セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー 3選

Selections of Documentary by Sergei Loznitsa —Observing A Faces in the Crowd

『国葬』『粛清裁判』『アウステルリッツ』

3/27(土)-4/9(金)

カンヌ国際映画祭二冠(2012年 国際映画批評家連盟賞、2018年 ある視点部門・最優秀監督賞)、近作10作品全てが世界三大映画祭に公式選出。
ソヴィエトの独裁者スターリンの国葬、国民を扇動した粛清裁判——— そしてホロコーストの現場。その時代(とき)、群衆は何を見つめていたか。

「セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー3選」はロズニツァの近年の作品群に焦点を当てたドキュメンタリー・セレクションである。様々な時代の群衆と人々の顔を見ることで、時代を突き動かしているのが「群衆」であり、その時代の象徴が私たち一人一人の「顔」であることに気がつかせてくれる。過去と現在に同時代性を感じた時、私たちは、“現代(いま)”、どのような顔をしているのか———

セルゲイ・ロズニツァ 映画監督

ベルリン在住。1964年ベラルーシで生まれ、ウクライナの首都キエフで育つ。科学者としてウクライナの国立機関でAIの研究をしていたが、1991年、ソ連崩壊の年、モスクワの全ロシア映画大学に入学する。1996年よりソクーロフの製作で有名なサンクトペテルブルク・ドキュメンタリー映画スタジオで映画製作を始め、これまで21作のドキュメンタリーと4作の長編劇映画を発表してきた。長編劇映画では『In The Fog』(2012)が第65回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞し、『Donbass』(2018)が第71回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」最優秀監督賞に輝く。2010年以降製作した10作品全てが世界三大映画祭に選出される快挙を成し遂げる。
トークイベント

3.28(日)『国葬』14:05回上映後 ゲスト:守屋 愛さん
ロシア文学・文化研究、翻訳家、ロシア語教育、東京大学大学院人文社会研究科博士課程修了、字幕翻訳:『国葬』『粛清裁判』『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』

生コメンタリー上映

3.28(日)『アウステルリッツ』17:05回【生コメンタリー上映】コメンテーター:渋谷哲也さん
東京国際大学教授・ドイツ映画研究
*作品を上映しながら渋谷先生がその場でコメンタリーを入れていく特別上映です。通常の上映とは異なりますのでご注意ください。
*料金は通常料金設定。

入場料

一般1800円/会員1500円/大専・シニア1100円/高校生以下800円

上映スケジュール

3/27(土) 3/28(日) 3/29(月) 3/30(火) 3/31(水) 4/1(木) 4/2(金)
国葬14:05-16:25
国葬
国葬14:05-16:20
国葬
トークイベント
国葬14:05-16:25
国葬
国葬14:05-16:25
国葬
国葬14:05-16:25
国葬
国葬14:05-16:25
国葬
国葬14:05-16:25
国葬
粛清裁判16:35-18:40
粛清裁判
アウステルリッツ17:05-18:40
アウステルリッツ
生コメンタリー
アウステルリッツ16:35-18:15
アウステルリッツ
粛清裁判16:35-18:40
粛清裁判
アウステルリッツ16:35-18:15
アウステルリッツ
粛清裁判16:35-18:40
粛清裁判
アウステルリッツ16:35-18:15
アウステルリッツ

予定表 横にスクロールできます

4/3(土) 4/4(日) 4/5(月) 4/6(火) 4/7(水) 4/8(木) 4/9(金)
国葬18:05-20:20
国葬
粛清裁判18:05-20:15
粛清裁判
アウステルリッツ18:05-19:45
アウステルリッツ
国葬18:05-20:20
国葬
粛清裁判18:05-20:15
粛清裁判
アウステルリッツ18:05-19:45
アウステルリッツ
国葬18:05-21:00
国葬

予定表 横にスクロールできます

上映作品紹介

国葬

©Atoms & Void

2019年/カラー、モノクロ/ロシア語/135分/日本語字幕:守屋愛

1953年3月5日。スターリンの死がソビエト全土に報じられた。モスクワ郊外で発見されたスターリンの国葬を捉えた大量のアーカイヴ・フィルムは、同時代の200名弱のカメラマンが撮影した、幻の未公開映画『偉大なる別れ』のフッテージだった。そのフィルムにはモスクワに安置された指導者の姿、周恩来など各国共産党と東側諸国の指導者の弔問、後の権力闘争の主役となるフルシチョフら政府首脳のスピーチ、そして、ヨーロッパからシベリアまで、国父の死を嘆き悲しむ幾千万人の人の顔が鮮明に記録されていた。67年の時を経て蘇った人類史上最大級の国葬の記録は、独裁者スターリンが生涯をかけて実現した社会主義国家の真の姿を明らかにする。

粛清裁判

©Atoms & Void

2018年/モノクロ/ロシア語/123分/日本語字幕:守屋愛

1930年、モスクワ。8名の有識者が西側諸国と結託しクーデターを企てた疑いで裁判にかけられる。この、いわゆる「産業党裁判」はスターリンによる見せしめ裁判で、90年前に撮影された法廷はソヴィエト最初期の発声映画『13日(「産業党」事件)』となった。だが、これはドキュメンタリーではなく架空の物語である——— 発掘されたアーカイヴ・フィルムには無実の罪を着せられた被告人たちと、彼らを裁く権力側の大胆不敵な共演(・・)が記録されていた。捏造された罪と真実の罰。スターリンの台頭に熱狂する群衆の映像が加えられ再構成されたアーカイヴ映画は、権力がいかに人を欺き、群衆を扇動し、独裁政権を誕生させるか描き出す。

アウステルリッツ

©Imperativ Film

2016年/モノクロ/ドイツ語、他/94分/日本語字幕:吉川美奈子

ベルリン郊外。真夏の陽光を背に吸い寄せられるように群衆が門を潜っていく。“Cool Story Bro”とプリントされたTシャツを着る青年。辺り構わずスマートフォンで記念撮影をする家族。誰かの消し忘れた携帯からはベートーヴェン交響曲第五番「運命」の着信音が鳴り響く。ここは第二次世界大戦中にホロコーストで多くのユダヤ人が虐殺された元強制収容所だ——— 戦後75年、記憶を社会で共有し未来へ繋げる試みはツーリズムと化していた。私たちは自らの過去にどのように触れたらよいのだろうか。ドイツ人小説家・W.G.ゼーバルト著書「アウステルリッツ」より着想を得て製作した、ダーク・ツーリズムのオブザベーショナル映画。