特集上映 佐藤真の不在を見つめて

佐藤 真

90〜00年代、《日常》と《不在》にこだわり、潜む闇をじっくりとあぶり出したドキュメンタリー映画作家、佐藤真。公害問題と日常、「障害」とは、アートとは何か、グローバリゼーションに抗うこと、そして映像のもつ根源的な力とは―。不穏な時代のうねりを前に「世の中を批判的に見る目を持て」と、佐藤は映像と文章で、私たちの眠った感覚を刺激しました。佐藤が世を去って9年。書籍『日常と不在を見つめて—ドキュメンタリー映画作家・佐藤真の哲学』(里山社)の刊行を記念して、東京、神戸、京都の上映に続き、いよいよ横浜でも特集上映を開催致します。佐藤真が私たちに残したメッセージを通して、ドキュメンタリーとは何かを探っていきます。

佐藤真 プロフィール

1957年、青森県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業。大学在学中より水俣病被害者の支援活動に関わる。1981年、『無辜なる海』(監督:香取直孝)に助監督として参加。1989年から新潟県阿賀野川流域の民家に住みこみながら撮影を始め、1992年、『阿賀に生きる』を完成。ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭銀賞など、国内外で高い評価を受ける。以降、映画監督として数々の作品を発表。他に映画やテレビ作品の編集・構成、映画論の執筆など多方面に活躍。京都造形芸術大学教授、映画美学校主任講師として後進の指導にも尽力。2007年9月4日逝去。享年49。


佐藤真

上映スケジュール

10:30~12:30 12:35~13:25 13:40~14:40

10/8(土)

阿賀に生きる

『阿賀に生きる』

トーク
山田太一(脚本家)
聞き手:清田麻衣子(里山社) 

阿賀の記憶

『阿賀の記憶』

10:30~12:05 12:10~12:55 13:10~14:40

10/9(日)

まひるのほし

『まひるのほし』

トーク
佐藤丹路(佐藤真・妻)
聞き手:石田優子(映画監督)

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『花子』

『女神さまからの手紙』

10:30~11:25 11:30~12:10 12:20~14:40

10/10(月・祝)

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『SELF AND OTHERS』

トーク
諏訪敦彦(映画監督)
聞き手:清田麻衣子(里山社)

Out-of-Place_300

『エドワード・サイード OUT OF PLACE』

10:30~12:30 12:35~13:25 13:40~14:40

10/11(火)

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『阿賀に生きる』

トーク
小林茂(映画監督)
聞き手:山本草介(映画監督)

aganokioku-300

『阿賀の記憶』

10:30~12:05 12:15~14:10  

10/12(水)

mahirunohoshi-300

『まひるのほし』

花子

『花子』

おてんとうさまがほしい

『おてんとうさまがほしい』

 

※『おてんとうさまがほしい』は当初10/9(日)の上映予定でしたが、ゲストの都合により10/12(水)に変更になりました。予定されていた皆様には大変ご迷惑をお掛け致しまして、申し訳ございませんでした。お詫び致します。

10:30~11:30 11:45~14:10  

10/13(木)

SELF AND OTHERS

『SELF AND OTHERS』

エドワード・サイード OUT OF PLACE

『エドワード・サイード OUT OF PLACE』

 

10:30~12:35 12:50~14:10  

10/14(金)

阿賀に生きる

『阿賀に生きる』

『水俣Q&A』
『新潟県の歴史』
『狐火伝説の町・津川』

 

料金

一般 大学・専門 高校以下・シニア
通常 ¥1300 ¥1000 ¥1000
会員 ¥1000 ¥1000 ¥1000

[半券提示割]当日に限り一般の方2プログラム目は200円割引

作品紹介

阿賀に生きる

©阿賀に生きる製作委員会

阿賀に生きる

1992年/115分/BD/阿賀に生きる製作委員会
監督:佐藤真 撮影:小林茂

●新潟水俣病の舞台ともなった阿賀野川流域に暮らす人々を、三年間撮影。社会的なテーマを根底に据えながらも、そこからはみ出す人間の命の賛歌をまるごとフィルムに感光させた傑作。

阿賀の記憶

阿賀の記憶

2004年/55分/BD/カサマフィルム
監督:佐藤真 撮影:小林茂

●『阿賀に生きる』から10年。かつて映画に登場した人々や土地に再びカメラを向ける。人々と土地をめぐる記憶と痕跡に向き合い、過去と現在を繊細かつ大胆に見つめた詩的作品。

まひるのほし

まひるのほし

1998年/93分/35mm/「まひるのほし」製作委員会
監督:佐藤真 撮影監督:田島征三 撮影:大津幸四郎

●登場するのは7人のアーティストたち。彼らは知的障害者と呼ばれる人たちである。創作に取り組む彼らの活動を通し、芸術表現の根底に迫る。

花子

©シグロ2001年

花子

2001年/60分/35mm/シグロ
監督:佐藤真 撮影:大津幸四郎

●京都に暮らす花子は知的障害者のためのデイセンターに通う一方、夕食後、畳をキャンバスに食べ物を並べ、母はその「たべものアート」を写真に撮る。花子と彼女をとりまく家族の物語。

no-imagis  

女神さまからの手紙

1999年/30分/DVD/カサマフィルム
監督・撮影:佐藤真 協力:社会福祉法人豊川保育園、保育園父母の会

●私家版の8ミリフィルムで撮影された作品。娘の成長記録とみずからの生活の記録から、映画としてのフィクションが新たに立ち上がってくる遊び心あふれるドキュメンタリー。

SELF AND OTHERS

©牛腸茂雄

SELF AND OTHERS

2000年/53分/DVD/ユーロスペース
監督:佐藤真 撮影:田村正毅

●1983年、3冊の作品集を残し35歳で夭逝した写真家、牛腸茂雄。残された草稿や手紙と写真、肉声をコラージュし、写真家の評伝でも作家論でもない、新しい映像のイメージを提示する。

エドワード・サイード OUT OF PLACE

©シグロ2005年

エドワード・サイード OUT OF PLACE

2005年/137分/35mm/シグロ
監督:佐藤真 撮影:大津幸四郎

●2003年、パレスチナ出身の知識人、エドワード・サイードが亡くなった。イスラエル・アラブ双方の知識人たちの証言を道標に、サイードの遺志と記憶を辿る。

おてんとうさまがほしい

©1994 おてんとうさまがほしい制作委員会

おてんとうさまがほしい

1994年/47分/DVD/おてんとうさまがほしい制作委員会
撮影・照明:渡辺生 構成・編集:佐藤真

●映画照明技師、渡辺生がアルツハイマーを患う妻と向き合う日々を記録。編集の佐藤真は白とびしたフィルムで溢れる妻への思いを表現する。

no-imagis

水俣Q&A

1996年/30分/DVD/青林舎・シグロ
監督:佐藤真

●水俣東京展(96年)の展示用作品。水俣病の公式発見から40年目の年に過去のものではない水俣病の「現在」を考える。

no-imagis

新潟県の歴史

2000年/25分/DVD/企画:新潟県立博物館/製作:時空映像
監督:佐藤真 撮影:坂井敦 語り:永島敏行 音楽:経麻朗 助監督:窪田光美、山田新人 編集:平田典宣

no-imagis

狐火伝説の町・津川

1995年/15分/DVD/企画:新潟県津川町狐の嫁入り屋敷/製作:グリーン・シネマ
監督:佐藤真 撮影:小林茂、坂井敦

●津川に伝わる狐火伝説を幻想的な演出も交え紹介する。

■書籍紹介■

「日常と不在を見つめてードキュメンタリー映画作家・佐藤真の哲学」 里山社刊/四六版/並製本/カバー帯あり/368頁(カラー16頁含)/ 定価3,500円(税別)/装丁:川名潤(Prigraphics)

00年代、震災前「見えない世界」を描こうとした作家の格闘の記録。

佐藤が世を去って9年。その仕事に着目した一冊の書籍が誕生します。影響を受けた人からともに歩んできた人まで、佐藤真に惹きつけられた32人の書き下ろし原稿とインタビュー、そして佐藤真の単行本未収録原稿を含む傑作選を収録。映像作家であり、90年代後半の類稀な思想家とも言うべき佐藤真の哲学を掘り下げ、今を「批判的に」見つめ、私たちの確かな未来への足場を探ります。

http://satoyamasha.com/?p=759

日常と不在を見つめてードキュメンタリー映画作家・佐藤真の哲学