縄文号とパクール号の航海
2015年/日本/122分
監督・構成・編集:水本博之
プロデューサー:関野吉晴
音楽:ミツキシ
出演:関野吉晴、渡部純一郎、前田次郎、佐藤洋平、ザイヌディン、グスマン、ジャビル、イルサン、ダニエル、ラティフ、サダル
「グレートジャーニー」関野吉晴
前代未聞の大航海
「グレートジャーニー」シリーズで知られる、探検家 関野吉晴。彼は40年以上、自然とともに暮らす人々の生活を追い求めて旅を続けてきた。その関野が、彼自身の探検キャリアの中でも最も困難な計画を実行に移す。
本作はプロジェクト4年間の密着取材、3年間に及ぶ膨大な編集作業による集大成であり、また単なる冒険の記録にとどまらない映画となっている。自然をテーマとしながらも、自然を美化し、型通りのスローガンを叫ぶ映画ではなく、圧倒的な自然の力に翻弄され、私たちの生活がどうあるべきかを煩悶しながら問う映画だ。また若者が異文化と反目しながら尊敬し合うまでの人間ドラマであり、登場する人間の生と死が混在する巻き戻すことのできない現実そのものである。自然とは、友人とは、家族、あるいは生きるとは何なのか?日本でも揺れつつあるこれらの根本的な価値観を反芻しながら、映画はクルー達に寄り添って描かれていく。
砂鉄から鉄工具を作り、木を伐って舟を作る
途方もない計画が始まった
今回、関野は太古の人類がインドネシアから海を通って日本列島に来た道を舟で辿ろうと考え「砂鉄を集めて鉄器を作り、その鉄器による手作りで舟を作り、エンジンを使わずに島影と星だけを頼りにインドネシアから日本まで航海する」という途方もなく手間のかかる計画をたてた。2008年、関野は大学の教え子達と冒険家 渡部純一郎を巻き込み、砂鉄集めを開始。鉄器を作りあげ、インドネシア スラウェシ島に入って造船を始める。
一行は半年かけてスラウェシ島のマンダール人の伝統技術を使って舟を作り上げた。しかし「自然素材で手作りする」という制約のために、完成した縄文号とパクール号はとんでもない欠陥を抱えてしまう。それは、近代ヨットと違い「逆風が吹くと前進しない」ということであった。総距離47000kmを航海しなければならないというのに、進まない日は1日10㎞以下。歩いた方が早いのだ…。
フィクションよりもドラマチックな男たちの旅路
遅々として進まない船旅。4~6畳間ほどの広さに4人(パクールは6人)が宗教・文化・言葉を異にしながらも共生しなければならない。日本人の4人と、マンダール人の漁師5人、木樵(きこり)1人で構成されるクルー達。彼らは年齢も食べ物の好みすらもバラバラで、時に反目し合い、時に互いを尊敬し合いながら友情を築いていく。2年を経て、もはや彼らの旅の意欲を削ぐことはできない。そう思えた。
かつてない大災害…
眼前に突きつけられた津波の生々しい爪痕
海は、彼らに何を気づかせるのか?
2011年。3年目の再出発を控えていた3月11日、東日本で巨大な津波が多くの人や建物を海に引き込んだ。かつてない大災害。悲しみに日本人クルーは沈みながら支援のために被災地に向かう。そして、はるか南のスラウェシ島からも1つの悲しい報せが届くのだった…
上映日時
2/18(土)~2/24(金) |
10:00-12:05 |
料金
一般 | 大学・専門・シニア | 高校以下 | |
通常 | ¥1500 | ¥1200 | ¥800 |
会員 | ¥1200 | ¥1200 | ¥800 |