柳下美恵のピアノdeフィルムvol.8『結婚適令記』
柳下美恵のピアノdeフィルムvol.8『結婚適令記』
サイレント映画の35ミリフィルム上映 × ピアノの即興生伴奏
2023.2.11[土]& 2.12[日] 各日13:30
映画が誕生してまもなく130年。最初の約40年間の作品は今ではサイレント映画と呼ばれています。映写機のフィルムがスクリーンに映し出され、語りや音楽伴奏と共に上映していました。トーキーは映写速度が24コマ/秒ですが、サイレントは作品によって違っています。トーキーのスクリーンサイズは作品によって違っていますが、サイレントは1.33×1でした。デジタル上映が主流になる今、映画が誕生した頃の形にこだわった上映を試みます。
フィルム提供:国立映画アーカイブ
1933年/日本/79分/18fps/35 mm/モノクロ/サイレント/日活太秦
監督:青山三郎/撮影:永塚一榮/フィルム提供:国立映画アーカイブ
出演:杉狂児、如月玲子、田村邦男、久松美津江、宇留木浩
人気監督、青山三郎の日活移籍第一作。監督は映画史から忘れ去られていたが、国立映画アーカイブの上映で近年の大発見と再評価された。新聞記者の和田(杉)は取材の失敗から左遷され、先輩女性(如月)に馬鹿にされる。挽回のため奮闘するうち令嬢(久松)と恋仲になるが、父、富小路子爵(田村)は金持ちの山中(宇留木)との縁談のため許さない。当時の事件、煙突男を物語に絡め、喜劇王ハロルド・ロイドを真似たシーンも織り込んだモダンで粋なラブ・コメディ。主演の杉狂児は人気コメディアン、『うちの女房にゃ髭がある』など歌手としてもヒットを飛ばした。撮影の永塚一榮は鈴木清順監督作品でも知られる。2023年は青山監督、主演の杉狂児ともに生誕100年、デジタル化しておらず本上映は貴重な機会になる。
アフタートークイベント
2.11[土]太田和彦さん(デザイナー・作家)
2.12[日]新野敏也さん(喜劇映画研究会代表)
サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学有鍵楽器専修(ピアノ)卒業。1995年、山形国際ドキュメンタリー映画祭のオープニング上映、映画生誕百年祭『光の生誕 リュミエール!』でデビュー。以来、国立映画アーカイブや神戸映画資料館などのフィルム・アーカイブ、映画の復元と保存に関するワークショップ、全国コミュニティシネマ会議、東京国際映画祭、京都国際映画祭、アップリンク、シネマ・ジャック&ベティなどの映画館、海外は韓国映像資料院、タイ・フィルムアーカイブ、SEAPAVAA(東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ)マレーシア会議、ポルデノーネ無声映画祭やボローニャ復元映画祭(イタリア)、ボン無声映画祭(ドイツ)などで伴奏。日本、イギリス、アメリカ、デンマークで出版された『裁かるゝジャンヌ』のDVDやブルーレイの音楽を担当した。ピアノで見せる欧米スタイルの無声映画伴奏者は日本人初。映画を楽譜として映画に寄り添い続ける。映画館にピアノを常設する“映画館にピアノを!”、サイレント映画×ピアノの生伴奏“ピアノdeシネマ”、同じサイレント映画作品を連日上映する“ピアノ&シネマ”などサイレント映画を映画館で上映する環境作りに注力中。
2.8[水]より、横浜シネマリンオンラインチケット予約サイト、 劇場受付にて、座席指定券を販売いたします。 詳細は劇場Webサイトにてご確認ください。