瀬々敬久特集

世直しじゃー!!

―こんな時代に瀬々敬久特集―

横浜怒涛篇

8mmからメジャー大作まで、ジャンルを越境する瀬々敬久のインディー系作品集

2021年7月10日(土)~16日(金)

入場料

一般1,300円/大専・シニア1,100円
*以下2作品特別料金
『菊とギロチン』一般1,500円/大専・シニア1,100円
『 ヘヴンズ ストーリー』2,000円/大専・シニア1,300円

瀬々敬久監督コメント

若い頃、70年代の終わりから80年代初頭にかけ自主映画とピンク映画で次々と若い監督たちが新しい映画を作っていた。映画が何かを変えるのだと思った。そこには「変革」があるのだと思った。自分も同じ旗を振りたいと思った。その頃読んで夢中になったのが「秩父事件」(井上幸治)、東アジア反日武装戦線について書かれた「狼煙を見よ」(松下竜一)。「明治の圧政政府」や「国家の暴力」に抵抗した人々の話だ。90年代にピンク映画でそれらをモチーフにした。一方で90年代は新しい犯罪の時代だった。「人が人を殺す」ということを描いた。0年代になって「ヘヴンズストーリー」を自主で作り、その問題を掘り下げようとした。10年代は「菊とギロチン」で再び「変革」について考えた。たとえ身を窶(やつ)していても、映画にはまだまだ「変える力」があるのだ、そう思っている。回顧することなく、現在形として。今、こんな時代だからこそ「世直しじゃー!」なのだ。

全13作品

  • ヘヴンズ ストーリー
  • 菊とギロチン
  • ノーマンズ・ランド
  • わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です
  • 現代群盗伝
  • 迦楼羅の夢
  • 九月の堕天使
  • End of The World
  • 雷魚
  • トーキョー×エロティカ
  • ユダ
  • なりゆきな魂、
  • 石巻市立湊小学校避難所 *プロデュース作品

上映スケジュール

7/10(土) 7/11(日) 7/12(月) 7/13(火) 7/14(水) 7/15(木) 7/16(金)
菊とギロチン12:00-15:15
菊とギロチン
上映後トーク
ヘヴンズストーリー11:40-16:40
ヘヴンズストーリー
上映後トーク
ノーマンズ・ランド11:40-12:50
ノーマンズ・ランド
トーキョー x エロティカ11:40-13:05
トーキョー x エロティカ
現代群盗伝11:40-12:45
現代群盗伝
石巻市立湊小学校避難所11:40-13:50
石巻市立湊小学校避難所
上映後トーク
なりゆきな魂、11:40-13:35
なりゆきな魂、
迦楼羅の夢13:05-14:15
迦楼羅の夢
ユダ13:20-15:20
ユダ
End of The World13:00-14:15
End of The World
菊とギロチン13:50-17:05
菊とギロチン
わたくしといふ現象…14:30-15:40
わたくしといふ現象…
九月の堕天使15:35-16:45
九月の堕天使
九月の堕天使14:30-16:40
九月の堕天使
雷魚14:35-15:55
雷魚
現代群盗伝16:05-17:10
現代群盗伝
上映後トーク
シEnd of The World15:55-17:10
End of The World
ノーマンズ・ランド16:55-17:05
ノーマンズ・ランド
わたくしといふ現象…16:05-17:15
わたくしといふ現象…

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上映作品紹介

ヘヴンズ ストーリー

2010年/278分/DCP/製作:ヘヴンズ プロジェクト/配給:ムヴィオラ
脚本:佐藤有記
撮影:鍋島淳裕、斎藤幸一、花村也寸志
出演:寉岡萌希、長谷川朝晴、忍成修吾、村上淳、山崎ハコ

家族を殺された幼い娘、妻子を殺された若い夫、一人息子を育てながら復讐代行を副業にする警官、理由なき殺人を犯した青年、そしてその青年と家族になろうとする女性。彼らを中心に、20人以上の登場人物が、複数の殺人事件をきっかけにつながっていく…。得体の知れぬ憎しみが覆う世界に向けて、日常の中にある「罪と罰」というべき大きな命題に挑み、復讐の先にある再生を描ききった、全9章4時間38分の大叙事詩。

*ベルリン国際映画祭国際批評家賞

菊とギロチン

2018年/189分/DCP/製作:「菊とギロチン」合同製作舎/配給:トランスフォーマー
脚本:相澤虎之助、瀬々敬久
撮影:鍋島淳裕
出演:木竜麻生、韓英恵、東出昌大、寛 一 郎

大正末期、関東大震災直後の混沌とした社会情勢の中、急速に不寛容な社会へとむかう時代。かつて実際に日本全国で興行されていた「女相撲」の一座と、実在したアナキスト・グループ「ギロチン社」の青年たちが出会い、「自由な世界に生きること」を夢見て、それぞれの闘いに挑む――。時代に翻弄されながらも、歴史の影でそれぞれの「生きる意味」を模索して、世界に風穴をあけたいと願った若者たちの、アナーキーな青春群像劇。

*キネマ旬報 日本映画第2位、同監督賞、脚本賞、新人女優賞、新人男優賞

ノーマンズ・ランド

公開題:『猥褻暴走集団 獣』
1991年/62分/35mm英語字幕版/R18+/製作:国映/配給:新東宝映画
脚本:大友龍太郎(佐々木宏、瀬々敬久)
撮影:斎藤幸一
出演:加藤梨花、伊藤猛、小林節彦

冷戦が終結すると同時に湾岸戦争が始まった1991年。外国帰りの少女、自称殺し屋、南の島へ脱出をはかるカップルの奇妙な関係。彼らのとぼけた日常が、今後おとずれるであろう新たな混迷する世界への漠然とした不安と希望を予期させる。

わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です

公開題:『禁男の園 ザ・制服レズ』
1992年/61分/DCP/デジタルリマスター版/R18+/製作:国映/配給:新東宝映画
脚本:瀬々敬久
撮影:斎藤幸一
出演:岸加奈子、蒲田市子、林由美香

教師の由紀と関係のあった生徒・真理が消息を絶つ。彼女は爆弾魔の健と同棲していた。宮澤賢治にインスパイアされ、賢治の「春と修羅」と「東アジア反日武装戦線」の結合を夢想して作ったという。なんと切なく美しい!

現代群盗伝

公開題:『未亡人 喪服の悶え』
1993年/62分/DCP/デジタルリマスター版/R18+/製作:国映/配給:新東宝映画
脚本:瀬々敬久
撮影:斎藤幸一
出演:佐野和宏、石原ゆり、葉月蛍

瀬々版「河内山宗俊」!ゼネコン汚職と戦うエロ坊主!?明治時代に起きた民衆蜂起「秩父事件」の秩父困民党を現代のピンク映画に導入するという離れ技に驚かされる。秩父のロケーションの中に立ち上がる民衆の姿に泣ける。葉月蛍の愛らしさも見逃せない。

迦楼羅の夢

公開題:『高級ソープテクニック4 悶絶秘戯』
1994年/62分/35mm英語字幕版/R18+/製作:国映/配給:新東宝映画
脚本:羅漢三郎(瀬々敬久、井土紀州、青山真治)
撮影:斎藤幸一
出演:伊藤猛、栗原早記、下元史朗

郁夫は団地に住む美重子をレイプして服役し、出所後に彼女と瓜二つのソープ嬢に出会うが…。瀬々、井土、青山3人の共同脚本で、伊勢の斎宮をヒントにソープ嬢を考えるという神話的スケールで中上健次的な世界観を描こうとした。郁夫役の伊藤猛の狂気と再生の鮮烈。

九月の堕天使

公開題:『本番レズ 恥ずかしい体位』
1994年/62分/35mm/R18+/製作:国映/配給:新東宝映画
脚本:瀬々敬久
撮影:中尾正人
出演:智恵子、深谷真琴、辻斬かりん

生まれ変わりを信じているカルト少女の瞳は、同級生の不良少女に惹かれ関係を持つ。ふたりの前世は、悪魔と闘う天使だったと思いこむ瞳だが…。阪神大震災やオウム事件の前年、世紀末的な心性が拡がる時代の中で、思春期の少女たちの不安定で残酷な心理が淡々と描出される一篇

End of The World

公開題:『すけべてんこもり』
1995年/65分/DCP/デジタルリマスター版/R18+/製作・配給:国映
脚本:瀬々敬久
撮影:中尾正人
出演:河名麻衣、川瀬陽太、泉由紀子

逃亡中の若い男女。女が里子に出した息子を取り返そうと島にやってくるが…。火山噴火前の三宅島でロケを敢行。溶岩で埋もれた大地が宇宙のごとき異世界。瀬々作品常連の川瀬陽太はこれで初出演。ラスト、キャメラに向かって問いかける川瀬の突き抜けた存在感が見事。

雷魚

公開題:『黒い下着の女 雷魚』
1997年/75分/35mm英語字幕版/R18+/製作・配給:国映、新東宝映画
脚本:井土紀州、瀬々敬久
撮影:斎藤幸一
出演:佐倉萌、伊藤猛、鈴木卓爾

昭和末期におきた実際の事件がモチーフ。人妻の紀子は、テレクラで知り合った男を惨殺。警察に拘束されるが、ガソリンスタンドの店員・和昭の嘘の証言に助けられる。二人を結びつける悲しい過去とは…。水郷での撮影が素晴らしく、水辺の電話ボックスだけでも震える。

トーキョー×エロティカ

2001年/77分/35mm英語字幕版/R18+/製作・配給:国映、新東宝映画
脚本:瀬々敬久
撮影:斎藤幸一
出演:佐々木ユメカ、石川裕一、佐々木麻由子

90年代半ば、ケンジは毒ガステロで死亡。97年、その恋人ハルカは売春の相手に殺される。2002年、死んだケンジとハルカは再び出会い、新しい物語が始まる。地下鉄サリン、東電OL殺人などの事件を題材に、世紀末と新世紀を跳躍し遡り、再生を感じさせる重層的な作品。

ユダ

2004/113分/DVCAM/製作・配給:ユーロスペース
脚本:佐藤有記、瀬々敬久
撮影:斎藤幸一
出演:岡元夕紀子、光石研、本多一麻

映画美学校から生まれた企画「映画番長-エロス番長シリーズ」の一編。ドキュメンタリー作家の”私”、「ユダ」と呼ばれる性同一性障害の少年、心と体に傷を持つ謎の女の三者が錯綜する彼らの数奇な運命…。本作で初起用した映画美学校出身スタッフ、佐藤有記(脚本)、今井俊裕(編集)、海野敦、菊地健雄(助監督)が、のちの「ヘヴンズ ストーリー」につながる。2004年映画芸術ベストワン。

*2004年映画芸術ベストワン

なりゆきな魂、

2017年/107分/DCP/R15+/製作・配給:ワイズ出版
原作:つげ忠男
脚本:瀬々敬久
撮影:鍋島淳裕
出演:佐野史郎、柄本明、足立正生、山田真歩、三浦誠己

戦後間もない頃のバラックで暴れる無頼漢サブの愛と別れ、偶然に男女の争いに巻き込まれ衝動的に殺人を犯しまう老人たち、花見で偶然に出会った男女が殺し合いにまで発展してしまう様子を凝視する初老の男、バス事故に運命を翻弄される被害者遺族たちなど、孤高の漫画家・つげ忠男の作品集「成り行き」「つげ忠男のシュールレアリズム」収録の4編に、瀬々監督によるオリジナルストーリーを混在させた、不条理が極まる異色作。

3.11 東日本大震災10周年特別上映

石巻市立湊小学校避難所

2012年/124分/BD 撮影・監督:藤川佳三
プロデューサー:瀬々敬久、坂口一直

東日本大震災の避難所となった小学校で藤川佳三監督が6ヶ月あまり現地に泊まり込み、被災者と寝食を共にしてカメラを回した生活の記録。“かわいそうな被災者”というイメージだけでは括れないそれぞれの個性、共同生活でのストレスや葛藤、そして、震災がなければ交わることのなかった人々の出会いや絆が生々しく映し出されていく。日常の風景と本音のつぶやきがつまった人間ドキュメント。