アラン・ロブ=グリエ レトロスペクティブ

作品紹介

不滅の女

1963 IMEC

不滅の女●劇場初公開

1963年/フランス=イタリア=トルコ/モノクロ/ヴィスタ/101分/DCP/日本語字幕:三笠真木
原題:L’IMMORTELLE
監督・脚本:アラン・ロブ=グリエ
編集:ボブ・ウェイド
出演:フランソワーズ・ブリオン(『唇によだれ』)、ジャック・ドニオル=ヴァルクローズ(『王手飛車取り』)、カトリーヌ・ロブ=グリエ

*1962年ルイ・デリュック賞 受賞

イスタンブールで休暇を過ごし始めた教師の男は、陽気だがどこか謎めいた若い女と出会う。女との邂逅を重ねるうち、男は彼女の不可解さにみずからの妄執をかき立てられ…従来の「劇映画」の概念を大きく逸脱した過激な語り口が世の驚愕と憤怒を同時に招来した、いまだ「新しさ」に満ちたロブ=グリエの記念すべき監督デビュー作。

ヨーロッパ横断特急

©1966 IMEC

ヨーロッパ横断特急●劇場初公開

1966年/フランス=ベルギー/モノクロ/ヴィスタ/95分/DCP/日本語字幕:金澤壮子
原題:TRANS-EUROP-EXPRESS
監督・脚本:アラン・ロブ=グリエ
編集:ボブ・ウェイド
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン(『男と女』『狼は天使の匂い』)、マリー=フランス・ピジェ(『アントワーヌとコレット/二十歳の恋』『さよならの微笑』)、クリスチャン・バルビエール(『影の軍隊』)

パリからアントワープへと麻薬を運ぶ男の波乱万丈な道中を、幾重にも織重なったメタフィクションで構築し“ヨーロピアン・アバンギャルドの最重要作品”、“最も成功した、理解しやすい実験映画”と絶賛された2作目。ロブ=グリエ自身は“ポルノ映画”とうそぶく、スリラー映画の枠組みを借りてシリアスとコミカル、嘘と真実、合理と非合理の境界を軽やかに行き来する快作。

嘘をつく男

©1968 IMEC

嘘をつく男●劇場初公開

968年/フランス=イタリア=チェコスロヴァキア/モノクロ/スタンダード/95分/DCP/日本語字幕:金澤壮子
原題:L’HOMME QUI MENT
監督・脚本:アラン・ロブ=グリエ
編集:ボブ・ウェイド
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン

*第18回ベルリン国際映画祭 銀熊賞(男優賞)

舞台は、第二次大戦末期のスロバキア共和国。小さな村に、突如現れた異邦人。レジスタンスの英雄ジャンの同志だと名乗る男は、彼の妻や妹を誘惑し始める…。ボルヘスの短編「裏切り者と英雄のテーマ」(『伝奇集』)を下敷きに、ロブ=グリエが敬愛するルイジ・ピランデッロへのオマージュも込めつつ、現実と虚構のデッドゾーンへと観るものすべてを誘う。

エデン、その後

©1970 IMEC

エデン、その後●劇場初公開

1970年/フランス=チェコスロヴァキア=チュニジア/カラー/ヴィスタ/98分/DCP/日本語字幕:齋藤敦子
原題:L’EDEN ET APRES
監督:脚本:アラン・ロブ=グリエ
編集:ボブ・ウェイド
出演:カトリーヌ・ジュールダン(『あの胸にもう一度』)、ピエール・ジメール、リシャール・ルドウィック

「カフェ・エデン」にたむろして退廃的な遊戯や儀式に興ずるパリの大学生の一団。彼らの前に突如姿をあらわした謎の男が差し出す麻薬らしき粉末を摂取した若い娘ヴィオレットは、死や性愛をめぐるさまざまな幻覚に襲われる…。”『不思議の国のアリス』と『O嬢の物語』の恐るべき邂逅”とも評された、蠱惑的な色彩設計やSM行為、チュニジア・ロケ等鮮やかな画面に目を奪われるロブ=グリエ初のカラー作品。

快楽の漸進的横滑り

©1974 IMEC

快楽の漸進的横滑り●劇場初公開

原題:GLISSEMENTS PROGRESSIFS DU PLAISIR
監督・脚本:アラン・ロブ=グリエ
編集:ボブ・ウェイド
出演:アニセ―・アルヴィナ(『フレンズ〜ポールとミシェル』)、ジャン=ルイ・トランティニヤン、マイケル・ロンズデール(『007 ムーンレイカー)、イザベル・ユペール

ルームメイト殺しの容疑で逮捕された若く美しい女・アリス。被害者は、ベッドに拘束され心臓はハサミで突き刺されている。体には書きかけの聖女の殉教の絵…。本作について、「この女性は来るべき革命の希望を体現しているのだ」とロブ=グリエ自身は語る。しかし公衆道徳に反するともみなしうる先進的表現が物議をかもし、各国で上映禁止、フィルムが焼かれる事件まで発生した。

囚われの美女

©1983 ARGOS FILMS

囚われの美女

1983年/フランス/カラー/ヴィスタ/85分/DCP/日本語字幕:橋本克己
原題:LA BELLE CAPTIVE
監督・脚本:アラン・ロブ=グリエ
編集:ボブ・ウェイド
出演:ダニエル・メグイシュ、ガブリエル・ラズール、シリエル・クレール(『婚約者の友人』)、ダニエル・エミリフォーク

デューク・エリントンのジャズ・ナンバーが流れるナイト・クラブ。なまめかしく踊るブロンドの美女を、黒いス―ツを身にまとった男が見つめている。男の名は、ヴァルテル。謎の地下組織で情報の運び屋をしている。シュルレアリスム画家ルネ・マグリットの同名作品を含む多数の絵画をモチーフに、幻想とめくるめく官能が交錯するロブ=グリエ日本で唯一の劇場公開作。