さようなら昭和百年
さようなら昭和百年
闘う人々は美しい
2025/12/27(土)-2026/1/9(金)
さようなら昭和百年
闘う人々は美しい
2025/12/27(土)-2026/1/9(金)
昭和といえば娯楽映画の宝庫であり、楽しく優れた映画が数多く作られて来ました。
一方で、昭和といえば戦争の時代があり、多くの戦争映画も作られました。そして戦後民主主義の中で、労働者や市井の人々が権力に抗う映画もすばらしい映画がたくさん誕生しました。闘う人々の映画になぜこうも人は心動かされるのでしょうか。昭和を代表する監督たちの作品を上映することで、私たちを奮い立たせる闘う映画の持つ力に迫ります。
協力 アテネフランセ文化センター、映画美学校、KADOKAWA、近代映画協会、神戸映画資料館、独立プロ名画保存会、日活、北星映画、「山谷」制作上映委員会
入場料一般1,600円/会員・大専・シニア1,300円/ハンディ1,000円/高校生以下800円
トークイベント
1/4(日)16:10『山谷やられたらやりかえせ』上映後、小見憲さん(「山谷」制作上映委員会)
佐藤満夫監督と映画を引き継いだ山岡強一監督。お二人亡き後、撮影現場とあの時代のことを知る「こみけんさん」こと、小見憲さんにお話いただきます。
上映スケジュール
| 12/27(土) | 12/28(日) | 12/29(月) | 12/30(火) | 12/31(水) | 1/1(木) | 1/2(金) |
11:50ー13:31にあんちゃん |
11:50ー13:30裸の島 |
11:50ー13:35証人の椅子 |
11:50ー15:30ニッポン国古屋敷村 |
11:50ー13:51どっこい!人間節 寿・自由労働者の街 |
11:50ー13:45襤褸の旗 |
|
13:45ー15:40蟹工船 |
13:45ー15:40襤褸の旗 |
13:50ー15:40泥の河 |
14:00ー15:50山谷やられたらやりかえせ |
14:00ー15:41にあんちゃん |
予定表 横にスクロールできます
| 1/3(土) | 1/4(日) | 1/5(月) | 1/6(火) | 1/7(水) | 1/8(木) | 1/9(金) |
13:55ー16:05橋のない川 第一部 |
13:55ー16:00どっこい!人間節 寿・自由労働者の街 |
13:55ー15:47蟹工船 |
13:55ー15:50襤褸の旗 |
13:55ー17:45ニッポン国古屋敷村 |
13:55ー15:38証人の椅子 |
13:55ー16:05橋のない川 第一部 |
16:20ー18:40橋のない川 第二部 |
16:10ー18:00山谷やられたらやりかえせ 上映後トーク 小見憲さん |
16:00ー17:45泥の河 |
16:05ー17:45裸の島 |
17:55ー19:40泥の河 |
15:50ー17:51どっこい!人間節 寿・自由労働者の街 |
16:20ー18:40橋のない川 第二部 |
18:00ー19:43証人の椅子 |
18:00ー19:41にあんちゃん |
18:00ー19:50山谷やられたらやりかえせ |
予定表 横にスクロールできます
作品紹介
蟹工船
©北星
1953年/日本/112分/35mm/モノクロ/製作:現代ぷろだくしょん/作品提供:北星映画
監督・脚本:山村聰
原作:小林多喜二
撮影:宮島義勇、仲沢半次郎
音楽:伊福部昭
出演:山村聰、日高澄子、森雅之、河野秋武、森川信、平田未喜三、中原早苗
小林多喜二によるプロレタリア文学の名作小説を、山村聰が初監督。昭和初年、不況で仕事にあぶれた労働者や農夫たちが続々と函館港に集まっていた。彼らが乗り込むのは船内に加工設備を持つ蟹工船の博光丸。嵐の中で病人が続出するが、監督の浅川は労働者の体より作業を優先させる。ついに乗組員たちは仕事をボイコットし、監督に要求書を叩きつけるが…。
にあんちゃん
©1959日活
1959年/日本/101分/35mm/モノクロ/配給:日活
監督:今村昌平
原作:安本末子
脚本:池田一朗、今村昌平
撮影:姫田真佐久
音楽:黛敏郎
出演:長門裕之、吉行和子、二谷英明、松尾嘉代、沖村武、前田暁子、北林谷栄、芦田伸介
空前のベストセラーとなった十才の少女の日記を映画化。昭和28年、佐賀県の小さな炭鉱で炭鉱夫が息を引き取った。残された四人の子供たちは父に死なれた悲しみよりも、明日からの生活への不安がつのった。20才になったばかりの長男喜一が小さな弟や妹たちを養ってゆくなど無理な話だが…。貧しさに負けず、明るく逞しく生きる兄弟愛を描いた感動巨篇。
裸の島
©近代映画協会
1960年/日本/98分/35mm/モノクロ/製作:近代映画協会
監督・脚本:新藤兼人
撮影:黒田清巳
音楽:林光
編集:榎寿雄
出演:乙羽信子、殿山泰司、田中伸二、堀本正紀
瀬戸内海の孤島に住む夫婦と幼い兄弟の家族は、日々、痩せた土地を耕し、舟で水を汲みに行き、急斜面を登って運ぶ。夫婦の懸命な努力で、なぎさから頂上まで耕されている。ある暑い日の午後、突然長男が発病した。孤島へ医者が駈けつけた時、太郎はもう死んでいた。限られた登場人物と台詞を一切排除した野心作。製作スタッフ僅か13人で作られた。
*第2回モスクワ国際映画祭グランプリ
証人の椅子
©KADOKAWA1965
1965年/日本/103分/35mm/配給:KADOKAWA
監督:山本薩夫
原作:開高健
脚本:井手雅人
撮影:上村竜一
音楽:池野成
出演:福田豊土、吉行和子、新田昌玄、奈良岡朋子、樋浦勉、寺田誠、日色ともゑ
ある寒い夜明け、徳島のラジオ店主が殺害される事件が起きた。捜査が難航する中、住み込みの店員だった少年の証言で、被害者の内縁の妻・洋子が逮捕された。彼女は無実を主張するも有罪判決が下されるが、数年後ラジオ商殺しの犯人だと名乗る男が現れた。昭和28年に実際に起きた事件を題材に、冤罪疑惑を広く世に訴えた、監督入魂の一作。
橋のない川 第一部
©独立プロ名画保存会
1969年/日本/127分/35mm/モノクロ/製作:ほるぷ映画/作品提供:独立プロ名画保存会
監督:今井正
原作:住井すゑ
脚本:八木保太郎
撮影:中尾駿一郎
音楽:間宮芳生
出演:北林谷栄、長山藍子、伊藤雄之助、小沢昭一、寺田路恵、阿部寿美子
奈良盆地の一角にある小森という被差別部落で、誠太郎、孝二の兄弟は、祖母と母に温かく見守られ育てられていた。彼らを取り巻く差別する側の生徒、学校の理不尽。どんな場でも祖母は、どんなことにも屈せず、賢く、人間らしく生きることを身を持って教えていく。部落問題というタブーに挑んだ住井すゑのベストセラーの映画化。北林谷栄が演ずる祖母役が秀逸。
橋のない川 第二部
©独立プロ名画保存会
1970年/日本/140分/モノクロ/製作:ほるぷ映画/作品提供:独立プロ名画保存会
監督:今井正
原作:住井すゑ
脚本:佐治乾、今井正
撮影:中尾駿一郎
音楽:間宮芳生
出演:伊藤雄之助、北林谷栄、長山藍子、阿部寿美子、小沢昭一、原田大二郎、津田京子
誠太郎、孝二は社会人として働き始めるが、出身が分かる度に解雇される。教師として働く幼馴染まちえと再会した孝二は、彼女に差別による苦しい胸の内を明かす。米騒動が大阪でも起き、小森出身の者も捕まっていく。自立への道を歩み始めた部落の人々の長く苦しい生き様を描く。底流には監督自身の理不尽な社会を打ち砕きたいという情熱が流れている。
襤褸の旗
1974年/日本/115分/モノクロ/35mm/製作:映画「襤褸の旗」製作委員会/作品提供:神戸映画資料館
監督:吉村公三郎
脚本:宮本研
撮影:宮島義勇、関根重行
出演:三国連太郎、荒木道子、田村亮、志村喬
明治時代の栃木・群馬の渡良瀬川周辺で起きた足尾銅山の公害事件「足尾鉱毒事件」に材をとった作品。農民の苦しみを体感し公害と環境破壊に対して闘った田中正造代議士の半生を描いた本格的な劇映画で、実際に臭い土を食べるなど三国連太郎の熱演が語り草となっている。三里塚の農民と支援の労働者・学生が大挙出演協力したことでも知られる。
どっこい!人間節 寿・自由労働者の街
©映画美学校
1975年/日本/121分/16mm⇒DVD/モノクロ/製作:小川プロダクション/作品提供:映画美学校
構成:小川紳介
製作:伏屋博雄、白石洋子、朝日節子、飯塚俊男、福田克彦、林鉄次
撮影:奥村祐治(J・S・C)
録音:久保田幸雄
編集:小川紳介、田處苗樹、湯本希生
山谷、釜ケ崎とならんで日本三大寄せ場の一つ横浜・寿町。90軒の簡易宿泊所が密集し、5000人前後の人々が暮らす。小川プロの若手スタッフが約10カ月住みこみ、19時間ものフィルムを回した。スクリーンには、寿町の人々が次々と登場し、自分たちの過去を語り、未来への希望を語る。そして、そのうちのある者は、映画の完成を待たずに死んでしまうのである。
泥の河
©小栗康平事務所
1981年/日本/105分/35mm/モノクロ/製作:木村プロダクション/作品提供:小栗康平事務所
監督:小栗康平
原作:宮本輝
脚本:重森孝子
撮影:安藤庄平
音楽:毛利蔵人
出演:田村高廣、藤田弓子、朝原靖貴、加賀まりこ
宮本輝の処女作を原作に、大阪安治川河口を舞台に、河っぷちの食堂に住む少年と、対岸に繋がれた廓舟の姉弟との出会いと別れを描く。自主製作、自主公開という小さな取り組みから始まり、欧米はもとより旧ソ連邦、中国やアジア諸国にまでその配給をひろげ、製作から40年以上経た今日でも、名作として語り継がれている小栗康平監督のデビュー作。
ニッポン国古屋敷村
©映画美学校
1982年/日本/213分/カラー/16mm⇒DVD/製作:小川プロダクション/作品提供:映画美学校
監督・編集:小川紳介
製作:伏屋博雄
撮影:田村正毅
録音:菊池信之
音楽:関一郎
詩:木村迪夫
山形県上山市の蔵王山中に入った、戸数わずか8軒の古屋敷村とその住人たち。冷害による稲作被害の原因を科学的に究明する前半から、かつて盛んだった炭焼きと戦争体験などについて老人たちが個人史を語る後半まで、ひとつの共同体を舞台にしてニッポン国の歴史絵巻が展開する。小川紳介監督とスタッフは自ら農業を営み被写体と関係を築き上げていく。
*ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞受賞作
山谷やられたらやりかえせ
写真提供 大島俊一
1985年/日本/110分/16mm⇒Blu-ray/カラー/「山谷」制作上映委員会
監督:佐藤満夫、山岡強一
ナレーション:城之内元晴
音楽:蠱的態(大熊ワタル、篠田昌已ほか)
映画の冒頭は、山谷の路上に倒れた、微かにまだ息のある佐藤満夫監督自身の姿からはじまる。山谷労働者の姿を正面から撮影するドキュメンタリー映画制作に取りかかろうとしていた佐藤監督は、1984年12月22日早朝、日本国粋会金町一家西戸組組員の凶刃に斃れる。これは通例、物語の終了を意味するが、この映画では、むしろ物語の始まりとなっている。