生誕100年 映画女優 高峰秀子
生誕100年 映画女優 高峰秀子
2024/12/28(土)-2025/1/17(金)
生誕100年 映画女優 高峰秀子
2024/12/28(土)-2025/1/17(金)
日本を代表する映画女優・高峰秀子。戦前・戦後を通して数々の名作に出演し、デコちゃんの愛称で日本中の人々から親しまれ、愛され続けた。1929年に子役としてデビューするや、瞬く間に天才子役スターとして頭角を現した。日本映画界を代表する監督作品に次々と出演、とりわけ成瀬巳喜男や木下惠介といった大監督に厚い信頼を寄せられた。1979年に女優を引退した後も、エッセイストとして数々の著書を残した。2010年12月28日、86歳で永眠。命日にあわせて、生誕100年を記念する特集を開催、選りすぐりの13本を上映する。
高峰秀子 profile
1924年、函館市生まれ。(本名:松山秀子)
5歳の時、実母が死去、叔母の養女となり上京してすぐに松竹蒲田の『母』で映画デビュー、「天才子役」として人気を集める。13歳で東宝移籍、のちに自身が「私の映画の父」と敬愛した山本嘉次郎監督と出逢い、『綴方教室』『馬』など少女期の代表作を生む。26歳で半年間渡仏、帰国後フリーとなり『二十四の瞳』『浮雲』で国内外の映画賞を受賞。文字通り日本映画界のトップ女優となる。人気絶頂の1955年、30歳で松竹の助監督だった松山善三と結婚。以後『名もなく貧しく美しく』『女が階段を上るとき』『華岡青洲の妻』『恍惚の人』など生涯で300本を超える作品に出演。55歳で出演した『衝動殺人 息子よ』を最後に銀幕引退。
文筆にも優れ、処女作「巴里ひとりある記」から「にんげん住所録」まで26作を著す。自伝「わたしの渡世日記」は日本エッセイストクラブ賞受賞。映画賞受賞数は日本映画界最多。2009年、元週刊文春の記者・斎藤明美を養女にする。
2010年、永眠。享年86歳。
協力 高峰秀子生誕100年プロジェクト、松竹、東宝 入場料 一般1500円/会員・大専・シニア1200円/高校生以下800円
- 『二十四の瞳 デジタル修復版』はDCP上映、その他の作品はすべて35mmフィルム上映
斎藤明美さんトークイベント&サイン会
1/5(日)13:10『放浪記』上映終了後
斎藤明美 profile
1956年、高知県生まれ。( 本名:松山明美)
津田塾大学卒業。 高校教師、テレビ構成作家を経て、「週刊文春」の記者を20年務め、2006年フリーに。 1999年、小説「青々と」で日本海文学大賞奨励賞受賞。 2009年、週刊文春の記者時代から親交のあった松山善三と高峰秀子の養女となる。 著書に『高峰秀子の捨てられない荷物』『高峰秀子の流儀』『高峰秀子が愛した男』など。 近著『高峰秀子おしゃれの流儀』をはじめ高峰秀子を研究する書籍を刊行。 また松山・高峰の著書を復刻、二人の遺志を継いで一般財団法人「一本のクギを讃える会」の代表理事を務めている。
上映作品とスケジュール
12/28(土) | 12/29(日) | 12/30(月) | 12/31(火) | 1/1(水) | 1/2(木) | 1/3(金) |
10:00-11:35 昨日消えた男 |
10:00-11:35 我が家は楽し |
10:00-11:00 秀子の車掌さん |
10:00-11:51 女が階段を上る時 |
休館 | 10:00-11:55 永遠の人 |
10:00-11:35 我が家は楽し |
11:50-14:05 馬 |
11:50-13:55 張込み |
11:15-14:00 二十四の瞳 |
12:00-14:05 放浪記 |
12:10-14:00 二人で歩いた幾春秋 |
11:50-14:05 衝動殺人 息子よ |
予定表 横にスクロールできます
1/4(土) | 1/5(日) | 1/6(月) | 1/7(火) | 1/8(水) | 1/9(木) | 1/10(金) |
12:00-14:08 名もなく貧しく美しく |
12:00-12:55 秀子の車掌さん |
12:00-13:35 昨日消えた男 |
12:00-13:50 永遠の人 |
12:00-13:45 二人で歩いた幾春秋 |
12:00-14:07 馬 |
12:00-14:10 山河あり |
14:20-16:30 山河あり |
13:10-15:15 放浪記 上映後 トークイベント 斎藤明美さん |
14:00-15:40 我が家は楽し |
14:05-16:20 衝動殺人 息子よ |
13:55-16:31 二十四の瞳 |
14:20-16:30 名もなく貧しく美しく |
14:25-16:25 張込み |
予定表 横にスクロールできます
1/11(土) | 1/12(日) | 1/13(月) | 1/14(火) | 1/15(水) | 1/16(木) | 1/17(金) |
12:00-13:55 女が階段を上る時 |
12:00-14:36 二十四の瞳 |
12:00-14:15 衝動殺人 息子よ |
12:00-14:07 山河あり |
12:00-14:15 馬 |
12:00-13:50 二人で歩いた幾春秋 |
12:00-14:10 放浪記 |
14:10-16:05 永遠の人 |
14:45-16:30 二人で歩いた幾春秋 |
14:30-16:30 張込み |
14:20-16:30 名もなく貧しく美しく |
14:30-16:05 昨日消えた男 |
14:05-16:20 衝動殺人 息子よ |
14:25-16:20 女が階段を上る時 |
予定表 横にスクロールできます
上映作品紹介
馬
©1941 TOHO CO.,LTD.
1941年/東宝/127分
監督・脚本:山本嘉次郎/音楽:北村滋章
出演:高峰秀子、藤原鶏太、竹久千恵子、二葉かほる、平田武、細井俊夫
仔馬の世話をする少女の成長をセミドキュメンタリータッチで生き生きととらえた作品。国策映画として製作されたが、軍馬の育成という枠組みを借りることでそれを感じさせない。黒澤明がチーフ助監督として1年にわたる東北ロケを取り仕切り、実質監督に近い状態だったと言われている。
秀子の車掌さん
©1941 TOHO CO.,LTD.
1941年/東宝/54分
監督・脚本:成瀬巳喜男/原作:井伏鱒二/音楽:飯田信夫
出演:高峰秀子、藤原鶏太(藤原鎌足)、夏川大二郎、清川玉枝
甲州の路線バスで働く少女の姿を生き生きと描いた「おこまさん」を映画化。バスガールのおこまは、沿線の名所案内を思いつき、その原稿を旅館に逗留していた作家に依頼。話はとんとん拍子に進んでいくが…。高峰秀子と成瀬巳喜男はこの作品で初めて顔を合わせた。
昨日消えた男
©1941 TOHO CO.,LTD.
1941年/東宝/89分
監督:マキノ雅広/原作・脚本:小國英雄/撮影:伊藤武夫/美術・装置:樋野正雄/音楽:鈴木靜一
出演:長谷川一夫、山田五十鈴、髙峰秀子、徳川夢声、江川宇禮雄、川田義雄、鳥羽陽之助
マキノが日活退社後にフリーとして東宝で撮った初の作品。米国の探偵映画『影なき男』シリーズを「遠山の金さん」に置き換え、裏長屋で起きた大家殺人事件の解決に金四郎が乗り出す。長谷川と山田の息の合った掛け合い、高峰の可憐さも見どころの推理時代劇。
我が家は楽し
©1951松竹株式会社
1951年/松竹/91分
監督:中村登/脚本:柳井隆雄/脚本・原案:田中澄江/撮影:厚田雄春/音楽:黛敏郎
出演:山田五十鈴、高峰秀子、岸惠子、笠智衆、佐田啓二
孝作は、糟糠の妻なみ子との間に四人の子女を持ち、乏しいながらも明るい家庭を営んでいる。朋子は理解ある母の許しを得て好きな絵を学んでいる。孝作は勤続25年を迎え、特別賞与をもらうが、帰途にすられてしまい…。岸惠子のデビュー作、中村登監督の出世作。
二十四の瞳 デジタル修復版
©1954/2007松竹株式会社
1954年/松竹/156分
監督・脚色:木下惠介/原作:壺井栄/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、月丘夢路、田村高廣、小林トシ子、笠智衆
瀬戸内海に浮かぶ小豆島を舞台に、女性教師と12人の子供たちの交流を抒情的に綴った木下惠介監督の国民的傑作。日本が第二次世界大戦に突き進んだ歴史のうねりに、否応なく飲みこまれていく女性教師と生徒たちの苦難と悲劇を通して、戦争の悲壮さを描く。
張込み
©1958松竹株式会社
1958年/松竹/116分
監督:野村芳太郎/脚色:橋本忍/原作:松本清張/撮影:井上晴二/音楽:黛敏郎
出演:大木実、高峰秀子、田村高廣、宮口精二、高千穂ひづる
原作・脚色・監督の名トリオによる社会派推理ドラマの代表作。横浜駅から二人の刑事が列車にあわただしく乗り込む冒頭から終劇まで橋本忍の脚本に一分の隙もない。野村芳太郎のロケーション効果をいかしたセミドキュメンタリータッチは推理ドラマの一つの到達点。
女が階段を上る時
©1960 TOHO CO.,LTD.
1960年/東宝/111分
監督:成瀬巳喜男/脚本:菊島隆三/音楽:黛敏郎
出演:高峰秀子、森雅之、団令子、仲代達矢
黒澤明作品で知られる菊島隆三が書き下ろしたオリジナルシナリオによる、成瀬巳喜男監督得意の“女性映画”。 高峰秀子は、夫を失い、銀座の高級バーで雇われマダムとして働く、試練に耐えるヒロインを演じる。華やかな夜の銀座に蠢く人々の虚実が綴られていく。
名もなく貧しく美しく
©1961 TOHO CO.,LTD.
1961分/東宝/128分
監督・脚本:松山善三/音楽:林光
出演:高峰秀子、小林桂樹、荒木道子、加山雄三、草笛光子
ろうあ者同士の結婚という道を選んだ一組の夫婦が、戦後の激動の時代を健気に支えあいながら生き抜いていく姿を描く。ろうあの靴磨き夫婦がモデルのオリジナル脚本を松山自ら演出し、監督デビュー。手話の字幕スーパーという手法も、当時としては斬新なアイデアであった。
永遠の人
©1961 松竹株式会社
1961年/松竹/107分
監督・脚本:木下惠介/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、佐田啓二、仲代達矢、石浜朗、乙羽信子
昭和7年、阿蘇の小作人の娘さだ子には隆という恋人がいたが、負傷して戦地から帰ってきた地主の息子・平兵衛に犯されてしまう。入水自殺を図るも果たせず、隆にも去られてしまい…。5幕構成で黙々と展開される憎き夫への究極の復讐劇。米アカデミー賞ノミネート。
山河あり
©1962 松竹株式会社
1962年/松竹/127分
監督:松山善三/脚本:久板栄二郎、松山善三/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、桑野みゆき、石浜朗、ミッキー・カーチス、早川保、田村高廣、久我美子、小林桂樹
大正7年、日本人移民団がハワイへやって来る。彼らは過酷な労働に耐え、安定した生活を手に入れる。一方の祖国日本は満洲事変、日中戦争に突入し真珠湾奇襲へと向かっていく。2つの家族を中心に、戦火のもとで引き裂かれた2つの祖国を持つ人々の苦悩を描く
放浪記
Ⓒ東宝
1962年/東宝/124分
監督:成瀬巳喜男/脚本:田中澄江、井手俊郎/原作:林芙美子/音楽:古関裕而
出演:高峰秀子、田中絹代、宝田明、加東大介
行商人の娘として生まれたヒロイン・ふみ子が、貧困にあえぐなかでカフェの女給などをしながら詩作に励み、やがて文壇で脚光を浴びるまでを描く。舞台でもロングランを続けた、林芙美子の自伝的ベストセラー小説を映画化。東宝創立30周年記念作品。
二人で歩いた幾春秋
©1962松竹株式会社
1962年/松竹/102分
監督・脚色:木下惠介/原作:河野道工/撮影:楠田浩之/音楽:木下忠司
出演:高峰秀子、佐田啓二、倍賞千恵子、山本豊三、久我美子
夫婦の絆の美しさと強さを年代記形式で描いていくヒューマン映画。河野道工の歌集「道路工夫の歌」に木下惠介監督が感銘を受け、劇中それらの短歌を字幕付きで吟じている。高峰秀子と佐田啓二の役者としての更なる円熟も画面から存分に醸し出されている。
衝動殺人 息子よ
©1979 松竹/東京放送
1979年/松竹/131分
監督:木下惠介/脚本:砂田量爾、木下惠介/原作:佐藤秀郎/撮影:岡崎宏三/音楽:木下忠司
出演:若山富三郎、高峰秀子、田中健、尾藤イサオ
衝動殺人事件への怒りを胸に遺された家族の哀しみを訴える、社会派エンタテイメントの傑作。同名ノンフィクションの映画化。主演の若山富三郎は本作でこの年の映画主演男優賞を総なめ、既に女優業を引退していた高峰秀子も木下監督たっての希望で一度限りの復帰を果たした。