京マチ子映画祭

デビュー70周年企画〈追悼上映〉

2019.8.17-9.6
ほんとうの私を教えてあげましょう。

京マチ子映画祭

国際映画祭を次々と制し、グランプリ女優と呼ばれた伝説の女優・京マチ子の代表作、15作品を一挙上映!

京マチ子映画祭
【はじめに】

2019年5月12日、京マチ子さんが亡くなられました。
横浜シネマリンでは、〈雷蔵祭 初恋〉『ぼんち』、〈若尾文子映画祭 青春〉『赤線地帯』『浮草』『女系家族』、〈市川崑映画祭〉『鍵』『ぼんち』、〈溝口・増村映画祭〉『雨月物語』『赤線地帯』『楊貴妃』『新・平家物語』『女の一生』、〈生誕115年記念 小津4K〉『浮草』と、京マチ子さん出演作を繰り返し上映させていただいていますが、ダントツの人気がありました。
肉体を武器に男を手玉に取る女、夫の前では貞淑な妻ながら裏では若い男と通じる女、不器量だが心優しき女、様々な女性の人生や業を見事に演じ切り、映画ファンを魅了してきました。その日本人離れした肉体で、ひとたび踊り出せば観るものをたちまち虜にしました。そんな京マチ子さんの魅力をスクリーンで存分にご堪能いただき、皆様とともに賑やかに追悼させていただければ幸いです。

【プロフィール】


1924年(大正13年)3月25日大阪府大阪市生まれ。大阪松竹少女歌劇団(現・OSK日本歌劇団)で娘役スターとして活躍後、1949年大映に入社、同年『痴人の愛』で一躍注目される。
翌1950年、黒澤明監督『羅生門』に起用、戦後だからこそ表現できる新たな女性像を、ダンスで鍛えた体で見事に体現した。また翌年主演した『偽れる盛装』で毎日映画コンクール女優賞を受賞、大女優としての地位を早くも決定付けた。更に『羅生門』がアカデミー賞®名誉賞(最優秀外国語映画賞)、ヴェネチア国際映画祭グランプリ(サン・マルコ金獅子賞)を受賞し、国際的にもその名が知られるようになる。
1953年には成瀬巳喜男監督『あに・いもうと』など巨匠の作品に相次いで主演、溝口健二監督『雨月物語』ではヴェネチア国際映画祭サン・マルコ銀獅子賞(金獅子賞が該当なしのため、事実上のグランプリ)を、衣笠貞之助監督『地獄門』ではカンヌ国際映画祭グランプリを立て続けに受賞、“グランプリ女優”と呼ばれるようになる。
1956年には溝口健二監督の遺作『赤線地帯』に主演、翌1957年、伊藤大輔監督『いとはん物語』では、心は美しいが不器量な醜女という難役を醜女メイクで挑み、切ない女心を繊細に演じて高い評価を受けた。
1959年、巨匠・市川崑監督『鍵』では、老境の夫の前では貞淑でありながら、その裏では夫の娘の婚約者と通じるという複雑な役柄を演じ、カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。
また同年、巨匠・小津安二郎監督が大映で唯一メガホンをとった映画『浮草』に主演、当時35歳にしてデビュー10年目、これまでのキャリアの集大成ともいえる成熟した圧巻の名演技を披露した。
その後も『ぼんち』(1960/市川崑監督)、『女の勲章』『婚期』(1961/吉村公三郎監督)、『黒蜥蜴』(1962/井上梅次監督)、『女の一生』(1962/増村保造監督)、『女系家族』(1963/三隅研次監督)、『千羽鶴』(1969/増村保造監督)など数々の作品に主演し、名実共に大映トップ女優として君臨し続けた。
1971年大映倒産後は次第に活動の拠点を舞台やテレビの世界に移していった。
1987年に紫綬褒章、1994年には勲四等宝冠章を受章。また、2017年には日本アカデミー賞会長功労賞を受賞した。
 2019年(令和元年)5月12日死去、享年95歳。

京マチ子映画祭
入場料

前売鑑賞券1,000円(税込)➡すべて完売しました!

当日料金:一般1,500円/会員1,200円/大専・シニア1,100円/高校生以下800円

トークイベント

8/24(土)『赤線地帯』上映終了後、「京マチ子のエロティシズムを語り継ぐ」文筆家・五所純子さんのトークショーがございます。聞き手:寺岡裕治さん

上映スケジュール 全15作品

※すべてデジタル上映

※作品により、映像・音声が必ずしも良好ではない場合がございます。予めご了承ください。

8/17(土) 8/18(日) 8/19(月) 8/20(火) 8/21(水) 8/22(木) 8/23(金)
羅生門12:00-13:35
羅生門
雨月物語12:00-13:45
雨月物語
愛染かつら12:00-13:55
愛染かつら
偽れる盛装12:00-13:50
偽れる盛装
地獄門12:00-13:35
地獄門
羅生門12:00-13:35
羅生門
偽れる盛装12:00-13:50
偽れる盛装
偽れる盛装13:45-15:35
偽れる盛装
地獄門14:00-15:35
地獄門
羅生門14:05-15:40
羅生門
雨月物語14:00-15:40
雨月物語
愛染かつら13:45-15:40
愛染かつら
雨月物語13:45-15:30
雨月物語
地獄門14:00-15:35
地獄門

予定表 横にスクロールできます

8/24(土) 8/25(日) 8/26(月) 8/27(火) 8/28(水) 8/29(木) 8/30(金)
赤線地帯10:00-11:30
赤線地帯
トークイベント
いとはん物語10:00-11:25
いとはん物語
踊り子10:00-11:40
踊り子
藤十郎の恋10:00-11:30
藤十郎の恋
夜の素顔10:00-12:05
夜の素顔
赤線地帯10:00-11:30
赤線地帯
いとはん物語10:00-11:30
いとはん物語
藤十郎の恋12:10-13:40
藤十郎の恋
夜の素顔11:35-13:40
夜の素顔
赤線地帯12:00-13:30
赤線地帯
踊り子11:40-13:20
踊り子
いとはん物語12:15-13:40
いとはん物語
夜の素顔11:40-13:41
夜の素顔
踊り子11:40-13:20
踊り子

予定表 横にスクロールできます

8/31(土) 9/1(日) 9/2(月) 9/3(火) 9/4(水) 9/5(木) 9/6(金)
細雪13:50-15:40
細雪
女の勲章13:50-15:45
女の勲章
女系家族13:50-15:45
女系家族
鍵13:50-15:40
黒蜥蜴13:50-15:40
黒蜥蜴
細雪13:50-15:40
細雪
鍵13:50-15:40
鍵15:55-17:45
黒蜥蜴15:55-17:45
黒蜥蜴
細雪15:55-17:45
細雪
女の勲章15:50-17:45
女の勲章
女系家族15:50-17:45
女系家族
女の勲章15:50-17:45
女の勲章
黒蜥蜴15:50-17:40
黒蜥蜴

予定表 横にスクロールできます

京マチ子映画祭 作品紹介


©KADOKAWA1956

赤線地帯4k復元版〔国内初上映〕

売春防止法施行直前、自分を売る女たちを描いた巨匠・溝口の遺作
溝口健二が豪華女優陣を迎えて描いた傑作群像劇。様々な事情を抱え「赤線」と呼ばれる公認の売春地域で身を売る女たちの生き様を、生々しくリアルにテンポよく描いた悲喜劇。独特なテーマ音楽にも注目。陽性の魅力溢れる京の演技も必見。

(1956年/モノクロ/85分/スタンダード)
監督:溝口健二 脚本:成澤昌茂(一部、芝木好子「洲崎の女」より) 撮影:宮川一夫 美術:水谷浩 音楽:黛敏郎
出演:京マチ子、若尾文子、木暮実千代、三益愛子、菅原謙二

©KADOKAWA1957

いとはん物語

不器量でおかめ顔の心優しき女性の運命を描く涙と感動の文芸大作
器量は悪いが心優しい老舗扇屋の長女・お嘉津(京)は番頭の友七(鶴田)に心を寄せていたが、彼には心に定めた小間使い・お八重がいた…。繊細な女心を見事に演じきった京マチ子の醜女メイクにも注目。“いとはん”は大阪の方言で“お嬢さん”の意。

(1957年/カラー/82分/スタンダード)
監督:伊藤大輔 原作:北條秀司(名古屋おどり「いとはん」より) 脚本:成澤昌茂 撮影:高橋通夫 美術:柴田篤二 音楽:伊福部昭
出演:鶴田浩二、京マチ子、小野道子

©KADOKAWA1959

エロティシズム漂うブラック・コメディ&心理サスペンス
谷崎潤一郎の問題作を市川崑が大胆に改変し映画化。夫妻と娘とその婚約者、4人の絡み合う異常な情欲をスタイリッシュに描く。能面のような表情、登場人物しか存在しない街並み…不気味な雰囲気が漂う、宮川一夫のキャメラも冴えわたる傑作。カンヌ審査員特別賞。

(1959年/カラー/107分/スコープ)
監督・脚本:市川崑 原作:谷崎潤一郎 脚本:和田夏十、長谷部慶治 撮影:宮川一夫 美術:下河原友雄 音楽:芥川也寸志
出演:京マチ子、中村鴈治郎、仲代達矢、叶順子、北林谷栄

©KADOKAWA1950

羅生門

巨匠・黒澤明監督が描く、映画史上に燦然と輝く日本映画の至宝
旅法師と柚売りが通りすがりの下人に不思議な話を語り始める―盗賊が森で女を犯し、その夫を殺した。しかし語られる各々の証言は異なっていて…。米アカデミー賞®名誉賞(最優秀外国語映画賞)、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞。京マチ子が圧巻の演技を披露。

(1950年/モノクロ/88分/スタンダード)
監督・脚本:黒澤明 原作:芥川龍之介(「藪の中」より) 脚本:橋本忍 撮影:宮川一夫 美術:松山崇 音楽:早坂文雄
出演:三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之、千秋実、加東大介

©KADOKAWA1951

偽れる盛装

肉体を武器に男を手玉にとる女-対照的な姉妹の生き方を描いた名作
祇園で評判の芸者・君蝶(京)は肉体を武器に男を手玉にとるやり手、一方妹・妙子(藤田)は京都市観光課の事務員という地味な娘。そんな中、君蝶は借金トラブルで男の恨みを買い…。キネマ旬報ベストテン第3位。

(1951年/モノクロ/103分/スタンダード)
監督:吉村公三郎 脚本:新藤兼人 撮影:中井朝一 美術:水谷浩 音楽:伊福部昭
出演:京マチ子、藤田泰子、河津清三郎、小林桂樹

©KADOKAWA1953

雨月物語4k復元版

圧巻の映像美で日本映画史に語り継がれる、巨匠・溝口健二の名作
上田秋成の短篇集をもとに映画化。戦乱時町に出た陶工(森)が姫君(京)の屋敷に招かれるが…。ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞。世界の映像作家に影響を与えた名シーンが続出する日本映画の枠を超えた世界的傑作。

(1953年/モノクロ/97分/スタンダード)
監督:溝口健二 原作:上田秋成 脚本:川口松太郎 依田義賢 撮影:宮川一夫 美術:伊藤熹朔 音楽:早坂文雄
出演:京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小澤榮(小沢栄太郎)

©KADOKAWA1961

女の勲章

華やかなファッション業界の裏側で繰り広げられるドロ沼の女の戦い
山崎豊子の小説を映画化。船場のお嬢様・式子(京)は銀四郎(田宮)と服飾学院を開き事業を発展させていくが、弟子たちも野心を秘めていた…。女優陣の華麗なファッションも注目。女と男の愛欲と野望を描いた傑作。

(1961年/カラー/110分/スコープ)
監督:吉村公三郎 原作:山崎豊子 脚本:新藤兼人 撮影:小原譲治 美術:間野重雄 音楽:池野成
出演:京マチ子、若尾文子、叶順子、中村玉緒、田宮二郎

©KADOKAWA1953

地獄門

大映初カラー作品!カンヌ国際映画祭を制した豪華絢爛な傑作時代劇
平安時代末期、平清盛に仕える武士・盛遠(長谷川)は戦乱の中で美女・袈裟(京)に出会う。袈裟が人妻と知っても諦めきれない盛遠は…。米アカデミー賞・NY批評家協会賞外国語映画賞など海外で絶賛された傑作時代劇。

(1953年/カラー/89分/スタンダード)
監督・脚本:衣笠貞之助 原作:菊池寛 撮影:杉山公平 美術:伊藤熹朔 音楽:芥川也寸志
出演:長谷川一夫、京マチ子、山形勲、黒川弥太郎、坂東好太郎

©KADOKAWA1955

藤十郎の恋

魂もとろける恋の悲しさや恐ろしさを美しく描いた文芸巨編
文豪菊池寛の初期代表作を長谷川、京の二大スター競演で描く文芸作。芸道に命を燃やす名優・坂田藤十郎(長谷川)と彼に思慕の情を抱く人妻・お梶(京)。不入りが続き、渾身の題材に挑む藤十郎は日々焦燥していき…。

(1955年/モノクロ/86分/スタンダード)
監督:森一生 原作:菊池寛 脚本:依田義賢 撮影:杉山公平 美術監督:伊藤熹朔 美術:西岡義信 音楽:斎藤一郎
出演:長谷川一夫、京マチ子、小澤栄、進藤英太郎、加東大介

©KADOKAWA1958

夜の素顔

師匠と弟子-女同士の濃密で緊張感あふれる関係を描く人間ドラマ
美貌と才覚でのし上がり、その地位を確立した日舞の家元・朱美(京)は更に勢力を拡大させようと奔走するが、その座を狙う内弟子・比佐子(若尾)がいた…。京と若尾が色鮮やかな衣装で踊る舞台シーンも見どころ。

(1958年/カラー/121分/スコープ)
監督:吉村公三郎 脚本:新藤兼人 撮影:中川芳久 美術:間野重雄 音楽:池野成
出演:京マチ子、若尾文子、根上淳、船越英二、菅原謙二

©KADOKAWA1954

愛染かつら

鶴田×京スター初共演!一世を風靡した伝説の恋愛小説の映画化
病院の跡取り息子・浩三(鶴田)と子持ちの看護婦・かつ枝(京)が互いに愛し合いながらも、すれ違う姿を描く感動のメロドラマ。川口松太郎原作の本作は、何度も映像化されており、恋愛小説の最高峰とも言われている。

(1954年/モノクロ/113分/スタンダード)
監督・脚本:木村惠吾 原作:川口松太郎 脚本:田辺朝二 撮影:高橋通夫 美術:高橋康一 音楽:万城目正
出演:鶴田浩二、京マチ子、船越英二

©KADOKAWA1957

踊子

性格の異なる二人の踊子姉妹の愛情の悲しさと美しさを描く感動作
永井荷風の原作を名匠・清水宏が映画化。浅草の踊子・花枝(淡島)を頼って妹の千代美(京)が田舎から上京、山野(船越)と花枝が同棲するアパートに3人で同居することになる。やがて奔放な千代美も踊子になり…。

(1957年/モノクロ/96分/スタンダード)
監督:清水宏 原作:永井荷風 脚本:田中澄江 撮影:秋野友宏 美術:柴田篤二 音楽:斎藤一郎
出演:京マチ子、淡島千景、船越英二

©KADOKAWA1962

黒蜥蜴

明智小五郎と女賊の対決を歌と踊りでヒップにモダンに描いた快作
江戸川乱歩の小説を題に三島由紀夫が執筆した戯曲をミュージカル調にアレンジし映画化。宝石に異常な関心を示す女盗賊・黒蜥蜴(京)の前に立ちはだかる名探偵・明智小五郎(大木)…。京マチ子のグラマラスな肢体も必見。

1962年/カラー/102分/スコープ)
監督:井上梅次 原作:江戸川乱歩 劇化:三島由紀夫 脚本:新藤兼人 撮影:中川芳久 美術:間野重雄 音楽:黛敏郎 作詞:三島由紀夫 衣裳デザイン:真木小太郎 出演:京マチ子、大木実、叶順子、川口浩

©KADOKAWA1959

細雪

絢爛豪華な色彩と衣裳で綴られる華麗なる四姉妹の物語
谷崎潤一郎代表作の映画化。大阪の船場で古い暖簾を守る蒔岡家の四姉妹がたどるそれぞれの運命を、大映オールスターの華麗なる競演で描いた文芸大作。本映画化にあたり、時代設定を戦後に置き換えて脚色した。

(1959年/カラー/105分/スコープ)
監督:島耕二 原作:谷崎潤一郎 脚本:八住利雄 撮影:小原譲治 美術:柴田篤二 音楽:大森盛太郎
出演:京マチ子、山本富士子、叶順子、轟夕起子、根上淳、川崎敬三、菅原謙二、北原義郎、船越英二

©KADOKAWA1963

女系家族

男の想像を絶する女心に渦巻く嫉妬と欲望、残酷さを描く文芸大作
山崎豊子の同名作を映画化。遺産相続をめぐり、三人姉妹(京、鳳、高田)と愛人(若尾)が骨肉の争いを繰り広げる。女たちのエゴとエゴのぶつかり合いと騙し合いを、大映屈指のスタッフと豪華出演陣で描く文芸大作。

(1963年/カラー/111分/スコープ)
監督:三隅研次 原作:山崎豊子 脚本:依田義賢 撮影:宮川一夫 美術:内藤昭 音楽:斎藤一郎
出演:京マチ子、若尾文子、田宮二郎、中村鴈治郎、高田美和、鳳八千代