ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024

© Rainer Werner Fassbinder Foundation

愛と死の映画作家 ファスビンダー監督作品が今年も公開決定!

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024

愛と死の映画作家 ファスビンダー監督作品が今年も公開決定!

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選2024

9/28(土)-10/11(金)

37年の短い生涯で40本以上もの作品を手がけたライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。過激に挑発的に人間や世界のあり様を描き、現在もフランソワ・オゾンはじめ多くの映画作家に影響を与える希代の天才監督。そんなファスビンダーの傑作3本が劇場公開決定。19世紀ドイツの作家テオドール・フォンターネの小説の映像化で日本初公開となる『エフィ・ブリースト』、ファスビンダー美学の極致とも言える重要作『自由の暴力』(『自由の代償』より改題)、そして実在の女性歌手の半生に迫る大作『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』。社会が生み出したシステムに抗いながらも押しつぶされていく個人の姿。恋人や家族間でさえ生じる抑圧や力関係。それでもなお、求めてやまない絶対的な愛やその先の死──。いずれも40年以上前につくられ、描かれる舞台や背景は異なるものの、浮き彫りとなるテーマは古びることはなく、ファスビンダーの映画は今も<現実>だ。その強烈かつ複雑な魅力に満ちた、珠玉の3作品をぜひ劇場で。

公式サイトhttps://fassbinder-ff.jp/

前売券【全国共通特別鑑賞券 3回券】3,600円

入場料:一般1,800円、会員1,500円、大専・シニア1,200円、高校生以下800円

イベント情報
10/1(火)『自由の暴力』上映後、渋谷哲也さん(ドイツ映画研究者)のトークイベントがございます。

作品紹介

リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版

リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版

© 1980 by ROXY / CIP

1980年/120分/西ドイツ/カラー
原題:Lili Marleen
脚本:マンフレート・プルツァー、ジョシュア・シンクレア、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
撮影:ザヴィエ・ショワルツェンベルガー
音楽:ペール・ラーベン
主演:ハンナ・シグラ、ジャンカルロ・ジャンニーニ、メル・ファーラー、カール・ハインツ・フォン・ハッセル、クリスティーネ・カウフマン、ウド・キアー

ナチス政権下のドイツで、国民に愛された歌手ビリー。
しかし彼女自身が愛したのは、たったひとりの男だった。
ファスビンダー屈指の大作が、4Kデジタルリマスターで鮮やかに甦る。

第二次大戦中、敵味方を超えて兵士の心をとらえた名曲“リリー・マルレーン”。その一曲によってスターとなった実在の女性歌手の半生を、絢爛の映像美で描いたメロドラマの傑作。ユダヤ人の恋人との仲を引き裂かれ、ナチスのマスコットと蔑まされながらも、ひたすら愛を貫いてステージに立ち続けるビリーを艶やかに演じるのは『マリア・ブラウンの結婚』(78)のハンナ・シグラ。ビリーと激しい恋に落ちる音楽家ロバートを演じるのはルキノ・ヴィスコンティ監督作『イノセント』(76)のイタリアの美男俳優、ジャンカルロ・ジャンニーニ。他にもオードリー・ヘップバーンの夫だったメル・ファーラー、ラス・フォン・トリアー作品の常連ウド・キアーなど豪華なキャストが、時代に翻弄されながらも決して信念を曲げない女の物語を彩る。

自由の暴力

自由の暴力

©Rainer Werner Fassbinder Foundation

1974年/123分/西ドイツ/カラー
原題: Faustrecht der Freiheit
脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、クリスチャン・ホホフ
撮影:ミヒャエル・バルハウス
音楽:ペール・ラーベン
出演:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ペーター・カテル、カールハインツ・ベーム

宝くじを当て、一夜にして富と愛を手にした大道芸人フランツ。
やっと幸福をつかんだのも束の間、それは奈落への第一歩だった――。
ファスビンダー自ら主人公を演じた、あまりにも痛ましい衝撃作。

身寄りはアル中の姉しかいない大道芸人フランツは、宝くじに当たったことをきっかけに、ブルジョワのゲイのサークルに入り込み、ハンサムなオイゲンに恋をする。一夜で富と愛を手に入れたフランツは有頂天になってオイゲンに貢ぐが、工場経営者の御曹司オイゲンと粗野なフランツとでは趣味も会話も何もかも相容れない。それでもひたすら愛を信じるフランツだったが、やがてふたりの齟齬は決定的となり・・・・・・。ファスビンダーが初めて男性同性愛を正面から取り上げた作品。ひとりの資本家の男に夢中になったばかりに、利用されるだけし尽くされる主人公をファスビンダー自身が熱演。資本主義社会の冷酷さを暴きだすと同時に、愛の名のもとに展開される哀しく痛ましい暴力的な関係が、デジタルリマスターされた美しい映像で鮮烈に描かれる。

エフィ・ブリースト

エフィ・ブリースト

©Rainer Werner Fassbinder Foundation

1974年/140分/西ドイツ/モノクロ
原題:Fontane Effi Briest
原作:テオドール・フォンターネ
脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
撮影:ユルゲン・ユルゲス、ディートリッヒ・ローマン
出演:ハンナ・シグラ、ウォルフガング・シェンク、ウリ・ロンメル、カールハインツ・ベーム

自由を愛する貴族の娘エフィ。
17才で結婚した彼女は、
因襲や束縛にもがきながらも自分らしく生きようとするが・・・・・・。

20歳も年上のインシュテッテン男爵に見初められて結婚した、自由奔放な貴族の娘エフィ。堅物で出世欲の強いインシュテッテンはエフィを躾けようとする上、彼女を残し留守にしてばかり。田舎町の生活に馴染むことができないエフィは、常識にとらわれない夫の友人クランパス少佐と浮気をしてしまう。数年後、妻と友人の裏切りを知ったインシュテッテンは、クランパスに決闘を申し込むのだが……。19世紀後半の家父長制度のなかで、社会や美徳について問い、悩み、そして自らの道にも違和感を抱き続けながら生きたひとりの女性の姿を、デジタルリマスターされた繊細で美しいモノクロ映像で描く。ファスビンダーにとっては後年の『ベルリン・アレクサンダー広場』(80)にならぶ重要な文学映画。ヒロインを演じるのは長年にわたるファスビンダーのミューズ、ハンナ・シグラ。