柳下美恵のピアノdeフィルムvol.9『不壊の白珠』
柳下美恵のピアノdeフィルムvol.9『不壊の白珠』
サイレント映画の35ミリフィルム上映 × ピアノの即興生伴奏
2023.6.3[土]& 6.4[日] 各日14:30
映画が誕生してまもなく130年。最初の約40年間の作品は今ではサイレント映画と呼ばれています。映写機のフィルムがスクリーンに映し出され、語りや音楽伴奏と共に上映していました。トーキーは映写速度が24コマ/秒ですが、サイレントは作品によって違っています。トーキーのスクリーンサイズは作品によって違っていますが、サイレントは1.33×1でした。デジタル上映が主流になる今、映画が誕生した頃の形にこだわった上映を試みます。
フィルム提供:国立映画アーカイブ
1929年/日本/101分[24fps(予定)]/35mm/染色/スタンダード/サイレント/製作:松竹蒲田/映像提供:国立映画アーカイブ
監督:清水宏/原作:菊池寛/脚色:村上徳三郎/撮影:佐々木太郎/舞台設計:水谷皓
出演:八雲恵美子、髙田稔、及川道子、新井淳、滝口新太郎、伊達里子、高尾光子
菊池寛の小説、東京を舞台にしたメロドラマを天才、清水宏監督が映画化、松竹オールスターの八雲恵美子、及川道子、高田稔らが出演、シャープな映像表現で八雲の心情が見事に描かれている。新人の水谷皓(浩)(戦後の溝口健二作品で活躍)が、モダンなセットで映画の雰囲気をさらに盛り上げる。当時のフィルム染色を復元した染色版で、美しい画が見られる。俊枝(八雲)は成田(高田)に好意を寄せているが、成田はそれに気づかず俊枝の妹・玲子(及川)と結婚してしまう。奔放な玲子に成田は振り回され、結婚生活は破綻していく。一方、傷心の俊枝は会社の上司・片山(新井)から結婚の申し込みを受け、心が傾いていくが…。中山晋平、西条八十コンビの主題歌もせつない。
※今回の上映には現代語字幕が付きます。
アフタートークイベント
6.3[土]佐治 明さん(八雲恵美子の大甥)
6.4[日]宮下啓子さん(映画愛好家)
サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学有鍵楽器専修(ピアノ)卒業。1995年、山形国際ドキュメンタリー映画祭のオープニング上映、映画生誕百年祭『光の生誕 リュミエール!』でデビュー。以来、国立映画アーカイブや神戸映画資料館などのフィルム・アーカイブ、映画の復元と保存に関するワークショップ、全国コミュニティシネマ会議、東京国際映画祭、京都国際映画祭、アップリンク、シネマ・ジャック&ベティなどの映画館、海外は韓国映像資料院、タイ・フィルムアーカイブ、SEAPAVAA(東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ)マレーシア会議、ポルデノーネ無声映画祭やボローニャ復元映画祭(イタリア)、ボン無声映画祭(ドイツ)などで伴奏。日本、イギリス、アメリカ、デンマークで出版された『裁かるゝジャンヌ』のDVDやブルーレイの音楽を担当した。ピアノで見せる欧米スタイルの無声映画伴奏者は日本人初。映画を楽譜として映画に寄り添い続ける。映画館にピアノを常設する“映画館にピアノを!”、サイレント映画×ピアノの生伴奏“ピアノdeシネマ”、同じサイレント映画作品を連日上映する“ピアノ&シネマ”などサイレント映画を映画館で上映する環境作りに注力中。
5.31[水]より、横浜シネマリンオンラインチケット予約サイト、 劇場受付にて、座席指定券を販売いたします。 詳細は劇場Webサイトにてご確認ください。