6/19(金)~
ダイヤモンド 私たちの衣装工房
© 2024 Greenboo Production – Faros Film – Vision Distribution
2024年/イタリア/135分/配給:チャイルド・フィルム/提供:チャイルド・フィルム、オンリー・ハーツ
原題:Diamanti
監督:フェルザン・オズペテク
原案:フェルザン・オズペテク、カルロッタ・コッラーディ
脚本:フェルザン・オズペテク、カルロッタ・コッラーディ、エリーザ・カッセリ
音楽:ジュリアーノ・タヴィアーニ、カルメロ・トラヴィア
衣装:ステファノ・チャミッティ
出演:ルイーザ・ラニエリ、ジャスミン・トリンカ、ステファノ・アコルシ
入場者プレゼント
初日ご来場のお客様に、ステファノ・チャミッティによる本映画ドレスのスケッチ画オリジナルポストカードをプレゼント!
※数量限定、なくなり次第終了です。
220万人を動員し2024年イタリア映画最大のヒット!
イタリア、ローマ。永遠に輝き続ける女性たちの物語。
1970年代、ローマ。カノーヴァ姉妹が経営する衣装工房では、年に一度の昼食会を控えてお針子たちが忙しく立ち働いている。パリで約束に現れなかった恋人の面影を振り切るかのように仕事に打ち込む姉アルベルタ、娘の喪失をお酒で紛らわせる妹ガブリエッラ。幼い息子を苦労しながら一人で育てる帽子担当のパオリーナ、夫の暴力に怯えるお針子のニコレッタ。彼らを見守り温かく美味しい食事を用意するシルヴァーナ。普段口にすることはないけれど、それぞれに事情を抱えている。ある日アカデミー賞受賞歴のある衣装デザイナーが新作の依頼に現れる。またとない機会とアルベルタは相談もなしに全ての衣装制作を引き受けるが、気難しい映画監督の高い要求に応えるため、工房の忙しさは増していく。才能に溢れ全てを手に入れているかのような衣装デザイナーでさえも時に自信を失い衣装制作は困難を極める。一人ひとりは、脆く不完全でも、力を合わせ支え合い、見たこともないような至高の一着を作ろうと女性たちはやがて輝き始める。
イタリア映画黄金時代へのオマージュと
職人が支える天才デザイナーのクリエイティビティ
登場人物たちに自分を重ね、笑い涙しながら、やさしく抱きしめられたような心地よさに包まれ、多くの観客に愛された感動作。監督は「あしたのパスタはアルデンテ」などで知られるヒットメイカー、フェルザン・オズペテク。
衣装制作の伝統へ敬意を表し貴重なアーカイブからヴィスコンティの『山猫』などの衣装が劇中に登場する。終盤の印象的な赤いドレスは2025年大阪・関西万博のイタリア館で展示され注目を集めた。デザインしたのは、ミラノ・コルティナ冬季オリンピックの閉会式の衣装も記憶に新しい、伝統の継承者でもある若き天才ステファノ・チャミッティ。
6.20[土]&21[日]
柳下美恵の ピアノdeフィルム vol.18『熊の出る開墾地』
柳下美恵のピアノdeフィルムvol.18
『熊の出る開墾地』
サイレント映画の35ミリフィルム上映 × ピアノの即興生伴奏
6.20[土]・21[日] 各日12:35
映画が誕生してまもなく130年。最初の約40年間の作品は今ではサイレント映画と呼ばれています。映写機のフィルムがスクリーンに映し出され、語りや音楽伴奏と共に上映していました。トーキーは映写速度が24コマ/秒ですが、サイレントは作品によって違っています。トーキーのスクリーンサイズは作品によって違っていますが、サイレントは1.33×1でした。デジタル上映が主流になる今、映画が誕生した頃の形にこだわった上映を試みます。
フィルム提供:国立映画アーカイブ
1932年/日本/104分[20fps]予定/35mm/モノクロ/サイレント/不二映画
監督:鈴木重吉/原作: 佐々木俊郎/脚本:村上德三郎/撮影:林田重雄
出演:鈴木傅明、英百合子、池上喜代子、山本冬鄕、渡辺篤、鳩山嶺子、吉谷久雄、関時男、山口勇、月田一郎/フィルム提供:国立映画アーカイブ
人気スター鈴木傳明が仲間たちと松竹を脱退して設立した不二映画で主演した二作目の作品。日露戦争直後の疲弊する北海道の農村を舞台に、美しい母(英)に横恋慕した地主(山本)に父(鈴木)を殺された息子(鈴木の二役)の復讐劇を軸として、開拓者の精神を描く。過酷な開墾生活と、地主による横暴、人々の生活苦やヒグマの脅威が描かれている。監督は『何が彼女をそうさせたか』(1930)で“彼女”が社会現象になった鈴木重吉。林田重雄のキャメラによる雄大な自然美、鈴木傳明の俳優としての円熟もあいまって、公開当時「近頃での見るべき日本映画の一つ」と評価された。(国立映画アーカイブHPより転載、改編)
6.20[土]紙屋牧子さん(映画研究者/国士舘大学文学部講師)「不二映画について」
6.21[日]小池伸介さん(日本クマネットワーク代表/東京農工大学大学院教授)「熊(自然)との共生について」
入場料一般・シニア2,000円/会員1,700円/ユース(25歳以下)1,000円
6.17[水]10:00より、横浜シネマリンオンラインチケット予約サイト、
9:30より劇場受付にて、座席指定券を販売いたします。
詳細は劇場Webサイトにてご確認ください。
サイレント映画ピアニスト。武蔵野音楽大学ピアノ専攻卒業。1995年、山形国際ドキュメンタリー映画祭のオープニング上映、映画生誕百年祭『光の生誕リュミエール!』でデビュー。 以来、国立映画アーカイブや神戸映画資料館などのアーカイブ、映画の復元と保存に関するワークショップ、全国コミュニティシネマ会議、東京国際映画祭、京都国際映画祭、アップリンク、シネマ・ジャック&ベティなどの映画館、海外は韓国映像資料院、SEAPAVAA(東南アジア太平洋地 域視聴覚アーカイブ)マレーシア会議、タイ無声映画祭、 ポルデノーネ無声映画祭、ボローニャ復元映画祭(イタリア)、ボン無声映画祭(ドイツ) などで伴奏。日本、イギリス、アメリカ、デンマークで出版された 『裁かるゝジャンヌ』のDVDやブルーレイの音楽を担当した。音楽で見せる欧米スタイルの無声映画伴奏者は日本人初。映画を楽譜として映画に寄り添い続ける。映画館にピアノを常設する“映画館にピアノを!”、サイレント映画×ピアノの生伴奏“ピアノdeシネマ”、 サイレント映画週間“ピアノ&シネマ”などサイレント映画を映画館で上映する環境作りに注力中。2025年デビュー30周年を迎える。
6/20(土)~
オーロラの涙
© SIXTEEN DT LIMITED, BRO-CINEMA LDA, BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE 2024
2024年 / 104分 / イギリス・ポルトガル / 英語・ポルトガル語 / 1.50:1 / カラー / 5.1ch / 日本語字幕:今井祥子 / 配給:マーチ
原題:ON FALLING
監督・脚本:ローラ・カレイラ
製作:ジャック=トーマス・オブライエン、マリオ・パトロシニオ
脚本:ローラ・カレイラ
撮影:カール・キュルテン
美術:アンディ・ドラモンド
衣装:キャロル・ミラー
編集:エルベ・ド・ルーズ
出演:ジョアナ・サントス、イネス・バズ、ニール・ライパー、リア・マクレー、ピョートル・シコラ、ジェイク・マクギャリー
入場者プレゼント
ご来場のお客様に、ポストカードをプレゼント!
※数量限定、なくなり次第終了です。
『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』
製作陣が贈る ヒューマンドラマの傑作
第72回サン・セバスティアン国際映画祭で最優秀監督賞に輝いた本作は、巨大な物流センターで働く一人の女性の日常を通じて、現代社会が抱える孤独と分断を描き、その先にかすかな希望の光を見出そうとするヒューマンドラマ。
監督・脚本を手がけたのは、ポルトガルで生まれ、現在はスコットランドを拠点とするローラ・カレイラ。短編作品で “労働者の世界”を一貫して描いてきた彼女が、自身の移民としての経験を元に初長編に挑み、「途轍もなく素晴らしい」(The Guardian)、「新世代のリアリズムを切り開く傑作」(VARIETY)などと高い評価を受けた。
その才能を支えたのは、『わたしは、ダニエル・ブレイク』『家族を想うとき』などのケン・ローチ監督作品を手がけてきた製作陣。プロの俳優とアマチュアを交えたキャスティングや、実在の労働環境に根ざしたリアリズムは、社会派映画の系譜を受け継ぎながらも、極めて現代的な感触をもたらしている。
スコットランドの郊外に広がる巨大な物流センター
ポルトガルから移住したオーロラは、そこで「ピッカー」として働いている。スキャナーの指示に従い、無数の通路を歩き、棚から商品を取り出す。その単調な反復が、一日の大半を占めている。同僚たちとの会話は、休憩中のほんのわずかな時間だけ。
勤務を終えると、彼女は疲れた体を引きずり、移民労働者たちが暮らすシェアハウスに戻る。一人きりの部屋で一息ついてから、狭いダイニングで夕食をとる。住人同士の交流は表層的で、関係が深まることはない。寄る辺のない日々が、淡々と続いていく―――。
そんなある日、オーロラは不注意からスマートフォンを壊してしまう。職場の連絡手段であり、時間を埋めるための“相棒”でもあった文明の利器を失ったとき、彼女の日常はゆるやかに、けれど確実に形を変えていくのだった―――。
6/20(土)~
小春日和~Indian Summer~
Ⓒ2026「小春日和」PROJECT
2026年/日本/119分/カラー/シネマスコープ /ステレオ/配給:フリック
監督・脚本:松本動
企画・製作・プロデュース:楠部知子
共同プロデュース:水村美咲
アシスタントプロデューサー:福井由美子
音楽プロデュース:渡邊崇
助監督:鬼村悠希
制作担当:佃光
撮影:安田光
照明:落合芳次
サウンドデザイン:西岡正巳
監督助手:山中太郎
演技事務:森野くるみ、藤元優希
主題歌:由美かおる「とまり木」
特別協力:医療法人徳洲会、松原徳洲会病院、551HORAI、シネマプランナーズ 、イサオビル 、株式会社Made-Born-Japan
協賛:鮓小桜 、MAEDA REAL ESTATE 、吉田シンイチ 、安藤孝志
後援:一般社団法人大阪府医師会、一般社団法人大阪府女医会、認定NPO法人キャンサーネットジャパン、公益財団法人日本骨髄バンク、特定非営利活動法人全国骨髄バンク推進連絡協議会、公益財団法人大阪観光局
宣伝:とこしえ
関西宣伝:松井寛子
出演:水村美咲、千原ゆら、由実かおる、佐野史郎、柴田理恵、国木田かっぱ
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!
イベント情報
6/20(土)上映後、水村美咲さん、由美かおるさん、楠部知子さん、正木佐和さん、あっぱれ北村さん、とみかほさん、福井由美子さん(以上出演)、松本動監督の舞台挨拶がございます。(予定)
6/21(日)上映後、水村美咲さん、楠部知子さん、正木佐和さん、あっぱれ北村さん、松田悠さん、福井由美子さん、小夏いっこさん(以上出演)、松本動監督の舞台挨拶がございます。(予定)
《小春》と《ひより》 名前に込められた秘密と名付け親
鈴子ばあちゃんの想いとはー
ある出来事をきっかけに父親と衝突して家を飛び出してしまった小春。
心配した友人らが行方を捜すが、後ろめたい気持ちで家に帰ることができない彼女が、偶然に看護助手として働くことになった病院で、様々な人々と触れ合うことにより徐々に自分と向き合うようになる。
そんなある日、大好きだった鈴子ばあちゃんに教えられた大切な言葉をふと思いだし、ある決心をする・・・。
がん治療中の精神科医がプロデュース。
がんをどう受け入れ、向き合い共存していくのかー。
共鳴したキャスト・スタッフが集結し《新たな一歩を踏み出せる映画》を誕生させた。
今や2人に1人が罹る”がん”。多発性骨髄腫(血液がんの一種)と診断された精神科医であり女優としても活動する楠部知子が、今だからこそとの想いを込めた映画を創ることで、同じ病気の患者や、その家族に留まらず、困難に向き合っている多くの人に生きる勇気を届けたいと立志。人は真に繋がり支え合える、少しの勇気を持つことで成長し何度でもやり直せる。そんな《人生に前向きになれる》メッセージを贈りたいという想いで、治療を継続しながら出演と製作に奮闘し、主人公の様々な人との出逢いを通して、家族の絆を取り戻すヒューマンドラマを完成させた。主人公 小春役に『沖縄NICE映画祭』で2年連続俳優賞を受賞した水村美咲、ひより役は『キラピチモデルオーディション』グランプリの千原ゆら、芸能生活60周年の由美かおるは48年ぶりの映画出演にして初の”おばあちゃん”を演じ主題歌も担う。末期がん患者に柴田理恵、その主治医に佐野史郎というベテラン俳優を配し、ドラマに厚みを持たせる名演で魅せる。
6/22(月)~7/2(木)
ボーイズ・ゴー・トゥ・ジュピター
© Glanderco, LLC.
2025年/アメリカ/87分/原題:BOYS GO TO JUPITER/提供:キングレコード/配給:boid、コピアポア・フィルム
監督・脚本・製作・音楽:ジュリアン・グランダー
出演:ジャック・コルベット、タヴィ・ジェヴィンソン、グレース・クレーンシュミット、エルシー・フィッシャーほか
さよならフロリダ、さよなら人類
予測不能で新感覚!超低体温SF青春ムービー
本作は、年の瀬の気配が漂うフロリダを舞台に、学校も中退し、友達とおしゃべりするかフードデリバリーのバイトをして1日を過ごす青年ビリー・5000が⼈⽣を変えるべく 5,000 ドルを必死に稼ごうと奮闘する物語。
カルト的ヒットを記録したアドベンチャーゲーム「ART SQOOL」やThe New York Times、New Yorker誌などのイラストなど、独特で鮮やかな3Dアニメーションで知られるジュリアン・グランダー。長編初監督となる本作では、自主制作として4年もの歳月をかけて廃墟となったプールや建設現場といった日常的な風景を魔法のような世界へと変貌させ、幻想的かつ宇宙的な青春映画が出来上がった。
未来への焦燥感を抱えながら厳しい現代社会を生きるビリー・5000。アメリカの田舎町で行き止まり人生を送る少年たち、他人と関わりながらも実は空虚で断絶した人間関係、言葉にならない孤独や不安、どこか別の場所へ行きたいという衝動……。ローファイなミュージックナンバーに乗せて、ティーンエイジャー特有のときめきや苦悩、そして成長していく姿をありのまま映し出していく。
ボーイ・ミーツ・ガール!ボーイ・ミーツ・エイリアン!
奇妙な出会いが、思いもよらない未来を照らし出す?
クリスマスの翌日。フロリダに暮らす高校を中退したばかりの16歳、ビリー・5000は「この町から抜け出す」ためにフードデリバリーをしている。地元の友人らが万引きを繰り返しては怠惰な日々を送るなか、配達仕事に奮闘中。デリバリーアプリ・ギグエコノミーを使うのは風変わりなひとばかりだが、新年を迎えるまでに5,000ドルさえ工面できれば人生を立て直せる。
ある日、ジュース業界の女王ドクター・ドルフィン率いる“ドルフィン果樹園”に配達へ行くと、そこには果樹園の内部崩壊を企む娘のローズバッドがいた。さらには奇妙なエイリアンと遭遇し、そこから事態は一変。ドクター・ドルフィンは、エイリアンと悪魔のミミズを追っていたのだ。ビリー・5000は愛、友情、そして何よりも大切なお金について、難しい選択を迫られることになる……。
*第27回インディ・メンフィス映画祭 最優秀長編劇映画賞 受賞!
*第11回新千歳空港国際アニメーション映画祭 コンペティション長編部門 正式出品
*第47回オタワ国際アニメーション映画祭 長編部門グランプリ ノミネート
*第23回トライベッカ映画祭 ビューポイント部門 正式出品
*第38回シカゴ映画批評家協会賞 最優秀アニメーション賞 ノミネート
6/27(土)~
日泰食堂
©太秦提供
2024年/台湾・香港・フランス/83分/配給:太秦/提供:飛望影像有限公司/日本語字幕制作:株式会社アウラ
原題:日泰小食
英題:Another Home
監督:冼澔楊(フランキー・シン)
撮影:冼澔楊(フランキー・シン)、鄧梓健(マイケル・タン)、ジェイソン・M、ヘンリー・レオン
編集:林怡初(リン・イーチュー)
整音:黃年永(エディ・ホアン)
音楽:孫國棟(スン・グオドン)
製作:陳璽文(ステファノ・チェンティーニ)、邱屏瑜(チュウ・ピンユー)、任硯聰(ピーター・ヤム)、グザヴィエ・ロシェ
イベント情報
6/28(日)上映後、秋山珠子さん(神奈川大学 外国語学部中国語学科 准教授)のトークイベントがございます。
“この島”の明日はどこに向かっているのだろう――
香港島から南西へ、船で30分ほど行ったところにある、小さな島・長洲。島にはいくつもの細い路地が走り、港には色とりどりの船が浮かび、穏やかな時間が流れている。そんな島にある一軒の食堂。連日、この島で暮らす人びとが行き交い、にぎわいに満ちている。島民たちは集まれば、ビールを片手にトランプやマージャンを嗜む。しかし、社会の変化、活発な市民の熱気は、香港島から離れた周縁の島にも伝わり、食堂に集う常連客たちも、無関心ではいられない。テレビをじっとみつめる店主。懸命に情報を追う若者たち。それぞれの立場、それぞれの距離感で時代のうねりを受け止めていく。やがて世界を覆ったパンデミックは、この小さな食堂にも大きな影響をもたらしていく――。
周囲の世界が変わりゆく中、
そこにある確かなまなざしを実直に描き出した
香港の小さな島にある食堂の物語
監督は、本作が初の長編ドキュメンタリー作品となるフランキー・シン。生まれ育った長洲で、自身も通い詰めていた食堂「日泰食堂」。家族のように接していた人びとが時代の変化とどのように向き合い、日々の営みを重ねてきたのかを丁寧に記録した。変わりゆくものと変わらずそこにありつづけるもの。やわらかな記憶と確かな生活の時間が積み重なっていく。2024年度釜山国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した、あらゆる世代のまなざしが折り重なるこの映画が、日本公開を迎える。
6/27(土)~1週間限定
サクリファイス
© Récolte&Co.
2019年/日本/カラー/16:9/77分/ステレオ/制作・配給: Récolte&Co.
監督・脚本・編集:壷井濯
プロデューサー:藤原里歩
副プロデューサー:柗下仁美、林海斗
撮影:柗下仁美
録音:藤原里歩
撮影助手:柳田智哉
助監督:加登谷美琴
制作:下村花
音楽:大津沙良
整音:塚本啓介
スチール:柗下知之
主題歌:ぐみ(from パスワードの人)「小譚歌」
配給協力:林海斗
宣伝デザイン:寺澤圭太郎
宣伝:髭野純
出演:青木柚、半田美樹、五味未知子、藤田晃輔、櫻井保幸、矢﨑初音、下村花、柗下仁美、青木陽南、 田港璃空、三坂知絵子、草野康太、三浦貴大
新作『リヴァイアサン』仕上げ作業費応援リバイバル上映
311匹目の猫が殺された時、世界は何が変わるのでしょうか
かつて新興宗教団体〈汐の会〉で東日本大震災を予知した少女・翠は、今は陸上部に所属する女子大生としての日々を過ごしていた。
同じ頃、大学周辺では三つの事件が起こっていた。神崎ソラという孤独な学生の死。三一一匹殺されるまで終わらないとされる猫殺し。若者を戦争へ駆り立てる団体〈しんわ〉の暗躍。
平凡な毎日を忌み嫌う塔子は、同じ学部に通う愛想の良い青年・沖田が猫殺しの犯人ではないかと睨み行動を共にしていた。やがて彼が、キャンパス内で神崎ソラと接触を持っていた唯一の人物であることを知り、猫殺しだけでなくソラの殺害にも関与しているのではと疑い始めるが……。
東日本大震災から九年、「死の物語」の中を若者たちが疾走する。
本作の企画は、大学の授業で「東日本大震災をテーマにした脚本を書く」という課題が出たところからスタートした。不幸の中から幸福への糸口を見出だせるのが映画だとすれば、〈つながり〉ではなく〈断絶〉を、今こそ恐れずに描くべきではないか。そして、それは現代人が目を背けがちな「死の物語」でなくてはならない。「死の物語」には他者の孤独や不幸に寄り添う力があるからだ。こうして書き上げられた『サクリファイス』の脚本は、その後、立教大学映像身体学科の第一回スカラシップ作品に選出され、映画化された。
誰にでも愛想の良い好青年でありながら、猫の死体の写真を収集しているという複雑な内面を持つ主人公・沖田を演じるのは、『14の夜』『アイスと雨音』での演技が話題を呼んだ青木柚。「普通」を拒絶し、「境界の向こう」へ憧れを抱く女子大生・塔子役には、『花に嵐』『聖なるもの』や舞台でも活躍する半田美樹。霊能力に翻弄されながらも、大切な人との記憶を武器に走り続ける少女・翠役には、これが映画初出演となる五味未知子が挑んだ。脇を固める三坂知絵子、草野康太、三浦貴大ら実力派俳優たちの芝居も見所の一つである。
ラスト三十分、生者と死者の境界が取り払われ、物語そのものが「壊れる」時、寄る辺なき若者たちはどのような生き方を選択するのだろうか。是非、あなたの目で目撃して欲しい。
併映作品
殺し屋シュウヘイ
© Récolte&Co.
2016年/日本/26分
監督・脚本:壷井濯
撮影・編集:柗下仁美
録音:五味礼一郎、飯塚啓介、小代田瞳
制作:鈴木智之、横内章人
音楽:かえる王国
主題歌:星影彩花
音響:安江史男
出演:矢﨑初音、五味孔平、五味礼一郎、飯塚啓介、壷井濯、柗下仁美
「天上の御方様」を狂信する母親に育てられた水希は、レムというもうひとつの名前を与えられていた。母親の死後、どちらも本当の名前に思えなかった水希は、形見のカメラを持って散歩に出かける。そして殺し屋シュウヘイと出会い、本当の生き方と名前を見つけ出していく。自我とは何なのか、わからない世界の中の「神」の意味とは?
セカイの終わりに静かに扉を開けるもののように
© Récolte&Co.
2011年/日本/60分
監督・脚本・編集:壷井濯
プロデューサー:小林恵美
撮影:根本剛
照明:瀬戸詩織
録音:小島かほり、三森将希
助監督:大橋亮
音楽:高尾映
出演:柗下仁美、近藤大地、矢﨑初音、中田順平、千葉美紅、パスタ功次郎、草野康太
あの巨大な飛行機が二本の高層ビルを倒壊させた日、世界に生じた裂け目は、極東の片隅でひっそりと暮らす男女の生活を静かに飲み込み始める。「それはロウソクの上で揺れる小さな炎みたいで、強い風が吹けば今にも消えてしまいそうな物語。だけど––」『サクリファイス』の壷井濯が二十歳の頃に監督した幻の自主映画。
7/3(土)~7/12(日)
ヌーヴェルヴァーグ左岸派―写真から映画へ
横浜フランス月間2026
De la photographie au cinéma
Nouvelle Vague Rive Gauche
ヌーヴェルヴァーグ左岸派―写真から映画へ
7.3(金)-7.12(日)
横浜フランス月間2026
De la photographie au cinéma
Nouvelle Vague Rive Gauche
ヌーヴェルヴァーグ左岸派―写真から映画へ
7.3(金)-7.12(日)
写真誕生200周年を記念して、フランス・ヌーヴェルヴァーグと写真の関係に焦点を当てた特集上映を開催します。ヌーヴェルヴァーグ左岸派の代表作家であるアニエス・ヴァルダ、クリス・マルケル、アラン・レネの作品を通じて、静止画と記憶、映画のつながりを探るとともに、リチャード・リンクレイター監督作『ヌーヴェルヴァーグ』の日本公開にあわせた関連企画としてお届けします。
* 『ヌーヴェルヴァーグ』は7.10(金)全国公開。配給:AMGエンタテインメント
公式サイト:https://nouvellevague-movie.com/
主催:横浜日仏学院
共催:横浜シネマリン
入場料 一般1600円/横浜シネマリン会員、アンスティチュ・フランセ会員、大専、シニア1300円/高校生以下800円
写真:八島崇
イベント情報
7.5(日)13:45『シベリアからの手紙』+『ラ・ジュテ』上映後、岡田秀則さんのトークイベントがございます。
岡田秀則
1968年愛知県生まれ。 フィルムアーキビスト。国立映画アーカイブ主任研究員。映画フィルムの収集・保存や上映企画の運営などに携わり、現在は映画資料のアーカイビングと映画展覧会のキュレーションを担当。また内外の映画史を踏まえた論考、エッセイを多数発表している。単著に『映画という《物体X》』、共著に『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』など。『ラ・ジュテ』Blu-Rayディスク附属ブックレットにエッセイも寄せている。
上映スケジュール
| 6/27(土) | 6/28(日) | 6/29(月) | 6/30(火) | 7/1(水) | 7/2(木) | 7/3(金) |
18:20ー19:51ヒロシマ、モナムール |
予定表 横にスクロールできます
| 7/4(土) | 7/5(日) | 7/6(月) | 7/7(火) | 7/8(水) | 7/9(木) | 7/10(金) |
14:00ー15:305時から7時までのクレオ |
13:30ー15:00シベリアからの手紙+ラ・ジュテ トーク 岡田秀則さん |
13:30ー15:00幸福〜しあわせ〜 |
13:30ー15:10創造物 |
13:30ー15:20サン・ソレイユ |
13:30ー15:35アニエスによるヴァルダ |
13:30ー15:20冬の旅 |
16:40ー17:30冬の旅 |
15:40ー17:25サン・ソレイユ |
15:15ー17:20アニエスによるヴァルダ |
15:25ー17:20歌う女・歌わない女 |
15:35ー17:10シベリアからの手紙+ラ・ジュテ |
15:45ー17:205時から7時までのクレオ |
15:35ー17:05幸福〜しあわせ〜 |
予定表 横にスクロールできます
| 7/11(土) | 7/12(日) | 7/13(月) | 7/14(火) | 7/15(水) | 7/16(木) | 7/17(金) |
11:40ー13:20創造物 |
11:40ー13:30歌う女・歌わない女 |
予定表 横にスクロールできます
上映作品
アニエス・ヴァルダ監督作品
Les films d’Agnès Varda
5時から7時までのクレオ Cléo de 5 à 7
© agnes varda et enfants 1994
[フランス=イタリア/1961年/90分/DCP/モノクロ]
出演:コリンヌ・マルシャン、アントワーヌ・ブルセイェ、ドミニク・デレ、ミシェル・ルグラン
病気の不安におびえるシャンソン歌手クレオの5時から7時までを、リアルタイムで、ヌーヴェルヴァーグ特有の瑞々しい手法で描いたヴァルダ初期の傑作。カメラは初夏を迎えたパリの街をタクシーや車やバスにのって移動し、カフェやバス、公園の中の人々、木漏れ日をとらえながらも、沈黙しているクレオの不安を見事に表現している。若きゴダールやアンナ・カリーナが映画中映画のサイレント喜劇に出演している。
創造物 Les Créatures
[フランス/1965年/105分/DCP/モノクロ・カラー]
出演 :ミシェル・ピコリ、カトリーヌ・ドヌーヴ、リュシアン・ボダール
一組のカップルの人生と、小説の誕生の物語、ふたつの物語が語られる。「私がこの作品で興味を持ったのは、愛し合い、孤独を捨てるふたりの人物としてではなく、孤独であるという問題を抱えているふたりのカップルを見せることでした。ふたりはしかし、愛の中から、そしてふたりでいることの孤独から活力を見出すのです」。(アニエス・ヴァルダ)
幸福〜しあわせ〜 Le Bonheur
© agnes varda et enfants 1994
[フランス/1964年/80分/DCP/カラー]
出演 : ジャン=クロード・ドルオー、クレール・ドルオー、マリー=フランス・ボワイエ
仲むつまじいフランソワとテレーズには二人の子供があり、日曜日ごとに森にピクニックに出かける幸せそのものの家族。だが、ある日フランソワは他の女性と関係を結んでしまう。ひまわりの黄色など、原色の鮮やかな色彩、そしてモーツアルトの調べの中で、家族の幸福の均衡が徐々に崩れていく。
アニエスによるヴァルダ Varda par Agnès
© 2019 Cine Tamaris – Arte France – HBB26 – Scarlett Production – MK2 films
[フランス/2019年/119分/DCP/カラー]
出演 : アニエス・ヴァルダ
アニエス・ヴァルダの半世紀を超える創作の旅。長編デビュー作『ラ・ポワント・クールト』から、世界中を魅了した『顔たち、ところどころ』まで。映画、写真、アート――自由な発想で時代を切り拓いてきたアニエス・ヴァルダが、自らの人生と創作の軌跡を情熱とユーモアたっぷりに振り返る。貴重な映像とともに紡がれる本作は、一人の映画作家の記録であると同時に、好奇心を失わず生きた一人の女性の物語でもある。
冬の旅 Sans toit ni loi
© 1985 Ciné-Tamaris / films A2
[フランス/1985年/105分/DCP/カラー]
出演 :サンドリーヌ・ボネール、マーシャ・メリル、ステファーヌ・フレス、ヨランド・モロー
冬の田舎道に行き倒れて死んだ少女モナ。誰も知ることのない彼女の身に何が起こったのか?彼女と知り合った何人かの証言からモナの孤独な旅の物語が、少しずつ明らかになってゆく……。数枚のテキストのみで、アニエス・ヴァルダとサンドリーヌ・ボネールが即興で作り上げていったロード・ムーヴィーの傑作。
歌う女・歌わない女 L’une chante, l’autre pas
[フランス=ベルギー/1976年/107分/DCP/カラー]
出演 : テレーズ・リオタール、ヴァレリ・メレッス
「女に生まれるのではない、女になるのだ」シモーヌ・ド・ボーヴォワール
1962年パリ、歌手を目指している明るく、人気者の17歳の高校生、ポリーヌ (通称ポム) と、カメラマンの男性の内縁の妻で、22歳の若さで2人の子供がいるシュザンヌ。対照的だが相似関係にあるふたりは心を通わせながらも別々の道へ進む。10数年後、彼女たちは女性解放運動のイベントで再会する。立場も生き方も違うふたりの女性の15年に渡る友情が、喜劇的な要素やメロドラマ的要素を織り交ぜながら描かれていくアニエス・ヴァルダの代表作の一本。
クリス・マルケル監督作品
Les films de Chris Marker
ラ・ジュテ La Jetée
© 1962 ARGOS FILM
[フランス/1962年/28分/モノクロ/デジタル]
出演 :エレーヌ・シャトラン、ダヴォス・ハニッヒ、ジャック・ルドゥー
第三次世界大戦後、放射能に汚染された地上を捨て、人類は地下で生き延びていた。生存への希望を託され、過去と未来への時間旅行実験に送り込まれた一人の男。そこで彼は、幼い頃から忘れられずにいた女性と出会い、強く惹かれ合っていく。やがてその出会いは、時間と運命をめぐる壮大な物語へと姿を変える――。静止画による革新的な映像表現で映画史に刻まれた、SF映画の金字塔。
サン・ソレイユ Sans Soleil
[フランス/1983年/100分/DCP/カラー]
世界を旅するカメラマンからの手紙を読む女性の声(日本語版は池田理代子)に導びかれて始まる世界の映像。とくに日本とアフリカという両極にある世界の映像が、混沌とした記憶として時間と空間を駆けめぐる。記録でも日記でもない斬新な映像作品だ。
シベリアからの手紙 Lettre de Sibérie
[フランス/1957年/67分/DCP/カラー]
ソ連時代のシベリアを描いたドキュメンタリーであり、ナレーションと映像がこの「偽りの旅行記」に独特の意味を与えている。クリス・マルケルは、現地の人々の生活、社会の近代化、採掘者など、様々なテーマを取り上げている。共産主義の偉大な成果を称賛しつつ、同時に極めて遅れた側面を持つソビエト連邦の実態を浮き彫りにしている。
アラン・レネ監督作品
Le film d’Alain Resnais
ヒロシマ、モナムール Hiroshima mon amour
[フランス=日本/1959年/91分/モノクロ/デジタル]
出演 : エマニュエル・リヴァ、岡田 英次
広島に反戦映画のロケに来たフランス人女優と日本人の建築技師。二人は偶然出会い、一夜の情事に身をまかせる。女優は、独軍占領下のフランスの田舎で、敵兵と密通して断罪された過去を持つ。そして知る、広島の悲劇。時あたかも1957年8月。原水禁運動を背景に、二人の孤独な会話……。焦土から奇跡の復興を遂げたその町は、しかし死の影を決して忘れることはない。
7/4(土)~1週間限定
罪の棘
Ⓒストーンプロダクション
2026年/日本/91分/ステレオ/シネマスコープ/配給:渋谷プロダクション/製作:ストーンプロダクション/制作協力:ユニオン映画
監督:植田尚
エグゼクティブプロデューサー:松尾典弘
プロデューサー:元信克則
脚本:村川康敏
音楽:諸橋邦行
撮影:ふじもと光明
照明:江川斉
録音:相樂滋嵩
美術:村上輝彦
衣裳:深野明美
ヘアメイク:村山七虹
助監督:今井美奈子
制作担当:篠﨑周馬
出演:雅琪、脇知弘、山崎真実、勝矢、一瀬綾花、ほしら、緑川雄志、高城桃花、小川雅史、青海衣央里、川原英之、朝日音羽、関幸治、大滝明利、西山啓介、西村西矢、大塚かよ、三浦浩一(友情出演)
仮釈放中の女、
彼女の保護司を務める25年前に実刑判決を受けた男、
25年前に父を亡くした刑事
3人の運命が絡みあう
愛を知らずに育った絵李香(雅玭)は、悪い男に騙され、薬物事件で実刑判決を受けた。保護観察官の橋本(山崎真実)が彼女の保護司に推薦したのは、岩永(脇知弘)。二人は始め、不器用なあまり互いに距離を縮められずにいたが、岩永が絵李香を庇ったことをきっかけに、次第に信頼関係を築いていく。岩永は75年式セリカを所有していた。25年前、岩永は苦心してセリカを手に入れ、恋していた少女と逃亡を図ったが、強盗事件で逮捕されたため、約束を果たせなかった。絵李香と岩永は、セリカを修理して、湘南の海に出掛ける。しかし、同じ頃、新たな強盗事件が発生していた。事件を担当する神奈川県警の藤堂(勝矢)は、殺人に使われた銃のライフルマークが、25年前の事件と同じだったことから、新たな強殺に岩永が関与しているとみて、執拗に追い始めるのだが…
砂漠を生きるためのサボテンの棘
それは、人間にも必要だった
サボテンの棘は、攻撃するためではなく、水滴を集めたり、砂漠での厳しい環境を生き抜くための機能。「シャバもドライで過酷だから」とサボテンを育てる、親の愛を知らずに育った元受刑者と、過去に囚われた彼女の保護司の男。保護司の男は、25年前に強盗事件を起こして服役しており、その強盗事件で父を亡くした捜査一課の刑事も、父を殺した犯人を捕まえるべく、事件を執拗に追いかけていた…
不器用で人との付き合い方がわからない元受刑者・絵李香役でモデルの雅玭が、演技初挑戦ながら、初主演。職場では馴染めなく男に依存してしまう姿や、友人とお互い頑張ろうと鼓舞し合う明るい姿など、複雑なキャラクターを演じきった。 絵李香の保護司となる岩永役は、日本テレビ系ドラマ「ごくせん」のクマこと熊井輝夫役で有名な脇知弘。高校時代の彼女を守りきれなかった独り身の男が、新たに守るものを見つけ、過去に向き合う姿を演じる。
7/4(土)~
遠来 〜トモべのコトバ〜
Ⓒisefilm
2026年/日本/90分/5.1ch/ヒューマンドキュメンタリー/制作・配給:いせフィルム
監督:伊勢真⼀
撮影:伊勢朋⽮
録⾳:世良隆浩
整⾳・効果:永峯康弘
編集:尾尻弘⼀
宣伝・デザイン:森岡寛貴
デザイン・ディレクター:遠藤郁美
題字:細⾕亮太
映像提供:⽔⾕俊之「セブンデイズ」より
製作協⼒:友部正⼈オフィス、プラネタフィルム、⼀隅社、ビレッジプレス、クロスフィット、伊勢進富座、シネマ・チュプキ・タバタ、SKIPシティ
製作:いせフィルム
挿⼊曲(作詞・作曲 友部 正⼈):「遠来」「6⽉の⾬の夜、チルチルミチルは」「夜は⾔葉」「⽇本に地震があったのに」「朝の電話」「⼀本道」
挿⼊詩(友部正⼈詩集「バス停に⽴ち宇宙船を待つ」より):「夜明け」「マメナシの花」「左⾜と右⾜」「⼋時⼗五分」「宇宙船」
出演:友部正⼈、⼩野由美⼦、⽝・猫・リス・⿃・公園・森
遠くからとおくへ・・・友部正人の永い旅───
友部正人はコトバを探して長いながい旅を続けてきた。トモべのコトバは、ささやかな物語をまとい詩になり、何とも魅力的な独特の声をまとい歌になる。映画『遠来』は、同時代を生き、ヒューマンドキュメンタリーの”一本道“を歩んできた伊勢真一が、友部正人の永い旅をニューヨークを舞台に描いた、シネポエムだ。走り続けてきたトモべの足音が、心音が、声が、息遣いが、観る人を連れていく。遠くから とおくへ…。
友部正人 TOMOBE masato
1950年東京⽣まれ。⾼校卒業後、名古屋の路上で歌い始め、72年「⼤阪へやって来た」でレコードデビュー。最新作「銀座線を探して」まで26枚のオリジナルアルバムを発表。詩集、エッセイ集も多数、最新詩集は「バス停に⽴ち宇宙船を待つ」(ナナクロ社)。最新エッセイ集は「歌を探して」(ちくま⽂庫)。40年振りに復刻された絵本「絵の中のどろぼう」(⽂/友部正⼈・絵/スズキコージ)が架空社から刊⾏。2025年12⽉にLDK(友部正⼈+ふちがみとふなと)名義のアルバム「ブルースとワルツ」発売。
photo by yumiko ono
©isefilm
©isefilm
7/11(土)~
ビートルズがいた夏 Things We Said Today
©LES FILMS CAMÉLIA, MODERN ELECTRIC PICTURES, TANGAJ PRODUCTION, ARTE FRANCECINÉMA, L’INSTITUT NATIONAL DE L’AUDIOVISUEL, 2024
2023年/フランス・ルーマニア/英語・フランス語・ドイツ語/85分/配給:オンリー・ハーツ
原題:TWST: Things We Said Today
監督・脚本:アンドレイ・ウジカ
編集・サウンドデザイン:ダナ・ブネスク
録音・ミキシング:ダナ・ブネスク、ギヨーム・ソリニャ
VFXスーパーバイザー:オルガ・アヴラモフ
ドローイングアーティスト:ヤン・ケビ
リサーチ責任者:アンナ・クーリヒ
プロデューサー:ロナルド・シャマー、アナマリア・アントチ、アンドレイ・ウジカ
エグゼクティブ・プロデューサー:ヌレディン・エッサディ、アンダ・イオネスク、エルヴェ・シャンデス、ケント・ジョーンズ、アンナ・クーリヒ
字幕:福永詩乃
出演(声):トミー・マッケイブ、テレーズ・アザラ、シェア・グラント、サラ・マクラスキー
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,300円(税込)を当館受付にて発売中!特典:ポストカードをプレゼント!
2026年ビートルズ来日60周年記念公開
ビートルズ、万博、暴動、ひと夏の恋
ポール・マッカートニーが「未来のノスタルジア」と呼ぶビートルズの小さな名曲『Things We Said Today(今日の誓い)』をタイトルに冠した本作は、1965年8月ビートルズの4人が、音楽史上初のスタジアム・コンサートのためにニューヨークに降り立ったところから始まる。
ビートルマニアと大勢の若い熱狂的ファンが、4人が宿泊するホテルの窓から見える彼らの姿を求めてマンハッタンの街を駆け巡る。しかし、それはこの熱い夏の週末の物語のほんの一部に過ぎない。
同時にシェイ・スタジアムのすぐ隣では「相互理解を通じた平和」というテーマを掲げたアメリカ史上最大の万博が開かれ、西海岸では人種差別に抗い34名が死亡したワッツ暴動が起こっていた。
主人公ジェフリーは、ニューヨークで最初にビートルズの曲を放送した人気ラジオDJの息子で作家を目指す17歳の少年。熱烈なビートルズファンの少女と出会い、その特別な夏の数日をともに過ごす。
本作は、ルーマニアの巨匠監督アンドレイ・ウジカが、処刑された独裁者を描いた彼の記念碑的作品『ニコラエ・チャウシェスクの自伝』以来となる長編作品として10年以上の歳月をかけ作り上げた新たな都市交響詩。ハーレムからロングアイランドのジョーンズビーチまで、ありふれたものから魔法のようなものまで、ニューヨークとその人々を多様な視点で描いたこの作品は、100時間以上のニュース番組と100時間の個人の8ミリフィルムから抜粋したアーカイブ素材ですべてが構成されている。
そこに、フランスのアーティスト、ヤン・ケビによるアニメーションを重ね合わせ、主人公の詩人ジェフリー・オブライエンとヒロインのモデルとなったコンサート・ファンのジュディス・クリステンの個人的な文章、およびウジカ自身が1972年に書いた詩を用いた声を加えている。
この想像力に富んだドキュメンタリーは、歴史からやがて消え去ってしまう儚くも忘れがたい瞬間を、感動的かつ独特の詩的なセンスで蘇らせる。
*第81回ヴェネチア国際映画祭正式出品
7/11(土)~
今は昔、栄養映画館の旅
ⒸKNOCKOUTinc.
2026年/日本/120分/カラー/デジタル/製作・制作プロダクション:株式会社ノックアウト/製作協力:劇団東京乾電池/配給・宣伝:マジックアワー/助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会
監督・撮影・編集:竹田正明
企画:荒井晴彦
プロデューサー:小林勝彦、竹田正明、井上淳一
宣伝プロデューサー:有吉司
音楽:外川智子
音楽プロデューサー:柴田奈穂
撮影:花村也寸志
整音:勝田友也
カラリスト:朝海清史
朗読劇戯曲:竹内銃一郎
出演:《劇団東京乾電池》 柄本明、西本竜樹、吉橋航也、鹿野祥平、柴田鷹雄、松沢真祐美、鈴木寛奈
これはある座長と、劇団員たちによる、
熱気と狂気のドキュメント!
「今は昔、栄養映画館」は劇作家・竹内銃一郎の戯曲で、映画館で映画の完成記念セレモニーをセッティングして開始を待つ中、やり合う監督と助監督の掛け合いを描いた抱腹絶倒の不条理劇。2024年11月に全編を朗読劇として上演。同年12月、2025年1月と再演を重ねる中、観劇に訪れた脚本家の荒井晴彦が「映画館で上演したら面白いのでは?」と着想し企画、2025年5月に日本各地の映画館を回る旅公演が始まった。
座長柄本明と東京乾電池の劇団員たちが、たった一台のワゴン車で日本中のミニシアターに移動して公演し、また別の土地のミニシアターに移動して公演する。柄本演じる監督が「よーい、スタート」と声をかけると舞台が暗転し、映画の映像を流す演出で満員の観客を沸かせ続けた。
この記録映画は、当時76 歳の座長・柄本明を中心とした「東京乾電池」の劇団員たちがまるで家族のように支え合いながら、消耗していく体力とも戦いながら、穏やかに暖かく皆が皆のことを気遣いながら、ひとつひとつの公演を丁寧に重ねていく姿を収めている。観客の皆さんの満足気な嬉しそうな顔の数々が柄本たちのエネルギーの源となる。
本物の映画館とスクリーンを使って行う朗読劇。各地の観客は勿論のこと、劇場主たちも満席になった観客席から起きる笑いを嬉しそうに眺めている。「映画館はその町の“文化”だと思います。今後もこのミニシアターをよろしくお願いします。」と柄本が締めて公演は終演する。
走って、語って、演じて、弱って、飲んで、食べて、笑った濃密な1 ヶ月の旅公演に密着した、渾身の記録映画である。
<特別企画イベント>
朗読劇「今は昔、栄養映画館」
+ 記録映画『今は昔、栄養映画館の旅』
7月11日(土) 1日限定
不条理朗読劇「今は昔、栄養映画館」待望の横浜の映画館での公演【今】と柄本明と東京乾電池劇団員たちの濃密な日々を記録した映画『今は昔、栄養映画館の旅』の上映【昔】をセットにした特別企画イベントを開催!
<特別企画イベント詳細>
7月11日(土)
【朗読劇】(14:10開場)14:30開演~15:40終演
【記録映画】16:00~18:00
【舞台挨拶とサイン会】終映後予定
入場料:【朗読劇】+【記録映画】のセット券5,000円(税込)均一
チケット販売:6/27(土)より劇場受付9:30~、オンライン10:00~
7/11(土)~
PEAK END
©PEAK END
2025年/日本/120分/日本語・韓国語/配給:boid、VOICE OF GHOST
監督:シン・チェリン
撮影:清水歩夢、西尾千裕
録音:キム・スビン
編集:西尾千裕
製作:Team PEAK END
出演:シン・チェリン、伊丹そら
「リン今度さー、
宇宙にジャムサンド飛ばさない?」
ソウルから京都にきたリン、沖縄から京都にきたそら、二人は大学で出会い、映画をつくる道を志した。
二人はおもしろいことをするのが好きだった。そして、おもしろいことを撮影して笑い合うのが好きだった。
ジャムサンドを空に飛ばしたい、フィルムカメラを万引きしてみたい、沖縄でそらのルーツを辿りたい…
二人は様々な欲求を映画制作という名目で昇華していく。
二人にとって映画は魔法の杖のようなもの。ありとあらゆる形にジャンルを変身させて、そこに身を置き、自らが映画を謳歌する存在となって、確かにフィルムに焼き付ける。
二人はとにかく欲張りに相手を知りたいと願い、しかし妥協は許さずアイデンティティが永遠に不確定のまま遅延し続けることを受け入れて、最高に楽しい対話を実践する。
韓国出身の映像作家シン・チェリンが監督・企画・出演を兼ね、京都芸術大学映画学科の卒業制作として手がけた長編映画。ドキュメンタリー要素も取り入れつつ、イノセンスな衝動に溢れた唯一無二の作品を作り上げた。
7/12(日)~6日間限定
鍵
©2026「鍵」製作委員会
2026年/日本/94分/配給:ムービー・アクト・プロジェクト
原作:谷崎潤一郎『鍵』新潮文庫刊
監督:いまおかしんじ
脚本:いまおかしんじ/松本稔
撮影:中澤正行
録音:山口勉
編集:蛭田智子
音楽:宇波拓
出演:吹越満、菅野恵、小出恵介、丸純子、那波隆史、佐倉萌、新藤まなみ、釜國まひろ、治田敦
原作:谷崎潤一郎、監督:いまおかしんじ
余命わずかな夫の妻への執着と 純愛を赤裸々に描く
アンチプラトニック・ラブストーリー
「俺が死んだ後、誰かに抱かれるなんて我慢できない。どうすればいい︖」⼯務店を営む剣持耕三は医者に余命半年の宣告を受ける。歳の離れた妻・郁⼦を案じた剣持は、部下の⽊村と郁⼦を浮気させようと画策。「浮気だのなんだの揉めてるうちは、俺が死ぬってことを忘れるだろう」そのことを知ってか知らずか、徐々に距離を近づけていく⽊村と郁⼦。思惑通りに事が運ぶも、どうしても郁⼦への想いを捨てきれない剣持は、⾝体の衰えとは裏腹に次第に嫉妬を募らせていく。さらに郁⼦の⽇記を盗み⾒ると、そこには⽊村の⾁体に強く惹かれる郁⼦の気持ちが⾚裸々に綴られていた。「⼀⽇でも⻑く⽣きて郁⼦を抱きたい。もっともっと抱きたい」死を前に燃え上がる男の執着と偏愛の⾏き着く先は……
夫婦の⽇記を交互に⽰す⼿法で性の深奥を描きだした⾕崎潤⼀郎の「鍵」。市川崑、神代⾠⺒、池⽥敏春ら名⼿によって幾度となく映像化されてきた官能純⽂学の⾦字塔が、⼤胆なアレンジを加えたオリジナルストーリーとして令和に蘇る。
余命宣告を受けた主⼈公・剣持を演じるのは映画・TVドラマ・舞台と幅広い分野で変幻⾃在の演技をみせる吹越満。死を前に愛する⼥性を他⼈の⼿に委ねまいと嫉妬に⾝を焦がす不器⽤な主⼈公をユーモラスに演じた。剣持の年の離れた妻・郁⼦を『海の沈黙』(若松節朗監督)で映画初出演ながら存在感を残した菅野恵が⼤胆に演じるほか、物語のキーパーソンとなる男性・⽊村に⼩出恵介が扮する。ほか、丸純⼦、那波隆史、佐倉萌、新藤まなみ、治⽥敦ら多彩な俳優陣が集結。耽美⼩説の世界に⾎を通わせる。
メガホンをとるのは、脚本・監督業30年⽬を迎えたいまおかしんじ。『真夏の果実』に続き松本稔と再びタッグを組み、温かな筆致はそのままに新境地を開いた。
7/18(土)~
わたしの聖なるインド
©2023 Nausheen Khan
2023年/インド/74分/ヒンディー語、英語/配給:きろくびと
原題:Land of My Dreams
監督・撮影・編集:ノウシーン・ハーン
音楽:クシュ・アシェール
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,500円(税込)を当館受付にて発売中!
この国は誰のもの?
忘却に抗うカメラに映る、「愛国」という名の暴力と希望
2019年12月、インドのナレンドラ・モディ政権はイスラム教徒(ムスリム)を意図的に排除した市民権改正法(CAA)を制定。イスラム教徒の間で市民権を剥奪される危機感が高まった。法律に対する非難の声が増す中、反対運動の拠点だったジャミア・ミリア・イスラミア大学構内に警察が乱入。無抵抗の学生を襲い、200人もの負傷者と多くの逮捕者を出した。この暴力的な対応と差別的な法律への抗議として、デリー南部のイスラム教徒居住区のシャヒーン・バーグで、大規模な座り込みが始まる。その中心にいたのはムスリムの女性たち。日々の暮らしを営みながら、100日以上にわたって幹線道路を封鎖した。この非暴力で平和的な活動は多くの人の共感を呼び、世代、文化、宗教を超えてインド全土に広がった。しかし、首都デリーでの地方議会選挙を機に状況は緊迫。トランプ大統領の訪印に注目が集まる中、警察による強制排除が起こりーー。
世代、文化、宗教を超え、インド全土に広がった ムスリムの女性たちによる歴史的ムーブメント
政治的にも社会的にも透明化されてきた、イスラム教徒の女性たち。国家を揺るがす歴史的な抵抗運動の軌跡に、自らの解放と変革の物語を重ねたのは、ムスリム女性のノウシーン・ハーン。信仰から距離を置き、社会に溶け込む努力をしてきた彼女が、インドで台頭するヒンドゥー至上主義の実像をみつめ、自らの生き方、国のあり方を問い直す。インド国内での上映が困難を極める中、山形国際ドキュメンタリー映画祭2023(上映タイトルは『我が理想の国』)で市民賞〈観客賞〉を受賞した意欲作が、遂に日本公開!
インドのアートシーンでは近年、ムスリムの若手作家たちが注目を集めている。彼らはイスラム教徒というアイデンティティを逆手に取り、抑圧的な政治体制への対抗として、マイノリティの側から世界をまなざす。その作品は、自ずと高い独自性と豊かな批評性を帯び、社会的な議論を巻き起こしている。本作もその流れを汲んだ作品といえる。
7/18(土)-7/31(金)
ロベール・ブレッソン傑作選
ロベール・ブレッソン傑作選
7/18(土)-7/31(金)
ロベール・ブレッソン傑作選
7/18(土)-7/31(金)
映画監督ロベール・ブレッソンの名前を知っている人も多いだろう。その名前はどんなイメージを抱かせているだろうか、難しい映画を撮る人だと思われていないだろうか?
ブレッソン映画は、その特徴で説明されることも多かった。
職業俳優を使わない、出演者に演技をさせない、伴奏音楽を使わない、必要なもの以外は登場させない――禁止事項ばかりということか? これでは難しそうな印象になるのも無理はない。
本当にそうだろうか。それらの特徴は禁止事項ではなく、すべてを提示してわたしたちの感覚を縛り付けるのではない、観客の感性を強く信頼しているからだと言えまいか。
ひとたび映画館の暗闇でスクリーンに向き合えば、いろいろなものが見え、そして聞こえてくるだろう。
『スリ』の手の動き、『バルタザールどこへ行く』の少女の迷い、『少女ムシェット』の囚われる視線、『白夜』の輝き、『ラルジャン』の抗えない悪……。
今回の特集では『スリ』『バルタザールどこへ行く』『少女ムシェット』『ラルジャン』に新たな字幕翻訳を作成した。
また5作品すべてを、現在ある最新のレストア版にて上映する。
公式サイト https://x.com/byakuya4k?s=20
配給 エタンチェ、ユーロスペース
入場料 一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
予定表 横にスクロールできます
予定表 横にスクロールできます
作品紹介
ラルジャン 2Kレストア
© 1983 Marion’s Films
1983年/フランス・スイス合作/フランス語/カラー/85分/1.66:1/モノラル
原題:L’Argent
日本語字幕:高部義之
監督・脚本・台詞:ロベール・ブレッソン
原作:トルストイ『にせ利札』
撮影:エマニュエル・マシュエル、パスカリーノ・デ・サンティス
録音:ジャン゠ルイ・ユゲット、リュック・イェルサン
美術:ピエール・ギュフロワ
助監督:ミレーヌ・ヴァン・デル・メルシュ
編集:ジャン゠フランソワ・ノードン
音楽:J.S.バッハ、ヨハン・セバスチャン・バッハ「半音階的幻想曲とフーガニ短調BWV903」(演奏/ミシェル・ブリゲ)
製作:マリオンズ・フィルム、エオス・フィルム
出演:クリスチャン・パテイ、カロリーヌ・ラング、マルク゠エルネスト・フルノー(高校生)、ブリューノ・ラベール(高校生の友人)、ディディエ・ボーシイ(写真店)、ベアトリス・ダブーラン(その妻)、ヴァンサン・リステルッチ(リュシアン)、シルヴィー・ヴァン・デン・エルセン(老婦人)、ミシェル・ブリゲ(老父)
高校生が軽い気持ちで使った一枚の偽札が、巡り巡って燃料配達員イヴォンの手に渡り、そこから雪崩のように悪が突き進む。
題名の『ラルジャン』(L’Argent)とは、フランス語で金(かね)を意味する。原作はトルストイの中篇小説『にせ利札』。ブレッソンはこの小説で描かれる悪の連鎖を、透徹した眼差しで見つめた。本作は、撮影当時、すでに80歳を超えていたブレッソンの長篇13作目にして遺作であり、映画史上に屹立する最高傑作である。
スリ 2Kレストア
© 1959 AGNES DELAHAIE PRODUCTIONS CINEMATOGRAPHIE
1959年/フランス/フランス語/モノクロ/76分/1.37:1/モノラル
原題:Pickpocket
日本語字幕:高部義之
監督・脚本・台詞:ロベール・ブレッソン
撮影:レオンス゠アンリ・ビュレル
録音:アントワーヌ・アルシャンボー
美術:ピエール・シャルボニエ
助監督:クロード・クレマン、ミシェル・クレマン、ジャック・バランシュ
編集:レイモン・ラミ
音楽:ジャン゠バティスト・リュリ
スリ技術指導:カッサジ
製作:アニエス・ドラエ・プロダクション
出演:マルタン・ラサール(ミシェル)、マリカ・グリーン(ジャンヌ)、ジャン・ペレグリ(警部)、ドリー・スカル(母)、ピエール・レマリー(ジャック)、カッサジ(第一のスリ)、ピエール・エテックス(第二のスリ)、セザール・ガッテーニョ(刑事)
優れた人間は法を犯す自由があると考える青年ミシェルは、スリの技に魅了され自ら破滅の道を進む。
ドストエフスキーの『罪と罰』をもとにブレッソンが描く魂の遍歴。前作『抵抗』に続き本作でも職業俳優は使われていない。撮影当時16歳だったジャンヌ役のマリカ・グリーンは、これを機に俳優となる。元スリで奇術師のカッサジが指導したスリのシーンは、最小限のカメラワークと緊密な編集で、官能的ともいえる手の美しさを画面に刻み付けている。
バルタザールどこへ行く 4Kレストア
©1966 Argos Films – Parc Film – Athos Films – Swedish Film Institut – Svensk Filmindustri
1966年/フランス・スウェーデン合作/フランス語/カラー/96分/1.66:1/モノラル
原題:Au hasard Balthazar
日本語字幕:高部義之
監督・脚本・台詞:ロベール・ブレッソン
撮影:ギラン・クロケ
録音:アントワーヌ・アルシャンボー、ジャック・カレール
美術:ピエール・シャルボニエ
助監督:ジャック・ケバディアン、スヴェン・フロステンソン、クロード・ミレール
編集:レイモン・ラミ
音楽:シューベルト「ピアノソナタ第20番」イ長調 D959、ジャン・ヴィエネル
製作:パルク・フィルム、アルゴス・フィルム、アトス・フィルム、スウェーデン映画協会
出演:アンヌ・ヴィアゼムスキー(マリー)、フランソワ・ラファルジュ(ジェラール)、フィリップ・アスラン(マリーの父、校長)、ナタリー・ジョワイヨ(マリーの母)、ヴァルテル・グリーン(ジャック)、ジャン゠クロード・ギルベール(アルノルド)、ピエール・クロソウスキー(穀物商)、フランソワ・シュルロ(パン屋)、マリー゠クレール・フレモン(パン屋の妻)、ジャン゠ジョエル・バルビエ(主任司祭)、ジャン・レミニャール(公証人)、ギィ・ブレジャック(獣医)、ジャック・ソルベ(憲兵隊長)、ジル・サンディエ(弁護士)
聖人のようにバルタザールと名付けられた小さなロバは、幼いマリーに引き取られ可愛がられる。やがてバルタザールは他の飼い主たちの手に渡り、次々と人間の業に翻弄される。一方マリーは、幼馴染のジャックの求愛を退け、みずから求めるかのように苦難の道を歩んでいく。
ドストエフスキーの長篇小説『白痴』の挿話から着想を得たブレッソンの異色作。ブレッソンによれば、バルタザールの生涯は二つの図式からなる。一つは、ロバも人間のような成長過程を辿るというもの。そしてもう一つは、ロバが人類の悪徳を象徴する人間たちに次々と苦しめられるというもの。職業俳優を使わないブレッソンだが、本作では、ロバも調教されていない動物が選ばれた。マリー役は、一時期ゴダールの伴侶でもあったアンヌ・ヴィアゼムスキー。彼女は、この後、俳優、小説家となる。
少女ムシェット 4Kレストア
©1967 Argos Films – Parc Film
1967年/フランス/フランス語/カラー/82分/1.66:1/モノラル
原題:Mouchette
日本語字幕:高部義之
監督・脚本・台詞:ロベール・ブレッソン
原作:ジョルジュ・ベルナノス『新ムシェット物語』
撮影:ギラン・クロケ
録音:セヴラン・フランキエル、ジャック・カレール
美術:ピエール・ギュフロワ
助監督:ジャック・ケバディアン、ミレーヌ・ヴァン・デル・メルシュ
編集:レイモン・ラミ
音楽:モンテヴェルディ、ジャン・ヴィエネル
製作:アルゴス・フィルム、パルク・フィルム
出演:ナディーヌ・ノルティエ(ムシェット)、ポール・エベール(ムシェットの父)、マリー・カルディナル(ムシェットの母)、ジャン゠クロード・ギルベール(アルセーヌ・密猟者)、ジャン・ヴィムネ(森番マチュー)、マリー・シュシニ(マチューの妻)、マリー・トリシェ(ルイザ)、レイモンド・シャブラン(食料品店)、リリアーヌ・プランセ(女教師)、シュザンヌ・ユグナン(老婦人)
重病の母とアルコール依存症の父を持つ14歳のムシェットは、学校で友人もなく孤独で苦しい日々を過ごしている。ある日、森で道に迷った彼女は密猟者のアルセーヌに助けられるが、その夜、辛い出来事が起こる……。
カトリックの作家ベルナノスの原作をもとに、ブレッソン自ら脚色した作品。この作品で音楽が使われるのは冒頭と最後のみで、劇中では背景音を組み立てた豊かな音響と切り詰められた台詞で緊張感が高められている。ジム・ジャームッシュは本作を映画史上のトップ10に選んでいる。
白夜 4Kレストア
© 1971 Robert Bresson
1971年/フランス・イタリア合作/フランス語/カラー/83分/1.66:1/モノラル
原題:Quatre Nuits d’un rêveur
日本語字幕:寺尾次郎
監督・脚本・脚本:ロベール・ブレッソン
原作:ドストエフスキー
撮影:ピエール・ロム(ギラン・クロケ/ギャング映画)
録音:ロジェ・ルテリエ
美術:ピエール・シャルボニエ
助監督:ミレーヌ・ヴァン・デル・メルシュ
編集:レイモン・ラミ
音楽:ミシェル・マーニュ、グループ・バトゥーキ、クリストファー・ヘイワード、ルイ・ギター、F. R. ダヴィド
製作:アルビナ・プロダクション、イ・フィルム・デロルソ、ヴィクトリア・フィルム、ジャン・ヴィトリオ・バルディ、フランス国営放送
出演:イザベル・ヴェンガルテン(マルト)、ギヨーム・デ・フォレ(ジャック)、ジャン゠モーリス・モノワイエ(下宿人)、ジェローム・マサール(訪問者)、パトリック・ジュアネ(ギャング)
こんな映画はない。永遠に新しい。
――ヴィム・ヴェンダース
なぜ、あなたをとても好きなのかわかる? 私に恋してないからよ
ドストエフスキーの原作では19世紀のペテルブルクが舞台だったが、ブレッソンは撮影当時のパリに移し、セーヌ河畔とポンヌフを背景に若き男女の出会いを見つめていく。70年代のパリの街、セーヌの夜を彩る歌や音楽、観光船の眩い美しさ……。さまざまな魅力に溢れる傑作が、ついに4Kレストアされ、鮮明な映像でよみがえる。
7/25(土)~
心耳~耳を澄まさぬ表現者たち
©社会福祉法人トット基金
2025年/日本/70分/DCP/配給:POP
監督・編集:藤井秀剛
製作:文化庁 社会福祉法人トット基金
出演:黒柳徹子、三宅右近、三宅近成、井崎哲也、江副悟史、森山みつき、越智貴広、半田一覇、小島里奈
伝統を世界に届けていたのは耳の聞こえない表現者たちだった
日本の伝統芸能を世界に広めているろう者がいる。その事実に突き動かされた藤井秀剛監督の「世に伝えねばならない」という衝動が本作を制作する発端になった。40年もの歳月を手話と手話狂言に捧げてきた黒柳徹子の情熱。彼女との出会いを通じて見えてきた「言語」としての存在意義。しかし物語は単なる感動の記録では終わらない。辿り着いたのは、ある一つの切実な疑問。本作は、手話の魅力を喧伝(けんでん)するためだけの映画では決してない。
日本の文化と伝統を世界へ繋げる手話の縁
黒柳徹子の発案で始まったろう者による手話狂言の活動は、40年以上。その活動は、密かな人気で、チケットは常に完売。海外公演も行い、日本の伝統芸能を世界に広げている。果たして手話狂言の魅力とは何か?また、元来の狂言との違いは何か?そして、そんな手話狂言は、世界でどう映っているのか?本作では、フランスで上演した『瓜(ウリ)盗人』の貴重な映像の一部に加え、関係者の話などを通して、手話狂言の真価を検証する。
インタビューに出演するのは、半世紀近い手話狂言の活動を黒柳徹子と共に支えてきた日本ろう者劇団の創立メンバーの一人である井崎哲也と、その代表である江副悟史。更には、和泉流狂言師の三宅近成に加え、様々な方々の貴重な話を紹介。作中では、インタビュー映像の他、厳しい稽古の様子や舞台裏まで潜入し、初々しい少女たちの貴重な生の映像も捉えた本作は、世界最大級の芸術祭であるクラン・ドゥイユ芸術祭にて見事、最優秀ドキュメンタリー映画賞にノミネートされている。監督は、香港映画『怨泊』や『狂覗』で日本の闇を描き、世界三大ファンタスティック映画祭のひとつであるブリュッセル国際ファンタスティック映画祭にて日本人初のアジア・グランプリを受賞した藤井秀剛。得意の社会性を交えた作風を生かし、念願であるドキュメンタリーに初挑戦した。
7/25(土)~
カウント・ベイシー
©EAGLE ROCK ENTERTAINMENT LTD
2018年/イギリス/英語/75分/カラー/字幕:山口三平/原題:Count Basie: Through His Own Eyes/配給:ディスクユニオン/配給協力:ALFAZBET
監督:ジェレミー・マー
出演:Count Basie(カウント・ベイシー)、Count Basie Orchestra(ベイシー楽団)
キング・オブ・スウィングが自ら語る人生と音楽
ジャズとブルースを融合させ、リズムに革命をもたらしたカウント・ベイシー。スウィングジャズの黄金時代を築いたジャズピアニストの人生と音楽、そして知られざるプライベートを追う自伝的ドキュメンタリー
ジャズにブルースを持ち込み、リズム革命を引き起こしたカウント・ベイシーは、スウィングジャズの黄金時代を築き、“キング・オブ・スウィング”と称されました。日本でも、長年多くのジャズファンを虜にし、現在も学生ビッグバンドや吹奏楽のレパートリーとしても高い人気を誇ります。
本作は、そんな華々しい表舞台での活躍のみならず、これまでベイシー自身があまり語ってこなかった知られざるプライベートにも焦点を当てています。本作の製作陣が、家族が撮影した数多のホームムービーや膨大な写真アルバム、手紙等の貴重資料を発見。脳性麻痺の障がいを持って生まれた娘ダイアンや、アフリカ系アメリカ人の人権啓蒙運動を初期の頃から支援し、マーティン・ルーサー・キング夫妻とも交流した妻キャサリンへの家族愛が明らかとなります。また映画には、今も活動を続けるベイシー楽団の面々や、クインシー・ジョーンズやアニー・ロスといった友人たちも登場。彼らが語るベイシー像や、フランク・シナトラやビリー・ホリデイらとの共演等 貴重なアーカイブ資料によって、彼の足跡と20 世紀のアメリカの激動の社会史が浮き彫りとなります。
7/25(土)~
おばあちゃんの秘密
©「おばあちゃんの秘密」製作委員会2026
2026年/日本/100分/配給:ムービー・アクト・プロジェクト/配給協力:ミカタ・エンタテインメント
原案・監督:今関あきよし
脚本:小林弘利
撮影:三本木久城(JSC)
音楽:宮﨑道
編集:鈴木理
テーマ曲:「シャボン玉飛んだ」歌:洸美-hiromi-&はなちゃん
出演:島田愛梨珠、⻑谷川玲奈、篠原雅史、大島葉子、利重剛、米田敬、松宮倫、大田雄磨、五十嵐乃々空、江藤潤、竹下景子
時を超えて届いた131通の手紙。
その秘密と本当の想いに触れたとき、止まっていた時間がゆっくりと動き出す―
亡くなった祖母・時子の遺言で、東京から新潟県胎内市にやってきた莉莉。夫亡き後、長く一人暮らしだった時子の家の中で見つけたのは、祖母が夫以外の男性と交わした131通の手紙だった。両親の不仲で傷ついていた莉莉は、大好きだった祖母の秘密に戸惑いながらも、その足跡と思い出を辿り始める。やがて胎内市の街の記憶、そして祖母の本当の秘密が、莉莉の心をゆっくりと溶かしていく。
祖母・時子を演じるのは、日本を代表する名優・竹下景子。誰にも知られることなく密かな想いを抱えて生きてきた女性の心の揺らぎと、歳を重ねることの美しさを等身大の姿で鮮やかに体現した。その孫・莉莉に扮するのは『魚の目』『あした、授業参観行くから。』連続テレビ小説「ばけばけ」など話題作に立て続けに出演する新星・島田愛梨珠。祖母の秘密に戸惑いながらも前を向こうとする孫娘を瑞々しく演じた。時子が長年密かに想いを寄せ続けてきた男性・宝井役を、竹下と『祭りの準備』以来実に 50 年ぶりの共演となる江藤潤が演じるほか、胎内市出身の長谷川玲奈、『恋脳 Experiment』などの篠原雅史、今関監督作品常連の大島葉子、利重剛ら多彩な実力派俳優が脇を固める。
これまでウクライナ、ロシア、岩手、鹿児島など様々な国・地域を背景に、美しい映像と優しい眼差しでそこに生きる人々を描き続ける今関あきよしがメガホンを取った。
祖母と孫の時間を超えた交流を通して、いつの時代も変わらない、大切な人を想う気持ちをやさしく描き出すホームドラマ。あなたもきっと家族のことを思い出す—
8/1(土)~
ヒトラーの毒見役
©2025 Lumière & Co. / Tarantula / Tellfilm / Vision Distribution
2025年/イタリア・ベルギー・スイス/123分/ドイツ語/配給:アンプラグド
原題:Le assaggiatrici
原作:ロッセラ・ポストリノ「ヒトラーの毒見役」
監督:シルヴィオ・ソルディーニ
脚本:ドリアーナ・レオンデフ、シルヴィオ・ソルディーニ、ルチオ・リッカ、クリスチナ・コメンチーニ、ジュリア・カレンダ、イラリア・マッキア
製作:リオネッロ・チェッリ、クリスティアーナ・マイナルディ
撮影:レナート・ベルタ
音楽:マウロ・パガーニ
美術:パオラ、ビッザーリ
出演:エリーザ・シュロット、マックス・リーメルト、アルマ・ハスーン、エマ・ファルク、オルガ・フォン・ラックヴァルト、テア・ラッシェ、ベリット・ヴァンダー、クリームヒルト・ハーマン
日本語字幕:大塚美左恵
食べて死ぬか? 撃たれて死ぬか?
世界的ベストセラーを映画化
ナチスからヒトラーの毒見を命令された女性たち
第二次世界大戦末期、本当にあった知られざる真実
2012年、「私はヒトラーの毒見役を務めていた」と告白したドイツ人女性マルゴット・ヴェルクの証言に基づく物語。彼女はヒトラーの協力者とみなされることを恐れ、長い間自分の過去について誰にも語らずにいたが、晩年に打ち明けた。 戦後67年を経て明らかになった新事実。これはナチスに運命を翻弄されたある女性の衝撃的な実体験である。
1943年の第二次世界大戦末期。ベルリンの爆撃を逃れ、ポーランドの田舎町で戦地にいる夫の帰りを待つローザ。その場所は“狼の巣”と呼ばれる、ヒトラーが総統大本営を置いていた森の近くだった。ある日、彼女はヒトラーが食事する前に、毒見する任務を命じられる。他の若い女性たちとともに、親衛隊による監視のもとで、銃を突き付けられながら食事をすることに。ヒトラーが食す最高の料理を、死と隣り合わせの最悪な状況で試食する苦悩の日々。そして1944年7月、総統大本営でヒトラー暗殺を狙うクーデター (7月20日事件) が勃発。戦局が混迷を極める中、彼女たちの運命は―。戦場ではない側面―。女性の視点から戦争の恐怖を捉え、毒見役として日々を共にする彼女たちの間で揺れ動く関係性を描く。
監督は『エマの瞳』(2017)のシルヴィオ・ソルディーニ。主演のローザを演じるのはNetflixシリーズ 「皇妃エリザベート」 (2022) のエリーザ・シュロット、ナチス親衛隊将校を演じるのは『マトリックス レザレクションズ』 (2021) などに出演のマックス・リーメルト。
8/1(土)~
原爆資料館 語り継ぐものたち
©広島ホームテレビ
2025年/⽇本/101分/宣伝協⼒:⽮本理⼦/配給宣伝:きろくびと
監督:⻫藤俊幸/⽴川直樹
⾳楽:⽯橋英⼦『ドライブ・マイ・カー』『悪は存在しない』
プロデューサー:⽴川直樹
撮影・編集:熊⽥好洋
編集協⼒:⼤重裕⼆
後援:広島市、広島平和⽂化センター
制作:広島ホームテレビ
そこには、忘れてはいけない時間がある
歴代館長が命を削って守り続けた”歴史の現場”の全容
1955年に開館して以来、累計8000万人が訪れた広島平和記念資料館、通称”原爆資料館”。
2万2000点を超える遺品や資料などを収蔵し、2006年には本館建物が戦後建築として初めて国の重要文化財に指定された。2025年度には年間入館数が250万人を超え3年連続で過去最多を更新。うち約4割が外国人であり、かつてはマザー・テレサ氏、ダライ・ラマ14世、キューバのフィデル・カストロ議長、オバマ米大統領など数々のVIPも訪れ(役職はいずれも当時)、核兵器の危機が高まる中、世界からの注目度も益々高まっている。
「もう二度と原爆の惨禍を繰り返してはならない」と原爆で溶けた瓦や石といった瓦礫(がれき)を集め、市内の公民館で「原爆参考資料陳列室」を開いた地質学者・長岡省吾の執念と努力によって誕生し、高橋昭博や川本義隆など命を賭して自らの被爆体験を語り続けた歴代館長たちに支えられ続いてきた。各国の要人たちが資料館を訪れ原爆被害の惨状を直接感じてもらうことを重要視する中、2016年にはアメリカのオバマ大統領の訪問が実現。2023年にはG7サミットの開催地が広島に決定した。核保有国のトップたちが原爆資料館を訪問することが決まり、関係者たちは期待を寄せるが――。
50年以上に及ぶ、のべ100時間以上の取材映像を再構築
音楽は『ドライブ・マイ・カー』『悪は存在しない』の石橋英子!
広島国際映画祭2025でクロージング作品としてプレミア上映され、第17回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルではコンペティションに入賞した注目作。資料館の70年を超える歴史から、現在の形となった軌跡をいつか形にしたいと長年構想を抱いていた広島ホームテレビの立川直樹と、55年にわたるのべ100時間を超える取材映像を一から見直し、貴重なアーカイブ映像を掘り起こした若手の斉藤俊幸の2人が、あらたな証言も加え、広島にも縁の深い石橋英子の音楽とともにひとつの作品に結実させた。国際情勢が大きく変化しようとしている今、核の恐ろしさと平和を静かに訴え続けてきた原爆資料館が語るメッセージとは。
8/1(土)~
ひろしま-1945年8月6日、原子雲の下の真実-
©奇跡への情熱[核廃絶プロジェクト]
1953年/日本/104分/35ミリ→DCP/モノクロ/提供:独立プロ名画保存会/配給:奇跡への情熱[核廃絶プロジェクト]
監督:関川秀雄
製作:菊池武雄、伊藤武郎
撮影:中尾駿一郎、浦島進
音楽:伊福部昭
編集:河野秋和
出演:岡田英次、月丘夢路、加藤嘉、山田五十鈴
奇跡への情熱[核廃絶プロジェクト]
長きを経て、多くの方々の想いを込めて、幻の映画が、奇跡のリマスター
1945年8月6日午前8時15分、みち子の姉・町子は警報が解除され疎開作業の最中に、米原先生を始めクラスの女生徒達と一緒に被爆した。みち子は爆風で吹き飛ばされ、弟の明男も黒焦げになった。遠藤幸男の父・秀雄は、妻・よし子が梁の下敷きで焼死ぬのをどうすることも出来なかった。陸軍病院に収容された負傷者は、手の施しようもなく、狂人は続出し、死体は黒山のごとく転がり、さながら生き地獄だった。しかし軍部は、ひたすら聖戦完遂を煽るのだった。
自らも広島で被爆した教育学者・長田新が編集した「原爆の子~広島の少年少女のうったえ」を日教組が映画化、広島市民ら約8万8千人が出演し、原爆が投下された直後の惨状を再現した。
*1955年ベルリン国際映画祭 長編映画賞 受賞
8/1(土)~
原爆資料館 語り継ぐものたち
©広島ホームテレビ
2025年/⽇本/101分/宣伝協⼒:⽮本理⼦/配給宣伝:きろくびと
監督:⻫藤俊幸/⽴川直樹
⾳楽:⽯橋英⼦『ドライブ・マイ・カー』『悪は存在しない』
プロデューサー:⽴川直樹
撮影・編集:熊⽥好洋
編集協⼒:⼤重裕⼆
後援:広島市、広島平和⽂化センター
制作:広島ホームテレビ
そこには、忘れてはいけない時間がある
歴代館長が命を削って守り続けた”歴史の現場”の全容
1955年に開館して以来、累計8000万人が訪れた広島平和記念資料館、通称”原爆資料館”。
2万2000点を超える遺品や資料などを収蔵し、2006年には本館建物が戦後建築として初めて国の重要文化財に指定された。2025年度には年間入館数が250万人を超え3年連続で過去最多を更新。うち約4割が外国人であり、かつてはマザー・テレサ氏、ダライ・ラマ14世、キューバのフィデル・カストロ議長、オバマ米大統領など数々のVIPも訪れ(役職はいずれも当時)、核兵器の危機が高まる中、世界からの注目度も益々高まっている。
「もう二度と原爆の惨禍を繰り返してはならない」と原爆で溶けた瓦や石といった瓦礫(がれき)を集め、市内の公民館で「原爆参考資料陳列室」を開いた地質学者・長岡省吾の執念と努力によって誕生し、高橋昭博や川本義隆など命を賭して自らの被爆体験を語り続けた歴代館長たちに支えられ続いてきた。各国の要人たちが資料館を訪れ原爆被害の惨状を直接感じてもらうことを重要視する中、2016年にはアメリカのオバマ大統領の訪問が実現。2023年にはG7サミットの開催地が広島に決定した。核保有国のトップたちが原爆資料館を訪問することが決まり、関係者たちは期待を寄せるが――。
50年以上に及ぶ、のべ100時間以上の取材映像を再構築
音楽は『ドライブ・マイ・カー』『悪は存在しない』の石橋英子!
広島国際映画祭2025でクロージング作品としてプレミア上映され、第17回座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルではコンペティションに入賞した注目作。資料館の70年を超える歴史から、現在の形となった軌跡をいつか形にしたいと長年構想を抱いていた広島ホームテレビの立川直樹と、55年にわたるのべ100時間を超える取材映像を一から見直し、貴重なアーカイブ映像を掘り起こした若手の斉藤俊幸の2人が、あらたな証言も加え、広島にも縁の深い石橋英子の音楽とともにひとつの作品に結実させた。国際情勢が大きく変化しようとしている今、核の恐ろしさと平和を静かに訴え続けてきた原爆資料館が語るメッセージとは。
8月~
東京裁判 4Kデジタルリマスター版
©講談社2018
1983年/日本/モノクロ/277分(途中休憩あり)/DCP/配給:太秦
監督:小林正樹
原案:稲垣俊
脚本:小林正樹、小笠原清
音楽:武満徹
ナレーター:佐藤慶
※当館での上映は2K版
公式ホームページ【前売券】全国共通特別鑑賞券2,000円を当館受付にて発売中!
時を超えて問いかけてくる…
君たちは、なぜに繰り返す、歴史から何を学んだのかと
1945年日本はポツダム宣言を受諾し、8月15日に全面降伏の旨を国民に伝えた。戦後の日本を統治する連合軍最高司令官マッカーサー元帥は、戦争犯罪人の処罰を早急に実施するよう望み、1946年1月22日に極東国際軍事裁判所条例を発布。俗にいう“東京裁判”である。
満州事変に始まり、日中戦争の本格化や太平洋戦争に及ぶ17年8カ月の間、日本を支配した指導者の中から、太平洋戦争開戦時の首相・東條英機ら28名が被告に指定された。一方、国の内外から問われ、重要な争点となった天皇の戦争責任については、世界が東西陣営に分かれつつあるなか米国政府の強い意志により回避の方向へと導かれていく。
同年5月3日より東京裁判は開廷。まずは「平和に対する罪」など55項目に及ぶ罪状が読み挙げられるが、被告は全員無罪を主張した。検察側は日本軍の非道の数々を告発。弁護側は「戦争は国家の行為であり、個人責任は問えない」と異議申し立てするが、「個人を罰しなければ、国際犯罪を実効的に阻止できない」と、裁判所はこれを却下した。1948年11月12日、残る25名のうち東條ら7名が絞首刑、他18名は終身刑もしくは有期刑の宣告が下された。
巨匠、小林正樹が遺したかった戦後日本への重い問いかけ
アメリカ国防総省が撮影していた50万フィートに及ぶ膨大な裁判記録のフィルムをもとに、『壁あつき部屋』(56)や『人間の條件』シリーズ(59~61)などで戦争の非を訴えた、反骨の巨匠・小林正樹監督が5年の歳月をかけて編集、制作した。客観的視点と多角的分析を施しながら「時代の証言者」としての“映画”を完成させたのである。83年に公開され、単に裁判の記録といった域を越え、日本の軍国主義の歩みと激動の世界情勢を照らし合わせながら、戦後38年当時の日本人に人類がもたらす最大の愚行「戦争」の本質を巧みに訴え得た本作は、第35回ベルリン映画祭国際批評家賞をはじめ国の内外で絶賛された。
初公開から36年、故小林正樹監督に代わり、脚本・監督補の小笠原清とエグゼクティブプロデューサー杉山捷三の全面協力のもとで完成した4Kフィルムスキャン&2K修復デジタルリマスター版。音響もブラッシュアップされ、特に昭和天皇の玉音放送のシーンでは詔書全文の完全字幕化も実現。鮮明な画像と音響がもたらすリアルな臨場感とともに蘇った本作は、再び「戦争と平和」なる言葉の重みとともに、昭和から平成そして令和へと時代が移り変わっても戦争がもたらした負の遺産を改めて観る者に知らしめていく。
8/29(土)~1週間限定
清掃する女 亡霊
© charm point
2026年/日本/74分/製作・配給:charm point/宣伝協力:alfazbet
監督・構成:七里圭
脚本:新柵未成、七里圭
撮影:高橋哲也、村上拓也
CGエンジニア:早川翔人
整音:松野泉
音声リミックス:池田拓実
楽曲提供:檜垣智也
出演:安藤朋子、黒田育世
歌唱・音楽:さとうじゅんこ
能と、AIと、亡霊について。
母の終わりは娘の終わり
何者でもない私の始まり――
私は清掃婦。髪も白くなり、いたずらに過ぎゆく日々。そこへ、若かりし姿で母の亡霊が現れる。母は娘が子を産まず、孤独に生きることを嘆く。しかし、娘は強く反論する――
夢幻能の形式を借りた、歌と身体表現によるパフォーマンスが再び繰り返されるとき、すでに人の姿はない。奇妙な箱人間がうごめき、劇場はCG へ変貌する――
夢幻能 + 映像
伝統芸能の形式を模した実験的な舞台として、絶賛を浴びた作品の再創造(リ・クリエーション)。ついに劇場公開!
2019年上演の『清掃する女』は、生の身体と紗幕映像が交錯する実験的な舞台として絶賛、衝撃を与えた。この映像/演劇作品は、その後、AIキャプチャーの骨格抽出により非人間的な振付をされたCGパートを加え、全く新しいシネマとしてRe-creationされる──
出演は、パフォーミングアーツの実力派たち。白髪の清掃婦を演じるは、伝説の転形劇場出身、現在もARICA を主宰し精力的に活動を続ける安藤朋子。一方、美しい母の亡霊を踊るは、舞踊家・振付家としてダンス・シーンを牽引、BATIK を率いて数々の賞を受けてきた黒田育世。さらに、超絶技巧の歌い手・さとうじゅんこが、異色の競演を盛り上げる。
至極の芸が火花を散らし、演じ描かれる、母と娘の相克や愛憎。そのパフォーマンスを先端技術が再解釈した、データのNoise & error。それは、肉体を削ぎ落とされた生命か、情報化されえぬ亡霊か。異才・七里圭監督がコロナ禍を挟む時代、社会の変容を見つめ、ポストヒューマン/人間不在の未来を予見する前代未聞の最新作!!