寛解の連続

寛解の連続

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2019年/日本/112 分/配給:ブライトホース・フィルム
撮影・編集・監督:光永惇
音響:小林宏信
出演:小林勝行、市和浩

公式ホームページ

イベント情報
7/22(木祝)20:30回上映後、サイプレス上野さん(ラッパー)× 光永惇監督のトークイベントがございます!

隔離病棟の記憶を胸に、介護職に就きながら
自分を抱きしめるように歌詞(リリック)を紡ぐ
「どこにでもおるようで、どこにもおらん」
奇妙で稀有なラッパー、小林勝行の生の記録。

兵庫県神戸市出身のラッパー、小林勝行。2011年に発表した1stアルバム『神戸薔薇尻』で日本の地方都市に生きるアウトローの半生を生々しく描き、一部批評家やリスナーから熱狂的な支持を集めた彼は、その後の活躍を期待されていた矢先、活動を休止する。それは自身の抱えていた躁うつ病の症状が悪化した為だった。医者から「一生完治することがない病い」と診断された彼は、隔離病棟での生活を経て、ようやく日常に復帰する。
本作は、退院した後の小林が、ラッパーとして復活するまでの一部始終を親密な目線で描いていく。隔離病棟での記憶、介護の仕事について、幼いころから信仰する宗教のこと。そして、自室にこもり真剣に自らと向き合いリリックを書く姿、それを楽曲としてレコーディングする姿…。感情を露わにさらけ出すその表情や生身の言葉は、活き活きとした生の肯定感に溢れている。
「寛解」とは、病気の症状や徴候が一時的に軽快した状態、あるいは見かけ上、消滅して正常な機能に戻った状態を指す。それを続けて生きていくこと。『寛解の連続』と名付けられたこの映画は、まさにそれでも生き続ける小林の生の記録そのものだ。
制作に 6 年の歳月をかけ、不世出のラッパー、小林勝行の人生と創作に焦点を合わせたのは、今作が長編初監督作となる光永惇。新しいアルバムの制作ドキュメンタリーを撮ることから企画は出発。神戸に向かい、小林にカメラを向けるなかで、いつしか監督自身も神戸に居を移し、生活を共にするようになる。小林が運転する軽自動車で、神戸の街を巡りながら語られる小林勝行という一人のラッパーの記憶は、いつしか神戸という街の記憶にオーバーラップし、絶望も希望も真剣に語るその表情は、鏡のように 観る者を映し出していく―。
本作の完成と併せて、2017年に2ndアルバム『かっつん』が発表された。これはその傑作アルバムのメイキングドキュメンタリーであると同時に、いまも地方都市のそこかしこで生きているであろう、名もない誰かのドキュメンタリーでもある。

小林勝行 (こばやし・かつゆき)

1981年生まれ、兵庫県神戸市出身のラッパー。活動初期から発表曲自体は少ないながらも、ハードかつ叙情的な関西弁のラップで日本のヒップホップシーンに爆発的なインパクトを残してきた。
2011年に満を持して1stアルバム『神戸薔薇尻』を発表し、特にアルバム一曲目の、8分58秒に及ぶ大作“108bars”が大きな話題となる。犯罪や狂気の渦中にありつつも、仄見える希望を捨てきれない若き詩人の咆哮は、日本のヒップホップが生んだ叙事詩として高く評価された。
2017年に待望の2ndアルバム『かっつん』を発表する。自主制作、自主流通のこのアルバムは、精神病院入院体験を楽しげに歌う“from隔離室”や、自身のボールペンを擬人化し、どんな逆境でも作詞を続けていくことを誓う”オレヲダキシメロ”などを収録し、これまでよりも更にパーソナルな内容となっている。
2021年現在、3rdアルバム制作中。


寛解の連続 寛解の連続 寛解の連続

上映日時

7/17(土)~7/23(金)
20:30~22:30 レイト割画像

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
レイト ¥1500 ¥1100 ¥800
会員 ¥1200 ¥1100 ¥800