市川雷蔵祭

没後50年特別企画

市川雷蔵祭

ただ愛に生きる、美しい男がいた―
映画を愛し、映画に愛された伝説の俳優・市川雷蔵の代表作を一挙上映!

12/28(土)-1/17(金) 15作品一挙上映!

【はじめに】

市川雷蔵-大映入社後1954年に映画デビュー、1969年に亡くなるまで15年間の映画俳優人生で、約160本の作品に出演、わずか37歳という若さでこの世を去った映画スター。没後50年経った今でも、多くの人々を魅了して止まない昭和を代表する伝説の映画俳優です。
横浜シネマリンでは、<デビュー60周年>「雷蔵祭初恋」以来5年ぶりとなる待望の特集開催、今回は、<没後50年特別企画>「市川雷蔵祭」と題してその魅力に迫ります。本企画の目玉として、代表作のひとつである『薄桜記』を雷蔵の主演時代劇作品としては初である4Kデジタル復元版でお届け致します。
 片腕になりながらも愛する女性のため闘いを挑む男、殺し屋という裏の顔を持つ小料理屋の店主、屈折した気持ちを抱える吃音症の青年…ただ、その愛を全うするために生きる男の壮絶な一生を全身全霊で演じた市川雷蔵―その魅力をスクリーンでご堪能いただければ幸いです。

【プロフィール】

1931年(昭和6年)、8月29日、京都生まれ。
生後六ヶ月で歌舞伎俳優市川九団次の養子となり、1946年11月、15歳の時に大阪歌舞伎座で三世市川莚蔵として初舞台を踏む(「中山七里」娘お花役)。1951年関西歌舞伎界の長老市川寿海の養子となり、同年6月大阪歌舞伎座「白浪五人男」で襲名披露、市川雷蔵を名乗る。
1953年大映より入社を懇願され翌54年入社、同年『花の白虎隊』でデビュー。1958年には初の現代劇である『炎上』(市川崑監督)に周囲の反対を押し切って出演。寺に放火する吃音症の青年という難役を見事に演じ、キネマ旬報主演男優賞、ブルーリボン主演男優賞、NHK映画最優秀主演男優賞を受賞、確固たるスターの地位を築く。また、翌59年には『薄桜記』に主演。辱めを受けた妻のため、片腕になりながらも復讐に立ち上がる男を演じ、代表作のひとつとなった。
このころを境に、“白塗りの二枚目”からリアルなメイクとリアリズムを追及し、雷蔵独自の清々しさと悲劇性を際立たせた作品が多くなっていく。特に後に名コンビと謳われる三隅研次監督の作品には、『大菩薩峠』(60)『斬る』(62)、「眠狂四郎」シリーズなど、雷蔵の個性を最大限に発揮させた傑作が多い。また、池広一夫監督と組んだ股旅時代劇『沓掛時次郎』(61)『ひとり狼』(68)、田中徳三監督との『お嬢吉三』(59)『濡れ髪牡丹』(61)の艶やかさ、時代劇の大御所伊藤大輔監督との“歌舞伎もの”『弁天小僧』(58)『切られ与三郎』(60)の華麗な格調高さなど、多様な主演作で魅力した。シリーズものも多く、「忍びの者」(全8作品)、「眠狂四郎」(全12作品)、「若親分」(全8作品)、「陸軍中野学校」(全5作品)があり、市川雷蔵はプログラムピクチャーの黄金期を担って行くことになる。
時代劇と現代劇、その両方に代表作を数多く持つ稀有な映画スターであり、総出演作品数は特別出演を含め約160本にのぼる。
1969年7月17日、癌により逝去。享年37歳。

【当日料金】

一般1,600円/会員1,300円/大専・シニア(60歳以上)1,100円/高校生以下800円

上映スケジュール

12/28(土) 12/29(日) 12/30(月) 12/31(火) 1/1(水) 1/2(木) 1/3(金)
婦系図10:00-11:45
婦系図
斬る10:00-11:20
斬る
剣10:00-11:40
忍びの者10:00-11:50
忍びの者
休館 お嬢吉三10:20-11:45
お嬢吉三
眠狂四郎無頼剣10:20-11:45
眠狂四郎無頼剣
忍びの者12:00-13:50
忍びの者
破戒11:40-13:45
破戒
婦系図12:00-13:45
婦系図
斬る12:00-13:20
斬る
薄桜記12:00-13:50
薄桜記
陸軍中野学校12:00-13:40
陸軍中野学校

予定表 横にスクロールできます

1/4(土) 1/5(日) 1/6(月) 1/7(火) 1/8(水) 1/9(木) 1/10(金)
薄桜記14:15-16:10
薄桜記
お嬢吉三14:15-15:45
お嬢吉三
眠狂四郎女地獄14:15-15:45
眠狂四郎女地獄
眠狂四郎無頼剣14:15-15:40
眠狂四郎無頼剣
陸軍中野学校14:15-15:55
陸軍中野学校
破戒14:15-16:20
破戒
忍びの者14:15-16:05
忍びの者
眠狂四郎無頼剣16:20-17:45
眠狂四郎無頼剣
陸軍中野学校16:00-17:40
陸軍中野学校
薄桜記16:00-17:55
薄桜記
お嬢吉三16:00-17:30
お嬢吉三
眠狂四郎女地獄16:15-17:45
眠狂四郎女地獄
斬る16:30-17:50
斬る
剣16:15-17:55

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1/11(土) 1/12(日) 1/13(月) 1/14(火) 1/15(水) 1/16(木) 1/17(金)
弁天小僧12:10-13:45
弁天小僧
濡れ髪牡丹12:10-13:45
濡れ髪牡丹
女と三悪人12:10-14:00
女と三悪人
切られ与三郎12:10-13:50
切られ与三郎
ある殺し屋12:10-13:40
ある殺し屋
弁天小僧12:10-13:45
弁天小僧
ある殺し屋12:10-13:40
ある殺し屋
切られ与三郎14:00-15:40
切られ与三郎
ある殺し屋14:00-15:30
ある殺し屋
弁天小僧14:10-15:45
弁天小僧
濡れ髪牡丹14:00-15:35
濡れ髪牡丹
女と三悪人13:50-15:40
女と三悪人
濡れ髪牡丹14:00-15:35
濡れ髪牡丹
切られ与三郎14:00-15:40
切られ与三郎

予定表 横にスクロールできます

作品紹介

©KADOKAWA1959

1. 薄桜記4Kデジタル復元版【初披露】

(1959年/カラー/110分/スコープ)
監督:森一生 原作:五味康祐 脚本:伊藤大輔 撮影:本多省三 美術:太田誠一 音楽:斎藤一郎
出演:市川雷蔵、勝新太郎、真城千都世、三田登喜子

雷蔵×勝新二大スター競演。剣士の友情と悲恋を描く、掛け値なし必見の傑作!

道場を破門になった典膳(雷蔵)と安兵衛(勝)は偶然に翻弄され、流転の運命を辿ることに…。雷蔵の代表作の一本で、大映時代劇の到達点。降りしきる雪が血に染まる壮絶なラスト、愛に生きる雷蔵の美しさは絶対必見!


©KADOKAWA1967

2. ある殺し屋

(1967年/カラー/82分/スコープ)
監督:森一生 原作:藤原審爾 脚本:増村保造、石松愛弘 撮影:宮川一夫 美術:太田誠一 音楽: 鏑木創
出演:市川雷蔵、野川由美子、成田三樹夫、小池朝雄、渚まゆみ、小林幸子

綿密なプロットとカメラワークが冴えるフィルム・ノワールの傑作

小料理屋の店主・塩沢(雷蔵)は高額な報酬で殺人を請け負う殺し屋。依頼を受け暴力団のボスを仕留めるが…。雷蔵は抑制した演技でプロの凄味を漂わせる。陰影の効いた宮川一夫のカメラも冴える傑作ハードボイルド。


©KADOKAWA1962

3. 女と三悪人

(1962年/カラー/103分/スコープ)
監督・脚本:井上梅次 撮影:今井ひろし 美術:西岡善信 音楽:鏑木創
出演:山本富士子、市川雷蔵、勝新太郎、大木実、中村玉緒

山本×勝×雷蔵-大映スター競演!三悪人が仕掛ける命がけの恋

フランス映画の名作『天井桟敷の人々』と歌舞伎「三人吉三」をベースに映画化。江戸末期の両国を舞台に美貌の女役者と三悪人の恋模様を描いた娯楽超大作。物語の舞台となる広大なオープンセットと群衆が圧巻!


©KADOKAWA1958

4. 弁天小僧

(1958年/カラー/86分/スコープ)
監督:伊藤大輔 脚本:八尋不二 撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽:斎藤一郎
出演:市川雷蔵、勝新太郎、青山京子、阿井美千子、近藤美恵子、島田竜三

歌舞伎出身の雷蔵が初めて歌舞伎の題材に挑んだ、傑作娯楽時代劇

時代劇の父・巨匠伊藤大輔監督との初顔合わせ。狂言『白浪五人男』に材を取り、宿命に殉じる弁天小僧菊之助を描く。雷蔵は小姓姿に艶やかなる女装と、変幻自在の弁天小僧を活き活きと演じている。雷蔵の代表作の一本。


©KADOKAWA1959

5. お嬢吉三

(1959年/カラー/81分/スコープ)
監督:田中徳三 脚本:犬塚稔 撮影:今井ひろし 美術:西岡善信 音楽:斎藤一郎
出演:市川雷蔵、島田竜三、北原義郎、林成年、浦路洋子、中村玉緒、小野道子

傑作『弁天小僧』に続き歌舞伎から材を取った絢爛時代劇

出獄したその足で、自分たちを入牢させた悪旗本へのお礼参りを済ませたお嬢、お坊、和尚の三人吉三は江戸をあとにするが、三人の行くところ騒ぎは続き…。スピーディな演出とユーモアたっぷりに雷蔵の魅力を見せる。


©KADOKAWA1962

6. 婦系図

(1962年/カラー/99分/スコープ)
監督:三隅研次 原作:泉鏡花 脚本:依田義賢 撮影:武田千吉郎 美術:内藤昭 音楽:伊福部昭
出演:市川雷蔵、万里昌代、船越英二、三條魔子、木暮実千代、水戸光子

『歌行燈』に続き幾度も映画化された、泉鏡花原作の傑作恋愛ドラマ

明治の下町を舞台に、恋情と恩師への義理の板挟みで苦悩する青年を雷蔵が爽やかに演じた悲恋物語。身分の違いによって引き裂かれる芸者の哀しみを見事に演じた万里の演技も必見。ラスト湯島天神の場面など美術も見所。


©KADOKAWA1960

7. 切られ与三郎

(1960年/カラー/95分/スコープ)
監督・脚本:伊藤大輔 撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽:斎藤一郎
出演:市川雷蔵、中村玉緒、冨士真奈美、淡路恵子

粋、男の色香、殺陣の切れ…雷蔵の魅力が炸裂する傑作人情時代劇

数奇な運命に弄ばれる愛憎流転の与三郎とお富の恋物語を詩情豊かに描き出す歌舞伎もの。宮川一夫撮影の計算され尽くされた美しい場面構成、伊藤監督お馴染みの闇に揺れる御用提灯など、名場面ばかり。


©KADOKAWA1962

8. 斬る

(1962年/カラー/71分/スコープ)
監督:三隅研次 原作:柴田錬三郎 脚本:新藤兼人 撮影:本多省三 美術:内藤昭 音楽:斎藤一郎
出演:市川雷蔵、藤村志保、渚まゆみ、万里昌代、成田純一郎、天知茂、浅野進治郎

薄幸の美剣士が辿る数奇な運命を雷蔵が演じた時代劇の代表作

高倉信吾(雷蔵)は3年の武者修行から戻ってすぐ養父と義妹(渚)が斬殺される。信吾は死に際の養父から出生の秘密を聞かされ…。後に<剣三部作>となる三隅×雷蔵コンビの最初の作品で雷蔵時代劇の頂点のひとつ。


©KADOKAWA1959

9. 剣

(1964年/モノクロ/95分/スコープ)
監督:三隅研次 原作:三島由紀夫 脚本:舟橋和郎 撮影:牧浦地志 美術:内藤昭 音楽:池野成
出演:市川雷蔵、藤由紀子、川津祐介、長谷川明男

剣に賭ける青年を描く、名匠・三隅の格調高い演出が光る傑作現代劇

三島由紀夫の短編小説を雷蔵自らが映画化を企画。生涯の全てを剣道一筋に賭ける青年・国分次郎を唯一無二の存在感で演じる。究極まで“今”を生きるその生き様と死を選ぶほどの純粋さが畏敬の念すら思わせる。


©KADOKAWA1959

10. 忍びの者

(1962年/モノクロ/105分/スコープ)
監督:山本薩夫 原作:村山知義 脚本:高岩肇 撮影:竹村康和 美術:内藤昭 音楽:渡辺宙明
出演:市川雷蔵、藤村志保、伊藤雄之助、小林勝彦、城健三朗、浦路洋子、藤原礼子、真城千都世、岸田今日子、西村晃

旧来の忍者のイメージを一新、リアルな忍者の姿を描く傑作ドラマ

社会派の巨匠・山本薩夫が市川雷蔵とタッグを組み、動乱の戦国の世に活動した諜報活動の専門集団としての苛酷で非人間的な忍者の姿を徹底的にリアルに描き切り、忍者ブームを巻き起こす大ヒットを記録した。


©KADOKAWA1961

11. 濡れ髪牡丹

(1961年/カラー/90分/スコープ)
監督:田中徳三 脚本:八尋不二 撮影:相坂操一 美術:内藤昭 音楽:塚原晢夫
出演:市川雷蔵、京マチ子、小林勝彦、小桜純子

京マチ子共演!濡れ髪シリーズの中でも異彩を放つ傑作時代劇

女親分の婿選びが行われ全国から男たちが集まるが、出される難問に退散する者ばかり。そこに算術、剣術…なんでもこい瓢太郎(雷蔵)が現れ…。京マチ子の勇ましい大姐御に、飄々とした旅鴉の雷蔵が沸かせるシリーズ第5作。


©KADOKAWA1968

12. 眠狂四郎女地獄

(1968年/カラー/82分/スコープ)
監督:田中徳三 原作:柴田錬三郎 脚本:高岩肇 撮影:森田富士郎 美術:内藤昭 音楽:渡辺岳夫
出演:市川雷蔵、田村高廣、伊藤雄之助、高田美和、水谷良重、小沢栄太郎

姫君争奪の権力闘争に巻き込まれる狂四郎の闘いを描くシリーズ10作

シリーズ1作目の監督、名匠・田中徳三が再登板。狂四郎と奇妙な友情を交わす刺客に田村高廣と伊藤雄之助が出演、狂四郎との熾烈な殺陣を見せる。各々の個性がぶつかり合う、3人が居酒屋で顔を揃えるシーンも必見。


©KADOKAWA1966

13 眠狂四郎無頼剣

(1966年/カラー/79分/スコープ)
監督:三隅研次 原作:柴田錬三郎 脚本:伊藤大輔 撮影:牧浦地志 美術:下石坂成典 音楽:伊福部昭
出演:市川雷蔵、天知茂、藤村志保

格調高い時代劇の風格を備えた眠狂四郎シリーズ屈指の一作

死んだ師の恨みを晴らすため江戸を炎の海にしようと企む浪人一団と狂四郎が戦うシリーズ第8作。三隅研次が「勝負」「炎情剣」に次ぎ3度目の登板。同じ円月殺法で狂四郎と対する愛染役・天知茂圧巻の演技も必見。


©KADOKAWA1962

14. 破戒

(1962年/モノクロ/118分/スコープ)
監督:市川崑 原作:島崎藤村 脚本:和田夏十 撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽:芥川也寸志
出演:市川雷蔵、長門裕之、船越英二、藤村志保、三國連太郎、中村鴈治郎、岸田今日子、杉村春子

悶え、苦しみ、愛し…運命に耐え続ける被差別民の果てしなき孤独

巨匠・市川崑が『炎上』『ぼんち』に続いて雷蔵とコンビを組み、島崎藤村の名作を映画化。雷蔵は部落出身であることを隠し生きる小学教師役を繊細に演じた。また本作で藤村志保が鮮烈なスクリーンデビューを飾った。


©KADOKAWA1966

15. 陸軍中野学校

(1966年/モノクロ/95分/スコープ)
監督:増村保造 脚本:星川清司 撮影:小林節雄 美術:下河原友雄 音楽:山内正
出演:市川雷蔵、加東大介、待田京介、小川真由美、中条静夫

陸軍中野学校の誕生秘話を非情なタッチで描くスパイ映画の金字塔

雷蔵が日本陸軍の諜報員に扮し、名匠・増村がスパイの実態を描くシリーズ第1作。日本に初めて誕生した秘密諜報機関員(スパイ)を養成する中野学校を舞台に、時代の権力に蝕まれていく若者をサスペンスフルに描く。