溝口健二没後60年・増村保造没後30年 特別企画

溝口健二&増村保造映画祭 変貌する女たち 7/15(土)~8/11(金・祝) 横浜シネマリン

溝口健二没後60年・増村保造没後30年 特別企画

■はじめに


溝口健二――黒澤明、小津安二郎と並ぶ、世界の巨匠たちが認めた偉大なる映画監督。1923年『愛に甦る日』で監督デビュー後、虐げられた女性の姿を冷徹なリアリズムで描き、女性映画の巨匠と呼ばれました。

増村保造――溝口晩年の作品の助監督を経て、1957年『くちづけ』で映画監督デビュー。生命力に満ちた強烈な自我をもち、愛憎のためにひたすら突き進む主人公を創出、時代を先取りした従来にない新しい日本映画を送り出すと共に、テレビ界に進出した後にも多くの傑作を残しました。

KADOKAWAが保有する旧大映や角川映画の豊富なライブラリーを次世代に継承すべく、2014年に立ち上げたブランド「角川シネマコレクション」、その劇場上映企画第5弾となる今回の映画祭は、師弟関係にあった溝口、増村2人の巨匠が徹底的にこだわって描いたのが女性であったことに注目し、映画祭のタイトルを「溝口健二・増村保造映画祭―変貌する女たち―」として、ラインナップ致しました。道ならぬ恋に落ちていく女性、身を売る女性、殺人の容疑者になる女性…耐え忍び、幸せを求め、愛に生きるスクリーンの中の女性たちは、その容貌が変わってしまうほど人生に変化が起こります。そんな女性たちがいきづく数々の傑作をスクリーンでご堪能いただければ幸いです。

■溝口健二プロフィール


 1898年、東京生まれ。
 ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメール、ベルナルド・ベルトリッチなど、国内外の映画人に影響を与え、世界では絶大なる人気を誇り、黒沢明や小津安二郎を凌ぐとも言われている。またアカデミー賞受賞監督、マーティン・スコセッシも溝口を敬愛するひとり。監督主導により『雨月物語』の4Kデジタル復元版を実施、2016年開催の第69回カンヌ国際映画祭クラシック部門でワールドプレミア上映され、話題を呼んだ。
 1920年、監督助手として日活向島撮影所に入社。1923年『愛に甦る』で監督デビュー。『浪華悲歌(エレジー)』『祇園の姉妹』(36)、『残菊物語』(39)とリアリズムに裏打ちされた傑作を次々と完成させるが、以降長いスランプに陥る。1952年、背水の陣で臨んだ『西鶴一代女』で低迷期を脱出し、ヴェネチア国際映画祭国際賞を受賞。1953年、大映専属となり、天才キャメラマン・宮川一夫とタッグを組んだ『雨月物語』(53)、『山椒大夫』(54)でヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞。3年連続で受賞となる快挙を成し遂げ、一躍国際的に認知された。その後も『近松物語』(54)、『新・平家物語』(55)などの傑作を連発するも、1956年8月24日に急逝。享年58。遺作はその年公開した『赤線地帯』(56)。生涯監督本数85本。

溝口健二

■増村保造プロフィール


 1924年、山梨県生まれ。東京大学法学部卒。
 1947年、大映株式会社に入社後、東京大学法学部へ再入学。1952年、イタリア国立映画実験センターに留学し、フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティなどに師事。帰国後、溝口健二、市川崑の助監督をつとめ、1957年『くちづけ』で監督デビュー。以降、若尾文子をミューズに迎え、日本を代表する女優に押し上げた。また、天才脚本家と呼ばれた白坂衣志夫や新藤兼人とタッグを組み、大映黄金期の数々の傑作を監督した。1970年以降は、テレビ界にも進出、山口百恵の「赤いシリーズ」の監督や社会現象にもなった「スチュワーデス物語」や「ザ・ガードマン」の脚本なども手がけた。
 1971年、大映倒産後、大映のヒットプロデューサーだった藤井浩明、脚本家の白坂衣志夫と共に、独立プロダクション「行動社」を設立、『大地の子守歌』(76)や『曽根崎心中』(78)などの傑作を送り出した。1986年11月23日死去、享年62。生涯映画監督数57本。
 『楊貴妃』『新・平家物語』『赤線地帯』と、溝口監督最後の3作品で助監督をつとめた。

増村保造

上映スケジュール 全25作品

7/15(土) 7/16(日) 7/17(月) 7/18(火) 7/19(水) 7/20(木) 7/21(金)
雨月物語雨月物語
12:00-13:45
雨月物語雨月物語
12:00-13:45
山椒大夫山椒大夫
12:00-14:04
予告無
女の一生女の一生
12:00-14:00
新・平家物語新・平家物語
12:00-13:55
噂の女噂の女
12:00-13:30
華岡青洲の妻10華岡青洲の妻
12:00-13:45
女の一生女の一生
14:00-15:40
楊貴妃楊貴妃
14:00-15:40
雨月物語雨月物語
14:15-15:55
雨月物語雨月物語
14:10-15:50
赤線地帯赤線地帯
14:10-15:45
新・平家物語新・平家物語
13:45-15:40
祇園囃子祇園囃子
14:00-15:40
赤線地帯赤線地帯
16:00-17:35
女の一生女の一生
16:00-17:40
楊貴妃楊貴妃
16:05-17:40
新・平家物語新・平家物語
16:00-17:40
祇園囃子祇園囃子
16:00-17:40
華岡青洲の妻10華岡青洲の妻
15:55-17:40
噂の女噂の女
16:00-17:35

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7/22(土) 7/23(日) 7/24(月) 7/25(火) 7/26(水) 7/27(木) 7/28(金)
近松物語11近松物語
14:15-16:05
山椒大夫山椒大夫
14:15-16:19
予告無
近松物語11近松物語
14:15-15:57
予告無
清作の妻清作の妻
14:15-15:55
巨人と玩具14巨人と玩具
14:15-16:00
くちづけ13くちづけ
14:15-15:35
妻は告白する12妻は告白する
14:15-15:55
山椒大夫山椒大夫
16:15-18:19
予告無
近松物語11近松物語
16:30-18:15
山椒大夫山椒大夫
16:05-18:09
予告無
妻は告白する12妻は告白する
16:15-17:55
くちづけ13くちづけ
16:15-17:35
巨人と玩具14巨人と玩具
16:15-18:00
からっ風野郎15からっ風野郎
16:15-18:00
噂の女噂の女
18:30-20:00
祇園囃子祇園囃子
18:25-19:59
予告無
華岡青洲の妻10華岡青洲の妻
18:20-19:59
予告無
近松物語11近松物語
18:10-20:00
からっ風野郎15からっ風野郎
18:15-20:00
清作の妻清作の妻
18:20-20:00
巨人と玩具14巨人と玩具
18:20-20:00

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7/29(土) 7/30(日) 7/31(月) 8/1(火) 8/2(水) 8/3(木) 8/4(金)
西鶴一代女16西鶴一代女
10:00-12:20
赤い天使18赤い天使
10:00-11:35
予告無
西鶴一代女19西鶴一代女
10:00-12:20
痴人の愛17痴人の愛
10:00-11:40
お遊さま20お遊さま
10:00-11:40
盲獣25盲獣
10:00-11:40
遊び16遊び
10:00-11:35
お遊さま17お遊さま
12:30-14:05
西鶴一代女16西鶴一代女
11:45-14:05
盲獣20盲獣
12:30-14:04
予告無
お遊さま17お遊さま
12:00-13:40
赤い天使18赤い天使
12:00-13:45
痴人の愛19痴人の愛
12:00-13:40
西鶴一代女16西鶴一代女
11:45-14:05

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8/5(土) 8/6(日) 8/7(月) 8/8(火) 8/9(水) 8/10(木) 8/11(金)
大地の子守歌21大地の子守歌
12:00-13:51
予告無
残菊物語22残菊物語
12:00-14:30
大地の子守歌21大地の子守歌
12:00-13:51
予告無
女体23女体
12:00-13:40
でんきくらげ24でんきくらげ
12:00-13:32
遊び25遊び
12:00-13:40
残菊物語22残菊物語
12:00-14:25
残菊物語22残菊物語
14:00-16:23
予告無
佐藤忠男さん(日本映画大学名誉学長)講演※当日『残菊物語』ご鑑賞の方対象、入場無料
14:30-15:30
でんきくらげ24でんきくらげ
14:00-15:40
大地の子守歌21大地の子守歌
14:00-16:00
残菊物語22残菊物語
13:40-16:05
女体23女体
14:00-15:40
大地の子守歌21大地の子守歌
14:35-16:26
予告無

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8/6(日)14:30-15:30

佐藤忠男さん(日本映画大学名誉学長)講演

※当日『残菊物語』ご鑑賞の方対象、入場無料


※お配りしているチラシの、8/5(土)上映『残菊物語』の上映開始時間が間違っておりました。
正しくは、14:00-16:23となります。お詫びして訂正致します。

料金

一般 大学・専門・シニア 高校以下
通常 ¥1400 ¥1100 ¥800
会員 ¥1100 ¥1100 ¥800

※当館は整理番号順入場、全席自由席です。上映の1週間前より、劇場窓口でのみ先売りチケットを取扱っております。前売券を先売りチケットにお引き換えいただくことも可能です。インターネットや電話でのご予約は承っておりませんので、予めご了承ください。

上映作品紹介

① 雨月物語

ⓒKADOKAWA1953

① 雨月物語

幽玄な映像美に息を呑む、日本映画史に今なお輝き続ける代表作!

上田秋成の短篇集から二篇を採り映画化し、ヴェネチア国際映画祭を制した傑作。戦乱時に町に商売に出た陶工が、屋敷の姫君に招かれるが…。京マチ子のエロス、田中絹代の優しさなど傑出した女性像は世界も称賛した。

1953年/モノクロ/97分/スタンダード/4K復元版/デジタル上映
監督:溝口健二 原作:上田秋成 脚本:川口松太郎、依田義賢
撮影:宮川一夫 美術:伊藤熹朔 音楽:早坂文雄
出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小澤榮

② 楊貴妃

ⓒKADOKAWA1955

② 楊貴妃

東洋にミゾグチあり!豪華絢爛ロマンチックな悲恋宮廷劇

香港との合作になる監督初のカラー作品。妃を失くし失意の皇帝に、地方軍人がある娘を差し出す…。京マチ子が絶世の美人と言われる楊貴妃に扮し、皇帝とのラブシーンを熱演。エキゾチックな美術や衣裳も楽しい。

1955年/カラー/91分/スタンダード/デジタル上映
監督:溝口健二 脚本:陶秦、川口松太郎、依田義賢、成澤昌茂
撮影:杉山公平 美術:水谷浩 音楽:早坂文雄 助監督:増村保造
出演:京マチ子、森雅之

③ 新・平家物語

ⓒKADOKAWA1955

③ 新・平家物語

自らの出生の秘密に葛藤しながらも、権威に対抗してゆく反逆児!

貴族から武士へ政治権力が移行しつつある動乱の世、貴族階級に立ち向かう平清盛の青年時代を描いた時代劇。市川雷蔵が群衆を制して弓を射るクライマックスは絶品。木暮実千代の濃厚な色気、大胆な衣裳も見所。

1955年/カラー/107分/スタンダード/デジタル上映
監督:溝口健二 原作:吉川英治 脚本:依田義賢、成澤昌茂、辻久一
撮影:宮川一夫 美術:水谷浩 音楽:早坂文雄
出演:市川雷蔵、久我美子、林成年、木暮実千代

④ 赤線地帯

ⓒKADOKAWA1956

④ 赤線地帯

売春防止法施行前、自分を「売る」女たちを描いた溝口健二の遺作

大映が誇る豪華女優陣をキャストに迎えて描いた傑作群像劇。様々な事情を抱え、「赤線」と呼ばれた公認の売春地域で働く女たちの生き様を、生々しくリアルに、テンポよく描ききった悲喜劇。独特なテーマ音楽にも注目!

1956年/モノクロ/85分/スタンダード/デジタル上映
監督:溝口健二 脚本:成澤昌茂(一部、芝木好子「洲崎の女」による)
撮影:宮川一夫 美術:水谷浩 音楽:黛敏郎 助監督:中村倍也、増村保造
出演:京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子、菅原謙二

⑤ 女の一生

ⓒKADOKAWA1962

⑤ 女の一生

明治~昭和―波乱にみちた、一人の女の一生を描く感動作

貧乏のどん底にいた主人公のけいは、ふとしたきっかけで堤家に拾われる。しかしそれは彼女の波乱にみちた人生の始まりだった…。妻や母としての幸せを諦め、ひたすら家の為に働き続ける女の一生を描く感動の文芸大作。

1962年/モノクロ/94分/スコープ/デジタル上映
監督:増村保造 原作:森本薫 脚本:八住利雄
撮影:中川芳久 美術:間野重雄 音楽:池野成
出演:京マチ子、田宮二郎、叶順子

⑥ 山椒大夫

ⓒKADOKAWA1954

⑥ 山椒大夫

奴隷社会の犠牲となった家族の絆―感涙必至のクライマックス

森鴎外の同名小説を映画化し、ヴェネチア国際映画祭・金獅子賞に輝いた文芸大作。山椒大夫にさらわれた兄妹が、生き別れた母親との再会を夢見るが…。女性の美しさをこれ以上ないくらい完璧に描いた後期代表作。

1954年/モノクロ/124分/スタンダード/デジタル上映
監督:溝口健二 原作:森鴎外 脚本:八尋不二、依田義賢
撮影:宮川一夫 美術:伊藤熹朔 音楽:早坂文雄
出演:田中絹代、花柳喜章、香川京子

⑦ 清作の妻

ⓒKADOKAWA1965

⑦ 清作の妻

瞳に映るはあなただけ―戦争という逆境に立ち向かう孤高の妻

戦争を背景に、夫への愛だけに生きがいを見出し、狂気の行動に走る妻を描く異色の人間ドラマ。ヒロイン・若尾文子は抑制された撮影と照明で一際の異彩を放ち、この世の恨み辛みを体現、彼女の代表作のひとつとなった。

1965年/モノクロ/93分/スコープ/デジタル上映
監督:増村保造 原作:吉田絃二郎 脚本:新藤兼人
撮影:秋野友宏 美術:下河原友雄 音楽:山内正
出演:若尾文子、田村高廣、成田三樹夫

⑧ 祇園囃子

ⓒKADOKAWA1953

⑧ 祇園囃子

京都・祇園に生きる芸者たちの喜怒哀楽を描く珠玉の一作

芸妓・美代春はある日やって来たみすぼらしい姿の少女・栄子を舞妓として育てることに…。ベテラン女優・木暮実千代と新人女優・若尾文子が役柄とオーバーラップし、映画に深みを与えた人間ドラマ。

1953年/モノクロ/84分/スタンダード/デジタル上映
監督:溝口健二 原作:川口松太郎 脚本:依田義賢
撮影:宮川一夫 美術:小池一美 音楽:齋藤一郎
出演:木暮実千代、若尾文子、河津清三郎

⑨ 噂の女

ⓒKADOKAWA1954

⑨ 噂の女

愚かな男に振り回されながらも強く生きる母娘のたくましさ

京都・島原を舞台に、パワフルに働く女性を描いた風俗喜劇。母親が遊郭の女将だという理由で男に振られた娘が、それまで軽蔑していた娼婦たちに心を開いていく。愛人に裏切られ、嫉妬に燃える田中絹代の演技は必見!

1954年/モノクロ/84分/スタンダード/デジタル上映
監督:溝口健二 脚本:依田義賢、成澤昌茂 撮影:宮川一夫
美術:水谷浩 音楽:黛敏郎
出演:田中絹代、大谷友右衛門、久我美子

⑩ 華岡青洲の妻

ⓒKADOKAWA1967

⑩ 華岡青洲の妻

嫁VS姑の終わりなき壮絶な戦いを描いた愛憎ドラマ

有吉佐和子のベストセラー小説を映画化。世界初全身麻酔手術の成功の陰にあった嫁姑の確執…。市川雷蔵演じる医師に献身的に尽くし、人体実験として自身を投げ出す妻と母を若尾&高峰の二大女優が鬼気迫る演技で熱演。

1967年/モノクロ/99分/スコープ/デジタル上映
監督:増村保造 原作:有吉佐和子 脚本:新藤兼人
撮影:小林節雄 美術:西岡善信 音楽:林光 語り手:杉村春子
出演:市川雷蔵、若尾文子、高峰秀子、伊藤雄之助、渡辺美佐子

⑪ 近松物語

ⓒKADOKAWA1954

⑪ 近松物語

恋に生きる男女が運命と闘う!大傑作の逃避行ラブ・ロマンス

近松門左衛門の人形浄瑠璃を元としながらも、現代的で西欧的なスピード感あふれる傑作。ある誤解から不義密通者とされた男女が、互いの真実の愛に気付き覚悟する様子が力強く、愛し合うことの崇高さを感じさせる。

1954年/モノクロ/102分/スタンダード/デジタル上映
監督:溝口健二 原作:近松門左衛門(「大経師昔暦」より) 劇化:川口松太郎(「おさん茂兵衛」)
脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 美術:水谷浩 音楽:早坂文雄
出演:長谷川一夫、香川京子、南田洋子

⑫ 妻は告白する

ⓒKADOKAWA1961

⑫ 妻は告白する

殺人か自己防衛か?人妻の微妙な心理を抉った衝撃の人間ドラマ

岩壁での遭難事故で、ザイルを切って夫を落下させた妻が裁判にかけられるが…。本作で若尾文子はスターから演技派女優へ、また少女から女へと変貌を遂げる転機に。既存のモラルを激しく揺さぶる増村監督の最高傑作!

1961年/モノクロ/91分/スコープ/デジタル上映
監督:増村保造 原作:円山雅也 脚本:井手雅人
撮影:小林節雄 美術:渡辺竹三郎 音楽:真鍋理一郎
出演:若尾文子、川口浩、小沢栄太郎、根上淳、高松英郎

⑬ くちづけ

ⓒKADOKAWA1957

⑬ くちづけ

増村保造の記念すべき監督デビュー作である青春映画の傑作

屈折する若い男女の怒りや哀しみなど青春の光と影をスピード感たっぷりに描いた傑作!イタリア留学から帰国したばかりの増村は従来とは異なるモダンな演出で、日本映画界に新風を巻き込み、鮮烈なデビューを飾った。

1957年/モノクロ/74分/スタンダード/デジタル上映
監督:増村保造 原作:川口松太郎 脚本:舟橋和郎
撮影:小原譲治 美術:下河原友雄 音楽:塚原晢夫
出演:川口浩、野添ひとみ、三益愛子

⑭ 巨人と玩具

ⓒKADOKAWA1958

⑭ 巨人と玩具

巨大な消費社会で、したたかに生きていく若い男女を描いた傑作

芥川賞作家・開高健の同名小説を映画化。アップテンポなカットつなぎやスピーディな展開でマスコミ崇拝の社会を痛烈に批判。日本映画のイメージを覆した、増村監督の初期代表作として名高いブラックコメディの傑作!

1958年/カラー/95分/スコープ/デジタル上映
監督:増村保造 原作:開高健 脚本:白坂依志夫 撮影:村井博
美術:下河原友雄 音楽:塚原晢夫
出演:川口浩、野添ひとみ、高松英郎

⑮ からっ風野郎

ⓒKADOKAWA1960

⑮ からっ風野郎

空虚と非情を爆発させる現代やくざの歪んだ世界を堪能あれ!

出所したばかりの二代目親分が映画館で働く女性と出会い互いに惹かれあうが、男は殺し屋に命を狙われ…。文壇の寵児・三島由紀夫を主演に迎えた、ハードボイルドで青春感漂う異色の恋愛ドラマ。

1960年/カラー/96分/スコープ/デジタル上映
監督:増村保造 脚本:菊島隆三、安藤日出男 撮影:村井博
美術:渡辺竹三郎 音楽:塚原晢夫
主題歌:三島由紀夫「からっ風野郎」
出演:三島由紀夫、若尾文子、船越英二、川崎敬三

⑯ 西鶴一代女

ⓒ1952東宝

⑯ 西鶴一代女

男に弄ばれ堕ちていく流転の女の一生。掛け値なく必見の大傑作!

御所勤めだった女はなぜ街娼になり果てたのか…?ヴェネチア国際映画祭・国際賞受賞、田中絹代も一世一代の名演技を披露し、世界的な話題に。監督の特徴である長回しやカメラワークなど、全編必見だらけの大傑作!

1952年/モノクロ/137分/スタンダード/35ミリプリント上映
監督:溝口健二 原作:井原西鶴(「好色一代女」より) 構成:溝口健二
脚本:依田義賢 撮影:平野好美 美術:水谷浩 音楽:斎藤一郎
出演:田中絹代、山根壽子、三船敏郎

⑰ お遊さま

ⓒKADOKAWA1951

⑰ お遊さま

自己を犠牲に生きる切なさ―男をめぐる姉妹の歪んだ三角関係

名カメラマン・宮川一夫と初タッグを組んだ大映での第一作。お遊を幸せにしたいという願いから、お静は形式だけの夫婦として生きる決心をするが…。谷崎文学の問題作を映画化。絵画のように優雅なシーンの連続にも注目!

1951年/モノクロ/93分/スタンダード/デジタル上映
監督:溝口健二 原作:谷崎潤一郎(「蘆刈」より)
脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 美術:水谷浩 音楽:早坂文雄
出演:田中絹代、乙羽信子、堀雄二

⑱ 赤い天使

ⓒKADOKAWA1966

⑱ 赤い天使

女は白衣の天使か?娼婦か?生死渦巻く戦地の果ての真実の愛

野戦病院を舞台に、若尾演じる従軍看護婦が傷ついた兵士や軍医に深い愛を注ぐ。鋭く重みのあるリアリズムを基調とし、過激描写も厭わない徹底した増村の演出が、戦争の暗部を抉り出す屈指の問題作!

1966年/モノクロ/95分/スコープ/デジタル上映
監督:増村保造 原作:有馬頼義 脚本:笠原良三
撮影:小林節雄 美術:下河原友雄 音楽:池野成
出演:若尾文子、芦田伸介、川津祐介

⑲ 痴人の愛

ⓒKADOKAWA1967

⑲ 痴人の愛

密室で飼育された可愛い女―谷崎潤一郎の同名小説を映画化

堅物の主人公は家で密かに女を飼育しているという裏の顔を持っていた。しかし美しい肉体を持つ女・ナオミの自由奔放な行動により、彼らの主従関係のバランスは次第に崩れていく…。田村正和もプレイボーイ役で出演。

1967年/カラー/92分/スコープ/デジタル上映
監督:増村保造 原作:谷崎潤一郎 脚本:池田一朗
撮影:小林節雄 美術:間野重雄 音楽:山本直純
出演:安田道代(大楠道代)、小沢昭一、田村正和、倉石功

⑳ 盲獣

ⓒKADOKAWA1969

⑳ 盲獣

盲目の彫刻家とその女は快楽に溺れ、底なしの闇に落ちていく

江戸川乱歩の原作を映画化。欧米でも公開され全世界のファンから支持されているカルト的傑作。女体のオブジェが並ぶ密室で、倒錯した世界に引き込まれていく男と女…。出演者3人のみの鬼気迫る圧巻の演技も必見!

1969年/カラー/84分/スコープ/デジタル上映
監督:増村保造 原作:江戸川乱歩 脚本:白坂依志夫
撮影:小林節雄 美術:間野重雄 音楽:林光
出演:船越英二、緑魔子、千石規子

㉑ 大地の子守歌

ⓒ1976行動社

㉑ 大地の子守歌

過酷な運命に耐えながらも懸命に生きる少女の姿を描く感動作

13歳の少女が売春宿に売られながらも、負けず懸命に生きる姿を描いた増村保造監督後期の代表作と言うべき傑作。キネマ旬報ベストテン第3位。主演の原田美枝子の演技も高く評価され、多くの演技賞・新人賞に輝いた。

1976年/カラー/111分/スタンダード/デジタル上映
脚本・監督:増村保造 原作:素九鬼子 脚本:白坂依志夫 撮影:中川芳久
美術:間野重雄 音楽:竹村次郎 メインテーマ:加藤登紀子
出演:原田美枝子、佐藤祐介、岡田英次、賀原夏子 / 梶芽衣子、田中絹代

㉒ 残菊物語

ⓒ1939松竹株式会社

㉒ 残菊物語

犠牲になりゆく女の意地と誇り―邦画の最高傑作と呼ばれた一本

人気歌舞伎役者の芸の向上を素直に願い献身しただけなのに、身分差ゆえ周囲から蔑まれてしまう貧しい女の屈辱。完成の域に達した監督の長回し、ヒロインを演じた森赫子の卓越した魅力…全てが一級品と言える代表作。

1939年/モノクロ/143分(※封切時147分)/スタンダード/デジタル上映
監督:溝口健二 原作:村松梢風 構成:川口松太郎 脚色:依田義賢
撮影:三木滋人、藤洋三 美術:水谷浩 音楽:深井史郎
出演:花柳章太郎、森赫子、河原崎権十郎、高田浩吉

㉓ 女体

ⓒKADOKAWA1969

㉓ 女体

女豹のように激しく、一途に愛を求める女を描くラブストーリー

大映初出演となる浅丘が奔放な愛に生きる蝶のような美しく激しい女という、従来のイメージを覆すような野性味溢れる大胆な演技を披露。浅丘ルリ子に惚れ込んだ増村が彼女のために共同でシナリオを書きおろした。

1969年/カラー/94分/スコープ/デジタル上映
脚本・監督:増村保造 脚本:石松愛弘 撮影:小林節雄
美術:渡辺竹三郎 音楽:林光
出演:浅丘ルリ子、岡田英次、梓英子、岸田今日子

㉔ でんきくらげ

ⓒKADOKAWA1970

㉔ でんきくらげ

私の武器は私の体―女は男を翻弄し、逞しく生き抜いていく

渥美マリが女優としての真価を問うべく、強烈なキャラクターを体当たりで熱演し、セックス・シンボルとしての人気を決定づけた〈軟体動物〉シリーズ最高傑作との呼び声高い青春物語!豪華男優陣とのラブシーンも必見。

1970年/カラー/92分/スコープ/デジタル上映
脚本・監督:増村保造 原作:遠山雅之(「悪女の手口」より)
脚本:石松愛弘 撮影:小林節雄 美術:矢野友久 音楽:林光
出演:渥美マリ、川津祐介、西村晃

㉕ 遊び

ⓒKADOKAWA1971

㉕ 遊び

ある日突然出会ってしまった―孤独な二人が求める無償の愛

野坂昭如の小説を映画化。社会の底辺でもがき生きる思春期の少年と少女が真実の愛を懸命に求めて突き進む。二人の激しく純粋な愛を描いた、ほろ苦い青春恋愛物語!

1971年/カラー/90分/スコープ/デジタル上映
潤色・監督:増村保造 原作:野坂昭如(「心中弁天島」より)
脚本:今子正義、伊藤昌洋 撮影:小林節雄 美術:間野重雄 音楽:渡辺岳夫
出演:関根恵子(高橋惠子)、大門正明、松坂慶子、平泉征(平泉成)

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