱えるウナ。そんなとき、何も知らないクララが現れて――
『わたしは最悪。』『コンパートメントNo.6』に続く北欧初・人間ドラマの傑作‼


7/19(土)~
犬の裁判

©BANDE À PART – ATELIER DE PRODUCTION – FRANCE 2 CINÉMA – RTS RADIO TÉLÉVISION SUISSE – SRG SSR – 2024
2024年/81分/スイス・フランス/配給:オンリー・ハーツ
原題:LE PROCES DU CHIEN
監督:レティシア・ドッシュ
脚本:レティシア・ドッシュ、アン=ソフィー・バイリー
出演:レティシア・ドッシュ、フランソワ・ダミアン、ジャン・パスカル・ザディ、アンヌ・ドルヴァル、コディ(犬)、マチュー・ドゥミ、アナベラ・モレイラ、ピエール・ドラドンシャン
字幕:東郷佑衣
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,300円(税込)を当館受付にて発売中!特典:特製ポストカードをプレゼント!
彼は無罪か有罪か?
犬の罪を問う前代未聞の裁判が始まる
実話に基づいた傑作法廷コメディ
負け裁判ばかりで事務所から解雇寸前の弁護士アヴリルは、次の事件では必ず勝利を勝ち取ろうと決意する。そんなときある男から、かけがえのない伴侶で絶望的な状況にある犬コスモスの弁護を依頼される。アヴリルはどうしても見過ごせず、またも勝ち目のない犬を弁護するという不条理に飛び込んでしまう。犬の命がかかった裁判が、にぎやかにときにコミカルに展開する。人間と動物との関係に疑問を投げかける、実話に基づいた傑作法廷コメディ。



