追悼特集 鈴木清順監督
追悼特集 鈴木清順監督 9/10(日)~9/29(金) 横浜シネマリン
清順節炸裂!日活黄金時代に焦点を当てた
いずれ劣らぬ選りすぐりの16作品一挙公開!
■はじめに
戦後の日本映画界を代表する監督のひとり、鈴木清順監督。その独特の映像表現は「清順美学」と呼ばれ、映画ファンを大いに楽しませてくれました。国内外でも高く評価され、多くの映画監督からリスペクトされています。2017年2月に93歳で死去された後も、全国各地で追悼特集が組まれ、その人気は衰えることを知りません。
横浜シネマリンでは、そんな清順監督の原点ともいえる日活黄金時代に焦点を当てて特集を組んでみました。『野獣の青春』『関東無宿』『肉体の門』『東京流れ者』など、16作品を一挙上映致します!いいずれ劣らぬ傑作揃い!その「清順美学」を、ぜひスクリーンでご堪能下さい。
■鈴木清順(すずき・せいじゅん)
1923年5月24日、東京日本橋の呉服屋の長男として生まれる。本名、清太郎。43年、旧制弘前高等学校に入学するも、学徒出陣で応召。復員後、48年に卒業。
東京大学の受験に失敗し、鎌倉アカデミアの映画科に入るが、同年友人の誘いで松竹大船撮影所の戦後第一回助監督試験を受け、合格を果たす。助監督として岩沢康徳、佐々木康、中村登らに就き、51年からメロドラマの岩間鶴夫の専属助監督を務めた。
54年、日活に移籍してからは、主に野口博志に師事し、56年、中川順夫・浦山桐郎共同脚本による『港の乾杯 勝利をわが手に』を本名の鈴木清太郎名義で初監督。58年、『暗黒街の美女』で清順に改名し、以後、『野獣の青春』『関東無宿』、『肉体の門』、『東京流れ者』など、モダンで新鮮な色彩感覚と映像リズムによる独自の世界観を作り出し、「清順美学」と称されるほど、一部に熱狂的なファンを獲得。この間、映画製作の仲間の曽根中生、大和屋竺、木村威夫らと脚本家グループ「具流八郎」を結成。67年に『殺しの烙印』を発表するが、日活社長・堀久作の逆鱗に触れ、翌年同社の契約を一方的に破棄された。これに抗議したファンや映画関係者は「鈴木清順問題共闘会議」を結成、デモを行うなど、一時は社会問題に発展した。
77年、『悲愁物語』でカムバックを果たし、80年には『ツィゴイネルワイゼン』を完成させ、新方式のテント興行で上映した。十年間の鬱屈を全て晴らすように、一切妥協しないという創作態度で挑んだこの作品は、国内外で多数の映画賞を受賞するなど、高く評価された。05年には構想20年の大作『オペレッタ狸御殿』を監督、カンヌ国際映画祭で栄誉上映特別招待作品として招待された。また晩年は、俳優として活躍の場を広げた。17年2月13日、93歳没。
上映スケジュール 全16作品
9/9(土) | 9/10(日) | 9/11(月) | 9/12(火) | 9/13(水) | 9/14(木) | 9/15(金) |
B悪魔の街 15:20-16:40 |
C裸女と拳銃 15:20-16:50 |
G野獣の青春 15:20-16:55 |
A港の乾杯 勝利をわが手に 15:20-16:30 |
E密航0ライン 15:20-16:45 |
K肉体の門 15:20-16:50 |
|
『悪魔の街』上映後 山根貞夫さん トークショー |
G野獣の青春 17:05-18:40 |
E密航0ライン 17:15-18:40 |
D踏みはずした春 16:45-18:25 |
C裸女と拳銃 17:00-18:30 |
F探偵事務所23 くたばれ悪党ども 17:00-18:30 |
|
D踏みはずした春 18:00-19:40 |
E密航0ライン 18:50-20:15 |
A港の乾杯 勝利をわが手に 19:00-20:10 |
C裸女と拳銃 18:45-20:15 |
K肉体の門 18:40-20:15 |
G野獣の青春 18:40-20:15 |
予定表 横にスクロールできます
9/16(土) | 9/17(日) | 9/18(月) | 9/19(火) | 9/20(水) | 9/21(木) | 9/22(金) |
I関東無宿 13:40-15:15 |
J花と怒濤 13:20-14:55 |
K肉体の門 13:20-14:55 |
L春婦傳 13:20-15:00 |
I関東無宿 13:20-14:55 |
N東京流れ者 13:20-14:45 |
Oけんかえれじい 13:20-14:55 |
K肉体の門 15:30-17:05 |
I関東無宿 15:10-16:45 |
L春婦傳 15:10-16:50 |
J花と怒濤 15:15-16:50 |
H悪太郎 15:10-16:50 |
F探偵事務所23 くたばれ悪党ども 15:10-16:45 |
P殺しの烙印 15:10-16:45 |
B悪魔の街 17:20-18:40 |
D踏みはずした春 17:00-18:40 |
F探偵事務所23 くたばれ悪党ども 17:05-18:40 |
H悪太郎 17:05-18:40 |
M刺青一代 17:05-18:40 |
J花と怒濤 17:05-18:40 |
L春婦傳 17:00-18:40 |
予定表 横にスクロールできます
9/23(土) | 9/24(日) | 9/25(月) | 9/26(火) | 9/27(水) | 9/28(木) | 9/29(金) |
N東京流れ者 17:10-18:35 |
Oけんかえれじい 17:10-18:40 |
H悪太郎 17:10-18:45 |
M刺青一代 17:10-18:40 |
N東京流れ者 17:10-18:35 |
P殺しの烙印 17:10-18:45 |
Oけんかえれじい 17:10-18:40 |
I関東無宿 19:00-20:35 |
L春婦傳 19:00-20:40 |
M刺青一代 19:00-20:30 |
Oけんかえれじい 19:00-20:30 |
P殺しの烙印 19:00-20:35 |
N東京流れ者 19:00-20:25 |
P殺しの烙印 19:00-20:35 |
予定表 横にスクロールできます
料金
一般 | 大学・専門・シニア | 高校以下 | |
通常 | ¥1400 | ¥1100 | ¥800 |
会員 | ¥1100 | ¥1100 | ¥800 |
※当館は整理番号順入場、全席自由席です。上映の1週間前より、劇場窓口でのみ先売りチケットを取扱っております。前売券を先売りチケットにお引き換えいただくことも可能です。インターネットや電話でのご予約は承っておりませんので、予めご了承ください。
上映作品紹介
A 港の乾杯 勝利をわが手に 本名である鈴木清太郎名義での監督デビュー作。青木光一のヒット曲「港の乾杯」をモチーフにした典型的な歌謡映画。若き騎手の弟を元船乗りの兄が身を挺して救うという、男の意気と兄弟愛が緑の競馬場を駆け巡るメロドラマ。後年につながる清順独自の奇妙なつなぎが随所に見られる。
1956年/日活/モノクロ/スタンダード/65分 |
|
B 悪魔の街 初のアクション映画。一の子分・早崎の忠誠と裏切りの物語を軸に、復讐鬼と化した凶悪脱走犯の一味が、悪魔の街にくり広げる競馬の八百長レース、連続殺人事件、銀行車襲撃事件などが盛り込まれる。当時、根強い人気を保っていた河津清三郎を起用した、戦慄と恐怖のギャング映画。
1956年/日活/モノクロ/スタンダード/79分「東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵」 |
|
C 裸女と拳銃 新興宗教の伏魔殿に躍る妖しい裸女軍、その陰に暗躍する国際麻薬密輸団の全貌を暴く、異色の肉体活劇巨編。麻薬王を追うカメラマン槙は、女の罠にはまり、殺人犯として逮捕される。やがて釈放された槙の前に現れたのは殺し屋と謎の新興宗教団体、そして彼を罠にかけた女と瓜二つの女だった。
1957年/日活/モノクロ/スタンダード/88分 |
|
D 踏みはずした春 純愛と凶暴な情欲が同居するハイティーンの無軌道な生態をリアルに描破した。青少年非行矯正ボランティア団体の若い女性に左幸子が扮し、使命感と少年への思慕との間で揺れる姿を好演した。若き不良少年を演じる小林旭もストレートな魅力があふれる。
1958年/日活/モノクロ/シネスコ/99分 |
|
E 密航0ライン 強大な麻薬ルートに特ダネを求めて潜入する、スリルとスピード感溢れるアクション巨編。戦後最大の国際密輸組織“香港-東京0ライン”の謎にいどむ二人の新聞記者、非情に生きる社会部記者の香取と、その好敵手、正統派の仁科は親友ながら激しく競り合っていた。
1960年/日活/モノクロ/シネスコ/83分 |
|
F 探偵事務所23 くたばれ悪党ども 宍戸錠が歌い、踊りそしてマシンガンを乱射するという、ナンセンスが盛りだくさんのハードボイルド・コメディの快作。鈴木清順監督、神話化のきっかけとなった作品である。探偵事務所ツー・スリーの所長、田島は、銃器取引をめぐって銃撃戦を繰り広げる二大ギャング組織を壊滅に追い込む。
1963年/日活/カラー/シネスコ/89分 |
|
G 野獣の青春 宍戸錠の持つ野獣のような魅力。鈴木清順のスタイリッシュな映像美と戯作精神。量産された日活アクションのなかで、燦然と輝く“異質”の魅力。清順監督が自由なまでにあの手この手を盛り込んだ快作。ユニークなキャラクターが続々と登場するが、なかでも川地民夫の殺し屋“すだれの秀”は秀逸!
1963年/日活/カラー/シネスコ/92分 |
|
H 悪太郎 大正初期、悪太郎の異名をとり次々に転校を繰り返した問題児、紺野東吾、転校先で一人の少女に一目惚れするが…。大正ロマンの香り漂う地方都市でケンカと恋に明け暮れる若者を描いた、爽やかで痛快な青春ロマン。本作で木村威夫が初めて美術スタッフに参加した。
1963年/日活/モノクロ/シネスコ/95分 |
|
I 関東無宿 鈴木清順、木村威夫コンビが生んだ様式美あふれる任侠映画。主人公の情念の象徴でもある赤を中心にした色彩設計など、その真骨頂!伊豆組の幹部・鶴田は、賭場で出会った女が有名なイカサマ師であることを知りながら、惹かれていく。やがて、やくざの掟に反抗しながら、悲惨な宿命を背負うのだった。
1963年/日活/カラー/シネスコ/93分 |
|
J 花と怒濤 大正ロマン香る浅草を背景に、渡世人の激烈な愛と宿命の仁侠魂を描いた、仁侠アクション大作。燃える男の意地と熱血が爆発する豪華絢爛作品。ヤクザくずれの熱血漢アキラが、謎の殺し屋との対決、松原智恵子・久保菜穂子とのあでやかな恋の色模様を繰り広げる。
1964年/日活/カラー/シネスコ/92分 |
|
K 肉体の門 「肉体文学」の最高峰として戦後初のロング・ベストセラーとなった田村泰次郎の「肉体の門」を鈴木清順監督が、極彩色の女体と映画美学で描きつくした衝撃「快楽」篇。野川由美子の体当たり演技に注目!戦後焼け野原の東京、みずからの身体を売り物にしてたくましく生きる5人の娼婦たちを描く!
1964年/日活/カラー/シネスコ/90分 |
|
L 春婦傳 御殿場の広野に中国の山脈を合成したという、第二次大戦中の天津、外地で肉体を売る女と副官の当番兵のラブストーリー。気性の激しい売春婦の春美は、副官の当番兵をしている三上に惹かれ、副官の逆鱗に触れることになる。一途に男を愛する女を野川由美子が圧倒的な存在感で熱演した。
1965年/日活/モノクロ/シネスコ/96分 |
|
M 刺青一代 「仁侠スター」として人気爆発した高橋英樹が、素肌に刻んだ「白狐」の刺青鮮やかに、鮮血にまみれ斬りまくる仁侠巨篇。フィルム歌舞伎・清順映画の真骨頂!昭和の初め、非情なヤクザの世界から足を洗うため、満州への脱出を図る二人の兄弟愛を壮絶なアクションで描く代表作。
1965年/日活/カラー/シネスコ/87分 |
|
N 東京流れ者 ボスに裏切られ“流れ者”となった男の復讐劇をミュージカル風に描いた異色のヤクザ映画。ヤクザを辞める決意をしていた倉田組に属する本堂哲也だが、倉田組と敵対する大塚組からの執拗な攻撃を受け、それが自分の恋人にまで及んだことを知ったとき、哲也の怒りが炸裂した。
1966年/日活/カラー/シネスコ/83分 |
|
O けんかえれじい おおらかなユーモア、きらめくリリシズムで描いた青春痛快アクションの決定版。昭和初期、岡山中学の南部麒六は“喧嘩キロク“とあだ名され、配属将校にたてついて放校になった。会津へと転校したキロクは、下宿屋の娘・道子に想いを寄せるが、そこでも自らの腕っぷしでのし上がっていく。
1966年/日活/モノクロ/シネスコ/86分 |
|
P 殺しの烙印 “わからない映画を作ってもらっては困る“と当時の日活社長を激怒させ、鈴木清順が日活をクビになる直接の原因となった、いわくつき作品。一部のファンの間では高い人気を誇る。たった1度の失敗で組織から抹殺されるハメになった殺し屋が、単身組織に立ち向かっていく……。
1967年/日活/モノクロ/シネスコ/91分 |