新しい街 ヴィル・ヌーヴ

新しい街 ヴィル・ヌーヴ

©L’unité centrale

2018年/76分/DCP/カナダ/配給:ニューディアー 
監督:フェリックス・デュフール=ラペリエール
声の出演:ロバート・ラロンド、ジョアンヌ=マリー・トランブレ、テオドール・ペルラン

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レイモンド・カーヴァーの名作短編「シェフの家」から影響を受け作られた誰も見たことのない全編墨絵の長編ポエティック・アニメーション!
ありえたかもしれない人生、ありえたかもしれない愛。
悔恨や後悔を抱えながら、いまふたたび、独立の鐘が鳴る。

アメリカ、そして世界中が分断の悲劇に引き裂かれるなか、多様性の国として近年脚光を浴びるカナダ。その文化的首都モントリオールから、長編アニメーションの新たな傑作が誕生した。紙に描いた墨絵で作画された本作。その特殊な手法が生み出す白、黒、グレーの美しい色合い、そして成熟した映画言語によって語られるのは、かつてのロマンスを取り戻そうとしながら、理想と現実のあいだで引き裂かれていくジョゼフとエマという中年夫婦の物語だ。

本作のインスピレーションの源となっているのは短編小説の名手レイモンド・カーヴァーによる知られざる傑作「シェフの家」。離婚した元夫婦――過去に引きずられる男と未来へと目を向ける女――の再会と再びの別れを淡々と描き出す20ページほどの短編は、その舞台を独立に向けての住民投票を迎える1990年代のカナダ・ケベック州へと移し替えられることで、壊れた愛を再生しようとしてすれちがうカップルのロマンティックな物語でありながら、近年の世界情勢をも含意する現代的な寓話へと、大胆な変貌を遂げることになる。

シンプルだが重厚感あふれる映像のなかで、男と女、絶望と希望、過去と未来、独立と再会、個人と集団、破壊と再生といった互いに相反するものがぶつかりあい、混ざりあう。独立と未来への希望(絶望)をめぐる夫婦間の葛藤は、独立への機運が高まるケベックの群衆の情熱と重なり合う。ジョゼフとその息子ユリスのあいだの確執も混ざり合い、世代間闘争としての性質も帯びつつ、物語は次第に混迷を極めていく。現実には1%の差で否決された1995年のケベック州の独立住民投票は、本作においては同じく1%差で採決される。そんなパラレルな世界において、ジョゼフとエマの二人は、それぞれにとっての「独立」の姿を探っていく。

監督は本作が初めての長編アニメーション作品となる新鋭フェリックス・デュフール=ラペリエール。短編アニメーションの聖地として名高いカナダ国立映画製作庁(NFB)の本拠地があるモントリオールで製作された本作には、マルコム・サザランド(『バードコールズ』)、エヴァ・ツヴィアノヴィッチ(『ヘッジホッグの家』)など現代カナダを代表する若手作家たちもアニメーターとして参加。ナラティブとポエトリーが美しく交差しあう物語を、端正かつ豊かなアニメーションとして描き出す。

アニメーションにはこれまでになかった成熟したテーマを稀有な手法で語る本作は、アヌシー、ザグレブといった世界的なアニメーション映画祭でコンペティション部門に選出されただけでなく、ベネチア映画祭の「ヴェニス・デイズ」部門でプレミア上映されるなど、アニメーションの枠に留まることなく高い評価を受けている。


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上映日時

11/14(土)~11/20(金) 11/21(土)~11/27(金)
10:00~11:20 20:15~21:35 レイト割画像

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1800 ¥1200 ¥800
会員 ¥1500 ¥1200 ¥800