ノベンバー
ⒸHomeless Bob Production,PRPL,Opus Film 2017
2017年/ポーランド・オランダ・エストニア/115分/配給:クレプスキュール フィルム
原題:NOVEMBER
監督・脚本:ライナー・サルネ
原作:アンドルス・キビラーク
撮影:マート・タニエル
出演:レア・レスト、ヨルゲン・リイイク、ジェッテ・ルーナ・ヘルマーニス、アルヴォ・ククマギ、ディーター・ラーザー
悪魔との契約、魂の代償 ──
11月に”死者の日”を迎えるエストニアのある秘められた寒村
そこでは世にも不可思議な「純愛」が契られようとしていた ──
月の雫の霜が降り始める雪待月の11月、「死者の日」を迎えるエストニアの寒村。
戻ってきた死者は家族を訪ね、一緒に食事をしサウナに入る。精霊、人狼、疫病神が徘徊する中、貧しい村人たちは“使い魔クラット”を使役させ隣人から物を盗みながら、極寒の暗い冬をどう乗り切るか思い思いの行動をとる。農夫の娘リーナは村の青年ハンスに想いを寄せているが、ハンスは領主のドイツ人男爵の娘に恋い焦がれる余り、森の中の十字路で悪魔と契約を結んでしまうのだった──。
原作は、エストニアの代表的作家アンドルス・キビラークの「レヘパップ・エフク・ノベンバー(Rehepapp ehk November)」。2000年に発表されるや、エストニア内の全図書館において、過去20年間で最も貸し出された本としてカルト的ベストセラーとなる。現在では、フランス語、ポーランド語、ノルウェー語、ハンガリー語、ラトビア語、ロシア語に翻訳されヨーロッパ各国で愛され読まれている。
目も眩む美しいモノクロームの映像美でその甘美な悪夢を描いた
東欧ダーク・ラブストーリー。
学生の頃から「映画の神童」と呼ばれ、ドイツ映画の旗手ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーを熱烈に支持するライナー・サルネ監督は、“すべてのものには霊が宿る”というアニミズムの思想をもとに、異教の民話とヨーロッパのキリスト教神話を組み合わせて映画化。その独創性に溢れた映像美が高く評価され、2018年アカデミー賞外国語映画賞のエストニア代表に見事選出された。日本では、同年に開催された第10回京都ヒストリカ国際映画祭「ヒストリカワールド」部門で上映され、高い評価を得ている。
儚い恋心に揺れる農家の娘リーナを演じるのはレア・レスト。喜びと、ほろ苦さと、痛みなど、複雑なキャラクターを魅力的に演じ切り、本作を別次元の作品に導いた。男爵の謎めいた娘には、パフォーマンス・アーティストとして活躍するジェット・ルーナ・エルマニスが扮し、そのエキゾチックな容姿で無垢なる役柄を演じ、彼女の記念すべき女優デビュー作となった。この2人の美しいゴシック・ヒロインの気を引こうとする農家の青年ハンスにヨルゲン・リイイク。男爵には『ムカデ人間』(10)のハイター役でカルト的人気を誇るドイツの名優ディーター・ラーザー。スパンコールのジャケットを身につけ、凛とした男爵の力強さと痛々しさを絶妙なバランスで演じる。
夢のようなモノクロームの世界を撮影したのはマート・タニエル。その漆黒の深みと白い雪のような映像美を世界が絶賛。トライベッカ国際映画祭、ミンスク国際映画祭での最優秀撮影監督賞、アメリカ撮影監督協会スポットライト賞を始め、名誉ある賞を次々と受賞した。
パウル・ヴェゲナー監督作『ゴーレム』(1915)、ロベルト・ヴィーネ監督作『カリガリ博士』(20)、フリードリッヒ・W・ムルナウ監督作『吸血鬼』(22)などドイツ表現主義映画への敬意が込められているとともに、ジャン・コクトーの『美女と野獣』(46)のような美しいお伽話からも多大な影響を受けている。さらに、チェコの巨匠フランチシェク・ヴラーチルの『マルケータ・ラザロヴァー』(67)や、アンドレイ・タルコフスキーの『アンドレイ・ルブリョフ』(71)、ヤン・シュヴァンクマイエルの『オテサーネク 妄想の子供』(2000)、テリー・ギリアムのゴシック的描写、ブラザーズ・クエイの機械仕掛けなどの悪夢的世界の要素などに、世界中の神話や古典映画からの引用が、パズルのピースのように幾重にも織り込まれ、摩訶不思議な世界を描き出す。
上映日時
1/14(土) | 1/15(日)~1/20(金) | 1/21(土) | 1/22(日)~1/27(金) |
13:35-15:30 | 13:20-15:20 | 18:25-20:20 | 18:10-20:10 |
料金
一般 | 大学・専門・シニア | 高校生以下 | |
通常 | ¥1800 | ¥1200 | ¥800 |
会員 | ¥1500 | ¥1200 | ¥800 |