サタジット・レイ レトロスペクティブ 2025
サタジット・レイ レトロスペクティブ 2025
1/17(土)―
サタジット・レイ レトロスペクティブ 2025
1/17(土)―
黒澤明、マーティン・スコセッシ、
フランシス・フォード・コッポラ、ウェス・アンダーソン……
世界の巨匠たちが愛してやまない映画界の巨人
Photo by Tamaki MATSUOKA
サタジット・レイ(1921-1992)
1921年5月2日、インドのコルカタ生まれの映画監督、脚本家、作曲家、小説家、カリグラファー、イラストレーター。ベンガル地方屈指の名家・レイ家の出身で、詩人で画家の祖母と、文学者であり画家でもあった父シュクマル・レイの影響を強く受けて育つ。コルカタ大学では経済学を専攻し、その後、ノーベル文学賞にも輝く詩人ラビンドラナート・タゴールが創設したサンティニケタン大学に進学し、タゴールから深い芸術的・思想的影響を受ける。1942年からはイギリス系の広告会社にて広告デザイナーとして活動する傍ら、映画への情熱を育む。1949年には「カルカッタ(コルカタ)・フィルム・ソサエティ」の創設に参加。同年、ジャン・ルノワールが『河』の撮影のためインドを訪れた際に彼のアシスタントを務め、またヴィットリオ・デ・シーカやルキノ・ヴィスコンティらのネオレアリズモ映画に触発され、自らの映画制作を決意する。
1951年に初監督作『大地のうた』の制作に着手。1955年に完成させ、翌年カンヌ国際映画祭でベストヒューマンドキュメント賞を受賞。その後も、オプー三部作として知られる『大河のうた』、『大樹のうた』を完成させ、名声を不動のものとする。その生涯で30本を超える映画を制作し、インド映画界のみならず、世界中の映画人に計り知れない影響を与えた。彼の作品は人間の本質に迫る深い洞察と、詩的な映像、音楽のセンスによって、今なお色褪せることがない。
公式サイト https://satyajit-ray2025.com/
提供 JAIHO
配給 グッチーズ・フリースクール
入場料一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
作品紹介
音楽サロン デジタルリマスター日本劇場初公開
COPYRIGHT 1956/ALL RIGHT RESERVED ANJAN BOSE
1958年/100分/原題:Jalsaghar/英語題:The Music Room
製作・監督・脚本:サタジット・レイ
原作:タラションコル・ボンドバッダエ
撮影:シュブロト・ミットロ
編集:ドゥラル・ドット
美術:ボンシ・チョンドログプト
音楽:ヴィラーヤト・カーン
出演:チョビ・ビッシャシュ、ゴンガポド・ボシュ、カリ・ショルカル
20世紀初頭のベンガル地方。地主ビッションボル・ラエは、経済的に困窮しながらも、かつての栄光と誇りにしがみつくように、音楽と舞踊に耽る日々を送っている。隣人である新興の実業家ガングリに対して対抗心を燃やしたロイは、最後の誇りをかけて、自らの音楽サロンで盛大な演奏会を開く。
世界中の映画製作者に影響を与えた、レイ監督の芸術性と映像美が際立つ傑作。音楽監督はシタール奏者の巨匠ヴィラーヤト・カーンが務め、演奏会以外の場面でも有名演奏家が多数出演している。
ビッグ・シティ デジタルリマスター
COPYRIGHT 1963/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
1963年/136分/原題:Mahanagar/英語題:The Big City
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ
原作:ノレンドロナト・ミットロ
撮影:シュブロト・ミットロ
編集:ドゥラル・ドット
美術:ボンシ・チョンドログプト
出演:マドビ・ムカルジ、オニル・チャタルジ、ヘレン・チャタルジ
平凡な銀行員シュブロトは家族で唯一の働き手。ある時シュブロトの妻アロティは、(主婦は家にいるべきという)慣習と義父の反対を振り切って訪問販売員としての職を得る。アロティは仕事で順調に評価され自信と経済的自立を手にするが、その状況を受け入れることができない夫は妻に離職を迫る。
レイ監督が初めてネオリアリズモへの挑戦を試みた作品であり、物語は1955年当時のコルコタの日常を描く。貧しい下層・中流階級を襲う社会経済的な苦悩に焦点を当て、それを主人公女性の自立を通じて表現している。
*ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)受賞
チャルラータ デジタルリマスター
COPYRIGHT 1964/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
1964年/119分/原題:Charulata/英語題:Charulata
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ
原作:ラビンドラナート・タゴール
撮影:シュブロト・ミットロ
編集:ドゥラル・ドット
美術:ボンシ・チョンドログプト
出演:マドビ・ムカルジ、ショウミットロ・チャタルジ、ショイレン・ムカルジ
1880年頃のカルカッタ(現コルカタ)。美しいチャルラータは、外界から隔絶されたヴィクトリア朝時代の華美な邸宅で当てもなく毎日を過ごしている。理想主義的な知識人の夫ブポティはそんな妻を愛し支えているものの、新しい政治新聞の発行に追われ妻との時間が思うようにとれない。そんな折、ブポティのいとこのアマルが訪ねて来ると、ブポティはチャルラータに眠る文才を開花させてほしいとアマルに頼む。
愛、理想主義、失望、そして悲哀への賛歌である本作は、レイ監督が手掛けた中で最も優美な作品であり、監督の創造期と言われる1960年代に撮られた最高傑作。
*ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)受賞
臆病者 デジタルリマスター日本劇場初公開
COPYRIGHT 1965/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
1965年/70分/原題:Kapurush/英語題:The Coward
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ
原作:プレメンドロ・ミットロ
撮影:ショウメンドゥ・ラエ
編集:ドゥラル・ドット
美術:ボンシ・チョンドログプト
出演:ショウミットロ・チャタルジ、マドビ・ムカルジ、ハラドン・バナルジ
監督作品の常連であるショウミットロ・チャタルジが、コルコタの脚本家で主人公のアミを演じている。アミは不運にも乗車したタクシーの故障に見舞われるが、茶園を経営する裕福なビマールの親切で彼の家に泊まることになる。驚いたことに、ビマールの家にいた彼の妻コルナは、何年も前、アミが自身の優柔不断ゆえに失った元恋人であった。
家族、結婚、男尊女卑、階層といった旧来の価値観と、個人の自由や愛、自己決定といった新しい価値観のぶつかり合いが描かれる。
聖者 デジタルリマスター日本劇場初公開
COPYRIGHT 1965/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
1965年/67分/原題:Mahapurush/英語題:The Holy Man
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ
原作:ラジシェコル・ボシュ(ポロシュラム)
撮影:ショウメンドゥ・ラエ
編集:ドゥラル・ドット
美術:ボンシ・チョンドログプト
出演:チャルプロカシュ・ゴーシュ、ロビ・ゴーシュ
弁護士であるグルパダ・ミトラは、妻の死以来、深刻な精神不安に陥っている。娘のブチキとバラナシからの帰路、グルパダは不老を自称するビリンチ・ババと出会う。グルパダは彼に感銘を受け、彼を支援し入信することを決意する。
コメディ映画の体裁を取りつつ、宗教的偽善や盲目的な信仰を鋭く風刺し、狂信的信仰を戒めている。伝統と近代化が交錯するインド社会に対するレイ監督の鋭い観察が投影された作品。
主人公 デジタルリマスター日本劇場初公開
COPYRIGHT 1966/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
1966年/117分/原題:Nayak/英語題:The Hero
監督・脚本・音楽:サタジット・レイ
撮影:シュブロト・ミットロ
編集:ドゥラル・ドット
美術:ボンシ・チョンドログプト
出演:ウットム・クマル、ショルミラ・タクル(ヒンディー語読み:シャルミラー・タゴール)、ニルモル・ゴーシュ
有名なベンガル映画俳優であるアリンダムは、デリーで行われる授賞式へ列車で向かうことになる。列車内では乗客全員が彼のことを知っている。その中で彼の関心を引いたのは、お堅い女性誌の記者アディティだった。スターの役割に明快で批判的な視点を持つ彼女がアリンダムにインタビューを行うことで、彼は自身の半生を見つめ直すことになる。
アリンダムの危機や内省を通して、映画業界の問題(軽薄な娯楽作品の量産、商業主義、そして腐敗したビジネス慣行)を巧みに批判している。
*ベルリン国際映画祭 審査員特別表彰
エレファント・ゴッド デジタルリマスター日本劇場初公開
COPYRIGHT 1979/ ALL RIGHTS RESERVED RDB ENTERTAINMENTS
1979年/122分/原題:Joi Baba Felunath/英語題:The Elephant God
監督・原作・脚本・音楽:サタジット・レイ
撮影:ショウメンドゥ・ラエ
編集:ドゥラル・ドット
美術:オショク・ボシュ
出演:ショウミットロ・チャタルジ、ショントシュ・ドット、シッダルト・チャタルジ
私立探偵のフェルーとそのいとこが休暇のためバラナシの街に到着すると、ある男に事件の解決を依頼される。ネパールの王子から譲り受けた家宝だという貴重なガネーシャの金像が盗難に遭ったらしい。フェルーは、事件解決のための重要な手がかりを知る少年ルクと親しくなる。
レイ監督自身による小説「探偵フェルダーシリーズ」を元に映画化された第2作目。ショウミットロ・チャタルジ演じる探偵がその高い分析力と洞察力で事件を解決に導く、エンターテイメント性に富んだテンポのよい冒険コメディ。