ジョージア映画祭2022
ジョージア映画祭2022
ქართული კინოს ფესტივალი 2022
2022年5月7日(土)-5月27日(金)
ジョージア映画祭2022
ქართული კინოს ფესტივალი 2022
2022年5月7日(土)-5月27日(金)
コーカサスからの風――
映画の王国ジョージア(グルジア)、失われていたソヴィエト連邦時代(1921~91)の名作が修復され、あるいはロシアから戻り、今、蘇ろうとしている。政治体制の抑圧にもかかわらず、人間味にあふれ、独創的であり、映画への愛がこめられた黄金期のジョージア映画――その魅惑にみちた歴史的作品の数々を一堂に集めて一挙上映!
ジョージア映画は奇妙な現象だ。特別であり、哲学的に軽妙で、洗練されていて、同時に子供のように純粋で無垢である。ここにはわたしを泣かせるすべてがあり、わたしを泣かせることが容易ではないと言っておきたい。
(フェデリコ・フェリーニ監督)
ジョージア(グルジア)Georgia=Sakartvelo
ジョージアはコーカサス山脈の南に位置し、ロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、トルコと国境を接している。面積は北海道の約80%、人口は約370万人。ジョージア人を中心に多様な民族が暮らし、主な宗教はジョージア正教である。ジョージア語では国名をサカルトヴェロという。3000年の歴史があるといわれ、東西交易の要所であるために周辺の国々から度重なる侵略を受けてきたが、今日まで独自の言語、文化を守り通してきた。ロシア帝国の支配から1918年に独立。1921年から70年間、ソ連邦に組み込まれていたが、1991年に独立を回復する。
しかし内戦に加え、アブハジア、南オセチアにおける分離独立の紛争が激化し国内は混乱した。このために映画も傷つき、1000以上の作品が上映不能になった。現在、状況は改善され、ワイン発祥の地といわれるこの国には世界から多くの観光客が訪れ、映画などの文化芸術も復活を遂げ、世界の人々に新鮮な驚きを与えている。
日本・ジョージア国交樹立30周年記念
[主催] ジョージア映画祭2022実行委員会企画・制作:はらだたけひで/企画協力・日本語字幕:児島康宏/上映素材制作:大谷和之
[共催] 一般社団法人コミュニティシネマセンター
[協力] ジョージア国立フィルムセンター、ジョージア国立アーカイブ、ジョージア・フィルム、ジョージア映画発展基金、ジョージア映画アカデミー
[後援] 在日ジョージア大使館 入場料
一般¥1,500/会員¥1,200/シニア¥1,100/学生応援プライス¥500(横浜シネマリンSNSフォロー&要学生証提示)
トークイベント
5/7(土)15:45 Dプログラム『結婚式/傘/音楽家たち/井戸』上映後
ゲスト:はらだたけひでさん(「ジョージア映画祭2022」主宰/画家)
上映スケジュール
5/7(土) | 5/8(日) | 5/9(月) | 5/10(火) | 5/11(水) | 5/12(木) | 5/13(金) |
12:30ー13:50 A ドキュメンタリー/アラベスク |
12:30ー14:40 Bエリソ/アラヴェルディ |
12:30ー13:40 Cハバルダ |
12:30ー14:45 F喜びの家/「ケトとコテ」を求めて |
12:30ー13:45 G幸福/ブバ |
12:30ー13:48 E祈り |
12:30ー14:05 Aピロスマニ |
14:00-15:35 Aピロスマニ |
14:50-16:30 B白いキャラバン |
13:50-15:20 C失楽園 |
14:55-16:30 Fケトとコテ |
13:55-15:00 Gウジュムリ |
13:55-15:42 E希望の樹 |
14:15-16:30 F喜びの家/「ケトとコテ」を求めて |
15:45-17:05 D結婚式/傘/音楽家たち/井戸 上映後 トークイベント はらだたけひでさん |
16:40-18:20 B青い山 |
15:30-16:45 Cマグダナのロバ |
16:40ー18:15 Aピロスマニ |
15:10-16:50 Gインタビュアー |
15:50-18:23 E懺悔 |
16:40-18:15 Fケトとコテ |
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16:55-18:15 Cナイロンのクリスマスツリー |
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17:00-18:20 Aドキュメンタリー/アラベスク |
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予定表 横にスクロールできます
5/14(土) | 5/15(日) | 5/16(月) | 5/17(火) | 5/18(水) | 5/19(木) | 5/20(金) |
10:00ー11:11 Aアラベスク/ドキュメンタリー |
10:00ー11:25 E祈り |
10:00ー11:15 G幸福/ブバ |
10:00ー11:20 D結婚式/傘/音楽家たち/井戸 |
10:00ー12:10 Bエリソ/アラヴェルディ |
10:00ー11:40 B青い山 |
10:00-11:15 Cマグダナのロバ |
11:20ー12:33 D結婚式/傘/音楽家たち/井戸 |
11:40-14:20 E懺悔 |
11:25-12:30 Gウジュムリ |
11:30-12:45 Aドキュメンタリー/アラベスク |
12:30-14:10 B白いキャラバン |
11:50-13:10 Cナイロンのクリスマスツリー |
11:25-12:55 C失楽園 |
12:40-14:30 E希望の樹 |
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12:40-14:20 Gインタビュアー |
12:55-14:25 Aピロスマニ |
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13:20ー14:30 Cハバルダ |
13:05ー14:25 D結婚式/傘/音楽家たち/井戸 |
予定表 横にスクロールできます
5/21(土) | 5/22(日) | 5/23(月) | 5/24(火) | 5/25(水) | 5/26(木) | 5/27(金) |
16:20ー18:30 Bエリソ/アラヴェルディ |
16:20ー17:55 B白いキャラバン |
16:20ー17:40 Cナイロンのクリスマスツリー |
16:20ー17:31 Aアラベスク/ドキュメンタリー |
16:20ー18:15 E希望の樹 |
16:20ー17:45 E祈り |
16:20ー17:55 Fケトとコテ |
18:40-20:20 B青い山 |
18:05-19:10 Cハバルダ |
17:50-19:15 C失楽園 |
17:40-19:10 Aピロスマニ |
18:30-20:10 Gインタビュアー |
17:55-20:30 E懺悔 |
18:05-20:20 F喜びの家/「ケトとコテ」を求めて |
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19:20-20:31 Cマグダナのロバ |
19:25ー20:30 Gウジュムリ |
19:20-20:30 G幸福/ブバル |
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予定表 横にスクロールできます
上映プログラム
ジョージア語版・日本語字幕。R印のみジョージア語版ではありません。
A プログラム
■放浪の画家ニコ・ピロスマニ特集
国民的画家ピロスマニ(1862?~1918)。彼の生涯と芸術を天賦の才に恵まれた二人の監督が見事に描く。清澄な世界と目眩く映像美。対照的な2作品を最新のデジタルリマスター版で上映する。ギオルギ・シェンゲラヤ監督追悼上映。
ピロスマニ ფიროსმანი
ギオルギ・シェンゲラヤ監督/1969/カラー/スタンダード/+英語字幕付/86分/DCP
ピロスマニは生涯の大半を日々の糧とひきかえに絵を描き続けた。ギオルギ・S監督は、画家の人生と魂を清冽に描き、その姿にジョージアの人と文化、歴史、風土への思いを重ねた。イコンに例えられるピロスマニの絵に映像は倣い、映画は崇高な輝きを帯びる。
ピロスマニのアラベスク არაბესკები ფიროსმანის თემ
セルゲイ・パラジャーノフ監督/1985/カラー/スタンダード/22分/DCP/ R
パラジャーノフ監督はトビリシ生まれのアルメニア人。その傑出した才能のために投獄され、長く沈黙を強いられたが、ジョージアの映画人によって復活を果たす。親友ギオルギ・S監督に応えるように、ピロスマニへの思いを自らの汎コーカサス的ともいえる美学で描く。
ピロスマニ・ドキュメンタリー ფიროსმანი
ギオルギ・シェンゲラヤ監督・ナレーション/1990/カラー/スタンダード/49分/DCP/ R
ピロスマニ(ニコ・ピロスマナシュヴィリ)の人生と作品を、証言と当時の写真を交えて描く。ピロスマニ入門として最適のドキュメンタリー。今回発掘された幻の作。
B プログラム
■シェンゲラヤ家の栄光
「ジョージア映画の父」ニコロズ・シェンゲラヤ監督と大女優ナト・ヴァチナゼとの間に生まれたエルダルとギオルギの兄弟。一家はジョージア映画を草創期から今日まで牽引し、守り発展させてきた。彼らの作品にスポットをあてる。
エリソ ელისო
ニコロズ・シェンゲラヤ監督/1928/白黒/スタンダード/+英語字幕付/80分/DCP/サイレント・サウンド版
ジョージア無声映画の傑作。1864年のロシア帝政下、コーカサスの険しい山々を舞台に、抑圧された民族の心情が劇的に描かれる。リズミカルな展開、緻密なモンタージュなど当時の映画美学の全てが注ぎこまれた。国民的文豪アレクサンドレ・カズベギの原作。
アラヴェルディの祭 ალავერდობა
ギオルギ・シェンゲラヤ監督/1962/白黒/スタンダード/+英語字幕付/42分/DCP
ギオルギ・S監督の第一作。タルコフスキー監督が「この作品によって映画の新しい時代が始まった」と評したという。カヘティ地方の大聖堂で行われる由緒ある祭で一人の男が起こした行動をとおして、民族的伝統の意味を問う鮮烈な映像詩。(原作・未知谷刊)
白いキャラバン თეთრი ქარავანი
エルダル・シェンゲラヤ+タマズ・メリアヴァ共同監督/1963/白黒/スタンダード/+英語字幕付/93分/DCP
エルダル・S監督のジョージア帰郷後の第1作。コーカサスの山岳地帯からカスピ海沿岸へ羊の群れを追う牧夫たちの厳しい生活。孤独、歓び、憧れ、切なさ。人々の気高い魂を、大自然を背景に描く。2019年カンヌ国際映画祭カンヌクラシック部門で上映。
青い山――本当らしくない本当の話 ცისფერი მთები ანუ დაუჯერებელი ამბავი
エルダル・シェンゲラヤ監督/1983/カラー/スタンダード/+英語字幕付き/95分/DCP
カンヌ国際映画祭で歴史的名作ベスト20に選ばれた。若い作家が自作の小説を出版するために出版所を訪れる。そこで見た職員たちの常軌を逸した姿をとおし、役人社会の実態をエルダル得意のユーモアと風刺で描く。後のソヴィエト連邦崩壊を予見した作品。
C プログラム
■よみがえった歴史的名作
1920年代にロシア・アヴァンギャルドの影響を受けた後、社会主義リアリズムが提唱され、スターリン時代の粛清の恐怖、世界大戦を経て雪解けの時代を迎える。そして80年代のペレストロイカ。その時々の知られざる名作を紹介する。
ハバルダ ხაბარდა
ミヘイル・チアウレリ監督/1931/白黒/スタンダード/63分/サイレント/DCP/ R
1930年代に入りスターリン政権によって形式主義批判が行われ、社会主義リアリズムが唱えられるなかでチアウレリ監督は数々の名作を遺した。トビリシで地域を再開発しようとする者と古い教会を守る者、新旧勢力の激しい軋轢、時代の潮目を描いた問題作。
失楽園 დაკარგული სამოთხე
ダヴィト・ロンデリ監督/1937/白黒/スタンダード/82分/DCP
1937年はスターリンによる大粛清で多くの人が処刑、流刑された恐怖の年。しかしこの年に作られた本作は捧腹絶倒のコメディー。西ジョージアの農村を舞台に、没落貴族が一攫千金を夢見て、裕福な農家の花嫁を迎えようと策を練り、村を揺るがす大騒ぎに。
マグダナのロバ მაგდანას ლურჯა
レゾ・チヘイゼ+テンギズ・アブラゼ共同監督/1955/白黒/スタンダード/+英語字幕付/71分/DCP
旧邦題「青い目のロバ」。1956年カンヌ国際映画祭短編グランプリを獲得、ジョージア映画を世界に知らしめた。後の巨匠、アブラゼ監督とチヘイゼ監督の第1作。病気のロバを救った貧しい母子の姿を描き、硬直化した映画界に新風を吹き込んだ社会派作品。
ナイロンのクリスマスツリー ნეილონის ნაძვის ხე
レゾ・エサゼ監督/1985/白黒/スタンダード/75分/DCP
ソ連社会の激動を予見した作品といわれる。ペレストロイカ(建て直し)直前の作品。大晦日、新年を故郷で迎えるためにトビリシからバスで帰省する人々をとらえ、時代を生き彫りにする。様々な立場の老若男女を描いた群像劇の傑作。レゾ・エサゼ監督追悼上映。
D プログラム
■ミヘイル・コバヒゼ監督特集
コバヒゼ監督のユーモアとエスプリ、洒脱した感性は世界的に評価され、作風はJ・タチに例えられる。しかし「音楽家たち」を当局に批判され、抗議をこめて彼は製作現場を離れた。2019年に亡くなり、多くの映画人に惜しまれた。追悼上映。
結婚式 ქორწილი
ミヘイル・コバヒゼ監督/1964/白黒/スタンダード/+英語字幕付/20分/DCP/ R
コバヒゼ監督作品には台詞はない。映像と音楽で表現された「純粋映画」とも評される。しかし難解ではなく、人間の行いをユーモアやペーソスを交えて作るシネポエムのような味わい。本作は青年がバスで出会った娘に一目惚れした後の顛末を軽やかに描く。
傘 ქოლგა
ミヘイル・コバヒゼ監督/1967/白黒/スタンダード/+英語字幕付/19分/DCP/ R
「ジョージアにおける短篇映画のルネサンスの創始者」「世界の映画芸術を代表する監督の一人」と称賛されたコバヒゼ監督。列車の運行を監視する鉄道員の青年と娘の恋に、空を自由に浮かぶ傘が参入して二人との駆け引きが始まる。そこへ新たな男が現れて‥。
音楽家たち მუსიკოსები
ミヘイル・コバヒゼ監督/1969/白黒/スタンダード/+英語字幕付/13分/DCP/ R
白い背景に二人の音楽家の対立や交流がパントマイムで演じられる。音楽に造詣が深いコバヒゼ監督の才能が発揮された作品で、本人も出演。しかし当局から反体制的と批判され上映禁止、さらに映画製作も禁止される。彼は抗議をこめて製作現場から離れてゆく。
井戸 ჭა
エルダル・シェンゲラヤ監督/2020/白黒・パートカラー/ヴィスタ/21分/DCP
巨匠エルダル・シェンゲラヤ監督が盟友コバヒゼ監督の思い出に捧げた作品。トビリシの街角で突然井戸を掘る工事が始まり、周辺住人を巻き込む大騒ぎに発展してゆく。現代ジョージア社会を諷刺しながらもユーモアと温かさにみちた作品。
E プログラム
■テンギズ・アブラゼ監督「祈り 三部作」
巨匠テンギズ・アブラゼ監督が20年の歳月をかけて完成させた金字塔。「人の美しい本性が滅びることはない」という信念のもと、人間の迷妄や欲望がもたらす社会的暴力を、詩的、寓話的に描き、人間性を虐げるものを鋭く告発する。
祈り ვედრება
テンギズ・アブラゼ監督/1967/白黒/シネスコ/78分/DCP/ザジフィルムズ配給
北東部、コーカサスの厳しい山岳地帯で暮らすキリスト教徒とイスラム教徒、村同志の因縁の対立をとおして、人間の愚かさと過ち、それらを超える精神を白黒の荘厳な映像で描く。国民的作家V.プシャヴェラの叙事詩が原作(原作・冨山房インターナショナル刊)。
希望の樹 ნატვრის ხე
テンギズ・アブラゼ監督/1976/カラー/スタンダード/107分/DCP/ザジフィルムズ配給
20世紀初頭の東ジョージア、カヘティ地方の農村が舞台。時代の大きな変化を予感して村人たちは動揺を隠せないでいる。そのなかで美しい娘と青年の純愛が古くからの因習のために打ち砕かれてゆく‥。ギオルギ・レオニゼの短編集が原作(未知谷刊)。
懺悔 მონანიება
テンギズ・アブラゼ監督/1984/カラー/スタンダード/153分/DCP/ザジフィルムズ配給
架空の地方都市で元市長の墓が何者かに暴かれ、犯人の女性が捕らえられる。彼女の証言で元市長の独裁によって多くの市民が粛清されたことが明らかにされる。タブーとされていたスターリンによる暗黒の時代を初めて描き、ソ連邦のペレストロイカの象徴となる。
F プログラム
■国民的映画「ケトとコテ」を究める
スターリンの指示で作られた娯楽大作「ケトとコテ」。完成後、上映禁止となるが、後にジョージアを代表する映画となる。そして現代の同作をめぐる2本のドキュメンタリーをとおして映画の歓びを語り、歴史の闇に光を当てる。
ケトとコテ ქეთო და კოტე
ヴァフタング・タブリアシュヴィリ+シャルヴァ・ゲデヴァニシュヴィリ共同監督/1948/白黒/スタンダード/+英語字幕付/90分/DCP
戦後の沈滞した社会に活気を生むために製作された絢爛豪華なミュージカル映画。19世紀半ばのトビリシを再現し、商人の娘ケトと公爵の甥コテが、仲人ハヌマの助けを得て困難を乗り越え、無事結ばれるまでを描く。今も人々に愛される国民的映画の名作。
喜びの家 სახლი სიხარულისა
メラブ・ココチャシュヴィリ監督/2008/カラー/ヴィスタ/+英語字幕付/61分/DCP
「喜びの家」とは首都トビリシを指す。本作は「ケトとコテ」の祝祭的世界を舞台化する様子を描きながら、知られざる歴史の真実に光を当てる。また古き良きトビリシへの讃歌でもある。名優チヒクヴァゼが映画と街の魅力を、資料映像等を交えて語る。
「ケトとコテ」を求めて „ქეთო და კოტეს“ ძიებაში
ダヴィト・グジャビゼ監督/2009/カラー/ヴィスタ/66分/DCP
「喜びの島」の製作過程を追ったドキュメンタリー。映画「ケトとコテ」のオリジナルは19世紀の戯曲「ハヌマ」まで遡る。国民的ミュージカルの歴史を辿りながら、スターリン時代の歴史的真実を、製作関係者の貴重な証言によって明らかにする。
G プログラム
■ゴゴベリゼ家・女性監督の系譜 ◎ラナ・ゴゴベリゼ監督最新作「金の糸」公開記念
ヌツァ・ゴゴベリゼはジョージア最初の女性監督。1937年の大粛清で夫は処刑され、彼女は長く流刑された。その娘ラナは戦後ジョージア映画を代表する監督。ラナの娘サロメを加え、一家は三世代にわたり女性と社会を捉え続ける。
ブバ ბუბა
ヌツァ・ゴゴベリゼ監督/1930/白黒/スタンダード/+英語字幕付/37分/DCP/サイレント・サウンド版/ R
国家建設という名目はあるが、コーカサスのラチャ地方の大自然のなかで、ジョージアの人々の厳しい労働と四季折々の暮らしが描かれる。村人たちのドラマティックなダンスや幼子の描写に斬新なモンタージュを用いるなど、彼女の傑出した才能を感じさせる。
ウジュムリ უჟმური
ヌツァ・ゴゴベリゼ監督/1934/白黒/スタンダード/58分/DCP/サイレント・サウンド版
ソ連邦初の女性監督による長編劇映画。西ジョージアの湿地帯で政府の啓蒙政策、水路建設の人々と土着の住民の軋轢を描く。完成後にヌツァは粛清され、作品もすべて押収されて2018年まで存在すら確認できなかった。ギヤ・カンチェリの音楽がついた新版。
インタビュアー რამდენიმე ინტერვიუ პირად საკითხებზე
ラナ・ゴゴベリゼ監督/1978/カラー/スタンダード/95分/DCP
ラナの作品はいずれも高い知性と繊細な感性を感じさせ、テーマは多様だが時代と社会を鋭くとらえる。本作はジョージア初のフェミニズム映画といわれ、女性新聞記者の家庭における葛藤、そして彼女の女性たちへの取材の日々をとおして現代を浮き彫りにする。
幸福 ბედნიერება
サロメ・アレクシ監督/2009/カラー/ヴィスタ/32分/DCP
ラナの娘も現代ジョージア人が抱える問題を女性の立場で描く。独立後の厳しい社会状況下、イタリアへ不法入国で渡って出稼ぎする妻が、突然亡くなった夫の葬儀に帰れず、参列者が訪れるなかで携帯電話を使って遺体に思いを語る‥。悲しくも可笑しい傑作。