映画監督チャン・ゴンジェ 時の記憶と物語の狭間で
孤高のインディペンデント作家が描く
“自分の物語”と“越境していく時間”
十八才/眠れぬ夜/ひと夏のファンタジア/5時から7時までのジュヒ
4/19(土)―4/25(金)
公式サイト https://www.apeople.world/jang-kun-jae/
配給A PEOPLE CINEMA/chocolat studio
入場料 当日一般1,800円/会員1,500円/大専・シニア1,200円/高校生以下800円
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最新作「ケナは韓国が嫌いで」が公開となるチャン・ゴンジェ監督。2009年に発表した「十八才」はロッテルダム、香港など12を超える国際映画祭に招待された。それまでにない感覚を持つ新世代の監督の誕生は、韓国のインディペンデント映画界におけるひとつの“事件”となった。第3作「ひと夏のファンタジア」(2014)は、韓国でインディペンデント映画としては異例の3万人以上の観客を集め、チャン・ゴンジェ監督への注目度もアップ。「十八才」、第2作「眠れぬ夜」(2012)で撮られたのは“自分自身”ということ。「十八才」では自分自身をモデルとし、「眠れぬ夜」では30代だった自分と妻の関係に目を向けた。「ひと夏のファンタジア」では、モノクロとカラー、ノンフィクションとフィクションの融合という新たな形式を生み出し、映画は幻想性を纏った。その手法は2時間の間に演劇を入れ込むことで主人公の現在と夫婦の過去を並行して描いた「5時から7時までのジュヒ」(2022)にも表れている。
俳優、撮影、監督、プロデューサーと、様々な立場で映画にかかわってきたチャン・ゴンジェ。現在の彼は「プロフェッショナルとしていい作品を作りたいという気持ちが強い」と語る。もちろん、彼はすでにデビュー作「十八才」から、独自の美学とリズムを持った映画作家であり、恋愛と結婚という普遍的なテーマを、リアルでありながらも幻想的な手法で見せてきた。最新作の「ケナは韓国が嫌いで」は2023年の釜山国際映画祭のオープニングを飾るなど、インディペンデント作家のトップランナーとして、キャリアの可能性を開拓し続けている。今回、その軌跡が日本ではじめて辿られる。
作品紹介
十八才劇場初公開
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2009年/95分
原題:회오리 바람/Eighteen
監督・脚本:チャン・ゴンジェ
出演:ソ・ジュニョン/イ・ミンジ
高校2年生の冬休みを迎えたテフンとミジョン。付き合って100日目を記念して家族にも黙って海辺の街へ旅行に出かけた2人は楽しい時を過ごすが、帰宅直後、テフンはミジョンの家へと呼び出される……。チャン・ゴンジェ監督待望の長編デビュー作。自身をモデルとした“自分の物語”を普遍的なものへと開いていく。
眠れぬ夜劇場初公開
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2012年/65分
原題:잠 못 드는 밤/Sleepless Night
監督・脚本:チャン・ゴンジェ
出演:キム・スヒョン/キム・ジュリョン
結婚から2年が過ぎたものの、いまだに恋人同士のように親密に毎日を過ごしているヒョンスとジュヒ。日常にひび割れが生まれていく。そんな夜でもふたりは堅く抱き合い、キスを交わしながら眠りにつくのだったが……。個人的でミニマルな物語であると同時に、誰でもが“わたしの物語”だと共感できる作品。
ひと夏のファンタジア
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©Nara International Film Festival+MOCUSHURA
2014年/96分
原題:한여름의 판타지아/A Midsummer’s Fantasia
監督・脚本:チャン・ゴンジェ
出演:キム・セビョク/岩瀬亮
奈良県・五條市を舞台に展開する、2人の俳優と2つの時間が交差する物語。ドキュメンタリー(ノンフィクション)のような第1部と、恋愛映画(フィクション)のような第2部。そのあわい。「同じ俳優、同じ場所でどうすれば違うものを作ることができるのか」を追求した韓国インディペンデント映画史に残る一作。
5時から7時までのジュヒ劇場初公開
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2022年/75分
原題:5시부터 7시까지의 주희/Juhee from 5 to 7
監督・脚本:チャン・ゴンジェ
出演:キム・ジュリョン/ムン・ホジン
検査を終えた医師から乳がんの可能性が高いと告げられた大学教授ジュヒ。小さな劇場で芝居の稽古が行われている。演出家のホジンはジュヒの元夫だ。現在のジュヒと演劇を並行して描くことで生まれる“時間”と“物語”。ジュヒの周りに散りばめられた数々の言葉が、彼女という人物を徐々に浮かび上がらせていく。