小田香特集2020

最新作『セノーテ』公開記念 小田香特集2020画像

光が溢れ出す―

第1回大島渚賞を受賞した小田香。最新作『セノーテ』公開を記念して、タル・ベーラが激賞した幻の作品『ノイズが言うには』から日本初公開の『あの優しさへ』まで、小田香の10年にわたるフィルムグラフィーを振り返る。

新作『セノーテ』の公開に伴い、2010年から2019年の間に制作した作品の特集をしていただけることになりました。これまでつくってきた個性の違う作品らを特集していただくことで、ひとつの作品からのみでは提示できない、いち作り手の世界館に触れていただけれる機会になることを願っています。様々な映画を撮ってきましたが、そのうちひとつだけここで言及したいと思います。映画を志してから、初めて撮った『ノイズが言うには』(2010)のことです。いくつかの映画祭以外では、これまで積極的に上映をしてきませんでした。制作中、カメラの暴力性に傷つき、人を傷つけたことに意識的になってから、上映によりまた己が傷つくこと、そして人を傷つけることになるのではという懸念がありました。今回、公開を決めたのは、いまこの作品は人に観てもらう時期になったのではないかという想いと感があるからです。撮影から10年が経ちました。ノイズがずっと抱いてきた「胸のつかえ」に、『あの優しさへ』(2017)で向き合い、その後『セノーテ』が完成し今日へと至ります。映画の地平は見通せず、反省と発見、探求と修練の日々ですが、10年でひとりの人間がたどった軌跡になにかしら面白みを感じていただければ幸甚です。
 ――小田香

入場料

当日券:一般1,500円/会員1,200円/大専・シニア1,100円/高校生以下800円

*『セノーテ』の前売券提示で、特集作品一般料金のみ200円引

特集上映作品・プログラム

A プログラム B プログラム C プログラム 短編集

上映スケジュール

10/17(土) 10/18(日) 10/19(月) 10/20(火) 10/21(水) 10/22(木) 10/23(金)
セノーテ14:40-16:00
セノーテ
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セノーテ
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セノーテ
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セノーテ
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セノーテ
休映 16:10-17:25
小田香特集2020
B プログラム
16:10-17:55
小田香特集2020
A プログラム
16:10-17:40
小田香特集2020
C プログラム
16:10-17:25
小田香特集2020
B プログラム
16:10-17:55
小田香特集2020
A プログラム
16:10-17:40
小田香特集2020
C プログラム

予定表 横にスクロールできます

10/24(土) 10/25(日) 10/26(月) 10/27(火) 10/28(水) 10/29(木) 10/30(金)
セノーテ19:20-20:40
セノーテ
セノーテ19:00-20:20
セノーテ
セノーテ19:00-20:20
セノーテ
セノーテ19:00-20:20
セノーテ
セノーテ19:00-20:20
セノーテ
セノーテ19:00-20:20
セノーテ
セノーテ19:00-20:20
セノーテ
20:50-22:35
小田香特集2020
A プログラム
20:30-22:00
小田香特集2020
C プログラム
20:30-21:45
小田香特集2020
B プログラム
20:30-22:15
小田香特集2020
A プログラム
20:30-22:00
小田香特集2020
C プログラム
20:30-21:45
小田香特集2020
B プログラム
20:30-22:15
小田香特集2020
A プログラム

予定表 横にスクロールできます

『セノーテ』は、10/31(土)以降も上映あり、時間未定。

上映作品紹介

Aノイズが言うには

38分/ 2010年

夏休みに一時帰国した主人公は、23歳の誕生日に自身が性的少数者であると家族に告白する。突然の告白を受けとめられず拒絶の母、沈黙の父。その反応に主人公は失望するが、家族の協力のもと己の告白についての映画をつくりはじめる。映画制作を通し、各々が自己を演じ、その言動を追体験するなかで、無きものになりつつあった告白が再び家族の前に提示される。『サタンタンゴ』のタル・ベーラ監督が激賞し、映画学校film.factory入学のきっかけとなった。劇場初公開

*なら国際映画祭2011 NARA-wave部門観客賞

Aあの優しさへ

63分/2017年

小田の生まれ故郷である日本で撮影した私的な映像とサラエボのフィルムスクールで学んだ3年間の授業の中で撮影した未使用のフッテージを使用し、性の問題を抱える人々、国境を越えての対話、貧しさや労働についてなど、力強いカメラワークとともにドキュメンタリー映画の本質を問うパーソナルな作品。日本初公開

*ライプティヒ国際ドキュメンタリー&アニメーション映画祭2017正式出品

B鉱 ARAGANE

68分/2015年/監修:タル・ベーラ

ボスニア・ヘルツェゴビナ、首都サラエボ近郊、100年の歴史あるブレザ炭鉱。地下300メートルには、一筋のヘッドランプの光と闇に蠢く男たち、爆音で鳴り続ける採掘重機と歯車、そしてツルハシの響き。死と隣り合わせのこの場所で、人は何を想い、肉体を酷使するのか。小田は単身カメラを手に地下世界をひたすら見つめる。世界中の映画祭で衝撃を持って迎えられた小田監督の代表作。

*山形国際ドキュメンタリー映画祭2015 アジア千波万波部門特別賞
*リスボン国際ドキュメンタリー映画祭2015正式出品
*マル・デル・プラタ国際映画祭2015正式出品
*台湾国際ドキュメンタリー映画祭2015正式出品

Cひらいてつぼんで

少女があやとりをしながらバスを待っている。バスは停車する度にひとり、またひとりと乗客を迎え、松明の灯る終着点に辿り着く。京都花背で行われるお盆の火祭り「松上げ」を背景に、彼岸と此岸を少女たちの手が結ぶ。デビュー作『ノイズが言うには』のあと、小田監督が唯一脚本を書き制作した作品。

C呼応

19分/2014年/監修:タル・ベーラ

牛飼い、羊、風、あらゆる生きものが等しく在るように感じられる村。死と生はわけられない。メリーゴーランドに乗って、隣人の手をとり踊ろう。film.factoryに参加するために日本からボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボに移った小田はカメラと小さなボスニア語辞典だけもってウモリャニというボスニアの村を記録する。

CFLASH

25分/2015年

サラエボからザグレブまで行く長距離列車の車窓から見える異国の景色を見ながら、なぜか懐かしい気持ちになり、ふと、じぶんの思い出せる限り一番はじめの記憶はなんだろうという疑問が湧いた。思い出せるようで思い出すことのできない始まりの記憶を巡る列車の旅。

C色彩論 序章

6分/2017年

ゲーテは自然を愛し、環境の整った実験室で分析された光(学)からは距離をとった。「色彩というのは眼という感覚に対する自然の規則的な現象」だと彼は言う。彼が眼というとき、それは網膜の情報処理のことではない。眼で感じるというのは、光が我々の持つ記憶を通過し、情景を生み出すことではないだろうか。光と闇が我々の個人史を通り抜け、幾千の淡いとなり、色彩として現れるのではないだろうか。16mm白黒フィルムで撮影。

C風の教会

12分/2018年

神戸・六甲にある安藤忠雄建築『風の教会』リニューアルオープンに向けて行われた修復工事を記録。コンクリートを侵食した黴や苔が廃教会となっていた時間の長さを告げる。閉じられていた扉が開かれるとき、止まっていた時間が再び動き出す。

CNight Cruise

7分/2019年

大阪の水路を巡る「梅田哲也/hyslom 船・2017」に研究員として参加した際に撮影した素材と、翌年のクルーズ船ツアーで撮影した素材を合わせひとつの作品にした。魅惑的な夜の河に、揺らめく水と光。

※すべてデジタル上映 ※日本語または日本語字幕付き 配給:スリーピン

小田香 Oda Kaori


最新作『セノーテ』公開記念 小田香特集2020画像1987年大阪府生まれ。2011年、アメリカ、ホリンズ大学教養学部映画コースを修了。卒業制作の中編作品『ノイズが言うには』が、なら国際映画祭2011 NARA-wave部門で観客賞を受賞。東京LGBT映画祭など国内外の映画祭で上映される。2013年、映画監督タル・ベーラ(『サタンタンゴ』)が陣頭指揮するfilm.factoryに第1期生として招聘され、2016年に同プログラムを修了。2015年に完成したボスニアの炭鉱を主題とした第1回長編作品『鉱 ARAGANE』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2015・アジア千波万波部門で特別賞を受賞。世界に羽ばたく新しい才能を育てるために2020年に設立された大島渚賞では、第1回の受賞者となった。