仲代達矢と小林正樹
仲代達矢と小林正樹
反戦、反体制、そして不条理への抵抗という強い信念を持つ二人
信念の9プログラム一挙上映
4/25(土)-5/8(金)
仲代達矢と小林正樹
反戦、反体制、そして不条理への抵抗という強い信念を持つ二人
信念の9プログラム一挙上映
4/25(土)-5/8(金)
俳優の仲代達矢と映画監督の小林正樹、日本映画を代表する黄金のコンビとして知られ、数々の傑作を世に送り出してきました。仲代にとって小林監督は、無名時代に大作の主演に抜擢し、映画俳優としての地位を確立させてくれた「恩師」とも呼ぶべき存在です。両者はともに反戦、反体制、そして不条理への抵抗という強い信念を持ち続けていました。小林監督の作品には自身の過酷な戦争体験が根底にあり、仲代はその精神を体現する唯一無二の役者として、妥協のない演出に応え続けました。 仲代が2025年11月に死去したことで、作品たちの主人公は居なくなってしまいましたが、二人が作り上げた傑作群はこれからも永遠に輝き続けることでしょう。本特集では、二人が作り上げた作品10作品の中から現在上映可能な9作品すべてを上映し、追悼します。
仲代達矢(なかだい たつや)
1932年12月13日、東京生まれ。父親が病弱で早逝したため、第二次大戦下に過酷な幼少期を過ごした。幼い頃から映画に憧れ、戦後の青春時代は貪るように映画を観て過ごす。52年、俳優を志して俳優座付属養成所に4期生として入所。千田是也に師事し、「ハムレット」「四谷怪談」など多数の舞台に出演した。映画界では小林正樹監督に見いだされ、『黒い河』『人間の條件』『切腹』などに出演。黒澤明監督『用心棒』『影武者』『乱』のほか、成瀬巳喜男、岡本喜八、市川崑、五社英雄など、日本を代表する名監督の作品にも多数出演し、舞台と映画の両輪でキャリアを重ねていった。アカデミー賞と世界三大映画祭(カンヌ、ヴェネツィア、ベルリン)の全てで出演映画が賞を受賞した実績を持つ。「新・平家物語」「大地の子」ほかテレビドラマにも多数出演した。75年、俳優を育成する私塾「無名塾」を、妻の宮崎恭子(女優、脚本家、演出家)と共に設立。次代を担う俳優を数多く育てるとともに、無名塾公演で全国を巡演。「どん底」「リチャード三世」「ドライビング・ミス・デイジー」などの舞台で、芸術選奨文部大臣賞、毎日芸術賞、紀伊國屋演劇賞、読売演劇大賞ほか数々の賞を受賞している。2025年11月8日、92歳で死去。
小林正樹(こばやし まさき)
1916年2月14日、北海道小樽市生まれ。早稲田大学文学部哲学科で會津八一の下、東洋美術を学ぶ。41年に松竹大船撮影所に入所するも、翌42年1月応召、3月に満州へ渡る。宮古島で終戦を迎えたが、米軍の労働要員として沖縄本島嘉手納捕虜収容所に移され、46年11月に復員。この時期の過酷な体験が、彼の徹底した戦争反対の意思を露にした反骨の映画人生の根幹ともなっている。松竹復職後は、木下惠介の助監督を経て、中編『息子の青春』(52)、『まごころ』(53)で正式に監督デビュー。BC級戦犯を扱った長編『壁あつき部屋』(56)、プロ野球の内幕を暴露した『あなた買います』(56)、基地の町の退廃を描いた『黒い河』(57)、全6部作9時間31分の超大作『人間の條件』(59~61)は大ヒット、『切腹』(62)、『怪談』(65)など野心作を次々と発表、海外でも高い評価を受けるようになっていく。しかし同時に、完璧主義ゆえに財政を圧迫し、「文芸プロダクションにんじんくらぶ」を倒産に追い込む。65年、松竹から東京映画へ移り、三船プロ第1作『上意討ち 拝領妻始末』(67)を発表。1971年、カンヌ国際映画祭25周年記念で世界十大監督のひとりとして監督功労賞を受賞。俳優座映画放送製作『いのち・ぼうにふろう』(71)、『化石』(75)、極東国際軍事裁判の長編記録映画『東京裁判』(83)では監督としての健在ぶりを示した。連合赤軍事件を題材にした『食卓のない家』(85)が遺作となった。1996年10月4日、80歳で死去。
主催 横浜シネマリン
協力 松竹、東宝
入場料一般1,600円/会員・大専・シニア1,300円/ハンディキャップ1,000円/高校生以下800円
『人間の條件 第一部~第六部』『怪談』のみ
一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/ハンディキャップ1,000円/高校生以下800円
※招待券、ポイント鑑賞、ミニシアター相互割、職能割、サービスデーによる割引鑑賞不可
トークイベント
5/3(日)『切腹』上映後、樋口尚文さん(映画評論家・映画監督)
作品紹介
人間の條件
全六部、計9時間30分にも及ぶ未曾有のスケールで描かれる反戦映画の世界的傑作!名優・仲代達矢演じる主人公、梶の理想をつらぬく姿に心打たれる!
第一部 純愛篇 第二部 激怒篇
© 1959 松竹株式会社
© 1959 松竹株式会社
1959年/日本/208分/35mm/モノクロ/シネスコ/にんじんくらぶ=歌舞伎座映画
監督:小林正樹/原作:五味川純平/脚色:松山善三、小林正樹/撮影:宮島義勇/音楽:木下忠司/美術:平高主計
出演:仲代達矢、新珠三千代、淡島千景、有馬稲子、佐田啓二、山村聰、石濱朗
「青春を戦争の中で送り、自分の意思に反して戦争に協力する形でしか、あの時代を生き残ることができなかった不幸な経験を、梶という人間像の中でもう一度確かめてみたい」と、戦中派の小林が並々ならぬ意欲を燃やした。五味川純平の原作を壮大なスケールで映画化した第1弾。
第三部 望郷篇 第四部 戦雲篇
© 1959 松竹株式会社
© 1959 松竹株式会社
1959年/日本/181分/35mm/モノクロ/シネスコ/人間プロダクション
監督:小林正樹/原作:五味川純平/脚色:松山善三、小林正樹/撮影:宮島義勇/音楽:木下忠司/美術:平高主計
出演:仲代達矢、新珠三千代、桂小金治、多々良純、佐田啓二、川津祐介
労務管理の職を解かれ、関東軍に配属された梶を待っていたのは、厳しい訓練と上官による体罰だった。その後に配属された隊ではソ連軍と衝突して壊滅状態となり、梶は生き残った仲間を探して荒野を彷徨う。大河シリーズ第2弾。にんじんくらぶと松竹の合同ユニットが製作。
完結篇 第五部 死の脱出 第六部 曠野の彷徨
1961 松竹株式会社
1961 松竹株式会社
1961年/日本/190分/35mm/モノクロ/シネスコ/にんじんくらぶ
監督:小林正樹/原作:五味川純平/脚色:松山善三、小林正樹、稲垣公一/撮影:宮島義勇/音楽:木下忠司/美術:平高主計
出演:仲代達矢、新珠三千代、中村玉緒、高峰秀子、川津祐介、笠智衆
生き延びた梶らは避難民と合流し、戦争が終わったのかどうかもわからぬまま歩き続ける。民兵とソ連軍の追従から逃れつつ、やがて梶はソ連軍の捕虜となる…。シリーズ堂々の完結。戦争という非人間的な行為を、人間として乗り越えようとする姿を力強く描いた反戦映画の傑作。
黒い河
© 1957 松竹株式会社
1957年/日本/114分/35mm/モノクロ/スタンダード/松竹大船
監督:小林正樹/原作:富島健夫/脚色:松山善三/撮影:厚田雄春/音楽:木下忠司/美術:平高主計
出演:有馬稲子、渡辺文雄、仲代達矢、宮口精二、山田五十鈴
富島健夫の同名小説を松山善三が脚色、小林正樹が監督した異色作。苦学生の西田は、生活費を切り詰めるために貧乏長屋・月光荘に引っ越してきた。そのとき既に長屋を買い取ろうという話が持ちかかっており、仲介する人斬りジョーら愚連隊一味は長屋住人の立ち退きを画策する…。
からみ合い
© 1962 松竹株式会社
1962年/日本/108分/35mm/モノクロ/シネスコ/にんじんくらぶ=松竹大船
監督:小林正樹/原作:南条範夫/脚色:稲垣公一/撮影:川又昂/音楽:武満徹/美術:戸田重昌
出演:岸惠子、仲代達矢、川津祐介、芳村真理、渡辺美佐子、山村聰、渡辺美佐子、千秋実、岸惠子、宮口精二、仲代達矢
余命3か月の会社社長が、かつて関係した3人の女の子どもに遺産を渡すべく、秘書のやす子、秘書課長の藤井、顧問弁護士の吉田に捜索を命じる。だが、それぞれ遺産をわが物にしようと画策し…。遺産をめぐる赤裸々な欲望を露にするサスペンス映画。武満徹が小林映画に初参加。
切腹
© 1962 松竹株式会社
1962年/日本/134分/35mm/モノクロ/シネスコ/松竹京都
監督:小林正樹/原作:滝口康彦/脚色:橋本忍/撮影:宮島義勇/音楽:武満徹/美術:大角純平、戸田重昌
出演:仲代達矢、三國連太郎、石浜朗、岩下志麻
寛永7年の秋、井伊家上屋敷に津雲半四郎という浪人が現れ、切腹のためにお庭を拝借したいという。申し出を受けた家老の斎藤勘解由は、春に同じ要件で来た千々岩求女なる者の無残な最期を話し始めるが、実は彼こそ半四郎の娘婿であった……。小林が初めて手掛けた本格時代劇映画。
怪談
©1965 TOHO CO.,LTD.
1965年/日本/161分(短縮版)/35mm/カラー/シネスコ/にんじんくらぶ=東宝
監督:小林正樹/原作:小泉八雲/脚本:水木洋子/撮影:宮島義勇/音楽:武満徹/美術:戸田重昌
出演:新珠三千代、渡辺美佐子、三国連太郎、仲代達矢、岸惠子、中村賀津雄、丹波哲郎、志村喬、中村翫右衛門
小泉八雲の「怪談」に収録された『黒髪』『雪女』『耳無し芳一』『茶碗の中』の4編を映画化した怪奇オムニバス映画超大作。小林監督初のカラー映画で、豪華絢爛たるセットを駆使した幻惑的画面の数々が見る者を圧倒する。1965年、第18回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞。
上意討ち─拝領妻始末─
©1967 TOHO CO.,LTD.
1967年/日本/128分/35mm/カラー/シネスコ/三船プロ=東宝
監督:小林正樹/原作:滝口康彦/脚本:橋本忍/撮影:山田一夫/音楽:武満徹/美術:村木与四郎
出演:三船敏郎、司葉子、加藤剛、仲代達矢、神山繁、三島雅夫
会津藩馬廻り役の笹原家に藩命で嫁がされた主君の側室を、家の者たちは優しく受け入れた。しかし数年後、今度はいきなり返上せよとの勝手極まる理不尽な命が下り、憤った家の者たちが反旗を翻し、悲劇的顛末を迎える。封建制度の非人道性を説いていく時代劇大作。
いのち・ぼうにふろう
©1971 TOHO CO.,LTD.
1971年/日本/121分/35mm/モノクロ/シネスコ/東宝=俳優座
監督:小林正樹/原作:山本周五郎/脚本:隆巴/撮影:岡崎宏三/音楽:武満徹/美術:水谷浩
出演:仲代達矢、栗原小巻、酒井和歌子、中村翫右衛門、勝新太郎、神山繁
山本周五郎の小説を原作に、世間からつまはじきされている深川安楽亭の人々が、女衒に売られた幼馴染を助けようとする若者の純情に胸を打たれ、危険な仕事に手を染めていくピカレスク時代劇。河原に一軒ごと丸組みの家を建てて撮影するという、巨匠ならではの完璧主義ぶり。