坪川拓史全作品 2025

坪川拓史全作品
11/1(土)-11/14(金)
坪川拓史全作品
11/1(土)-11/14(金)

坪川 拓史(つぼかわ たくし)
1972年北海道⽣まれ。1990年上京。ホームレス⽣活を経て1991年、劇団「オンシアター⾃由劇場」に研究⽣として⼊団。同時期、独学で映画制作も始める。1996年、故郷の⻑万部町にあった映画館の解体をきっかけに初⻑編映画『美式天然』の制作を開始し9年がかりで完成させる。2007年『アリア』、2013年に『ハーメルン』を制作。国内外の映画祭に招かれて幾つかの賞を受賞する。2011年室蘭市へ帰郷。2014年より同地にて『モルエラニの霧の中』制作開始。ほぼ全ての監督作で、脚本、編集、劇中⾳楽の作曲とピアノ演奏を担当。理想通りの画が撮れるまで撮影を中断して数年待つ事も度々あり、他に類を見ない独特の制作スタイルから”孤⾼の映画作家”と呼ばれている。
入場料
通常料金 一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円/障がい者1,000円
特別料金『モルエラニの霧の中』、短編作品【演奏と活弁付きライブ上映】
一般2,100円/会員・大専・シニア1,500円/障がい者1,200円/高校生以下1,000円
上映作品
冬へのパッサカリア
2025年/90分/iPhone→DCP
脚本・監督・撮影:坪川拓史
出演:[第一話]片岡正二郎、橋本さくら、草野康太
[第二話]小野武彦、中西良太、塩野谷正幸、佐藤菜南、草野康太、大塚寧々
[第三話]坂本長利、草野康太、竹野留里、あがた森魚
冬へと向かう北の大地で描かれる、
誰かの記憶をめぐる三つのストーリー
三作品からなる連作短篇集。
世界中がコロナ禍の混乱に陥った2020年、文化芸術も大きな危機に直面した。自粛や移動制限の影響で劇場や映画館が閉鎖へ、様々なプロジェクトも延期や中止の憂き目に。その最中、「文化の灯を消すまい」と坪川拓史の呼びかけに賛同したスタッフとキャストが集まり、2020年から2025年にかけて断続的に撮り続けられてきた短編作品をまとめたのが本作。最小限のスタッフで制作できるよう全編をiPhoneで撮影。キャスト陣もスタッフとして協力しながら北海道各地で撮影された。

第一話 『無口なピアノ』
閑散としたフェリーターミナルの片隅、学校帰りにピアノを弾くのが里奈の日課。ある日コロナ禍による客足減少に伴い航路は廃止、ピアノも使用禁止に。落ち込む里奈に無愛想な清掃員、村岡が「うちにもピアノがある」と自宅へ招く。そこは、廃業したばかりの喫茶店だった。

第二話 『記憶と水音』
小さな画材屋を営む津田は、⼊院中の幼なじみ川瀬の病状が気がかりだ。やがて自宅療養になった彼と、その娘奈々を交えた思い出語りのなかで、幼少時に故郷の長万部町で河童を見た話にいきあたる。翌日、3人は故郷へ向かい朧げな記憶を辿って沼を探すのだが…

第三話 『昨日の煙』
かつてS Lの乗務員だった元国鉄職員の吉井は、妻に先立たれてからの一人暮らしをあきらめ⾼齢者施設への⼊所を決める。家財処分のため呼び出した引取り業者の杉⼭に「私も捨ててくれ」と言い出した彼の願いは「繰り返し夢に出てくる場所」を探すことだった。
モルエラニの霧の中

2020年/214分(1部 123分/2部 91分)途中休憩あり/HD→DCP
監督:坪川拓史
出演:大杉漣、大塚寧々、小松政夫、菜葉菜、久保田紗友、竹野留里、草野康太、香川京子、坂本長利、水橋研二
北海道室蘭市を舞台に5年をかけて制作された7話オムニバス作品。香川京子、坂本長利、大塚寧々、草野康太、水橋研二、菜葉菜、久保田紗友ら俳優たちと共に、演技未経験の市民が主演を含む多くの役柄で出演。2018年に急逝した大杉漣、2020年に亡くなった小松政夫の最後の公開作品。
*第43回サンパウロ国際映画祭 「⻑編コンペティション部⾨公式招待作品」
*第17回ロサンゼルス⽇本映画祭 「グランプリ」
美式天然

2005年/95分/16mm→DCP
監督:坪川拓史
出演:吉田日出子、髙橋喜久代、熊澤段、あがた森魚、内田紳一郎、真那胡敬二、常田富士男、山田吾一、小松政夫、高木均
1996年から2005年まで9年の歳月をかけて制作された長編第1作目。「一本の映画フィルムをめぐる、二つの時代の物語」。日本での公式劇場公開は、完成から17年目にして今回が初。主演は、吉田日出子と本作完成直前に亡くなった高木均。全ての坪川作品に出演した小松政夫との初タッグでもあり、活動弁士役としての妙技が堪能できる。
*第23回トリノ国際映画祭 「グランプリ」&「最優秀観客賞」
*第2回横浜⻩⾦町映画祭 「グランプリ」
アリア

2007年/105分/35mm→DCP
監督:坪川拓史
出演:塩野谷正幸、高橋マリ子、片岡正二郎、四谷シモン、ミッキー・カーチス、正司歌江、若松孝二、小松政夫
長編第2作目。完成から15年目にして、今回が国内初公開。「ピアノ調律師の男が、亡き妻の愛した砂浜と、人形遣いに依頼されたピアノを探す旅に出る物語」。青森から北海道各地を縦断する一大ロケーションを敢行。出演は、塩野谷正幸、人気モデルの高橋マリ子、人形作家としても知られる四谷シモン、映画監督の故・若松孝二など多彩な面々。人形遣い役で出演の小松政夫による数々の貴重な芸も記録。
*第7回ユーラシア国際映画祭 「中央アジア映画連盟選出最優秀作品」
*第4回フランスキノタヨ映画祭 「最優秀観客賞」
ハーメルン

2013年/132分/HD→DCP
監督:坪川拓史
出演:西島秀俊、坂本長利、倍賞千恵子、水橋研二、二瓶鮫一、守田比呂也、風見章子
福島県の昭和村を舞台に制作された長編第3作目。2011年に発生した東日本大震災での中断を経て5年をかけ完成。奥会津の美しい風景の中、「廃校に暮らす元校長先生と卒業生との魂のふれあいを描く」。出演は、今や世界中の映画人から愛される西島秀俊。2024年3月に94歳で惜しまれつつ亡くなった坂本長利。加えて、日本を代表する女優である倍賞千恵子が出演のみならず劇中とエンドロールで歌声も披露している。
特別上映 演奏と活弁付きライブ上映

演奏:くものすカルテット 弁士:片岡正二郎
【くものすカルテット】
レトロな雰囲気を漂わせた(懐かし新しい)演奏と、オリジナルの【紙芝居】や【無声映画】の上映をも織りまぜた独創的なライブスタイルで人気を呼んでいる。 https://www.kumokaru.net/
十二月の三輪車

1995年/25分/8mm
監督:坪川拓史/早藤まき
出演:熊沢段、片岡正二郎、内田紳一郎、綾田俊樹
早藤まきとの共同監督による初作品。「歯痛の男が森へ迷い込み、次々と現れる怪しげな者たちに歯医者の場所を尋ねるが…」。効果音も含めた生伴奏付きの上演が、イタリアやフランスでも好評を博す。
日本人アンナ「川端康成原作『掌の小説』より」

2010年/30分/16mm
監督:坪川拓史
出演:福士誠治、清宮リザ、菜葉菜、内田春菊、小松政夫、奥村公延
4人の監督によるオムニバス映画『掌の小説』から、脚本と監督を担当した第3話「日本人アンナ」。