近日上映作品

10/4(土)-10/17(金)

ペルー映画祭2025 vol.3

ペルー映画祭2025

Festival de Cine Peruano vol.3

2025.10.4㊏~10.17㊎

アンデスと アマゾンを行く、 時空を超えて―

ペルー映画祭2025

Festival de Cine Peruano vol.3

2025.10.4㊏~10.17㊎

アンデスと アマゾンを行く、 時空を超えて―

ペルーの国土は、地形や気候の違いから異なる3つの地域に分けられます。砂漠が広がる太平洋沿岸部の「コスタ」とアンデス山脈が連なる山岳部の「シエラ」、アマゾン川流域の熱帯雨林地帯の「セルバ」です。地域により農作物も異なり、多彩な文化を形成しています。ペルー映画祭vol.3では、アンデスとアマゾンを眺め、時空や作品の境界をこえたところには何が映るのかを求めました。南米ペルーから届いた多様なフィクションやドキュメンタリーをお楽しみください!

企画・主催 ブエナワイカ https://www.buenawayka.info/festival3

入場料一般1,600円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円

全国共通3回券:3,600円(税込)を劇場受付にて発売中!

イベント
  • 10/4㊏『ルイス・パルド』【活弁付上映】活動弁士:佐々木亜希子さん
  • 10/5㊐『ペルー・水と巡る道』【トークイベント】マリオ・ホセ・アタパウカルさん(ケチュア語・アイマラ語言語学者、学会正会員)
  • 10/10㊎『Bunka-ブンカ』【舞台挨拶】オマル・ヤング監督(予定)
  • 10/11㊏『私はタニア』【トークイベント】水口良樹さん(文化人類学・ペルー音楽文化)
  • 10/12㊐『UCHPA/ウチュパ 再生の歌』【トークイベント】佐々木直美さん(法政大学教授)
  • 10/13『Bunka-ブンカ』【マリネラ舞踊】Amigos Peru
初日プレゼント:10/4㊏ 初回先着順で!

上映スケジュール

10/4(土) 10/5(日) 10/6(月) 10/7(火) 10/8(水) 10/9(木) 10/10(金)
ルイス・パルド13:50ー15:20
ルイス・パルド
活動弁士付き上映
活動弁士
佐々木亜希子さん
ペルー、水と巡る道13:50ー15:20
ペルー、水と巡る道
トークイベント
マリオ・ホセ・アタパウカルさん
ママ・イレーネ13:50ー15:10
ママ・イレーネ
午後の終わり13:50ー15:20
午後の終わり
私はタニア13:50ー15:20
私はタニア
みどりの壁13:50ー15:50
みどりの壁
UCHPA/ウチュパ13:50ー15:20
UCHPA/ウチュパ
みどりの壁15:35ー17:31
みどりの壁
ワルテル先生とキピの教室16:05ー17:30
ワルテル先生とキピの教室
ムーンハート15:35ー16:50
ムーンハート
恐れられし肌15:35ー17:30
恐れられし肌
霧+おしょうゆ物語15:35ー17:10
霧+おしょうゆ物語
罪なき罰のゆくえ①16:00ー17:30
罪なき罰のゆくえ①
Bunka-ブンカ15:35ー16:40
Bunka-ブンカ

予定表 横にスクロールできます

10/11(土) 10/12(日) 10/13(祝) 10/14(火) 10/15(水) 10/16(木) 10/17(金)
私はタニア15:40ー17:05
私はタニア
トークイベント
水口良樹さん
UCHPA/ウチュパ15:40ー17:06
UCHPA/ウチュパ
トークイベント
佐々木直美さん
Bunka-ブンカ15:40ー16:40
Bunka-ブンカ
マリネラ舞踊
Amigos Peru
みどりの壁15:40ー17:40
みどりの壁
ペルー、水と巡る道15:40ー17:15
ペルー、水と巡る道
ママ・イレーネ15:40ー17:30
ママ・イレーネ
UCHPA/ウチュパ15:40ー17:10
UCHPA/ウチュパ
ムーンハート17:50ー19:05
ムーンハート
午後の終わり17:50ー19:15
午後の終わり
恐れられし肌17:20ー19:15
恐れられし肌
ワルテル先生とキピの教室17:50ー19:15
ワルテル先生とキピの教室
罪なき罰のゆくえ17:30ー19:05
罪なき罰のゆくえ
霧+おしょうゆ物語17:40ー19:15
霧+おしょうゆ物語
みどりの壁17:20ー19:16
みどりの壁

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上映プログラム

ルイス・パルド Luis Pardo特別上映

監督・脚本・主演:エンリケ・コルネホ・ビジャヌエバ
ペルー|1927年|49分|スペイン語|Blu-ray

有名な盗賊ルイス・パルドの生涯を描いたペルー初の長編劇映画。2022年にデジタル化された。本編(33分)に加え、監督へのインタビュー映像を交えたドキュメンタリー映画『El famoso bandolero』(監督:アルベルト・ドゥラント1987年/15分)を収録。

  • 活動弁士付き上映
    活動弁士:佐々木亜希子さん

みどりの壁<レストア版> La muralla verde

©Filmoteca PUCP

監督:アルマンド・ロブレス・ゴドイ
助監督:マリオ・アチャ、ノラ・デ・イスクエ
出演:フリオ・アレマン、サンドラ・リヴァ
ペルー|1970年|116分|スペイン語|Blu-ray|英語字幕付

●1969 アカデミー賞 国際映画賞ペルー代表作品
●1970 シカゴ国際映画祭 ゴールド・ヒューゴ賞

結婚を機に首都リマを離れ、ジャングルの開拓者となった家族の物語。入植時の苦悩や役所との対立など、若い夫婦と幼い息子の暮らしに次々とトラブルが降りかかるが・・・。ペルー社会の問題と矛盾を静かに描く。1970年に日本で初めて公開されたペルー映画。2023年の監督生誕100年を機にデジタル化。

午後の終わり La Última Tarde日本初公開

©Factoría Sur,Bhakti Media 2016

監督・脚本:ジョエル・カレロ
撮影:マリオ・バッシーノ(『レタブロ』)|出演:カテリーナ・ドノフリオ、ルチョ・カセレス
ペルー・コロンビア|2016年|81分|スペイン語|Blu-ray

●2016 リマ映画祭 観客賞&最優秀主演男優賞
●2016 プンタ・デル・エステ映画祭 最優秀主演女優賞
●2017 グアダラハラ国際映画祭 イベロアメリカ部門最優秀監督賞

<記憶:映画三部作>の1作目。元ゲリラ戦士の2人は離婚届にサインするために19年ぶりに再会する。それぞれの生活について語り合う中で、政治活動に明け暮れ愛し合った記憶をよみがえらせていく。過去と現在を結ぶ秀逸な会話劇。

恐れられし肌 La Piel Más Temida日本初公開

©Factoría Sur,Bhakti Media 2023

監督・脚本:ジョエル・カレロ
出演:フアナ・ブルガ、マリア・ルケ、 ルチョ・カセレス、アミエル・カジョ(『レタブロ』)
編集:ロベルト・ベナビデス(『Willaq Pirqa, el cine de mi pueblo』、『ファルファン 路地裏からの栄光』)
ペルー・コロンビア|2023年|109分|スペイン語|Blu-ray

<記憶:映画三部作>の2作目。22年ぶりに故郷のペルーに帰国したアレハンドラ。帰国後、死亡したと思っていた父親がゲリラ組織の一員であったために投獄されていることを知る。アレハンドラは、3歳だった自分を捨てた父親がどのような人物だったのかを知りたいと思い始めるが…。

ママ・イレネ アンデスの癒し Mamá Irene-Sanadora de los Andes日本初公開

©2022 Mama Irene Documentary. All rights reserved.

監督:ベッティーナ・エアハルト、エリザベス・モールマン
出演:ママ・イレネ
ペルー|2022年|72分|ケチュア語、英語、スペイン語|ドキュメンタリー|Blu-ray|一部スペイン語字幕付

●2022 ウッドストック映画祭 正式出品
●2022 ブエノスアイレス国際映画祭 正式出品

女性治療師、ママ・イレネの軌跡を描く。84歳を迎えた今もなお、彼女は消えゆく危機に瀕する先住民の叡智と伝統を実践し続けている。失われつつある知恵を記録するだけでなく、女性の力の物語であり、母なる大地と共に生きる尊き道への讃歌でもある。

ペルー、水と巡る道 Yakuqñan, caminos del agua日本初公開

©Huaca Rajada S.A.C. 2022

監督・編集:フアン・ドゥラン
出演: バルタザル・プーマ、ミゲル・ウイルカ
ペルー|2022年|88分|スペイン語、アワフン語、ケチュア語|ドキュメンタリー|Blu-ray|一部スペイン語字幕付

ペルーの文化は、水と大地への畏敬の念を基礎に築かれてきた。海辺の街、山岳地帯、アマゾンの密林――それぞれの地に暮らす人々は今も尚、水と深いつながりを持ちながら日々を営んでいる。彼らにとって資源以上の存在である「水」の意味とは。ペルーの人々の水とともにある暮らし、そしてその根底に流れる精神性を豊かな映像美とともに映し出す。

+ おしょうゆ物語 Bruma

©DOCUPERU 2021

監督:ホセ・バラド
制作:ドクベル―
ペルー|2021年|70分|スペイン語|ドキュメンタリー|Blu-ray

●2018 DAFO ドキュメンタリー制作奨励賞

ペルー北部沿岸で育まれる3つの物語を通じて、懸命に生きる人々の姿を描く。古代から続く漁の営みのなかに映し出される人間の犠牲、忍耐と脆さが静かに紡がれていくビジュアルドキュメンタリー。ドクペルーが福岡滞在時に制作した100年以上使われる木樽で再熟成される醤油をテーマにした『おしょうゆ物語』(監督:ヒメナ・モラ、ホセ・バラド/2025年/20分/ドキュメンタリー)を同時上映。

UCHPA/ウチュパ 再生の歌 Uchpa日本初公開

©2025 Ayni Producciones

監督・制作:アントニオ・ロドリゲス・ロマ
出演:フレディ•オルティス、アンドレス・“チマンゴ”・ラレス(『わたしはここにいる』)
ペルー|2025年|86分|スペイン語・ケチュア語|ドキュメンタリー|Blu-ray

ペルーで文化功労章を受賞したことがあるケチュア語ロック&ブルースバンド「Uchpa(ウチュパ)」のリーダー、フレディ・オルティスの再会の旅を描く。警察時代の記憶からウチュパ結成の秘話を同級生やメンバーの証言で辿る。ワイノやハサミ踊りといったアンデス音楽を西洋音楽と融合し新たなサウンドが生み出される。やがて音楽は、彼自身の過去におった心の傷を癒していく。

罪なき罰のゆくえ Este fue nuestro castigo日本初公開

©ESTE FUE NUESTRO CASTIGO 2023

監督・撮影・編集:ルイス・シントゥラ
ペルー・スペイン|2023年|89分|スペイン語・ケチュア語|ドキュメンタリー|Blu-ray|一部スペイン語字幕付

●2023 Festival de cine del Mar 最優秀ドキュメンタリー観客賞
●2023 マラカイボ映画祭 最優秀長編ドキュメンタリー賞
●2023 プーノHanan映画祭 国内長編ドキュメンタリー賞

80年代初頭、センデロ・ルミノソはペルー高地のワリャ地区を初期の「解放」地帯の一つとした。ワリャは、ゲリラ運動の支援拠点になったことで、すぐに高い代償を払うことになる。暴力の終息から30年後、住民は沈黙を破り、今もなお続く痛々しい過去について語りだした。

ワルテル先生とキピの教室 Misión Kipi

©Ayni Producciones

監督:ソナリ・トゥエスタ
出演:ワルテル・ベラスケス、キピ
ペルー|2024年|81分|スペイン語、ケチュア語、ヤネシャ語|ドキュメンタリー|Blu-ray|一部スペイン語字幕付

●2024 Voces Contra el Silencio HHRR Film Festival 作品賞
●2024 ワヌコ映画祭“Cinema Goes to School” 部門 最優秀作品賞

ペルーの高地に住む教師のワルテルは、廃材を集めて女の子のロボットのキピを作った。新型コロナウィルスのパンデミックによって、多くの生徒は学校を辞めそれぞれの村に帰っていた。ワルテル先生はキピと共に各地域を訪れ、学びを届けるプロジェクトを開始する。キピと子どもたちが一緒になって文化を学び合う姿を描く。

ムーンハート El corazón de la luna日本初公開

©Aldo Salvini 2021

監督・脚本:アルド・サルビニ
出演:アイデ・カセレス(『ユートピアクラブ 消えた真実』)
ペルー|2021年|80分|スペイン語|Blu-ray

●2021 SFロンドン映画祭 最優秀作品賞
●2022 アカデミー賞 国際映画賞ペルー代表作品
●2022 ポルト・アレグレ国際ファンタスティック映画祭 最優秀女優賞

ある日一匹の蟻と出会ったホームレスの老婆は、蟻に自分の境遇を見いだし、生活を共にすることに。彼女の目に映る世界は、懐かしい思い出や幸せへの道を遮る悪魔的存在で溢れていた。そこに、“機械仕掛けの天使”が現れ彼女を導いていくが…。孤独に暮らす老婆の姿を全編セリフなしで描くファンタジー。

Bunka -ブンカ Bunka日本初公開

©Creative Film Vision

監督:オマル・ヤング
出演:ハジメ・カスガ(Hanzo)、ブルーノ・ナカンダカリ(Bepocah)
ペルー|2025年|60分|スペイン語|ドキュメンタリー|Blu-ray

日本人がペルーに移住してから約125年。日系人がペルー人に与えたアイデンティティへの影響は大きく、特にペルーの食文化の中に強く現れている。ペルー発祥の“日系料理”は “ニッケイ(Nikkei)”という言葉を象徴する存在となり、国際的にも高く評価されている。文化の変容を体現している人々の視点を通して、単なるフュージョンを超えて文化として根づきつつある姿を描き出す。

私はタニア Con el nombre de Tania日本初公開

© 2019 CLIN D’ŒIL FILMS, DÉRIVES, CBA, RTBF and CANVAS All rights reserved

監督:ベネディクト・リエナール、メリ・ヒメネス
出演:タニット・リディア・コキチェ・セネポ、イスマエル・バスケス・コルチャド
ベルギー・オランダ・ペルー|2019年|85分|スペイン語|ドキュメンタリー|Blu-ray

●2019 ベルリン国際映画祭 ジェネレーション14プラス部門出品
●2019 リマ映画祭 正式出品

ペルー北部の鉱山地帯。熱帯雨林の間をアマゾン川がゆるやかに流れいく。実際の証言に基づき、ある10代の少女が閉塞した村の暮らしから脱出しようとするも失敗し、やがて売春を強いられるまでの過程を、ドキュメンタリーとフィクションを掛け合わせて再現していく。名もなき少女の奪われた声とアイデンティティ、そして尊厳の回復を描く。



10/4(土)~

ユリシーズ

ユリシーズ

©ikoi films 2024

2024年/日本、スペイン/73分/⽇本語、スペイン語、バスク語、ロシア語、英語/配給:新谷和輝、入江渚月、ikoi films
監督・編集:宇和川輝
制作:宇和川輝、関野佳介
撮影:宇和川輝、エイヴリー・ドゥンカン、関野佳介
録⾳:ニコラス・アウジェー、吉川諒
整⾳:⻩永昌
出演:アレフティーナ・ティクホノーヴァ、ディミトリ・ティクホノーヴ、エナイツ・スライカ、⽯井泉、原和⼦、宇和川輝

公式ホームページ

イベント情報
10/5(日)上映後、宇和川輝監督、新谷和輝さん(本作配給/ラテンアメリカ映画研究者)、関野佳介さん(本作プロデューサー、撮影)の舞台挨拶がございます。

マドリード、バスク、岡山──
国境を越える私たちの時代の叙事詩

ラドゥ・ジュテ、マティアス・ピニェイロ、マリアノ・ジナスらによる先鋭的な映画作家育成プログラムによって世界中から注⽬されるスペイン、サン・セバスチャンのエリアス・ケレヘタ映画学校(Elías Querejeta Zine Eskola)。この学校の修⼠課程を⽇本⼈ではじめて修了した宇和川輝監督の⻑編デビュー作が、フィクションとドキュメンタリーのあわいに⽴つ『ユリシーズ』だ。スペインと⽇本を⾏き来してトランスナショナルな映画制作を続けてきた宇和川の個⼈史と、ホメロス『オデュッセイア』の⼤胆な翻案をかけあわせた73分の本作は、さまざまな⼟地に瞬く親密な時間をつなぎとめ、寄る辺なき現代を⽣きる私たちすべてのための物語を描き出す。

本作は3つの⼟地で撮影され、3部構成により出来ている。第1部ではスペイン、マドリード在住のロシア⼈アレフティーナとその息⼦ディミトリが⽗親の帰りを待つ。第2部ではバスク地⽅、サン・セバスチャンに暮らすエナイツが⽇本⼈のイズミと出会う。第3部では岡⼭県北中部の真庭市で、カズコが亡き夫のお盆を孫のヒカルと迎える。異なる国、⾔語、思い出をさまよう追憶の映画。


ユリシーズ ユリシーズ ユリシーズ

10/10(金)~

ホーリー・カウ

ホーリー・カウ

© 2024 – EX NIHILO – FRANCE 3 CINEMA – AUVERGNE RHÔNE ALPES CINÉMA

2024年/フランス/92分/配給:alfazbet/提供:キングレコード
監督:ルイーズ・クルヴォワジエ
脚本:ルイーズ・クルヴォワジエ、テオ・アバディ
撮影:エリオ・バレゾー
編集:サラ・グロセ
⾳楽:リンダ・クルヴォワジエ、シャルリ・クルヴォワジエ
出演:クレマン・ファヴォー 、ルナ・ガレ、マティス・ベルナール、ディミトリ・ボードリ、マイウェン・バルテレミ、アルマン・サンセ・リシャール、リュカ・マリリエ、イザベル・クラジョー

公式ホームページ

⽗が死んだ。
残されたのは、行き詰まったチーズ⼯房と幼い妹。

フランス、コンテチーズの故郷ジュラ地方。18歳のトトンヌは、仲間と酒を飲み、パーティに明け暮れ気ままに過ごしている。しかし現実は容赦無く彼に襲いかかる。ある日チーズ職人だった父親が不慮の事故で亡くなり、7 歳の妹の面倒を見ながら、生計を立てる方法を見つけなければならない事態に……。そんな時、チーズのコンテストで金メダルを獲得すれば3万ユーロの賞金が出ることを知り、伝統的な製法で最高のコンテチーズを作ることを決意する。
押し寄せる現実の荒波と不確かな未来、打算とロマンス。不器用な手つきで人生を切り開こうとする彼らの日々を鮮やかに描いた青春譚。

フランスで約100万人を動員!
「コンテチーズの村」で⽣きる若者たちの⽇々を、鮮やかに⼼打つ⻘春譚

監督のルイーズ・クルヴォワジエは、本作の舞台であるジュラ地方で育ち、リヨンの映画学校La CinéFabriquでの卒業制作がカンヌの若手育成部門 “シネフォンダシオン” でグランプリを獲得した注目の女性監督。2024年のカンヌ国際映画祭を皮切りに、夭折の天才ジャン・ヴィゴにちなみ若手監督に授与されるジャン・ヴィゴ賞、フランスのアカデミー賞と言われるセザール賞など数々の映画祭を席巻。小規模な作品ながらフランスで約100万人を動員し、オスカー受賞作を上回るサプライズヒットとなった。
キャストには地元の演技未経験者を起用し、農場を営む監督の家族が音楽や美術スタッフとして参加。ジュラ山地が生み出す壮大な自然の景色と共に、美しいだけでない農村のリアルな暮らしに確かな息吹を与えている。
タイトルの「HOLY COW」とは「マジかよ!」「なんてこった!」など感嘆を表す言葉。

*2024年カンヌ国際映画祭 ある視点部⾨ ユース賞受賞
*2024 年ジャン・ヴィゴ賞受賞
*2025 年セザール賞最優秀新⼈監督賞受賞


10/11(土)~

壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記

壁の外側と内側

©Kawakami Yasunori

2025年/日本/104分/製作協力・配給:きろくびと
監督・撮影・編集・製作:川上泰徳
編集協力:大重裕二
整音:小川武
ガザ写真:ムハンマド・マスリー
字幕・ナレーション:川上泰徳

公式ホームページ

イベント情報
10/11(土)上映後、川上泰徳監督の舞台挨拶がございます。

「なぜこの戦争が続くのか。」
10.7後のパレスチナ・イスラエルを
この目で確かめたいと思ったー

2023年10月7日、イスラエルに「壁(分離壁)」で封鎖されたガザ地区からイスラム組織・ハマスが越境攻撃を行い、それに対してイスラエル軍による「壁の向こう」へのすさまじい報復攻撃。死者は5万人を超え、そのうち1万8千人以上が子どもという惨状で、停戦が見えない中、その数はいまも増え続けている。

外国人ジャーナリストがガザに入ることが困難な中、2024年7月、同じく「壁」で分離されたパレスチナ・ヨルダン川西岸地区に、ボーン・上田記念国際記者賞の受賞経験もある中東ジャーナリスト・川上泰徳が取材に入った。今年3月に米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』でも舞台となったマサーフェル・ヤッタにも入り、イスラエル軍による攻撃・破壊やユダヤ人入植者の暴力の激化を目の当たりにする。一方、イスラエル側では国民の多くが「壁」の外側の惨状に目を向けない中、兵役を拒否する三人の若者がいた。

中東を見つめつづけたジャーナリストがいま伝えたい、パレスチナとイスラエルの”現在”とは――。


壁の外側と内側 壁の外側と内側 壁の外側と内側

10/18(土)~

揺さぶられる正義

揺さぶられる正義

©2025カンテレ

2025年/日本/129分/配給:東風
監督:上田大輔
プロデューサー:宮田輝美
撮影:平田周次
編集:室山健司
音声:朴木佑果、赤木早織
音響効果:萩原隆之
整音:中嶋泰成
製作:関西テレビ放送

公式ホームページ

イベント情報
10/25(土)上映後、上田大輔監督の舞台挨拶がございます。

「揺さぶられっ子症候群」、多くの冤罪を生んだ“虐待”事件――これは贖罪と覚悟の物語。
弁護士記者が長年の調査報道の末に描く、唯一無二のドキュメンタリー

無実の人を救う弁護士を志すも、有罪率99.8%の刑事司法の現実に絶望し、企業内弁護士として関西テレビに入社した上田大輔。しかし、一度は背を向けた刑事司法の問題に向き合おうと記者になった。上田が記者1年目から取材を始めた「揺さぶられっ子症候群(Shaken Baby Syndrome)」。通称SBS。2010年代、赤ちゃんを揺さぶって虐待したと疑われ、親などが逮捕・起訴される事件が相次ぎ、マスコミも報じてきた。

SBSは子ども虐待対応のための厚労省のマニュアルや診断ガイドにも掲載され、幼き命を守るという強い使命感を持って診断にあたる医師たち。その一方で、刑事弁護人と法学研究者たちによる「SBS検証プロジェクト」が立ち上がった。チームは無実を訴える被告と家族たちに寄り添い、事故や病気の可能性を徹底的に調べていく。虐待をなくす正義と冤罪をなくす正義が激しく衝突し合っていた。やがて、無罪判決が続出する前代未聞の事態が巻き起こっていく。

実名、顔を晒され、センセーショナルに報じられる刑事事件。逮捕報道に比べ、その後の裁判の扱いは小さい。無罪となっても一度貼られた“犯人”のレッテルはネット空間から消え去ることはなく、長期勾留によって奪われた時間も戻ってはこない。SBS事件の加害者とされた人や家族との対話を重ねた上田は、報じる側の暴力性を自覚しジレンマに苛まれながら、かれらの埋もれていた声を届け、司法とメディアのあり方を問う報道に挑む。そして、記者として何を信じるべきか、上田を最も揺さぶることになる人物と対峙することになる――。
自分にしかできない、と編み上げたこの映画は、贖罪と覚悟の物語だ。日々流れるニュースのその先を、私たちは知らない。


揺さぶられる正義 揺さぶられる正義 揺さぶられる正義

10/18(土)-10/31(金)

ショーン・ベイカー 初期傑作選

ショーン・ベイカー 初期傑作選

ショーン・ベイカー 初期傑作選

10/18(土)-10/31(金)

ショーン・ベイカー 初期傑作選

10/18(土)-10/31(金)

すべてが劇場初公開!
社会が見過ごしてきた、今この瞬間を生きる人々の声に耳を傾ける—
ショーン・ベイカー監督の貴重な初期4作品を一挙上映

iPhoneでの全編撮影に挑戦した『タンジェリン』(2015)で話題を呼び、貧困層の日常を6歳の少女の瞳を通して描く『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17)、元ポルノスターの男が再起を目指す姿を追った『レッド・ロケット』(21)、そして『ANORA アノーラ』(24)で第77回カンヌ国際映画祭<最高賞>パルムドールを受賞したほか第97回アカデミー賞®作品賞含む最多5部門を受賞し、インディペンデント映画のもつ無限の可能性を世界へと示し続けてきたショーン・ベイカー。
ケン・ローチやダルデンヌ兄弟といった巨匠から大きな影響を受けながら、偏見や差別にさらされる立場にある人々を内側からありのままに描き出す独自のスタイルを確立し、移民、セクシャルマイノリティ、セックスワーカーなどへと光をあてる。人々の境遇や暮らしに正面から向き合いながら常にユーモアも忘れないその姿勢は、初期監督作品からブレることなく貫かれていた。
本特集では、長編デビュー作から現在地へとショーン・ベイカーが歩んだ軌跡を辿る、日本初公開の貴重な4作品を上映。そこにある「生きた声」を聴き、暖かい眼差しで掬い上げた作品群は、異なる世界や文化を知ること、そして他者への想像力をもつことの尊さを改めてわたしたちに教えてくれる。

公式サイト https://seanbakermovies.jp/

提供・配給 マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム

入場料一般1,900円/会員・シニア1,300円/<学生応援プライス500>大専・高校生以下500円

上映スケジュール

10/18(土) 10/19(日) 10/20(月) 10/21(火) 10/22(水) 10/23(木) 10/24(金)
フォー・レター・ワーズ10:00ー11:30
フォー・レター・ワーズ
スターレット10:00ー11:45
スターレット
プリンス・オブ・ブロードウェイ10:00ー11:45
プリンス・オブ・ブロードウェイ
テイクアウト10:00ー11:35
テイクアウト
スターレット10:00ー11:45
スターレット
プリンス・オブ・ブロードウェイ10:00ー11:45
プリンス・オブ・ブロードウェイ
スターレット10:00ー11:45
スターレット

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10/25(土) 10/26(日) 10/27(月) 10/28(火) 10/29(水) 10/30(木) 10/31(金)
テイクアウト20:55ー22:25
テイクアウト
プリンス・オブ・ブロードウェイ20:30ー22:15
プリンス・オブ・ブロードウェイ
スターレット20:30ー22:15
スターレット
フォー・レター・ワーズ20:30ー22:00
フォー・レター・ワーズ
プリンス・オブ・ブロードウェイ20:30ー22:15
プリンス・オブ・ブロードウェイ
スターレット20:30ー22:15
スターレット
テイクアウト20:30ー22:05
テイクアウト

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作品紹介

テイクアウト

テイクアウト

© CreFilm. All Rights Reserved

2004年/87分
監督・脚本:ショーン・ベイカー、ツォウ・シンチン
撮影:ショーン・ベイカー
出演:チャールズ・チャン、エング・フア・ユー、ワン・ザイ・リー

密入国業者への多額の借金を抱えながら、ニューヨークの中華料理屋で配達員として働く不法移民の青年の1日を捉えた長編第二作目。徹底した社会派リアリズムのスタイルで、マンハッタンに暮らす移民たちの厳しい日々を浮き彫りにする。

プリンス・オブ・ブロードウェイ

プリンス・オブ・ブロードウェイ

© CreFilm. All Rights Reserved

2008年/100分
監督:ショーン・ベイカー
脚本:ショーン・ベイカー、ダレン・ディーン
撮影:ショーン・ベイカー
出演:プリンス・アドゥ、カレン・カラグリアン、エイデン・ノエシ

ニューヨークのストリートで偽ブランド品を売って生計を立てるラッキーの元へ、かつての恋人が存在すら知らない”息子”を連れてきたことで全てが一変する。いきなり”パパ”になった黒人青年と幼い子供、それを取り巻く人間模様をチャーミングに描く。

スターレット

スターレット

© 2012 STARLET FILMS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

2012年/103分
監督:ショーン・ベイカー
脚本:ショーン・ベイカー、クリス・ベルゴーク
撮影:ラディウム・チャン
出演:ドリー・ヘミングウェイ、ベセドカ・ジョンソン、ジェームズ・ランソン、カレン・カラグリアン

女優志望のジェーンは、愛犬のチワワといつも一緒。ある日ガレージセールで購入したポットに大金が入っていることに気づく。ポットの持ち主である老婦人とジェーン、歳の離れた女性二人の心の交流を生き生きと描くユーモラスな感動作。
※過去に『チワワは見ていた』のタイトルでソフト化済み

〔特別上映〕

フォー・レター・ワーズ

フォー・レター・ワーズ

© CreFilm. All Rights Reserved

2000年/82分
監督・脚本:ショーン・ベイカー
撮影:サム・セルバ
出演:デイヴィッド・アリ、ヘンリー・ベイリン、フレッド・バーマン

ある真夏の夜のパーティーで酔っ払い、戯れ、いさかいを起こす若者たちを描いた長編デビュー作。アメリカ郊外に暮らす男子大学生たち特有の生々しい会話が飛び交う。リチャード・リンクレイター作品などを彷彿とさせる青春のポートレートに、ベイカーの鋭い観察眼が光る。

10/18(土)-10/31(金)

映画批評月間 フランス映画の現在2025

映画批評月間

フランス映画の現在2025

10/18(土)-10/31(金)

映画批評月間

フランス映画の現在2025

10/18(土)-10/31(金)

日本で上映される機会のないフランスの最新作、あるいは隠れた名作を紹介する特集 「映画批評月間~フランス映画の現在」。2025年は、パトリシア・マズィ監督の初長編作『走り来る男』と最新作『ボルドーに囚われた女』、カンヌ国際映画祭をはじめとする映画祭や批評家たちから高く評価された日本未公開の4作品、また「知られざるヌーヴェル・ヴァーグの作家」リュック・ムレの作品を上映します。

主催:横浜シネマリン、一般社団法人コミュニティシネマセンター
公式サイト:http://jc3.jp/mdlc2025/
企画協力:アンスティチュ・フランセ日本
助成:アンスティチュ・フランセパリ本部、ユニフランス
アンスティチュ・フランセ日本 映画プログラム オフィシャル・パートナー:CNC、笹川日仏財団
特別協力:JAIHO 協力:プンクテ フィルム提供及び協力:レ・フィルム・デュ・ロサンジュ、MK2

入場料 一般1900円/会員・大専・シニア1300円/高校生以下800円

イベント情報
10/19(日)『ビリー・ザ・キッドの冒険』+『ウニの陰謀』上映後、葛生賢さん(映画作家・映画批評家)のトークイベントがございます。

上映スケジュール

10/18(土) 10/19(日) 10/20(月) 10/21(火) 10/22(水) 10/23(木) 10/24(金)
走り来る男14:20ー15:50
走り来る男
ビリー・ザ・キッドの冒険14:20ー15:55
ビリー・ザ・キッドの冒険+ウニの陰謀
アフタートーク
葛生賢さん
ブリジットとブリジット14:20ー16:00
ブリジットとブリジット+黒い大地
映画館の座席14:20ー15:55
メドールの帝国+映画館の座席+ロングスタッフ氏の亡霊
パシフィクション14:20ー17:10
パシフィクション
ゴールドマン裁判14:20ー16:16
ゴールドマン裁判
ジムの物語14:20ー16:05
ジムの物語
ボルドーに囚われた女16:00ー17:55
ボルドーに囚われた女
カップルの解剖学16:50ー18:30
カップルの解剖学+開栓の試み
歓喜16:10ー17:55
歓喜
ジムの物語16:10ー17:55
ジムの物語
ビリー・ザ・キッドの冒険16:25ー18:00
ビリー・ザ・キッドの冒険+ウニの陰謀
走り来る男16:15ー17:50
走り来る男

予定表 横にスクロールできます

10/25(土) 10/27(日) 10/28(月) 10/29(火) 10/30(水) 10/31(木) 11/1(金)
パシフィクション18:00ー20:45
パシフィクション
ジムの物語18:00ー19:50
ジムの物語
ボルドーに囚われた女16:50ー18:40
ボルドーに囚われた女
カップルの解剖学16:50ー18:30
カップルの解剖学+開栓の試み
ブリジットとブリジット16:50ー18:30
ブリジットとブリジット+黒い大地
ジムの物語16:50ー18:31
ジムの物語
ゴールドマン裁判16:50ー18:46
ゴールドマン裁判
走り来る男18:50ー20:20
走り来る男
ビリー・ザ・キッドの冒険18:40ー20:20
ビリー・ザ・キッドの冒険+ウニの陰謀
歓喜18:40ー20:20
歓喜
カップルの解剖学18:40ー20:20
カップルの解剖学+開栓の試み
映画館の座席18:55ー20:25
メドールの帝国+映画館の座席+ロングスタッフ氏の亡霊

予定表 横にスクロールできます

上映作品

カンヌ映画祭が選んだ傑作!
La Souriante Madame Beudet de Germaine Dulac

2022年から2024に製作され、世界的にも評価を得た優れたフランス映画から、日本で上映される機会のない作品を選りすぐって紹介します。

パシフィクション Pacifiction d’Albert Serra

©Films Boutique

スペイン=フランス=ドイツ=ポルトガル/2022年/165分/カラー
監督:アルベール・セラ
出演:ブノワ・マジメル、パホア・マハガファナウ、マルク・スジーニ

*第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品/「カイエ・デュ・シネマ」2022年ベストテン第1位

南太平洋のフランス領ポリネシアにある「デ・ローラー共和国」。高等弁務官は、完璧なマナーを身に着け、公式の場でも裏社会でも、地元住民の動向を怠りなく注視し、抜かりなく身を処してきた。太平洋上で潜水艦が目撃され、フランスの核実験再開の噂が流れる中、海軍総督らが島に上陸、不穏な気配が島全体を覆い始める。

ゴールドマン裁判 Le Procès Goldman de Cédric Kahn

©Séverine Brigeot

フランス/2023年/116分/カラー
監督:セドリック・カーン
出演: アリエ・ワルトアリテ、アルチュール・アラリ、ステファン・グラン・ティリー

*第76回カンヌ国際映画祭監督週間オープニング作品

1970年代にフランス中を騒がせた「ピエール・ゴールドマン事件」の法廷を再現した裁判映画。複数の強盗罪で起訴されたゴールドマンは、自身の罪を認めながら、薬局で起きた殺人事件だけは否認する。警察の杜撰な捜査や曖昧な証言、ユダヤ人差別など数々の問題が浮上してくる。法廷でのやり取りがドキュメンタリーのようにカメラに収められていく。

歓喜 Le Ravissement d’Iris Kaltenbäck

©DR

フランス/2023年/97分/カラー
監督:イリス・カルテンバック
出演:アフシア・エルジ、アレクシ・マナンティ、ニナ・ミュリス

*第76回カンヌ国際映画祭批評家週間出品

仕事熱心な助産師のリディアは恋愛で破局を迎えていた。同じ頃、親友のサロメが妊娠、共に出産までのときを過ごす。難産を乗り越えて新生児を取り上げ、名付け親となり、育児にも積極的に協力する。そんなある日、かつて一夜を過ごしたミロスと再会、孤独なリディアの小さな噓はやがて人生を賭けた大きな事件へ広がっていく。

ジムの物語 Le Roman de Jim

©DR

2024年/101 分/フランス/カラー
監督:アルノー&ジャン=マリー・ラリユー
出演: カリム・ルクルー、レティシア・ドッシュ、サラ・ジロドー、ベルトラン・ブラン

*第77回カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア出品
*カリム・ルクルー 第50回セザール主演男優賞受賞

ジュラ山脈に囲まれ街サン・クロードで、心優しい青年エメリックはかつての仕事仲間フロランスと再会する。妊娠6カ月のフロランスと暮らすようになったエメリックは、生まれきたジムを自分の子のように育て、ふたりの間には強い絆が生まれる。しかし、ある日ふたりの前に実の父親クリストフが現れる。それはメロドラマの始まり、そして父親としての放浪(オデッセイ)と冒険の旅の始まりであった。

パトリシア・マズィ監督特集
Focus Patricia MAZUY

パトリシア・マズィは、フランス映画の中でも、ユニークで力強いスタイルを確立している。アメリカ滞在中に出会ったアニエス・ヴァルダの庇護のもと、最初の短編をつくり、ヴァルダの最高傑作と評される『冬の旅』(1985)で編集を担当する。初長編監督作『走り来る男』以降、マズィは、激しい感情、あるいは断固たる決意をひめたヒロインを主人公としている。フォードとカーペンターというアメリカ映画の偉大なるふたりのジョンをこよなく敬愛し、広い空間と独特なロケーションを好み、階級闘争や、馬や牛といった動物への情熱、自然との関係を描きながら、彼女の映画は人間の紆余曲折する運命に光を当て続けている。最新作『ボルドーに囚われた女』ではイザベル・ユペールとアフシア・エルジ、ふたりの偉大な女優が演じる世代、階層の異なる女性間の友情、テンション、サスペンスが見事に描かれている。

走り来る男 Peaux de vaches

©DR

フランス/1988年/87分/カラー
監督:パトリシア・マズィ
出演:ジャン=フランソワ・ステヴナン、サンドリーヌ・ボネール、ジャック・スピエセル

*1989年カンヌ国際映画祭ある視点部門出品作品

北フランスのある田舎町、ジェラールは兄とともに酩酊し、農場に火事を起こしてしまい、たまたまそこにいた浮浪者が命を落としてしまう。10 年後、刑務所から出所した兄は、美しいアニーと結婚し、娘ができ、あらたに農場を持つジェラールのもとに戻ってくる。はたして彼は復讐を果たしに戻ってきたのだろうか…。撮影はヌーヴェルヴァーグを支えた名匠ラウル・クタール。

ボルドーに囚われた女 La Prisonnière de Bordeaux

©DR

フランス/2024年/108分/カラー
監督:パトリシア・マズィ
出演:イザベル・ユペール、アフシア・エルジ、マーニュ・ハヴァード・ブレック

*カンヌ国際映画祭監督週間出品作品

ボルドーのある屋敷に一人で暮らすアルマと、郊外に住む若い母親ミナは、同じ刑務所に留置されている夫の不在を中心に生活を組み立てていた。夫たちの面会に訪れたとき、二人の女性は出会い、波乱に満ちた、不可能な友情を育むことになる…。

知られざるヌーヴェル・ヴァーグ リュック・ムレ特集
Rétrospective Luc MOULLET

「リュック・ムレは、ブニュエルとタチの両者を継承するおそらく唯一の存在だ」――ジャン゠マリー・ストローブ(映画作家)
ヌーヴェル・ヴァーグ唯一のバーレスク映画作家であり、フランスをはじめ世界的にカルト的な人気を誇るリュック・ムレ。コメディ、冒険活劇、西部劇、日記、ロードムービー、犯罪映画、そしてカップル、地理、文学作品を題材にした作品など、あらゆるフォーマット、あらゆるジャンルで38本の映画を生んでいる。

[プログラム1]
ブリジットとブリジット Brigitte et Brigitte

©DR

フランス/1966年/75分/モノクロ
出演:フランソワーズ・ヴァテル、コレット・デコンブ

ピレネー出身の女の子とアルプス出身の女の子が上京したパリで偶然出会う。同じ名前を持つふたりは意気投合し、一緒に大学生活を満喫しようとするのだが…。ムレは首都に到着した瞬間から、自分の生い立ちを忘れ、見知らぬ世界で受け入れられるために規範に従わなければならない若者たちを観察する。フラー、ロメール、シャブロルらが友情出演。ゴダールに「真に革命的な映画」と讃えられ、イエール映画祭で審査員特別賞を受賞した。

[プログラム1]
黒い大地 Terres noirs

©DR

フランス/1961/19 分/カラー

道路がなく、ほとんど消滅しようとしているようなふたつの村、ピレネー山脈のマンテとアルプスのマリオーを探訪する。題材の深刻さと短編映画の遊び心との間に楽しいコントラストを生み出している。

[プログラム2]
ビリー・ザ・キッドの冒険 Une Aventure de Billy le Kid (A Girl Is a Gun)

©DR

フランス/1971年/78分/カラー
出演:ジャン=ピエール・レオー、ラシェル・ケステルベール

ピレネー出身の女の子とアルプス出身の女の子が上京したパリで偶然出会う。同じ名前を持つふたりは意気投合し、一緒に大学生活を満喫しようとするのだが…。ムレは首都に到着した瞬間から、自分の生い立ちを忘れ、見知らぬ世界で受け入れられるために規範に従わなければならない若者たちを観察する。フラー、ロメール、シャブロルらが友情出演。ゴダールに「真に革命的な映画」と讃えられ、イエール映画祭で審査員特別賞を受賞した。ひとりでウェルズ・ファーゴの駅馬車を襲ったビリーは戦利品を運ぶのに苦労する。そんな時、ビリーはアンと出会う…。ホークスを進んで参照しながら、砂漠、断崖、山道を舞台に、少人数のクルーとわずか6日で唯一無二のシュールな西部劇を撮り上げた。主人公を演じるJ゠P・レオーは、この多義的な側面を持つキャラクターを演じることにより、それまでの役やイメージから離れ、俳優としての新たな可能性を示している。編集はジャン・ユスターシュ。

[プログラム2]
ウニの陰謀 La Cabale des oursins

©DR

フランス/1990年/17分/カラー

北フランスの石炭鉱山跡に残る“ボタ山”が、コロラド州のグランドキャニオンやエジプトのピラミッドと同じように、観光名所とみなされたらどうだろう。地理をこよなく愛するムレがフランスを旅する。

[プログラム3]
カップルの解剖学 Anatomie d’un rapport

©DR

フランス/1976年/82分/モノクロ
出演:リュック・ムレ、クリスティーヌ・エベル

映画監督とそのパートナーが、フェミニズム思想に影響され、カップルとしての関係を分析する。ムレとパートナーのアントニエッタ・ピゾルノの共同監督作品。ドキュメンタリーとフィクションの中間に位置する本作でムレは自分自身を演じるが、ピゾルノは自分の役を「ビリー・ザ・キッドの冒険」のヒロイン、ラシェル・ケステルベール(変名でクレジット)に譲っている。カップルの親密さ、無秩序、異なるニーズを共存させることの難しさについて率直に語るとともに、軽視されがちだった女性の快楽について繊細な探求をしている。

[プログラム3]
開栓の試み Essai d’ouverture

©DR

フランス/1988年/15分

キャップがどうしても開かないとき、どのようにコカ・コーラのボトルを開けるか。

[プログラム4]
メドールの帝国 L’Empire de Médor

©DR

フランス/1986年/13分/カラー

犬、その飼い主、擬人化:都会における“人間の親友”の居場所についての辛辣な考察。

[プログラム4]
映画館の座席 Les Sièges de l’Alcazar

©DR

フランス/1989年/57分/カラー
出演:オリヴィエ・マルティニ、エリザベト・モロー、サビーヌ・オードパン

1955年、パリ。『カイエ・デュ・シネマ』誌の批評家ギィは、地元の映画館にヴィットリオ・コッタファヴィの映画を観に行く。そこで敵対する雑誌『ポジティフ』の批評家ジャンヌと会い、恋に落ちるのだが…。シネフィルの日常が痛快に描き出される。

[プログラム4]
ロングスタッフ氏の亡霊 Le Fantôme de Longstaf

©DR

フランス/1996年/20分/カラー
出演:イリアナ・ロリック、エレーヌ・ラピオヴェル、ジェフリー・キャリー
原作:ヘンリー・ジェイムズ短編集『ロングスタッフの結婚』

1880年、ノルマンディーの浜辺で、喘息で瀕死の裕福なイギリス人が、若く美しいアメリカ人女性と出会い、恋に落ちる。彼女は彼を拒絶するが、2年後、彼は再び現れる…。綿密なフレーミングと洗練された演技でヘンリー・ジェイムズの世界を見事に描き出す。

10/25(土)/26(日)

柳下美恵のピアノdeフィルムvol.16

嵐の孤児メイン画像

柳下美恵のピアノdeフィルムvol.16

嵐の孤児あらしのこじてORPHANS OF THE STORM

1921年/アメリカ/150分[20fps]予定/35mm
監督:D・W・グリフィス/出演:リリアン・ギッシュ、ドロシー・ギッシュ

サイレント映画の35ミリフィルム上映 × ピアノの即興生伴奏

2025.10.25[土]&26[日] 各日14:45

映画が誕生してまもなく130年。最初の約40年間の作品は今ではサイレント映画と呼ばれています。映写機のフィルムがスクリーンに映し出され、語りや音楽伴奏と共に上映していました。トーキーは映写速度が24コマ/秒ですが、サイレントは作品によって違っています。トーキーのスクリーンサイズは作品によって違っていますが、サイレントは1.33×1でした。デジタル上映が主流になる今、映画が誕生した頃の形にこだわった上映を試みます。

国立映画アーカイブロゴ

フィルム提供:国立映画アーカイブ

1921年/アメリカ/150分[20fps]予定/35mm/サイレント/ユナイテッド・アーティスツ
監督:D・W・グリフィス/原作:アドルフ・フィリップ・デヌリ、ウジェーヌ・コルモン/脚本:ガストン・ド・トロリニャック/撮影:ヘンドリック・サートフ/美術:チャールズ・M・カーク、エドワード・スコル/フィルム提供:国立映画アーカイブ/出演:リリアン・ギッシュ、ドロシー・ギッシュ、ジョージフ・シルドクラウト、クレイトン・ヘール、モント・ブルー

 今年生誕150年を迎えるデヴィッド・ウォーク・グリフィス監督の後期代表作。グリフィスはモンタージュ、カットバック、クローズアップなど映画作りに欠かせない技法を編み出し、映画文法を確立した。
 リリアンとドロシーのギッシュ姉妹がフランス革命とその後のロベスピエールの恐怖政治という歴史の嵐に巻き込まれる。二人の熱演と共に18世紀末のパリを再現した大野外セットや群衆シーン、グリフィス作品の代名詞となった「ラストミニッツ・レスキュー」は見逃せない。
 ギッシュ姉妹はグリフィス監督の『見えざる敵』(1912)で鮮烈なデビューを果たした。その後、姉のリリアンはグリフィス組のミューズとして数々の作品に主演、ガラス細工の様な繊細な表現、生まれ持った芯の強さ、神のような深遠な存在感で数多くのファンを魅了した。

アフタートークイベント

10.25[土] 井上正昭さん(映画研究・翻訳)オンライン

10.26[日] 宮下啓子さん(無声映画愛好家)

入場料一般・シニア2,000円/会員1,700円/ユース(25歳以下)1,000円

チケット購入情報

10.22[水]より、横浜シネマリンオンラインチケット予約サイト、劇場受付にて、座席指定券を販売いたします。


サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学ピアノ専攻卒業。1995年、山形国際ドキュメンタリー映画祭のオープニング上映、映画生誕百年祭『光の生誕リュミエール!』でデビュー。 以来、国立映画アーカイブや神戸映画資料館などのアーカイブ、映画の復元と保存に関するワークショップ、全国コミュニティシネマ会議、東京国際映画祭、京都国際映画祭、アップリンク、シネマ・ジャック&ベティなどの映画館、海外は韓国映像資料院、SEAPAVAA(東南アジア太平洋地 域視聴覚アーカイブ)マレーシア会議、タイ無声映画祭、 ポルデノーネ無声映画祭、ボローニャ復元映画祭(イタリア)、ボン無声映画祭(ドイツ) などで伴奏。日本、イギリス、アメリカ、デンマークで出版された 『裁かるゝジャンヌ』のDVDやブルーレイの音楽を担当した。音楽で見せる欧米スタイルの無声映画伴奏者は日本人初。映画を楽譜として映画に寄り添い続ける。映画館にピアノを常設する“映画館にピアノを!”、サイレント映画×ピアノの生伴奏“ピアノdeシネマ”、 サイレント映画週間“ピアノ&シネマ”などサイレント映画を映画館で上映する環境作りに注力中。2025年デビュー30周年を迎える。

次回予告
2026.2.21[土]、22[日]にvol.17を予定しております。 詳細は劇場Webサイトやチラシをご覧ください。

10/25(土)~

オスロ、3つの愛の風景

第75回ベルリン国際映画祭でノルウェー映画初の最高賞<金熊賞>受賞!(DREAMS)
イングマール・ベルイマン、アキ・カウリスマキ、ヨアキム・トリアーに続く、北欧映画界の知られざる名手、ダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督の長編作が日本初上陸!

ベストセラー小説家や図書館の司書といった異色の経歴を持ちながらも、長編映画デビュー作「I Belong」(英題/2012)や「Beware of Children」(英題/2019)がノルウェー・アカデミー賞(アマンダ賞)を席巻するなど、北欧映画界ではその確かな実力が評価されてきたダーグ・ヨハン・ハウゲルード。トリロジーとして発表した『SEX』で昨年の第74回ベルリン国際映画祭にてエキュメニカル賞を含む3部門を受賞、『LOVE』では第81回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品、そして『DREAMS』では今年の第75回ベルリン国際映画祭にてノルウェー映画初となる金熊賞という快挙を成し遂げ、世界的な映画監督の仲間入りを果たした。歴代の名匠たちに続く北欧映画界の知られざる名手の渾身の3作品が、満を持しての日本初劇場公開となる。

これまでにない感情に出会うとき、人は何を考え、どんな言葉を交わすのか――
自然と文化の美しい街、オスロから届く「恋」「愛」「性」にまつわる3つの”風景”。

女性教師に恋をした17歳の少女の赤裸々な初恋手記をめぐる『DREAMS』、2人の医療従事者が様々な愛の形を模索する『LOVE』、妻子がいる男性がとある体験から”らしさ”を再考する『SEX』。3作に共通するのは、自らの心の奥底にある欲望に気づいた人々が繰り広げる、ウィットに富んだ会話の数々。正義のジャッジを下すことなく、これまでに刷り込まれてきた価値観と内から湧き出てくる感情を、穏やかに、時には葛藤し紐解いていく人々の姿にわたしたちは共感し、戸惑い、そして未知の刺激と余韻に出会う。さらに、日常的に使用されるフェリー、ランドマークであるオスロ市庁舎、煙突のある家々など、ノルウェーの首都・オスロならではの自然と文化が融合する美しい景色が広がり、人々の優しくささやかな営みを映し出す。エリック・ロメールから多大な影響を受けたというハウゲルードが描く、現代社会で生きる人間の”おかしみ”をご堪能あれ。

上映スケジュール

10/25(土) 10/26(日) 10/27(月) 10/28(火) 10/29(水) 10/30(木) 10/31(金)
DREAMS12:35ー14:25
DREAMS
LOVE12:25ー14:30
LOVE
SEX12:25ー14:30
SEX
LOVE12:25ー14:30
LOVE
DREAMS12:25ー14:25
DREAMS
SEX12:25ー14:30
SEX
LOVE12:25ー14:25
LOVE
DREAMS14:40ー16:35
DREAMS
SEX14:40ー16:40
SEX
LOVE14:40ー16:40
LOVE
DREAMS14:40ー16:35
DREAMS
SEX14:40ー16:40
SEX

予定表 横にスクロールできます

上映作品

DREAMS

DREAMS

©Motlys

2024年/ノルウェー/110分/配給:ビターズ・エンド
原題:Drømmer
英題:Dreams (Sex Love)
監督・脚本:ダーグ・ヨハン・ハウゲルード
撮影:セシリエ・セメク
出演:エラ・オーヴァービー 、セロメ・エムネトゥ、アネ・ダール・トルプ、アンネ・マリット・ヤコブセン
後援:ノルウェー大使館

女性教師のヨハンナに初めての恋をした17歳のヨハンネは、この恋焦がれる想いや高揚を忘れないようにと自らの体験を手記にする。そしてこの気持ちを誰かに共有するため詩人の祖母に手記を見せたことから、物語は思いもよらない展開へと進み始める。

第75回ベルリン国際映画祭最高賞<金熊賞>受賞(国際映画批評家連盟賞&ドイツ・アートハウス映画組合賞)


LOVE

LOVE

©Motlys

2024年/ノルウェー/120分/配給:ビターズ・エンド
原題:Kjærlighet
英題:Love
監督・脚本:ダーグ・ヨハン・ハウゲルード
撮影:セシリエ・セメク
出演:アンドレア・ブレイン・ホヴィグ 、タヨ・チッタデッラ・ヤコブセン、マルテ・エンゲブリクセン、トーマス・グレスタッド、ラース・ヤコブ・ホルム
後援:ノルウェー大使館

泌尿器科に勤める医師のマリアンヌと看護師のトール。共に独身でありステレオタイプな恋愛を避けている。マリアンヌはある晩、友人から紹介された男性と対面するが、子どもがいる彼との恋愛に前向きになれない。その後乗ったフェリーで偶然トールに遭遇すると、彼はマッチングアプリなどから始まるカジュアルな恋愛の親密性を語り、マリアンヌに勧める。興味を持ったマリアンヌは自らの恋愛の方法の可能性を探る。一方トールはフェリーで知り合った精神科医のビョルンを偶然勤務先の病院で見かけー。

第81回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品


SEX

SEX

©Motlys

2024年/ノルウェー/118分/配給:ビターズ・エンド
原題:Sex
英題:Sex
監督・脚本:ダーグ・ヨハン・ハウゲルード
撮影:セシリエ・セメク
出演:トルビョルン・ハール、ヤン・グンナー・ロイゼ、シリ・フォルバーグ、ビルギッテ・ラーセン
後援:ノルウェー大使館

煙突掃除を営む妻子持ちの2人の男。ひとりは客先の男性との思いもよらない一度きりのセックスを通じて新しい刺激を覚えるが、悪びれることなく妻にこの体験を話してしまったことで夫婦間がこじれてしまう。もうひとりはデヴィッド・ボウイに女として意識される夢を見て、自分の人格が他人の視線によってどう形成されていているのか気になり始める。良き父、良き夫として過ごしてきた2人は、衝撃的な出来事がきっかけで自らの“男らしさ”を見つめ直すようになる。

第74回ベルリン国際映画祭パノラマ部門3部門受賞(エキュメニカル審査員賞&ラベル・ヨーロッパ・シネマズ賞&国際アートシネマ連盟賞受賞)

11/1(土)~

リンダ リンダ リンダ 4K

© 「リンダ リンダ リンダ」パートナーズ

2005年/日本/114分/カラー/配給:ビターズ・エンド
監督:山下敦弘
脚本:向井康介、宮下和雅子、山下敦弘
主題歌:「終わらない歌」(ザ・ブルーハーツ)
出演:ぺ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織(Base Ball Bear)、三村恭代、湯川潮音、山崎優子(新月灯花/RABIRABI)、甲本雅裕、松山ケンイチ、小林且弥
音楽:James Iha
製作:「リンダ リンダ リンダ」パートナーズ

公式ホームページ

過ぎていく時間
何よりもやさしい 何よりもあたたかい

⽂化祭前⽇に突如バンドを組んだ⼥⼦⾼⽣たち。
コピーするのはブルーハーツ。
ボーカルは韓国からの留学⽣!
本番まであと3⽇。
4⼈の寄り道だらけの猛練習が始まった!


ゼロ年代を代表する珠玉の青春映画がcoming back!!

公開から20年経っても色あせるどころか、世界中にファンを増やし続ける珠玉の青春映画『リンダ リンダ リンダ』。熱いファンの想いは海を越え、アメリカでは本作タイトルにインスパイアされたバンドTHE LINDA LINDASが誕生するなど、世界的な現象も!
韓国のみならず、世界で活躍する俳優ペ・ドゥナが歌う、たどたどしくも心に響くブルーハーツの名曲たち、実際にドラムとギターに挑んだ前田亜季と香椎由宇のひたむきなたたずまい、演技初挑戦ながら女優たちと渡り合った本職ミュージシャンの関根史織(Base Ball Bear)。このコンビネーションを奇跡的な作品にまとめ上げたのは当時弱冠28歳だった山下敦弘監督。4Kデジタルリマスター版では、35mmフィルムの質感は残しながらも、細部をクリアに。誰もが心に抱く青春の記憶がより一層鮮やかに胸に迫る!


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11/1(土)~

坪川拓史全作品 2025

坪川拓史全作品

坪川拓史全作品

11/1(土)-11/14(金)

坪川拓史全作品

11/1(土)-11/14(金)

坪川拓史画像

坪川 拓史(つぼかわ たくし)

1972年北海道⽣まれ。1990年上京。ホームレス⽣活を経て1991年、劇団「オンシアター⾃由劇場」に研究⽣として⼊団。同時期、独学で映画制作も始める。1996年、故郷の⻑万部町にあった映画館の解体をきっかけに初⻑編映画『美式天然』の制作を開始し9年がかりで完成させる。2007年『アリア』、2013年に『ハーメルン』を制作。国内外の映画祭に招かれて幾つかの賞を受賞する。2011年室蘭市へ帰郷。2014年より同地にて『モルエラニの霧の中』制作開始。ほぼ全ての監督作で、脚本、編集、劇中⾳楽の作曲とピアノ演奏を担当。理想通りの画が撮れるまで撮影を中断して数年待つ事も度々あり、他に類を見ない独特の制作スタイルから”孤⾼の映画作家”と呼ばれている。

入場料

通常料金 一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円/障がい者1,000円

特別料金『モルエラニの霧の中』、短編作品【演奏と活弁付きライブ上映】
一般2,100円/会員・大専・シニア1,500円/障がい者1,200円/高校生以下1,000円

上映作品

冬へのパッサカリア

2025年/90分/iPhone→DCP
脚本・監督・撮影:坪川拓史
出演:[第一話]片岡正二郎、橋本さくら、草野康太
[第二話]小野武彦、中西良太、塩野谷正幸、佐藤菜南、草野康太、大塚寧々
[第三話]坂本長利、草野康太、竹野留里、あがた森魚

冬へと向かう北の大地で描かれる、 誰かの記憶をめぐる三つのストーリー
三作品からなる連作短篇集。 世界中がコロナ禍の混乱に陥った2020年、文化芸術も大きな危機に直面した。自粛や移動制限の影響で劇場や映画館が閉鎖へ、様々なプロジェクトも延期や中止の憂き目に。その最中、「文化の灯を消すまい」と坪川拓史の呼びかけに賛同したスタッフとキャストが集まり、2020年から2025年にかけて断続的に撮り続けられてきた短編作品をまとめたのが本作。最小限のスタッフで制作できるよう全編をiPhoneで撮影。キャスト陣もスタッフとして協力しながら北海道各地で撮影された。

冬へのパッサカリア第1話

第一話 『無口なピアノ』
閑散としたフェリーターミナルの片隅、学校帰りにピアノを弾くのが里奈の日課。ある日コロナ禍による客足減少に伴い航路は廃止、ピアノも使用禁止に。落ち込む里奈に無愛想な清掃員、村岡が「うちにもピアノがある」と自宅へ招く。そこは、廃業したばかりの喫茶店だった。

冬へのパッサカリア第2話

第二話 『記憶と水音』
小さな画材屋を営む津田は、⼊院中の幼なじみ川瀬の病状が気がかりだ。やがて自宅療養になった彼と、その娘奈々を交えた思い出語りのなかで、幼少時に故郷の長万部町で河童を見た話にいきあたる。翌日、3人は故郷へ向かい朧げな記憶を辿って沼を探すのだが…

冬へのパッサカリア第3話

第三話 『昨日の煙』
かつてS Lの乗務員だった元国鉄職員の吉井は、妻に先立たれてからの一人暮らしをあきらめ⾼齢者施設への⼊所を決める。家財処分のため呼び出した引取り業者の杉⼭に「私も捨ててくれ」と言い出した彼の願いは「繰り返し夢に出てくる場所」を探すことだった。

モルエラニの霧の中

モルエラニの霧の中

2020年/214分(1部 123分/2部 91分)途中休憩あり/HD→DCP
監督:坪川拓史
出演:大杉漣、大塚寧々、小松政夫、菜葉菜、久保田紗友、竹野留里、草野康太、香川京子、坂本長利、水橋研二

北海道室蘭市を舞台に5年をかけて制作された7話オムニバス作品。香川京子、坂本長利、大塚寧々、草野康太、水橋研二、菜葉菜、久保田紗友ら俳優たちと共に、演技未経験の市民が主演を含む多くの役柄で出演。2018年に急逝した大杉漣、2020年に亡くなった小松政夫の最後の公開作品。

*第43回サンパウロ国際映画祭 「⻑編コンペティション部⾨公式招待作品」
*第17回ロサンゼルス⽇本映画祭 「グランプリ」

美式天然

美式天然

2005年/95分/16mm→DCP
監督:坪川拓史
出演:吉田日出子、髙橋喜久代、熊澤段、あがた森魚、内田紳一郎、真那胡敬二、常田富士男、山田吾一、小松政夫、高木均

1996年から2005年まで9年の歳月をかけて制作された長編第1作目。「一本の映画フィルムをめぐる、二つの時代の物語」。日本での公式劇場公開は、完成から17年目にして今回が初。主演は、吉田日出子と本作完成直前に亡くなった高木均。全ての坪川作品に出演した小松政夫との初タッグでもあり、活動弁士役としての妙技が堪能できる。

*第23回トリノ国際映画祭 「グランプリ」&「最優秀観客賞」
*第2回横浜⻩⾦町映画祭 「グランプリ」

アリア

アリア

2007年/105分/35mm→DCP
監督:坪川拓史
出演:塩野谷正幸、高橋マリ子、片岡正二郎、四谷シモン、ミッキー・カーチス、正司歌江、若松孝二、小松政夫

長編第2作目。完成から15年目にして、今回が国内初公開。「ピアノ調律師の男が、亡き妻の愛した砂浜と、人形遣いに依頼されたピアノを探す旅に出る物語」。青森から北海道各地を縦断する一大ロケーションを敢行。出演は、塩野谷正幸、人気モデルの高橋マリ子、人形作家としても知られる四谷シモン、映画監督の故・若松孝二など多彩な面々。人形遣い役で出演の小松政夫による数々の貴重な芸も記録。

*第7回ユーラシア国際映画祭 「中央アジア映画連盟選出最優秀作品」
*第4回フランスキノタヨ映画祭 「最優秀観客賞」

ハーメルン

ハーメルン

2013年/132分/HD→DCP
監督:坪川拓史
出演:西島秀俊、坂本長利、倍賞千恵子、水橋研二、二瓶鮫一、守田比呂也、風見章子

福島県の昭和村を舞台に制作された長編第3作目。2011年に発生した東日本大震災での中断を経て5年をかけ完成。奥会津の美しい風景の中、「廃校に暮らす元校長先生と卒業生との魂のふれあいを描く」。出演は、今や世界中の映画人から愛される西島秀俊。2024年3月に94歳で惜しまれつつ亡くなった坂本長利。加えて、日本を代表する女優である倍賞千恵子が出演のみならず劇中とエンドロールで歌声も披露している。

特別上映 演奏と活弁付きライブ上映

くものすカルテット

演奏:くものすカルテット 弁士:片岡正二郎
【くものすカルテット】

レトロな雰囲気を漂わせた(懐かし新しい)演奏と、オリジナルの【紙芝居】や【無声映画】の上映をも織りまぜた独創的なライブスタイルで人気を呼んでいる。 https://www.kumokaru.net/

十二月の三輪車

十二月の三輪車

1995年/25分/8mm
監督:坪川拓史/早藤まき
出演:熊沢段、片岡正二郎、内田紳一郎、綾田俊樹

早藤まきとの共同監督による初作品。「歯痛の男が森へ迷い込み、次々と現れる怪しげな者たちに歯医者の場所を尋ねるが…」。効果音も含めた生伴奏付きの上演が、イタリアやフランスでも好評を博す。

日本人アンナ「川端康成原作『掌の小説』より」

日本人アンナ

2010年/30分/16mm
監督:坪川拓史
出演:福士誠治、清宮リザ、菜葉菜、内田春菊、小松政夫、奥村公延

4人の監督によるオムニバス映画『掌の小説』から、脚本と監督を担当した第3話「日本人アンナ」。

11/5(水)、11/11(火) 限定上映

シェアの法則+それからの日々

シェアの法則メイン画像

Ⓒ2022ジャパンコンシェルジュ

2022年/107分/シネスコ/5.1ch/配給:GACHINKO Film
監督:久万真路
脚本:岩瀬顕子
  出演:小野武彦、貫地谷しほり、浅香航大 、鷲尾真知子、宮崎美子、岩瀬顕子、大塚ヒロタ、小山萌子、上原奈美、内浦純一、山口森広、岩本晟夢、久保酎吉
主題歌:「花の記憶」歌 澤田知可子
企画:日穏-bion-
後援:豊島区
製作:株式会社ジャパンコンシェルジェ
宣伝協力:マジックアワー

公式ホームページ

小野武彦、映画初主演の話題作!

シェアハウスを経営する老夫婦が、様々な背景をもつ住人たちとの関わりを描いた舞台「シェアの法則」(作:岩瀬顕子/劇団青年座が上演)が映画化。主演は、『踊る大捜査線』シリーズをはじめ『鍵泥棒のメソッド』『ザ・マジックアワー』など名脇役として舞台・テレビ・映画に引っ張りだこの小野武彦。脇を固めるのは実力派俳優の貫地谷しほりさん、人気上昇中の浅香航大、名脇役の鷲尾真知子、ハリウッド作品にも出演の岩瀬顕子、そして小野武彦とはデビュードラマでの共演以来、40年来の仲の宮崎美子。舞台版に引き続き岩瀬が脚本を担当し、『うちの執事が言うことには』の久万真路が監督。

東京の一軒家で暮らす春山夫妻。自宅を改装して始めたシェアハウスには、年齢も職業も国籍もバラバラの個性的な面々がおり、彼らは互いに協力し合い、時には衝突しながらも、共同生活を営んでいる。 管理人である妻の喜代子は食事会を開いたり相談に乗るなど、住人たちの母親のような存在だったが、ふとした事故をきっかけに入院することとなった。そこで、しばらくの間、夫の秀夫が妻の代わりを務めることになる。社交的な喜代子とは対照的に、人づきあいが嫌いで誰とも打ち解けようとしない秀夫は、住民からも疎まれ、息子の隆志に対しても厳しく接している。そんな中、キャバクラで働いている美穂が勤務先でトラブルを起こし呼び出されることになった。自分の価値観でのみ物事を見てきた男が、様々な境遇の人たちと関わる事によって、少しずつ相手を『思いやる』ことを学んでいく物語。

同時上映「それからの日々」
シェアの法則のスタッフが再結集した続編「それからの日々」(2024年/11分)を同時上映します。


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11/8(土)~

ヴィターリー・カネフスキー トリロジー

ヴィターリー・カネフスキー トリロジー

ヴィターリー・カネフスキー トリロジー

11/8(土)-11/21(金)

ヴィターリー・カネフスキー トリロジー

11/8(土)-11/21(金)

人生を揺るがす映画がある
永遠なる清冽な瞬間を切りとった
伝説のカネフスキー監督3部作、一挙上映!

1990年、映画の表舞台に彗星の如く現れた54歳の新人監督、ヴィターリー・カネフスキー。
『動くな、死ね、甦れ!』でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人賞)に輝き驚愕のデビューを果たした彼は、その続編『ひとりで生きる』でカンヌ国際映画祭審査員賞受賞。そして3作目となる初のドキュメンタリー『ぼくら、20世紀の子供たち』では、ソ連解体後の混沌としたロシアで社会から弾き出されたストリート・チルドレンたちの生きる姿や心の内をありのままに映し出し、世界に衝撃を与えた。
この3部作は、自身もストリート・チルドレンで不良少年だった監督の経験をもとに撮られたものであり、フランソワ・トリュフォー作品におけるアントワーヌ・ドワネルのように、主人公ワレルカを演じるパーヴェル・ナザーロフと彼の守護天使ガリーヤ/ワーリャを演じるディナーラ・ドルカーロワを追った3部作でもある。
映画と出会った悪童が起こした奇跡は、人生を揺るがす作品として人々の中で生き続ける―。

公式サイト https://www.gnome15.com/kanevsky3/

配給 ノーム

入場料一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円

作品紹介

動くな、死ね、甦れ!〈デジタルリマスター版〉

動くな、死ね、甦れ!

1989年/ソビエト/モノクロ/104分
監督・脚本:ヴィターリー・カネフスキー
出演:パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ、エレーナ・ポポワ

舞台は第二次世界大戦直後、収容所地帯と化したソ連の炭鉱町。大人でさえ自分を守ることで精一杯な世の中を、危うげながらも逞しく生きる12才の少年ワレルカ。彼の引き起こす無垢な、しかし、やってはならない悪さは、母親への反発と相まって次第にエスカレートしていく。そんな彼の前に、守護天使のように現れては、危機を救ってくれる幼馴染の少女ガリーヤ。二人に芽生えた淡い想いは次第に呼応していくが、やがて運命はとんでもない方向へ転じていくのだった…。世界を魅了し続ける少年映画の金字塔。

★第43回カンヌ国際映画祭カメラドール受賞

ひとりで生きる

ひとりで生きる

1991年/フランス・ロシア/カラー/100分
監督・脚本:ヴィターリー・カネフスキー
出演:パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ、エレーナ・ポポワ

15才になったワレルカは少年期に別れを告げようとしていたが、大人たちの世界はますます悲劇的な様相を呈し、彼にとって唯一、ガリーヤの妹ワーリャと一緒にいる時だけが心落ち着く時だった。そんな中、ある事件をきっかけに学校を退学になったワレルカは、ワーリャの思いをよそに、ひとりで町を出る。故郷や家族と離れ、ひとりで生きるワレルカ。一方、残されたワーリャは、返事のないワレルカに手紙を送り続け・・・。幼さを見せながら、大人へと成長していく少年の心の風景をスクリーン上で開花させた傑作。

★第45回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞

ぼくら、20世紀の子供たち〈デジタルリマスター版〉(日本初公開)

ぼくら、20世紀の子供たち

1993年/フランス/カラー/83分
監督:ヴィターリー・カネフスキー
出演:パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ

国際的な評価を得たカネフスキーが次にカメラを向けたのは、社会体制が崩壊したロシアの都市に巣くうストリート・チルドレンたち。窃盗、強奪、売春、そして殺人…残忍性をエスカレートさせていく彼らの裏側に傷つきやすい感受性を見るカネフスキー。やがてカメラは、思わぬ場所でワレルカの面影を残したパーヴェル・ナザーロフの姿を捉える。そして、2本の映画で共演したのち、全く異なる人生を歩み成長していったパーヴェルとディナーラが再会を果たす。デジタルリマスター版を日本初公開!

★第44回べルリン国際映画祭ヤングフォーラム部門正式出品作品

11/15(土)~

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©Athanor Ltd.

提供・配給:ザジフィルムズ、クープ

公式ホームページ

日本では10年ぶりの特集上映!
チェコの老錬金術師ヤン・シュヴァンクマイエルが放つ
最新3作品、ついに公開!

1988年の『アリス』以来、『ファウスト』『悦楽共犯者』『オテサーネク』『ルナシー』『サヴァイヴィング ライフ』と、これまで6本の長編を発表してきたチェコのシュルレアリストにして、アニメーション&映画作家ヤン・シュヴァンクマイエル(現在90歳!)が、「最後の長編劇映画」と宣言して2018年に完成させた『蟲(むし)』、ついに一般公開!
加えて、作家のこれまでの人生、先立った妻エヴァとの思い出を振り返るドキュメンタリー『錬金炉アタノール』(2020)、さらにシュヴァンクマイエルが世界中から集めた奇怪なコレクションを約2時間、ひたすら見せ続ける驚愕の映画『クンストカメラ』(2022)も同時公開!

<ヤン・シュヴァンクマイエル Jan Švankmajer>
1934年9月4日、プラハ生まれ。プラハにある応用美術大学の舞台美術科およびプラハ芸術アカデミーの人形劇学科で演出と舞台美術を学んだことが、その後の創作活動の発展を大きく方向づける。映像と演劇を融合させたパフォーマンスの一種である「ラテルナ・マギカ(Laterna Magika)」で、特殊効果を含むいくつかの映画的手法を初めて試みた。1964年、プラハのクラーツキー・フィルム・スタジオ(the Krátký film Studio)で初の映画作品『シュヴァルツェヴァルト氏とエドガル氏の最後のトリック』を制作。映画という枠を超え、独立した自由な視覚表現の創作活動を続けている。
(参照:アタノール公式サイト)

作品紹介

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© Athanor Ltd.

2018年/チェコ・スロバキア/チェコ語/98分
原題:Hmyz
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
字幕翻訳:北村広子
字幕監修:ペトル・ホリー
字幕協力:イメージフォーラム

チャペック兄弟の有名な戯曲『虫の生活』の第二幕「捕食生物たち」に取り組む、小さな町のアマチュア劇団。遅刻や欠席するメンバーたちのやる気の無さに、コオロギ役兼任の演出家は怒りが収まらない。そしてやはりコオロギ役を務める彼の妻ルージェナはハチ役の男と明らかに不倫中……不穏な空気でリハーサルが進むなか、やがて劇の展開と役者たちの行動が交錯し、ついに舞台に惨劇が訪れる! 演劇の中の物語、それを演じる役者たちの素の姿、さらに彼らを撮影したこの映画『蟲』のメイキングも同時進行で提示される斬新な3層のメタ構造。そして例によってアニメーション技法も使われ、また本物の虫たちが目を覆いたくなるほど登場! 製作時には資金を補うためのクラウドファンディングが行われ、シュヴァンクマイエルを師と仰ぐクエイ兄弟やギレルモ・デル・トロも大々的に協力、日本のファンも含め世界中から多くの出資が得られて完成した「最後の長編劇映画」。

錬金炉アタノール

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© Athanor Ltd.

2020年/スロバキア・チェコ/英語、チェコ語/123分
原題:ALCHYMICKÁ PEC
原題:The Outsiders
監督:ヤン・ダニヘル、アダム・オリハ
出演:ヤン・シュヴァンクマイエル
字幕翻訳:前田理子、御囲ちあき、髙山智絵(JVTA)
字幕監修:ペトル・ホリー
字幕協力:ひろしまアニメーションシーズン

創作上のパートナーでもあった亡き妻エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーの想い出、長年、製作を支えてきたプロデューサー、ヤロミール・カリスタとの愛憎入り交じる関係、参加しているシュルレアリスト集団の定例会、怪しげな呪物や作品の制作風景、展覧会の準備や講演、そしてスーパーで買物をする日常の姿など、あらゆる側面が赤裸々に映し出される。過去作品の抜粋や記録映像もインサートされ、彼の全貌を把握する「入門編」とも言える1本。なお「アタノール」とは錬金術で使う炉のことで、シュヴァンクマイエル自身の制作会社の名前でもある。

クンストカメラ

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© Athanor Ltd.

2022年/チェコ/120分
原題:Kunstkamera
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル

「クンストカメラ」とは「驚異の部屋」「博物陳列室」の意味で、17世紀初頭のプラハ城にルドルフ2世が作ったそれが有名だが、この映画に映し出されるのは、チェコの南西部ホルニー・スタニコフにあるお城と旧穀物庫にあるシュヴァンクマイエル自身の「クンストカメラ」。2時間、世界中から集めた絵画や彫像、動物の剥製や貝殻、自身や妻の作ったオブジェなど、一般の価値基準とは無縁の不思議なコレクションがヴィヴァルディの「四季」に乗って、ナレーションもなしに延々と映し出される。シンプルに撮影されたもののように見えて、編集、床やドアの軋む効果音にシュヴァンクマイエル臭が強烈に香る一作。

11/15(土)~

原爆スパイ

原爆スパイ

© Participant Film

2022年/イギリス、アメリカ/101分/配給:パンドラ/提供:メニーウェル
監督:スティーヴ・ジェームズ
原題:A Compassionate Spy
登場人物:テッド(セオドア)・ホール、ジョーン・ホール
日本版字幕:若林 信乃
字幕監修:新田 宗土(慶應義塾大学 / 広島大学 SKCM2)

公式ホームページ

オッペンハイマーを裏切った男
戦後80年の今暴かれる、米ソ核開発をめぐる衝撃の事実――

広島と長崎に原爆が投下された1945年から今年で80年。第二次世界大戦下、「マンハッタン計画」において、〈原爆の父〉オッペンハイマー博士の下、原子爆弾の研究・開発に最年少の18歳で参加した天才物理学者テッド・ホール。彼は開発に関わる国家機密をソ連へと密かに流していた─。米ソ間で競うように開発され、広島・長崎へと投下された原子爆弾。そして戦後激化していく軍拡競争と冷戦構造…。一人の物理学者の大胆な行動が世界をどう変えたのか?「原爆スパイ」の驚くべき人生と、核開発をめぐる大国の思惑を克明に描く衝撃のドキュメンタリー。

当時計画に携わった物理学者の多くが、米国による原爆の独占を危険視し、ソ連と情報を共有すべきだと考えていた。共産主義に傾倒しソ連へ機密を流し続けたテッド。核戦力の均衡をもたらした一方で、ソ連に禁断の兵器を握らせたとも言える彼の行動は、「正しかった」のか? 1997年、その驚くべき人生が知れ渡ると同時に米国で一大論争を巻き起こしたテッド・ホール。同じ容疑で死刑判決が下ったジュリアス・ローゼンバーグ夫妻との違いを生んだのは何だったのか?後年、動機を「思いやり」だったと語るテッドが、現代にある“警鐘”を投げかける──。

後年までFBIに追われ続けたテッド。妻と娘たちは“スパイの父”とどのように秘密を共有し、共に生きてきたのだろうか?米国で“タブー”とさえ言える「原爆投下」に疑義を突き付けるテッドを一人の人間として描き出したのは、『フープ・ドリームス』(1994年/アカデミー賞編集賞ノミネート、サンダンス映画祭観客賞)、『プリフォンテーン』(1997年)『スティーヴィー』(2002年)等で知られ、二度のアカデミー賞ノミネート、多数の受賞歴を誇る米国で最も重要なドキュメンタリー作家のひとり、スティーヴ・ジェームズである。


原爆スパイ 原爆スパイ 原爆スパイ

11/15(土)~

女性の休日

女性の休日メイン画像

© 2024 Other Noises and Krumma Films.

2024年/アイスランド・アメリカ/71分/アイスランド語・英語 /ドキュメンタリー/カラー・モノクロ/DCP /原題:The Day Iceland Stood Still/提供・配給:kinologue

製作:フラプンヒルドゥル・グンナルスドッティル
監督:パメラ・ホーガン
エグゼクティブ・プロデューサー:イライザ・リード
編集:ケイト・タベルナ
撮影:ヘルギ・フェリクソン
音響:ベルガー・プリズン
アニメーション:ジョエル・オルロフ
音楽:マルグリエト・ラウン・マグヌスドッティル(Vök, GusGus)
エンドクレジットソング:ビョーク「Future Forever」
出演:ヴィグディス・フィンボガドッティル (船長にはなれないと言われていたが、1980年世界初の女性大統領に) グズルン・エルレンズドッティル (諦めずに弁護士になる夢を叶え、初代女性最高裁長官に) アウグスタ・ソルケルスドッティル (農場主として認められていなかったが、140年で初の女性農業組合幹部に) グズニ・トルラシウス・ヨハネソン (「女性の休日」に初めて父親が料理をした思い出を語る前大統領)他
字幕翻訳:額賀深雪
後援:アイスランド大使館

公式ホームページ

【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,600円(税込)を当館受付にて発売中!特典:ステッカーセットをプレゼント!

1975年10月24日 アイスランド全女性90%が
仕事も家事も一斉に「休んだ」
世界を変えた、知られざる運命の1日のドキュメンタリー

1975年10月24日、アイスランド全女性の90%が仕事や家事を一斉に休んだ、前代未聞のムーブメント「女性の休日」。国は機能不全となり、女性がいないと社会がまわらないことを証明した。その後、アイスランドは最もジェンダー平等が進んだ国(2025年世 界経済フォーラム発表・ジェンダーギャップ指数16年連続1位、日本は118位)となった。女性大統領と女性首相が国を治めるようになった2025年、アイスランドがジェンダ ー平等先進国となる大きなきっかけとなった運命の1日を振り返るドキュメンタリーが、 50周年を記念して公開となる。


やるの?できるの?
必ずやる!

なぜ女性は船長になれないのか。
なぜ女性は農場主として認められないのか。
なぜ女性は家事のすべてを担うのか。
なぜ女性は男性より賃金が低いのか。

祖母や母の時代から続いている多くの「なぜ」を抱えた女性たちが世界中で立ち上がった1970年代、それは、北欧の小国アイスランドでも起こっていた。最初に行動をおこしたのは「レッドストッキング」の女性たち。クリスマスの家事に疲れ切ったお母さんの人形をつくってツリーにはりつけ、 男性目線な美人コンテストの会場に白く美しい雌牛を連れて行き、ラジオ番組で生理や性生活、賃金不払いについて赤裸々にトーク。ユーモアある過激な活動で世間の注目を集めていた。男性を憎んでいるわけじゃない。ほんの少し変わってほしかっただけ。
1975年、国際婦人(女性)年。6月に全国各地から約300名の様々な女性たちが集まり、女性会議が開かれた。どうすれば、女性の存在意義を全国民に示せるのか。徹底的に話し合った結果、彼女たちが決断したのは、10月24日に一斉に仕事や家事を休むストライキを行うこと。「ストライキなんて共産主義者みたいで論外!」という右派の反対意見に 「だったら『ストライキ』じゃなくて『休日』にしたら?」という提案。それぞれに思うところがあっても、団結するには妥協も必要だ。こうして「女性の休日」は動き出した。運営委員会は組織されたが、リーダーはいない。みんなが男女平等というひとつの目的を達成するために、とにかくできることをする。男性たちは「バカだね」と笑う。しかし女性たちは本気だった。


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11/22(土)~

やがて海になる

やがて海になるメイン画像

© ABILITY

2025年/日本/92分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/配給宣伝:MAP/配給協力:ミカタ・エンタテインメント/製作:ABILITY

監督:沖正人
脚本:沖正人、鈴木太一
エグゼクティブプロデューサー:伊藤崇
音楽:小山絵里奈
撮影:彦坂みさき(JSC)
照明:金子秀樹
録音:庄司寿之
出演:三浦貴大、武田航平、咲妃みゆ、山口智恵、柳憂怜、緒形敦、伊沢弘、三浦マイルド、市村優汰、 後藤陽向、川口真奈、ドロンズ石本、武田幸三、高山璃子、占部房子、白川和子、大谷亮介、渡辺哲
主題歌:「おとなになったら」作詞・作曲:オニザワマシロ、超☆社会的サンダル(Perfect Music)
制作協力:本音 ベイビーブレス クレ・マスメディア・スタディオ 
制作プロダクション:KAZUMO

公式ホームページ

【前売券】ムビチケカード 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!

あの海が憶えている—
人生に惑う《あなた》に贈る、第二の青春ストーリー

広島県の西部、瀬戸内海島嶼部に位置する江田島市。そこで生まれ、これまで一度も島から出る事なく生きてきた修司(三浦貴大)は数年前、家の畑で父親が突然死した事にずっと責任を感じ、それからはずっと、うだつの上がらない生活を送っていた。そんなある日、江田島から東京に出て映画監督として活躍している幼馴染みの和也(武田航平)が、故郷の江田島を舞台に映画を撮る事をテレビで知る。和也は高校時代、修司が思いを寄せていた同級生の幸恵(咲妃みゆ)と付き合っていたこともあり、余計に遠い関係だった。その頃、幸恵は呉市のスナックで働いていた。定期的に江田島に戻り実家の母親の面倒を見ている幸恵には江田島で水産会社を営む交際相手がいて、妻子あるその相手との交際は決して幸せなものではなかった。3人の思いが交錯する中、和也が監督する映画の撮影がスタートする。それは亡くなった母が遺した、ある願いを叶えるためでもあった……


広島県江田島市出身の沖正人監督が描くヒューマンドラマ

コロナ禍の2020年に撮影日数僅か1日、制作費0円で撮影した短編映画『ある役者達の風景』が、NHK「おはよう日本」や週刊新潮などで大々的に取り上げられ、その後長編映画として完成、同年9月に渋谷ユーロスペース他全国公開され話題となった沖正人監督。本作は、沖監督が生まれ故郷を舞台に自身の人生を投影して描いた、もう若いと言えない人生半ばの男女の《第二の青春映画》の誕生!主人公の修司役に、『国宝』『行きがけの空』「DOCTOR PRICE」など、今や映画・ドラマに欠かせない実力派俳優、三浦貴大。父親への負い目から島から出ることができず、好きな女性にも気持ちをストレートに伝えられない不器用な中年ニートを飾らずに演じた。修司の幼馴染みで映画監督の和也役に、『仮面ライダーキバ』で注目され『この小さな手』、『Floating Holidays』など主演作が続く武田航平。本作では、亡くなった母への想いを胸に秘めながら故郷で映画を撮ろうと邁進する、沖監督の分身とも言える役を爽やかに務めた。その二人に愛される幸恵役に、宝塚歌劇団雪組出身で退団後も、舞台を中心にコンサートやドラマなど大活躍中の咲妃みゆ。本作では2人の男性に愛されながら自身の生き方を貫く女性を好演。修司・和也・幸恵の高校時代を、後藤陽向、市村優汰、川口真奈が演じる他、ドロンズ石本、武田幸三、高山璃子、山口智恵、緒形敦、柳憂怜、占部房子、白川和子、大谷亮介、渡辺哲ら、個性豊かな面々が揃った。脚本は監督作「みんな笑え」が話題の鈴木太一が、沖監督と共に担当。瀬戸内海の美しいロケーションをバックに、人生に悩みながら懸命に生きる主人公たちの姿に、多くの人々が勇気をもらえだろう。


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11/22(土)~

行きがけの空

行きがけの空

©2024「行きがけの空」フィルムパートナーズ

2025年/日本/100分/製作:「行きがけの空」フィルムパートナーズ、リバーストーンワールド、日本信達
共同配給:T-artist、アークエンタテインメント
監督:西谷真一
脚本:田中晶子
音楽:谷口尚久
題字・ポスター撮影:藤原新也
出演:三浦貴大、服部樹咲、菜葉菜、藤丸千、大高洋子、神村美月、茂手木桜子、片山友希、草野康太

公式ホームページ

母の死が、少女を“真実”へと導く──
過去と向き合い、生きる意味を探す、旅の記憶。
少女の心に射しこむ、静かな光の物語。

小樽に暮らす16歳の少女・星野美歩は、母の遺品から一台の古い携帯電話を見つける。そこには、若き日の母と一人の男の写真が残されていた。その男の名は、東京で活動する舞台俳優・望月建斗。母が決して語ることのなかった“青春”の記録に導かれるように、美歩は彼に一通の手紙を送る。建斗が再び小樽の地を踏んだとき、少女と男は、過去の断片をつなぎ合わせながら、互いの喪失と向き合っていく。やがて浮かび上がる、封じられた痛みと、思いがけない“つながり”。それは、家族という言葉では語れない絆のかたち──少女の魂が羽ばたくために、空は静かに広がっていく。いま、旅立ちの朝。行きがけの空に、希望の光は射すのか──

手紙が紡ぐ、途切れた絆。心の冬を越えた先に見えるものは—

俳優として成功するも孤独な日々を送る健斗のもとに、亡き恋人から届いた手紙。その内容は、彼に娘がいる可能性を示唆するものだった。真相を確かめるため小樽を訪れた健斗は、そこで出会った高校生・美歩と運命的な繋がりを感じる。しかし、美歩は父親の存在を知らず、互いの過去と向き合おうとする中で明らかになる家族の秘密。四季折々の小樽の街並みを背景に、愛と葛藤が交差する物語が静かに展開する。


行きがけの空 行きがけの空 行きがけの空

11/29(土)~

メーサーロシュ・マールタ監督特集 第2章

メーサーロシュ・マールタ監督特集 第2章

11/29(土)-12/12(金)

メーサーロシュ・マールタ監督特集 第2章

11/29(土)-12/12(金)

“東欧の奇跡”メーサーロシュ・マールタ
代表作『日記』三部作の全貌がついに明らかに
青春、家族、恋愛、冷戦……個人的な記憶と戦後ハンガリーの歴史が交錯した、
深遠なる記録の数々。

1975年、『アダプション/ある母と娘の記録』で、女性監督として初めてベルリン国際映画祭の最高賞を受賞したメーサーロシュ・マールタ。2023年、同作を含む5作品が日本でもようやく公開された。
今回の特集では、メーサーロシュの代表連作「日記」三部作を含む7作品を新たにラインナップ。孤児として育った女性が両親を追い求めるデビュー作『エルジ』、中年の危機に瀕した未亡人の息苦しさをシスターフッド的に描破した『月が沈むとき』、階級格差が男女の結び付きを蝕む『リダンス』など、初期作品には「家族」の有り様を洞察するメーサーロシュの作家性が光る。アンナ・カリーナを共演に迎えた中期の傑作『ジャスト・ライク・アット・ホーム』では、血の繋がらない男と少女の、親子のような親密さにカメラが向けられ、やはりここでも「家族」の形が問い直される。
そして「日記」三部作には、冷戦下の恐怖政治を生き抜いた、メーサーロシュ自身の記憶が刻まれている。軍靴が耳をつんざくなか、生き別れた両親への思いがこだまするパーソナルな一大叙事詩が、ついにその全貌を現す。

メーサーロシュ・マールタ

1931年、ハンガリー生まれ。同国を代表する名匠ヤンチョー・ミクローシュの手引きで、長編劇映画デビュー作となる『エルジ』を監督。当時ヤンチョーとは配偶関係にあり、彼の息子ヤンチョー・ニカはその後、「日記」三部作の撮影監督を務めることになる。
監督作には、サボー・ラースロー(ラズロ・サボ)やアンナ・カリーナ、イザベル・ユペール、デルフィーヌ・セリッグなどの名優がこぞって出演し、アニエス・ヴァルダに至っては自身の映画制作の参考にするなど、その影響は計り知れない。

公式ホームページhttps://meszarosmarta-feature.com/

配給 東映ビデオ

後援 駐日ハンガリー大使館、リスト・ハンガリー文化センター

© National Film Institute Hungary – Film Archive

入場料 一般1900円/会員・大専・シニア1300円/高校生以下800円

作品紹介

エルジ

エルジ

1968年/ハンガリー/84分/スタンダード/モノクロ/HDデジタルリマスター
英題:The Girl
原題:Eltávozott nap
脚本:メーサーロシュ・マールタ
撮影:ソムロー・タマーシュ
出演:コヴァーチュ・カティ
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ

児童養護施設で育ったエルジは、24年ぶりに小村で暮らす実の母を訪ねる。再婚していた母は、娘の来訪に戸惑い、彼女を姪と偽って新しい家族に引き合わせた。家族関係の修復も曖昧なまま街へ戻ったエルジは、行きずりの男と交際しながら、鬱々と日々を過ごす。ある日、素性の知れぬ中年男性がエルジの前に現れ、「君の両親は死んだ」と告げる。長編デビュー作であり、のちに繰り返し描かれる“養子”をテーマとした自伝的作品。

月が沈むとき

月が沈むとき

1968年/ハンガリー/86分/シネマスコープ/モノクロ/2Kレストア
英題:Binding Sentiments
原題:Holdudvar
脚本:メーサーロシュ・マールタ
撮影:ケンデ・ヤーノシュ
出演:トゥルーチク・マリ、コヴァーチュ・カティ、バラージョヴィチ・ラヨシュ
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ

政治家の夫に先立たれたエディトは、保険金や邸宅の相続を頑なに拒む。父の名声が汚されることを恐れた息子は、母エディトを別荘に軟禁した。息子の婚約者も「看守」として手を貸すが、壊れていくエディトを見るうち、結婚という結び付きに違和感を募らせていく。「家」に囚われた女性の苦しみと、彼女に寄り添う女性の交流が描かれたシスターフッド映画。

リダンス

リダンス

1973年/ハンガリー/81分/スタンダード/モノクロ/4Kレストア
英題:Riddance
原題:Szabad lélegzet
脚本:メーサーロシュ・マールタ
撮影:コルタイ・ラヨシュ
出演:クートヴェルジ・エルジェーベトゥ
字幕翻訳:高橋文子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ

工場勤務のユトゥカは、ダンスパーティーで出会った大学生アンドラーシュと恋に落ちる。彼に拒絶されることを恐れたユトゥカは、自分も学生であることを装い、名前も偽る。やがてアンドラーシュはユトゥカの素性を知るが、両親には真実を告げられずにいる。両家合同の食事会。アンドラーシュ家の階級意識が剥き出しになっていく。
アニエス・ヴァルダがそのシャワーシーンに強く魅了されたという、労働者階級とインテリの格差を背景に女性の選択を描く静かな力作。撮影はジュゼッペ・トルナトーレ作品で知られるコルタイ・ラヨシュ。

ジャスト・ライク・アット・ホーム

ジャスト・ライク・アット・ホーム

1978年/ハンガリー/109分/ビスタ/カラー/4Kレストア
英題:Just Like at Home
原題:Olyan, mint otthon
脚本:コーローディ・イルディコー
撮影:コルタイ・ラヨシュ
出演:ヤン・ノヴィツキ、ツィンコーツィ・ジュジャ、アンナ・カリーナ、サボー・ラースロー(ラズロ・サボ)
字幕翻訳:高橋文子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ

アメリカからハンガリーへ帰国したアンドラーシュ。根無し草状態の彼は、放し飼いにされていた犬に惚れ込み、飼い主の少女から強引に買い取った。わだかまりを残したふたりは、やがて親子とも言い切れぬ親密な関係を育んでいく。アンドラーシュのかつての恋人アンナも、そんなふたりを気に掛けている。彼女はアンドラーシュに、愛を告白するが……。
父への献辞で始まる本作は、メーサーロシュにとって非常に個人的な父との物語だといえる。アンナ・カリーナがふたりの関係に揺らぎを与える人物を好演。

日記 子供たちへ

日記 子供たちへ

1980-83年/ハンガリー/108分/スタンダード/モノクロ/4Kレストア
英題:Diary for My Children
原題:Napló gyermekeimnek
脚本:メーサーロシュ・マールタ
撮影:ヤンチョー・ニカ
出演:ツィンコーツィ・ジュジャ、ヤン・ノヴィツキ
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ、秋山晋吾

1947年、ソ連からハンガリーへ帰国したユリは、共産党員の養母マグダの保護下で育つ。父は秘密警察に捕らわれ、母はこの世を去っていた。恐怖政治が布かれるこの国で、ユリは不安定な生活を強いられる。ある日、ユリはヤーノシュと名乗る男と出会う。彼は父と瓜二つの人物だった。
「日記」三部作の第一部。冷戦下の自身の苦難を描き、1984年のカンヌで審査員グランプリを受賞。撮影は義理の息子ヤンチョー・ニカが担当した。

日記 愛する人たちへ

日記 愛する人たちへ

1987年/ハンガリー/132分/スタンダード/カラー・モノクロ/2Kレストア
英題:Diary for My Loves
原題:Napló szerelmeimnek
脚本:メーサーロシュ・マールタ、パタキ・エーヴァ
撮影:ヤンチョー・ニカ
出演:ツィンコーツィ・ジュジャ、ヤン・ノヴィツキ
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ、秋山晋吾

マグダの元を離れたユリは、織物工場で働いている。映画監督を志すユリは、モスクワの大学で映画制作を学ぶことになった。スターリンの死後、ユリは卒業制作として、労働者の実情を捉えたドキュメンタリー映画を完成させたものの、反-社会主義リアリズム的な内容から、再編集を命じられた。そしてユリは父がすでに死去したことを知らされる。
「日記」三部作の第二部で1987年のベルリンで銀熊賞を受賞。モスクワ留学から1956年のハンガリー事件前夜までを描く。ユリが父と瓜二つの男に抱く愛情は複雑になり、ふたりの関係は次第にメロドラマ性を帯び始めていく。

日記 父と母へ

日記 父と母へ

1990年/ハンガリー/117分/スタンダード/カラー・モノクロ/2Kレストア
英題:Diary for My Father and Mother
原題:Napló apámnak, anyámnak
脚本:メーサーロシュ・マールタ、パタキ・エーヴァ
撮影:ヤンチョー・ニカ
出演:ツィンコーツィ・ジュジャ、ヤン・ノヴィツキ、トゥルーチク・マリ
字幕翻訳:森彩子
字幕監修:コロンツァイ・バーバラ、秋山晋吾

1956年10月23日、ブダペシュトで民衆が蜂起する。モスクワで足止めを食っていたユリは、12月に入りようやくハンガリーへの帰国を許された。ユリはカメラを手に、荒廃した街並みや犠牲者を見つめていく。その年の大晦日、ユリたちは一堂に会する。政治的立場を異にする者たちも、仮装や音楽、ダンスに耽る。しかし反動分子の弾圧はとどまるところを知らず……。
「日記」三部作の最終作。1956年のハンガリー事件から民主化運動の挫折までを描き、戦争の余波と闘いの行方を問う。

11/29(土)~

こんな事があった

こんな事があった

©松井良彦/ Yoshihiko Matsui

2025年/130分/日本/配給・宣伝:イーチタイム
監督・脚本・企画・製作:松井良彦
プロデューサー:窪田将治、江守徹
ラインプロデューサー:宮下昇
撮影監督:髙間賢治(JSC)
照明:上保正道
録音:浦田和治、藤本賢一
美術:畠山和久
美術(福島班):山本伸樹
特殊造型:松井祐一
ヘアメイク:東なつみ
スタイリスト:森内陽子
助監督:山口雄也、YAMAOKA
音楽:菅沼重雄 編集:藍河兼一
制作プロダクション:フェイスエンタテインメント
制作協力:ふればり
出演:前田旺志郎、窪塚愛流、柏原収史、八杉泰雅、金定和沙、里内伽奈、大島葉子、山本宗介、波岡一喜、近藤芳正、井浦新

公式ホームページ

原発事故で離散した家族と、青春を奪われた青年たちが向かう先は––––

2021年、夏、福島。17歳のアキラは、母親を原発事故の被曝で亡くし、父親は除染作業員として働きに出、家族はバラバラに。拠りどころを失ったアキラを心配する友人の真一も、深い孤独を抱えていた。ある日、アキラはサーフショップを営む小池夫婦と店員のユウジに出会い、閉ざしていた心を徐々に開いていく。しかし、癒えることのない傷痕が、彼らを静かに蝕んでいく――。


松井良彦監督、18年の沈黙を破り世界に叩きつける、心揺さぶる魂の映画
前田旺志郎×窪塚愛流×井浦新ほか日本映像界を牽引する実力派俳優が集結

舞台は、東日本大震災から10年後の福島。原発事故で離ればなれになった家族と、青春を奪われた青年たちの姿をまざまざと映し出す。監督・脚本は、79年のデビューから監督作は5本と寡作ながらも、代表作『追悼のざわめき』(88年)など日本のみならず世界中の映画ファンから支持されている松井良彦。震災から1年後に訪れた福島の惨状を目の当たりにし、映画制作を決意。自らの足で何度も福島を訪れ、多くの取材とリサーチを重ね、オリジナルストーリーを書き上げた。構想から13年、美しいモノクロームの世界の中に、社会への痛烈な怒りと切実な祈りを込め、観るものの心を揺さぶる魂の映画が今解き放たれる。
主人公のアキラを演じるのは、是枝裕和監督『奇跡』(11年)で映画デビューにして初主演を飾り、以降、映画やドラマ、舞台を中心に俳優として着々とキャリアを積む前田旺志郎。アキラの友人・真一役には、18年に俳優デビュー後、篠原哲雄監督『ハピネス』(24年)で映画初主演を果たし、映画やドラマ、CMなど活躍の場を広げる窪塚愛流。期待の若手俳優2人の共演によって、行き場のない怒りを抱えた青年たちの感情がリアルに浮かび上がる。さらに、家族の再生に苦心する真一の父親・篤人役には、今の日本映像界を牽引する俳優、井浦新。さらに、柏原収史、波岡一喜、近藤芳正ら実力派俳優が集結。傷痕が深く残る福島の地で、それぞれの立場で苦しみもがく市井の人々の姿を露わにしている。


こんな事があった こんな事があった こんな事があった

11/29(土)~

ひとつの机、ふたつの制服

ひとつの机、ふたつの制服メイン画像

Renaissance Films Limited ©️2024 All Rights Reserved.

2024年/109分/台湾/原題:夜校女生/カラー/中国語/配給:ムヴィオラ、マクザム
監督:ジュアン・ジンシェン(荘景燊)
脚本:シュー・フイファン(徐慧芳)、ワン・リーウェン(王莉雯)
出演:チェン・イェンフェイ(陳妍霏)、シャン・ジエルー(項婕如)、チウ・イータイ(邱以太)
提供:マクザム
後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター

公式ホームページ

⼤ヒットメーカー、ギデンズ・コーが⼤絶賛の⻘春コンプレックス・エンタテインメント!
90年代・台北。夜間部の私が同じ机を共有したのは全⽇制の可愛くて優秀な彼⼥だった。

受験に失敗し、強引な⺟の勧めにより名⾨⼥⼦校「第⼀⼥⼦⾼校」の”夜間部”に進学した⼩愛(シャオアイ)。同じ教室で同じ机を使うことになった全⽇制の成績優秀な⽣徒、敏敏(ミンミン)と、⼩愛は机に⼿紙を⼊れるやりとりから “机 友(きゆう)”=デスクメイトになる。夜間と全⽇制。制服は同じでも、胸の刺繍の⾊が違う。やがて⼩愛と敏敏はお互いの制服を交換し、ふたりで遊びに⾏くようになる。ある日、同じ男⼦校⽣を想っていることに気づき……。

昨年の第29回釜⼭国際映画祭でのワールドプレミアで評判を呼び、特別上映された第61回台北⾦⾺映画祭では、⽇本でもリメイクされたヒット作『あの頃、君を追いかけた』(2011)などで知られるギデンズ・コーが⼤絶賛したことで、さらに⼤きな話題となった台湾映画『ひとつの机、ふたつの制服』。⼤⼈には懐かしく、現在進⾏形の若者にはちょっぴり痛い。90年代の台北を舞台にした⻘春コンプレックス・エンタテインメントの誕⽣です!


「泣けるほどに懐かしい」
90年代の台北の魅⼒をぎっしり詰め込んだディテール。

映画は、⼩愛たちが第⼀⼥⼦⾼校に⼊学する1997年から彼⼥たちの⼤学⼊試、卒業、そして台湾⼤地震の1年後となる 2000年9⽉までを描く。90年代後半のどこか懐かしさを感じさせる街並み。当時の写真資料などから再現したヘアスタイルやファッション、キャラ⽂房具などのレトロ可愛いさ。また今やアジアを代表する世界的バンドで、90年代はまだ インディーズバンドだったMayday(五⽉天)や、当時の台湾でも⼤⼈気だった⽇本のバスケアニメ「SLAM DUNK」やテレビドラマドラマ「ビーチボーイズ」などが登場⼈物たちのキャラクター描写に効果的に使われ、映画の魅⼒を輝かせる。さらに、⼩愛の成⻑物語の鍵を握るのは、当時は新世代の⼥優として注⽬されていたハリウッド⼥優ニコール・キッドマンの存在と、90年代の台湾を語るときに絶対に⽋かせない1999年の921地震だ。そのほかにも90年代台北のリアルがたくさん詰め込まれ、当時を知る観客から「泣けてきちゃうほど懐かしい!」と拍⼿喝采が送られたディテールの素晴らしさにも注⽬を。


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12/6(土)~

ザ・フー キッズ・アー・オールライト

ザ・フー キッズ・アー・オールライト

©Who Group Ltd

1979年/イギリス/110分/英語/配給:オンリー・ハーツ
原題:The Kids Are Alright
監督:ジェフ・スタイン
音楽監督:ジョン・エントウィッスル(ザ・フー)
出演:ザ・フー(ロジャー・ダルトリー、ジョン・エントウィッスル、キース・ムーン、ピート・タウンゼント)、リンゴ・スター
字幕:福永詩乃

公式ホームページ

【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,300円(税込)を当館受付にて発売中!

老いる前に死にたいね
ロックをロックたらしめた最高最強の4人組
すべての反抗と冒険を肯定した魂のドキュメント

ビートルズ、ローリング・ストーンズと共にブリティッシュ・ロックの黄金期を牽引し、ロックを革新し続けたスーパーバンド、ザ・フー。それにもかかわらず全盛期の来日がかなわなかった彼らの1964年から1978年までの代表曲のライブパフォーマンスを中心に、プロモーションフィルム、インタビューなどを含む、ロック・ドキュメンタリー映画史上の傑作。
数多い歴史的なシーンの中でもとりわけ、本作のために1978年5月にシェバートン・スタジオで撮影された、伝説的天才ドラマー、キース・ムーン最後の渾身のパフォーマンス(32歳での死の3か月前、メンバー全員が死力を尽くした)がフィーチャーされているのは貴重。
監督ジェフ・スタインは、「直線的で年代順のドキュメンタリー」ではなく、「フィルムによるロックンロール復活集会」や「スリル満点のジェットコースター」のような作品を創り出そうと試みたという。
映画はキース・ムーン死後の1979年、73年のアルバム『四重人格』を原作とした映画『さらば青春の光』と同時公開されたが日本では未公開。
ザ・フー レコード・デビュー60周年、そして、彼らのほぼすべての曲を作ったピート・タウンゼントが80歳を迎える2025年、完成から46年を経て、全曲歌詞字幕付きで日本初劇場公開!


ザ・フー キッズ・アー・オールライト ザ・フー キッズ・アー・オールライト ザ・フー キッズ・アー・オールライト

12/20(土)~

ネタニヤフ調書 汚職と戦争

ネタニヤフ調書 汚職と戦争

©2024 BNU PRODUCTIONS LLC ALL RIGHTS RESERVED.

2024年/イスラエル・アメリカ/英語、ヘブライ語、アラビア語/115分/カラー/配給:トランスフォーマー
原題または英題:The Bibi Files
監督・製作:アレクシス・ブルーム
製作総指揮:アレックス・ギブニー
製作:ラヴィヴ・ドゥルッカー(兼・出演)、カラ・エルヴァーソン、デヴィッド・ラーツ
撮影:アヴネル・シャハフ
編集:アンディ・グリーヴ、ハリル・エフラト、グレイム・バトラー
音楽:ウィル・ベイツ
日本語字幕:額賀深雪

公式ホームページ

はじまりは小さな贈り物だった…。
極秘リークされたイスラエル首相の警察尋問映像により<恐るべき真実>が暴かれる!

いまなお終わりの見えないガザ・イスラエル紛争。この紛争のキーマンとされるのがカリスマ的なリーダーシップを持ちながらも、強硬的な政治姿勢で物議を醸すイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフだ。
しかし、彼が在任中に刑事起訴された史上初のイスラエル首相であることを国外の多くの人々は知らない。2017年、彼の汚職捜査の過程で秘密裏に制作チームにリークされた未公開の警察尋問映像には、メディアや財界との贈答や利益供与の実態が記録されていた…。
アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した『「闇」へ』(07)や同賞ノミネートの『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』(06)などで知られ、米エスクァイア誌にて「現代で最も重要なドキュメンタリー作家のひとり」と称されるアレックス・ギブニーが製作総指揮を務め、ユダヤ人の父とドイツ人の母の間に生まれ、『アニタ 反逆の女神』(24)の公開も控えるアレクシス・ブルームが監督を手掛けた本作は、ネタニヤフが有罪回避のため極右勢力と結託し、長期政権の下でイスラエルを分断し民主主義を危機にさらした過程を描き出す。
警察の尋問に対して高圧的に接し、自分に対する疑惑を徹頭徹尾「嘘」だと決めつけ、時には余裕たっぷりに映画『ゴッドファーザー』の有名なセリフ「友を近くに置け、敵はもっと近くに置け」を引用する、普段のニュースでは見ることのできない人間ネタニヤフの姿を垣間見ることができる。また、彼の汚職がいかに国家の腐敗を招いていったのかを証言するのは、イスラエルの国内諜報機関シンベトの元長官、ネタニヤフの元広報担当、著名な国内の調査報道ジャーナリストたちだ。
本国では上映禁止、親イスラエルの米国でも劇場公開されていないにも関わらず、国際的に注目を集め、昨年度のアカデミー賞ショートリストに選出されるなど大きな話題を呼んだ。


人間はなぜこうも権力に弱いのか? 権力者の“力への欲望”を白日の元に曝す、いま必見のドキュメンタリー!

はじまりは小さな贈り物だった…。極秘リークされたイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフとその側近たちの警察尋問映像には、ニュースの裏側にある彼らの隠された私生活が描き出されていた。その疑惑が公になったとき、ネタニヤフの権力への欲望は肥大化し、やがて恐るべき悲劇がもたらされる。


ネタニヤフ調書 汚職と戦争

12/20(土)~

石井隆Returns

石井隆Returns

石井隆Returns

12/20(土)―12/26(金)

石井隆Returns

12/20(土)―12/26(金)

劇画家、脚本家、映画監督として、女と男の愛の物語を描き続けた、
唯一無二の映画作家・石井隆が、スクリーンに還ってくる

石井隆が、2022年5月22日に永眠してから今年の5月で、まもなく3年という月日が経つ。劇画家、脚本家、映画監督として、これまで数々の男と女の愛の物語を描き続けた、唯一無二の映画作家。この間、イギリス、フランス、北米などでワールドセールスが続々と決まるなど、海外で再評価が高まり、こうしたムーブメントを受けて90年代の傑作4本を一挙HDリマスター版上映が実現!石井隆の世界が、再びスクリーンに還ってくる!!

石井隆プロフィール

1946年7月11日生まれ。宮城県出身。映画監督を目指して早稲田大学映画研究会に入るために早大商学部に入学、在籍中に監督助手のバイトでダイニチの現場で映画を体験するも、諸般の事情で断念。在学中、劇画家デビュー。「天使のはらわた」(77年)が大ヒットし、78年から日活ロマンポルノにてシリーズ映画化され、原作者・脚本家として映画の現場に舞い戻り、88年、『天使のはらわた 赤い眩暈』で監督デビュー。大竹しのぶ、永瀬正敏、室田日出男出演『死んでもいい』(92)では、第33回テッサロニキ国際映画祭最優秀監督賞受賞、第10回トリノ国際映画祭審査員特別賞など国内外映画賞多数受賞。『ヌードの夜』(93)年ではサンダンス・フィルム・フェスティバル・イン・トーキョー’94グランプリなどを受賞。 『GONIN』(95)はロカルノ国際映画祭、トリノ国際映画祭など数々の映画祭に出品され国内は勿論、海外でも非常に高い評価を受ける。他主な映画監督作品に『夜がまた来る』(94)、『GONIN2』(96)、『黒の天使 シリーズ』(98·99)、『フリーズ・ミー』(00)、『花と蛇』(04)、『人が人を愛することのどうしようもなさ』(07)、『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』(10)など。13年は『フィギュアなあなた』、『甘い鞭』2本を監督、『GONINサーガ』(15)が遺作となる。

公式サイト https://mapinc.jp/ishii-takashi/

配給 ムービー・アクト・プロジェクト

配給協力 ミカタ・エンタテインメント

協力 ファムファタル、キングレコード、日活、キネマ旬報社、中央映画貿易、ダブル・フィールド

入場料一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円

作品紹介

死んでもいい

死んでもいい

©サントリー/日活/ムービー・アクト・プロジェクト

1992年10月10日公開/117分
監督・脚本:石井隆
原作:西村望『火の蛾』
出演:大竹しのぶ、永瀬正敏、室田日出男、清水美子、岩松了、竹中直人

西村望『火の蛾』を原作に映画化。石井監督は本作のテーマについて「女と男の愛のありか(在り所)を三角関係という愛の形の中で探ろうとするものです」とコメント。純愛としての三角関係が招いた悲劇を描く。大竹しのぶが、2人の男から愛される人妻・名美を演じる。挿入歌に、ちあきなおみの「黄昏のビギン」が使用されている。第33回ギリシア「テッサロニキ国際映画祭」で最優秀監督賞を受賞。

ヌードの夜

ヌードの夜

©日活

1993年12月18日公開/110分
監督・脚本:石井隆
出演:竹中直人、余貴美子、椎名桔平、速水典子、岩松了、根津甚八

ヤクザを殺した女・名美と、その女に惚れた何でも屋・紅次郎によるハードボイルド・サスペンス。石井隆監督が劇画家時代から描く名美のイメージにそっくりな余貴美子が、監督第2作『月下の蘭』(90)に続き出演。石井監督のデビュー作から出演する竹中直人が、紅次郎(実は村木)を演じる。サンダンス・フィルム・フェスティバル・イン・トーキョー’94グランプリを受賞。

夜がまた来る

夜がまた来る

©テレビ東京/キングレコード/ムービー・アクト・プロジェクト

1994年10月22日公開/108分
監督・脚本:石井隆
出演:夏川結衣、根津甚八、寺田農、椎名桔平、竹中直人、余貴美子、永島敏行

ヤクザ組織に潜入した麻薬Gメンの夫が殺され、組織に復讐しようとする未亡人・名美と、その彼女を助けるヤクザの男・村木によるネオ・ノワール作品。名美役を映画デビュー間もない夏川結衣、村木役を、監督第2作『月下の蘭』(90)から石井作品の常連となる根津甚八が演じる。ほぼナイトシーン、長回しで展開する、名美と村木の物語の集大成的な作品。

天使のはらわた 赤い閃光

天使のはらわた 赤い閃光

©テレビ東京/キングレコード/ムービー・アクト・プロジェクト

1994年9月10日公開/87分
監督・脚本:石井隆
出演:川上麻衣子、速水典子、鶴見辰吾、根津甚八

忌まわしい過去に悩まされ、男性恐怖症となった雑誌編集者・名美をヒロインにした、エロティック・サイコミステリー。泥酔しラブホテルのベッドで目が覚めると、隣には見知らぬ男の死体があった…。現実と妄想に翻弄される名美を川上麻衣子、その相手役となるフリーライターの村木役を、同年に公開された『夜がまた来る』と同じ根津甚八が演じている。

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