柳下美恵のピアノdeフィルムvol.6『折鶴お千』

2022.6.4[土]& 6.5[日] 各日14:10

柳下美恵のピアノdeフィルムvol.6『折鶴お千おりづるおせん

サイレント映画の35ミリフィルム上映 × ピアノの生伴奏

+アフタートーク 宮下啓子さん(映画愛好家)

映画が誕生してまもなく130年。最初の約40年間の作品は今ではサイレント映画と呼ばれています。映写機のフィルムがスクリーンに映し出され、語りや音楽伴奏と共に上映していました。トーキーは映写速度が24コマ/秒ですが、サイレントは作品によって違っています。トーキーのスクリーンサイズは作品によって違っていますが、サイレントは1.33×1でした。デジタル上映が主流になる今、映画が誕生した頃の形にこだわった上映を試みます。

1935年/日本/123分[17fps]/35 mm/モノクロ/スタンダード/サイレント/製作:第一映画社/映像提供:プラネット映画資料図書館(神戸映画資料館)
監督:溝口健二/原作:泉鏡花/脚色:高島達之助/撮影:三木稔/美術:小栗美二
出演:山田五十鈴、夏川大二郎、芳沢一郎、羅門光三郎、芝田新

鬼才、溝口健二監督の最後のサイレント映画。泉鏡花の「売色鴨南蛮」を原作に、恵まれない境遇の女が精一杯生きていく姿を見事に描いた傑作。ワンシーン、ワンショットの長回しを徹底した溝口監督は、美と強さを兼ね備えた山田五十鈴という逸材を生かし、折鶴に祈りを込めた伝説のシーンを創り上げた。
神田明神近くの骨董商を騙った店で悪党熊沢に喰い物にされているお千。医者を目指して田舎から出てきた宗吉も住み込んだが、悪にまみれていく二人はついに逃げ出した。宗吉を学校に通わせ、お千はなんとか生活をして行くが、身体を売って警察に捕まってしまう。
上映フィルムは市販されているソフトとは若干異なり、1970年代にプラネット映画資料図書館が大阪で入手し、2000年代に国立映画アーカイブにより復元されたものである。


柳下美恵のピアノdeフィルムvol.1画像サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学有鍵楽器専修(ピアノ)卒業。1995年、山形国際ドキュメンタリー映画祭のオープニング上映、映画生誕百年祭『光の生誕 リュミエール!』でデビュー。以来、国立映画アーカイブや神戸映画資料館などのフィルム・アーカイブ、映画の復元と保存に関するワークショップ、全国コミュニティシネマ会議、東京国際映画祭、京都国際映画祭、アップリンク、シネマ・ジャック&ベティなどの映画館、海外は韓国映像資料院、タイ・フィルムアーカイブ、SEAPAVAA(東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ)マレーシア会議、ポルデノーネ無声映画祭やボローニャ復元映画祭(イタリア)、ボン無声映画祭(ドイツ)などで伴奏。日本、イギリス、アメリカ、デンマークで出版された『裁かるゝジャンヌ』のDVDやブルーレイの音楽を担当した。ピアノで見せる欧米スタイルの無声映画伴奏者は日本人初。映画を楽譜として映画に寄り添い続ける。映画館にピアノを常設する“映画館にピアノを!”、サイレント映画×ピアノの生伴奏“ピアノdeシネマ”、同じサイレント映画作品を連日上映する“ピアノ&シネマ”などサイレント映画を映画館で上映する環境作りに注力中。

チケット購入情報

6.1(水)より、横浜シネマリンオンラインチケット予約サイト、劇場受付にて、座席指定券を販売いたします。

次回予告
2022年11月12日(土)、13日(日)にvol.7を予定しています。詳細は当サイトやチラシをご確認ください。