三里塚ドキュメンタリー特集
『三里塚のイカロス』公開記念
-三里塚とあの時代、そして今-
大津幸四郎と共に三里塚の現在を撮った『三里塚に生きる』と農民と共に闘った若者たちの現在を撮った最新作『三里塚のイカロス』。
成田/三里塚空港反対闘争で勝ったのは一体誰だったのか、その答えを見つけるために代島治彦監督は『三里塚のイカロス』を作ったという。
空港は建設されたのだから、農民も農民と共に闘った若者たちも負けたということか。そもそも三里塚闘争は勝ち負けで計れるものだろうか。
横浜シネマリンの「三里塚ドキュメンタリー特集」では、〈小川プロダクション〉三里塚シリーズ6作品を併せて上映し、三里塚の闘争とあの時代、そして今を深く見つめ直します。
- 1.日本解放戦線・三里塚の夏
- 2.日本解放戦線・三里塚
- 3.三里塚・第三次強制測量阻止闘争
- 4.三里塚・第二砦の人々
- 5.三里塚・岩山に鉄塔が出来た
- 6.三里塚・辺田部落
- 三里塚に生きる
- 三里塚のイカロス
代島治彦監督作品
三里塚のイカロス The Fall of Icarus:Narita Stories
© 2017 三里塚のイカロス製作委員会
2017年/日本/カラー&白黒/138分/DCP/5.1ch
製作・監督・編集:代島治彦
出演:加瀬 勉、岸 宏一、秋葉恵美子、秋葉義光、前田深雪、吉田義朗、平田誠剛、中川憲一、前田伸夫、加藤秀子
撮影:加藤孝信/音楽:大友良英
写真:北井一夫/音響効果・整音:滝澤 修
アニメ原画:下田昌克
制作:スコブル工房
企画・製作:三里塚のイカロス製作委員会
宣伝デザイン:鈴木一誌
配給:ムヴィオラ、スコブル工房
成田空港のその下に“あの時代”が埋まっている。
成田/三里塚で農民とともに闘った若者たちがいた。
誰にも語らなかった“あの時代”と“その後の50年”の記憶。
サンリヅカって何ですか? “あの時代”って何だったんですか?
三里塚の農民とともに国家権力と闘った若者たちの“あの時代”と“その後の50年”
ある日突然、この土地に空港を作るから出て行きなさいと言われた農民たちの闘い。それが日本で最大の、そして最後の国家権力に対する抵抗運動、成田空港建設反対闘争だ。成田市三里塚の農村地帯に巨大空港を作ることを決定した政府による暴力的な土地収奪に、農民たちは抵抗運動を開始した。そこに、若者たちが集まったのだ。農民たちの抵抗を支持し、三里塚を革命のための拠点とし、すべては変えられると信じていた若者たちが。あれから50年。
若者たちが農民とともに国を相手に闘った“サンリヅカ=三里塚”から、今、若者が海外旅行へと楽しげに出発して行く。そこでかつて何があったのか。多くの若者は知らない。若者だけじゃない。忘れてしまった人も多い。成田空港のその下に“あの時代”が埋まっていることを。
何かが変わる時代だった。3億円事件があった。オールナイト・ニッポンが始まった。映画『卒業』があり、『猿の惑星』があった。フォークソングにフリージャズ、サイケにゲバ、ベトナム反戦に68年革命。若者たちが、今が時だ、と迸った。あの時代――それはまるで世界中が「政治の季節」に燃え上がるようだった。だが、それは、結末を迎える。農民とともに闘った、あの時代あの若者はイカロスだったのだろうか。イカロスは墜落した。「三里塚のイカロス」は何を残したのか。それとも何も残さなかったのか。
本作は「映画芸術」日本映画ベストテン第3位、日本映画ペンクラブ文化映画部門第2位、「キネマ旬報」文化映画ベストテン第4位に輝いた『三里塚に生きる』の姉妹編である。前作は日本ドキュメンタリー史の巨人・名キャメラマン大津幸四郎(2014年没)と代島治彦の共同監督で、大津が40年前に撮影した伝説的な小川プロ作品を『日本解放戦線・三里塚の夏』(1968年)以来、初めて三里塚を訪れ、あのとき国家と闘った農民の人生を中心に描いた。対して本作は、代島治彦監督が農民とともに闘った若者たちの人生を描いている。これは前作撮影時からの、もう一本の“撮らねばならなかった物語”なのだ。
登場するのは、25年にわたって三里塚闘争の責任者という立場にあった者、農民支援に入った農家の若者と恋をして結婚した女性、義勇兵という気持ちで若い妻に置手紙して戦いに参加した元国鉄労働者、反対闘争をテレビで見て京都から駆けつけた当時高校生の活動員らの他、農民運動家や元空港公団職員など。これまで誰にも語らなかった“あの時代”と“その後の50年”の記憶を語っている。中核派政治局員として1981年から2006年まで25年間三里塚現地責任者を務めた岸宏一は、本作完成後、今年3月26日、谷川岳で遭難。この映画がいわば彼の遺作となった。
音楽は大友良英による“これしかない”フリージャズ。撮影は小川プロ出身の加藤孝信、劇中で印象的なイカロスの絵は、世界中を旅して描いた絵を本にした『PRIVATE WORLD』で知られる下田昌克が手がけている。
羽田空港が国際化した今、成田/三里塚へ駆けつけた若者たちは何を想うのだろう。あれから50年。
イカロスとは…
[英:Icarus] ギリシャ語神話に登場する人物の一人。蜜蠟で固めた翼によって自由自在に飛翔する能力を得るが、太陽に接近し過ぎたことで翼が溶けてなくなり、墜落して死を迎えた。イカロスの物語は人間の傲慢さやテクノロジーを批判する神話としても有名であるとともに、手の届かない理想を抱いたものの寓話として語られることも多い。マルク・シャガールによる絵画作品「イカロスの墜落」は代島監督に本作のインスピレーションを与えたものの一つ。
*第18回チョンジュ国際映画祭 正式招待作品
三里塚とその時代
1965年―ベトナム戦争始まる
1966年―佐藤内閣、成田市三里塚に新東京国際空港を閣議決定
地元農民、空港反対同盟を結成
三派全学連結成
1967年―佐藤首相ベトナム訪問阻止闘争(第一次羽田闘争)
1968年―フランス5月革命
1969年―東大安田講堂事件
1970年―第一次~第三次強制立入測量阻止闘争
1971年―第一次・第二次行政代執行
1972年―連合赤軍あさま山荘事件
1978年―管制塔占拠事件
新東京国際空港(現成田国際空港)部分開港
三里塚闘争をどう維持していくのか。その思考自身が間違いだと言われれば、もう僕としては言葉はないです。
元中核派政治局員(1981年~2006年まで三里塚現地責任者)
週刊新潮なんてひどいことを書いてあってね、世間知らずのお嬢さんがすぐ逃げ出すだろうみたいに書いてあって。
元ML派女子学生(地元農民と結婚し、当時マスコミに騒がれた)
夢見るんですよ、最近見なくなったけど。夢の中では管制塔を占拠して、壊して、逮捕されずに帰ってきてるんですね。
元第四インター活動家(成田空港管制塔占拠に参加した)
上映スケジュール 全8作品
10/7(土) | 10/8(日) | 10/9(月) | 10/10(火) | 10/11(水) | 10/12(木) | 10/13(金) |
三里塚のイカロス 12:30-14:50 トークショー① ゲスト:飯塚俊男さん(映画監督・元小川プロダクション)×代島治彦監督 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
日本解放戦線・三里塚の夏 15:55-17:50 |
日本解放戦線・三里塚 15:20-17:50 |
三里塚・辺田部落 15:20-17:50 |
三里塚に生きる 15:20-17:50 |
日本解放戦線・三里塚の夏 15:20-17:15 |
三里塚・辺田部落 15:20-17:50 |
日本解放戦線・三里塚 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
予定表 横にスクロールできます
10/14(土) | 10/15(日) | 10/16(月) | 10/17(火) | 10/18(水) | 10/19(木) | 10/20(金) |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-14:50 トークショー② ゲスト:中川憲一さん(『三里塚のイカロス』出演者・元プロレタリア青年同盟活動家)×代島治彦監督 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 12:30-15:00 |
三里塚・辺田部落 15:20-17:50 |
日本解放戦線・三里塚の夏 15:55-17:50 |
三里塚に生きる 15:20-17:50 |
日本解放戦線・三里塚 15:20-17:50 |
三里塚・第二砦の人々 15:20-17:50 |
三里塚に生きる 15:20-17:50 |
三里塚・第三次強制測量阻止闘争 15:10-16:05 三里塚・岩山に鉄塔が出来た 16:20-17:50 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
三里塚のイカロス 18:00-20:25 |
予定表 横にスクロールできます
10/21(土) | 10/22(日) | 10/23(月) | 10/24(火) | 10/25(水) | 10/26(木) | 10/27(金) |
三里塚に生きる 12:30-15:00 |
三里塚・第二砦の人々 12:30-15:00 |
三里塚・第三次強制測量阻止闘争 12:30-13:25 三里塚・岩山に鉄塔が出来た 13:40-15:10 |
三里塚に生きる 12:30-15:00 |
三里塚・第二砦の人々 12:30-15:00 |
三里塚・第三次強制測量阻止闘争 12:30-13:25 三里塚・岩山に鉄塔が出来た 13:40-15:10 |
三里塚に生きる 12:30-15:00 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
予定表 横にスクロールできます
10/28(土) | 10/29(日) | 10/30(月) | 10/31(火) | 11/1(水) | 11/2(木) | 11/3(金) |
三里塚に生きる 12:30-15:00 |
三里塚に生きる 12:30-15:00 |
三里塚に生きる 12:30-15:00 |
三里塚に生きる 12:30-15:00 |
三里塚に生きる 12:30-15:00 |
三里塚に生きる 12:30-15:00 |
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三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
三里塚のイカロス 15:20-17:50 |
予定表 横にスクロールできます
*小川紳介監督作品は、全て16㎜プリントで上映致します。古い作品のため、画像・音の不良、上映中のトラブルなども予想されますので、どうかご容赦下さい。
協力:アテネフランセ文化センター、武蔵大学
10/7(土)12:30『三里塚のイカロス』上映後
ゲスト:飯塚俊男さん(映画監督・元小川プロダクション)×代島治彦監督
10/15(日)12:30『三里塚のイカロス』上映後
ゲスト:中川憲一さん(『三里塚のイカロス』出演者・元プロレタリア青年同盟活動家)×代島治彦監督
入場料金
【当日料金】
『三里塚のイカロス』一般1,800円/会員1,500円/大専・シニア1,100円/高校生以下800円
「小川プロ作品」『三里塚に生きる』一般1,400円/会員・大専・シニア1,100円/高校生以下800円
【お得なリピーター割300円引】
「小川プロ作品」半券提示で2作品目「小川プロ作品」は、当日一般1,400円➡1,100円
『三里塚に生きる』半券提示で『三里塚のイカロス』は、当日一般1,800円➡1,500円
※当館は整理番号順入場、全席自由席です。上映の1週間前より、劇場窓口でのみ先売りチケットを取扱っております。前売券を先売りチケットにお引き換えいただくことも可能です。インターネットや電話でのご予約は承っておりませんので、予めご了承ください。
上映作品紹介
© 2014 三里塚に生きる製作委員会 |
三里塚に生きる The Wages of Resistance:Narita Stories 1960年代にはじまった成田空港建設反対闘争を、当事者である三里塚の人々の証言から描いたドキュメンタリー。本作が遺作となった大津幸四郎キャメラマンが、『日本解放戦線 三里塚の夏』以来45年ぶりに三里塚の農民にキャメラを向けた。空港闘争とは何だったのか、国家権力に振り回されてきた人々が静かに浮かび上がる。
2014年/日本/カラー/140分/DCP/配給:スコブル工房 |
小川プロダクション作品 三里塚シリーズ ※全作品16ミリプリント上映
日本解放戦線・三里塚の夏 Summer in Narita 1968年初夏。千葉県成田で国際空港を建設するための公団立入り調査に反対する農民と学生の姿を、農民の列中から記録したドキュメンタリー。撮影された半年間は、「農地死守」の闘いが、非合法も辞さない「農地奪還」の闘いへと転じていく瞬間だった。後に計7作制作される「三里塚」シリーズ第一作。
1968年/108分/16ミリ/モノクロ |
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日本解放戦線・三里塚 Winter in Narita 通称「三里塚の冬」。4年にわたる空港建設反対の闘いは、眼に見える敵との闘い以上に自身の内面へと向けられ、より困難な状況を迎えていた。離脱者が出る中、徐々におとずれる疑問・空虚感、官憲との衝突を繰り返す。農民の背負ってきた家や集落、人間関係の歴史を洗い直さずにはおかない。
1970年/141分/16ミリ/カラー |
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三里塚・第三次強制測量阻止闘争 The Three-Days War in Narita 空港公団が、強制測量を約1週間にわたって行なうと発表したことにより、緊急に撮影・編集・上映された作品。キャメラは文字通り彼らに徹底的に伴走する。その抵抗の激しさに、公団は1週間の測量の予定を3日間で切り上げざるを得なくなる。自ら糞尿弾と化して測量を阻止せんとする農民たち。
1970年/50分/16ミリ/モノクロ |
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三里塚・第二砦の人々 Narita: Peasants of the Second Fortress マンハイム映画祭スタンバーグ賞を受賞した、シリーズ中の核となる傑作。機動隊を引き連れてバリケード小屋を破壊していく国と公団に対し、農民側は砦を築き、投石、竹槍、火炎瓶で応戦。農婦らは自らを鎖で縛りつけて後退を拒む。地下深く掘られた壕の中、ロウソクの灯の下で抵抗が続く。
1971年/143分/16ミリ/モノクロ |
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三里塚・岩山に鉄塔が出来た Narita: The Building of the Iwayama Tower 反対同盟を中心に計画された滑走路使用不能大作戦の様子を捉えた作品。1972年2月、反対同盟は滑走路予定地に離着陸を阻止する鉄塔の建設を開始。農民側を支援すべく全国から集まったトビ職や学生たちの手により、滑走路南端にあたる岩山地区にみるみる60メートルの大鉄塔が築かれてゆく。
1972年/85分/16ミリ/モノクロ |
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三里塚・辺田部落 Narita: Heta Village 『ニッポン国 古屋敷村」『牧野物語』へ移行する分水嶺となったシリーズ第6作。闘争により消滅の危機を迎えようとしている辺田部落の、ありのままの姿を描くドキュメンタリー。 “闘い”から“闘いの中の日常”へ。固い団結を誇る辺田部落に住みついたキャメラは農民の声を聞き撮りしてゆく。
1973年/146分/16ミリ/モノクロ |