10/3(土)~
沼影市民プール
©hydroblast
2025 年/⽇本/80分/DCP/カラー/16:9/ステレオ/映倫G/配給:NAKACHIKA
監督・撮影・編集・録⾳:太⽥信吾
⾳楽:内橋和久
助監督:芳賀直之
追加撮影:与那覇政之、上ノ園芳樹
プロデューサー:⽵中⾹⼦、太⽥信吾
アソシエイトプロデューサー:⾼根順次
アシスタントプロデューサー:マキシム・ロレ
共同プロデューサー:みやたにたかし
企画協⼒:サトシ・フクモト
パブリシティ:プレイタイム
エンディングテーマ曲:SuiseiNoboAz「それから」
企画・制作:ハイドロブラスト
助成:⽂化庁⽂化芸術振興費補助⾦(映画創造活動⽀援事業)、 独⽴⾏政法⼈⽇本芸術⽂化振興会
イベント情報
▼10/3(土)上映後、太⽥信吾監督の舞台挨拶がございます。
“とあるプールが息を引き取るまでの、49日間の記録”
誰かにもう会えないと知ったとき、私たちは立ち止まる。
仮にそれが「場所」だったとしても、やはり私たちは同じかたちで、心を揺らす。
これは、都市開発が置き去りにした住人たちへのケアのプロセスである。
1971年、「海なき市にプールを」という市⺠の願いから⽣まれた「沼影市⺠プール」。市⺠の憩いと出会い、そして健康を⽀える場として、52年間で約600万⼈が訪れた。ところが2021年、さいたま市はプールの解体と、⼩中⼀貫校の建設を発表。存続を求めて900通を超えるパブリックコメントや1万⼈以上からの署名が寄せられるも計画は進み、2024年、プールは静かに役⽬を終えた。
本作はプールが取り壊されるまでの49⽇間を記録。公共施設の喪失が市⺠に何をもたらすのかを描き出した。監督は『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(13)や『解放区』(14)で知られる太⽥信吾。ドキュメンタリーとフィクションを横断する独⾃の⼿法は、国内 外で⾼く評価され、本作は制作段階においてカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭2024にて⽇本企画としては初となる「First Cut+ Works in Progress Award」を受賞。その後も釜⼭国際映画祭、テッサロニキ国際ドキュメンタリー映画祭、台北国際映画祭をはじめ12以上の国際映画祭で上映されている。また、エンディングテーマ曲には、SuiseiNoboAz(スイセイノボアズ)「それから」が使⽤されている。
10/3(土)~
ヒンド・ラジャブの声
© MIME FILMS — TANIT FILMS
2025年/チュニジア、フランス/アラビア語・英語/89分/シネスコ/5.0ch/提供:ニューセレクト/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
原題:The Voice of Hind Rajab
監督・脚本:カウテール・ベン・ハニア
製作総指揮:ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー、ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、ジョナサン・グレイザー、アルフォンソ・キュアロン、マイケル・ムーア、スパイク・リー
プロデューサー:ナディム・シェイクルーハ、オデッサ・レイ、ジェームズ・ウィルソン
エグゼクティブ・プロデューサー:エリザベス・ウッドワード
撮影監督:フアン・サルミエント・G
編集:クタイバ・バルハムジ、マキシム・マティス、カウテール・ベン・ハニア
プロダクション・サウンド・ミキサー:アマル・アティア
サウンドエディター:エライアス・ブーゲディール
サウンドデザイン:グウェノレ・ルボルヌ、マリオン・パピノー
リレコーディング・ミキサー:ラース・ギンツェル
音楽:アミネ・ブハファ
美術:バッセム・マルズーク
衣装:カディア・ゼガイ
協力:パレスチナ赤新月社
日本語字幕:松浦美奈
字幕監修:高橋和夫
2024年1月29日。世界が傍観した”6歳の少女の声”
その”叫び”に懸命に向き合った人たちがいたー
魂が震える[89分]
2024年1月29日。イスラエルからの攻撃が激化していたパレスチナ・ガザ地区で、7人の市民が乗る車両が占領軍に銃撃される事件が起きた。親族の遺体に囲まれながら、ひとり生き延びた6歳の少女ヒンド・ラジャブは緊急通報の電話で必死に助けを求めたが、その後消息を絶ち、12日後に遺体で発見された。彼女の乗っていた車両には、355発の弾痕が残っていたという。
この悲痛な出来事は、ヒンドの通話音声とともにニュースやSNSで瞬く間に拡散され、世界中の人々に大きな衝撃を与えた。その一人が『皮膚を売った男』(20)や『Four Daughters フォー・ドーターズ』(23)でアカデミー賞にノミネートされるなど、国際的な評価を受けるチュニジアの映画監督、カウテール・ベン・ハニア監督である。誰も応えることのできなかったヒンドの「助けて」という叫びに突き動かされた彼女は、ヒンドの声を伝えるべく映画化を決意。パレスチナ赤新月社やヒンドの母親との連絡を取り、徹底したリサーチを重ねた上で、事実に即したかたちで物語を構築していった。
パレスチナ・ガザ地区から届いた、助けを呼ぶ少女の声——。
世界はそれにどう応答するのか。いかなる暴力でも消し去れない記録が、私たちに問いかける。
物語の舞台となるのは、ヨルダン川西岸地区にある人道支援組織「パレスチナ赤新月社」の緊急通報センター。電話越しに助けを求める幼い少女を救出するため、心を擦り減らしながら奮闘するボランティアスタッフたちの献身的な姿が描かれる。ハニア監督は実際の音声記録や現地の映像を用いながら、パレスチナ人俳優を起用して撮影を行い、現実と映画が渾然一体となった表現で徹底したリアリティを追求。社会派映画の枠にとどまらない、観る者を強く揺さぶる傑作ドキュフィクションが誕生した。
第82回ヴェネチア国際映画祭では、同映画祭史上最長となる23分のスタンディングオベーションで迎えられ、銀獅子賞<グランプリ>受賞含む驚異の8冠を達成。その後も世界中の映画祭で賞賛を浴び、第98回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネートを果たした。ブラッド・ピット、ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、アルフォンソ・キュアロン、ジョナサン・グレイザー、マイケル・ムーア、スパイク・リーといった錚々たる面々がハニア監督の想いに賛同し、本作のプロデューサーとして名乗りを挙げているほか、多くの映画人たちが本作を賞賛。「今、最も重要な映画だ(ヨルゴス・ランティモス)」、「全人類が観るべき映画にちがいない(ジェシー・バックリー)」、「こんなにも胸が熱くなる作品は長い間観ていない。映画を超越したものである(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ)」といった絶賛コメントが寄せられている。
2025年10月10日にガザ地区での停戦が発行されてからも、いまだイスラエル軍の攻撃は継続し、軍事支配が進んでいる。ヒンド・ラジャブに起きた悲劇は、現在もガザ地区において決して特別なものではないだろう。だからこそ、世界は彼女の声に耳を澄まさなければならない。必死に生きようとした、あの声に。『ヒンド・ラジャブの声』は、その声に触れた私たちがどう応答するのかを、静かに、そして力強く問いかけている。
10/3(土)~1週間限定
オービュッソンのタピスリーで綴る宮崎駿の世界
© Tokyo-Aubusson – Le voyage en tapisserie de Hayao Miyazaki – Le Nouveau Studio
2025年/フランス/52分/フランス語、日本語字幕付き/デジタル/カラー/主催:横浜日仏学院/共催:横浜シネマリン
原題:Tokyo-Aubusson, le voyage en tapisserie de Hayao Miyazaki
監督・共同脚本:ソニア・ムーメン
出演:許斐愛子
イベント情報
▼10/3(土)上映後、ソニア・ムーメン監督来日!(リアル登壇)、許斐愛子さん(オンライン登壇)のトークイベントがございます。
宮崎駿の世界が巨大なタピスリーへと生まれ変わる
2019年、フランス・クルーズ県オービュッソンの国際タピスリーセンターは、東京のスタジオジブリと協定を締結し、日本アニメーション界の巨匠・宮崎駿監督作品の名場面をもとにした壮大なタピスリー制作プロジェクトを始動させました。
熟練の職人たちの手によって巨大なタピスリーへと生まれ変わるまでには、およそ18〜24か月もの歳月がかかります。本作は、『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『となりのトトロ』を題材としたこの壮大なプロジェクトを、4年にわたって見つめ続けたドキュメンタリーです。『もののけ姫』のタピスリーは昨年の大阪・関西万博のフランス館にて展示されていた作品になります。
ソニア・ムーメン 監督・共同脚本
芸術文化の専門教育を経て舞台芸術に携わった後、文学の道へ。2004年、処女小説をガリマール社から出版。2010年以降は執筆・ジャーナリズム・映像制作に専念。2018年から芸術文化や伝統工芸や職人をテーマにしたテレビマガジン2本の脚本・監督を務め、『Faire la montagne』など複数のドキュメンタリー作品も手がける。『オービュッソンのタピスリーで綴る宮﨑駿の世界』は4作目の作品となる。

© glwadys-le-moulnier.jpg
許斐愛子 出演・タピスリー職人
フランスのオービュッソン・タピスリー(ユネスコ無形文化遺産)の職人。京都で染織を学び、2014年に渡仏。タピスリーの職業訓練を経て、国家資格の職業適性証を取得。工房勤務を経て2023年にAtelier A.KONOMIとして独立。美術館所蔵作品や公共プロジェクト、個人注文、オリジナル作品など幅広い仕事を手がける。国際タピスリーセンターとスタジオジブリによる『ハウルの動く城』をはじめ、この夏完成した「メイとトトロのお昼寝」の制作にも参加した。
10/3(土)~1週間限定
MOTHERLAND マザーランド
© 2019 Studio Uljana Kim / Locomotive Productions
2019年/リトアニア、ラトビア、ドイツ、ギリシャ/96分/シネマスコープ/5.1ch/配給・宣伝:太秦/日本語字幕:川喜多綾子/後援:駐日リトアニア共和国大使館
原題:GIMTINE/国際タイトル:MOTHERLAND
監督・脚本:トーマス・ヴェングリス
出演:マータス・メトレフスキ、セヴィリヤ・ヤノシャウスカイテ、ダーリウス・グマウスカス、バルボラ・バレイキテほか
母が生まれたリトアニアで過ごす夏。
まだ知らない場所で、
きらめきとざわめきが交わる─。
ある夏の日。アメリカから来た12歳のコヴァスは、初めて母の故郷であるリトアニアを訪れる。母ヴィクトリアは、離婚をきっかけに、かつて暮らしていた土地を取り戻し、息子とともに新しい生活を始めようとしていた。 新しい国として歩み始めたリトアニア。コヴァスの目に映る景色は、見慣れない光景だった。両親の離婚から立ち直れていないコヴァスは、この夏休みで気持ちを紛らわせたいと思っていたが、うまく馴染めない。 そんななか、ふたりはヴィクトリアの昔からの友人ロマスと、その娘マリアと会うことに。コヴァスは、ヴィクトリアとロマスの仲の良さがどこか気になりながら、マリアと過ごす時間が日常の一部になっていく。 そのころ、ヴィクトリアが取り戻そうとしている昔の家には、別の家族が暮らしていることを知る。噛み合わないまま話を続ける大人たちを、コヴァスはただ見ていることしかできない。少しずつ、これまで知らなかった母の秘めた一面と、その故郷リトアニアに息づく時間に触れていく。この夏、コヴァスはまだ見ぬ世界に出会う――。
“MOTHERLAND”——
生まれた場所か、育った場所か、それとも——
本作の舞台は、歴史の転換期であった1992年、ソ連からの独立を果たして間もないリトアニア。新しい時代を歩みだしたばかりの、不安定な状況にあった頃、アメリカからきた母と息子がリトアニアを訪れる。遠い記憶がほどかれるように、物語は静かに動き出す。
トーマス・ヴェングリス監督の初の長編劇映画となる本作。監督自身がワシントンD.C.でリトアニア移民の息子として育った経験をもとに、その物語とテーマは生み出された。テレンス・マリック、ケリー・ライカートら名だたる監督のもとで編集助手として経験を重ね、本作で長編監督デビューを果たした。
少年コヴァスを演じるのはマータス・メトレフスキ。撮影当時、役と同じ年齢だった彼のまなざしは、戸惑いや好奇心、言葉にならない感情をそのまま映し出している。
母ヴィクトリヤを演じるのは、リトアニアを代表する俳優セヴィリヤ・ヤノシャウスカイテ。本作では、記憶の中の故郷と向き合いながら、失われた時間を取り戻そうとする姿を繊細に体現し、リトアニア国立映画祭にて最優秀主演女優賞を受賞した。
コヴァスの視点を通して、ヴィクトリヤのルーツである土地をめぐる過程で、移りゆく時代の渦中、その狭間を生きる人々の姿や、故郷を追われた心情、そして当時のリトアニアが浮かび上がる。独立を迎えたばかりのリトアニアを背景に「祖国」とは何かという問いと揺らぐアイデンティティを見つめ、叙情的で現在へと響く物語がここに生まれた。
10/3(土)~
セックス・ピストルズ 破壊の設計図
© 2025, I WAS A TEENAGE SEX PISTOL PRODUCTION, LLC ALL RIGHTS RESERVED
2025年/アメリカ/英語/96分/提供:ニューセレクト/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
原題:I Was A Teenage Sex Pistol
監督:アンドレ・レリス、ニック・ミード
編集:ヴァネッサ・ローワース、ジャスティン・ウィリアムズ
製作:グレン・マトロック、ニック・ミード、アンドレ・レリス、ジェシカ・ルッソ
原作:グレン・マトロック著『I Was a Teenage Sex Pistol』
出演:グレン・マトロック、ジョニー・ロットン、シド・ヴィシャス、スティーヴ・ジョーンズ、ポール・クック、クリス・スペディング、デボラ・ハリー、ビリー・アイドル、ウェイン・クレイマー、ケニー・ジョーンズ、ファット・マイク、トレイシー・ガンズ、リチャード・ストレンジ
―1970年代イギリス・ロンドン―
“パンクロック”の誕生―
「パンクだね!」その精神は、ここから始まった。
“セックス・ピストルズ“-その名は、誰しも一度は耳にしたことがあるだろう。1970年代後半のロンドン、停滞したロックシーンを全否定しながら、突如現れた“パンク”ロックバンドだ。今では「パンクだね」と日常会話で使われているが、その精神はここで生まれたのだ。テレビに出れば放送禁止用語を連発、下手くそな演奏、破壊的なライブパフォーマンス。髪を逆立て、切り裂かれたシャツに破れたジーンズに安全ピン。パンクファッションを世界中に広めたのも彼らだ。驚くほどポップなデビューアルバム『勝手にしやがれ‼』は、全世界で大ヒットを記録し、後のパンクロックの原型を作った。何もかもが発明だった。しかし、アルバム発売から間もなく、最後のライブで「だまされた気分になったことはないか?」と言い放ち、ヴォーカルのジョニー・ロットンが脱退、バンドは解散に。ベースのシド・ヴィシャスは、恋人ナンシー殺害容疑の渦中に、薬物の過剰摂取により21歳の若さで死去。その刹那的な生涯は伝説となり、永遠のパンク・アイコンとなる。
―“策士”マルコム・マクラレンד異端”のファッションデザイナー ヴィヴィアン・ウエストウッド―
しかし、この物語には、“策士”マルコム・マクラレンと、後に世界的デザイナーとなるヴィヴィアン・ウエストウッドによる“台本”が存在したことをご存じだろうか。そして、アルバム収録曲、実に12曲中10曲を手掛けたにもかかわらず、この“台本”から消された男、初代ベーシストグレン・マトロックの存在を。
―人生の本当の勝者とは―悲運の男グレン・マトロック―
悲運の男グレン・マトロックが、全てを語りつくした、衝撃のアナザーストーリー。当時のライブ映像やインタビュー、そしてグレン・マトロックの貴重なライブも収録。ショービジネスにおける虚と実、表現と商業主義のせめぎ合いを描きながら、「人生の本当の勝者とは?」という普遍的な問いを投げかける傑作ドキュメンタリー。
10/9(金)~
遥かな町へ
©︎2026 映画「遥かな町へ」BARCOS
2026年/日本/126分/配給:ムービー・アクト・プロジェクト/配給協力:渋谷プロダクション
脚本・監督:錦織良成
原作:谷口ジロー
音楽:瀬川英史
エグゼクティブプロデューサー:山本敬
企画プロデュース:結城豊弘(ANOSA)
プロデューサー:安川唯史
出演:大谷亮平、及川桃利、磯谷萌々子、戸田菜穂、滝藤賢一
1963年――
14歳の“あの日”が甦る
48歳の建築デザイナーの中原博史は、仕事の出張帰りにふと故郷・鳥取の倉吉を訪れ、母の墓前でなぜか彼は1963年の町へと迷い込み、“14歳の自分の身体”に戻ってしまう。だが意識は48歳のまま。彼は思春期の少年として、再び家族と向き合うことになる。そこには若き日の母、妹、祖母、そして、やがて突然家を出て失踪する父の姿があった――。
「孤独のグルメ」「神々の山嶺」漫画家・谷口ジローの世界的名作が日本初実写化
中年男が中学時代へタイムスリップ…人生の選択を見つめ直す“大人の青春物語”
映画『遥かな町へ』は、⼈⽣の折り返し地点を迎えた⼀⼈の男が、中学⽣時代にタイムスリップし、友⼈や初恋の⼈との再会、そして家族との時間を通して、⾃らの⼈⽣の選択を⾒つめ直す⼤⼈の⻘春物語。原作は、⿃取県出⾝の漫画家・⾕⼝ジローが1998年に発表した漫画「遥かな町へ」。「孤独のグルメ」(作・久住昌之)や「神々の⼭嶺」(作・夢枕獏)などで知られる⾕⼝が、⾃⾝のオリジナルストーリーによって描き上げ、フランスのアングレーム国 際漫画祭をはじめ、イタリア、ドイツなど数々の漫画賞を受賞。2010年には、ルクセンブルク、フランス、ドイツの合作で映画化もされた世界的名作が、このたび⽇本⼈の監督とキャストにより新たに実写映画化された。
主⼈公・博史を演じるのは、韓国で俳優のキャリアを築き、“逆輸⼊”のルートを経て⽇本で活動する⼤⾕亮平。“ミッドライフ・クライシス(中年の危機)”を迎えた中年男性を体現した。1963年に⽣きる14歳の博史役に及川桃利、博史の初恋相⼿・⻑瀬智⼦役に磯⾕萌々⼦。ともにオーディションで抜擢された2010年⽣まれの若⼿2⼈が、瑞々しい存在感を放つ。さらに、博史の両親役に、実⼒派俳優の滝藤賢⼀、⼾⽥菜穂が名を連ね、作品に深みを与えている。 脚本と監督は、『RAILWAYS 49歳で電⾞の運転⼠になった男の物語』、『たたら侍』、『⾼津川』など、地域に根ざした物語を通して、そこに住む⼈々の⼼の交流を描き続けてきた錦織良成。何気ない⽇常をとらえる描写⼒と柔らかな映像センスを発揮している。撮影は、昭和30年代の町並みが今も残る倉吉市でロケを敢⾏。三池崇史監督や⾹港のイー・トンシン監督とのタッグで知られる撮影の北信康が、懐かしい味わいと慕情にあふれる光景をカメラに収めた。⽇本の⽚隅の⼩さな町から世界へ、誰もが⼼の奥で求めている「ふるさと」のような原⾵景に織り込まれた⼈間ドラマは、世代や国を超えて誰の⼼にも眠る普遍的なノスタルジーに訴えかける。
10/10(土)~
パフォーマンス・アート:身体と空間をめぐる映画祭
パフォーマンス・アート:
身体と空間をめぐる映画祭
10/10(土)-10/23(金)
パフォーマンス・アート:
身体と空間をめぐる映画祭
10/10(土)-10/23(金)
現代美術において最もエネルギッシュで、不可欠なジャンルへと進化を遂げたパフォーマンス・アート。
シーンを創造し、革新してきた先駆者たちのドキュメンタリーをラインナップ。
自由すぎて深すぎる、パフォーマンス・アートの世界へようこそ。
いま、パフォーマンス・アートへの関心が世界的に高まっている。
パフォーマンス・アートは、伝統的な芸術観の否定と過激な実験精神に端を発した20世紀前半の前衛芸術運動(未来派、ダダ、シュルレアリスム、構成主義、バウハウスなど)を源流とした出自と、「一回性の表現」を残す難しさから、⾧らく美術界の片隅に配されていたが、それは過去のものとなった。
現代美術の国際的祭典として最新の動向を世界に発信するヴェネチア・ビエンナーレでは、2017年と2019年の2期連続で、パフォーマンス・アート作品が金獅子賞(最高賞)を受賞。また、2017年にはキャロリー・シュニーマンが金獅子賞(生涯功労賞)を受賞。芸術界のノーベル賞と称される高松宮殿下記念世界文化賞においても、2023年にロバート・ウィルソン、2025年にマリーナ・アブラモヴィッチとアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルというパフォーマンス・アートの巨匠たちが受賞。その躍進ぶりを象徴している。
パフォーマンス・アートは身体を核としながら、文学、演劇、戯曲、音楽、建築、詩、映画など、あらゆる表現媒体を縦横無尽に横断する、融通無碍、不確定性のアートである。そして、不定形であるがゆえに、時代の先端にあるメディアやテクノロジーも積極的に取り込みながら、根源的な生々しい感情や、その時代に存在する社会への問いを表現する。
本映画祭では、芸術表現の周縁から中心へと躍り出たパフォーマンス・アートのシーンを創造し、革新してきた先駆者たちのドキュメンタリー5作品(4プログラム)をラインナップ。その底知れぬ世界を紐解く。
公式ホームページhttps://trenova.jp/paff/
企画・配給トレノバ
企画協力深川雅文、江口正登
入場料 一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
トークイベント
▼10/10(土)『ナム・ジュン・パイク 月は最古のTV』上映後、日比野民蓉さん(横浜美術館主任学芸員)、佐藤小百合さん(メディア論/美術批評/韓国現代美術)のトークイベントがございます。
上映スケジュール
| 10/10(土) | 10/11(日) | 10/12(月) | 10/13(火) | 10/14(水) | 10/15(木) | 10/16(金) |
12:45ー13:55C:ある日、ピナは尋ねた…+ピンク・シュレンマー |
12:20ー13:55A:カニングハム |
12:20ー14:15D:ナム・ジュン・パイク |
12:20ー13:35C:ある日、ピナは尋ねた…+ピンク・シュレンマー |
12:20ー14:05B:ブレイキング・ザ・フレーム |
12:20ー13:53A:カニングハム |
12:20ー13:35C:ある日、ピナは尋ねた…+ピンク・シュレンマー |
14:05ー15:55D:ナム・ジュン・パイク トーク 日比野民蓉さん 佐藤小百合さん |
14:05ー15:50B:ブレイキング・ザ・フレーム |
14:25ー15:40C:ある日、ピナは尋ねた…+ピンク・シュレンマー |
14:00ー15:40A:カニングハム |
14:15ー15:30C:ある日、ピナは尋ねた…+ピンク・シュレンマー |
14:00ー15:50D:ナム・ジュン・パイク |
14:00ー15:45B:ブレイキング・ザ・フレーム |
予定表 横にスクロールできます
| 10/17(土) | 10/18(日) | 10/19(月) | 10/20(火) | 10/21(水) | 10/22(木) | 10/23(金) |
17:40ー19:13A:カニングハム |
17:40ー18:50C:ある日、ピナは尋ねた…+ピンク・シュレンマー |
17:20ー19:10D:ナム・ジュン・パイク |
17:20ー19:05B:ブレイキング・ザ・フレーム |
17:20ー18:53A:カニングハム |
17:20ー19:15D:ナム・ジュン・パイク |
17:20ー18:35C:ある日、ピナは尋ねた…+ピンク・シュレンマー |
19:20ー21:01B:ブレイキング・ザ・フレーム |
19:00ー20:50D:ナム・ジュン・パイク |
19:20ー20:53A:カニングハム |
19:15ー20:30C:ある日、ピナは尋ねた…+ピンク・シュレンマー |
19:00ー20:50D:ナム・ジュン・パイク |
19:25ー20:40C:ある日、ピナは尋ねた…+ピンク・シュレンマー |
18:45ー20:25A:カニングハム |
予定表 横にスクロールできます
Program A
カニングハム★日本劇場初公開
2019年/ドイツ、フランス、アメリカ/93分
原題:Cunningham
監督・脚本・編集:アラ・コフガン
撮影:ムコ・マルハシアン
音楽:フォルカー・ベルテルマン
出演:マース・カニングハム、キャロリン・ブラウン、ジョン・ケージ、アシュリー・チェ ン、ロバート・ラウシェンバーグ
ダンスの概念を根本から再定義した革命家マース・カニングハム。「音楽と振付は独立して存在する」という画期的な哲学や、偶然性を振付に取り入れる手法などにより、ダンスの新領域を切り開くパフォーマンスで世界に衝撃を与えてきた。本作は彼の生誕100周年を記念し、活動の軌跡を追ったドキュメンタリー。未公開のアーカイブ映像を通して、彼の哲学や肉声に触れ、生涯のパートナーであった前衛音楽の巨人ジョン・ケージや、ロバート・ラウシェンバーグ、アンディ・ウォーホルら20世紀を代表する芸術家たちとの協働の裏側に迫る。そして、無名だった1942年から名声を確立する1972年までの30年間に生み出された14の代表作を現代のダンサーたちが再演。ビルの屋上や深い森の中など、規格外のロケーションで、空間と身体が躍動する。
*2023年イタリア賞(テレビ・パフォーミングアーツ部門)
*2019年バーデン=ヴュルテンベルク映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞
*2019年ハンプトンズ国際映画祭ゴールデン・スターフィッシュ賞特別賞
Program B
ブレイキング・ザ・フレーム★日本初公開
©Marielle Nitoslawska
2012年/カナダ/101分
原題:Breaking the Frame
監督・脚本・撮影:マリエル・ニトスラウスカ
編集:モニーク・ダルトン
出演:キャロリー・シュニーマン、ジェームズ・テニー
パフォーマンス・アートやフェミニズム・アートの先駆者として50年以上にわたり活動し、現代の身体芸術やジェンダー表現に多大な影響を与えたキャロリー・シュニーマン。本作は、その生涯と芸術世界を実験的アプローチで描いたポートレート・ドキュメンタリー。抽象画家としてキャリアを開始した彼女は、やがて自らの身体を素材として用い、1975年にフェミニズム・アートにおける極めて重要で過激なパフォーマンス≪Interior Scroll(体内の巻物)≫を発表。女性への身体的抑圧に抵抗した作品群は、男性優位の美術界で女性のセクシュアリティや肉体性を生々しく提示し、世間に大きな衝撃を与えた。タブーに挑み続けたシュニーマンが感じた孤独や怒り、作品への情熱が、彼女の作品記録や絵日記、そして語る言葉によって浮き彫りになる。
Program C
ある日、ピナは尋ねた…〈2Kレストア版〉★日本劇場初公開
©INA
1983年/フランス、ベルギー、ドイツ/58分
原題:Un jour Pina a demandé…
監督:シャンタル・アケルマン
撮影:リュック・ベナムー、バベット・マンゴルト
編集:ドミニク・フォルジュ、パトリ ック・ミモーニ
出演:ピナ・バウシュ、シャンタル・アケルマン、ヤコブ・アナセン、アンヌ=マリー・ベ ナティ、ベネディクト・ビリエ、市田 京美
ドイツ表現主義舞踊の流れを汲み、ダンスと演劇を融合した“タンツテアター”を現代に確立した、コンテンポラリー・ダンスの巨匠ピナ・バウシュ。本作は、映画史に名を刻む名匠シャンタル・アケルマンが、バウシュ率いるヴッパタール舞踊団の欧州ツアーに同行して作り上げたドキュメンタリー。説明的な手法を最小限に抑え、アケルマンの特徴である静謐な固定カメラと長回しを中心に構成。『コンタクトホーフ』や『カーネーション』といったバウシュの代表作の断片とともに、リハーサル時のダンサーの身体の躍動や息遣いや、舞台裏の何気ない時間が切り取られている。タイトルの『Un jour Pina a demandé…(ある日、ピナは尋ねた…)』は、バウシュがダンサーに個人的な質問や課題を与え、そこから動きを引き出していく独自の振付手法に由来する。
ピンク・シュレンマー★日本初公開
©Oliver Husain
2025年/カナダ/12分/カラー
原題:Pink Schlemmer
監督・撮影・編集・アニメーション:オリバー・フサイン
出演:タンヴィール・アラム
2024年、トロントのゲーテ・インスティトゥートの保管庫から『マン・アンド・マスク:オスカー・シュレンマーとバウハウスの舞台』の古いプリントが発見された。1969年に制作されたこの作品は、1925年頃にバウハウスでオスカー・シュレンマーが試みた前衛的な舞台・ダンス作品を再現し映像として記録した作品で、フィルムは経年劣化で鮮やかなピンクとマゼンタに染まっていた。本作はこの華やかな色調を手がかりとし、パフォーマンス・アートの源流の一つとして位置付けられるバウハウスの舞台工房を率いたシュレンマーのダンス、舞台表現、思想、そしてその影響を再解釈する。
*第76回ベルリン国際映画祭フォーラム・エクスパンデッド部門上映
Program D
ナム・ジュン・パイク 月は最古のTV★日本初公開
©NamJune LLC
2023年/アメリカ/110分
原題:Nam June Paik: Moon Is the Oldest TV
監督:アマンダ・キム
撮影:ネルソン・ウォーカー
編集:タリン・グールド
テーマ音楽:坂本龍一
出演:ナム・ジュン・パイク、スティーヴン・ユァン(朗読)、ジョン・ケージ、ヨーゼフ・ ボイス、シャーロット・モーマン、マリーナ・アブラモヴィッチ、久保田成子
“ビデオ・アートの父”と称されるナム・ジュン・パイク。彼はアートとテクノロジーの境界を破壊し、インターネット普及のはるか前にデジタル社会の到来を予見した。本作は、彼のパフォーマンス映像や手記(俳優スティーヴン・ユァンの朗読)などの膨大なアーカイブを紐解きながら、韓国から日本、ドイツ、アメリカへと渡り歩いたその生涯と、先駆的な活動やビジョンに迫る。彼が生み出した人々の想像を超えるアートがいかにして当時の大衆文化と交差したかが描かれるとともに、彼の人生を変えたジョン・ケージとの出会い、ヨーゼフ・ボイスやシャーロット・モーマンらとの過激なコラボレーションなど、フルクサスをはじめとした60年代から70年代にかけてのパフォーマンス・アートのムーブメントとの深い関わりも描かれる。
*サンダンス映画祭2023正式出品
*2023年MoMA Doc Fortnight 選出
*2023年ガーディアン誌ベスト映画
10/17(土)~
ナウ・アンド・ゼン
© 2026 ML9
2026年/日本/72分/製作・配給:ML9
監督・撮影・編集・プロデューサー:西原孝至
プロデューサー:増渕愛子
撮影:山崎裕、飯岡幸子、井手口大騎ダグラス
音響:黄永昌
録音:川上拓也
編集:大川景子
音楽:篠田ミル
百年前の死は、今日も繰り返されている
2023年、日本の国会では難民についての法改正が議論を呼んでいた。政府による難民認定を更に厳格化しようというものだ。不認定となった者が収容される入管施設では死者も出ており、その環境は長年、問題視されている。この現状を変えようと、多くの市民が声を上げはじめた。
日本人による外国籍の人々への迫害は今に始まったことではない。1923年、関東大震災の混乱の中で、警察や自警団などが朝鮮人や中国人を虐殺するジェノサイドが起きた。犠牲者は6,000名とも言われている。しかし、いまだ日本政府はこの問題を公式に認めていない。そして2026年、排外主義を掲げる政党が躍進をしている。
私たちは、何を見ないことにしてきたのか。
過去と今の“声”を繋ぐドキュメンタリー
過去の虐殺と、現在の入管問題は、未だ精算されていない「植民地主義」で繋がっている。カメラは、様々な立場の人間たちの思いを記録する。登場するのは、難民支援をつづけるアクティビスト、仮放免中の当事者、朝鮮人虐殺の証言を継承する市民グループやドキュメンタリー監督、そして研究者。それらの断片が全体を構成し、「今とあの時」が浮かび上がってくる。
本作の監督を務めるのは『百年と希望』『わたしの自由について』の西原孝至。10年来、若い世代の社会運動を記録しつづける映画監督は、百年前の大虐殺と日本の難民制度の根底にある「差別」の歴史を掘り起こし始める。やがて東京の風景には、植民地主義の歴史と向き合うという未解決の課題が響き渡るようになる。
10/17(土)~
プーチンの愛国教室
©2025 made in copenhagen Aps, Pink Productions s.r.o.
2025年/デンマーク、チェコ/90分/配給:トランスフォーマー
原題:Mr. Nobody Against Putin
監督:デヴィッド・ボレンスタイン、パヴェル・タランキン
日本語字幕:額賀深雪
字幕監修:廣瀬陽子
後援:デンマーク王国大使館
協力:チェコセンター東京
アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞!
子どもたちが愛国プロパガンダに飲み込まれていく。
僕は、その片棒を担ぐのか?――ひとりの教師が記録した、今そこにある現実。
ロシア・ウラル山脈の麓の小さな田舎町にあるカラバシュ初等・中等学校。母校でもあるここでイベント企画・撮影担当の教員として勤めるパヴェル・タランキンは、子どもたちから“頼れるお兄さん”として慕われる人気者だ。彼らの何気ない日常や成長の瞬間をビデオカメラに収めながら、オフィスを開放して一緒にアートやおしゃべりを楽しむ、忙しくも穏やかな日々。自由と民主主義、そして自身の職業を心から愛する彼は言う。「この仕事の魅力は、生徒を支えられること」
しかし、2022年2月のウクライナ侵攻開始を機に、彼らの日常は一変する。プーチン大統領は子どもたちを<未来の兵士>として育てるため、戦争を賛美し参加するよう学校で教え込む「愛国教育」の導入を新たな国家方針として発令。和やかだった学校の雰囲気は、瞬く間に緊迫した「戦時中」のものへと塗り替えられていく――。
タランキンは変容していく学校と人々の姿を約2年間かけてつぶさにカメラに収め、デンマークを拠点に活動するアメリカ人ドキュメンタリー作家デヴィッド・ボレンスタインと共同で、極秘裏に本作を制作。当事者視点でプロパガンダ教育を捉えた異例の映像は、世界中で大きな注目と絶賛を集め、アカデミー賞®をはじめ多数の映画賞を受賞した。しかし、その影響力をみたロシア当局は国内での上映禁止を決定。タランキンは国家反逆者として事実上の国外追放を言い渡されるという、徹底的な弾圧にさらされている。
国家はどのようにして反対意見を封じ、戦争へと突き進むのか――いま世界に蔓延する現在進行形の現実を突きつける、必見のドキュメンタリーだ。
10/23(金)~
進行曲 マーチングボーイズ
©2025 Marching Next Media. All Rights Reserved.
2025年/台湾/117分/配給:メイジャー/共同配給:アクセスエー
原題:進行曲 Marchingboys
監督:ジャン・ルイジー(姜瑞智)
脚本:ケリー・チェン(陳慧如)、ホアン・ジーカイ(黃致凱)
プロデューサー:ケリー・チェン(陳慧如)、ウルフ・チェン(陳鴻元)
出演:ムー・セン(牧森)、リウ・ユーレン(劉育仁)、ユー・ジェエン(余杰恩)、リー・リーレン(李李仁)、マー・ジーシアン(馬志翔)、ホアン・ディーヤン(黃迪揚)
字幕翻訳:手塚雅美
【前売券】ムビチケカード 1,600円(税込)を当館受付にて発売中!特典:マーチング楽器チャーム(3種ランダム)をプレゼント!
1990年代の台北
マーチングバンドに青春をかけた高校生たちの真実の物語。
僕たちの音楽と未来が、いま始まる。
1990年代の台北。台湾屈指の進学校・建国高校に通うジャン・ハオ(ムー・セン)は、一人息子の医学部進学を望む父親の期待を担いプレッシャーを抱えながら学生生活をおくっている。ある日、マーチングバンド部の活動に興味をもったジャン・ハオは父親に内緒で入部。自由気ままな天才肌の問題児リウ・ジーチュワン(リウ・ユーレン)、責任感の強い優等生の部長タイチェン(ユー・ジ ェエン)らとともにマーチングバンドの部活動に励むが――。
“部活”に励む青春を描いた日本映画『ウォーターボーイズ』(01)、『スウィングガールズ』(04)に並ぶ、台湾発「青春部活映画」の傑作が誕生!エモーショナルな1990年代の空気と、どこかノスタルジックな台湾の風景、そして男子高校生たちが奏でるマーチングバンドのパワフルな音色と圧巻のパフォーマンスが、心に深く響く感動作となっている。
監督は、映画『角頭-彷徨人』(21)、ドラマ「We Best Love 永遠の1位/2位の反撃」(21)で知られる台湾映画界のヒットメイカー、ジャン・ルイジー(姜瑞智)。主演のジャン・ハオをムー・セン(牧森)が演じ、台湾のアカデミー賞と呼ばれる台湾金馬奨で新人俳優賞にノミネートされた。
10/24(土)~1週間限定
聴く隣人のいるところ
2026年/日本/111分/製作・配給:ポレポレタイムス社/配給協力:ポレポレ東中野
撮影・監督・編集:早川嗣
共同プロデューサー:本橋成一、大槻貴宏
整音:石川雄三
出演:キリスト教愛真高校2024年度在籍者
イベント情報
▼10/24(土)上映後、早川嗣(監督)、出演者(撮影当時2年生)の舞台挨拶がございます。
声と歌が、まっすぐ届く、ある全寮制高校の一年間
いま、 声はあふれている。
けれど、 互いの声は届いているだろうか。
島根県江津市、 浅利富士の中腹に佇む全寮制の愛真(あいしん)高校。生徒数わずか34名のこの学校では、生徒たちは親元を離れ、仲間と寝食をともにしながら三年間を過ごす。スマートフォンもインターネットもない生活の中にあるのは、学友や教師との対話、そして音楽。少し不便で外界から距離を置いた環境だからこそ、人と向き合う時間が自然に生まれる。ここでは、意見を述べるだけでなく、相手の言葉を聞き、受け止め、ときにぶつかることが当たり前に繰り返される。 生活の指針である「決まり心得」もまた、「全体会」と呼ばれる場で生徒と教職員が議論を重ねながら更新されてきた。生徒は自分の声を持つことが他者の声に耳を澄ますことへつながるということを知っていく。
いま、声はあふれている。けれど、その声は互いに届いているだろうか。「自分の意見を持て」と求められ続けた時代の先で、私たちは他者の声を引き受ける力を手放してはいないか。本作は、国内外から集まった若者と教師が共に暮らす愛真高校の一年を記録したドキュメンタリーである。 監督は同校出身の早川嗣(ゆずる)。写真家・映画監督の本橋成一の制作に携わってきた早川が、母校にカメラを向け完成させた。熱心なキリスト教の家庭で育った監督が、自身の青春時代を省みながら撮り溜めた記録であり、彼の本格的デビュー作でもあると同時に2025年12月に逝去した本橋が支援し、最後に世に送り出した作品となった。映画は、学生たちの喜怒哀楽とともに、小さな学舎で対話が生まれる時間を映し出す。
10/24(土)~
CBGB ニューヨーク、PUNKが生まれた場所
© 2013 Film CBGB, LLC. All Rights Reserved.
2013 年/アメリカ/英語/PG-12/102分/提供:ArtSnow、ニューセレクト/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
原題:CBGB
監督・脚本:ランドール・ミラー
共同脚本:ジョディ・サヴィン
撮影監督:マイケル・J・オジアー
編集:ダン・オブライエン
出演:アラン・リックマン、アシュリー・グリーン、ドナル・ローグ、マリン・アッカーマン、ジャスティン・バーサ、ルパート・グリント、テイラー・ホーキンスなど
テレヴィジョン、トーキング・ヘッズ、パティ・スミス、ラモーンズ
―ロック史に名を刻む、伝説のPUNKナンバーが鳴り響く!―
1970年代中頃のニューヨーク。荒廃したロウアー・イーストサイドの片隅にあった小さなライブハウスCBGB。後にパンク誕生の地として音楽史に名を刻むことになる、この物語の舞台だ。映画『CBGB』は、創設者ヒリー・クリスタルと、名も無き若者たちが新たな音楽シーンを発生させた過程を描いた伝記ドラマだ。店名の「CBGB」は“Country, Bluegrass and Blues”の頭文字を並べたものだが、不思議なことに看板とは全く異なる音が夜毎鳴らされていた。ヒリーが掲げた出演条件は“オリジナル曲”。当時としては珍しいこのルールが、表現の場を追いやられた、曲者(パンクス)バンドを引き寄せたのだろう。主人公ヒリーを演じるのは『ハリー・ポッターシリーズ』スネイプ先生役で知られるアラン・リックマン。「何時間も映像を見て観察した」と本人が語るように、リアリティ溢れる演技を見せてくれる。壁の落書きや無数に貼られたフライヤー、電話帳やレジスター、悪名高き汚すぎるトイレまで、細部にわたって忠実に再現したセットは圧巻の出来栄えだ。
またテレビジョン、トーキング・ヘッズ、ラモーンズ、パティ・スミス、デッド・ボーイズ、イギー・ポップ、ルー・リードらを演じる役者陣の、熱量も素晴らしい。実際の音源に合わせた演奏シーンは鳥肌ものだ。また同時期に創刊された同人誌『Punk Magazine』誕生の瞬間を描いているのもスリリングだ。編集者ジョン・ホルムストロムらが手探りで雑誌を作り、“パンクロック”というカテゴライズを世界で初めて発信した、その瞬間こそが、“パンクロック”という文化が明確な名前を得た瞬間だったと言えるだろう。音楽とアート、雑誌メディア、全てがCBGBの周りで激しい化学反応を起こしていたのだ。
―自分の音を鳴らしたいだけ、名も無き者が伝説になる時 そこには夢破れた男の、大切な居場所があった―
相次ぐ店の失敗と離婚で人生のどん底にいたヒリーは、再起を懸けてカントリーバー「CBGB」を開業する。ステージも配線も水回りもDIYだ。しかし、店は閑古鳥が鳴くばかり。そんなある日、無名のロックバンド、テレヴィジョンが現れる。唯一の出演条件は“オリジナル曲”。聴いたことのない独特なギターサウンドと「知るもんか」(I Don’t Care)とニヒルに歌う彼らに、ヒリーは「何かある」と予感する。やがてCBGBには才気あふれる“何かある”若者たちが次々と集結し、夢破れた男の、ちっぽけなバーは世界のロックシーンを変える“パンクの聖地”へと変貌していくのだった。
10/24(土)~
ザ・ゴールドディガーズ
©1983 Sally Potter, Rose English, Lindsay Cooper
1983年/イギリス/89分/モノクロ/1.78:1/配給:プンクテ
原題:The Gold Diggers
監督:サリー・ポッター
脚本:リンジー・クーパー、ローズ・イングリッシュ、サリー・ポッター
撮影:バベット・マンゴルト
音楽:リンジー・クーパー
編集:サリー・ポッター
美術:ローズ・イングリッシュ
振付:サリー・ポッター
出演:ジュリー・クリスティ、コレット・ラフォン、ヒラリー・ウェストレイク、デヴィッド・ゲイル、ジャッキー・ランズリー、ロル・コックスヒルほか
後援:ブリティッシュ・カウンシル
世界を支配する、《黄金》の謎――。
サリー・ポッター長編監督デビュー作、
国内劇場初公開!
ロンドン中心部「シティ」の銀行でデータ入力係として働く黒人のフランス人女性セレステ(コレット・ラフォン)。「数字を移動するだけ」の労働の空虚さに疑念を抱き、やがて「金」と「権力」の関係に強い関心を抱くようになる。一方、「スター女優」のルビー(ジュリー・クリスティ)は、自らの幼少期の記憶と覆い隠された自分自身の歴史を辿り、「偶像」としての自分を客観的に見つめ直す。迫りくる非人格的で官僚主義的な男たちと、規制と規則によって張り詰めた不条理な空間。二人は出会い、言葉を交わし、やがて予感する。男性の経済的覇権争いと「神秘的でいて無力で美しい」という理想的な女性像とのあいだに、何らかの結びつきがあるのではないかと感じ始める。
『オルランド』(92)や『タンゴ・レッスン』(97)などで世界的な評価を得たイギリスを代表する映画監督の一人、サリー・ポッター。その長編監督デビューは、前衛的なロックグループ「ヘンリー・カウ」などで活動した音楽家リンジー・クーパー、そしてパフォーマンス・アートの先駆者であるローズ・イングリッシュともに企図され、脚本が作られた。制作スタッフのほとんどを女性が担い、近年フェミニズム映画の金字塔として評価が高まっている本作。撮影は、シャンタル・アケルマン監督『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』(75)を手がけたバベット・マンゴルト。主演は『ダーリング』(65)でアカデミー賞主演女優賞を受賞したジュリー・クリスティ。新自由主義が台頭する1980年代初頭のロンドンで、俳優、ダンサー、アーティスト、音楽家、技術者など様々な力が結集し試みられた、歴史/映画史をさかなでにする実験的映画実践!
10/24(土)~
ナイトシフト
©Cinenova
1981年/イギリス/68分/カラー/1.33:1/配給:プンクテ
原題:Nightshift
監督:ロビーナ・ローズ
脚本:ニコラ・レーン、ロビーナ・ローズ
撮影:ジョン・ジョスト
音楽:サイモン・ジェフス
出演:ジョーダン、ジム・アダムス、アン・リース=モッグ、マイク・レッサー、バーブ・ジュンガー、マックス・ハンドリー、ヒースコート・ウィリアムズなど
後援:ブリティッシュ・カウンシル
サッチャー政権下、
ポストパンク時代のロンドンで撮られた
ミニマル&リミナルな対抗映画
ロンドン・ノッティングヒルにあるポートベロー・ホテル。夜勤の受付係はルーティンワークをこなしながら、静かに風変わりな宿泊客たちを見つめる。ライブを終えたバンドマンたち、おちぶれた伯爵夫人、夜通しポーカーに興じる男たち…。まるで幻燈のような光景が映し出され、睡眠と覚醒の間、ホテルは幽霊が彷徨うような境界的な空間へと化していく。
本作は、ロビーナ・ローズが監督した唯一の長編劇映画。主演は英国のパンクカルチャーのアイコン的存在、ジョーダン(パメラ・ルーク)。撮影は米国のインディペンデント映画作家、ジョン・ジョストが手がけた。音楽は伝説的楽団「ペンギン・カフェ・オーケストラ」のサイモン・ジェフスが参加。ほか、1980年代初頭のロンドンのアート&カウンターカルチャーに関わる人物たちが参加している。1981年エディンバラ映画祭でプレミア上映された本作は、その後ベルリン国際映画祭、ニューヨーク近代美術館(MoMA)などで上映。数十年の間、鑑賞困難な状況にあったが、2024年に4K修復版がベルリンとニューヨークで上映され、再発見と再評価の機運が高まっている。
10/31(土)~1週間限定
眺めのいい部屋 4K
(c) 1985 A ROOM WITH A VIEW PRODUCTIONS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
1986年/イギリス/117分/カラー/R15+/配給:ザジフィルムズ
原作:E.M.フォースター
製作:イスマイル・マーチャント
監督:ジェームズ・アイヴォリー
出演:ヘレナ・ボナム=カーター、ジュリアン・サンズ、ダニエル・デイ=ルイス、ルパート・グレイブス、ジュディ・デンチ、マギー・スミス
日本語字幕:小飯塚真知子
映画史にその名を刻む不朽の名作が、
作品生誕40周年を記念して4Kの美しい映像で甦る…
1987年7月、日本で初公開され大ヒット。90年代ミニシアターブームの先駆けとなった名作『眺めのいい部屋』が作品生誕40周年を記念して4K化、私たちのもとに帰ってくる。
20世紀初頭、イギリスの良家令嬢がイタリア、フィレンツェを訪れ、世界を広げ、真実の愛に出会い、大人の女性へと成長する様を描く文豪E.M.フォースター原作による文芸作品。世紀をまたぎ、世界中で愛され続けてきた至高の芸術をぜひスクリーンでご堪能ください。
監督はジェームズ・アイヴォリー、『君の名前で僕を呼んで』(17)の脚色、『モーリス』(87)、『ハワーズ・エンド』(92)の名匠として知られる。アカデミー賞作品賞を始め、主要8部門にノミネートされ、脚色賞、美術賞、衣装デザイン賞を受賞した。
1907年、若き令嬢ルーシーは、年上の従姉シャーロットと共にイタリア、フィレンツェを訪れるが、ペンションの部屋に案内され窓からの眺めを見て落胆。美しいドゥオモを臨むアルノ川に面した部屋ではなかったからだ。不満を耳にした同宿の客エマソンとその息子ジョージが、部屋の交換を申し出る。名所巡りの最中に遭遇した事件をきっかけに、ルーシーはジョージに惹かれ始めるのだが……。
10/31(土)~1週間限定
竜二 レストア&リマスター版
©1983 Momo KANEKO ALL RIGHTS RESERVED.
1983年/日本/92分/配給:マコトヤ
監督・リマスター監督:川島透
グレーディング監修:笠松則通
カラリスト:倉森武
デジタルレストア:堤琴音
アーカイブ・コーディネーター:水戸遼平
修復ラボ:IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
脚本・原作:鈴木明夫(金子正次)
撮影:川越道彦
出演:金子正次、永島暎子、北公次、佐藤金造(現・桜金造)、小川亜佐美、泉アキ、菊地健二、もも、銀粉蝶、土方鉄人、檀喧太
【前売券】全国共通特別鑑賞券 1,600円(税込)を当館受付にて発売中!
金子正次 初映画・初主演作
川島透 第一回監督作品
日本映画史に語り継がれる伝説が、鮮やかによみがえる!
スターになることを夢見て脚本を書いた金子正次が、プロ経験ほぼゼロの映画学校時代の友人を巻きこんで、35mm撮影で商業映画を作りあげた。友人の松田優作は脚本を手に動き、萩原健一は楽曲の使用を快諾、プロデューサーの川島透は監督不在となった現場を率い映画を完成させ、出演した菊地健二は金子とともに配給会社を探して奔走し、映画への思いだけで突っ走り、『竜二』は生まれた。ヤクザにもカタギにもなりきれない竜二の焦燥と葛藤を中心に描く青春群像映画。
日本アカデミー、毎日映画コンクールなど1983年度の映画賞を総なめにし日本映画の潮流を変えたといわれる傑作が、グレーディング監修に撮影監督の笠松則通を招き、リマスター監督を川島透がつとめて最終確認した完全版として、ついに4Kスキャン2Kリマスターで鮮やかによみがえる!
フッと、ヤクザの足を洗ってみたが…
舞台は80年代、新宿・歌舞伎町界隈。三東会の花城竜二といえば、新宿界隈ではちょっと名の知れたヤクザだった。闇のルーレット場をアパートの一室に開き舎弟二人に仕切らせ、ヤクザ稼業は順調だった。しかしある日、妻まり子と幼い娘のために堅気になると決め、酒屋で働き始める。平凡で質素な家族との生活に最初は心の安らぎを覚えた竜二だったが…
11/7(土)~
春樹
2025年/中国/122分/カラー/北京語/配給・宣伝:株式会社サニーフィルム
英題:Mothertongue
監督:チャン・リュル
出演:バイ・バイホー、ワン・チュアンジュン、リウ・ダン、ポン・ジンほか
釜山国際映画祭と東京国際映画祭で3冠受賞——
チャン・リュル(張律)監督最新2作、
待望の同時公開
挫折の先で、それでも時間は流れていく——
女優としての夢が行き場を失い、恋愛にも行き詰まる春樹(チュンシュー)、37歳。20年離れていたかつての故郷・成都に戻った春樹は、かつての演技指導者・張梅(ジャン・メイ)を訪ねる。しかし張梅は認知症で言葉を失いつつあった。故郷に居場所を見つけられない春樹に、張梅の息子で、母の世話をするため上海から戻ってきた冬冬(トントン)が静かに寄り添う。過去の栄光も、教えも、学びも、時代の流れの中でいつのまにか忘れ去られ、朽ちたまま残る国立映画撮影所のように、停滞する人々の傍らで日々はささやかに過ぎてゆく。
今、最も注目すべき東アジア映画の名匠、チャン・リュル監督。中国・吉林省延辺朝鮮族自治州に朝鮮族3世として生まれる。延辺大学中国文学科卒業後、北京に拠点を移し小説家として活動。その後、映画監督へと転身し、以降、中国・韓国・日本を漂流するように長編16作品を手がけてきた。2025年、再び中国を舞台に、変わりゆく現代中国の中で揺らぐアイデンティティを主題に『春樹』(はるき)を完成させる。その『春樹』の撮影を終えた直後、休暇で立ち寄った四川省の古鎮・羅目鎮(ルオム)で着想を得て、同キャストで撮影した姉妹作が『ルオムの黄昏』だ。
*第38回東京国際映画祭コンペティション部門 最優秀監督賞 & 最優秀男優賞賞 受賞!
11/7(土)~
ルオムの黄昏
2025年/中国/99分/カラー/北京語/配給・宣伝:株式会社サニーフィルム
英題:Gloaming in Luomu
監督:チャン・リュル
出演:バイ・バイホー、ダン・リウ、ホァン・ジェンシン、ポン・ジン、ワン・チュアンジュン
釜山国際映画祭と東京国際映画祭で3冠受賞——
チャン・リュル(張律)監督最新2作、
待望の同時公開
消えた恋人の痕跡と、探すほど遠ざかる道——
3年前に突如消えた恋人・王(ワン)から、「羅目の黄昏」とだけ書かれた一枚の絵葉書が届く。劇団でダンサーをしていた白(バイ)は、その一文をたよりに、四川省の古鎮・羅目鎮(ルオム)の宿へ辿り着く。宿の女性亭主・劉(リウ)、その劉を20年間想い続けた黄(ファン)、そして行き交う旅人たち。かつて交易で栄え、いまは静かな時間が流れるこの街で出会うのは、王の姿ではなく、王が残した時間の痕跡だった。遠くからは汽笛の音が微かに響き、古鎮を彷徨う白の前に、王は幻のように現れては消える。ある日、白は王に似た男が山中の寺院で目撃されたという情報を知る——
今、最も注目すべき東アジア映画の名匠、チャン・リュル監督。中国・吉林省延辺朝鮮族自治州に朝鮮族3世として生まれる。延辺大学中国文学科卒業後、北京に拠点を移し小説家として活動。その後、映画監督へと転身し、以降、中国・韓国・日本を漂流するように長編16作品を手がけてきた。2025年、再び中国を舞台に、変わりゆく現代中国の中で揺らぐアイデンティティを主題に『春樹』(はるき)を完成させる。その『春樹』の撮影を終えた直後、休暇で立ち寄った四川省の古鎮・羅目鎮(ルオム)で着想を得て、同キャストで撮影した姉妹作が『ルオムの黄昏』だ。
*第30回釜山国際映画祭コンペティション部門 最優秀作品賞
11/7(土)~
《Fire in Water 永田康祐映像作品集》
《Fire in Water 永田康祐映像作品集》
11/7(土)-11/13(金)
《Fire in Water 永田康祐映像作品集》
11/7(土)-11/20(金)
世界の見え方が、ふと閃く
アーティスト・永田康祐、初の特集上映
写真、パフォーマンス、インスタレーション。ジャンルを横断しながら、「食べること」や「翻訳」「発酵」といった身近な営みを手がかりに、人間と世界の関係を問い続けてきたアーティスト、永田康祐。2020年の個展「イート」では、食と身体、他者との関係をめぐる知的で刺激的なイマジネーションを展開。2025年の恵比寿映像祭では、映画作家の小森はるか、小田香らとともに新作を発表するなど、その活動は近年のドキュメンタリーや文化人類学的フィールドワークとも響き合う。
本特集上映では、初期作から最新作までの映像作品を一挙上映。一見ばらばらに見えるテーマは、文化や歴史、人間と環境が絶えず影響し合いながら生成変化する世界の姿へとつながっていく。永田の作品は、「わかりやすい物語」から距離をとり、見過ごされてきた存在や関係に静かに光をあて、私たちの認識の枠組みそのものを揺さぶる。しかし、その語り口はどこか飄々として、心地よいユーモアをたたえている。
世界を見る方法は、ひとつではない。映画館の暗闇で、その新しい視点との出会いを体験してほしい。
永田 康祐 Kosuke Nagata
1990年愛知県生まれ、神奈川県を拠点に活動。自己と他者、自然と文化、身体と環境といった近代的な思考を支える二項対立、またそこに潜む曖昧さに関心をもち、写真や映像、インスタレーションなどを制作している。近年は、食文化におけるナショナル・アイデンティティの形成や、食事作法における身体技法や権力関係、食料生産における動植物の生の管理といった問題についてビデオエッセイやコース料理形式のパフォーマンスを発表している。主な個展に「イート」(gallery α M、東京、2020)、グループ展に「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」(東京都写真美術館、2022)、あいちトリエンナーレ(愛知県美術館、2019)など。
公式ホームページhttp://aggie-films.jp/fiw/
企画・配給 アギィ
パブリシティ 高田理沙
宣伝美術 畑ユリエ
協力 ポレポレ東中野、ANOMALY
入場料一般1,600円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
作品紹介
Program A [上映時間 計78分] ※全ての上映作品に日本語字幕と英語字幕がついています
Fire in Water
2025年/DCP/41分
脚本・監督:永田康祐
撮影:奥祐司
編集:永田康祐、奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
製作:恵比寿映像祭2025コミッションプロジェクト委嘱作品[東京都写真美術館]
日本でも人気のクラフト・マッコリ。その一杯には、知られざる歴史が発酵している。韓国語で酒を意味する「スル」は、「水(ス)」と「火(プル)」に由来するという説がある。泡立つ発酵の様子が、まるで水の中に火が宿るように見えたからだ。永田はこの「水の中の火」というイメージから、日本統治下の朝鮮半島における稲作と酒造の歴史へと分け入っていく。食料増産と税収確保のために導入された技術や制度、米品種、日本式の麹や酵母──。発酵という現象をひとつのメディアとして、遺伝子や微生物、法制度といった目に見えない存在に今なお宿る植民地主義の残響を映し出す。
Fish of Empire
2025年/DCP/15分
脚本・監督:永田康祐
編集補助:奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
日本の南進政策とタイの開発政策を背景に東南アジアへ広がった魚、ティラピア。一匹の魚の移動から、生態系の変容と政治権力が交差する歴史の水脈をたどる。
Suddenly This Overview
2026年/DCP/22分
脚本・監督・語り:永田康祐
制作協力:岩田智哉
監修:飯笹佐代子、田村恵子
ポストプロダクション:奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
第二次世界大戦中、大規模な捕虜脱走事件の現場となったオーストラリア・カウラ。日本人戦争墓地と日本庭園を往還しながら、戦争、植民地主義、和解と、幾層にも堆積した記憶を静かに掘り起こす。
Program B [上映時間 計76分] ※全ての上映作品に日本語字幕と英語字幕がついています
Purée
2020年/DCP/35分
監督・編集:永田康祐
文・語り:永田康祐
撮影・仕上げ:奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
出演:きりとりめでる、佐原しおり、菅原伸也
17世紀フランスで生まれた「ピュレ」は、かつて富と権力を示す料理だった。だが今日では、乳幼児や高齢者を支えるケアの食でもある。その対照的な歴史を手がかりに、「食べる」という営みに潜む政治性を見つめ直す。食器や調理器具、作法、他者との関係のなかで絶えず形を変える「主体」と、人間の共同性について思索を巡らせる。
鮭になる
2024年/DCP/14分
脚本・監督:永田康祐
作画・演出:山本悠
音響効果:山形一生
声の出演:遠藤麻衣
製作:十和田市現代美術館
英語字幕編集:佐藤朋子
サーモン養殖場で寄生虫に感染した鮭と、老いた労働者が静かに時間を共にする。資本主義的な価値と生の尊厳のあいだに横たわる緊張をやわらかな手描きアニメーションで見つめる。
Translation Zone
2019年/DCP/27分
脚本・監督・語り:永田康祐
音響:山形一生
ポストプロダクション:奥祐司
英語字幕編集:佐藤朋子
「チャーハン」をめぐる各言語の呼称の違いや機械翻訳の限界、分子ガストロノミーを手がかりに、翻訳と文化生成の関係を探る。他国の料理を手持ちの食材で再現したり、異なる言語へと訳するときに生じる「ズレ」を、新たな創造の契機として鮮やかに描き出す。
11/7(土)~1週間限定
A Window of Memories
2023年/日本/67分/配給・宣伝:amieee/宣伝協力:プンクテ
監督・編集:清原惟
テキスト:砂子旭子、清原磋智子、清原惟
構成:岩﨑敢志、太田達成、清原惟
撮影:寺西涼、清原惟
音響:岩﨑敢志
助監督:太田達成
音楽:よだまりえ
出演:砂子旭子、清原磋智子、小山薫子、坂藤加菜
二人の祖母と編んだ 暮らしの物語
記憶の窓をひらいて、あなたと出会いなおす
「私が聞かなかったら、この話はどこに行くんだろう」。ふとした時に聞いた祖母の若い頃の話に心動かされた監督は、母方と父方それぞれの祖母から人生の話を聞こうと思いたつ。忘れないようにと回し始めたカメラに映る、家族、戦争、仕事、結婚、飼い犬、友だちの話。同世代である二人の、交差しながらも全く違う世界を、祖母たちと共に文字に起こしていった。そうやって編まれた物語を、監督は二人の俳優に託し、一日をかけて朗読してもらう。やがて世界にたったひとつの物語が、見ている私たちの記憶に連なっていく。知らないはずの記憶があなたやわたしと呼び合い、こだまする。
誰かのことを思い出し、語りたくなる<聞き書き映画>
『A Window of Memories』は、これまでベルリン国際映画祭などで国際的に評価されてきた清原惟監督が、はじめてドキュメンタリー的手法で制作した<聞き書き映画>である。監督が母方と父方それぞれの祖母から聞いた人生の話を、祖母と一緒にテキストに起こし、それをふたりの俳優が朗読するというこれまでにない手法で紡がれている。
三宅唱監督『THE COCKPIT』、草野なつか監督『王国(あるいはその家について)』、小森はるか監督『空に聞く』、小田香監督『セノーテ』などの注目作を手がけてきた、愛知芸術文化センター・愛知県美術館のオリジナル映像作品として制作され、昨年開催の山形国際ドキュメンタリー映画祭2025ではインターナショナル・コンペティションに選出、観客から高い評価を受けた。
出演するのは、劇団ままごとに所属し演劇ユニットhumunusのメンバーでもある小山薫子と、パフォーミングアーツコレクティブ「バストリオ」や、バンド「山二つ」のメンバーとして活躍する坂藤加菜。スタッフには清原監督と旧知の仲である太田達成(『石がある』監督)、岩﨑敢志(『うってつけの日』監督)が助監督や構成としてクレジットに名を連ねている。
小さな声を拾い集めてきた清原監督のこれまでの作品とも共通するテーマをもつ本作は、日記を書くような親密さで、身近な人の声に耳を傾け、どんな人にもあるであろう人生のきらめきを信じる力に満ちている。誰かのことを思い出し、語りたくなる傑作が誕生した。
11/14(土)~
魂のきせき
©Kasama Film
2025年/⽇本/97分/⽇本語/カラー/DCP/配給:アギィ/配給協⼒:リガード
監督:⼩林茂
撮影:⼩⽥⾹
録⾳:川上拓也
編集:秦岳志
歌:結華
制作事務局:須藤伸彦
プロデューサー:⻑倉徳⽣、秦岳志
製作:カサマフィルム
助成:⽂化庁⽂化芸術振興費補助⾦(⽇本映画製作⽀援事業)独⽴⾏政法⼈⽇本芸術⽂化振興会
宣伝美術:成瀬慧
宣伝:⾼⽥理沙
イベント情報
▼11/14(土)上映後、⼩林茂監督の舞台挨拶がございます。
問いは、ここにある。映画に何ができるのか?
映画監督の⼩林茂は、性暴⼒のサバイバーであることを公にしながら活動を続ける⼀⼈の写真家との出会いをきっかけに、本作の製作を決意する。⼤切な友⼈が、幼少期に受けた性虐待によるPTSDで⻑年苦しむ姿を⾒ていたからだ。やがてカメラは、それぞれ異なる痛みを抱えながら⽣きるサバイバーたちへと向けられていく。悔恨、怒り、うつ、不眠、解離、⾃傷、希死念慮。⾔葉にならない痛みとともに⽣きるということを、どう映すのか?
⻑期化する撮影のなかで、⼩林は映画製作の意義を問い、⾃分⾃⾝の過去と向き合う。幼いころの記憶をたぐり寄せると、そこに戦争の昏い影を背負って満洲から引き揚げてきた家族との⽇々が浮かんだ。異なる時代、異なる出来事に刻まれた傷は、ときに遠く、ときに近く、響きあうことがあるのだろうか――。
『魂のきせき』には2つの意味が込められている。深い傷つきとともに歩んできた魂たちの〈軌跡〉。そして、孤独な魂と魂とが、まるで地下⽔脈のように、とても深いところで、いつか静かにつながりあう〈奇跡〉。その〈きせき〉の先に、何があるのか? 本作は、このかすかな希望に⽬を凝らし、⽿を澄まし続けた、9年間の記録である。
ドキュメンタリー映画の現在を⽀えるスタッフが集結
映画史に残る傑作『阿賀に⽣きる』(佐藤真監督)のキャメラマンとしても知られる⼩林茂監督が本作の撮影を託したのは、当時まだ『鉱ARAGANE』を発表したばかりの⼩⽥⾹。録⾳に川上拓也、編集に秦岳志と、現在の⽇本のドキュメンタリー映画を⽀えるスタッフが集結。出演者たちとスタッフの 9 年にわたる協働によって完成した映画は、2025 年の⼭形国際ドキュメンタリー映画祭、東京国際映画祭で上映され、多くの観客に驚きと深い感動をもって迎えられ、⼤きな反響を呼んだ。
11/14(土)~
京都ALS患者嘱託殺人事件
Ⓒ『京都ALS患者嘱託殺人事件』製作委員会
2026年/日本/98分/DCP/ドキュメンタリー/配給:東風
監督:⼆村真弘
声の出演:田畑智子
撮影:松村敏行、佐藤洋祐
照明:尾山隆之
カラーグレーディング・オンライン編集:織山臨太郎
音響効果:増子彰
整音:富永憲一
プロデューサー:⽯川朋⼦
制作:digTV
製作:『京都ALS患者嘱託殺人事件』製作委員会
死の直前まで続いた二人のやり取り。なぜ一線を越えたのか?
2020年7月23日、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う林優里さん(当時51歳)から依頼され薬物を投与し殺害したとして、二人の医師が逮捕された。一人暮らしの彼女は事件当時、眼球しか動かせず、痰吸引や胃ろうからの食事、排せつなど24時間の介助が必要だった。主犯の大久保愉一と接触したのは、彼女が“安楽死”を望む言葉を度々投稿していたSNS。大久保らは事前に報酬として130万円を受け取り、初対面からわずか15分程度で殺害を実行した。さらに捜査で過去の殺人事件への関与も浮上。メディアは大久保の過去のブログなどから「ドクター・キリコ」への憧れや生命軽視の姿勢を大々的に報じ、〈狂った医者〉〈優生思想の殺人鬼〉と苛烈に非難。世間もまたそれに同調し責め立てた。そして25年、嘱託殺人罪などで懲役18年の刑が確定した。救命が第一義とされる医師の男は、なぜ一線を越え彼女を手にかけたのか?
監督は、「和歌山毒物カレー事件」に挑んだ『マミー』(24)で自らの闇をも曝け出し鮮烈な印象を残した二村真弘。優里さんの父親、SNS上での彼女を知る元看護師や難病当事者、医療とケアの専門家たちへの取材を重ね、彼女の人生を掘り下げていく。そのなかで見えてきた制度の未熟さ。明らかになる外界から完全に遮断されるかもしれない恐怖、そして、身体が訴え続ける生への渇望。一方で二村は、大久保の半生を辿るべく、母親やかつての医師仲間を訪ねる。さらに供述分析を独自に実施し、大久保が収監される大阪拘置所へ――。
「死にたい」、その言葉の奥にあるもの。ひとりの女性の声が受け止められない社会の空白地帯で、死の直前まで続いた二人だけのやり取り。私たちが目を背け続けている何かが、未公開のDMとそれぞれが語る“事実”から浮かび上がってくる。
11/14(土)~
さよなら、私のロシア
© 2025 LEWA productions – Revolver Amsterdam – Giorgio Savona productions
2025年/クロアチア・オランダ・フランス/ロシア語・イタリア語・フランス語・英語/90分/配給:doodler/配給宣伝協⼒:エスパース・サロウ
原題:A Little Gray Wolf Will Come
監督:ジャンナ・アガラコワ
出演:ジャンナ・アガラコワ、アリーチェ・サヴォーナ、ジョルジオ・サヴォーナ
⽇本語字幕:吉⽥ひなこ
字幕監修:⾼柳聡⼦
ジャーナリストとして、母として、私はふたつの嘘をついた
2022年3⽉、ロシア国営放送の海外特派員だったジャンナ・アガラコワは、ウクライナ侵攻に抗議し、職を辞した。「いつの間に私はプロパガンダに加担していたのか?」その答えを求めて彼⼥は過去を遡る。
ジャンナはイタリア⼈の夫と娘のアリーチェとニューヨークで暮らしていた。
三歳の時にロシアを離れ、思春期を迎えたアリーチェとはどこか“⾔葉”が通じない。そんな娘にルーツの祖国を知ってもらいたいと、休暇にあわせ三⼈は縦横無尽にロシアを旅した。四つの夏と⼀つの冬の旅を含む家族の記録には、⺟娘のズレとロシアのリアルが映っている。「ロシア⼈らしさ」を求める⺟を理解しつつも、受け⼊れることも、受け流すこともできないアリーチェ。ロシアを偉⼤で素晴らしい国だと信じ、誇りを胸に仕事を全うするジャンナ。広⼤な⼟地にまばらな⼈家、豊かとは⾔えない⼈々の暮らし、少しずつ濃くなる戦争の気配 。伝えられることのないロシアの現実ニュースと、語られることのない家族の秘密。そして、アリーチェの決定的なひと⾔をきっかけに、ロシアを巡る家族
旅⾏はジャンナの内省の旅へと変貌を遂げる。
ジャンナ・アガラコワは現在、「外国の代理⼈」に指定され、事実上の亡命⽣活を送っている。そんな彼⼥が3年の歳⽉をかけ、数百時間に及ぶ映像から編み上げた本作には、祖国と家族を愛するがゆえに犯した⾃らの過ちと悔恨が包み隠さず描かれ、世界各国の映画祭でソールドアウトが続出するなど密かに注⽬を集めている。ソ連崩壊という動乱の時代に⾃由と変化の兆しを感じて、ジャンナはジャーナリストになり、順調にキャリアを築いていった。
その⼀⽅で、テレビから市井の⼈々の姿が消え、ニュースはプーチン⼀⾊に染まっていった。そして始まった戦争は、今も続いている。世界は徐々に変わっていく。その変化に無⾃覚なまま沈黙と妥協を重ねてきた彼⼥が、ジャーナリストとして、⺟として、⾃⾝の良⼼と向き合い完成させた、愛と嘘、そして故郷喪失の痛みを綴った、私的かつ詩的なドキュメンタリー。
【ジャンナ・アガラコワ監督からのメッセージ】
私にとって、2022年2⽉24⽇は、私が信じていたこと、ロシア⼈であることについて教えられてきたこと、私のアイデンティティの基盤となっていたすべてが破壊され、崩れ去った⽇です。私たちは学校で、ロシア⼈は戦争を始めたり、同胞を⾒捨てたりせず、⽼⼈や⼦供たちを守るものだと教えられてきました。しかし、それらはすべて嘘であり、偽りでした。それは私の⼈⽣で最も強烈な衝撃でした。
今回、私の映画が⽇本で上映されることになり、この上なく誇りに感じています。私が⾃ら気づいたことを⽇本の皆さんにお伝えできればと思います。愛国⼼はファシズムからほんの⼆歩しか離れておらず、いかなる国家的・⽂化的アイデンティティよりも、⼈間性こそが重要なのです。
11/14(土)~
憎しみ 4K
© Copyright 1995 – LES PRODUCTIONS LAZENNEC – LE STUDIO CANAL+ – LA SEPT CINEMA-KASSO Inc PRODUCTIONS. © 2009 Le Pacte © Photos : Guy Ferrandis
1995年/フランス/98分/フランス語/1.85:1/モノクロ/配給:ディスクユニオン、alfazbet
原題:La Haine
監督・脚本・編集:マチュー・カソヴィッツ
撮影:ジョルジュ・ディアーヌ
照明:ピエール・エイム
⾳響:ヴァンサン・ツリ
録⾳:ドミニク・ダルマッソ
美術:ジョゼッペ・ポンツーロ
出演:ヴァンサン・カッセル、ユベール・クンデ、サイード・タグマウイ、フランソワ・ルヴァンタールほか
「これは、落下する世界のはなし」
パリ郊外〈バンリュー〉。暴動の翌⽇。異なるルーツを持つ3⼈の若者の24時間。
90年代を代表する⻘春映画にして、世界を撃ち抜く衝撃の傑作が4Kで蘇る
パリ郊外〈バンリュー〉。移⺠や低所得労働者が多く暮らす団地で暴動が発⽣した。ユダヤ系のヴィンツ、アラブ系のサイード、アフリカ系のユベール──異なるルーツを持つ3⼈の若者は、警察による少年への暴⾏事件をきっかけに緊張が⾼まる街で、警官が紛失した⼀丁の拳銃を⼿にする。
1995年、実際に起きた事件に着想を得て製作された『憎しみ』。当時27歳だったマチュー・カソヴィッツが、移⺠系住⺠への差別や貧困、警察による暴⼒といったフランス社会の⽭盾を背景に、鮮烈なモノクロ映像と緊迫感あふれる演出で、⾏き場のない怒りを抱えた若者たちの24時間を描き出した。第48回カンヌ国際映画祭では監督賞を受賞。作品を「反警察的」と受け⽌めた映画祭の警備担当警察官たちが、レッドカーペットを歩く監督・キャストに背を向けて抗議するという異例の出来事も⼤きな話題となった。
主演は、本作で⼀躍世界にその名を知らしめた、当時28歳のヴァンサン・カッセル。坊主頭にストリートファッション、鏡に向かって『タクシードライバー』のトラヴィスを真似るヴィンツ役で強烈な存在感を放ち、その後フランスを代表する俳優のひとりとなった。サイード役にはサイード・タグマウイ、ユベール役にはユベール・クンデ。街を歩き、くだらない冗談を交わし、時に苛⽴ちをぶつけ合う3⼈の姿を、ヒップホップをはじめとする当時のユースカルチャーとともに圧倒的な熱量でスクリーンに刻みつけた。
11/21(土)~
東京上空300メートル
©2026 大墻敦・毎日新聞社
2026年/日本/110 分/配給協力:ポレポレ東中野
監督・撮影・編集:大墻敦
プロデューサー:銭場裕司、大墻敦
ナレーション:武田真一
取材・撮影:大場弘行
編集:加藤隆寛
音響効果:細見浩三
問われているのは、この国のあり方だ
本作は、東京・六本木の米軍施設「赤坂プレスセンター」と東京西部にある横田基地、そして基地が集中する沖縄を主な舞台として展開する。
第1章「日本の空は誰のものなのか」は、東京都心で米軍ヘリの問題に迫った記者たちの調査報道を軸に描いていく。見えてきたのは、日本のヘリであれば許されぬ飛行実態。東京・町田市(1964年)や沖縄国際大(2004年)で起きた過去の事故なども織り交ぜながら、戦後81年を迎えても変わらぬこの国の姿をあぶり出していく。
第2章「誰が犯人を逃がしているのか?」では日米密約の問題をひもとき、深刻な被害がなくならない米兵による性暴力と日本政府の姿勢を見つめる。
第3章「米軍基地は誰のためにあるのか?」は基地問題と向き合う市民らの思いに耳を傾け、 終章「星条旗と日本人」につなげる。「日米同盟」の名の下、放置されてきたこの国の“当たり前”を問い直す。
『春画と日本人』の大墻敦監督とタッグ
監督を務めるのは、『春画と日本人』(キネマ旬報ベストテン2018年文化映画第7位、第74回毎日映画コンクールドキュメンタリー映画賞ノミネート)、『スズさん 昭和の家事と家族の物語』(2022)、『わたしたちの国立西洋美術館』(2023)の大墻敦。毎日新聞の記者とともに、基地を巡る問題と向き合う市民運動の現場や、性暴力被害者らへの取材を約2年にわたって積み重ね、映画を完成させた。本作が監督4作目となる。
11/28(土)~
ムクドリと人生とレモンパスタ
© Copyright 2025 Cattleya S.r.l. unipersonale, Ruvido Produzioni S.r.l. unipersonale, Bartlebyfilm S.r.l.,Vision Distribution S.p.A, Buena Pinta Media S.L.U., Bteam Prods S.L., Perdición Films S.L.,Apaches Entertainment S.L., Tres Cuencos A.I.E. Tutti i diritti riservati.
2025年/イタリア・スペイン/122分/スタンダード/日本語字幕:関口英子/配給:チャイルド・フィルム/後援:イタリア大使館/特別協力:イタリア文化会館、インスティトゥト・セルバンテス東京
原題:tre ciotole
監督・脚本:イザベル・コイシェ
共同脚本:エンリコ・アウデニーノ
原作:ミケーラ・ムルージャ「Tre Ciotole 3つのボウル 危機の1年のための儀式 」
撮影:グイド・ミケロッティ
編集:ジョルディ・アザテギ
音楽:アルフォンソ・デ・ヴィラジョンガ
出演:アルバ・ロルヴァケル、エリオ・ジェルマーノ、シルヴィア・ダミーコ、ガラテア・ベルージ、フランチェスコ・カリル、サリタ・チョウドリーほか
『死ぬまでにしたい10のこと』『マイ・ブックショップ』イザベル・コイシェ監督最新作
複雑で変化の激しい世の中で、私たちに与えられているのは、生きていると感じさせてくれる儚い瞬間だけだ。別れは終わりではない。それは、静かに受け入れ、もう一度歩き出すための時間。
エンドロールが終わってもずっと心に残り続ける、
まだ誰も知らない、あなたの物語
イタリア文学の鬼才ミケーラ・ムルージャが晩年に遺した短編集『Tre ciotole』。死の直前に書かれたその物語には、痛みと優しさが同じ温度で息づいている。イザベル・コイシェ監督は、小さなディティールを重ね合わせ、映画という視覚的言語でそのまなざしを受け継いだ。流れるようなカメラワークと親密なクローズアップは、人生の重大な局面と向き合いながら安らぎを求める女性の姿を、そっとすくい上げる。主演はイタリア映画界を代表する名優アルバ・ロルヴァケル(『墓泥棒と失われた女神』)とエリオ・ジェルマーノ(『蟻の王』)。ロルヴァケルの繊細な表情と沈黙の演技、ジェルマーノの内面の葛藤を掘り下げる存在感が、マルタとアントニオの“静かな別れ”に深い陰影を与える。ローマの午後の光、石畳の質感、夜の静けさ。35mmフィルム、スタンダードサイズで捉えた街の息遣いが、マルタの心の動きと重なり、そっと画面に滲む。
恋人との些細な口論の末、突然ひとりになった高校教師マルタ。がらんとした部屋で、食べ物の味も、光の色も、世界の輪郭さえも失われていく。そんな彼女が始めたのは──三つのボウルに食材を丁寧に盛り付ける、奇妙で静かな“儀式”。K-POPスターの等身大パネルとの対話、キッチンの光に気づく瞬間、ローマの街を自転車で駆ける時間。小さな行為の積み重ねが、やがて彼女を再び世界へとつなぎ直していくー。
12/5(土)~1週間限定
みらいしのほこう
© 2026 埼玉県/SKIP シティ彩の国ビジュアルプラザ
2026 年/カラー/5.1ch/ビスタサイズ/66 分/配給:トラヴィス
監督・脚本:羽蚋拓未
出演:安⽥聖愛、盧礼欧、佐藤和太、近藤美鈴、紫藤楽歩、岩瀬亮、今里真、笠兼三
エグゼクティブプロデューサー:澁澤陽平
プロデューサー:廣瀬敏、小林徳行、吉野圭⼀
撮影:柳島克己
照明:長⽥達也
美術・装飾:寺尾淳
録音:郡弘道
編集:宮島竜治
助監督:金⽥健
タイトルデザイン:赤松陽構造
音楽:羽蚋涼
音響効果:齋藤昌利、久米志保
VFX:堀⽥弘明
スタイリスト:兼子潤子
ヘアメイク:澤⽥久美子
スチール:加藤義⼀
アシスタントプロデューサー:舟橋里枝
プロダクションマネージャー:杉崎隆行
プロダクション統括:木次谷良助
制作プロダクション:東映東京撮影所、デジタルSKIP ステーション
製作:埼玉県、SKIP シティ彩の国ビジュアルプラザ
人生迷走中の教師と予知能力者の生徒が逆転を目指す“不純な”SF青春エンターテインメント!!
人生迷走中の⾼校教師・柚季は、隕⽯の直撃から生徒の蒼に救われる。蒼は未来を予知できる超能力者だったのだ。教師の仕事にウンザリしていた柚季は蒼の能力を使い、人生逆転の⼀儲けを企む。
⼀⽅、孤独を抱える蒼は、不純でどこかズレているが、真っ直ぐに⾃⾝と向き合ってくれる柚季にほのかな恋⼼を抱き始める。しかし、実は柚季の未来にはある重⼤な秘密が隠されていて…世の中と⾜並みが揃わない⼆人の歩む「みらい」の先にあるものとは︖
メガホンを取ったのは、『Song for Laurel』がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2021にノミネートされ⼤きな話題を集めた、羽蚋拓未(はぶとたくみ)。独⾃の作家性で話題を集める新鋭が満を持して商業映画デビューを飾る。主人公のどこかズレた⾼校教師・柚季を演じるのは、NHK『光る君へ』『⻁に翼』(2024)『べらぼう』(2025)ほか、CMでも活躍する安⽥聖愛。予知能力を持つ生徒・蒼を盧礼欧(ろれお)が瑞々しく演じる。
信号待ちで車の中にいた⾼校教師・野⽥柚季(ゆずき)のところにクラスの生徒・村木蒼(あおい)がひっ迫した様子でやってくる。「先生!車からすぐ降りて!!」勢いに負けて降りると運転席の上から隕⽯が直撃する。蒼は未来を予知できる超能力者だったのだ。
彼らの⾼校は廃校となるため、転校の作業で忙しい。その最中柚季は単位の⾜りない⾼3⼆人の補習講義を請け負っていた。そのうちの⼀人が蒼だった。蒼の家は父も時間を止めることのできる能力を持っている。⾼校教師に嫌気がさしていた柚季は蒼の予知能力を利用して⼀儲けたくらむのだったが…。
12/5(土)~
戦場のボヘミアン カメラマン 石川文洋
©ルミエール・プラス合同会社
2026年/日本/88分/配給:渋谷プロダクション
監督・撮影:河邑厚徳
撮影:仲松昌次
編集:荊尾明子
音楽監督:尾上政幸
主題曲:川田俊介
出演:石川文洋
モノローグ:滝藤賢一
ナレーション:山根基世
朗読:竹本英史
戦争の目撃者としての使命
ベトナムの戦場で地獄を見た石川文洋は、名もなき人々の中に希望を見出し、市井の人々を撮り続けた
日本写真協会年度賞、日本雑誌写真記者協会賞、日本ジャーナリスト会議 (JCJ) 特別賞、スウェーデン賞の他、ベトナム政府から文化通信事業功労賞も受賞した報道写真家の石川文洋。
ベトナム戦争中、同時期にサイゴンで親交があった作家の開高健は文洋を「つねに右の目は熱く、左の目は冷静でありつづけるカメラ青年」と表現した。ベトナムの取材で文洋と出会った石原慎太郎は、「沖縄という、祖国の中でも唯一、特異な状況にある故郷を持った彼が、あの邪悪な戦争を見る眼は確かに我々内地人間とは違っているに違いない」と書いた。ホーチミン市にある戦争証跡博物館の副館長のフィン・ゴック・ヴァンは、「単なる技術ではなく、心で撮っているから弱い者たちの本当の姿を表せるのだと思う」と絶賛した。
文洋は、ベトナムやカンボジアで戦争や大虐殺の現場を見てきたからこそ、他の人と違った視点で伝える必要性を感じていた。戦闘場面だけでなく、無名な人々の命を見つめた。
2025年、ベトナム戦争終結50年にあたり、ベトナム政府から式典への招待が届き、ホーチミンを再訪。そこで文洋が会ったのは…
9回死にそうになりながらも、命懸けで撮影を続ける戦争目撃者としての半生を、滝藤賢一によるモノローグで振り返る。
12/12(土)~
コール&レスポンス
© 2026 Kaori Sakagami
2026年/229分(前編130分、後編99分 [途中休憩あり])/日本/DCP/ドキュメンタリー/配給:東風
監督・編集・プロデューサー:坂上香
撮影:南幸男、坂上香
VE:伊奈勇人、徳山敦己
モーショングラフィックス:松尾豪
グラフィティアーティスト:SHIRO1
カラーグレーディング:池田聡
オンラインエディット:岩手美波
整音:富永憲一
音楽:永井カイル (THA NEON LILY)、NAGATA (THA NEON LILY)、J THE STREET
主題歌:「One Harmony」
法的監修:加毛修
製作:out of frame
【前売券】全国共通特別鑑賞券 2,500円(税込)を当館受付にて発売中!特典:オリジナルステッカーをプレゼント!
本当の自分を取り戻す、3時間49分
日本初、少年院でのラップ・ワークショップとその記録
誰にも描けなかった圧巻のドキュメンタリー
全国に40余りある少年院。健全な育成と社会復帰を目的に矯正教育を行う施設だ。そのうちの3か所で行われたラップ・ワークショップ。アルコールや薬物、さまざまな暴力に囲まれ、痛みを痛みと感じられない環境に生まれ育った少年たちが、自らに名前〈MCネーム〉を与え、言葉〈リリック〉に想いを乗せていく。塀の中のラップが届けられたのは、多様な背景を持つ8名の大人たちの〈市民ラップチーム〉。対面できないもどかしさをも超えて応答し合い、ある少年院では、地域住民17名と直接交流し、交わることのないと思えた人生が交差していく。そしてまた別の少年院では犯罪の加害者、被害者、異なる立場の大人たちとの出会いを通してラップを生み出していく。距離や時間を横断しながら呼応〈コール&レスポンス〉する中で、少年たちの言葉、声、まなざしには変化が訪れる。そしてそれは関わる大人たちにとっても同じだった──
『プリズン・サークル』(19/文化庁映画賞大賞)など、米国や日本で刑務所や受刑者を長年取材し、処罰から回復への実践を追い続ける坂上香による最新作。ワークショップは坂上と、彼女が率いるNPO団体out of frameが企画し、ラッパー、ダンサー、詩人といった仲間たちと共に立ち上げたかつてないプロジェクトだ。日本初の試みであり、実施や撮影許可にはいくつもの障壁があった。それらをひとつずつクリアしながら、言葉にならない想いを叫ぶ人、その声を掬う人──塀の中と外で生きる人々の姿をつぶさに記録し、6年の歳月を経て誕生した。これは、制度と司法のその先に確かにある、更生の最前線。願わずにはいられない「君の行く道に光がありますように」。
12/19(土)~
まさゆめ
© WHITE LEOTARDS
2026年/⽇本/110分/配給:ホワイトレオターズ/配給協⼒:ブライトホース・フィルム
監督・出演・編集:吉開菜央
撮影:⼩⽥⾹、吉開菜央、宮川真⼀、横江れいな、仲本拡史
⾳楽:涌井智仁(⼤橋可也&ダンサーズ「END THE WORLD」より)
⾳響:北⽥雅也
振付:関かおり
出演:北村思綺、髙宮梢、真壁遥、内海正考、⼤迫健司、佐藤桃⼦、⼩池陽⾹、仲本拡史、加藤⼤輝、Osono、岩渕貞太、関裕美、吉開章⼦、吉開元彦、吉開⽉柊
34歳になった冬、体調を崩した─
母の突然の死。
食べて、手を動かし、そして眠って
世界と対話する方法をもう一度編み出す。
34歳になった冬、吉開は心身のバランスを崩し、そして続くように、故郷に住む母を亡くした。その後、ふとしたきっかけで禅寺に赴き、修行をしようと思い立つ。「意識が作り出す感情はすべて夢である」と教わり、食べることや呼吸といった身体の根源に立ち返りながら、生きることを捉え直す。誰しもに訪れる親の死と自身の病によって、人生の大きな通過点に突然直面したことをきっかけに、日常に起こる小さな喜びや驚きを拾い集めながら、映画という「夢」をつくり、自分の身に起きたことをあらためて受け入れていく。
映像作家・ダンサー吉開菜央による
生きるための「オン・スクリーン・エクササイズ」
小田香監督『Underground アンダーグラウンド』(2024)に出演し、鮮烈な印象を残した映像作家・ダンサーの吉開菜央。『ほったまるびより』(2015)、『Grand Bouquet』(2019/カンヌ国際映画祭監督週間出品)、『Shari』(2022/ロッテルダム国際映画祭短・中編部門出品)と、映像と身体表現の可能性を探求しながら、独自の映画世界を磨き上げてきた。
最新作『まさゆめ』は、監督自身の体験から生まれたドキュメンタリー映画である。心身の不調、母との別れ、禅寺での修行──人生の大きな転機をきっかけに、食べること、眠ること、呼吸することといった身体の営みを見つめ直しながら、生きることを問い直していく。身体表現、写真、アニメーション、8ミリフィルム、ホームビデオと、あらゆる映像的手法が積み重ねられ、セルフ・ドキュメンタリーの枠を超えたユニバーサルな視野を持った長編映画として完成した。
2026年・第76回ベルリン国際映画祭フォーラム部門で初上映を迎えた本作は、その後もトルコ、スペイン、韓国、アメリカ、台湾など各国の映画祭で上映され、言語の壁を越えた共感を集め、北米での劇場公開も決定!
身体を通して世界と対話を重ねる本作は、映画という船に乗り、観客の記憶と五感を呼び覚ましながら、それぞれの旅へとひらいていく。
12/26(土)~
うそがほんとに ほんとがうそに
©Kimoon Film
2026年/日本/104分/製作・配給:Kimoon Film
監督:金 聖雄
音楽:谷川賢作、河野俊二
出演:袴田巖、袴田ひで子、石川一雄、石川早智子
語り:北村有起哉
冤罪に巻き込まれた人生を、あきらめない
真実をたぐり寄せる、ふたつの家族のストーリー
晴れる日を信じて苦難の道をゆく
石川一雄さん、早智子さん夫妻との出会いから冤罪をテーマにした映画を撮り続けてきた金聖雄監督。冤罪シリーズ5作目となる『うそがほんとに ほんとがうそに』は、無罪が確定した袴田事件と、未だ再審裁判の扉が開かない狭山事件の「うそ」と「ほんと」を見つめます。権力にあらがい、あきらめず前を向いて歩み続ける2つの家族。そのささやかな日常とおおらかな心は、理不尽極まりない日本の司法の残酷さを浮き彫りにします。怒りと希望、微笑みと涙が交差する104分。冤罪についてよく知らない人にも、わかりやすく親しみやすいヒューマンドキュメンタリーの誕生。
2024年9月26日、袴田巖さんの無罪判決が言い渡されました。その場には狭山事件の石川一雄さんと妻・早智子さんの姿がありました。「無罪」の瞬間、一雄さんは巖さんの勝利を心から喜びながら、複雑な表情を見せました。胸が締めつけられる思いでした。私は、石川一雄さん、早智子さん夫妻との出会いをきっかけに、罪をテーマにした映画をつくり続けてきました。3作目の『獄友』では、「一雄さんが無罪を勝ち取るまで撮影を続ける」と約束しました。その約束を果たしたいと思い撮影を再開したのですが、2025年3月11 日に、石川一雄さんは雪辱を果たせぬまま亡くなりました。私にできることは、一雄さんと早智子さんの闘いの背中をほんの少しでも後押しできる映画をつくること……。こうして、罪シリーズ5作目『うそがほんとに ほんとがうそに』が誕生しました。主人公は石川一雄さんと早智子さん、袴田巖さんとひで子さんです。罪の映画をつくり続ければならないこの日本の状況を何とかしたい。罪で苦しんでいる人がたくさんいることを映画を通して伝えたい。これからもあらがい続けています。
Kimoon Film 金聖雄
12/26(土)~6日間限定
シグロ40周年特集上映
シグロ40周年特集上映-差別と冤罪
12/26(土)~12/31(木)
シグロ40周年特集上映-差別と冤罪
12/26(土)~12/31(木)
あるがままの世界を記録し続けた
40年目の回顧上映
株式会社シグロ。
土本典昭監督の水俣の記録映画シリーズなどを製作していた青林舎から独立。1986年7月21日、代表の山上徹二郎が株式会社シグロを設立。社名の「シグロ」は『百年の孤独』(ガブリエル・ガルシア・マルケス著)からイメージしたもの。シグロはスペイン語で「世紀」を意味する。
公式ホームページhttps://siglo40th-anniversary.com/
企画・配給シグロ
入場料 一般1,900円/会員・大専・シニア1,300円/高校生以下800円
作品紹介
人間の街-大阪・被差別部落-
©1986, 青林舎/Palabra
1986年/80分/日本
監督:小池征人
企画:同和対策審議会答申20年記念映画製作委員会
製作:山上徹二郎
撮影:一之瀬正史
音楽:小室等
人間が人間を無視するってことほど、悲しくてつらいことはない。
けど、とことんしいたげられたから、とことんやさしい、あったかや
差別の重さ、人間の輝き。
映画は郵便局勤務の男性の語りから始まる。彼のところには名ざしで職場をやめろ、死んでしまえなどという手紙が来る。
差別は厳然と存在している。この映画は被差別部落の人びとのさまざまな語りから その差別の重さを感じさせる。いくつかの物語をつなぎ合わせて、人間のもつ輝きを拾い集めようとしている。
立ち上がる解放運動。
住宅要求闘争を語る女性。入居した時はうれしかったが、部落の共同性が失われていった。また、住宅がねたみの対象とされ、新しい差別をうんだ。部落の男性と結婚した女性は結婚後15年たっても家族との交流がない。しかし、彼らは差別にうちひしがれてばかりはいない。
「障害児も地或であたりまえに生きたらいい」と解放運動に教えられ、障害者の施設を部落の中に作った人びとがいる。「この地或やから生きてゆけるんとちがうかなー」と語る。水俣出身であることを隠してきた一家は子供の保育園入所をめぐって部落の人たちと知り合い、解放運動に立ち上がった。「部落は私のいのちです」と母は語り、息子も「部落がふるさと」と言い切る。
「誰れかが牛殺さな」
圧巻は屠畜場の屠畜シーンと屠畜技術者が小学校に出向いて自分の仕事について子供たちに語りかけるシーンである。ナイフ一本で肉にしていく確かな仕事は職人芸である。
彼はいう。「“誰れかが牛殺さな、たべてかれへんねん、肉たべられへんねん”て言えるくらいな、みんな子供になってほしいなと思う」
狭山事件-石川一雄・獄中27年-
1990年/90分/日本/製作:シグロ
監督:小池征人
企画:中央狭山闘争本部、部落解放同盟中央本部
製作:山上徹二郎
撮影:大津幸四郎
音楽:坂田明
踏みにじられた真実、冤罪事件を追う
1963年5月、埼玉県狭山市でおきた女子高校生殺害事件—
いわゆる狭山事件は届けられた一通の脅迫状に始まる。警察の捜査は被差別部落に集中し、一人の若者が別件で逮捕された。 石川一雄さん、24才。
逮捕から27年。石川さんは千葉刑務所の獄壁の中から無実を訴え、二回目の再審請求を東京高等裁判所に申し立てた。 映画は、当時の事件関係者の生なましい証言を追って、狭山事件とは何かにせまる。
当時、取材で現地にはいると、犯人は部落民だと言われ、ショックを受けたと語る当時の新聞記者。事件直後、石川さんの無実を信じ、支援にのりだした元市議会議員も、部落民ならやりかねないという言葉を何度も聞いた。当時から狭山に住むある在日朝鮮人は「事件があるといつも警察がねらいをつけるのは部落民か在日朝鮮人」だと語る。
共犯だとして別件逮捕され、自白を強要されて、警察で自殺をはかろうとしたという石川さんの友人の証言。映像がつきつける事実が薄れかけた記憶を激しく揺さぶる。
狭山事件で、捜査陣は何を考え、何をつくりだしたのか。映画は、事件の発端となった脅迫状の分析を試みながら、真犯人の像をさぐる。そして、石川さんの生い立ちを追って、文字と無縁だった石川さんの被差別の生活史を重ねていくと、そこには大きな落差があった。脅迫状と石川さんが逮捕前に書かされた上申書との大きな違い。
そして、つぎつぎに明るみに出てきた新事実。犯行現場とされる雑木林のすぐとなりの畑で農作業をしていた人の証言、家宅捜索の責任者だった元刑事の証言が、石川さんの自白と捜査の問題点を暴く。狭山事件の捜査本部長だった元埼玉県警刑事部長へのインタビューが、時を経たいまも、私たちに事件の真相を鋭く突きつける。
1月~
インサイド・ガザ 封鎖の内側から
© ARTE FRANCE, RTBF, FACTSTORY, FACTSTORY BELGIQUE, AGENCE FRANCE-PRESSE 2025
2025年/フランス・ベルギー/72分/配給:ユナイテッドピープル
原題:INSIDE GAZA
監督:エレーヌ・ラム・トロン
製作総指揮・プロデューサー:ヤン・オリヴィエ
題字揮毫:杉田 曠機
出演:マイ・ヤギ、モハメド・アベド、マフムード・ハムス、アーデル・ザアヌーン
立ち入りを禁じられたガザ
命がけで現実を世界に届け続けるAFP通信の記者たち
証言することは、彼らの使命であり、闘いだった。
2023年10月7日以降、ガザ地区は国際メディアの立ち入りが制限され、独立した取材アクセスは事実上不可能となった。この戦争を内側から記録した数少ない証人が、AFP通信ガザ支局の記者たちである。周囲に爆弾が降り注ぐ中、彼らは記事を書き、写真や映像を記録し続けた。自らが報道する人々と同じ危険や欠乏、先の見えない不安に直面しながらも、その証人であり続けた。彼らが命懸けで捉えた膨大な映像と写真で構成された本作は、当事者自身が語る唯一無二の証言記録である。
記者のマイ・ヤギ、モハメド・アベド、アーデル・ザアヌーン、マフムード・ハムスは、AFP通信の一員として数々の紛争を取材してきた。しかし、今回の戦争はかつてないものだった。彼らは、伝える義務、自らの生存をかけた闘い、そして常につきまとう「標的にされるかもしれない」という恐怖の間で引き裂かれていく。想像を絶する破壊と増え続ける死者を記録する証言者としての重責、そして自分と家族の命を守り抜こうとする人間としての切実な姿を描き出す。
© Mohammed Abed / AFP
© Said Khatib / AFP
©MAHMUD HAMS / AFP
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