ミリキタニの猫《特別編》

《特別編》とは『ミリキタニの猫』と『ミリキタニの記憶』の2本立て
ミリキタニの猫

©Lucid Dreaming, Inc.
Photo by Hiroko Masuike

2006年/アメリカ/74分
原題:The Cats of Mirikitani
監督・製作・撮影・編集:リンダ・ハッテンドーフ
製作・撮影:マサ・ヨシカワ
編集:出口景子
音楽:ジョエル・グッドマン

公式ホームページ

【トークショー】
連日14:20回上映後、Masa監督+特別ゲストのトークショー開催

8月12日(土)
ロバート・ハリスさん 作家・ラジオDJ

13日(日)
新井卓さん 写真家・ダゲレオタイピスト

14日(月)
友部正人さん シンガーソングライター

15日(火)
山口洋さん HEATWAVE(ヒートウェイブ)・ミュージシャン

16日(水)
中村高寛さん 映画監督『ヨコハマメリー』『禅と骨』(9月2日公開)

17日(木)
滝田祥子さん 横浜市立大学 教授 “ツールレイク巡礼の旅”日本側実行委員

18日(金)
石田優子さん 映画監督『はだしのゲンが見たヒロシマ』『被爆樹(仮題)』

【ミニ展覧会】
上映期間中、劇場ロビーにてミリキタニのミニ展覧会開催

ミリキタニの猫


猫とアートと戦争と
80歳の日系アメリカ人画家=ジミー・ミリキタニ


80歳の日系アメリカ人画家は、そーとー頑固でワイルドだけど、実はおちゃめな面もあるじーさん。サクラメントに生まれて広島で育ち、2001年には、世界貿易センターが間近に見えるニューヨークの路上で毎日毎日、絵を一日中描いて暮らしていた。

ジミー・ミリキタニがソーホーの街角で描くのは、猫、ねこ、ネコ・・・。なぜ猫を描き続けるのか。猫に秘められた想いとは・・・。そしてなぜニューヨークの路上で暮らすようになったのか。その答えを解く鍵は彼の絵にあった。
親しくなると、ネコ以外にも絵の題材があることがわかってくる。
日系人強制収容所、原爆、柿、花や動植物・・・。
近所に住む映画監督のリンダが、ネコの絵に惹かれて話しかけたことがきっかけで友情が芽生え、2人の人生は大きく変わっていく。

ジミー・ミリキタニの思い出話には脈絡がない―子供のころ広島で行ったピクニック、サムライだった祖先、失われた米国市民権、ジャクソン・ポロック、真珠湾攻撃、第二次大戦中の日系人強制収容所、叔母と一緒に行った宮島、収容所に入れられた何千人もの「アメリカ人」、猫好きだった男の子、日本が芸術大国であることを世界に示すという大志……。
ミリキタニはグランドマスター(巨匠)アーティストなのか?
それとも空手チャンピオン?
あるいはサムライなのか?
時とともに、パズルのピースをはめていくように、ミリキタニの過去が少しずつ分かりはじめる。
そして、彼が絵を通して恐ろしい時代を生き抜きぬいた生涯を表現していることが明らかになってくる。

9.11テロ事件


9月に入って暑さが和らぎ始めるかと思った矢先に、突如9.11テロ事件が発生。世界貿易センタービルが倒壊して混乱するなか、リンダは撮影しているだけの「観察者」という立場に耐えきれず、思いがけない行動にでる。ミリキタニを支援しようと、さらに彼の過去をたどり始めると、現在身の回りで起きていることがコワイほど「過去」に似ていることに気づく。一方、過去をめぐる旅のなかでは、小さな奇跡が次々と起こっていく・・・。

単なる1人の老人のドキュメントとして撮り始められた映像は、事件をきっかけに大きな転換をみせて、さまざまな意味での「ホーム」―「家」「故郷」「拠り所」― を失うことについてのストーリーとなった。
美しさとユーモアが悲しみや喪失感と混じり合うこの作品は、長年抱えてきた深い心の傷跡が友情とアートによって癒されていく様子を映し出して、見る人に希望と強く生きる力を与えてくれる。猫、アート、平和を愛する人の心に訴えることは間違いない。


*トライベッカ映画祭 観客賞
*トロムソ国際映画祭 ノルウェー平和映画賞
*パリ国際映画祭 観客賞
*東京国際映画祭 “日本映画。ある視点”作品賞
*ワシントンDC映画祭 観客賞

ミリキタニの記憶

©Lucid Dreaming, Inc.
Photo by Masa Yoshikawa

2016年/日本/21分/DCP
監督・製作:Masa
編集:出口景子、石田優子、杉田協士
撮影・スチール:御木茂則、芦澤明子
音楽:SKANK、スカンク

公式ホームページ

ミリキタニの記憶


『ミリキタニの猫』以前のミリキタニを探して…


『ミリキタニの猫』の撮影は2001年に始まった。それ以前のミリキタニを知る人々の証言と、当時のミリキタニを写した写真そしてミリキタニの描いた絵などでつづられた、ミリキタニの過去をめぐる旅。
東京にはミリキタニの「過去」を知る3人の人物がいた。彼らはそれぞれニューヨークでミリキタニと交流していた当時の写真を見せて、思い出を語ってくれる。
広島にいる「親戚」の家では古い絵が発見されていたことが分かり、「本家」には家系図が残されていた。
ニューヨークでは、ミリキタニの晩年を日夜ともに過ごして、一番良く知る存在にインタビュー…。
そして「尊厳の芸術展」(The Art of Gaman)で展示された絵がある。2012年秋から2013年にかけて東京藝術大学美術館を皮切りに、仙台、福島、広島、沖縄と巡回して評判になった「尊厳の芸術展」。日系人強制収容所で作られた日用品・美術工芸品を集めた展覧会で、ジミー・ミリキタニの描いた絵も展示されていた。


ミリキタニの猫

(c) Jimmy Tsutomu Mirikitani

ミリキタニの猫

(c) Jimmy Tsutomu Mirikitani

ミリキタニの猫

佐藤哲郎撮影

上映日時

8/12(土)~8/18(金)
14:20〜15:55

料金

一般 大学・専門・シニア 高校生以下
通常 ¥1700 ¥1200 ¥800
会員 ¥1400 ¥1200 ¥800