2017日本映画大学×横浜シネマリン 相互協力企画

読んでから見るか、見てから読むか?

―原作から映画への脚色術―

11/18(土)~11/24(金)

日本映画大学×横浜シネマリン 相互協力企画

小説や漫画を原作とする映画作品は数多くありますが、それを映画として成立させるためには脚本家の手による「脚色」によってシナリオが作られることが必要です。小説には小説の、漫画には漫画の、映画には映画の、それぞれ固有の表現方法があります。脚色とは、原作の物語をいったん解体し、映画として成立するように再構築する作業であり、それはとりもなおさず「映画においてどのような表現が可能か」を突き詰めていくことにほかなりません。

今回の特集で、原作をどのように脚色したか、また同じ原作を持つ映画が異なる脚色を経ることでどのような違いが出てくるか、そして「映画において脚色とは何か」ということを深く知っていただく機会となれば幸いです。

また本上映は日本映画大学との連携企画となっており、脚本コースの授業の一環として実施されます。

〈なか区ブックフェスタ参加企画〉

上映作品の原作本の販売も行います!

同一原作

濹東綺譚

©1960 東宝

濹東綺譚

1960年/120分/東京映画/シネスコ/モノクロ/35㎜
原作:永井荷風/脚色:八住利雄/監督:豊田四郎/製作:佐藤一郎/撮影:玉井正夫/美術:伊藤熹朔/音楽:団伊玖磨
出演:山本富士子、芥川比呂志、新珠三千代、織田新太郎、東野英治郎、乙羽信子

脚本は名匠・八住利雄。永井荷風「濹東綺譚」を軸に「失踪」と「荷風日記」の逸話も配されている。教師の順平は向島の遊女の巷、通称“玉の井”でお雪と出会う。順平には子連れの妻・光子がいたが、親族に金の無心をされているお雪の境遇を思い、教職を辞し退職金でお雪との生活を考える。それを知った光子は自分の許に帰るよう激しく迫った。

濹東綺譚

©1992 ㈱近代映画協会

濹東綺譚

1992年/116分/近代映画協会/アメリカンビスタ/カラー/35㎜ *R-15
原作:永井荷風/脚本・監督:新藤兼人/企画:多賀祥介/プロデューサー:新藤次郎、赤司学文/撮影:三宅義行/美術:重田重盛/音楽:林光
出演:津川雅彦、墨田ユキ、宮崎淑子、杉村春子、乙羽信子、佐藤慶、井川比佐志

脚本・監督は新藤兼人。新藤は自著「『断腸亭日乗』を読む」で”老人の性と生”をテーマとした独自の荷風解釈を展開させた。本作では「濹東綺譚」の”わたくし”を荷風に置き換え「断腸亭日乗」の逸話を各所に配置している。大学教授の荷風はお雪という娼婦に出会い恋に落ちた。二人は結婚を約束するが、東京大空襲によって引き裂かれる。

同一原作

五番町夕霧楼

©1980松竹株式会社

五番町夕霧楼

1980年/129分/松竹/アメリカンビスタ/カラー/35㎜
原作:水上勉/脚本:中島丈博/監督:山根成之/製作:樋口清/撮影:坂本典隆/美術横山豊/音楽:岸田智史
出演:松坂慶子、奥田瑛二、浜木綿子、中島葵、風吹ジュン、根岸季衣、佐分利信

『祭りの準備』の中島丈博が描く深い情念に満ちた世界を、青春映画の騎手・山根成之が演出。夕霧楼で働き始めた夕子。一年後には五番町随一の売れっ子になっていた。ある日、夕子の元に幼馴染の青年僧・正順がやってきた。二人の逢瀬は穏やかに続く。だが夕子を妾にしようとする甚造が、正順の廓通いを修業先の鳳閣寺に告げてしまう。

五番町夕霧楼

©東映

五番町夕霧楼

1963年/137分/東映東京/シネスコ/カラー/35㎜ *R-18
原作:水上勉/脚色:鈴木尚之、田坂具隆/監督:田坂具隆/企画:岡田茂、亀田耕司、矢部恒/製作:大川博/撮影:飯村雅彦/美術:森幹男/音楽:佐藤勝
出演:佐久間良子、河原崎長一郎、進藤英太郎、木暮実千代、丹阿弥谷津子

金閣寺放火事件を題材とした水上勉の同名小説を『宮本武蔵五部作』の鈴木尚之が脚色。前年六二年に東映に移籍してきた田坂具隆と鈴木との『ちいさこべ』に次ぐ二作目。貧しい木樵の娘・夕子は京都五番町夕霧楼の女将に見出され娼妓となる。売れっ子となった夕子の元に、ある時鳳閣寺の僧侶・正順が訪れる。二人は幼馴染であった。

同一テーマ

叛乱

©国際放映

叛乱

1954年/115分/新東宝/スタンダード/モノクロ/35㎜
原作:立野信之/脚色:菊島隆三/監督:佐分利信/製作総指揮:竹井諒/製作:安達英三郎/撮影:小原譲治/美術:松山崇/音楽:早坂文雄
出演:細川俊夫、清水将夫、鶴田浩二、山形勲、安部徹、佐々木孝丸、辰巳柳太郎

立野信之の直木賞受賞作品「叛乱」を原作に、『野良犬』の菊島隆三が脚色、佐分利信が監督。二・二六事件が起こるに至った社会情勢や陸軍内部の状況、そして青年将校たちの心理を克明に描いた一作。佐分利は撮影中病いに倒れたため、阿部豊が後をつぎ、さらに阿部の助監督だった松林宗恵と内川清一郎も招集され三班体制で撮影された。

貴族の階段

©KADOKAWA1959

貴族の階段

1959年/116分/大映東京/シネスコ/カラー/35㎜
原作:武田泰淳/脚色:新藤兼人/監督:吉村公三郎/企画:川崎治雄/製作:永田雅一/撮影:中川芳久/美術:間野重雄/音楽:黛敏郎
出演:森雅之、細川ちか子、金田一敦子、本郷功次郎、志村喬、滝沢修

武田泰淳の同名小説を映画化。『安城家の舞踏会』で没落貴族の衰退を描いて以来の新藤・吉村の名コンビが、本作では二・二六事件を中心に軍部の台頭と政治の中央に祭り上げられる華族議員の密約の様相を背景にしつつ、この事件の渦中にあった青年男女の悲恋と苦悩を貴族の娘の視点から描いている。

同一テーマ

従軍慰安婦

©東映

従軍慰安婦

1974年/86分/東映東京/シネスコ/カラー/35㎜
原作:千田夏光/脚本:石井輝男/監督:鷹森立一/企画:太田浩児/撮影:飯村雅彦/美術:前田博/音楽:津島利章
出演:中島ゆたか、緑魔子、叶優子、三原葉子、小松方正、室田日出男、由利徹

原作は千田夏光のドキュメント「“声なき女”八万人の告発・従軍慰安婦」。脚本の石井輝男は陸軍浜松航空隊の写真班員として中国大陸へ配属された経験を持つ。昭和十三年春、中国へ向かう船上には千円で買われた貧村の娘たちがいた。お国のためと信じて一日数十人からの相手をした慰安婦たちの姿を通じて、戦争の虚しさを描いた傑作。

女体

©1964 東宝

女体

1964年/94分/東宝/シネスコ/カラー/35㎜ *R−18
原作:田村泰次郎/脚色・監督:恩地日出夫/製作:市川久夫/撮影:内海正治/美術:育野重一/音楽:武満徹
出演:団令子、楠侑子、南原宏治、千之赫子、岩崎豊子、坂本スミ子、稲垣昭三、地神勉

田村泰次郎の「肉体の門」「埴輪の女」を恩地日出夫が脚色・監督。マヤは東京郊外で平凡な日々を送る主婦。ある日マヤはせんと再会する。二人は終戦直後に売春婦をしていた仲間だった。十八年前、関東小政と呼ばれたせん、ボルネオマヤと呼ばれたマヤ、そして仲間達との体を賭けた生活の中に、暗い影をもつ青年・伊吹が転がり込む。

上映スケジュール 全8作品

11/18(土) 11/19(日) 11/20(月) 11/21(火) 11/22(水) 11/23(木) 11/24(金)
濹東綺譚[東宝]濹東綺譚[東宝]
12:20-14:20
五番町夕霧楼[松竹]五番町夕霧楼[松竹]
12:20-14:29
叛乱叛乱
12:20-14:15
従軍慰安婦従軍慰安婦
12:20-14:46
叛乱叛乱
12:20-14:15
五番町夕霧楼[東映]五番町夕霧楼[東映]
12:20-14:37
濹東綺譚[近代映画協会]濹東綺譚[近代映画協会]
12:20-14:16
濹東綺譚[近代映画協会]濹東綺譚[近代映画協会]
14:45-16:41
五番町夕霧楼[東映]五番町夕霧楼[東映]
14:45-17:02
貴族の階段貴族の階段
14:30-16:25
女体女体
14:00-15:34
貴族の階段貴族の階段
14:30-16:25
五番町夕霧楼[松竹]五番町夕霧楼[松竹]
15:00-17:09
濹東綺譚[東宝]濹東綺譚[東宝]
14:30-16:30
上映後
トークショー
荒井晴彦さん✕佐伯俊道さん
上映後
トークショー
荒井晴彦さん✕佐伯俊道さん
従軍慰安婦従軍慰安婦
16:45-18:11
上映後
トークショー
荒井晴彦さん✕佐伯俊道さん

従軍慰安婦従軍慰安婦
16:45-18:11
上映後
トークショー
荒井晴彦さん✕佐伯俊道さん
上映後
トークショー
奥田瑛二さん✕荒井晴彦さん✕佐伯俊道さん
女体女体
16:45-18:19

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当日料金

一般1400円/大専・シニア1,100円/障がい者1,000円/高校生以下800円

※各回入れ替え制
※トークショーは、本企画当日チケットお持ちの方は、どなたでもご入場いただけます。