ミッドナイト・ファミリー
ⒸFamily Ambulance Film LLC
2019年/アメリカ・メキシコ/81分/配給:MadeGood Films
監督・撮影・編集:ルーク・ローレンツェン
出演:ホアン・オチョア、フェル・オチョア、ホセ・オチョア、マヌエル・エルナンデス
メキシコ・シティの人口900万人に対して公共の救急車は45台未満
営利目的の救急隊という闇ビジネスが生まれている。
オチョア家族は民間の救急搬送業者。オクラホマから中古の救急車を買い、90年代末から無許可の救急救命ビジネスを始めた。警察関係のネットワークを使い、1件につき300ペソ(17米ドル)の賄賂を支払っていち早く事故の情報を得る。運よく現場に一番乗りできれば、患者に病院への搬送料として3,800ペソ(185 米ドル)を請求する。これまでの20年間、陽気で気さくなオチョア家族はこの道で生活を支えてきた。
無力な患者に支払いを強要したり、支払う能力がなければ危篤の患者でも搬送を拒否したりと、倫理の限界をはるかに超えてしまう多くの競合救急事業者と違って、オチョア家族はこの問題に満ちた業界の中でも、どちらかといえば信頼のおける例外的な救急隊だ。公営の救急車がまったく来ず、重症の患者が何時間も待たされるようなとき、オチョア家族が現場に駆け付けて深刻な医療ニーズ不足の穴埋めをする。彼らは、患者が支払いに応じた場合にのみ料金を請求し、手当てもなく放置されるような患者であっても時間を惜しまず救助にあたる。
しかし、汚職警官による闇営業の取り締りが厳しくなり、私営救急事業の正式な認可を得なければならない事態となる。必要な救急医療サービスを提供しているにもかかわらず、オチョア家族は金銭的に追い詰められ、状況は問題を孕んでゆく。
高まる圧力と違法で腐敗したこのビジネスの渦中で、思いやりをもって仕事をする事は非常に困難であり、複雑な事情を抱えていることが明らかになる。警察はさらに高額な賄賂を要求するようになり、オチョア家族もまた他の事業者のようにさらに強引で私利的な仕事のやり方に走らざるを得なくなってゆく。患者の救助と生活を支える稼業の先行きとの間で板挟みとなり、倫理的ジレンマに苛まれながら生きるオチョア家族の姿をカメラは追う。
腐敗が蔓延する状況において、生きのびるためならば不当な行為も正当化されるのか?倫理的には疑問視される、ある家族の稼業を人間味あふれる視点で捉えつつ、医療事情、行政機能の停滞、自己責任の複雑さといった差し迫った課題について探求するドキュメンタリー。
上映日時
1/30(土)~2/5(金) | 2/6(土)~2/12(金) |
10:00~11:25 | 14:10~15:35 |
料金
一般 | 大学・専門・シニア | 高校以下 | |
通常 | ¥1800 | ¥1200 | ¥800 |
会員 | ¥1500 | ¥1200 | ¥800 |