うしろから撮るな 俳優織本順吉の人生
名脇役が最後に演じたのは“自分自身”か
撮る者 vs 撮られる者、それが最期の対話だった──
脇役一筋70年、死の直前まで現役を貫き、92歳で亡くなった俳優・織本順吉。2000本以上ものTVドラマ・映画に出演し、地味だが情感あふれる脇役を演じ続けた織本。だがその裏では、家族と共に生きられない一面があった。その父へ、復讐心からカメラを向けた娘。老いて、体の自由が効かなくなり、セリフ覚えが覚束なくなり、感情を抑えることができず、家族相手に子どものように泣きわめく…。そんな晩年の父を、娘の視点で赤裸々に撮り続けた4年間…。それはカメラを挟んだ格闘であり、カメラを挟むことでようやく向き合えた父と娘の記録でもあった。そして続けるうち、自らの業をさらけ出しているのは、撮られる父か、撮り続ける娘か、わからなくなっていった。「老いるとは何か? 家族とは何か? 生を全うするとは何か?」誰もが抱えるこの命題に、父の死を通して向き合う…これは家族のドキュメンタリーである。
「私は老いを認めない織本にそれを突き付けようと撮影を始めた」
本作は、織本の娘・中村結美が2015年夏からの4年間、織本順吉に公私にわたり密着し、ホームビデオで織本の「素」の姿を明らかにしようとした記録である。カメラが収めるのは、糖尿病を患うも、食後血糖値を測るのを怠ったこと指摘され激高する姿、セリフ間違いにより10回もNGを出す姿、家族に「もう車の運転はやめてほしい」と言われまたしても激高する姿、長い役者人生における初めての降板、そして俳優人生初の「空白」……カメラは容赦なく、公私に渡り織本の“老い”を晒し出す。そしてまた、娘・中村が父に対して果敢に挑む様子がヒリヒリと映し出される。なぜ織本は、みじめな姿をカメラにさらし続けるのか?これも“演じて”いるのだろうか?そしてカメラは、織本の最期の瞬間を映し出す─。
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料金
一般 | 大学・専門・シニア | 高校以下 | |
通常 | ¥1800 | ¥1200 | ¥800 |
会員 | ¥1500 | ¥1200 | ¥800 |