《Fire in Water 永田康祐映像作品集》
《Fire in Water 永田康祐映像作品集》
11/7(土)-11/20(金)
《Fire in Water 永田康祐映像作品集》
11/7(土)-11/20(金)
世界の見え方が、ふと閃く
アーティスト・永田康祐、初の特集上映
写真、パフォーマンス、インスタレーション。ジャンルを横断しながら、「食べること」や「翻訳」「発酵」といった身近な営みを手がかりに、人間と世界の関係を問い続けてきたアーティスト、永田康祐。2020年の個展「イート」では、食と身体、他者との関係をめぐる知的で刺激的なイマジネーションを展開。2025年の恵比寿映像祭では、映画作家の小森はるか、小田香らとともに新作を発表するなど、その活動は近年のドキュメンタリーや文化人類学的フィールドワークとも響き合う。
本特集上映では、初期作から最新作までの映像作品を一挙上映。一見ばらばらに見えるテーマは、文化や歴史、人間と環境が絶えず影響し合いながら生成変化する世界の姿へとつながっていく。永田の作品は、「わかりやすい物語」から距離をとり、見過ごされてきた存在や関係に静かに光をあて、私たちの認識の枠組みそのものを揺さぶる。しかし、その語り口はどこか飄々として、心地よいユーモアをたたえている。
世界を見る方法は、ひとつではない。映画館の暗闇で、その新しい視点との出会いを体験してほしい。
永田 康祐 Kosuke Nagata
1990年愛知県生まれ、神奈川県を拠点に活動。自己と他者、自然と文化、身体と環境といった近代的な思考を支える二項対立、またそこに潜む曖昧さに関心をもち、写真や映像、インスタレーションなどを制作している。近年は、食文化におけるナショナル・アイデンティティの形成や、食事作法における身体技法や権力関係、食料生産における動植物の生の管理といった問題についてビデオエッセイやコース料理形式のパフォーマンスを発表している。主な個展に「イート」(gallery α M、東京、2020)、グループ展に「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」(東京都写真美術館、2022)、あいちトリエンナーレ(愛知県美術館、2019)など。
公式ホームページhttp://aggie-films.jp/fiw/
企画・配給 アギィ
パブリシティ 高田理沙
宣伝美術 畑ユリエ
協力 ポレポレ東中野、ANOMALY
入場料一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
作品紹介
Program A [上映時間 計78分] ※全ての上映作品に日本語字幕と英語字幕がついています
Fire in Water
2025年/DCP/41分
脚本・監督:永田康祐
撮影:奥祐司
編集:永田康祐、奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
製作:恵比寿映像祭2025コミッションプロジェクト委嘱作品[東京都写真美術館]
日本でも人気のクラフト・マッコリ。その一杯には、知られざる歴史が発酵している。韓国語で酒を意味する「スル」は、「水(ス)」と「火(プル)」に由来するという説がある。泡立つ発酵の様子が、まるで水の中に火が宿るように見えたからだ。永田はこの「水の中の火」というイメージから、日本統治下の朝鮮半島における稲作と酒造の歴史へと分け入っていく。食料増産と税収確保のために導入された技術や制度、米品種、日本式の麹や酵母──。発酵という現象をひとつのメディアとして、遺伝子や微生物、法制度といった目に見えない存在に今なお宿る植民地主義の残響を映し出す。
Fish of Empire
2025年/DCP/15分
脚本・監督:永田康祐
編集補助:奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
日本の南進政策とタイの開発政策を背景に東南アジアへ広がった魚、ティラピア。一匹の魚の移動から、生態系の変容と政治権力が交差する歴史の水脈をたどる。
Suddenly This Overview
2026年/DCP/22分
脚本・監督・語り:永田康祐
制作協力:岩田智哉
監修:飯笹佐代子、田村恵子
ポストプロダクション:奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
第二次世界大戦中、大規模な捕虜脱走事件の現場となったオーストラリア・カウラ。日本人戦争墓地と日本庭園を往還しながら、戦争、植民地主義、和解と、幾層にも堆積した記憶を静かに掘り起こす。
Program B [上映時間 計76分] ※全ての上映作品に日本語字幕と英語字幕がついています
Purée
2020年/DCP/35分
監督・編集:永田康祐
文・語り:永田康祐
撮影・仕上げ:奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
出演:きりとりめでる、佐原しおり、菅原伸也
17世紀フランスで生まれた「ピュレ」は、かつて富と権力を示す料理だった。だが今日では、乳幼児や高齢者を支えるケアの食でもある。その対照的な歴史を手がかりに、「食べる」という営みに潜む政治性を見つめ直す。食器や調理器具、作法、他者との関係のなかで絶えず形を変える「主体」と、人間の共同性について思索を巡らせる。
鮭になる
2024年/DCP/14分
脚本・監督:永田康祐
作画・演出:山本悠
音響効果:山形一生
声の出演:遠藤麻衣
製作:十和田市現代美術館
英語字幕編集:佐藤朋子
サーモン養殖場で寄生虫に感染した鮭と、老いた労働者が静かに時間を共にする。資本主義的な価値と生の尊厳のあいだに横たわる緊張をやわらかな手描きアニメーションで見つめる。
Translation Zone
2019年/DCP/27分
脚本・監督・語り:永田康祐
音響:山形一生
ポストプロダクション:奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
「チャーハン」をめぐる各言語の呼称の違いや機械翻訳の限界、分子ガストロノミーを手がかりに、翻訳と文化生成の関係を探る。他国の料理を手持ちの食材で再現したり、異なる言語へと訳するときに生じる「ズレ」を、新たな創造の契機として鮮やかに描き出す。