ベルイマン生誕100年映画祭 -デジタル・リマスター版-
スウェーデンが生んだ“20世紀最大の巨匠”イングマール・ベルイマン
全キャリアにおける厳選の傑作13本が
デジタル・リマスター版でスクリーンに甦る
8/18(土)-9/7(金) 全13作品
“映像の魔術師” “北欧の至宝”…。映画というカテゴリーに止まらず、芸術全般において最大の賛辞をもって世界中の人々から呼称される、20世紀が生んだ唯一無二の映画作家イングマール・ベルイマン。1918年スウェーデンで生まれ、2007年に没した巨匠の生誕100年にあたる2018年、偉大なる業績を振り返る大規模なレトロスペクティブが世界各国で開催されている。その巨匠然とした風格から、しばしば難解だ、というイメージが先行する作品群にあって、ベルイマンが終始描きたかったのはただひとつ。
――今、私の隣にいる人は何を思っているだろうか?
愛し合っているのに分かり合えない、いやそもそも思うこと自体が間違いなのかもしれない。でも、もっと深くあなたを知りたい…。そんな等身大の葛藤が、彼の映画には深く刻まれている。それゆえベルイマンの映画は、まるでスクリーンが鏡となる。そこには、悩み楽しみながら日々を生きる、ほかでもない私たちの姿が映っているのだ。それでも人生は素晴らしい。そうつぶやくベルイマンが仄かに照らす光は、今なお一層の厳しさと優しさを携えて、まばゆく輝き続けている。100年に一度のアニバーサリー・イヤーとなった2018年、ベルイマンの世界に心ゆくまで浸る、またとない機会を、どうぞご堪能下さい。
■イングマール・ベルイマン
1918年7月14日、プロテスタントの聖職者の父エーリックと母カーリンの次男として、スウェーデンの大学都市ウプサラで生まれる。演劇好きの妹の影響で、幼少期から人形遊びに夢中になる。10歳のクリスマス、祖母に映写機をプレゼントされたことをきっかけに映画の世界に魅了され、当時の夢は映写技師になることだった。大学在学中は文学・美術を学ぶ傍ら演劇に没頭する。 44年アルフ・シェーベルイ監督『もだえ』で脚本を手掛け、46年『危機』で映画監督デビュー、以後、60年以上にわたるキャリアの中で、50本以上の作品を残した。平行してストックホルム王立劇場の芸術監督として数々の演劇の演出を務める。1982年、最後の監督作と宣言し、スウェーデン史上最大の製作費を投じた『ファニーとアレクサンデル』以降、テレビと演劇に活躍の場を移したが、2003年、突如として20年ぶりの監督作『サラバンド』を発表。2007年7月30日、バルト海の孤島フォール島の自宅で死去、享年89。
【当日料金】
★『ファニーとアレクサンデル』
一律2,500円/会員2,200円 ※特別興行につきサービスデーや各種割引、招待券・ポイント鑑賞不可
★『ファニーとアレクサンデル』以外の12作品
一般1,500円/会員1,200円/大専・シニア1,100円/高校生以下800円
上映スケジュール 全13作品
8/18(土) | 8/19(日) | 8/20(月) | 8/21(火) | 8/22(水) | 8/23(木) | 8/24(金) |
12:00-13:35 夏の遊び |
12:00-17:30 ファニーとアレクサンデル (途中休憩15分) |
12:00-13:50 夏の夜は三たび微笑む |
12:00-13:35 叫びとさやき |
12:00-17:30 ファニーとアレクサンデル (途中休憩15分) |
12:00-13:35 鏡の中にある如く |
12:00-13:45 魔術師 |
13:45-15:20 野いちご |
14:00-15:45 魔術師 |
13:50-15:30 秋のソナタ |
13:45-15:25 沈黙 |
14:00-15:30 仮面/ペルソナ |
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15:30-16:55 仮面/ペルソナ |
15:55-17:30 処女の泉 |
15:45-17:30 第七の封印 |
15:35-17:00 冬の光 |
15:45-17:25 叫びとさやき |
予定表 横にスクロールできます
8/25(土) | 8/26(日) | 8/27(月) | 8/28(火) | 8/29(水) | 8/30(木) | 8/31(金) |
12:20-17:50 ファニーとアレクサンデル (途中休憩15分) *トークショー |
12:20-13:55 処女の泉 |
12:20-13:45 冬の光 |
12:20-13:50 仮面/ペルソナ |
12:20-13:55 夏の遊び |
12:20-17:50 ファニーとアレクサンデル (途中休憩15分) |
12:20-14:00 沈黙 |
14:05-15:40 叫びとさやき |
13:55-15:30 鏡の中にある如く |
14:05-15:55 夏の夜は三たび微笑む |
14:10-15:50 第七の封印 |
14:10-15:35 冬の光 |
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15:50-17:25 秋のソナタ |
15:40-17:20 沈黙 |
16:10-17:50 野いちご |
16:05-17:50 魔術師 |
15:45-17:20 鏡の中にある如く *トークショー |
予定表 横にスクロールできます
9/1(土) | 9/2(日) | 9/3(月) | 9/4(火) | 9/5(水) | 9/6(木) | 9/7(金) |
17:00-18:45 第七の封印 |
17:00-18:35 鏡の中にある如く |
17:00-18:35 夏の遊び |
17:00-18:45 魔術師 |
17:00-18:30 仮面/ペルソナ |
17:00-18:40 叫びとさやき |
17:00-22:30 ファニーとアレクサンデル (途中休憩15分) |
18:55-20:40 魔術師 |
18:45-20:25 沈黙 |
18:45-20:15 仮面/ペルソナ |
18:55-20:30 処女の泉 |
18:40-20:20 秋のソナタ |
18:50-20:40 夏の夜は三たび微笑む |
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20:50-22:30 叫びとさやき |
20:35-22:05 冬の光 |
20:25-22:05 秋のソナタ |
20:40-22:30 夏の夜は三たび微笑む |
20:30-22:05 野いちご |
20:50-22:25 夏の遊び |
予定表 横にスクロールできます
上映作品紹介
(C) 1951 AB Svensk Filmindustri |
夏の遊び
1951年/スウェーデン/スタンダード/90分 ゴダールが、最も美しい映画と絶賛した初期の傑作。ベルイマンが学生時代に書いた小説「マリー」を自身で脚色、あるプリマ・バレリーナの過去の苦い恋を描く。後の『野いちご』を想わせるフラッシュバックを使用。初めてすべてを自分のものとして作ることが出来たという、ベルイマンお気に入りの作品である。 |
(C) 1955 AB Svensk Filmindustri |
夏の夜は三たび微笑む
1955年/スウェーデン/スタンダード/104分 舞台は20世紀初頭。北欧の白夜の中で展開される軽妙なタッチのコスチューム・プレイ。ベルイマンには珍しいエロティックな喜劇だが、緻密な構成、見事な構図、充実した俳優の演技など、その完成度は高く評価され、ベルイマンが世界に出ていくさきがけとなった。 *第9回カンヌ国際映画祭 詩的ユーモア賞 |
(C) 1957 AB SVENSK FILMINDUSTRI |
第七の封印
1957年/スウェーデン/スタンダード/97分 ベルイマンの熱狂的ファンであるウディ・アレンは「最も好きで、最も影響を受けた映画」と語る。舞台はペストが蔓延し世界の終末に怯える中世ヨーロッパ。十字軍遠征からの帰途についた騎士が、死神に自らの命を賭けたチェスの勝負を挑む。ベルイマンの名を一躍世界に広めた、人生の意味を探る哲学的寓話。 *第10回カンヌ国際映画祭 審査員特別賞 |
(C) 1957 AB Svensk Filmindustri |
野いちご
1957年/スウェーデン/スタンダード/91分 タルコフスキーがオールタイム・ベストとして挙げた名作。人間の老いや死、家族などをテーマに、車で旅する老医師の一日が夢や追想を織り交ぜながら語られる。青春時代の失恋を野いちごに託した叙情的な一編。女性を描く名手ベルイマンのミューズ、ビビ・アンデションとイングリット・チューリンが艶やかに競演。 *第8回ベルリン国際映画祭 金熊賞 *1962年度キネマ旬報外国語映画ベスト・テン第1位 |
(c) 1958 AB SVENSK FILMINDUSTRI |
魔術師
1958年/スウェーデン/スタンダード/99分 怪奇現象、超能力、交霊術…といったオカルト的要素に科学と呪術、芸術と権力などの二項対立をごった煮で凝縮し、愉快なエンタテイメントへと昇華した初期の到達点。旅廻りのマジシャンの一座と、彼らの見世物のトリックを見破ろうとする役人たちの一夜のいたちごっこを描く。ベルイマンが問う、芸術家とショー・ビジネスの正体。 *第20回ヴェネツィア国際映画祭 審査員特別賞 |
(C) 1960 AB Svensk Filmindustri |
処女の泉
1960年/スウェーデン/スタンダード/89分 数々の国際的な賞に輝くベルイマンの代表作。可憐な少女を襲う悲劇と父親の痛烈な復讐を、名カメラマンニクヴィストによる北欧の清らかな光と影のコントラストを活かした撮影で描く。黒澤明を敬愛するベルイマンが『羅生門』に深い感銘を受け、その強い影響で誕生した映画として知られ日本で愛され続ける名品。 *第33回アカデミー賞外国語映画賞 *第17回ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞 *1961年度キネマ旬報 外国語映画ベスト・テン第1位 |
(c) 1961 AB SVENSK FILMINDUSTR |
鏡の中にある如く
1961年/スウェーデン/スタンダード/89分 夏、孤島にやってきた4人の家族。狂気へと走ってゆく娘に対し親として何もできず、むしろ作家としてその姿を冷徹に記録したいと思ってしまう父。愛をささやきながら、沈黙するほかない夫。無邪気な弟は、唯一の心の拠り所だったが…。神の前提なしでいかに愛を証明するか、その途方もない模索が始まった。 *第34回アカデミー賞 外国語映画賞 |
(C) 1963 AB Svensk Filmindustri |
冬の光
1963年/スウェーデン/スタンダード/82分 『鏡の中にある如く』『沈黙』とともに“神の沈黙”三部作。主人公の牧師の苦悩を通して、「神の不在」を描き出す。信者の男が終末への恐怖から自殺するが、牧師はただ祈ることしかできない。神は何故沈黙したままなのか? これを最高傑作とする声も多い、自伝的要素が色濃く反映したベルイマン入魂の作品。 *1963年度OCIC国際カトリック映画局グランプリ *第8回ウィーン宗教映画週間 最優秀外国映画賞 |
(c) 1963 AB SVENSK FILMINDUSTRI |
沈黙
1963年/スウェーデン/スタンダード/96分 言葉が全く通じない国に来てしまった翻訳家の姉と奔放な妹、そして妹のひとり息子。しかもお互い唯一の話し相手であるはずのその姉妹は、嫌いあっている。この絶望的な状況。完結編に至り、ようやく“神の沈黙”が意味するものがおぼろげに見えてくる…。静寂の中、かすかに聞こえるささやき。センセーショナルな描写が各国で物議を醸し、映画史上、最も多くの批評・分析がなされたといわれる問題作。 |
(c) 1966 AB Svensk Filmindustri |
仮面/ペルソナ
1966年/スウェーデン/スタンダード/82分 失語症に陥ったスター女優と、彼女を看病することになった看護婦。海辺の別荘でふたりだけで生活していくうちに、お互い自意識の“仮面”が剥がされ、溶け合い、交錯していく…。「映画」と名付けられる予定だった本作は、ベルイマンによる映画論だ。終生にわたるパートナーとなったリヴ・ウルマンとは、本作でベルイマンに見出され、以降共に傑作を生み出してゆくことになる。 *第2回全米批評家協会賞 作品賞・監督賞・主演女優賞 |
(c) 1973 AB SVENSK FILMINDUSTRI |
叫びとささやき
1973年/スウェーデン/ビスタ/91分 19世紀末のスウェーデンの大邸宅。優雅な生活を送る上流階級の3人姉妹と召使。4人の女性のそれぞれの愛と孤独、生と性の断片を強烈な赤のイメージで抉り出し、まさにベルイマン芸術のエッセンスが花開いた名作。トリュフォーが絶賛し、アメリカでのベルイマンの最大のヒット作となった。 *第40回アカデミー賞 撮影賞 *1972年全米批評家協会賞 脚本賞・撮影賞 *1973年キネマ旬報 外国映画ベストテン第二位 |
(C) 1978 AB Svensk Filmindustri |
秋のソナタ
1978年/西ドイツ/ビスタ/92分 “永遠のクール・ビューティー”イングリッド・バーグマンがベルイマンと組んだ遺作にして最高傑作。自身の人生と重ね合わせるかのような設定の役に葛藤を乗り越え挑んだバーグマンとベルイマン映画のミューズ、リヴ・ウルマンとの火花散る愛憎劇は「映画史上最高のシーン」と絶賛された。 *1978年ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞 *1978年全米映画批評家協会賞 主演女優賞 *1978年ニューヨーク映画批評家協会賞 主演女優賞 |
(c) 1982 AB Svensk Filmindustri, Svenska Filminstitutet. All Rights Reserved |
ファニーとアレクサンデル
1982年/スウェーデン=フランス=西ドイツ/ビスタ/311分 劇場を経営する一族の2年間を、二人の幼い孫の視点を通して豪華絢爛に描き、ベルイマンをして「映画作りの面白さを味わい尽くした」と言わしめ、世界中で大ヒットを記録した集大成たる超大作。受難の旅を経た彼らの無垢な祈りは、生きとし生けるものすべての悲しみを包み込み、生の喜びに満ち溢れたこの上ない幸福なステージへと私たちを導くだろう。 *第56回アカデミー賞 外国語映画賞・撮影賞・美術賞・衣装デザイン賞 *第41回ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞受賞 *第40回ヴェネツィア国際映画祭 国際批評家連盟賞 *第49回ニューヨーク批評家協会賞 外国語映画賞・監督賞 *第9回ロサンゼルス批評家協会賞 外国語映画賞・撮影賞 *第9回セザール賞 外国語映画賞 |