8/22(土)~
雲と大地のはざまで
© 2024 Desfase Films, Mestizo Studios, Wayquicha Cine, Luna Roja Relatos Audiovisuales
2024年/ペルー、チリ/83分/ケチュア語、スペイン語/配給:ブエナワイカ/配給協力:フリック
原題:RAÍZ
監督:フランコ・ガルシア・ベセラ
脚本:アンヌマリー・グンケル、アリシア・キスペ
演技指導:アミエル・カジョ
撮影:ジョン・カラスコ
日本語字幕:神保慶政
ケチュア語監修:松崎文音
編集:フランコ・ガルシア・ベセラ、フアン・フランシスコ・ゴンザレス
出演:アルベルト・メルマ、ネリー・ウアイタ、リチャード・タイぺ
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!特典:ステッカーシールをプレゼント!
壮大なアンデス山脈の下、アルパカの世話をする少年――
僕らはこの地で今を生きている
舞台はアンデス山脈に囲まれたペルーの小さな村。8歳のフェリシアーノは、アルパカのロナウドと忠犬のランボーと共に穏やかな日々を送っていた。サッカーペルー代表が、ワールドカップの本選に行く日を夢見て、ラジオの実況中継に耳を傾けている。しかし、この村にも自然をおびやかす採掘業者と村人との対立構図が生まれ、ある日、村全体を巻き込む大事件が勃発する。そして時を同じくして、ロナウドも姿を消してしまう・・・。
ペルー代表のワールドカップ出場に期待を寄せる8歳の少年が見る世界
人知を超えた圧倒的な自然。この地の未来を問う。
南米・ペルーから新たな意欲作が届いた。監督は、本作が長編2作目となるクスコ出身のフランコ・ガルシア・ベセラ。ベルリン映画祭をはじめ数々の映画祭をアルパカと共に駆け抜けた秀作が、ついに日本で劇場公開を果たす。監督は脚本を手にした時に「岩と雲の間を歩きながら、大切な仲間と共に主人公の姿が浮かび上がり、自分のルーツを大切にしようという強い思いが伝わってきました。」と語る。
主人公のフェリシアーノを演じたアルベルト・メルマは、公開オーディションとワークショップを経て選ばれた。母親役のネリー・ウアイタも一般公募のオーディションで抜擢された非職業俳優である。
本作が撮影されたのは、ペルー南部・クスコの南東に位置する雪を冠したアウサンガテ山麓。標高4,000メートルを超える山脈が聳え、広大な草原をアルパカの群れが駆けぬける様は圧巻で壮大な自然に没入する。
人知を超えた圧倒的な自然とその地をルーツとして、未来を生きていく少年。少年のまなざしは、大自然と共存する村の生活に迫りくる環境破壊や、文明の波をみつめる。「この地の自然と穏やかな暮らしを守ることができるのか?」、「この地の未来に希望はあるのか」と静かに問いかける。
8/22(土)~
急に具合が悪くなる
© 2026 Cinéfrance Studios – Arte France Cinéma – Office Shirous – Bitters End – Heimatfilm – Tarantula – Gapbusters – Same Player – Soudain JPN Partners
2026年/フランス・日本・ドイツ・ベルギー/196 分/製作:Cinéfrance Studios, オフィス・シロウズ, ビターズ・エンド, Heimatfilm, Tarantula/提供:Soudain JPN Partners/配給:ビターズ・エンド
監督・脚本:濱口竜介
脚本:ルディムナ玲亜
原作:宮野真生子、磯野真穂
撮影:アラン・ギシャウア
音楽:サミュエル・アンドレイエフ
音響:ピエール・メルタンス、ポール・エイマンス、トマ・ゴデール
編集:山崎梓
美術:ミラ・プレリ
出演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代
カンヌ、ヴェネチア、ベルリン、そして米アカデミー賞®……
日本映画界を新時代に導いた濱口竜介監督最新作。
世界三大映画祭すべての主要賞を獲得、『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー賞®国際長編映画賞に輝き、世界中の映画ファンが待望していた濱口竜介監督の最新作が完成した。着想から5年の月日をかけた、日本、フランス、ベルギー、ドイツによる国際共同製作で、濱口にとって初の海外ロケ作品。大半をフランスの俳優、フランス語のダイアローグで撮りあげた『急に具合が悪くなる』。本作で3度目のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された。練り上げられた会話の応酬、複雑でいて説得力ある人間関係、映画内演劇、息を呑む美しい構図……濱口監督ならではの、緻密なダイアローグ構成と演出なしには成立しえない物語が織りなされる。
国籍も言葉も超えた、人生でたった一度きりの、魂の邂逅――。
強く心を揺さぶる、比類なき傑作。この3時間16分は人生を変える。
介護施設で理想の介護の在り方を探求するマリー=ルーと、独創的な演劇の演出家でステージⅣのがん患者である真理。同じ名前を持つふたりが偶然に出会い、友情を超える絆を結ぶ物語。原作はがんの転移を経験しながら生き抜く哲学者と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者が交わした、20通の往復書簡からなる同名書籍。映画では、主人公をフランス人と日本人に置き換え、まったく新たな物語がパリを舞台に展開。原作に流れるエッセンスを掬い上げ、「自分たちを取り巻く社会」そして、「この 世界で生きること」を描き出す。彼女たちが過ごす数日間を凝縮した3時間16分間は、観る者の魂をも浄化し、人生を変えてゆく。 偶然が引き合わせ、急接近していくふたり。人生でたった一度きりの、魂の邂逅――。強く心を揺さぶる、比類なき傑作が誕生した。
8/22(土)~
ビトゥーカ ミルトン・ナシメント フェアウェルツアー
© GULLANE ENTRETENIMENTO S.A / ReallyLikeFilms + Palmyra Moon
2025年/ブラジル/115分/配給:リアリーライクフィルムズ、パルミラムーン
監督・脚本:フラヴィア・モラエス
共同脚本:マルセロ・フェルラ
撮影:ペドロ・ホーシャ
編集:ラウラ・ブルン、フラヴィア・モラエス
音響:ヴィクトル・ポザス
出演:ミルトン・ナシメント、カエターノ・ヴェローゾ、シモーネ、ジルベルト・ジル、シコ・ブアルキ、スパイク・リー、クインシー・ジョーンズ、パット・メセニー、ポール・サイモン、エスペランサ・スポルディング
“神の声” と称される伝説的音楽家ミルトン・ナシメント、その半生と2022年最後のツアーに迫った圧巻のドキュメンタリー。
ミルトンを崇拝する57名による証言と、本人のインタヴュー&ライブフッテージで綴る115分。
80歳を迎えた2022年、ミルトン・ナシメントはブラジルから欧米17都市を巡る最後のワールドツアー「A Última Sessão de Música(最後の音楽セッション)」を敢行する。本作は、その旅に寄り添いながら、60年に及ぶ音楽人生の軌跡を辿るドキュメンタリーである。
“ブラジルの声”と呼ばれるミルトンは、同世代のジルベルト・ジル、カエターノ・ヴェローゾ、シコ・ブアルキらと共にMPB(ブラジル・ポピュラー・ミュージック)の黄金時代を築き上げた。彼の音楽には、アフリカ系ブラジル人としてのルーツを基盤に、ブラジル各地の伝統音楽、キリスト教音楽、ジャズ、ロックなど多彩な要素が息づいている。
また本作は、人種差別や1964年から続いたブラジル軍事独裁政権といった、彼の人生と創作を取り巻く歴史にも静かに光を当てる。数々の困難を乗り越えながら生まれた歌の数々は、時代や文化を超えて人々の心に響き続けている。
これは単なる伝記映画ではない。“神の声”と称されたミルトンの歌声が、聴く者の心に深く刻まれ、その余韻が世界のさまざまな場所で新たな表現を生み出していく様を映し出した作品である。その歌は世代や国境を越え、今なお多くの人々の人生に寄り添い続けている。
8/29(土)~
星の時 4K
1985年/ブラジル/96分/配給:alfazebet
原題:A Hora da Estrela
原作:クラリッセ・リスペクトル
監督:スザーナ・アマラウ
脚本:スザーナ・アマラウ、アルフレッド・オロス
撮影:エドガル・モウラ
編集:イデ・ラクレタ
音楽:マルクス・ヴィニシウス
出演:マルセリア・カルタッショ、フェルナンダ・モンテネグロ、ジョゼ・ドゥモン、タマラ・タシュマン、ウンベルト・マニャーニ
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!特典:ホログラム特製ポストカードをプレゼント!
入場者プレゼント情報
☆オリジナル・キラキラかがやくホログラムポストカード☆をお配り致します。※先着順、数量限定、なくなり次第終了
わたしはタイピストで、処⼥で、コーラとホットドッグが好き
“20世紀で最も謎めいた作家”クラリッセ・リスペクトルが遺した最後の物語
ブラジル映画史にきらめく、忘れがたい輝き。40年の時を経て⽇本初公開
ブラジル北東部の貧しい地からサンパウロにやってきた19歳のマカベーアは、身寄りもなく、読み書きもままならず、世間知らず。安月給で暮らし、3人の女たちと粗末な下宿を共有している。自身の貧困や境遇に無自覚で、恋にあこがれ、映画スターを夢見る彼女は、ある日占い師から「あなたの人生は変わる」と告げられる。だが、その「運命の瞬間」は思いがけない形で訪れる……。
原作は、「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」(The Wall Street Journal)、「20世紀でもっとも謎めいた作家のひとり」(オルハン・パムク)と称されるクラリッセ・リスペクトルが1977年に遺した最後の小説『星の時』。日本では2021年に初邦訳され、第8回日本翻訳大賞を受賞するなど大きな反響を呼んだ。
監督のスザーナ・アマラウは、9人の子どもを育てたのちニューヨーク大学で映画制作を学んだ異色の経歴を持つ、ブラジル映画における女性監督の先駆者。本作は、彼女が50代で完成させた初の長編監督作である。原作では謎に包まれたままの主人公マカベーアを描くにあたり、アマラウは「ただ“人生”を見ていただけ。自分自身の、そして毎朝5時に家を出るたくさんの女の子たちの」と語る。貧しく、報われない、社会の中で見過ごされてきた存在を、血の通った一人の人間として瑞々しく描き出した。
本作はブラジリア映画祭で主要6部門を受賞し、第36回ベルリン国際映画祭では主演マルセリア・カルタッショが銀熊賞(女優賞)を受賞。国内外で高い評価を受けた。近年ではブラジル映画批評家協会による「ブラジル映画史上ベスト100」、英国BFIによる「The female gaze: 女性監督による、見過ごされてきた100本の映画」にも選出され、その評価は今なお広がり続けている。日本では1987年に第2回東京国際女性映画祭で『星の時間』のタイトルで上映され、監督来日も果たした。
また、名匠ウォルター・サレス監督作『セントラル・ステーション』でブラジル人として初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、『アイム・スティル・ヒア』への出演も記憶に新しい名優フェルナンダ・モンテネグロが占い師役で出演している。
8/29(土)~1週間限定
清掃する女 亡霊
© charm point
2026年/日本/74分/製作・配給:charm point/宣伝協力:alfazbet
監督・構成:七里圭
脚本:新柵未成、七里圭
撮影:高橋哲也、村上拓也
CGエンジニア:早川翔人
整音:松野泉
音声リミックス:池田拓実
楽曲提供:檜垣智也
出演:安藤朋子、黒田育世
歌唱・音楽:さとうじゅんこ
能と、AIと、亡霊について。
母の終わりは娘の終わり
何者でもない私の始まり――
私は清掃婦。髪も白くなり、いたずらに過ぎゆく日々。そこへ、若かりし姿で母の亡霊が現れる。母は娘が子を産まず、孤独に生きることを嘆く。しかし、娘は強く反論する――
夢幻能の形式を借りた、歌と身体表現によるパフォーマンスが再び繰り返されるとき、すでに人の姿はない。奇妙な箱人間がうごめき、劇場はCG へ変貌する――
夢幻能 + 映像
伝統芸能の形式を模した実験的な舞台として、絶賛を浴びた作品の再創造(リ・クリエーション)。ついに劇場公開!
2019年上演の『清掃する女』は、生の身体と紗幕映像が交錯する実験的な舞台として絶賛、衝撃を与えた。この映像/演劇作品は、その後、AIキャプチャーの骨格抽出により非人間的な振付をされたCGパートを加え、全く新しいシネマとしてRe-creationされる──
出演は、パフォーミングアーツの実力派たち。白髪の清掃婦を演じるは、伝説の転形劇場出身、現在もARICA を主宰し精力的に活動を続ける安藤朋子。一方、美しい母の亡霊を踊るは、舞踊家・振付家としてダンス・シーンを牽引、BATIK を率いて数々の賞を受けてきた黒田育世。さらに、超絶技巧の歌い手・さとうじゅんこが、異色の競演を盛り上げる。
至極の芸が火花を散らし、演じ描かれる、母と娘の相克や愛憎。そのパフォーマンスを先端技術が再解釈した、データのNoise & error。それは、肉体を削ぎ落とされた生命か、情報化されえぬ亡霊か。異才・七里圭監督がコロナ禍を挟む時代、社会の変容を見つめ、ポストヒューマン/人間不在の未来を予見する前代未聞の最新作!!
8/29(土)~1週間限定
八月の杜
©2026Hideko Takeshima
2026年/日本/86分/配給:T-artist、ミカタ・エンタテインメント
監督:岩本崇穂
原案:竹島秀子
脚本:竹島秀子、関根俊夫
プロデューサー:浅野博貴
撮影:本荘在右
編集:淺田茉祐花
出演:烏丸せつこ、菜葉菜、上村侑、坂巻有紗、村田秀亮(とろサーモン)、白川和子
物語は、1945年東京大空襲から始まった。
失われた記憶と、たしかに残る痛み。
誰かの「探し物」は、やがて自分自身の物語になっていく。
1945年(昭和20年)3月10日未明、東京大空襲。主人公・文は、空襲以前の記憶を失ったまま戦後を生き抜いてきた。親から名前を呼ばれることの温もりを知らないまま、歳を重ね、両親の記憶も全くなかった。死を間近にした文は、その年も春季慰霊大法要に足を運び、断片的な記憶を手繰り寄せながら、両親の名前をひたすら探し続けた。だが、手がかりはどこにもなかった。そんな時、長期滞在中のホテルで出会った若き経営者・佳奈。経営難により立ち退きを迫られていた彼女もまた、居場所を失いかけていた。それぞれに痛みを抱えた二人は、やがて心を少しずつ通わせていく。佳奈との出会いが、文の止まっていた時間を動かし始める。失われていた記憶の先に、彼女が辿り着くものとは……。
9/5(土)~
ハワの手習い
©TAG Film
2024年/フランス、オランダ、カタール、アフガニスタン/85分/ダリ―語/配給:東風
監督・撮影:ナジーバ・ヌーリ
共同監督・撮影:ラスール(アリー)・ヌーリ
製作:クリスティアン・ポップ
編集:アフサネ・サラリ
制作:TAG Film
日本語字幕:佐藤まな
この世界で、学びがたった一つの望み
13歳で結婚させられ、自由を奪われた母〈ハワ〉。
——年を重ね、多くの挫折を経てもなお、彼女は諦めなかった。
アフガニスタンの首都・カーブルで認知症の夫を世話しながら暮らすハワ。30歳年上の夫との結婚を強いられたとき、彼女はまだ13歳の少女だった。父は幼かったハワを教育から遠ざけ、母は出産について何も助言してくれなかった。6人の子を産んだ彼女は、同じ道に進まぬよう全力を尽くして娘に教育の機会を与え、次女のナジーバはジャーナリストとして自立した生活を送っている。そして、彼女は決意する——「母の味方になろう」。母にカメラを向け話し相手を務める。
今年こそ、と民族手芸の商売と読み書きの学習を始めたハワ。家族の洗濯物を絞っていたハワの手は刺繍が施された美しい布を撫で、夫の老いた肌を洗っていたその手はまっさらなボードの上で言葉を紡ぎ始めた。ハワのささやかな夢が動き出した矢先、長女の元夫と暮らす孫娘のザハラーが支配的な父親から逃れてきた。母親に代わって彼女を引き取り、共に読み書きを学ぶハワ。しかし、タリバンによる襲撃と占領は日に日に進み、ザハラーと彼女を匿う家族にも命の危険が迫る。2021年8月、カーブル陥落。報道の自由を封殺する動きも強まり、ナジーバは兄のアリーにカメラを託し母国を離れることに——。
世界中に満ちる叫びと祈り——いま、戦禍の時代に
社会の家父長制とタリバンの暴力に抵抗するアフガン女性の姿を描いた本作は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2025で市民賞を受賞し、称賛と連帯の声が寄せられた。〈女性〉という記号で教育も自由も奪われ、存在そのものさえ脅かされる世界は、この国と地続きにある。年を重ねるなかで経験してきた恐怖と挫折——それでも、ハワは長年育んできた夢に向かって踏み出した。学びこそが、未来を、すべてを変えていくと彼女が信じ続けたように、私たちも決して、諦めない。
9/5(土)~
撃たれた自由の声を撮れ
©Lumier Film
2024年/アフガニスタン/70分/配給:東風
監督・撮影・製作:ザイナブ・エンテザール
編集:モハマド・サミプール
制作:Lumier Film
日本語字幕:吉田ひなこ
字幕監修:後藤絵美、アウィード
女性が教育を受けられない唯一の国、タリバン支配下のアフガニスタン。
夢も希望も奪われ、傷つき、それでも声を上げ続ける——
2021年8月。米軍が撤退し、タリバンが首都カーブルを含むほぼ全土を掌握。20年にわたる民主政権が崩壊した。タリバン復権によってふたたび女性たちは外で働く場を失い、教育の機会を奪われ、少女たちは親よりも年の離れた男たちと結婚させられ、家に閉じ込められる──。
ラシュミンとナスタランの姉妹は、ほかの女性たちと共に街に出ては声を上げる。「私たちはひるまない」。銃を構えた男たちに言い放ち、この国の現状を発信すべくスカーフにスマートフォンを隠し撮影する。
親族宅などを転々としながら抵抗を続けるが、家父長制が支配する社会。デモに参加する女性たちを父親は軽蔑し、隣人からの密告にも怯える日々だ。殺されるかもしれない、血の凍る思いをしてもなお街に飛び出していくラシュミン。次世代に同じ苦しみを経験させたくない、その想いが彼女を突き動かす。「未来の子どもたちだけは私たちアフガン女性を誇りに思うはず」。
“次は平和な世界で会いましょう”
彼女たちの願いを、世界はいつ叶えられるというのか。
この怒りと絶望を私たちは直視出来ているだろうか。世界に届けなければこの声は無かったものにされてしまう。沈黙は、この現実を受け入れ認めていることになってしまう──女性監督であるザイナブ・エンテザールも自らと家族の身に危険を感じながらも、暴力に立ち向かう彼女たちの闘いの日々に追随する。
亡命先で完成した本作は世界各国の映画祭を渡り歩き、多くの人に痛みと連帯の想いが刻まれ続けている。タリバン復権から5年、そして世界中が戦禍のいま、“平和国家日本”の足元が揺らぐこの国で劇場公開となる。命がけの抵抗の記録を、遠い国の物語で終わらせていいはずがない。
9/5(土)~
零下五十度の抑留者
©多面向影像工作室
2025年/台湾/85分/DCP/5.1ch/台湾語・日本語・中国語/配給・宣伝:太秦
監督:コー・ビンスン(許明淳)
プロデューサー:リー・ジアウェン(李嘉雯)
編集スーパーバイザー:リン・シンミン(林欣民)
編集:シュエ・ジェンシュエン(薛建軒)
撮影:リン・シェン(林申)、ワン・インシュン(王盈舜)
製作:多面向影像工作室
原題 :『冰封的記憶』/英題:『Memories Frozen in Time』
日本語字幕:神部明世
監修協力:栖来ひかり
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
出演:呉正男、陳以文、許敏信
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,600円(税込)を当館受付にて発売中!
シベリア抑留から生還した台湾出身の元日本兵。
深く閉ざされた記憶をたどる—
1945年、第二次世界大戦の終結とともに、日本軍として戦地へ送られていた多くの台湾人兵士たちの運命は大きく引き裂かれた。当時、およそ20万人の台湾人が日本兵として動員され、そのうちの一部は終戦後にソ連軍の捕虜となり、極寒のシベリアや中央アジア各地の収容所に連行され、鉄道建設、伐採、鉱山開発などの過酷な労働を強いられ、飢えと氷点下の寒さでおよそ6万人の命が失われた「シベリア抑留」。その歴史の中で「台湾人捕虜」の存在は長く見過ごされ、現在に至るまで正確な人数は分かっていない。日本人として戦い、孤独の中で生き延びた彼らの体験は、敗戦により日本が台湾を放棄したため日本国籍を失い、複雑なアイデンティティの狭間で、長く沈黙の中に置き去りにされてきた。
家族にも明かされず、凍てついたままの記憶—
本作には、現在確認されている唯一の生存者。呉正雄をはじめ、台湾出身の元日本兵・陳以文、許敏信、そして、彼らが抱え続けた“空白の記憶”を知ろうとする子どもたちや孫たちの姿がある。「なぜ、戦争のことを語らなかったのか。なぜ、帰還後も苦しみ続けていたのか。」許明淳(コー・ビンスン)監督はシベリア鉄道に乗り、彼らの帰還までの道のりを辿っていく。旅の果てに浮かび上がるのは、時代に翻弄されながらも確かに存在した一人ひとりの人生。「わたしたちは、一体何者だったのか」。本作はこれまで語られることのなかった声に静かに耳を傾ける。戦後80年を経た今、三世代にわたり続いてきたいくつもの傷跡と向き合うために—。
9/5(土)~
よき谷の物語
Orfeo Iluso – Perspective Films – 3CAT – Los Ilusos Films – Los Films de Orfeo © 2025
2025年/スペイン、フランス/122分/配給:コピアポア・フィルム/提供:マーメイドフィルム
原題:HISTORIAS DEL BUEN VALLE
監督・脚本・編集:ホセ・ルイス・ゲリン
撮影:アリシア・アルミニャーナ
後援:スペイン大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京
協力:山形国際ドキュメンタリー映画祭
スペインを代表する名匠ホセ・ルイス・ゲリン、10年ぶりの新作長編。
行ったことがないのになぜか懐かしい、ある土地とそこに暮らす人々の物語――
『シルビアのいる街で』(07)で世界中を魅了し、同じスペイン出身のヴィクトル・エリセ監督をして「現代スペインで最も優れた映画作家」と言わしめたホセ・ルイス・ゲリン監督。寡作ながら、劇映画とドキュメンタリーの垣根を軽やかに飛び超える傑作を手掛け続ける彼の、『ミューズ・アカデミー』(15)以来10年ぶりとなる待望の新作長編が日本上陸。
スペイン、バルセロナ郊外に位置するバルボナ地区。“よき谷”と名付けられたこの場所は川や線路に囲まれ、開発から取り残された陸の孤島でありながら、大都市の近くとは思えないほどの豊かな自然に恵まれた理想郷のようでもある。ここには20世紀半ばから移り住んだ住民の家族と、最近になってやってきた新世代の移民たちが共に暮らしている。文化や生活スタイルは異なるものの、子供たちはともに川で遊び、誰もがよく食べて飲んで、歌い、踊り、ひとときの安らぎを得る。そんな都会のオアシスに、新しく鉄道増設の計画が持ち上がった。住民説明会が開かれ、一部の人々は立ち退きを迫られるが……。
登場人物は実際にバルボナ地区に暮らす住民たち。地元で長年生活してきた者はもちろん、インド、ジャマイカ、ロシア、ウクライナなど世界中から集まってきた人たちを、バルセロナ出身のゲリンがインタビューするところから始まり、3年の歳月をかけ、愛情を込めて彼らの生活をフィルムに収めた。亡き妻を思い涙する老人、戦火から逃れてきた母娘、植物に話しかける果樹園の家族、ここではないどこかを夢見る若者。住民の数だけ人生があり、人生の数だけ喜びや悲しみがある。それが幾重にも重なり響き合って、バルボナの歴史が鮮やかに綴られ、いつしか観る者を過去、現在、未来までつながった時間の旅へと誘う。ここに来れば忘れかけていたものを思い出させてくれる。そんな宝物のような映画が誕生した。
*第73回サン・セバスティアン国際映画祭 審査員特別賞
9/5(土)~
シルビアのいる街で
© Eddie Saeta s.a./Chateau-Rouge Production
2007年/スペイン=フランス/85分/配給:コピアポア・フィルム/提供:マーメイドフィルム
監督・脚本:ホセ・ルイス・ゲリン
出演:グザヴィエ・ラフィット、ピラール・ロペス・デ・アジャラ
日本語字幕:斎藤敦子
見つめていたい
6年前に出会った
美しい女の面影を求めて、
青年はその街をさまよった。
ホセ・ルイス・ゲリン監督自身の実体験を基に、19世紀フランスのロマン派詩人ジェラール・ド・ネルヴァルの『シルヴィー』からヒントを得て製作された本作は、6年前に愛しあった女性シルビアの面影を求めて想い出の地をさまよう画家志望の青年のオブセッションに満ちた恋物語。フランスの古都ストラスブールを舞台に、アルフレッド・ヒッチコックの『めまい』(’58)を彷彿とさせるサスペンスに満ちた美女の追跡劇が緻密な音響設計と光溢れる美しい画面の連鎖で展開され、見るものをどこも知らぬ異空間へと誘ってくれます。
9/5(土)~
チャオ・パンタン 4K
©1983 – PATHE FILMS
※当館での上映は2K
1983年/フランス/92分/カラー/配給:コピアポア・フィルム
監督・脚本:クロード・ベリ
原作:アラン・バージュ
撮影:ブリュノ・ニュイッテン
音楽:シャルレリー・クチュール
編集:エルヴェ・ド・リューズ
美術:アレクサンドル・トローネ
製作:ピエール・グルンステイン
出演:コリューシュ 、リシャール・アンコニナ、アニエス・ソラル、フィリップ・レオタール
80年代の<フレンチ・ノワール>美学の金字塔ともいうべき作品が、4Kデジタル版となって40年ぶりに日本のスクリーンに蘇る。
パリ18区。しがないアル中の中年男ランベールは、夜のガソリンスタンドで働いている。その姿は抜け殻のようで、酒をあおりながら余る人生をただ終わらせようとしているかに見える。ある晩、そんな彼のもとに、ユダヤとアラブの血を引く青年ベンスサンが逃げ込んでくる。親と子ほど歳の差のある二人だが、孤独な魂が触れ合ったのか、それからベンスサンはたびたびランベールに会いにくるようになる。ランベールもまた、何かと彼の世話を焼き始めるが、ある日そんな日々も突然の終わりを告げる。麻薬の売人をやっていたベンスサンが、オートバイに乗った二人組の男たちに殺されてしまったのだ。ランベールは、ベンスサンを死に至らしめた者たちへの復讐の決意を固め、夜の街へと歩を踏み出していく。そしてすでに死んでいるかのような人生を送っていたランベールの過去も次第に明らかになっていく。
『チャオ・パンタン』はヌーヴェル・ヴァーグだけにとどまらず「チェコ・ニューウェイヴ」とも横断的に関わった、『老人と子供』や『愛と宿命の泉』などで知られるクロード・ベリが監督した1983年の作品。フランスでは当時、400万人近くの観客を集める大ヒットとなり、セザール賞でも5部門に輝き高く評価された。
1983年と言えば、フランソワ・ミッテラン大統領の政権下で移民政策が緩和にされ、特に北アフリカ系アラブ人の流入により彼らの存在が少しずつ可視化されるようになった時代でもあった。そのような時代背景のもと『チャオ・パンタン』は、それまでの〈フレンチ・ノワール〉の美学を踏襲しつつも、後の郊外(バンリュー)映画を予見させるような、当時のフランス社会における、都市の周縁に追いやられた者たちの孤独や哀しみを描き出した作品となった。
原作は、『太陽が知っている』で知られるアラン・パージュ。脚本はパージュとベリが共同執筆。撮影は、マルグリット・デュラスの映画などで知られる名手ブリュノ・ニュイッテン。この映画の夜の撮影はあまりにも素晴らしく、セザール賞の最優秀撮影賞を受賞した。そして美術は、『天井桟敷の人々』など戦前から活躍しているベテランのアレクサンドル・トローネルが手がけ、この作品に深い詩情を与えている。
9/12(土)~
ウィー・ハブ・ア・ドリーム
©EADY EAST PROD-JOUR2FÊTE-2023
2023年/96分/フランス/2023年/ドキュメンタリー/配給:ユナイテッドピープル
監督:パスカル・プリッソン
脚本:パスカル・プリッソン
撮影:シモン・ワテル
編集:エリカ・バロッシュ
音響:ミシェル・アダミック
音楽:シルヴァン・ゴールドベルグ、マッテオ・ロカシュッリ
制作:Eady East Prod
製作総指揮:マリー・トジア(Ladybirds Cinema)
プロデューサー:ルイーズ&エディ・ヴァンガタラマン
共同制作:Jour2Fête
国際セールス:The Party Film Sales
生まれた時から片足がなくても、バレエに夢中の少女。
地震で片足を失っても、ダンスに励む親友同士。
目が見えなくても、金メダリストを目指し風を切って走る少年。
これは、ハンディキャップがあっても未来をあきらめない、彼らの“真実の物語”。
5カ国、6人の子どもたち。
彼らはそれぞれ、世界のどこかで今日も夢を追いかけている。
障がいも、偏見も、貧困も──あらゆる「壁」を前にして、それでも彼らが前へ進めるのはなぜか。その答えが、この映画の中にある。子どもの可能性を信じ、より良い環境を整え、懸命に子どもたちを支える親たち。特別扱いではなく、ただ当たり前の友として手を差し伸べる仲間たち。愛と勇気、ユーモア、そして時に涙も──それらすべてが交差するとき、スクリーンの向こうから確かに「生きる力」が伝わってくる。世界中の子どもたちの夢と挑戦を見つめ続けてきたプリッソン監督が贈る、最新作。心が震える、珠玉のドキュメンタリー。
9/19(土)-10/2(金)
ミケランジェロ・アントニオーニ レトロスペクティヴ 愛の不毛、彷徨える魂
ミケランジェロ・アントニオーニ
レトロスペクティヴ
愛の不毛、彷徨える魂
9/19(土)-10/2(金)
ミケランジェロ・アントニオーニ
レトロスペクティヴ
愛の不毛、彷徨える魂
9/19(土)-10/2(金)
イタリアが誇る20世紀を代表する巨匠ミケランジェロ・アントニオーニ。
現代人が抱える孤独、愛の不毛を描き、世界を揺るがした初期代表作がスクリーンに甦る。
フェデリコ・フェリーニやルキノ・ヴィスコンティと並び称されながら、日本においてはその代表作さえ劇場で観る機会が少なかったイタリアの巨匠ミケランジェロ・アントニオーニ。2024年4月にフランス・パリのシネマテークで開催されたレトロスペクティヴをきっかけに、世界的に再評価が高まる中、遂に日本でも特集上映の開催が決定。アンドレイ・タルコフスキー、テオ・アンゲロプロス、ジャン=リュック・ゴダール、スタンリー・キューブリック、デヴィッド・リンチ、ブライアン・デ・パルマ、ダリオ・アルジェント、ガス・ヴァン・サント、ウォン・カーウァイに至るまで、その影響を受けた映画監督たちは枚挙にいとまがない。今回上映されるのは、既存の映画文法とは全く異にして、カンヌ国際映画祭でセンセーションを巻き起こし、審査員賞を受賞した『情事』(60)を始め、いずれもフィルモグラフィーの中で欠かせない5作品。愛の不毛、現代人の不安と孤独……。この機会にぜひアントニオーニの深淵をご堪能ください。
公式サイト https://www.zaziefilms.com/antonioni2026/
配給 ザジフィルムズ
入場料一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
前売券1回券1,300円(税込)/3回券3,600円(税込)を当館受付にて発売中!1回券特典:日本版ビジュアルポストカード/3回券特典:オリジナルポストカード6枚セットをプレゼント!(数量限定)
作品紹介
愛と殺意 4K修復版
© 1950 Fincine /Villlani F. Torino – Surf Film s.r.l. All Rights Reserved
1950年/イタリア/103分/スタンダード/モノクロ
原題:CRONACA DI UN AMORE
監督・原案・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ
脚本:ダニエル・ダンツァ、シルヴィオ・ジオヴァネッティ、フランチェスコ・マゼッリ、ピエロ・テッリーニ
撮影:エンツォ・セラフィン
音楽:ジョヴァンニ・フスコ
出演:ルチア・ボゼー、マッシモ・ジロッティ、ジーノ・ロッシ
※当館での上映は2K
ミラノの資本家エンリコは、美しい妻パオラの過去の素行調査を探偵に依頼する。皮肉なことに調査がきっかけでパオラは元恋人グイドと再会、愛のない結婚生活に飽き飽きしていた彼女はグイドとの関係に情熱を取り戻す。エンリコによる調査が進むなか、二人は危険な関係に突き進んでいくことに…。初長編監督作品にして、以後のアントニオーニ作品のテーマとなる人間関係の疎外をすでに描いている。
*日本劇場初公開
敗北者たち 2K修復版
1953 © Film Costellazione
1953年/イタリア/114分/スタンダード/モノクロ
原題:I VINTI
監督・原案・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ
脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ、ジョルジョ・バッサーニ
撮影:エンツォ・セラフィン
音楽:ジョヴァンニ・フスコ
出演:エチカ・シューロー、ジャン=ピエール・モッキー、フランコ・インテルレンギ
パリ、ローマ、ロンドンの三都市で若者たちが引き起こす犯罪事件を描いた群像劇のオムニバス。金銭欲や虚栄心、退屈さから殺人や密輸に手を染める青年たちの姿を通じて、戦後社会に広がる精神的空白と価値観の揺らぎを浮かび上がらせる。犯罪の背景にある疎外感や無気力に焦点を当て、人間の内面を冷静に見つめる視線は、その後のアントニオーニ作品へとつながる重要な特徴となっている。
*日本劇場初公開
女ともだち 2K修復版
© TITANUS Licensed by RAI Com S.p.A. – Rome, Italy. All Rights Reserved.
1955年/イタリア/106分/スタンダード/モノクロ
原題:LE AMICHE
監督・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ
原作:チェーザレ・パヴェーゼ「孤独な女たちと」
脚本:スーゾ・チェッキ・ダミーコ アルバ・デ・チェスペデス
撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ 音楽:ジョヴァンニ・フスコ
出演:エレオノラ・ロッシ=ドラゴ、ガブリエル・フェルゼッティ、バレンティナ・コルテーゼ、イヴォンヌ・フルノー
ローマの洋装店に勤めるクレリアは支店開店のためにトリノに派遣される。ある夜、宿泊先のホテルの隣室で、自殺未遂で気を失っている女性ロゼッタを発見する。このことをきっかけにクレリアはロゼッタや彼女の友人であるモミナたちと友情を深めていくようになる。絡み合う恋愛、仕事、友情…トリノに生きる女性たちの様々な葛藤を繊細に描き、第16回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞した。
*第16回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞受賞
情事 4K修復版
© RTI 1960
1960年/イタリア/144分/アメリカンビスタ/モノクロ
原題:L’AVVENTURA
監督・原案・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ
脚本:トニーノ・グエッラ、エリオ・バルトリーニ
撮影:アルド・スカヴァルダ
音楽:ジョヴァンニ・フスコ
出演:モニカ・ヴィッティ、ガブリエル・フェルゼッティ、レア・マッサリ
※当館での上映は2K
ローマの外交官の娘アンナは友人たちとヨットで地中海旅行に出かけるが、立ち寄った無人島で忽然と姿を消してしまう。残された恋人のサンドロと親友のクラウディアは必死にアンナを探すも見つからず、他の友人たちは何事もなかったかのように日常生活に戻っていく。そんな中、捜索を続けるサンドロとクラウディアは次第に惹かれ合っていく…。アントニオーニの代名詞となる男女の「愛の不毛」を描き、その名を世界に知らしめた代表作。
*第13回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞
赤い砂漠 4K修復版
© 1964 RTI
1964年/イタリア、フランス/117分/アメリカンビスタ/カラー
原題:IL DESERTO ROSSO
監督・原案・脚本:ミケランジェロ・アントニオーニ
原案・脚本:トニーノ・グエッラ
撮影:カルロ・ディ・パルマ
音楽:ジョヴァンニ・フスコ、ビットリオ・ジエルメッティ
出演:モニカ・ヴィッティ、リチャード・ハリス、カルロ・キオネッティ
※当館での上映は2K
無機質な工場地帯が広がる海辺の都市ラヴェンナ。夫と子どもと暮らすジュリアーナは数年前の交通事故のショックから立ち直れず、不安障害に悩まされていた。ある日、彼女は夫からコラドという同僚を紹介される。次第に二人は仲を深めていくが、ジュリアーナの精神が安定することはなく…。
アントニオーニ初のカラー作品となり、鮮烈な色彩描写でモニカ・ヴィッティ演じるジュリアーナの孤独と苦悩を表した衝撃作。
*第25回ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞
9/19(土)-10/2(金)
クロード・シャブロル傑作選 vol.2
クロード・シャブロル傑作選 vol.2
9/19(土)-10/2(金)
クロード・シャブロル傑作選 vol.2
9/19(土)-10/2(金)
正義よ おびえろ。 悪徳よ 燃えろ。
フランスの恐るべき巨匠が放つ、戦慄の傑作サスペンス3本一挙公開
ヌーヴェルヴァーグの旗手として、サスペンスやミステリーの巨匠として、半世紀にわたりフランス映画界をけん引してきた映画監督クロード・シャブロル。“悪意の眼”が輝く彼の作品群の中でもとくに容赦のない強烈な魅力をはなつ伝説の3本を公開。「ロウフィールド館の惨劇」という副題で1996年に日本公開され、フランス映画史上屈指のサスペンスとして名高い『沈黙の女』、両親を毒殺した少女の実話に基づく『ヴィオレット・ノジエール』、シャブロルの個性が最も際立つ幻の怪作『ベティ』。どんな美徳より、悪が現れる瞬間を見つめたほうが面白いといわんばかりの、危険なシャブロル映画をご堪能ください。
※全作デジタルリマスター版での上映
公式ホームページhttps://claudechabrol2026.jp/
提供マーメイドフィルム
配給コピアポア・フィルム
宣伝マーメイドフィルム、VALERIA
後援在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
入場料 一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
作品紹介
ヴィオレット・ノジエール★日本初公開
© 1977 – Filmel Production / Edition René Chateau.
1978年/フランス・カナダ/124分/カラー
原題:Violette Nozière
脚本:オディール・バルスキ、エルヴェ・ブロンベルジェ、フレデリック・グランデル
製作:ウジェーヌ・レピシエ、ドニ・エロー
撮影:ジャン・ラビエ
編集:イヴ・ラングロワ
音楽:ピエール・ヤンセン
出演:イザベル・ユペール、ステファーヌ・オードラン、ジャン・カルメ、リサ・ラングロワ
1933年に実の両親を毒殺した罪で死刑判決となるも恩赦をうけ釈放され、シュルレアリストたちのミューズとなった実在の少女、ヴィオレット・ノジエールの心理に踏みこむシャブロル監督の代表作。家庭で窮屈な思いをしながら、外で不品行な行動を重ねるあやうく繊細な18歳のヴィオレットをキャリア初期のイザベル・ユペールが完璧な存在感で演じ、第31回カンヌ国際映画祭で女優賞を獲得した。『女鹿』『不貞の女』『肉屋』のステファーヌ・オードランがヴィオレットの母親役にふんする。
ベティ★日本初公開
©︎MK2
1992年/フランス/103分/カラー
原題:Betty
原作:ジョルジュ・シムノン
脚本:クロード・シャブロル
製作:マリン・カルミッツ
撮影:ベルナール・ジツェルマン
編集:モニーク・ファルドゥリ
音楽:マチュー・シャブロル
出演:マリー・トランティニャン、ステファーヌ・オードラン、ジャン・フランソワ=ガロー
アルコールに溺れる若い女性ベティは、ある日「穴」という名のレストランで中年女性ローラと知り合う。ローラはベティの面倒を見ることに決め、自分が泊まっているホテルの隣の部屋に彼女を連れていく。日を重ねるごとにベティはローラに自身の結婚生活や“奔放”になった過去を回想するが…。原作は「メグレ警部」シリーズをはじめとするフランスを代表する作家であり、シャブロルが偏愛したジョルジュ・シムノンの同名小説。ベティを演じるのは名優ジャン=ルイ・トランティニャンの娘、マリー・トランティニャン。
沈黙の女
©︎MK2
1994年/フランス・ドイツ/111分/カラー
原題:La Cérémonie
原作:ルース・レンデル
脚本:クロード・シャブロル、カロリーヌ・エリアシェフ
製作:マリン・カルミッツ
撮影:ベルナール・ジツェルマン
編集:モニーク・ファルドゥリ
音楽:マチュー・シャブロル
出演:イザベル・ユペール、サンドリーヌ・ボネール、ジャクリーヌ・ビセット、ジャン=ピエール・カッセル
裕福な一家に家政婦として雇われたソフィー。真面目に働くソフィーだが、実は彼女には絶対に知られたくない秘密があった。ある日、ソフィーは郵便局員の奔放なジャンヌと出会い、二人は友情を育む。そんな中、一家にソフィーの秘密が発覚してしまい…。皮肉にもコンプレックスを刺激してしまう人間の善意、一度舵を切ったら止まることがない敵意、悪で結ばれた女二人のよるべない姿を冷徹にとらえた大傑作。主演のボネールとユペールは揃って第52回ヴェネチア国際映画祭の優秀女優賞に輝いた。
9/26(土)~
声をあげるということ-性犯罪 刑法改正の記録-
© 2026 Tokyo Video Center
2026年/80分/日本/配給:パンドラ
製作:東京ビデオセンター
監督:濱地 咲季
登場人物:山本 潤、北原 みのり、田嶋 みづき、石田 郁子、睡蓮 みどり
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!
その声は、社会を変える──
ほんとうの正義を求めて
誰のための法なのか──立ち上がる性暴力サバイバー
本作は、勇気をもって自らの声をあげた性暴力サバイバーたちの姿を追った、5年にわたる記録である。2019年、日本各地で性犯罪の無罪判決が相次いだ。女性が抵抗できない状況にあったと認めながらも男性が「同意したと勘違いしていた」、「女性による明確な抵抗がなかった」、「抵抗できたはずなのにしなかった」などとする無罪判決──。なぜ、加害者に有利な判決が繰り返されるのか。性暴力の被害者は、なぜこれほどないがしろにされ続けているのか。こうした状況に、「これ以上見過ごすことはできない」と人々が立ち上がり、自らの悲しみ、怒りや苦しみを自分自身の声で語り始めた。その声を受け、「決してなかったことにしてはいけない」との強い思いで撮影を続けたのは、数多くのTVドキュメンタリーを手掛けてきた濱地咲季監督。濱地監督は2019年から、性犯罪に関する刑法改正に取り組む人々を取材してきた。ドキュメンタリー番組の放送を経て、その闘いの記録を長編映画として残すことを決意、さらに取材を重ねて完成させたのが本作である。
数多くの小さな声が、現実を動かした
「同意のない性交というだけでは罪に問うことができない」という現実に対し、一人ひとりの声は全国へと広がっていく。実父からの性加害によるトラウマやPTSDに苦しむ女性たち。職場での度重なるセクハラに抗うことができなかったシングルマザー。制度の想定からこぼれ落ちてきた性的マイノリティの人々の被害。男性の被害者もまた、その経験を語りはじめた……言葉にされることのなかった現実が少しずつ共有され、性暴力の根絶を目指す「フラワーデモ」や「#MeToo」、被害者との連帯を示す「#WithYou」など、全国へ拡大していく。そしてついに2023年7月の刑法改正へと社会を動かし、「同意のない性交は犯罪である」と明確化されたのである。
今なお、性暴力は根絶してはいない。しかし、5年にわたる撮影は、勇気をもって声をあげた一人ひとりの声の連鎖が社会に刻んだ、大きな一歩を記録している。
9/26(土)~
戦場0地点
© 2024 Dogwoof
2025年/ウクライナ/108分/配給:アンプラグド
英題:2000 METERS TO ANDRIIVKA
監督・脚本・撮影:ミスティスラフ・チェルノフ
編集・製作:ミシェル・マイズナー
製作:ラニー・アロンソン=ラス
共同製作・追加撮影:アレックス・バベンコ
音楽:サム・スレーター
日本語字幕:大熊春奈
アカデミー賞受賞『マリウポリの20日間』監督最新作
誰も見たことのないウクライナ侵攻の最前線
兵士たちのヘルメットカメラが捉えた“本物”の戦場
2022年、侵攻開始直後のウクライナ南東部・マリウポリに留まり、包囲された街で起きている現実を世界へ伝えたチェルノフ監督。『マリウポリの20日間』は、戦争によって日常が奪われていく市民の姿を克明に映し出し、世界から大きな反響を呼んだ。アカデミー賞受賞後、監督は再びウクライナへ戻り、戦争が現在進行形で続く最前線へと向かった。
『戦場0地点』は、2023年、ウクライナ軍第3強襲旅団の小隊に同行したチェルノフ監督が、ロシア軍に占領されたアンドリーウカ村の奪還作戦を記録したドキュメンタリー。監督は、ジャーナリストとしてではなく、兵士たちと行動を共にしながら戦場へ身を置く。映像の多くは、兵士たちのヘルメットカメラやドローンによって撮影されており、観客は彼らとともに、アンドリーウカ村までのわずか2000メートルを進むことになる。しかし、その距離は決して短くない。身を潜めながら前進し、一歩ごとに死と隣り合わせとなる極限の道のりである。
冗談を交わし、煙草を吸い、家族や未来について語る若い兵士たち。そして、その直後に訪れる死。チェルノフ監督は、彼らを、銃を手にする以前、それぞれの日常を生きていたひとりの人間として見つめ続ける。激しい銃撃戦、ドローンによる襲撃、絶え間なく降り注ぐ砲弾、そして荒廃した大地に横たわる戦死体――。本作は、ニュース映像や数字だけでは決して伝わらない戦場の現実を突きつける。
侵攻開始から4年以上が経った今も、ウクライナとロシアの戦争は終わりを見せない。近年ではドローンが戦況を大きく左右する存在となり、ウクライナ軍は長距離無人機による攻撃でロシア本土の軍事施設やエネルギーインフラを狙うなど、戦争の様相は大きく変化している。本作は、そうした現代戦の特徴ともいえるドローン戦と、塹壕戦が共存する21世紀の戦場を記録したドキュメンタリーである。実際の目の前に広がる戦闘映像は、かつてない臨場感に満ちている。
日本でも安全保障政策や防衛力強化、憲法改正をめぐる議論が活発化し、“戦争”を遠い国の出来事ではなく、現実の問題として捉える必要性が高まっている。戦争とは何か。そこでは何を失い、何のために戦うのか。その答えの一端が、この映画には刻まれている。
10/3(土)~
沼影市民プール
©hydroblast
2025 年/⽇本/80分/DCP/カラー/16:9/ステレオ/映倫G/配給:NAKACHIKA
監督・撮影・編集・録⾳:太⽥信吾
⾳楽:内橋和久
助監督:芳賀直之
追加撮影:与那覇政之、上ノ園芳樹
プロデューサー:⽵中⾹⼦、太⽥信吾
アソシエイトプロデューサー:⾼根順次
アシスタントプロデューサー:マキシム・ロレ
共同プロデューサー:みやたにたかし
企画協⼒:サトシ・フクモト
パブリシティ:プレイタイム
エンディングテーマ曲:SuiseiNoboAz「それから」
企画・制作:ハイドロブラスト
助成:⽂化庁⽂化芸術振興費補助⾦(映画創造活動⽀援事業)、 独⽴⾏政法⼈⽇本芸術⽂化振興会
“とあるプールが息を引き取るまでの、49日間の記録”
誰かにもう会えないと知ったとき、私たちは立ち止まる。
仮にそれが「場所」だったとしても、やはり私たちは同じかたちで、心を揺らす。
これは、都市開発が置き去りにした住人たちへのケアのプロセスである。
1971年、「海なき市にプールを」という市⺠の願いから⽣まれた「沼影市⺠プール」。市⺠の憩いと出会い、そして健康を⽀える場として、52年間で約600万⼈が訪れた。ところが2021年、さいたま市はプールの解体と、⼩中⼀貫校の建設を発表。存続を求めて900通を超えるパブリックコメントや1万⼈以上からの署名が寄せられるも計画は進み、2024年、プールは静かに役⽬を終えた。
本作はプールが取り壊されるまでの49⽇間を記録。公共施設の喪失が市⺠に何をもたらすのかを描き出した。監督は『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(13)や『解放区』(14)で知られる太⽥信吾。ドキュメンタリーとフィクションを横断する独⾃の⼿法は、国内 外で⾼く評価され、本作は制作段階においてカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2024にて⽇本企画としては初となる「First Cut+ Works in Progress Award」を受賞。その後も釜⼭国際映画祭、テッサロニキ国際ドキュメンタリー映画祭、台北国際映画祭をはじめ12以上の国際映画祭で上映されている。また、エンディングテーマ曲には、SuiseiNoboAz(スイセイノボアズ)「それから」が使⽤されている。
10/9(金)~
遥かな町へ
©︎2026 映画「遥かな町へ」BARCOS
2026年/126分/日本/配給:ムービー・アクト・プロジェクト/配給協力:渋谷プロダクション
脚本・監督:錦織良成
原作:谷口ジロー
音楽:瀬川英史
エグゼクティブプロデューサー:山本敬
企画プロデュース:結城豊弘(ANOSA)
プロデューサー:安川唯史
出演:大谷亮平、及川桃利、磯谷萌々子、戸田菜穂、滝藤賢一
1963年――
14歳の“あの日”が甦る
48歳の建築デザイナーの中原博史は、仕事の出張帰りにふと故郷・鳥取の倉吉を訪れ、母の墓前でなぜか彼は1963年の町へと迷い込み、“14歳の自分の身体”に戻ってしまう。だが意識は48歳のまま。彼は思春期の少年として、再び家族と向き合うことになる。そこには若き日の母、妹、祖母、そして、やがて突然家を出て失踪する父の姿があった――。
「孤独のグルメ」「神々の山嶺」漫画家・谷口ジローの世界的名作が日本初実写化
中年男が中学時代へタイムスリップ…人生の選択を見つめ直す“大人の青春物語”
映画『遥かな町へ』は、⼈⽣の折り返し地点を迎えた⼀⼈の男が、中学⽣時代にタイムスリップし、友⼈や初恋の⼈との再会、そして家族との時間を通して、⾃らの⼈⽣の選択を⾒つめ直す⼤⼈の⻘春物語。原作は、⿃取県出⾝の漫画家・⾕⼝ジローが1998年に発表した漫画「遥かな町へ」。「孤独のグルメ」(作・久住昌之)や「神々の⼭嶺」(作・夢枕獏)などで知られる⾕⼝が、⾃⾝のオリジナルストーリーによって描き上げ、フランスのアングレーム国 際漫画祭をはじめ、イタリア、ドイツなど数々の漫画賞を受賞。2010年には、ルクセンブルク、フランス、ドイツの合作で映画化もされた世界的名作が、このたび⽇本⼈の監督とキャストにより新たに実写映画化された。
主⼈公・博史を演じるのは、韓国で俳優のキャリアを築き、“逆輸⼊”のルートを経て⽇本で活動する⼤⾕亮平。“ミッドライフ・クライシス(中年の危機)”を迎えた中年男性を体現した。1963年に⽣きる14歳の博史役に及川桃利、博史の初恋相⼿・⻑瀬智⼦役に磯⾕萌々⼦。ともにオーディションで抜擢された2010年⽣まれの若⼿2⼈が、瑞々しい存在感を放つ。さらに、博史の両親役に、実⼒派俳優の滝藤賢⼀、⼾⽥菜穂が名を連ね、作品に深みを与えている。 脚本と監督は、『RAILWAYS 49歳で電⾞の運転⼠になった男の物語』、『たたら侍』、『⾼津川』など、地域に根ざした物語を通して、そこに住む⼈々の⼼の交流を描き続けてきた錦織良成。何気ない⽇常をとらえる描写⼒と柔らかな映像センスを発揮している。撮影は、昭和30年代の町並みが今も残る倉吉市でロケを敢⾏。三池崇史監督や⾹港のイー・トンシン監督とのタッグで知られる撮影の北信康が、懐かしい味わいと慕情にあふれる光景をカメラに収めた。⽇本の⽚隅の⼩さな町から世界へ、誰もが⼼の奥で求めている「ふるさと」のような原⾵景に織り込まれた⼈間ドラマは、世代や国を超えて誰の⼼にも眠る普遍的なノスタルジーに訴えかける。
10/10(土)~
パフォーマンス・アート:身体と空間をめぐる映画祭
パフォーマンス・アート:
身体と空間をめぐる映画祭
10/10(土)-10/23(金)
パフォーマンス・アート:
身体と空間をめぐる映画祭
10/10(土)-10/23(金)
現代美術において最もエネルギッシュで、不可欠なジャンルへと進化を遂げたパフォーマンス・アート。
シーンを創造し、革新してきた先駆者たちのドキュメンタリーをラインナップ。
自由すぎて深すぎる、パフォーマンス・アートの世界へようこそ。
いま、パフォーマンス・アートへの関心が世界的に高まっている。
パフォーマンス・アートは、伝統的な芸術観の否定と過激な実験精神に端を発した20世紀前半の前衛芸術運動(未来派、ダダ、シュルレアリスム、構成主義、バウハウスなど)を源流とした出自と、「一回性の表現」を残す難しさから、⾧らく美術界の片隅に配されていたが、それは過去のものとなった。
現代美術の国際的祭典として最新の動向を世界に発信するヴェネチア・ビエンナーレでは、2017年と2019年の2期連続で、パフォーマンス・アート作品が金獅子賞(最高賞)を受賞。また、2017年にはキャロリー・シュニーマンが金獅子賞(生涯功労賞)を受賞。芸術界のノーベル賞と称される高松宮殿下記念世界文化賞においても、2023年にロバート・ウィルソン、2025年にマリーナ・アブラモヴィッチとアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルというパフォーマンス・アートの巨匠たちが受賞。その躍進ぶりを象徴している。
パフォーマンス・アートは身体を核としながら、文学、演劇、戯曲、音楽、建築、詩、映画など、あらゆる表現媒体を縦横無尽に横断する、融通無碍、不確定性のアートである。そして、不定形であるがゆえに、時代の先端にあるメディアやテクノロジーも積極的に取り込みながら、根源的な生々しい感情や、その時代に存在する社会への問いを表現する。
本映画祭では、芸術表現の周縁から中心へと躍り出たパフォーマンス・アートのシーンを創造し、革新してきた先駆者たちのドキュメンタリー5作品(4プログラム)をラインナップ。その底知れぬ世界を紐解く。
公式ホームページhttps://trenova.jp/paff/
企画・配給トレノバ
企画協力深川雅文、江口正登
入場料 一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
Program A
カニングハム★日本劇場初公開
2019年/ドイツ、フランス、アメリカ/93分
原題:Cunningham
監督・脚本・編集:アラ・コフガン
撮影:ムコ・マルハシアン
音楽:フォルカー・ベルテルマン
出演:マース・カニングハム、キャロリン・ブラウン、ジョン・ケージ、アシュリー・チェ ン、ロバート・ラウシェンバーグ
ダンスの概念を根本から再定義した革命家マース・カニングハム。「音楽と振付は独立して存在する」という画期的な哲学や、偶然性を振付に取り入れる手法などにより、ダンスの新領域を切り開くパフォーマンスで世界に衝撃を与えてきた。本作は彼の生誕100周年を記念し、活動の軌跡を追ったドキュメンタリー。未公開のアーカイブ映像を通して、彼の哲学や肉声に触れ、生涯のパートナーであった前衛音楽の巨人ジョン・ケージや、ロバート・ラウシェンバーグ、アンディ・ウォーホルら20世紀を代表する芸術家たちとの協働の裏側に迫る。そして、無名だった1942年から名声を確立する1972年までの30年間に生み出された14の代表作を現代のダンサーたちが再演。ビルの屋上や深い森の中など、規格外のロケーションで、空間と身体が躍動する。
*2023年イタリア賞(テレビ・パフォーミングアーツ部門)
*2019年バーデン=ヴュルテンベルク映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞
*2019年ハンプトンズ国際映画祭ゴールデン・スターフィッシュ賞特別賞
Program B
ブレイキング・ザ・フレーム★日本初公開
©Marielle Nitoslawska
2012年/カナダ/101分
原題:Breaking the Frame
監督・脚本・撮影:マリエル・ニトスラウスカ
編集:モニーク・ダルトン
出演:キャロリー・シュニーマン、ジェームズ・テニー
パフォーマンス・アートやフェミニズム・アートの先駆者として50年以上にわたり活動し、現代の身体芸術やジェンダー表現に多大な影響を与えたキャロリー・シュニーマン。本作は、その生涯と芸術世界を実験的アプローチで描いたポートレート・ドキュメンタリー。抽象画家としてキャリアを開始した彼女は、やがて自らの身体を素材として用い、1975年にフェミニズム・アートにおける極めて重要で過激なパフォーマンス≪Interior Scroll(体内の巻物)≫を発表。女性への身体的抑圧に抵抗した作品群は、男性優位の美術界で女性のセクシュアリティや肉体性を生々しく提示し、世間に大きな衝撃を与えた。タブーに挑み続けたシュニーマンが感じた孤独や怒り、作品への情熱が、彼女の作品記録や絵日記、そして語る言葉によって浮き彫りになる。
Program C
ある日、ピナは尋ねた…〈2Kレストア版〉★日本劇場初公開
©INA
1983年/フランス、ベルギー、ドイツ/58分
原題:Un jour Pina a demandé…
監督:シャンタル・アケルマン
撮影:リュック・ベナムー、バベット・マンゴルト
編集:ドミニク・フォルジュ、パトリ ック・ミモーニ
出演:ピナ・バウシュ、シャンタル・アケルマン、ヤコブ・アナセン、アンヌ=マリー・ベ ナティ、ベネディクト・ビリエ、市田 京美
ドイツ表現主義舞踊の流れを汲み、ダンスと演劇を融合した“タンツテアター”を現代に確立した、コンテンポラリー・ダンスの巨匠ピナ・バウシュ。本作は、映画史に名を刻む名匠シャンタル・アケルマンが、バウシュ率いるヴッパタール舞踊団の欧州ツアーに同行して作り上げたドキュメンタリー。説明的な手法を最小限に抑え、アケルマンの特徴である静謐な固定カメラと長回しを中心に構成。『コンタクトホーフ』や『カーネーション』といったバウシュの代表作の断片とともに、リハーサル時のダンサーの身体の躍動や息遣いや、舞台裏の何気ない時間が切り取られている。タイトルの『Un jour Pina a demandé…(ある日、ピナは尋ねた…)』は、バウシュがダンサーに個人的な質問や課題を与え、そこから動きを引き出していく独自の振付手法に由来する。
ピンク・シュレンマー★日本初公開
©Oliver Husain
2025年/カナダ/12分/カラー
原題:Pink Schlemmer
監督・撮影・編集・アニメーション:オリバー・フサイン
出演:タンヴィール・アラム
2024年、トロントのゲーテ・インスティトゥートの保管庫から『マン・アンド・マスク:オスカー・シュレンマーとバウハウスの舞台』の古いプリントが発見された。1969年に制作されたこの作品は、1925年頃にバウハウスでオスカー・シュレンマーが試みた前衛的な舞台・ダンス作品を再現し映像として記録した作品で、フィルムは経年劣化で鮮やかなピンクとマゼンタに染まっていた。本作はこの華やかな色調を手がかりとし、パフォーマンス・アートの源流の一つとして位置付けられるバウハウスの舞台工房を率いたシュレンマーのダンス、舞台表現、思想、そしてその影響を再解釈する。
*第76回ベルリン国際映画祭フォーラム・エクスパンデッド部門上映
Program D
ナム・ジュン・パイク 月は最古のTV★日本初公開
©NamJune LLC
2023年/アメリカ/110分
原題:Nam June Paik: Moon Is the Oldest TV
監督:アマンダ・キム
撮影:ネルソン・ウォーカー
編集:タリン・グールド テーマ
音楽:坂本龍一
出演:ナム・ジュン・パイク、スティーヴン・ユァン(朗読)、ジョン・ケージ、ヨーゼフ・ ボイス、シャーロット・モーマン、マリーナ・アブラモヴィッチ、久保田成子
“ビデオ・アートの父”と称されるナム・ジュン・パイク。彼はアートとテクノロジーの境界を破壊し、インターネット普及のはるか前にデジタル社会の到来を予見した。本作は、彼のパフォーマンス映像や手記(俳優スティーヴン・ユァンの朗読)などの膨大なアーカイブを紐解きながら、韓国から日本、ドイツ、アメリカへと渡り歩いたその生涯と、先駆的な活動やビジョンに迫る。彼が生み出した人々の想像を超えるアートがいかにして当時の大衆文化と交差したかが描かれるとともに、彼の人生を変えたジョン・ケージとの出会い、ヨーゼフ・ボイスやシャーロット・モーマンらとの過激なコラボレーションなど、フルクサスをはじめとした60年代から70年代にかけてのパフォーマンス・アートのムーブメントとの深い関わりも描かれる。
*サンダンス映画祭2023正式出品
*2023年MoMA Doc Fortnight 選出
*2023年ガーディアン誌ベスト映画
10/17(土)~
プーチンの愛国教室
©2025 made in copenhagen Aps, Pink Productions s.r.o.
2025年/デンマーク、チェコ/90分/配給:トランスフォーマー
原題:Mr. Nobody Against Putin
監督:デヴィッド・ボレンスタイン、パヴェル・タランキン
日本語字幕:額賀深雪
字幕監修:廣瀬陽子
後援:デンマーク王国大使館
協力:チェコセンター東京
アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞!
子どもたちが愛国プロパガンダに飲み込まれていく。
僕は、その片棒を担ぐのか?――ひとりの教師が記録した、今そこにある現実。
ロシア・ウラル山脈の麓の小さな田舎町にあるカラバシュ初等・中等学校。母校でもあるここでイベント企画・撮影担当の教員として勤めるパヴェル・タランキンは、子どもたちから“頼れるお兄さん”として慕われる人気者だ。彼らの何気ない日常や成長の瞬間をビデオカメラに収めながら、オフィスを開放して一緒にアートやおしゃべりを楽しむ、忙しくも穏やかな日々。自由と民主主義、そして自身の職業を心から愛する彼は言う。「この仕事の魅力は、生徒を支えられること」
しかし、2022年2月のウクライナ侵攻開始を機に、彼らの日常は一変する。プーチン大統領は子どもたちを<未来の兵士>として育てるため、戦争を賛美し参加するよう学校で教え込む「愛国教育」の導入を新たな国家方針として発令。和やかだった学校の雰囲気は、瞬く間に緊迫した「戦時中」のものへと塗り替えられていく――。
タランキンは変容していく学校と人々の姿を約2年間かけてつぶさにカメラに収め、デンマークを拠点に活動するアメリカ人ドキュメンタリー作家デヴィッド・ボレンスタインと共同で、極秘裏に本作を制作。当事者視点でプロパガンダ教育を捉えた異例の映像は、世界中で大きな注目と絶賛を集め、アカデミー賞®をはじめ多数の映画賞を受賞した。しかし、その影響力をみたロシア当局は国内での上映禁止を決定。タランキンは国家反逆者として事実上の国外追放を言い渡されるという、徹底的な弾圧にさらされている。
国家はどのようにして反対意見を封じ、戦争へと突き進むのか――いま世界に蔓延する現在進行形の現実を突きつける、必見のドキュメンタリーだ。
10/24(土)~
ザ・ゴールドディガーズ
©1983 Sally Potter, Rose English, Lindsay Cooper
1983年/イギリス/89 分/モノクロ/1.78:1/配給:プンクテ/後援:ブリティッシュ・カウンシル
原題:The Gold Diggers
監督:サリー・ポッター
脚本:リンジー・クーパー、ローズ・イングリッシュ、サリー・ポッター
撮影:バベット・マンゴルト
音楽:リンジー・クーパー
編集:サリー・ポッター
美術:ローズ・イングリッシュ
振付:サリー・ポッター
出演:ジュリー・クリスティ、コレット・ラフォン、ヒラリー・ウェストレイク、デヴィッド・ゲイル、ジャッキー・ランズリー、ロル・コックスヒルほか
世界を支配する、《黄金》の謎――。
サリー・ポッター長編監督デビュー作、
国内劇場初公開!
ロンドン中心部「シティ」の銀行でデータ入力係として働く黒人のフランス人女性セレステ(コレット・ラフォン)。「数字を移動するだけ」の労働の空虚さに疑念を抱き、やがて「金」と「権力」の関係に強い関心を抱くようになる。一方、「スター女優」のルビー(ジュリー・クリスティ)は、自らの幼少期の記憶と覆い隠された自分自身の歴史を辿り、「偶像」としての自分を客観的に見つめ直す。迫りくる非人格的で官僚主義的な男たちと、規制と規則によって張り詰めた不条理な空間。二人は出会い、言葉を交わし、やがて予感する。男性の経済的覇権争いと「神秘的でいて無力で美しい」という理想的な女性像とのあいだに、何らかの結びつきがあるのではないかと感じ始める。
『オルランド』(92)や『タンゴ・レッスン』(97)などで世界的な評価を得たイギリスを代表する映画監督の一人、サリー・ポッター。その長編監督デビューは、前衛的なロックグループ「ヘンリー・カウ」などで活動した音楽家リンジー・クーパー、そしてパフォーマンス・アートの先駆者であるローズ・イングリッシュともに企図され、脚本が作られた。制作スタッフのほとんどを女性が担い、近年フェミニズム映画の金字塔として評価が高まっている本作。撮影は、シャンタル・アケルマン監督『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』(75)を手がけたバベット・マンゴルト。主演は『ダーリング』(65)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したジュリー・クリスティ。新自由主義が台頭する1980年代初頭のロンドンで、俳優、ダンサー、アーティスト、音楽家、技術者など様々な力が結集し試みられた、歴史/映画史をさかなでにする実験的映画実践!
10/24(土)~
ナイトシフト
©Cinenova
1981年/イギリス/68分/カラー/1.33:1/配給:プンクテ/後援:ブリティッシュ・カウンシル
原題:Nightshift
監督:ロビーナ・ローズ
脚本:ニコラ・レーン、ロビーナ・ローズ
撮影:ジョン・ジョスト
音楽:サイモン・ジェフス
出演:ジョーダン、ジム・アダムス、アン・リース=モッグ、マイク・レッサー、バーブ・ジュンガー、マックス・ハンドリー、ヒースコート・ウィリアムズなど
サッチャー政権下、
ポストパンク時代のロンドンで撮られた
ミニマル&リミナルな対抗映画
ロンドン・ノッティングヒルにあるポートベロー・ホテル。夜勤の受付係はルーティンワークをこなしながら、静かに風変わりな宿泊客たちを見つめる。ライブを終えたバンドマンたち、おちぶれた伯爵夫人、夜通しポーカーに興じる男たち…。まるで幻燈のような光景が映し出され、睡眠と覚醒の間、ホテルは幽霊が彷徨うような境界的な空間へと化していく。
本作は、ロビーナ・ローズが監督した唯一の長編劇映画。主演は英国のパンクカルチャーのアイコン的存在、ジョーダン(パメラ・ルーク)。撮影は米国のインディペンデント映画作家、ジョン・ジョストが手がけた。音楽は伝説的楽団「ペンギン・カフェ・オーケストラ」のサイモン・ジェフスが参加。ほか、1980年代初頭のロンドンのアート&カウンターカルチャーに関わる人物たちが参加している。1981年エディンバラ映画祭でプレミア上映された本作は、その後ベルリン国際映画祭、ニューヨーク近代美術館(MoMA)などで上映。数十年の間、鑑賞困難な状況にあったが、2024年に4K修復版がベルリンとニューヨークで上映され、再発見と再評価の機運が高まっている。
11月~
春樹
2025年/中国/122分/カラー/北京語/配給・宣伝:株式会社サニーフィルム
英題:Mothertongue
監督:チャン・リュル
出演:バイ・バイホー、ワン・チュアンジュン、リウ・ダン、ポン・ジンほか
釜山国際映画祭と東京国際映画祭で3冠受賞——
チャン・リュル(張律)監督最新2作、
待望の同時公開
挫折の先で、それでも時間は流れていく——
女優としての夢が行き場を失い、恋愛にも行き詰まる春樹(チュンシュー)、37歳。20年離れていたかつての故郷・成都に戻った春樹は、かつての演技指導者・張梅(ジャン・メイ)を訪ねる。しかし張梅は認知症で言葉を失いつつあった。故郷に居場所を見つけられない春樹に、張梅の息子で、母の世話をするため上海から戻ってきた冬冬(トントン)が静かに寄り添う。過去の栄光も、教えも、学びも、時代の流れの中でいつのまにか忘れ去られ、朽ちたまま残る国立映画撮影所のように、停滞する人々の傍らで日々はささやかに過ぎてゆく。
今、最も注目すべき東アジア映画の名匠、チャン・リュル監督。中国・吉林省延辺朝鮮族自治州に朝鮮族3世として生まれる。延辺大学中国文学科卒業後、北京に拠点を移し小説家として活動。その後、映画監督へと転身し、以降、中国・韓国・日本を漂流するように長編16作品を手がけてきた。2025年、再び中国を舞台に、変わりゆく現代中国の中で揺らぐアイデンティティを主題に『春樹』(はるき)を完成させる。その『春樹』の撮影を終えた直後、休暇で立ち寄った四川省の古鎮・羅目鎮(ルオム)で着想を得て、同キャストで撮影した姉妹作が『ルオムの黄昏』だ。
*第38回東京国際映画祭コンペティション部門 最優秀監督賞 & 最優秀男優賞賞 受賞!
11月~
ルオムの黄昏
2025年/中国/99分/カラー/北京語/配給・宣伝:株式会社サニーフィルム
英題:Gloaming in Luomu
監督:チャン・リュル
出演:バイ・バイホー、ダン・リウ、ホァン・ジェンシン、ポン・ジン、ワン・チュアンジュン
釜山国際映画祭と東京国際映画祭で3冠受賞——
チャン・リュル(張律)監督最新2作、
待望の同時公開
消えた恋人の痕跡と、探すほど遠ざかる道——
3年前に突如消えた恋人・王(ワン)から、「羅目の黄昏」とだけ書かれた一枚の絵葉書が届く。劇団でダンサーをしていた白(バイ)は、その一文をたよりに、四川省の古鎮・羅目鎮(ルオム)の宿へ辿り着く。宿の女性亭主・劉(リウ)、その劉を20年間想い続けた黄(ファン)、そして行き交う旅人たち。かつて交易で栄え、いまは静かな時間が流れるこの街で出会うのは、王の姿ではなく、王が残した時間の痕跡だった。遠くからは汽笛の音が微かに響き、古鎮を彷徨う白の前に、王は幻のように現れては消える。ある日、白は王に似た男が山中の寺院で目撃されたという情報を知る——
今、最も注目すべき東アジア映画の名匠、チャン・リュル監督。中国・吉林省延辺朝鮮族自治州に朝鮮族3世として生まれる。延辺大学中国文学科卒業後、北京に拠点を移し小説家として活動。その後、映画監督へと転身し、以降、中国・韓国・日本を漂流するように長編16作品を手がけてきた。2025年、再び中国を舞台に、変わりゆく現代中国の中で揺らぐアイデンティティを主題に『春樹』(はるき)を完成させる。その『春樹』の撮影を終えた直後、休暇で立ち寄った四川省の古鎮・羅目鎮(ルオム)で着想を得て、同キャストで撮影した姉妹作が『ルオムの黄昏』だ。
*第30回釜山国際映画祭コンペティション部門 最優秀作品賞
ピンバック: 夏休みの戦争・平和特集 2026 – Arthouse Press 藝術電影館通信